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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60R |
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管理番号 | 1128125 |
審判番号 | 不服2003-2258 |
総通号数 | 74 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-12-12 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-02-12 |
確定日 | 2006-01-10 |
事件の表示 | 平成6年特許願第117067号「車両用安全装置」拒絶査定不服審判事件〔平成7年12月12日出願公開、特開平7-323809、請求項の数(2)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成6年5月30日の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成13年5月28日付け及び平成14年8月21日付けの各手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された次のとおりのものと認める。 「【請求項1】 車体に固定した衝撃検知手段から付与される衝撃検出信号に応答してエアバック装置等の乗員保護装置を起動させる起動手段を備えた車両用安全装置において、前記起動手段を前記衝撃検知手段に電気的に接続する接続部を前記衝撃検知手段の車体への固定部の少なくとも一部を覆うように配設して、前記接続部を前記衝撃検知手段から切り離した状態においてのみ同衝撃検知手段を車体から取り外し得るようにしたことを特徴とする車両用安全装置。 【請求項2】 車体に固定した減速度検知センサから付与される衝撃検出信号に応答してエアバッグ装置に組込んだインフレータに電源を接続する電気的接続手段を備えた車両用安全装置において、前記減速度検知センサに接続される前記電気的接続手段のコネクタを、前記減速度検知センサを車体に固定するボルト等の固定手段の直上に配置して、前記電気的接続手段のコネクタを前記減速度検知センサから切り離した状態においてのみ前記固定手段を取り外し得るようにしたことを特徴とする車両用安全装置。」 2.原査定の理由の概要 原査定の拒絶の理由の概要は、エアバッグ装置の起動手段として、エアバッグ装置をステアリング等の車体部品から取り外す時に、必ずエアバッグが作動しない状態にすることで、誤作動を防ぐということ自体が、周知の手段である[参考文献;特開昭63-212149号公報、実願平2-130774号(実開平4-86561号)のマイクロフィルム、実願平2-14423号(実開平3-104463号)のマイクロフィルム]から、本願の請求項1、2に係る発明は、この周知の手段を勘案することにより、各引用文献[特開昭51-126633号公報 、実願平2-98861号(実開平4-55448号)のマイクロフィルム、特公昭48-30290号公報 、特開昭49-6626号公報]に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 3.当審の判断 各引用文献において、“起動手段を衝撃検知手段に電気的に接続する接続部を前記衝撃検知手段の車体への固定部に対し接近させて配設すること”、又は、“減速度検知センサに接続される電気的接続手段のコネクタを、前記減速度検知センサを車体に固定するボルト等の固定手段に対し接近させて配置すること”が示唆されているとしても、「起動手段を衝撃検知手段に電気的に接続する接続部を前記衝撃検知手段の車体への固定部の少なくとも一部を覆うように配設して、前記接続部を前記衝撃検知手段から切り離した状態においてのみ同衝撃検知手段を車体から取り外し得るようにした」という請求項1に係る発明の構成事項、及び、「減速度検知センサに接続される電気的接続手段のコネクタを、前記減速度検知センサを車体に固定するボルト等の固定手段の直上に配置して、前記電気的接続手段のコネクタを前記減速度検知センサから切り離した状態においてのみ前記固定手段を取り外し得るようにした」という請求項2に係る発明の構成事項、までは記載あるいは示唆されているということができない。また、前述のとおり、エアバッグ装置をステアリング等の車体部品から取り外す時に、エアバッグを作動させない状態にすることが周知であることは、上記の参考文献からみても明らかであるが、これらの文献に記載されたものは、エアバッグ装置を取り外した状態で作動させないための付加的な構成部品を必要とするものであるから、本願の請求項1、2に係る発明の上記の各構成事項を示唆するものではない。 したがって、本願の請求項1、2に係る発明の上記の各構成事項については、上記の参考文献に記載された周知の技術手段を勘案したからといって、各引用文献に記載された発明から当業者が容易に想到することができるものではない。 そして、本願の請求項1、2に係る発明は、上記の各構成事項によって、衝撃検知手段(減速度検知センサ)を車体から取り外す際に誤って落下させて衝撃を与えたとしても、衝撃検知手段とエアバッグ装置の起動手段との電気的な接続が切断されているので、エアバッグ装置の誤作動を確実に防止することができる上に、従来のこの種の車両用安全装置における誤作動防止用のスイッチ又は誤爆防止用のスイッチ等の誤動作防止装置を設けることなく、前記起動手段の前記衝撃検知手段(減速度検知センサ)に対する電気的接続部又は前記電気的接続手段のコネクタの配設位置を配慮するのみで、部品点数を増やすことなく誤動作を未然に防止することができ、この種の車両用安全装置を安価に製造できる、という特有な効果を奏するものである。 4.むすび 以上のとおり、本願の請求項1、2に係る発明は、上記の参考文献に記載された周知の技術手段を勘案しても、各引用文献に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本願については、原査定の拒絶の理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2005-12-27 |
出願番号 | 特願平6-117067 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(B60R)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 三澤 哲也、渡邉 洋 |
特許庁審判長 |
鈴木 久雄 |
特許庁審判官 |
見目 省二 柴沼 雅樹 |
発明の名称 | 車両用安全装置 |
代理人 | 碓氷 裕彦 |
代理人 | 加藤 大登 |
代理人 | 伊藤 高順 |