• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G03B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1127273
審判番号 不服2003-13227  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-01-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-10 
確定日 2005-12-01 
事件の表示 平成 6年特許願第157401号「冷却構造を備えた部材収容装置および光学装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 1月23日出願公開、特開平 8- 22074〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年7月8日の出願であって、平成15年6月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成15年7月10日付けで審判請求がなされるとともに平成15年8月11日付けで手続補正がなされたものである。

2.平成15年8月11日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年8月11日付けの手続補正を却下する。

[理由]
2-1.目的制限要件違反
平成15年8月11日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)により補正された特許請求の範囲の請求項9は以下のとおりである。
「内側の部材収容空間(2B)を規定する内側の囲い壁(2A)と、内側の囲い壁(2A)の外側に位置し、内側の囲い壁(2A)との間で外側の部材収容空間(1B)を規定する外側の囲い壁(1A)と、内側の部材収容空間(2B)に収容される、少なくとも、光学前処理系(41)、光学前処理系(41)により処理された光を空間変調する空間変調素子(40)、空間変調素子(40)により変調された空間変調光を処理する後処理系(42)を含む光学部材(2C)と、外側の部材収容空間(1B)に収容される、少なくとも、空間変調素子(40)を駆動する駆動用電気回路(51)を搭載したプリント基板(50)、光源(53)を含む発熱部材(1C)と、これらの部材群(1C,2C)を冷却する冷却機構(3)とを備え、
内側の囲い壁(2A)は、互いに対向する第1及び第2壁面(2A1,2A2)を具備し、これらの壁面にそれぞれに第1及び第2通気孔(31,32)を設け、第1通気孔(31)を通して、外側の囲い壁(1A)の外部から内側の部材収容空間(2B)に空気を取り入れる吸気部材(311)が設けられ、
外側の囲い壁(1A)の前記第1及び第2壁面と対向しない壁面には、第3通気孔(33)を設け、該第3通気孔(33)には外側の部材収容空間(1B)から外側の囲い壁(1A)の外部へ空気を排出する排気部材(331)が設けられ、
外側の部材収容空間(1B)に収容されている部材群(1C)の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)に収容されている部材群(2C)の総発熱量より多いこと、または外側の部材収容空間(1B)の内部の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)の内部の総発熱量より多いことを特徴とする、冷却構造を備えた光学装置。」
補正後の請求項9は、補正前の請求項10を補正したものといえる。(平成15年7月15日付けの審判請求書に係る平成15年10月2日付手続補正書(方式)に「(b)補正の根拠の明示 平成15年8月11日付け手続補正書における、請求項1及び請求項9の補正事項はそれぞれ、(平成13年10月3日付手続補正書における)元の請求項1に元の請求項8の内容を追加したもの、及び、元の請求項10に元の請求項8の内容を追加したものである。なお、請求項8は元の請求項9に、請求項10〜13は元の請求項11〜14にそれぞれ対応している。」と記載されている。なお、当審で下線を付加した。)
さて、上記補正は、補正前の発明に「外側の部材収容空間(1B)に収容されている部材群(1C)の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)に収容されている部材群(2C)の総発熱量より多いこと、または外側の部材収容空間(1B)の内部の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)の内部の総発熱量より多いこと」という構成要件を付加するものである。しかし、平成13年10月3日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項10および同請求項を引用している請求項11乃至14(請求項8は請求項10を引用するものではない)のいずれの請求項にも、総発熱量に関する構成が記載されていないので、当該補正は、発明の構成に欠くことができない事項の範囲内において、その補正前の発明の構成に欠くことができない事項の全部又は一部を限定するものとはいえないから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。
また、当該補正が、請求項の削除、誤記の訂正、または明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものでないことは明らかである。したがって、平成15年8月11日付けの手続補正書による補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第3項の規定を満たしておらず、同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

2-2.独立特許要件違反
本件補正は上記のように却下されるべきものであるが、仮に全体として特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるとした場合、本件補正後の請求項1に係る下記の発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。
「内側の部材収容空間(2B)を規定する内側の囲い壁(2A)と、内側の囲い壁(2A)の外側に位置し、内側の囲い壁(2A)との間で外側の部材収容空間(1B)を規定する外側の囲い壁(1A)と、各部材収容空間(1B,2B)に収容される部材群(1C,2C)と、これらの部材群(1C,2C)を冷却する冷却機構(3)とを備え、
冷却機構(3)は、内側の囲い壁(2A)の互いに対向する壁面に設けた第1及び第2通気孔(31,32)と、外側の囲い壁(1A)の前記対向壁面と対向しない壁面に設けた第3通気孔(33)と、外側の囲い壁(1A)の外部から取り入れた気体を第1通気孔(31)を通して内側の部材収容空間(2B)に取り入れ、且つ第2通気孔(32)を通して内側の部材収容空間(2B)から外側の部材収容空間(1B)に取り入れ、更に第3通気孔(33)を通して外側の部材収容空間(1B)から外側の囲い壁(1A)の外部へ排出する強制空冷手段(311)を含み、
外側の部材収容空間(1B)に収容されている部材群(1C)の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)に収容されている部材群(2C)の総発熱量より多いこと、または外側の部材収容空間(1B)の内部の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)の内部の総発熱量より多いことを特徴とする、冷却構造を備えた部材収容装置。」

