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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 産業上利用性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1128791
審判番号 不服2003-19818  
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2003-02-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-10-09 
確定日 2006-01-04 
事件の表示 特願2001-238374「サプライチェーン管理システム、流通業者側装置、部品製造者側装置、サプライチェーン管理装置、サプライチェーン管理方法、それらのプログラム、ならびにプログラム記録媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 2月21日出願公開、特開2003- 48621〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年8月6日の出願であって、平成15年9月4日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月9日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月7日付で手続補正がなされたものである。

2.平成15年11月7日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年11月7日付の手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正の内容について
平成15年11月7日付の手続補正書による手続補正(以下「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、
「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するためのサプライチェーン管理システムにおいて:
(A)実売情報取得手段と、完成品需要予測情報生成手段と、部品需要予測情報生成手段と、部品需要予測情報提供手段と、部品納品予定情報取得手段と、完成品納品予定情報生成手段と、完成品納品予定情報提供手段とを備えたサプライチェーン管理装置と;
(B)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり、実売情報提供手段と、完成品納品予定情報取得手段とを備えた流通業者側装置と;
(C)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり、部品需要予測情報取得手段と、部品納品予定情報生成手段とを備えた部品製造者側装置とを具備し:
前記流通業者側装置は、前記実売情報提供手段によって、実売情報記録手段に記憶された実売情報を読み出して前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供し:
前記サプライチェーン管理装置は、前記実売情報取得手段によって、前記流通業者側装置から前記実売情報を取得して実売情報記録手段に記録し;前記完成品需要予測情報生成手段によって、前記実売情報記録手段から読み出した前記実売情報に基づいて需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む完成品需要予測情報を生成し;前記部品需要予測情報生成手段によって、前記完成品需要予測情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む部品需要予測情報を生成し;前記部品需要予測情報提供手段によって、前記部品需要予測情報を前記通信網を介して前記部品製造者側装置に提供し:
前記部品製造者側装置は、前記部品需要予測情報取得手段によって、その部品製造業者の扱う部品についての部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置から取得し;前記部品納品予定情報生成手段によって、前記部品需要予測情報に基づいて入力手段より入力された納品予定数量に基づいて部品納品予定情報を生成し:
前記サプライチェーン管理装置は、前記部品納品予定情報取得手段によって、前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を取得し;前記完成品納品予定情報生成手段によって、前記部品納品予定情報および前記完成品・部品変換テーブルに基づいて完成品納品予定情報を生成し;前記完成品納品予定情報提供手段によって、前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に前記通信網を介して提供し;
前記流通業者側装置は、前記完成品納品予定情報取得手段により、前記サプライチェーン管理装置から前記完成品予定情報を受け取り;前記完成品納品予定情報を受領した後に、前記完成品需要予測情報の修正値を含む修正要求を前記サプライチェーン管理装置に要求することが可能であり:
前記サプライチェーン管理装置は、前記修正要求に応じて前記修正値に基づいて前記完成品需要予測情報を修正し、修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置は、修正された前記部品需要予測情報に基づいて部品納品予定情報を修正し;さらに前記サプライチェーン管理装置は、修正された前記部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理システム。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項2は、
「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するためのサプライチェーン管理システムにおいて:
(A)完成品需要予測情報集約手段と、部品需要予測情報生成手段と、部品需要予測情報提供手段と、部品納品予定情報取得手段と、完成品納品予定情報生成手段と、完成品納品予定情報提供手段と、を備えたサプライチェーン管理装置と;
(B)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり、実売情報提供手段と、完成品需要予測情報生成手段と、完成品納品予定情報取得手段と、を備えた複数の流通業者側装置と;
(C)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり、部品需要予測情報取得手段と、部品納品予定情報生成手段と、を備えた部品製造者側装置とを具備し:
