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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1128028
審判番号 不服2002-20345  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-10-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-18 
確定日 2005-12-16 
事件の表示 平成11年特許願第 85566号「携帯無線電話機を用いた決済処理装置」拒絶査定不服審判事件〔平成12年10月 6日出願公開、特開2000-276531〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年3月29日の出願であって、平成14年9月19日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月18日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年11月18日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年11月18日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)本願補正発明
平成14年11月18日付の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「決済端末と、
カード状記憶媒体から決済に必要な暗証番号、または本人確認情報および本人確認アルゴリズムと、発呼情報と、決済処理のガイダンスを読み取る読み取り手段と、
上記読み取り手段により上記カード状記憶媒体が挿入されたと判断されると、上記決済処理のガイダンスを表示する表示部と、
上記決済処理のガイダンスに基づき所望の決済要求を行った後、上記暗証番号、または上記本人確認情報および上記本人確認アルゴリズム、に基づき本人確認を行う本人認証手段と、
上記本人認証手段により本人が確認された後、上記決済端末との通信を可能にし、上記決済要求を送信する通信制御手段とを有する携帯無線電話機と、
を具備し、
上記決済端末は、上記通信制御手段により送信された上記決済要求の決済処理を実行する決済処理実行手段を具備し、
上記決済処理実行手段により実行された決済処理結果を上記携帯無線電話機の表示部に表示すること
を特徴とする携帯無線電話機を用いた決済処理装置。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項2は、
「上記カード状記憶媒体は、
プリペイドカード発行業者の発行するプリペイドカードであり、
上記決済端末は、
上記プリペイドカード発行業者の決済センタ端末であり、
上記決済処理は、
上記プリペイドカード発行業者の決済センタ端末による決済処理を伴う処理である
ことを特徴とする請求項1記載の携帯無線電話機を用いた決済処理装置。」
と補正された。
請求項1に係る本件補正は、「決済に必要な情報」を「決済に必要な暗証番号、または本人確認情報および本人確認アルゴリズムと、発呼情報と、決済処理のガイダンス」に補正し、「上記暗証番号、または上記本人確認情報および上記本人確認アルゴリズム、に基づき」を追加するものであり、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「情報」を、「決済に必要な暗証番号、または本人確認情報および本人確認アルゴリズムと、発呼情報と、決済処理のガイダンス」に限定し、「本人確認を行う」を「上記暗証番号、または上記本人確認情報および上記本人確認アルゴリズム、に基づき本人確認を行う」に限定するものである。
したがって、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、請求項2に係る補正は、特許請求の範囲の請求項2の末尾の「決済処理方法」を「決済処理装置」と補正するものである。
そして、請求項2で引用した請求項1に係る発明は「決済処理装置」に関するものであり、請求項2の記載内容は、請求項1の記載事項である「カード状記録媒体」、「決済端末」、及び「決済処理」をさらに限定するものであるので、補正前の請求項2の「決済処理方法」は「決済処理装置」の誤記と認められる。
したがって、請求項2に係る本件補正は、特許法第17条の2第4項第3号に掲げられた誤記の訂正を目的とするものに該当する。
そして、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-15927号公報(以下「引用例1」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(a)「携帯電話装置6のICカード読み書き手段に着脱自在に装着される本実施形態のICカード1は、電子マネー機能を具備していると共に、少なくとも、特定のサーバシステム4のアクセス先情報である接続先サーバシステムの公衆回線網の番号と、情報のダウンロード先であるホストマシン(他の機器)3’の公衆回線網とを書き込んである。」(第5頁左欄第23行-同頁同欄第29行)
(b)「装着されたICカード1がサーバシステム4へのアクセス用カードでない場合には(S4-2でNoの場合には)、携帯電話装置の制御部は、装着されたICカード1ではサーバシステム4へのアクセスが不可である旨を、携帯電話装置に設けられたディスプレイを用いて、利用者に通知する(S4-11)。」(第5頁左欄第37行-同頁同欄第42行)
「ICカード1のメモリから接続先サーバシステムの公衆回線網の番号を取得して(S4-3)、取得した公衆回線網の番号を用いて、相手先のサーバシステム4に回線を接続する操作を自動的に行う(S4-4)。」(第5頁左欄第46行-同頁同欄第50行)
(c)「立ち上がったアプリケーションプログラムは、提供する情報内容の料金情報を携帯電話装置6に通知する(S4-1)。これを受けて、携帯電話装置6は、装着されたICカード1からサーバシステム4によって指定された金額だけ電子マネー情報をサーバシステムへ転送する(S4-8)。この電子マネー情報を受け取ったこと(料金の徴収)を確認したサーバシステム4は、携帯電話装置6から、ICカード1に記載されたダウンロード先の公衆回線網の番号の通知を促して、これを取得する(S4-9)。」(第5頁右欄第16行-同頁同欄第21行)
(d)「回線接続されたサーバシステム4が、まず、提供情報の案内用のガイダンスを表示させ、このガイダンスの中から、利用者が選択した情報を、電子マネーによる料金徴収を確認した後、指定された他の機器(ホストマシン)3’にダウンロードするようにしてもよい。」(第5頁右欄第39行-同頁同欄第45行)
(e)「ICカードに電子マネー機能を持たせることで、有料の情報を取得する際の、決済処理(支払や徴収)が至って簡便に行える。」(第8頁右欄第4行-同頁同欄第8行)
これらの記載によれば、引用例1には、
「サーバシステムと、
ICカードからサーバシステムのアクセス先情報である接続サーバシステムの公衆回線網の番号を読み取るICカード読み書き手段と、
ガイダンスを表示させるディスプレイとを有し、
利用者にサーバシステムからのガイダンスの中から情報を選択させ、ICカードから読み取った電子マネー情報をサーバシステムへ転送する携帯電話装置と、
を具備し、
上記サーバシステムは、携帯電話装置から電子マネー情報を受け取ることにより電子マネーによる料金徴収という決済処理を実行する手段を具備する、
ICカードシステム。」
との発明(以下「引用例1発明」という。)が記載されている。

