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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G07D
管理番号 1129701
審判番号 不服2004-7022  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-08 
確定日 2006-01-12 
事件の表示 特願2000-378842「現金取扱い機画像録画監視システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 6月28日出願公開、特開2002-183804〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成12年12月13日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成15年11月6日付手続補正書、平成17年9月30日付手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という)。なお、平成16年4月8日付手続補正書は、平成17年7月12日付で却下された。
「画像記録メディアを備えた画像記録部と伝送制御装置とを有する監視装置を付設し、利用者の影像を撮影するカメラを備えた現金取扱い機と出動先パソコンとを通信回線を介してカードに関する照合データと過去の障害データを保有する監視センターパソコンと接続し、情報の授受を行うシステムであって、
(1)監視装置は、
1)現金取扱い機に、利用者によりカードが差し込まれると、画像記録部により、画像記録メディアに、カード番号付のヘッダを作成し、それに続いて、カメラにより撮影した利用者の画像とカードのデータ及び記録データを含む画像データを、記録する機能、及び
2)監視センターパソコンから送信されてきて記憶中の指定されたカードが現金支払い機で使用された時に、記録された前記画像データを監視センターパソコンに送信する機能、
並びに
3)現金取扱い機側の障害発生を検知すると、これを監視センターパソコンに通報する機能を備え、
(2)監視センターパソコンは、
1)監視装置に対して指定されたカード番号を送信する機能、及び
2)監視装置からの画像データと障害発生の通報を受信する機能、並びに
3)障害発生の通報を受信して、保有する障害データを参照して障害の程度を判断し、必要に応じて、出動先パソコンに連絡する機能を備える現金取扱い機画像録画監視システム。」

2.引用例
2-1.引用例1
当審の拒絶の理由に引用された特開平7-210729号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに以下のことが記載されている。

・「【産業上の利用分野】この発明は、遠方から複数種類の端末装置の状態を監視および制御するリモートメンテナンスシステムに関する。」(段落【0001】)

・「【課題を解決するための手段】 この発明のリモートメンテナンスシステムは、銀行に設置されている自動現金入出金装置、デパートに設置されている取引処理装置、駅に設置されている券売機、改札機等の複数種類の端末装置と、銀行、デパート、駅毎に端末装置とデータ通信ラインを介して接続される集線装置と、前記集線装置と公衆回線網を介して接続されるリモートメンテナンス装置と、を備え、前記リモートメンテナンス装置に、前記集線装置を介して端末装置毎に状態の監視および制御を行う監視制御手段を備えたことを特徴とする。
また、前記端末装置に、障害が発生した時に障害の内容を示すエラーコードを含む電文を出力する障害通知手段を備え、前記リモートメンテナンス装置に、前記障害通知手段で出力された電文を受信した時に、この電文に含まれるエラーコードから障害内容を特定し、この障害を復旧するのに必要な情報を獲得する必要情報獲得手段を備えたことを特徴とする。」(段落【0009】〜【0010】)

・「また、前記リモートメンテナンス装置と無線で通信を行う携帯用端末装置を備え、前記リモートメンテナンス装置に、前記必要情報獲得手段で獲得した情報を前記携帯用端末装置へ送信する手段を備えたことを特徴とする。」(段落【0013】)

・「【実施例】図1は、この発明の実施例であるリモートメンテナンスシステムの構成を示す図である。銀行等に設置された現金自動入出金装置やデパート等に設置されたPOS端末装置やクレジット認証端末装置等の取引処理装置や駅に設置された券売機や改札機等の複数種類の端末装置1と、銀行やデパートや駅毎に設置されている端末装置1とローカルエリアネットワーク(以下LANと言う)を介して接続された集線装置2(2-1〜2-n)と、前記集線装置2とISDN電話網3を介して接続されたリモートメンテナンス装置4と、以下に示す方法で前記リモートメンテナンス装置4と無線で通信を行う携帯用端末装置5とを備えている。前記集線装置2は、LANを介して接続されている端末装置1の状態の監視および制御を行うことができる。また、リモートメンテナンス装置4は、集線装置2を介して全ての端末装置1の状態の監視および制御を行うことができる。」(段落【0021】)