(1)刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された実願平4-70038号(実開平6-28836号)のCD-ROM(以下、「刊行物1」という。)には、次のア)〜ウ)の記載がある。
ア)「【0002】【従来の技術】 直視型モニターと比較して大画面化が容易な映像再生方法として、液晶プロジェクター装置がある。この液晶プロジェクター装置は、液晶板自体が発光しないため、メタルハライドランプ等の光を映像データが供給される液晶板に透過させ、その透過した映像光をスクリーンに拡大投写する。しかし、光源として用いられるランプはかなりの熱を発生し、また、回路基板からも熱を発生するため、ファンによりその熱を装置外に排出して冷却している。
【0003】 図5は従来の液晶プロジェクター装置内部を示す分解斜視図、図6は従来の液晶プロジェクター装置を示す断面図である。
図5及び図6において、液晶板やミラー等を収納する光学系筐体1は、底面1bに吸気用のファン2がビスB(図5のみ図示)により取り付けられ、上面1aには回路基板3が基板支持部材4により空間を開けて取り付けられている。さらに、光学系筐体1には、光源に用いられるランプ5(図6のみ図示)を収納するランプ部6と、そのランプ部6の後ろに、排気用ファン7がビスB(図5のみ図示)により取り付けられる。そして、図6に示すように、液晶プロジェクター装置は外装筐体8で覆われている。
【0004】 図6を用いて、液晶プロジェクター装置内の空気の流れを説明する。吸気用ファン2により、外装筐体8内に取り込まれた空気は、光学系筐体1内部の液晶板9(1枚のみ図示)を冷却し、光学系筐体1の上面1aにある排気孔10より、光学系筐体1と回路基板3で構成される空間に流れ出る。この空間に流れ出た空気は、ランプ部6に開けられた多数の孔6a(図5に示す)よりランプ部6内に入ってランプ5を冷却し、排気用ファン7により、再び外装筐体8外に排出される。
【0005】【考案が解決しようとする課題】 図7は従来の液晶プロジェクター装置における空気の流れを説明するための図である。図7において、光学系筐体1の上面1aに設けられた排気孔10から排気された空気は、矢印iの方向に流れ、排気用ファン7に向かって流れて行き、最終的に矢印jのように流れる。従って、従来の液晶プロジェクター装置では、光学系筐体1上に設けられた回路基板の放熱に片寄りが生じる。
例えば、A部とBとの上にある回路基板を比較すると、A部では空気の流れにより冷却されるが、B部ではあまり空気が流れないために冷却されず、A部とB部とでは温度差が生じる。この為、回路動作の性能及び信頼性が十分得られないという問題があった。
この問題を解決するために、排気用ファン7を大きくし、回路基板の放熱を十分に行うことが考えられるが、この方法ではファンの騒音が大きくなり、また、コストの上昇や、装置全体の小形化が難しくなるため、あまり好ましくなかった。
【0006】【課題を解決するための手段】 本考案は、上述した従来の技術の課題を解決するため、ランプから発せられた光を映像データが供給される液晶板に透過させ、その透過した映像光を拡大投写する液晶プロジェクター装置において、前記液晶板を収納した光学系筐体の一面に整流板を設けると共に、その面と回路基板をほぼ密閉するように取り付け、装置内部を冷却するためのファンによって生じる空気が、回路基板全面に流れるようにしたことを特徴とする液晶プロジェクター装置を提供するものである。」(【0002】-【0006】段落)

