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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B01J
審判 全部申し立て 2項進歩性  B01J
管理番号 1127343
異議申立番号 異議2003-72971  
総通号数 73 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-09-02 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-05 
確定日 2005-09-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3417244号「イオン交換樹脂の再生方法」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3417244号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3417244号の請求項1に係る発明についての出願は、平成9年2月19日に出願され、平成15年4月11日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、請求項1に係る特許について異議申立人 渡辺由里子および異議申立人 オルガノ株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年6月18日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
上記の訂正請求は、願書に添付された明細書(以下、「特許明細書」という。)を訂正請求書に添付された明細書(以下、「訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるもので、その内容は以下のとおりである。
訂正事項a
特許明細書の請求項1を「カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、前記カチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ1〜3.5重量%濃度のカチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で通液して、カチオンまたはアニオン交換樹脂と接触させ、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法。」と訂正する。
訂正事項b
特許明細書の【0001】段落を「【発明の属する技術分野】本発明は、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているカチオンおよびアニオン交換樹脂の再生方法に関する。」と訂正する。
訂正事項c
特許明細書の【0008】段落を「【課題を解決するための手段】本発明は、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、前記カチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ1〜3.5重量%濃度のカチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で通液して、カチオンまたはアニオン交換樹脂と接触させ、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法である。」と訂正する。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、および拡張・変更の存否
まず、訂正事項aについて検討する。
訂正事項aは、特許明細書の請求項1に記載された「イオン交換樹脂」が「カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられている」ものであることを限定するとともに、特許明細書の請求項1に記載された「1〜3.5重量%濃度の再生剤」が「カチオンまたはアニオン交換樹脂用の」ものであること、および、特許明細書の請求項1に記載された「空間速度(SV)15〜40hr-1の流速」が「それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する」ものであることを限定して、この純水製造装置に用いられている「カチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ」カチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する流速で通液し「て、カチオンまたはアニオン交換樹脂」と接触させ「、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生する」と限定したものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした訂正に該当すると云える。