(2-2)引用例2
拒絶査定で周知技術の例として挙げられた特開平9-212565号公報(以下「引用例2」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(a)「次に、ICカード2の動作について説明する。まず第1に、ICカード2に保存する情報であるが、ICカード2にはカードが本人のものであることを確認するためのID情報と金融機関にアクセスするための暗証番号を書き込む。この情報はICカード2のMem1に格納しておく。」(第5頁右欄第28行-同頁同欄第33行)
(b)「外部より暗証番号A相当のデータがICカード2に入力されると、CPU81は暗証番号Aかどうかを確認する(S10)、そして暗証番号Aと確認するとマスクを解除する(S11)。一方、暗証番号Aと確認しなければエラーコードを出力する(S12)。」(第6頁左欄第35行-同頁同欄第39行)
(c)「一方、暗証番号Aが本人のものと確認された場合は正常確認コードを無線携帯端末1へ返送し(S26)、正常終了させる(S27)。これにより、ICカード2のシークレットエリアは解除される(S28)。すなわち、Mem1の内容の読み出し、書き込みが可能となる。これで、金融機関4との通信が確立する(S29)。」(第6頁右欄第43行-同頁同欄第49行)
これらの記載によれば、引用例2には、
「カード状記憶媒体を決済に用いる場合に、該カード状記憶媒体から読み出した暗証番号等の本人確認のための情報を用いて、端末において本人確認を行った後、決済端末との通信を確立する」
との事項が記載されている。

(2-3)引用例3
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-194763号公報(以下「引用例3」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。
(a)「新残高がマイナスの場合は、取引の決済は不能と判断して表示部23へ新残高とメッセージを表示して終了する。」(第3頁左欄第37行-同頁同欄第39行)
(b)「無線電話端末1は、金融機関コード、支店コード、口座番号、取引、金額、新残高を含むセンタ出力電文を受信する。制御部7は表示部23に、買い上げ金額と新残高又はキャッシングの場合は支払額からキャッシング手数料を引いた額と新残高を表示する。」(第3頁右欄第16行-同頁同欄
第20行)
これらの記載によれば、引用例3には、
『取引の決済が不能と判断した場合には、新残高とメッセージを「無線電話端末(1)」の「表示部(23)」に表示し、決済を行った場合には、買い上げ金額と新残高を「無線電話端末(1)」の「表示部(23)」に表示する』
との事項が記載されている。

(3)対比
本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、引用例1発明の「サーバシステム」は、本願補正発明の「決済端末」に相当し、以下同様に、「サーバシステムのアクセス先情報である接続先サーバシステムの公衆回線網の番号」は「発呼情報」に、「ICカード」は「カード状記憶媒体」に、「ICカード読み書き手段」は「読み取り手段」に、「ICカード読み書き手段内蔵携帯電話」は「携帯無線電話」に、「ディスプレイ」は「表示部」に、「電子マネー情報」は「所望の決済要求」に、それぞれ相当するので、両者は、
「決済端末と、
カード状記憶媒体から、発呼情報を含む情報を読み取る読み取り手段と、ガイダンス表示部を備えた携帯無線電話と
を具備し、
上記決済端末は携帯無線電話から送信された決済要求を受信して決済処理を行うこと
を特徴とする携帯無線電話機を用いた決済処理装置」
である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
本願補正発明では、カード状記憶媒体から決済処理のガイダンスを読み取り、表示するのに対して、引用例1発明では、サーバシステムから受信したガイダンスを表示する点。