イ)「【0008】 図1及び図2に示すように、光学系筐体11の上面11aに設けられた排気孔のうち、ランプ部6に近い2つの排気孔10aに整流板12を設ける。光学系筐体11は板金でできているため、上面11aを曲げ加工することにより整流板12を作る。また、光学系筐体11の側面11bは、ランプ部6が取り付けられている面の一部を除いて、整流板12とほぼ同等の高さにしている。この光学系筐体11の上面11a上に、ほぼ密閉された空間を構成するように、回路基板3を基板支持部材4により取り付ける。
光学系筐体11と回路基板3の間のほぼ密閉された空間内に、整流板12を設けることにより、その空間内の空気が図3に示すように流れる。
【0009】 図3を用いて、その空間内の空気の流れを説明する。整流板12を有する排気孔10aより光学系筐体11内から排出された空気は、それぞれ矢印a,bのように流れ出す。排気孔10aに設けられた整流板12と、光学系筐体11の側面11cとにより、矢印a,bの空気は合流して矢印cの方向に流れる。また、整流板を持たない排気孔10bから流れ出た空気dは、流れcと一体となって流れeとなり、光学系筐体11の上面11a上を一周する。そして、光学系筐体11の側面11bがとぎれているところからランプ部6に流れ出し、最終的にランプ部6を通って排気用ファン7より装置外部に排出される。
この様に、排気孔10a,10bを有する上面11aのA部及びB部ともに十分に空気が流れることにより、回路基板3上の冷却が均一に行われる。
」(【0008】-【0009】段落)

ウ)図1〜3、5〜7には、光学系筐体1(11)の内側の空間に液晶板9が収容され、光学系筐体1(11)とその外側の外装筐体8との間で規定される空間に回路基板3やランプ5が収容されること、及び、排気用ファン7が、外装筐体8の、光学系筐体1(11)の互いに対向する底面1b及び上面1a(11a)と対向しない、面側に設けられていることが記載されている。

ここで、上記記載事項ア)〜ウ)より、液晶プロジェクター装置が、液晶板やミラー、回路基板3、及びランプ5等の部材を空気の流れにより冷却する冷却機構を有しており、そして、吸気用ファン2及び排気用ファン7がその冷却機構の一部であることは明らかである。よって、刊行物1には次の発明が記載されている。(以下、「引用発明」とする。)
「液晶板やミラー等の部材が収容される、内側の空間を規定する光学系筐体1(11)と、光学系筐体1(11)の外側に位置し、光学系筐体11との間で回路基板3やランプ5の部材が収容される、外側の空間を規定する外装筐体8と、各空間に収容される部材群と、これらの部材群を冷却する冷却機構とを備え、
冷却機構(3)は、光学系筐体1(11)の互いに対向する底面1b及び上面1a(11a)に設けた吸気用ファン2及び排気孔10(10a、10b)と、外装筐体8の前記互いに対向する底面1b及び上面1a(11a)と対向しない面側に設けた排気用ファン7と、外装筐体8の外部から取り入れた空気を吸気用ファン2を通して内側の空間に取り入れ、且つ排気孔10を通して内側の空間から外側の空間に取り入れ、更に排気用ファン7を通して外側の空間から外装筐体8の外部へ排出する前記吸気用ファン2および排気用ファン7を含む、
冷却構造を備えた液晶プロジェクター装置。」

(2)対比
本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「液晶板やミラー等が収容されている内側の空間を規定する光学系筐体1(11)」、「光学系筐体1(11)の外側に位置し、光学系筐体11との間で回路基板3やランプ5が収容されている外側の空間を規定する外装筐体8」、「互いに対向する底面1b及び上面1a(11a)」、「排気孔10(10a、10b)」、「空気」、及び「吸気用ファン2および排気用ファン7」は、本願補正発明の「内側の部材収容空間(2B)を規定する内側の囲い壁(2A)」、「内側の囲い壁(2A)の外側に位置し、内側の囲い壁(2A)との間で外側の部材収容空間(1B)を規定する外側の囲い壁(1A)」、「対向する壁面」、「第2通気孔(32)」、「気体」、及び「強制空冷手段(311)」にそれぞれ相当し、さらに引用発明の「液晶プロジェクター装置」は筐体内部に各部材を収容しているものであり本願補正発明の「部材収容装置」に相当するので、両発明は、
「内側の部材収容空間を規定する内側の囲い壁と、内側の囲い壁の外側に位置し、内側の囲い壁との間で外側の部材収容空間を規定する外側の囲い壁と、各部材収容空間に収容される部材群と、これらの部材群を冷却する冷却機構とを備え、
冷却機構は、外側の囲い壁の外部から取り入れた気体を内側の部材収容空間に取り入れ、且つ第2通気孔を通して内側の部材収容空間から外側の部材収容空間に取り入れ、更に外側の部材収容空間から外側の囲い壁の外部へ排出する強制空冷手段を含む、
冷却構造を備えた部材収容装置。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明では「内側の囲い壁の互いに対向する壁面に設けた第1及び第2通気孔と、外側の囲い壁の前記対向壁面と対向しない壁面に設けた第3通気孔(33)」を有し、強制空冷手段が「外側の囲い壁(1A)の外部から取り入れた気体を第1通気孔を通して内側の部材収容空間(2B)に取り入れ、且つ第2通気孔を通して内側の部材収容空間から外側の部材収容空間に取り入れ、更に第3通気孔を通して外側の部材収容空間から外側の囲い壁の外部へ排出する」(当審で下線を付加した)するのに対し、引用発明では排気孔10(10a、10b)と対向する面に吸気用ファン2が、また前記対向面と対向しない面に排気用ファン7が設けられているが、各ファンの位置に対応して「第1及び第3通気孔」が設けられているかどうかについて明示的な記載がされていない点。