そして、特許明細書の請求項1に記載された「イオン交換樹脂」がカチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているものであることは、特許明細書の【0001】段落の記載と技術常識から明らかであり、また、特許明細書の請求項1に記載された「1〜3.5重量%濃度の再生剤」がカチオンまたはアニオン交換樹脂用のものであること、特許明細書の請求項1に記載された「空間速度(SV)15〜40hr-1の流速」がそれぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対するものであること、および、純水製造装置に用いられているカチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれカチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する流速で通液して、カチオンまたはアニオン交換樹脂と接触させ、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生することは、特許明細書の【0007】、【0010】、【0011】、【0021】、【0030】段落の記載、および、同【0022】〜【0026】段落の実施例の記載から読み取れることであるから、訂正事項aは、特許明細書に記載された事項の範囲内で明細書の記載を訂正するものであり、新規事項の追加に該当しない。
また、訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもない。
次に、訂正事項b、cについて検討する。
訂正事項b、cは、訂正事項aによる特許請求の範囲の訂正に整合させるべく発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、また、訂正事項aと同じく、新規事項の追加に該当せず、しかも実質上特許請求の範囲を拡張しまたは変更するものでもない。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項および同条第3項において準用する特許法第126条第2項および第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについて
3-1.本件発明
上記のとおり訂正が認められたから、特許第3417244号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、前記カチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ1〜3.5重量%濃度のカチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で通液して、カチオンまたはアニオン交換樹脂と接触させ、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法。」

3-2.取消理由の概要
当審が取消理由で通知した理由は、要は、特許明細書の請求項1に係る発明は、下記の刊行物1ないし3に記載された発明であるか、刊行物1ないし3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができた発明であるから、該請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号または同条第2項の規定に違反してなされたものであり、取り消されるべきものであるというものである。
刊行物1:特開平5-253568号公報
(異議申立人 渡辺由里子の提出した甲第1号証、
異議申立人 オルガノ株式会社の提出した甲第2号証)
刊行物2:「amber-hi-lites」Number131,November,1972、TALL OAKS PUBLISHING,INC.発行 第315頁〜第318頁
(異議申立人 渡辺由里子の提出した甲第4号証)
刊行物3 特開平6-15263号公報
(異議申立人 オルガノ株式会社の提出した甲第1号証)

3-3.各刊行物等に記載された事項
3-3-1.刊行物1には、下記の事項が記載されている。
1-ア.「強酸性陽イオン交換樹脂と弱酸性陽イオン交換樹脂を充填した複層床式カチオン交換塔および強塩基性陰イオン交換樹脂と弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填した複層床式アニオン交換塔からなる2床2塔式純水製造装置もしくはこれに脱炭酸塔を組合せてなる2床3塔式純水製造装置あるいは弱酸性陽イオン交換樹脂を充填した単層床式弱酸性カチオン交換塔、強酸性陽イオン交換樹脂を充填した単層床式強酸性カチオン交換塔、弱塩基性陰イオン交換樹脂を充填した単層床式弱塩基性アニオン交換塔および強塩基性陰イオン交換樹脂を充填した単層床式強塩基性アニオン交換塔からなる4床4塔式純水製造装置もしくはこれに脱炭酸塔を組合せてなる4床5塔式純水製造装置において、該純水製造装置の前段にそのカチオン交換塔内およびアニオン交換塔内への懸濁物質の混入を抑止するための膜分離装置を設置し、各カチオン交換塔および各アニオン交換塔にはそれぞれの交換塔内の空間に、各充填樹脂の通水、再生による膨潤分もしくは収縮分に対応する余裕高をその上部に持たせて各樹脂を隙間なく充填し、上記の膜分離装置で予備処理された原水を下降流通水方式で処理することにより、逆洗工程を省略したことを特徴とする純水製造装置。」(特許請求の範囲 請求項1)