・「リモートメンテナンス装置4は、以下に示す方法で各端末装置1の状態の監視および制御を行う。リモートメンテナンス装置4の記憶部13には、各端末装置1毎に過去に発生した全ての障害の内容やメンテナンスの内容等を登録した機歴データテーブル13aと、端末装置1に発生した障害の内容を解析する際に必要となるファイル名をエラーコードに対応させて記憶した必要データテーブル13bと、端末装置1に発生した障害の復旧を行うときにメンテナンス員が参照する保守マニュアルの番号をエラーコードに対応させて記憶した保守マニュアルテーブル13cと、端末装置1の種類毎に全ての保守マニュアルを記憶する保守マニュアル記憶エリア13dとを備えている(図5参照)。」(段落【0025】)

・「次に端末装置1で障害が発生した場合について説明する。この時の電文の流れを図9に示す。端末装置1は、障害が発生した場合にも上記した状態の通知と同じ方法でリモートメンテナンス装置4に障害が発生した旨を通知する(図9(1)、(2) )。
リモートメンテナンス装置4は、端末装置1から障害の通知を受けるとブザーを鳴らしてセンタにいるオペレータに障害が発生した端末装置1があることを知らせる(図9(3) )。この時、端末装置1から送られてきた障害の通知には、端末装置1を識別する識別番号と障害の内容示すエラーコードが含まれている。リモートメンテナンス装置4は、CRT14に障害が発生した端末装置1の設置場所や障害の内容を表示するとともに、エラーコードに基づいて障害の発生した端末装置1から収集する必要のあるファイルの名前(障害を解析するのに必要なファイルの名前)を必要データテーブル13bから読みだす(図9(4) )。そして、リモートメンテナンス装置4は、障害の発生した端末装置1からこれらのファイルの獲得する処理を行う。このファイルの獲得は、集線装置2に端末装置1の識別番号とファイル名とファイルの送信を要求するコマンドを含む電文送信する(図9(5) )。」(段落【0046】〜【0047】)

・「以上のようにして、リモートメンテナンス装置4は、障害の解析や復旧に必要なファイルの獲得を行う(図9(10))。リモートメンテナンス装置4は、この獲得したファイルを用いて、障害の発生した原因の解析を行う。したがって、端末装置1に発生した障害の解析が直ぐに行われることになり、障害を復旧するまでに要する時間を短縮するこができる。なお、この獲得したファイルは必要に応じてプリンタで印字して出力することができる。」(段落【0050】)

・「ところで、障害の復旧を行う場合には、次の示す方法がある。1つは現場(障害の発生した端末装置が設置されておいる場所)にメンテナンス員を派遣して障害の復旧をはかる方法、現場にいる係員に情報を送信して障害を復旧する方法、障害の発生した端末装置を操作していた顧客に指示を与えて障害の復旧を行う方法等がある。」(段落【0051】)

・「最初にメンテナンス員を派遣して障害の復旧を図る方法を説明する。このときの電文の流れを図10に示す。メンテナンス員は、携帯用端末装置5を所持している。リモートメンテナンス装置4は、携帯用端末装置5にコールする。携帯用端末装置5へのコールは、ISDN電話網3を介して通信基地等に出動が可能かどうかの確認用の電文を送信し(図10(1) )、通信基地がこの電文を無線信号に変換して転送する(図10(2) )。この無線信号が携帯用端末装置5の無線送受信部31で受信される。また、コールする携帯用端末装置5は、オペレータがリモートメンテナンス装置4のキーボード13を操作して入力する。このとき、この携帯用端末装置5を所持しているメンテナンス員は、作業中であったり、待機中であったり、移動中であったりする。メンテナンス員は、出動が可能かどうかをキーボード33を操作して携帯用端末装置5に入力する。携帯用端末装置5は、無線で出動可否を示す電文を上記と逆の経路でリモートメンテナンス装置4に送信する(図10(3) 、(4) )。」(段落【0052】)
これら記載を参照し、かつローカルネットワーク(LAN)やISDN電話網の公衆回線や無線通信は、通信回線の一形態をなすものであることを考慮すると、引用例1には以下のような発明が記載されている。
「障害の内容を示すエラーコードを含む電文を出力する障害通知手段を付設した自動現金入出金装置等からなる端末装置に接続された集線装置と携帯用端末装置とを通信回線を介して各端末装置毎に過去に発生した全ての障害の内容やメンテナンスの内容等を登録した機歴データテーブルを保有するリモートメンテナンス装置と接続し、電文の授受を行うシステムであって、
障害通知手段は、
自動現金入出金装置等からなる端末装置側の障害発生を検知すると、これを集線装置を介してリモートメンテナンス装置に通報する機能を備え、
リモートメンテナンス装置は、
障害発生の電文を受信する機能を有し、該電文を受信して、この電文に含まれるエラーコードから障害内容を特定し、この障害を復旧するのに必要な情報を獲得し、必要に応じて、携帯用端末装置に送信する機能を備えるリモートメンテナンスシステム。」