[相違点2]
本願補正発明では「外側の部材収容空間(1B)に収容されている部材群(1C)の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)に収容されている部材群(2C)の総発熱量より多いこと、または外側の部材収容空間(1B)の内部の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)の内部の総発熱量より多いこと」とされているのに対し、引用発明では総発熱量について記載されていない点。

(3)判断
上記相違点について検討する。
[相違点1について]
引用発明においては、底面1bに設けた吸気用ファン2により光学系筐体1(11)の内側の空間に空気を取り入れているので、光学系筐体1(11)の底面1bの吸気用ファンに対応する箇所に、その取り入れる空気を通すための通気孔を設けることは、当業者であれば容易に想到できることである。
また同様に、引用発明においては、排気用ファン7を通して外装筐体8の外部へ空気を排出しているので、外部筐体8の面の排気用ファン7に対応する箇所(上記「(1)」に記載したように、光学系筐体1(11)の互いに対向する底面1b及び上面1a(11a)、と対向しない面側である)に、その排出する空気を通すための通気孔を設けることは、当業者であれば容易に想到できることである。

[相違点2について]
引用発明の液晶プロジェクター装置においては、「内側の空間」には液晶板やミラー等の部材群が、「外側の空間」には回路基板3やランプ5の部材群が収容されている。そして、一般に、液晶プロジェクター装置においては、各種の発熱する部材の中でもランプの総発熱量は他の部材に比してきわめて大きいので、ランプが属する部材群(すなわち外側の部材収容空間に収容されている部材群)、またはランプが収容されている部材収容空間(すなわち外側の部材収容空間)の内部の総発熱量が、他の部材群(すなわち内側の部材収容空間に収容されている部材群)、または他の部材収容空間(すなわち内側の部材収容空間)の内部の総発熱量より多くなることは、当業者ならば容易に推考できることであり、引用発明において、相違点2のように限定することは、困難性がない。

また、本願補正発明の作用効果も、刊行物1に記載された事項から当業者が予測できる範囲のものである。よって、本願補正発明は、上記刊行物1に記載された発明に基づき当業者が容易に想到することができたものである。したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(4)むすび
以上のとおり、本件補正は、仮に目的制限要件に違反しないとしても、平成6年法改正前の特許法第17条の2第4項において読み替えて準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定で読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年8月11日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成13年10月3日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載から見て、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「内側の部材収容空間(2B)を規定する内側の囲い壁(2A)と、内側の囲い壁(2A)の外側に位置し、内側の囲い壁(2A)との間で外側の部材収容空間(1B)を規定する外側の囲い壁(1A)と、各部材収容空間(1B,2B)に収容される部材群(1C,2C)と、これらの部材群(1C,2C)を冷却する冷却機構(3)とを備え、
冷却機構(3)は、内側の囲い壁(2A)の互いに対向する壁面に設けた第1及び第2通気孔(31,32)と、外側の囲い壁(1A)の前記対向壁面と対向しない壁面に設けた第3通気孔(33)と、外側の囲い壁(1A)の外部から取り入れた気体を第1通気孔(31)を通して内側の部材収容空間(2B)に取り入れ、且つ第2通気孔(32)を通して内側の部材収容空間(2B)から外側の部材収容空間(1B)に取り入れ、更に第3通気孔(33)を通して外側の部材収容空間(1B)から外側の囲い壁(1A)の外部へ排出する強制空冷手段(311)を含むことを特徴とする、冷却構造を備えた部材収容装置。」

4.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及びその記載事項は、前記「2-2.(1)」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2-2.」で検討した本願補正発明から「外側の部材収容空間(1B)に収容されている部材群(1C)の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)に収容されている部材群(2C)の総発熱量より多いこと、または外側の部材収容空間(1B)の内部の総発熱量が内側の部材収容空間(2B)の内部の総発熱量より多いこと」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2-2.」に記載したとおり、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-09-28 
結審通知日 2005-10-04 
審決日 2005-10-18 
出願番号 特願平6-157401
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
P 1 8・ 572- Z (G03B)
P 1 8・ 575- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐竹 政彦芝 哲央  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 前川 慎喜
江塚 政弘
発明の名称 冷却構造を備えた部材収容装置および光学装置  
代理人 西山 雅也  
代理人 石田 敬  
代理人 樋口 外治  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