1-イ.「実施例1(図1の方式)
次のようなカチオンおよびアニオンを含んだ水質の原水を、通常の凝集沈殿装置、濾過器で順に処理した。・・・。その後上記処理水を・・・限外濾過膜装置で処理した。・・・。この透過水を図3に示すような複層床式カチオン交換塔(1)および図4に示すような複層床式アニオン交換塔(2)と両塔(1)(2)間に設けたCO2 を除去するための脱炭酸塔(・・・)からなる複層床式純水製造装置に通水した。」(【0029】〜【0031】段落)として、第6頁に【図1】と【図3】が、第7頁に【図4】が記載されている。
1-ウ.「再生条件
(1)カチオン交換塔
・再生剤 3%塩酸 ・・・
・再生工程
(採水終了)→HCl通薬(LV=16m/H、15分間)→押し出し(LV=16m/H、12分間)→洗浄(20分間) ・・・
(2)アニオン交換塔
・再生剤 1.3%及び2.5%苛性ソーダ ・・・
・再生工程(採水終了)→NaOH通薬(LV=14m/H、1.3%:8.5分間)、2.5%:6.5分間)→押し出し(LV=14m/H、24分間)→洗浄(15分間)」(【0034】、【0035】段落)
1-エ.「 実施例2(図2の方式)
図5に示す弱酸性陽イオン交換樹脂(6)・・・を充填した単層床式弱酸性カチオン交換塔(10)、図6に示す強酸性陽イオン交換樹脂(5)・・・を充填した単層床式強酸性カチオン交換塔(11)、図7に示す弱塩基性陰イオン交換樹脂(8)・・・を充填した単層床式弱塩基性アニオン交換塔(12)および図8に示す強塩基性陰イオン交換樹脂(7)・・・を充填した単層床式強塩基性アニオン交換塔(13)を夫々用いて実施例1と同様に実施し実施例1と同様の結果を得た。尚塔(10)では再生形の充填樹脂(6)の高さが72cm・・・。塔(11)では塩形の充填樹脂(5)の高さが143cm・・・であり、塔(12)では再生形の充填樹脂(8)の高さが109cm・・・であり、また塔(13)では塩形の充填樹脂(7)の高さが96cm・・・であった。」(【0036】、【0037】段落)として、第7頁に【図2】と【図8】が、第6頁に【図5】〜【図7】が記載されている。
3-3-2.刊行物2には、下記の事項が記載されている。
2-ア.「過去のアンバーハイライトでも示している様に、カチオン樹脂の再生剤に硫酸(・・・)を使用してカルシウムを含む水を処理する場合には石膏(・・・)の析出が問題となる。」(第315頁右欄4〜8行)
2-イ.「再生時の硫酸の濃度と流速の関係は再生レベルや原水の塩組成にも依存するためやや複雑である。過去、再生剤として硫酸を使用するのに幾つかの経験則が使われてきた。その要約を表1〜3に示す。各々の表の値を組合わせる事で硫酸カルシウムの析出を安全限界内に抑えながら、平均すれば高濃度でも可能な限り低流速での硫酸再生の条件が求まる。最適な効率を得るために明らかな事はプログラム式や段階的な再生工程が用いられる点である。別の云い方をすれば、最初は薄い濃度から始めてその後に濃度を上げて再生する。この手法は再生が進むに従い硫酸カルシウムの析出する危険が徐々に減少する事実に基づいている。再生工程や再生プログラムは可変の定量機器や可変流量ポンプによる段階的濃度上昇法ないし漸近増加法を用いる事で達成できる。」(第316頁左欄2〜20行)
2-ウ.第316頁の表2には下記の記載がある。
「 硫酸の流速の目安
流入液のCaパーセント 流速(gpm/cu.ft.)
100 2.0
75 1.5
・・・ ・・・ 」
2-エ.第316頁の表2には下記の記載がある。
「 許容できる硫酸濃度
水中のCa% 硫酸の許容濃度
[Ca/(Ca+Mg+Na+K)]×100 %
・・・ ・・・
60 2
100 1 」
3-3-3.刊行物3には、下記の記載がある。
3-ア.「イオン交換式の純水製造装置の後段に、塔内に強塩基性アニオン交換樹脂をその樹脂の再生膨潤分だけの余裕をもたせて隙間なく充填し、向流再生を行うパック型のシリカポリシャーを設置したことを特徴とする超純水製造装置。」(特許請求の範囲 請求項1)
3-イ.「パック型のシリカポリシャーのアニオン交換樹脂の再生を高温高速流で行う請求項1または2記載の超純水製造装置」(特許請求の範囲 請求項3)
3-ウ.「アニオン交換樹脂の再生において、アルカリ再生剤を従来より高速流で通薬することによって接触時間を短くすれば、従来の許容温度を越える温度で再生を行うことができる。」(【0015】段落)
3-エ.「1次純水系のPAC-AP(シリカポリシャー)(・・・)
樹脂の種類:IRA-400
樹脂 vol.:11リットル
層高:80cm ・・・
(注)再生 ・・・,3%NaOH,LV14m/h 上昇流」(【0025】段落)

3-4.当審の判断
3-4-1.刊行物1に記載された発明との同一性、容易性について