前記各流通業者側装置は、前記実売情報提供手段によって、実売情報記録手段に記憶された実売情報を読み出して前記完成品需要予測情報生成手段に提供し;前記完成品需要予測情報生成手段によって、前記実売情報に基づいて需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む完成品需要予測情報を生成し、前記完成品需要予測情報を前記通信網を介して前記サプライチェーン管理装置に提供し:
前記サプライチェーン管理装置は、前記需要予測情報集約手段によって、前記各流通業者側装置から提供される流通業者別完成品需要予測情報を集約して完成品需要予測情報を生成して完成品需要予測情報記録手段に格納し;前記部品需要予測情報生成手段によって、前記完成品需要予測情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む部品需要予測情報を生成し;前記部品需要予測情報提供手段によって、前記部品需要予測情報を前記通信網を介して前記部品製造者側装置に提供し:
前記部品製造者側装置は、前記部品情報予測情報取得手段によって、その部品製造業者の扱う部品についての部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置から取得し;前記部品納品予定情報生成手段によって、前記部品需要予測情報に基づいて入力手段より入力された納品予定数量に基づいて部品納品予定情報を生成し:
前記サプライチェーン管理装置は、前記部品納品予定情報取得手段によって、前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を取得し;前記完成品納品予定情報生成手段によって、前記部品納品予定情報および前記完成品・部品変換テーブルに基づいて完成品納品予定情報を生成し;前記完成品納品予定情報提供手段によって、前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に前記通信網を介して提供し;
前記流通業者側装置は、前記完成品納品予定情報取得手段により、前記サプライチェーン管理装置から前記完成品予定情報を受け取り;前記完成品納品予定情報を受領した後に、前記完成品需要予測情報の修正値を含む修正要求を前記サプライチェーン管理装置に要求することが可能であり:
前記サプライチェーン管理装置は、前記修正要求に応じて前記修正値に基づいて前記完成品需要予測情報を修正し、修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置は、修正された前記部品需要予測情報に基づいて部品納品予定情報を修正し;さらに前記サプライチェーン管理装置は、修正された前記部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理システム。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項3は、
「サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な流通業者側装置であって:
実売情報記録手段に記憶された実売情報を読み出して前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供する実売情報提供手段と;
前記サプライチェーン管理装置から完成品納品予定情報を前記通信網を介して取得する完成品納品予定情報取得手段と;
前記完成品納品予定情報を受領した後に、完成品需要予測情報の修正値を含む修正要求を前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して要求することが可能なインタフェースとして機能する完成品納品予定情報提示手段と;
を備えたことを特徴とする、流通業者側装置。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項5は、
「サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な流通業者側装置であって:
実売情報記録手段に記憶された実売情報を読み出して完成品需要予測情報生成手段に提供する実売情報提供手段と;
前記実売情報に基づいて需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む完成品需要予測情報を生成し、前記完成品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供する前記完成品需要予測情報生成手段と;
前記サプライチェーン管理装置から完成品納品予定情報を取得する完成品納品予定情報取得手段と;
前記完成品納品予定情報を受領した後に、前記完成品需要予測情報の修正値を含む修正要求を前記サプライチェーン管理装置に要求することが可能なインタフェースとして機能する完成品納品予定情報提示手段と;
を備えたことを特徴とする、流通業者側装置。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項7は、
「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するサプライチェーン管理装置であって:
前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な流通業者側装置から実売情報を取得する実売情報取得手段と;
前記実売情報に基づいて需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む完成品需要予測情報を生成する完成品需要予測情報生成手段と;
前記完成品需要予測情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む部品需要予測情報を生成する部品需要予測情報生成手段と;
前記部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な部品製造者側装置に提供する部品需要予測情報提供手段と;
前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を前記通信網を介して取得する部品納品予定情報取得手段と;
前記部品納品予定情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて完成品納品予定情報を生成する完成品納品予定情報生成手段と;
前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に前記通信網を介して提供する前記完成品納品予定情報提供手段と;を備え