[相違点2]
本願補正発明は、決済処理のガイダンスに基づき所望の決済要求を行った後、カード状記憶媒体から読み出した暗証番号、または本人確認情報及び本人確認アルゴリズムに基づき本人確認を行い、本人が確認された後に決済端末との通信を可能にするのに対し、引用例1発明では、そのような事項が明記されていない点。

[相違点3]
本願補正発明では、決済処理結果を携帯無線電話機の表示部に表示するのに、引用例1発明では、そのような事項が明記されていない点。

(4)判断
[相違点1]について
データをICカード等のカード状の記録媒体に格納しておき、そのデータが必要な場合にそのカード状記録媒体からデータを読み取ること、及びガイダンスを表示して操作案内を実行することは、それぞれ情報処理の技術分野で周知な技術であり、また、必要となるデータをサーバシステムからダウンロードするか、カード状記憶媒体から読み取るようにするかは、当業者が必要に応じて任意に選択すべき程度の事項であるので、引用例1発明において、決済処理のガイダンスをカード状記憶媒体に記憶しておき、カード状記憶媒体から決済処理のガイダンスを読み取り、表示することは当業者が容易に考えられる事項である。
よって、相違点1に係る本願補正発明の構成は、引用例1発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

[相違点2]について
引用文献2には、カード状記憶媒体を決済に用いる場合に、該カード状記憶媒体から読み出した暗証番号等の本人確認のための情報を用いて、端末において本人確認を行った後、決済端末との通信を確立することが記載されているので、引用例1発明において、カード状記録媒体から読み出した暗証番号に基づき本人確認を行った後、決済端末との通信を可能とすることは、当業者が容易に考えられる事項である。
また、ガイダンスを、決済端末ではなく、カード状記録媒体から読み出す場合に、携帯無線端末が決済端末と通信可能である必要がないことは当業者にとって自明な事項であるので、決済要求の処理と本人確認の処理のどちらを先に実行するかは設計的事項であると認められ、決済要求の処理を行った後に、本人確認の処理を行うことは当業者が容易に推考できる事項である。
よって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用例1発明及び引用例2に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

[相違点3]について
引用例3には、取引の決済が不能と判断した場合には、新残高とメッセージを「無線電話端末(1)」の「表示部(23)」に表示し、決済を行った場合には、買い上げ金額と新残高を「無線電話端末(1)」の「表示部(23)」に表示することが記載されており、引用例3に記載された事項の「新残高、メッセージ、及び買い上げ金額」は本願補正発明の「決済処理結果」に相当するので、引用例1発明において、携帯無線端末の表示部に、決済処理結果を表示することは当業者が容易に考えられる事項である。
よって、相違点3に係る本願補正発明の構成は、引用例1発明及び引用例3に記載された事項に基づいて当業者が容易に想到しえたものである。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1-3から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年11月18日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年4月3日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「決済端末と、
カード状記憶媒体から決済に必要な情報を読み取る読み取り手段と、
上記読み取り手段により上記カード状記憶媒体が挿入されたと判断されると、上記決済処理のガイダンスを表示する表示部と、
上記決済処理のガイダンスに基づき所望の決済要求を行った後、本人確認を行う本人認証手段と、
上記本人認証手段により本人が確認された後、上記決済端末との通信を可能にし、上記決済要求を送信する通信制御手段とを有する携帯無線電話機と、
を具備し、
上記決済端末は、上記通信制御手段により送信された上記決済要求の決済処理を実行する決済処理実行手段を具備し、
上記決済処理実行手段により実行された決済処理結果を上記携帯無線電話機の表示部に表示すること
を特徴とする携帯無線電話機を用いた決済処理装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明から「決済に必要な情報」の限定事項である「暗証番号、または本人確認情報および本人確認アルゴリズムと、発呼情報と、決済処理のガイダンス」との構成を省き、「本人確認を行う本人認証手段」の限定事項である、「上記暗証番号、または上記本人確認情報および上記本人確認アルゴリズム、に基づき本人確認を行う」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1-3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1-3に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-20 
結審通知日 2005-10-24 
審決日 2005-11-07 
出願番号 特願平11-85566
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丹治 彰  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 佐藤 智康
篠原 功一
発明の名称 携帯無線電話機を用いた決済処理装置  
代理人 和田 成則  
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