刊行物1の記載事項1-アには、陽イオン交換樹脂を充填した複層床式カチオン交換塔および陰イオン交換樹脂を充填した複層床式アニオン交換塔を備えた純水製造装置あるいは陽イオン交換樹脂を充填した2つの単層床式カチオン交換塔および陰イオン交換樹脂を充填した2つの単層床式アニオン交換塔を備えた純水製造装置が記載されており、記載事項1-イには、実施例1として図1に示される複層床式カチオン交換塔および複層床式アニオン交換塔を備えた純水製造装置に通水した例が記載されており、そのイオン交換塔の再生条件が記載事項1-ウに記載されている。さらに、記載事項1-エには、実施例2として図2に示される陽イオン交換樹脂を充填した2つの単層床式カチオン交換塔および陰イオン交換樹脂を充填した2つの単層床式アニオン交換塔を備えた純水製造装置を用いた例が記載されており、「実施例1と同様に実施し」たことが記載されている。
ところで、この記載事項1-エにおける「実施例1と同様に実施し」たとの記載は、実施例2におけるイオン交換塔の再生条件が実施例1と同じであることを意味すると直ちに云えるものではないが、仮に、記載事項1-エに記載された実施例2の2つの単層床式カチオン交換塔および2つの単層床式アニオン交換塔の再生条件が記載事項1-ウに記載された実施例1の複層床式カチオン交換塔および複層床式アニオン交換塔の再生条件と同じであるとして、記載事項1-ウに記載された再生条件と記載事項1-エに記載された各イオン交換塔の充填樹脂の高さの値を基に計算すると、記載事項1-エに記載された実施例2における各イオン交換塔の再生条件は、単層床式弱酸性カチオン交換塔(10)は再生剤濃度3%、空間速度(SV)22.2/H、単層床式強酸性カチオン交換塔(11)は再生剤濃度3%、空間速度(SV)11.2/H、単層床式弱塩基性アニオン交換塔(12)は再生剤濃度1.3%および2.5%、空間速度(SV)12.8/H、単層床式強塩基性アニオン交換塔(13)は再生剤濃度1.3%および2.5%、空間速度(SV)14.6/Hとなり、刊行物1には下記の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていることとなる。
「陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通水する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、前記陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に、それぞれ3%、または、1.3%および2.5%の陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂用の再生剤を、空間速度(SV)22.2/H、11.2/H、または、12.8/H、14.6/Hの流速で通液して、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂と接触させ、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂をそれぞれ再生することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法。」
そこで、本件発明1と刊行物1発明を対比すると、後者における「陽イオン交換樹脂」は前者における「カチオン交換樹脂」に相当し、後者における「陰イオン交換樹脂」は前者における「アニオン交換樹脂」に相当することは明らかであり、また、後者における純水製造装置においても、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂に通水することにより脱塩して純水が製造されることは技術常識から明らかである。さらに、後者における再生剤の濃度である「%」は技術常識からみて「重量%」である蓋然性が高いから、両者は、
「カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、前記カチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ3重量%、または、1.3重量%および2.5重量%濃度のカチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を通液して、カチオンまたはアニオン交換樹脂と接触させ、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法。」
で一致し、下記の点で相違する。
(i)本件発明1は、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で再生剤を通液するのに対して、刊行物1発明は、イオン交換塔によっては22.2hr-1、14.6hr-1の流速で再生剤を通液する場合もあるが、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で再生剤を通液するとは云えない点
そして、本件発明1は、純水製造装置に用いられているカチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ1〜3.5重量%濃度の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で通液したことにより、純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができ、小さな装置で同等の処理水質の生産水量を、ほぼ同容積得ることができるという、本件訂正明細書に記載された効果を奏するものである。