前記流通業者側装置からの前記完成品需要予測情報の修正要求に応じて修正値に基づいて前記完成品需要予測情報を修正し;修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置において修正された前記部品需要予測情報に基づいて修正された部品納品予定情報部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理装置。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項8は、
「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するサプライチェーン管理装置であって:
前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な各流通業者側装置において実売情報に基づいて生成された流通業者別完成品需要予測情報を集約して、完成品需要予測情報を生成する需要予測情報集約手段と;
前記完成品需要予測情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む部品需要予測情報を生成する部品需要予測情報生成手段と;
前記部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な部品製造者側装置に提供する部品需要予測情報提供手段と;
前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を前記通信網を介して取得する部品納品予定情報取得手段と;
前記部品納品予定情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて完成品納品予定情報を生成する完成品納品予定情報生成手段と;
前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に前記通信網を介して提供する完成品納品予定情報提供手段と;を備え、
前記流通業者側装置からの前記完成品需要予測情報の修正要求に応じて修正値に基づいて前記完成品需要予測情報を修正し;修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置において修正された前記部品需要予測情報に基づいて修正された部品納品予定情報部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理装置。」
と補正された。
また、本件補正により、請求項9は、
「サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な部品製造者側装置であって:
その部品製造業者の扱う部品についての部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置から前記通信網を介して取得する部品情報予測情報取得手段と;
前記部品需要予測情報に基づいて入力手段より入力された納品予定数量に基づいて部品納品予定情報を生成し、前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供する部品納品予定情報生成手段と;を備えたことを特徴とする、部品製造者側装置。」
と補正された。
また、本件補正により、補正前の請求項11及び12は、削除された。
また、本件補正により、補正前の請求項13は、
「コンピュータをして、
サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な流通業者側装置であって:
実売情報記録手段に記憶された実売情報を読み出して前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供する実売情報提供手段と;
前記サプライチェーン管理装置から完成品納品予定情報を前記通信網を介して取得する完成品納品予定情報取得手段と;
前記完成品納品予定情報を受領した後に、完成品需要予測情報の修正値を含む修正要求を前記サプライチェーン管理装置に要求することが可能なインタフェースとして機能する完成品納品予定情報提示手段と;
を備えたことを特徴とする、流通業者側装置として機能せしめることを特徴とする、プログラム。」
と補正され、補正後の請求項11とされた。
また、本件補正により、補正前の請求項14は、
「コンピュータをして、
サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な流通業者側装置であって:
実売情報記録手段に記憶された実売情報を読み出して完成品需要予測情報生成手段に提供する実売情報提供手段と;
前記実売情報に基づいて需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む完成品需要予測情報を生成し、前記完成品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供する前記完成品需要予測情報生成手段と;
前記サプライチェーン管理装置から完成品納品予定情報を取得する完成品納品予定情報取得手段と;
前記完成品納品予定情報を受領した後に、前記完成品需要予測情報の修正値を含む修正要求を前記サプライチェーン管理装置に要求することが可能なインタフェースとして機能する完成品納品予定情報提示手段と;
を備えたことを特徴とする、流通業者側装置として機能せしめることを特徴とする、プログラム。」
と補正され、補正後の請求項12とされた。
また、本件補正により、補正前の請求項15は、
「コンピュータをして、
流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するサプライチェーン管理装置であって:
前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な流通業者側装置から実売情報を取得する実売情報取得手段と;
前記実売情報に基づいて需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む完成品需要予測情報を生成する完成品需要予測情報生成手段と;
前記完成品需要予測情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む部品需要予測情報を生成する部品需要予測情報生成手段と;
前記部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な部品製造者側装置に提供する部品需要予測情報提供手段と;
前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を前記通信網を介して取得する部品納品予定情報取得手段と;
前記部品納品予定情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて完成品納品予定情報を生成する完成品納品予定情報生成手段と;
前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に前記通信網を介して提供する前記完成品納品予定情報提供手段と;を備え
前記流通業者側装置からの前記完成品需要予測情報の修正要求に応じて修正値に基づいて前記完成品需要予測情報を修正し;修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置において修正された前記部品需要予測情報に基づいて修正された部品納品予定情報部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理装置として機能せしめることを特徴とする、プログラム。」
と補正され、補正後の請求項13とされた。
また、本件補正により、補正前の請求項16は、
「コンピュータをして、
流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するサプライチェーン管理装置であって:
前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な各流通業者側装置において実売情報に基づいて生成された流通業者別完成品需要予測情報を集約して、完成品需要予測情報を生成する需要予測情報集約手段と;
前記完成品需要予測情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む部品需要予測情報を生成する部品需要予測情報生成手段と;
前記部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な部品製造者側装置に提供する部品需要予測情報提供手段と;
前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を前記通信網を介して取得する部品納品予定情報取得手段と;
前記部品納品予定情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて完成品納品予定情報を生成する完成品納品予定情報生成手段と;
前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に前記通信網を介して提供する完成品納品予定情報提供手段と;を備え、
前記流通業者側装置からの前記完成品需要予測情報の修正要求に応じて修正値に基づいて前記完成品需要予測情報を修正し;修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置において修正された前記部品需要予測情報に基づいて修正された部品納品予定情報部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理装置として機能せしめることを特徴とする、プログラム。」
と補正され、補正後の請求項14とされた。
また、本件補正により、補正前の請求項17は、
「コンピュータをして、
サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な部品製造者側装置であって:
その部品製造業者の扱う部品についての部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置から前記通信網を介して取得する部品情報予測情報取得手段と;
前記部品需要予測情報に基づいて入力手段より入力された納品予定数量に基づいて部品納品予定情報を生成し、前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供する部品納品予定情報生成手段と;を備えたことを特徴とする、部品製造者側装置として機能せしめることを特徴とする、プログラム。」
と補正され、補正後の請求項15とされた。
また、本件補正により、補正前の請求項18は、
「請求項11から請求項15のいずれかに記載のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。」
と補正され、補正後の請求項16とされた。

(2)本件補正の目的について
(a)補正前の請求項1-3、5、7-9及び13-17について
請求項1に係る本件補正の目的について以下に順次検討する。
(ア)「実売情報記録手段に記録された」の記載を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「実売情報」に限定を付加するものである。
(イ)「読み出して」の記載を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「実売情報を前記サプライチェーン管理装置に提供し」に限定を付加するものである。
(ウ)「前記通信網を介して」の記載を追加する3カ所の補正は、それぞれ、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記サプライチェーン管理装置に提供し」、「前記部品製造者側に提供し」、「前記流通業者に提供し」に限定を付加するものである。
(エ)「て実売情報記録手段に記録し」の記載を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記実売情報を取得し」に限定を付加するものである。
(オ)「前記実売情報記録手段から読み出した」を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記実売情報」に限定的を付加するものである。
(カ)「需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む」の記載を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「完成品需要予測情報」に限定を付加するものである。
(キ)「および完成品・部品テーブル」の記載を追加する2カ所の補正は、それぞれ、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記完成品需要予測情報に基づいて」、「前記部品納品情報に基づいて」に限定を付加するものである。
(ク)「部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む」の記載を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「部品需要予測情報」に限定を付加するものである。
(ケ)「入力手段より入力された納品予定数量に基づいて」の記載を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「部品納品情報を生成し」に限定を付加するものである。
(コ)「修正値を含む」を付加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「修正要求」に限定を付加するものである。
(サ)「前記修正値に基づいて」を追加する補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「前記完成品需要予測情報を修正し」に限定を付加するものである。
よって、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、請求項2、3、5、7-9、及び13-17に係る本件補正は、請求項1と同様の補正であり、請求項に記載した発明を特定するために必要な事項に限定を付加するものであるので、請求項2、3、5、7-9及び13-17に係る本件補正も、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(b)補正前の請求項11、12、及び18について
補正前の請求項11及び12に係る本件補正は、請求項を削除する補正であり、補正前の請求項18の補正は、請求項の削除に伴う引用する請求項の補正であるので、補正前の請求項11、12、及び18に係る本件補正は、特許法第17条の2第4項第1号に掲げられた請求項の削除を目的とするものである。

以上のとおり、補正前の請求項1-3、5、7-9及び13-17に係る本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するので、補正後の請求項1-3、5、7-9、及び11-15に記載された発明は、いづれも特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなければならない。
そこで、補正後の請求項1-3、5、7-9及び11-15に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(4)特許法第29条第1項柱書の要件について
(4-1)審判請求人の主張の概要
特許法第29条第1項柱書の要件に関する審判請求人の主張の概要は以下のとおりである。
「平成15年11月7日付けの手続補正書により,平成15年8月18日付けの手続補正書に記載した請求項11および12を削除し,請求項1〜10および請求項13〜18に記載の発明をソフトウェアによる情報処理がコンピュータのハードウェア資源を用いて具体的に実現されるように補正して新請求項1〜16とした。よって,本件出願人は,特許法第29条柱書の規定に基づく拒絶理由はすべて解消した。」

(4-2)当審の判断
(a)請求項1について
まず、請求項1に係る発明が、特許法第29条第1項柱書に規定された要件を満たしているかどうか検討する。
請求項1に係る発明のサプライチェーンシステムのサプライチェーン管理装置、流通業者側装置、部品製造者側装置は実質的にはコンピュータであり、これらのコンピュータは、ソフトウエアによる処理により機能を実現しているので、請求項1に係る発明は、その発明の実施にソフトウエアを必要とするところの、いわゆるソフトウエア関連発明である。
そして、こうしたソフトウエアを利用するソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明はそもそもが一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的な事項が提示されている必要があるというべきである。
そこで、補正後の請求項1にハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的事項が提示されているかについて検討するために請求項1の記載を便宜上以下のとおりに分けて検討する。
(ア)「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するためのサプライチェーン管理システムにおいて:」
(イ)「(A)実売情報取得手段と、完成品需要予測情報生成手段と、部品需要予測情報生成手段と、部品需要予測情報提供手段と、部品納品予定情報取得手段と、完成品納品予定情報生成手段と、完成品納品予定情報提供手段とを備えたサプライチェーン管理装置と;
(B)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり、実売情報提供手段と、完成品納品予定情報取得手段とを備えた流通業者側装置と;
(C)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり、部品需要予測情報取得手段と、部品納品予定情報生成手段とを備えた部品製造者側装置とを具備し:」
(ウ)「前記流通業者側装置は、前記実売情報提供手段によって、実売情報記録手段に記憶された実売情報を読み出して前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供し:」
(エ)「前記サプライチェーン管理装置は、前記実売情報取得手段によって、前記流通業者側装置から前記実売情報を取得して実売情報記録手段に記録し;前記完成品需要予測情報生成手段によって、前記実売情報記録手段から読み出した前記実売情報に基づいて需要予測数量を算出して前記需要予測数量を含む完成品需要予測情報を生成し;前記部品需要予測情報生成手段によって、前記完成品需要予測情報および完成品・部品変換テーブルに基づいて部品毎の需要予測数量を算出して前記部品毎の需要予測数量を含む部品需要予測情報を生成し;前記部品需要予測情報提供手段によって、前記部品需要予測情報を前記通信網を介して前記部品製造者側装置に提供し:」
(オ)「前記部品製造者側装置は、前記部品需要予測情報取得手段によって、その部品製造業者の扱う部品についての部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置から取得し;前記部品納品予定情報生成手段によって、前記部品需要予測情報に基づいて入力手段より入力された納品予定数量に基づいて部品納品予定情報を生成し:」
(カ)「前記サプライチェーン管理装置は、前記部品納品予定情報取得手段によって、前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を取得し;前記完成品納品予定情報生成手段によって、前記部品納品予定情報および前記完成品・部品変換テーブルに基づいて完成品納品予定情報を生成し;前記完成品納品予定情報提供手段によって、前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に前記通信網を介して提供し;」
(キ)「前記流通業者側装置は、前記完成品納品予定情報取得手段により、前記サプライチェーン管理装置から前記完成品予定情報を受け取り;前記完成品納品予定情報を受領した後に、前記完成品需要予測情報の修正値を含む修正要求を前記サプライチェーン管理装置に要求することが可能であり:」
(ク)「前記サプライチェーン管理装置は、前記修正要求に応じて前記修正値に基づいて前記完成品需要予測情報を修正し、修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置は、修正された前記部品需要予測情報に基づいて部品納品予定情報を修正し;さらに前記サプライチェーン管理装置は、修正された前記部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理システム。」
そして、上記(ア)〜(ク)の記載について順次検討する。
上記(ア)の記載について検討すると、上記(ア)の記載では、単に、サプライチェーンシステムの利用目的が記載されているにすぎないと認められる。
次に、上記(イ)の記載について検討する。
上記(イ)の記載には、「実売情報取得手段」などの手段が記載されているが、これらに関する記載では、単に、これらの手段とサプライチェーン管理装置、流通業者側装置、部品製造者側装置各装置との対応を特定していることが示されているにすぎないと認められる。
また、上記(イ)の記載には、ハードウエア資源として、「通信網」が記載されているが、これに関する記載では、単に、サプライチェーン管理装置、流通業者側装置、部品製造者側装置、通信網の接続関係を特定していることが示されているにすぎないと認められる。
よって、上記(イ)の記載では、サプライチェーン管理装置、流通業者側装置、及び部品製造者側装置に備えられたハードウエア資源がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
次に、上記(ウ)の記載について検討する。
上記(ウ)の記載には、ハードウエア資源として「実売情報記録手段」及び「通信網」が記載されているが、「実売情報記録手段」に関する記載では、単に、サプライチェーン管理装置に提供する実売情報を読み出すという記録手段の通常の使い方が示されているにすぎないと認められる。
また、上記(ウ)の記載には、「実売情報提供手段」が記載されているが、これに関する記載では、単に、流通業者側装置の機能の概要を特定するにとどまると認められる。
よって、上記(ウ)の記載では、流通業者側装置に備えられたハードウエア資源がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
次に、上記(エ)の記載について検討する。
上記(エ)の記載には、「実売情報記録手段」及び「通信網」が記載されているが、「実売情報記録手段」に関する記載では、単に、実売情報を実売情報記録手段に記憶し、読み出すという記録手段の通常の使い方が示されたにすぎず、また、「通信網」に関する記載では、単に、部品需要予測情報を提供するのに通信網を介して提供するという通常の使い方が示されているにすぎないと認められる。
また、上記(エ)の記載には、「実売情報取得手段」、「完成品需要予測情報生成手段」、「部品需要予測情報生成手段」、「部品需要予測情報提供手段」などの手段が記載されているが、これらに関する記載では、単に、サプライチェーン管理装置の機能の概要を特定するにとどまると認められる。
さらに、上記(エ)の記載には、「完成品・部品変換テーブル」が記載されているが、「テーブル」とは一般的に対応表のことをいうので、これに関する記載では、完成品と部品との対応表を参照することが示されているにすぎないと認められる。
よって、上記(エ)の記載では、サプライチェーン管理装置に備えられたハードウエア資源がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
次に、上記(オ)の記載について検討する。
上記(オ)の記載には、ハードウエア資源として「入力手段」が記載されているが、それに関する記載では、納品予定数量を入力するという入力手段の通常の使い方が示されているにすぎないと認められる。
また、上記(オ)の記載には、「部品需要予測情報取得手段」、「部品納品予定情報生成手段」などの手段が記載されているが、これらに関する記載では、部品製造者側装置の機能の概要を特定するにとどまると認められる。
よって、上記(オ)の記載では、部品製造者側装置に備えられたハードウエア資源がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
次に、上記(カ)の記載について検討する。
上記(カ)の記載には、ハードウエア資源として「通信網」が記載されているが、それに関する記載では、完成品納品予定情報を提供するのに通信網を介して提供しているという通信網の通常の使い方が示されているにすぎないと認められる。
また、上記(カ)の記載には、「部品納品予定情報取得手段」、「完成品納品予定情報生成手段」などの手段が記載されているが、これらに関する記載では、サプライチェーン管理装置の機能の概要を特定するにとどまると認められる。
さらに、上記(カ)の記載には、「完成品・部品変換テーブル」が記載されているが、「テーブル」とは一般的に対応表のことをいうので、これに関する記載では、完成品と部品との対応表を参照することが示されているにすぎないと認められる。
よって、上記(カ)の記載では、サプライチェーン管理装置に備えられたハードウエア資源がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
次に、上記(キ)の記載について検討する。
上記(キ)の記載には、「完成品納品予定情報取得手段」が記載されているが、それに関する記載では、流通業者側装置の機能の概要を特定するにとどまると認められるので、流通業者側装置に備えられたハードウエア資源がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
次に、上記(ク)の記載について検討する。
上記(ク)の記載には、単に、サプライチェーン管理装置および部品製造業者側装置の機能の概要を特定しているにとどまると認められるので、それらの各装置に備えられたハードウエア資源がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
したがって、補正後の請求項1の記載では、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的事項が提示されているとは認められないので、請求項1に係る発明は、「自然法則を利用した技術思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しない。
そして、請求項1に係る発明は特許法第29条第1項柱書きに規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(b)請求項9について
次に、前置報告書で請求項9に係る発明について言及しているので、請求項9に係る発明についても検討する。
請求項9に係る発明のサプライチェーンシステムの部品製造者側装置は実質的にはコンピュータであり、このコンピュータは、ソフトウエアによる処理により機能を実現しているので、請求項9に係る発明は、その発明の実施にソフトウエアを必要とするところの、いわゆるソフトウエア関連発明である。
そして、こうしたソフトウエアを利用するソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明はそもそもが一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的な事項が提示されている必要があるというべきである。
そこで、補正後の請求項9にハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的事項が提示されているかについて検討するために請求項9の記載を便宜上以下のとおり分けて検討する。
(ケ)「サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能な部品製造者側装置であって:」
(コ)「その部品製造業者の扱う部品についての部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置から前記通信網を介して取得する部品情報予測情報取得手段と;」
(サ)「前記部品需要予測情報に基づいて入力手段より入力された納品予定数量に基づいて部品納品予定情報を生成し、前記サプライチェーン管理装置に前記通信網を介して提供する部品納品予定情報生成手段と;を備えたことを特徴とする、部品製造者側装置。」
上記(ケ)について検討すると、ハードウエア資源として「サプライチェーン」及び「通信網」が記載されているが、それらに関する記載では、単に、部品製造者側装置とそれらの接続関係を特定したにすぎないと認められるので、部品製造者側装置の処理にそれらのハードウエア資源がどのように用いられているか具体的に記載されているとは認められない。
次に、上記(コ)について検討する。
上記(コ)の記載には、ハードウエア資源として「サプライチェーン管理装置」、「通信網」が記載されているが、「サプライチェン管理装置」に関する記載では、単に部品需要予測情報をサプライチェン管理装置から取得したことが示されているにすぎず、また、「通信網」に関する記載では、単に、部品需要予測情報を提供するのに通信網を介して提供するという通信網の通常の使い方が示されているにすぎないと認められる。
また、上記(コ)の記載には、「部品情報予測情報取得手段」が記載されているが、これに関する記載では、部品製造者側装置の機能の概要を特定するにとどまると認められる。
よって、上記(コ)の記載では、部品製造者側装置の処理にそれらのハードウエア資源がどのように用いられているか具体的に記載されているとは認められない。
上記(サ)の記載を検討する。
上記(サ)の記載には、ハードウエア資源として「入力手段」、「サプライチェーン管理装置」、「通信網」が記載されているが、「入力手段」に関する記載では、納品予定数量を入力するという入力手段の通常の使い方が示されているにすぎず、また、「サプライチェーン管理装置」に関する記載では、単に、部品納品予定情報を提供する先がサプライチェーン管理装置であることを特定しているにすぎず、さらに、「通信網」に関する記載では、部品納品予定情報を提供するのに通信網を介して提供するという通信網の通常の使い方が示されているにすぎないと認められる。
また、上記(サ)の記載には、「部品納品情報生成手段」が記載されているが、「部品納品情報生成手段」に関する記載では、部品製造者側装置の機能の概要を特定するにとどまると認められる。
よって、上記(サ)の記載では、部品製造者側装置の処理にそれらのハードウエア資源がどのように用いられているか具体的に記載されているとは認められない。
したがって、請求項9の記載では、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的事項が提示されているとは認められないので、請求項9に係る発明は、「自然法則を利用した技術思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しない。
そして、請求項9に係る発明は特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)むすび
以上のとおり、他の請求項を検討するまでもなく、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.各請求項に係る発明
平成15年11月7日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成15年8月18日付の手続補正書の特許請求の範囲の各請求項に記載された事項により特定されるものである。
すなわち、請求項1に係る発明は、
「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するためのサプライチェーン管理システムにおいて:
(A)実売情報取得手段と、完成品需要予測情報生成手段と、部品需要予測情報生成手段と、部品需要予測情報提供手段と、部品納品予定情報取得手段と、完成品納品予定情報生成手段と、完成品納品予定情報提供手段とを備えたサプライチェーン管理装置と;
(B)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり,実売情報提供手段と、完成品納品予定情報取得手段とを備えた流通業者側装置と;
(C)前記サプライチェーン管理装置に通信網を介して接続可能であり,部品需要予測情報取得手段と、部品納品予定情報生成手段とを備えた部品製造者側装置とを具備し:
前記流通業者側装置は、前記実売情報提供手段によって、実売情報を前記サプライチェーン管理装置に提供し:
前記サプライチェーン管理装置は、前記実売情報取得手段によって、前記流通業者側装置から前記実売情報を取得し;前記完成品需要予測情報生成手段によって、前記実売情報に基づいて完成品需要予測情報を生成し;前記部品需要予測情報生成手段によって、前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報を生成し;前記部品需要予測情報提供手段によって、前記部品需要予測情報を前記部品製造者側装置に提供し:
前記部品製造者側装置は、前記部品需要予測情報取得手段によって、その部品製造業者の扱う部品についての部品需要予測情報を前記サプライチェーン管理装置から取得し;前記部品納品予定情報生成手段によって、前記部品需要予測情報に基づいて部品納品予定情報を生成し:
前記サプライチェーン管理装置は、前記部品納品予定情報取得手段によって、前記部品製造者側装置から前記部品納品予定情報を取得し;前記完成品納品予定情報生成手段によって、前記部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報を生成し;前記完成品納品予定情報提供手段によって、前記完成品納品予定情報を前記流通業者側装置に提供し;
前記流通業者側装置は、前記完成品納品予定情報取得手段により、前記サプライチェーン管理装置から前記完成品予定情報を受け取り;前記完成品納品予定情報を受領した後に、前記完成品需要予測情報の修正要求を前記サプライチェーン管理装置に要求することが可能であり:
前記サプライチェーン管理装置は、前記修正要求に応じて前記完成品需要予測情報を修正し,修正された前記完成品需要予測情報に基づいて部品需要予測情報とを修正し;前記部品製造業者側装置は、修正された前記部品需要予測情報に基づいて部品納品予定情報を修正し;さらに前記サプライチェーン管理装置は、修正された前記部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報の修正を行うことが可能であることを特徴とする、サプライチェーン管理システム。」
であり、請求項11に係る発明は、
「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するためのサプライチェーン管理方法において、
提供された実売情報と完成品の売れ行きを表す係数に基づいて完成品需要予測情報を生成するステップと、
前記完成品需要予測情報と、完成品とその完成品を構成する部品との対応関係を示す情報に基づいて部品需要予測情報を生成するステップと、
前記部品需要予測情報を用いて生成される部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報を生成し、前記完成品納品予定情報を提供するステップと、
完成品需要予測情報の修正を求める情報を受け取った場合、修正された完成品需要予測情報と、完成品とその完成品を構成する部品との対応関係を示す情報に基づいて部品需要予測情報を修正し、修正した部品需要予測情報を提供するステップと、
を備えたことを特徴とする、サプライチェーン管理方法。」
であり、請求項12に係る発明は、
「流通業者と、完成品製造者と、部品製造者との間のサプライチェーンを管理するためのサプライチェーン管理方法において、
提供された流通業者別完成品需要予測情報を集約して完成品需要予測情報を生成するステップと、
前記完成品需要予測情報と、完成品とその完成品を構成する部品との対応関係を示す情報に基づいて部品需要予測情報を生成するステップと、
前記部品需要予測情報を用いて生成される部品納品予定情報に基づいて完成品納品予定情報を生成し、前記完成品納品予定情報を提供するステップと、
を具備することを特徴とする、サプライチェーン管理方法。」
である。
なお、その他の請求項に係る発明については省略した。

4.原審の拒絶の理由1の概要
原審の拒絶の理由1の概要は以下のとおりである。
「請求項11-12にはハードウェア資源は全く記載されていない。
してみれば、この請求項に記載された事項に基づいて把握される発明は、人為的な取り決めにすぎないから、自然法則を利用した技術的思想の創作ではない。
その他の請求項は機能的手段の記載はあるものの、いずれの機能的手段を特定する記載も、それらの手段が果たすべき業務上の機能を単に特定するに留まり、その業務上の機能を果たすために、コンピュータのハードウエア資源をどのように用いて具体的に実現された技術的手段であるのかを特定するものではない。
してみれば、この請求項に記載された事項に基づいて把握される発明は、自然法則を利用した技術的思想の創作とは認められない。」

5.当審の判断
(a)請求項1に係る発明について
まず、請求項1に係る発明について検討する。
請求項1に係る発明のサプライチェーンシステムのサプライチェーン管理装置、流通業者側装置、部品製造者側装置は実質的にはコンピュータであり、これらのコンピュータは、ソフトウエアによる処理により機能を実現しているので、請求項1に係る発明は、その発明の実施にソフトウエアを必要とするところの、いわゆるソフトウエア関連発明である。
そして、こうしたソフトウエアを利用するソフトウエア関連発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるためには、発明はそもそもが一定の技術的課題の解決手段になっていなければならないことから、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的な事項が提示されている必要があるというべきである。
そこで、請求項1に、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的な事項が提示されているかについて検討する。
請求項1には、ハードウエア資源として、「通信網」が記載されているが、これに関する記載では、単に、サプライチェーン管理装置、流通業者側装置、部品製造者側装置、通信網の接続関係を特定していることが示されているにすぎないので、ハードウエア資源である通信網がどのように用いられて処理されるか具体的な事項が記載されているとは認められない。
また、請求項1には、「実売情報取得手段」などの手段が記載されているが、それらに関する記載では、サプライチェーン管理装置、流通業者側装置、及び部品製造者側装置の機能の概要を特定するにとどまると認められる。
したがって、請求項1の記載では、ハードウエア資源を利用したソフトウエアによる情報処理によって技術的課題を解決できるような具体的な事項が提示されているとは認められないので、請求項1に係る発明は、「自然法則を利用した技術思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しない。

(b)請求項11及び12に係る発明について
原査定の拒絶の理由1で、請求項11及び12に係る発明に言及しているので、これらの請求項に係る発明が、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するかどうかについて検討する。
請求項11及び12の記載では、一連のステップがコンピュータの動作方法であると把握することができないから、請求項11及び12には、単に、人為的に取り決められたサプライチェーンの管理方法を表現したものが記載されているだけであるので、請求項11及び12に係る発明は、人為的取り決めそのものであり、「自然法則を利用した技術思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しない。

6.むすび
以上のとおり、請求項1、11、及び12に係る発明は、「自然法則を利用した技術思想の創作」である特許法上の「発明」に該当しないので、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-10-31 
結審通知日 2005-11-01 
審決日 2005-11-15 
出願番号 特願2001-238374(P2001-238374)
審決分類 P 1 8・ 14- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 篠原 功一
高瀬 勤
発明の名称 サプライチェーン管理システム、流通業者側装置、部品製造者側装置、サプライチェーン管理装置、サプライチェーン管理方法、それらのプログラム、ならびにプログラム記録媒体  
代理人 亀谷 美明  

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