2-2.引用例2
当審の拒絶の理由に引用された特開平7-234958号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに以下のことが記載されている。

・「【産業上の利用分野】本発明は概略取引きカードの悪用に関し、より詳細には自動顧客対話装置、即ち自動窓口機(ATM機械)での取引きカードを用いた画像の撮影及び記録に関する。」(段落番号【0001】)

・「【課題を解決するための手段】短く要約すれば本発明の1つの特徴によればATM機械はそれに付属するデジタルカメラを有する。取引きが要求された時にプログラム制御下のデジタルカメラは取引きを要求した顧客の可視画像を記録する。デジタル的な可視画像は圧縮され、記憶される。取引きに関して疑問が生じたときにデジタル画像は検索、再生され、顧客/取引きをした人の識別がなされうる。」(段落【0008】)

・「本発明の好ましい実施例ではATM内にデジタルカメラが設置される。デジタルカメラは顧客の画像を記録する。画像は圧縮され、ATMそれ自体又はそのそばのどちらかで記憶されうる。デジタルカメラ画像は所望ならばATMネットワークにわたって財務機構によりアクセスされうる。データベース管理システムは画像の収集を管理するのに用いられるATM上で作動するソフトウエアの一部として含まれうる。」(段落【0014】)

「顧客の視点からは該ATMは現在のATMシステムと全く同じに動作するべきである。図1ではATM装置10は顧客による機能要求に応答し、顧客の機能要求に応答して情報及び物(例えば取引きレシート、現金、等々)を供する顧客インターフェイス装置19を有する。ATM装置10はATM制御ソフトウエア15の制御の下で取引きカード携帯者とATM機械との間の対話中に画像を記録する静止画像デジタルカメラ11(典型的なアナログビデオ装置の代替)を含む。デジタルカメラ11により記録されたデジタル画像は画像圧縮手続き12により圧縮される。圧縮手続き12から生じた圧縮された画像はデータベースマネージャー13の制御の下で画像データ14内に記憶される。データベースマネージャーは画像データベース14内で目録を作られ、その中に挿入される。ATM制御ソフトウエア15は遠隔アクセスリンク16を介して財務機構17と通常の財務対話をなす。データベースマネージャーは画像データベース14を維持し、維持期間を越えて画像データベース14内に留まるどんな画像もパージする付加的な責任を有する。」(段落【0018】)

・「問い合わせが財務機構から必要とされる場合には問い合わせは遠隔アクセスリンク16を介してATM10のATM制御ソフトウエア15に転送される。ATM制御ソフトウエア15は所望の目録情報を探すために、及び所望の画像を検索するためにデータベースマネージャーにアクセスする。所望の画像はATM制御ソフトウエア15の制御の下で財務機構17に転送される。財務機構17では画像は圧縮から戻され、再生された画像はそれの意図された目的に用いられる。ATM機械の幾つかの部分はデータ処理能力であり、又はデータ処理能力に関することは明らかである。例えば圧縮資源12はソフトウエアプログラム又は専用のマイクロプロセッサチップでありうる。どちらの構成でも、圧縮資源はATM制御ソフトウエアの制御の下で動作する。同様にデータベースマネージャーは典型的にはATM制御ソフトウエアの制御の下で動作するソフトウエアプログラムである。画像データベースは典型的にはハードウエア装置内に収納される。」(段落【0019】)

2-3.引用例3
当審の拒絶の理由に引用された特開平4-88472号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに以下のことが記載されている。

・「[産業上の利用分野]
本発明はデータ記録装置に係り、現金自動預け払い機等の利用者の画像を顧客番号等のデータと共に記録するものに関する。」(第1頁右上欄第4〜7行目)

・「[課題を解決するための手段]
本発明は上述の課題を解決するため、所定の操作にて金銭の払い戻し若しくは預け入れ等を行う現金自動取扱い機において、前記現金自動取扱い機等に設けられ人を撮像し映像信号を出力する監視カメラと、監視カメラよりの映像信号をデジタルの画像データに変換し記憶する記憶部と、記憶部に記憶した画像データを前記現金自動取扱い機の確認キーの操作に基づいて読み出し、現金自動取扱い機に挿入された磁気カード若しくは通帳より読み取った口座番号等の顧客データと共に記録するデータ記録部とで構成したデータ記録装置を提供するものである。」(第2頁左上欄第20行目〜右上欄第12行目)

・「18は制御部で各装置の各部を制御する。
第3図は前記データ記録部17に記録されるデータの一例で、図において、21は前記カメラ11の撮像に基づくデータの画像、22は「確認」キー6が操作された日時のデータ、23は顧客データ読み取り部16にて読み取った口座番号等の顧客データ、24は顧客データ23に対応して記憶されている顧客氏名のデータで、これらのデータを1枚の画像に合成したものである。」(第3頁左上欄第8〜18行目)

2-4.引用例4
当審の拒絶の理由に引用された特開昭63-772号公報(以下、「引用例4」という。)の従来例には、以下のことが記載されている。

・「[従来の技術]
銀行などでATMによって現金を引き出したり預け入れを行う場合ATM用のキャッシュカードを紛失したり盗難にあったりした時該カードが不正使用されたか否かをチェックするために各金融機関はチェックすべき特定の無効カード(使用を停止すべきカード)についての情報をそのコンピュータ・センタで一括登録していた。そして、顧客がATMを利用すると、その都度使用されたキャッシュカードが前記指定登録されていない適正なものであるか否かを支店等からコンピュータ・センタに照合していた」(第2頁左上欄第2頁第5〜16行目)

3.対比
本願発明と引用例1に記載の発明とを対比する。
その果たしている機能からして、引用例1に記載の発明の「自動現金入出金装置等からなる端末装置」は、本願発明の「現金取扱い機」に相当し、以下同様に、「障害通知手段」は「伝送制御装置」に、「携帯用端末装置」は「出動先パソコン」に、「機歴データテーブル」は「過去の障害データ」に、「リモートメンテナンス装置」は「監視センターパソコン」に、「電文」は「情報」に、それぞれ相当する。そして引用例1に記載の発明では、自動現金入出金装置等からなる端末装置に接続された集線装置と通信回線を介してリモートメンテナンス装置とが接続されているが、実質的に、自動現金入出金装置等からなる端末装置は通信回線を介してリモートメンテナンス装置に接続されている。

そうすると、本願発明と引用例1に記載の発明とは、
「伝送制御装置を付設した現金取扱い機と出動先パソコンとを通信回線を介して過去の障害データを保有する監視センターパソコンと接続し、情報の授受を行うシステムであって、
伝送制御装置は、
現金取扱い機側の障害発生を検知すると、これを監視センターパソコンに通報する機能を備え、
監視センターパソコンは、
障害発生の通報を受信する機能を有し、該障害発生の通報を受信して、保有する障害データを参照して障害の程度を判断し、必要に応じて、出動先パソコンに連絡する機能を備える現金取扱い機監視システム。」
で一致し、下記の点で相違している。

相違点1:本願発明では、現金取扱い機が、「画像記録メディアを備えた画像記録部と伝送制御装置とを有する監視装置を付設し、利用者の影像を撮影するカメラを備えた現金取扱い機」であり、監視センターパソコンが、カードに関する照合データを保有する監視センターパソコンであるのに対し、引用例1に記載の発明では、自動現金入出金装置等からなる端末装置が、障害の内容を示すエラーコードを含む電文を出力する障害通知手段を付設しているにすぎず、画像記録メディアやカメラ等を備えておらず、リモートメンテナンス装置はカードに関連する照合データを有していない点。

相違点2:本願発明では、「監視装置は、現金取扱い機に、利用者によりカードが差し込まれると、画像記録部により、画像記録メディアに、カード番号付のヘッダを作成し、それに続いて、カメラにより撮影した利用者の画像とカードのデータ及び記録データを含む画像データを、記録する機能」を有しているのに対し、引用例1に記載の発明ではそのような事項が示唆されていない点。

相違点3:本願発明では、「監視センターパソコンは、監視装置に対して指定されたカード番号を送信する機能」と「監視装置からの画像データを受信する機能」を有し、かつ「監視装置は、監視センターパソコンから送信されてきて記憶中の指定されたカードが現金支払い機で使用された時に、記録された前記画像データを監視センターパソコンに送信する機能」を有しているのに対し、引用例1に記載の発明では、そのような事項が示唆されていない点。

4.判断
4-1.相違点1について
引用例2には、ATM装置(本願発明の「現金取扱い機」に相当。)が画像データベース(本願発明の「画像記録メディア」に相当。)を備えた圧縮資源、データベースマネージャー(本願発明の「画像記録部」に相当。)と、遠隔アクセスリンク(本願発明の「通信回線」に相当。)を介して財務機構(本願発明の「監視センターパソコン」に相当。)と財務対話をなす(本願発明の「情報の授受を行う」に相当。)ATM制御ソフトウエア(本願発明の「伝送制御装置」に相当。)が記載されている。
また、引用例4の従来例には、コンピュータ・センタ(本願発明の「監視センターパソコン」に相当。)に特定の無効カードについての情報を一括登録(本願発明の「カードに関連する照合データ」に相当。)しておくことが記載されている。
そして、引用例1に記載の発明の障害検出手段も、障害の内容を示すエラーコードを含む電文を出力する機能を有しており、該障害検出手段の機能に、引用例2記載のATM制御ソフトウエアの機能を負担させ、その際に、圧縮資源、画像データベースに接続されたデータベースマネージャー(本願発明の「画像記録メディアを備えた画像記録」)とATM制御ソフトウエア(本願発明の「伝送制御部」)とを監視装置とすることは、当業者が適宜なし得ることと認められので、引用例2に記載の事項および引用例4に記載の事項を引用例1に記載の発明に適用して、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者が容易になし得たことと認められる。

4-2.相違点2について
引用例3には、現金自動取扱い機(本願発明の「現金取扱い機」に相当。)において、現金自動取扱い機の確認キーの操作に基づいて、制御部(本願発明の「画像記録部」に相当。)により、データ記録部(本願発明の「画像記録メディア」に相当。)にカメラにより撮影した利用者の画像と顧客のデータ(本願発明の「カードのデータ」に相当。)と日時のデータ(本願発明の「記録データ」に相当。)を記録することが記載されている。
一般に、大容量記憶装置にデータを記憶させる場合に、データの先頭であることを示し、ファイル名やデータを書き込んだ日付等を書き込むようにしたヘッダを設けることは本願出願前周知な事項であり、ヘッダにカード番号を書き込むようにすることは、当業者が適宜なし得ることと認められ、また記録するタイミングは、確認キーの操作によるか、カードの差し込みによるかは、どちらのタイミングもすでに取り引きが開始されているのであるから、当業者が適宜選択し得るものであり、単なる設計変更と認められる。
よって、引用例3に記載の事項から、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者が容易になし得たことと認められる。

4-3.相違点3について
引用例2には、問い合わせが財務機構(本願発明の「監視センターパソコン」に相当。)から必要とされる場合には問い合わせは遠隔アクセスリンク(本願発明の「通信回線」に相当。)を介してATM(本願発明の「現金取扱い機」に相当。)のATM制御ソフトウエア(本願発明の「伝送制御装置」に相当。)に転送され、ATM制御ソフトウエアは所望の目録情報を探すために、及び所望の画像を検索するためにデータベースマネージャーにアクセスし、所望の画像はATM制御ソフトウエアの制御の下で財務機構に転送されること、すなわち財務機構では該所望の画像を受信することが記載されており、問い合わせするために、そのキーを、カード番号とすることは、当業者が適宜なし得ることであり、所望の画像を得られることは、問い合わせたキーに対するものは存在することであり、カードはその現金取扱い機で使用されたと解されるものである。
よって、引用例2に記載の事項から、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することは当業者が容易になし得たことと認められる。

そして、本願発明の奏する効果は、引用例1、引用例2、引用例3及び引用例4の各記載から当業者であれば、予測することができる程度のものであって格別なものとはいえない。

5.むすび
以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、引用例1に記載の発明、引用例2、3、4に記載の事項及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-11-09 
結審通知日 2005-11-15 
審決日 2005-11-28 
出願番号 特願2000-378842(P2000-378842)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G07D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 氏原 康宏  
特許庁審判長 小椋 正幸
特許庁審判官 今井 義男
原 慧
発明の名称 現金取扱い機画像録画監視システム  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  

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