よって、刊行物1発明は上記のとおりのものであり、しかも、上記の相違点(i)は実質的な相違点であると云えるから、本件発明1は、刊行物1に記載された発明であるとは云えない。
さらに、刊行物1を検討しても、1〜3.5重量%という低い濃度の再生剤を用い、空間速度(SV)15〜40hr-1という高い流速で再生剤を通液することにより、イオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができることを示唆する何等の記載もないから、上記相違点(i)に係る本件発明1の構成を当業者が容易に想到し得たとは云えない。
よって、本件発明1は、刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも云えない。
3-4-2.刊行物2に記載された発明との同一性、容易性について
刊行物2には、そもそも、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法について何ら具体的記載がない。
よって、本件発明1は、刊行物2に記載された発明であるとは云えない。
また、刊行物2には、1〜3.5重量%という低い濃度の再生剤を用い空間速度(SV)15〜40hr-1という高い流速で再生剤を通液することにより、イオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができることを示唆する何等の記載もないから、本件発明1は、刊行物1および2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも云えない。
なお、刊行物2には、カチオン交換樹脂の再生剤に硫酸を使用してカルシウムを含む水を処理する場合についての再生剤の濃度と流速が記載されているが、記載事項2-イには、表1〜3の値を組合わせることで硫酸カルシウムの析出を安全限界内に抑えながら、平均すれば高濃度でも可能な限り低流速での硫酸再生の条件が求まること、そして、最適な効率を得るためにプログラム式や段階的な再生工程が用いられること、別の云い方をすれば、最初は薄い濃度から始めてその後に濃度を上げて再生することが記載されている。よって、記載事項2-ウ、エの表2および3の流入液のCa%が100のときの流速と水中のCa%が100のときの硫酸の許容濃度から、再生剤濃度1%、空間速度(SV)16.04hr-1の再生剤の通液条件が求まるとしても、それは、流入液のCa%と水中のCa%が100のときの再生剤の通液条件にすぎず、かかる通液条件でカチオン交換樹脂を再生することがあったとしても、それはカチオン交換樹脂の再生剤の通液工程の一部にすぎず、カチオン交換樹脂の再生剤の通液の全工程をその濃度および流速で行うことを意味するものではない。
3-4-3.刊行物3に記載された発明との同一性、容易性について
刊行物3の記載事項3-アおよびイからみて、記載事項3-エに記載されたイオン交換樹脂の層高および再生条件はイオン交換式の純水製造装置の後段に設置されたパック型のシリカポリシャーについてのものであり、刊行物3には、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法について具体的記載がない。
よって、本件発明1は、刊行物3に記載された発明であるとは云えない。
また、刊行物3には、1〜3.5重量%という低い濃度の再生剤を用い空間速度(SV)15〜40hr-1という早い流速で再生剤を通液することにより、イオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができることを示唆する何等の記載もないから、本件発明1は、刊行物1ないし3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも云えない。

3-5.異議申立人の主張する他の証拠および理由について
3-5-1.異議申立人 渡辺由里子の提出した甲第2号証について
異議申立人 渡辺由里子は、甲第2号証として「改訂二版 用水廃水便覧」昭和48年10月30日、丸善株式会社発行、第317〜326頁を提出している。
同甲第2号証の第322頁14〜16行には、「硫酸再生の場合は石膏の析出が問題となるので濃度1,2,4〜6%,通薬速度SV16,8,4〜3の3段に分けて通薬するなどして、石膏の析出による障害を防がなければならぬ場合が多い。」との記載があるが、この記載は、硫酸再生の場合は上記の3段で通薬することを云うものであって、濃度1%、通薬速度SV16という通薬条件は再生剤通薬工程の1段目の通薬条件にすぎず、イオン交換樹脂の再生剤の全通薬工程の通薬条件をこの条件にするというものではない。そして、さらに同甲第2号証を検討すると、第322頁9〜14行に、イオン交換樹脂一般についての再生剤の通薬濃度と流速(SV)が記載されているが、これは本件発明1で特定された範囲外のものであり、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、本件発明1で特定された通液条件で再生剤を通液することは記載も示唆もされていない。
よって、本件発明1は、同甲第2号証に記載された発明であるとは云えない。
また、同甲第2号証には、1〜3.5重量%という低い濃度の再生剤を空間速度(SV)15〜40hr-1という高い流速で通薬することにより、イオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができることを示唆する何等の記載もない。
よって、本件発明1は、同甲第2号証に記載された発明と他の証拠に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも云えない。
3-5-2.異議申立人 渡辺由里子の提出した甲第3号証について
異議申立人 渡辺由里子は、甲第3号証として「ORGANO HI-LITES」VoL.14 No.4 1966 昭和41年3月15日 オルガノ株式会社発行 第37〜40頁を提出している。
同甲第3号証の第255頁右欄19行〜第266頁左欄7行には、再生剤が硫酸の場合について、「0.7%の薄い硫酸でも沈殿の生成することがある」こと、「この沈殿の生成の危険をさけるため段階的再生法が用いられる」こと、「これは低濃度の硫酸を最初に16〜24l/lR/hrで通し、次に濃度を高めて8l/lR/hrで通す再生方法である」ことが記載されている。仮に、上記の記載において「低濃度の硫酸」が0.7%の硫酸を示すものであるとすれば、同甲第3号証には、0.7%の硫酸を16〜24l/lR/hrで通す、即ち0.7%濃度の再生剤を空間速度(SV)16〜24hr-1で通液することが記載されていることとなるが、この通液条件は再生剤の通液工程の最初の通液条件であり、イオン交換樹脂の再生剤の全通液工程の通液条件をこの条件にするというものではない。そして、さらに同甲第3号証を検討しても、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、本件発明1で特定された通液条件で再生剤を通液することは記載も示唆もされていない。
よって、本件発明1は、同甲第3号証に記載された発明であるとは云えない。
また、同甲第3号証には、1〜3.5重量%という低い濃度の再生剤を空間速度(SV)15〜40hr-1という高い流速で通薬することにより、イオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができることを示唆する何等の記載もない。
よって、本件発明1は、同甲第3号証に記載された発明と他の証拠に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとも云えない。
3-5-3.異議申立人 オルガノ株式会社は、異議申立書で、本件発明1における再生剤の濃度、流速について範囲を限定した根拠又は理由が本件明細書に記載されていないため、本件は明細書の記載が特許法第36条第4項又は第6項に規定する要件を満たしていないものである旨主張している。
たしかに、本件訂正明細書を検討しても、本件発明1において再生剤の濃度および流速の範囲を限定した理由は記載されていない。しかし、本件訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1の記載は、本件発明1を明確に表現したものであると云え、また、本件訂正明細書の発明の詳細な説明の記載は、上記の理由が記載されていないからといって、直ちに本件発明1を当業者が容易に実施し得ないものであるとも云えない。

3-6.むすび
以上のとおりであるから、取消理由で通知した理由によっては本件発明1についての特許を取り消すことはできない。
さらに、特許異議申立人が主張する他の理由および証拠を検討しても、本件発明1についての特許を取り消すべきものとは認められず、また、他に本件発明1についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
イオン交換樹脂の再生方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、前記カチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ1〜3.5重量%濃度のカチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で通液して、カチオンまたはアニオン交換樹脂と接触させ、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているカチオンおよびアニオン交換樹脂の再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イオン交換樹脂を用いた純水製造装置などによる純水の製造においては、イオン交換樹脂に通水して脱塩する工程と、再生剤を通液して再生する工程とがあり、イオン交換樹脂は再生して繰返し使用されている。純水製造装置においては運転操作の都合上、一般的には一日に脱塩工程と再生工程とを一回ずつ行うか、または二回ずつ行う運転方式が採用されている。
【0003】
従来、イオン交換樹脂の再生は再生剤としてカチオン交換樹脂に対しては塩酸、硫酸等の酸を用い、アニオン交換樹脂に対しては水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて再生している。この場合、再生剤とイオン交換樹脂との接触時間を十分とり、化学反応が完結するように、再生剤の通液速度はSVで2〜10hr-1程度で再生されている。ここで再生剤としては酸、アルカリの場合とも4〜6重量%程度のものが使用され、イオン交換樹脂の充填層高としては100〜300cmが採用されている。
【0004】
上記従来の再生方法では、カチオン交換樹脂に対する再生剤の使用量(以下、再生レベルという)を仮に100gHCl/l-Rとすれば、この値を実現するためには5%HClを樹脂量の2倍容積使用する必要があり、SV=2hr-1では約1時間、SV=10hr-1では12分間の薬注時間が必要となる。アニオン交換樹脂に対する再生剤の再生レベルを仮に80gNaOH/l-Rとすれば、この値を実現するためには4重量%NaOHを樹脂量の2倍容積使用する必要があり、SV=2hr-1では約1時間、SV=10hr-1では12分間の薬注時間が必要となる。
【0005】
樹脂の再生には上記再生剤の注入の他、再生剤の押出工程や樹脂の洗浄工程なども必要であり、再生工程全体では2時間程度の時間が必要であり、一日に2回再生と通水を実施する運転が限界である。また従来の再生方法では再生に必要な時間が長いため、効率が悪くコスト高になるという問題点もある。
【0006】
純水製造全体に占める樹脂再生工程の時間的割合を低下させるために再生間隔を長くすることも考えられるが、この場合は純水製造に用いるイオン交換樹脂の量を多くする必要があり、このためコスト高になる。
一方、再生間隔を短くすると、一定量のイオン交換樹脂から一定量の処理水を得るには速い流速で通水して脱塩する必要があるが、この場合余剰の処理水を貯蔵しておく大きな容量のタンクが必要であり、大きな設置面積を必要とし、一般的には採用できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、イオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができ、これにより装置の小型化を図ることが可能なイオン交換樹脂の再生方法を提案することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、カチオンおよびアニオン交換樹脂に通水して脱塩する純水製造装置に用いられているイオン交換樹脂の再生方法において、前記カチオンおよびアニオン交換樹脂に、それぞれ1〜3.5重量%濃度のカチオンまたはアニオン交換樹脂用の再生剤を、それぞれの再生剤で再生する全樹脂量に対する空間速度(SV)15〜40hr-1の流速で通液して、カチオンまたはアニオン交換樹脂と接触させ、カチオンおよびアニオン交換樹脂をそれぞれ再生することを特徴とするイオン交換樹脂の再生方法である。
【0009】
本発明の方法で再生することができるイオン交換樹脂は特に限定されず、強酸性もしくは弱酸性カチオン交換樹脂、あるいは強塩基性もしくは弱塩基性アニオン交換樹脂などがあげられる。このようなイオン交換樹脂としては、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂が別の塔に充填されているものでも、複床式または混床式のものでもよい。混床を形成しているイオン交換樹脂は分離して再生することができる。具体的なものとしては、純水製造用のイオン交換樹脂があげられる。
【0010】
再生剤はカチオン交換樹脂に対しては塩酸水溶液、硫酸水溶液等の酸水溶液、アニオン交換樹脂に対してはアンモニア水溶液、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ水溶液など、従来から用いられている薬剤が使用できる。その濃度はいずれの再生剤も1〜3.5重量%、好ましくは2〜3重量%であり、従来の再生剤の濃度よりも低濃度で使用する。再生剤レベルは従来と同様とされる。
【0011】
本発明の再生方法は上記濃度の再生剤をイオン交換樹脂層に通液して接触させて再生する方法である。この場合の再生剤のSVはアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂の場合とも15〜40hr-1、好ましくは20〜35hr-1とする。通液方向は上向流でも下向流でもよいが上向流が好ましい。特に下向流で通水してイオン交換したイオン交換樹脂を上向流で再生する向流再生が好ましい。
【0012】
従来は再生剤を有効に利用するためには再生剤を低流速で接触させる必要があり、上記のような高流速では再生が十分完結しないと考えられていたが、本発明では低濃度の再生剤を使用することにより、上記のような速い流速で通液しても再生が十分に行われることがわかった。
【0013】
一般にカラムに充填したイオン交換樹脂における脱塩のためのイオン交換反応では、高流速で通液すると交換帯の長さが長くなり、有効に使用される樹脂量が減少することが知られている。交換帯の長さをZ(m)、イオン交換樹脂の充填高さをL(m)とすると、樹脂の最大利用率(%)は次式(1)で表される。
【0014】
利用率(%)={(L-Z/2)/L}×100 …(1)
なお交換帯の長さZは次式(2)で表される。
Z=a×LVb …(2)
〔ここで、LVは通液線流速(m/h)、aは交換するイオンにより定まる係数、bは樹脂およびイオンにより決まる係数である。〕
【0015】
この利用率はイオン交換工程における樹脂の有効利用率を示し、例えば樹脂の充填高さが150mmのイオン交換装置では約93%の利用率であるとされ、実用的な利用率とするために樹脂層高は100〜300cmとされている。
【0016】
再生の場合はこのような樹脂の利用率とは異なり、再生剤の利用効率が問題となるが、この再生剤の利用効率も交換帯の長さ(通液方向の長さ)によって決まってくる。従来の再生法のように低流速で再生する場合は交換帯の長さは短く、ほとんど考慮する必要はなかったが、本発明のように高流速になると交換帯の長さは長くなる。
【0017】
再生の場合の負荷イオン除去についても、脱塩のためのイオン交換反応と同様の傾向が認められ、交換帯が存在する。
この再生時の交換帯の長さは、前記式(2)と同様に、流速が速くなれば長くなるが、再生剤のイオン交換樹脂粒子内への拡散の影響を大きく受けることから、再生剤流速が大きい場合は、再生剤濃度を低くすればその拡散が速くなり、交換帯の長さを短くできる。
【0018】
本発明の方法において、低濃度の再生剤を使用して高流速で再生しても、交換帯の影響をできるだけ少なくしかつ樹脂の利用率を80%以上にするためには、樹脂の充填高さを0.8m以上、好ましくは0.8〜3m、さらに好ましくは0.8〜1.0mmとするのが望ましい。
【0019】
上記の条件で再生剤の注入を行ったのち、純水注入することにより再生剤の押出を行うが、押出工程における純水の量は再生剤と同容とされ、再生剤と同流速すなわちSV15〜40h-1、好ましくは20〜35hr-1で通水する。
【0020】
押出工程に続く洗浄工程は従来の再生と同様に行われ、採水工程と同一流速で5〜10分間行われる。
上記により再生を終り、イオン交換工程に移る。
【0021】
【発明の効果】
本発明のイオン交換樹脂の再生方法は、1〜3.5重量%濃度の再生剤をSVが15〜40hr-1の流速で通液して再生するようにしているので、イオン交換樹脂の再生を短時間で低コストで行うことができ、これにより装置の小型化も可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
実施例1
内径40mm、高さ1200mmの円筒形のアクリルカラムを2個用意し、一方にはカチオン交換樹脂を1liter(80cm高)、他方にはアニオン交換樹脂を1.4liter(111cm高)充填した。このカラムの樹脂をカチオン交換樹脂は80gHCl/l-R、アニオン樹脂は60gNaOH/l-Rの再生レベルで再生し、厚木市水を通水する試験を実施した。
再生は各カラムに上向流で再生剤を通液して行った。また通水は、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂の順に通水できるようにカラムを直列に連結し、どちらのカラムにも下向流で通水した。再生条件および通水条件を表1に示す。
【0023】
【表1】

【0024】
このとき、全体の再生時間は約30分間、通水時間と合せて10時間であった。1日24時間換算の生産水量は2033literであった。
表1の再生・通水条件で3回繰返し試験したところ、図1の水質を得た。
【0025】
実施例2
条件を表2のように変更した以外は実施例1と同様にして行った。
【表2】

【0026】
このとき、全体の再生時間は、約25分間であった。通水と再生の各1回実施して5.5時間であり、1日換算での生産水量は2400literであった。この時の処理水質は図2のようであった。
【0027】
比較例1
内径65mm、高さ2000mmの円筒形のアクリルカラムを2個用意し、一方にはカチオン交換樹脂を3.6liter(108cm高)、他方にはアニオン交換樹脂を4.7liter(142cm高)充填した。
このカラムの樹脂をカチオン交換樹脂は80gHCl/l-R、アニオン樹脂は60gNaOH/l-Rの再生レベルで再生し、厚木市水を通水する試験を実施例1と同様にして実施した。再生条件および通水条件を表3に示す。
【0028】
【表3】

【0029】
再生時間は100分間で、通水時間と合せて約31時間であった。1日24時間換算の生産水量は2250literであった。
表3の再生・通水条件で3回繰返し試験したところ、図3の水質を得た。
【0030】
以上の実施例および比較例から判るように、本発明の方法によれば、小さな装置で同等の処理水質の生産水量を、ほぼ同容積得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
実施例1の結果を示すグラフである。
【図2】
実施例2の結果を示すグラフである。
【図3】
比較例1の結果を示すグラフである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-09-05 
出願番号 特願平9-35331
審決分類 P 1 651・ 113- YA (B01J)
P 1 651・ 121- YA (B01J)
最終処分 維持  
特許庁審判長 大黒 浩之
特許庁審判官 鈴木 毅
岡田 和加子
登録日 2003-04-11 
登録番号 特許第3417244号(P3417244)
権利者 栗田工業株式会社
発明の名称 イオン交換樹脂の再生方法  
代理人 三輪 昭次  
代理人 高木 千嘉  
代理人 柳原 成  
代理人 柳原 成  
代理人 結田 純次  

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