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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F01N |
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管理番号 | 1127139 |
審判番号 | 不服2003-3545 |
総通号数 | 73 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-03-05 |
確定日 | 2005-12-20 |
事件の表示 | 平成10年特許願第232875号「触媒劣化検出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月29日出願公開、特開2000- 64830、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本件発明 本願は、平成10年8月19日の出願であって、その請求項1〜4に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める(以下、「本願発明1」〜「本願発明4」という)。 【請求項1】内燃機関の排気通路上に配置され、かつ、炭化水素を吸着すと共に活性温度以上で炭化水素を酸化する触媒の劣化を検出する触媒劣化検出装置であって、 前記触媒への炭化水素の吸着度合いを検出する吸着度合検出手段と、 前記吸着度合検出手段により検出された吸着度合いに応じて前記触媒の劣化を判定する触媒劣化判定手段とを備えており、 前記吸着度合検出手段が、前記排気通路上の前記触媒の下流側に設けられた炭化水素を酸化する検出用触媒と、前記触媒の温度を検出する上流側温度検出手段と、前記検出用触媒の温度を検出する下流側温度検出手段とを有しており、前記上流側温度検出手段の検出温度と下流側温度検出手段の検出温度との差に基づいて前記触媒への炭化水素の吸着度合いを検出することを特徴とする触媒劣化検出装置。 【請求項2】前記上流側温度検出手段が、前記触媒から流出する排気ガスの温度を検出することを特徴とする請求項1に記載の触媒劣化検出装置。 【請求項3】前記下流側温度検出手段が、前記検出用触媒から流出する排気ガスの温度を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の触媒劣化検出装置。 【請求項4】前記検出用触媒が電気的に発熱または加熱される昇温型触媒であり、前記吸着度合検出手段が、前記検出用触媒の電気的発熱又は加熱が終了された直後に吸着度合いを検出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の触媒劣化検出装置。 2.拒絶査定における判断の趣旨 平成14年11月6日付け拒絶理由通知書で引用した引用文献1(特開平7-238826号公報には、内燃機関の排気通路上に配置され、かつ、炭化水素を吸着する吸着材劣化検出装置であって、排ガス中のHC成分の増加を昇温型触媒の触媒温度上昇率から検出して、吸着材の劣化を判定する吸着材劣化検出装置の発明が記載されている。 引用文献3(特開昭48-44619号公報)には、検出用触媒の上流側温度検出手段と下流側温度検出手段との検出温度の差に基づいて排ガス中の可燃成分(炭化水素)の増加を検出することが記載されている。 引用文献1記載の発明において、排ガス中の可燃成分(炭化水素)の増加検出手段として、昇温型触媒の触媒温度上昇率から検出することにかえて、引用文献3記載の検出用触媒の上流側温度検出手段と下流側温度検出手段との検出温度の差に基づいて検出することを適用して本願請求項1に係る発明の構成とすることに格別の困難性は認められない。またそれによる効果も予測しうるものである。 3.判断 引用文献3記載の技術は、パイロットコンバータに関するもので、検出用触媒9は、排気ガスを浄化する触媒コンバータの上流に配設されて、排気ガスの成分を検出するためのものであり、排気ガス中に可燃成分(炭化水素)が多い場合に、下流側にある触媒コンバータが温度上昇によって破壊することを防止するためのものである。 従って、本願発明1〜本願発明4のような、触媒の下流側に配置され、上流側にある触媒の劣化を検出するものとは技術的に相違するので、引用文献1記載の発明に引用文献3記載の技術を適用して、本願発明1〜本願発明4のように構成することを、当業者が容易に想到し得るとはいえない。 そして、本願発明1〜本願発明4は、触媒での炭化水素の吸着度合いを、触媒の温度と触媒下流に配設された検出用触媒の温度との温度差に基づいて検出し、検出された吸着度合いが所定量より小さければ、その触媒装置の吸着機能が劣化していると触媒劣化判定手段により判定するので、温度検出のみによって触媒の吸着機能の劣化を容易かつ確実に検出することができ、また、検出された温度自体に基づいて劣化検出するのではなく、温度差に基づいて劣化を検出するので、検出部自体の温度変化による影響を受けにくく、より正確に触媒の劣化を検出することができる、という作用効果を奏するものである。 4.むすび してみると、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2005-12-07 |
出願番号 | 特願平10-232875 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F01N)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 亀田 貴志 |
特許庁審判長 |
大橋 康史 |
特許庁審判官 |
岩瀬 昌治 飯塚 直樹 |
発明の名称 | 触媒劣化検出装置 |
代理人 | 塩田 辰也 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |