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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1130266
審判番号 不服2003-10877  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-03 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-12 
確定日 2006-02-03 
事件の表示 特願2000- 13489「磁気ヘッドスライダ」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月 3日出願公開、特開2001-210037〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成12年1月21日の出願であって、平成15年1月31日付け手続補正がなされ、平成15年5月8日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年6月12日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、同年7月1日に手続補正がなされたものである。

2.平成15年7月1日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成15年7月1日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「板状のスライダ本体内に磁気ヘッドコアが設けられ、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面に浮力発生のためのレールおよび/またはパッドが形成され、磁気ディスクに対して浮上走行して磁気情報の書き込みあるいは読み出しを行う磁気ヘッドスライダであって、
前記スライダ本体の媒体対向面とレールとパッドうち少なくともレールにクラウンが形成され、前記レールは、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面の両縁部側に形成され、かつ前記スライダ本体の空気流の流入側から空気流の流出側にかけて延出するサイドレールと、前記両サイドレールの後端部間に形成されたアイランド状のセンターレールを有しており、前記サイドレールは前記空気流の流入側端部の幅が空気流の流出側端部の幅よりも幅広に形成され、
前記両サイドレールおよびセンターレールの間に溝が設けられ、前記溝内の前記空気流の流入側寄りの両側で、前記両サイドレールの前記空気流の流入側端部の幅広部の後方にそれぞれ突起が1以上設けられ、前記突起は前記サイドレールよりも磁気ディスク側に突出されており、しかも前記突起の高さはクラウン量より高くされ、
前記磁気ヘッドコアは前記スライダ本体の前記空気流の流出側端面に配置され、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面で、前記磁気ヘッドコアの磁気ギャップからの距離が前記スライダ本体の長さの1/3以下の長さの領域には突起を有しないことを特徴とする磁気ヘッドスライダ。」と補正された。

上記請求項1は、本件補正前の請求項1に補正前の請求項2,3,6記載の構成を付加し、さらに本件補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「突起」の位置について、「両サイドレールの空気流の流入側端部の幅広部の後方」との限定付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
(2-1)引用例1
原査定の拒絶理由に引用された特開平11-191277号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに、磁気ヘッドスライダについて、以下の記載がある(下線は、当審で付した。)。
「【0007】本発明において磁気ヘッドスライダは磁気ディスク3が回転しない状態では、図6に示すように、浮上レール4の空気流流入端5側と中心部に設けられた突起6、6’が磁気ディスク3に接触する。突起6、6’を磁気ディスク3に接触させることにより接触面積が小さくなり、吸着が防止される。また、空気流流出端7が接触した状態で磁気ディスク3上に着地した際には、空気流流出端7と中央部の突起6’が磁気ディスク3に接触するために、請求項1に係る発明に比して磁気ヘッドスライダの傾斜角度が大きくなり、接触面積が小さくなる。さらに、突起6’は長手方向のほぼ中央部、すなわち、浮上レール4上の空気流流入端5と空気流流出端7とのほぼ中間位置に位置しているために、突起6’が空気流流出端7にある従来例に比して、浮上の際に磁気ディスク3との衝突が生じにくく、浮上高さδを小さくすることができる(図6(c)参照)。」
「【0009】
【発明の実施の形態】図1に本発明の実施の形態を示す。磁気ヘッドスライダはスライダ本体1上に薄膜工程を使用して電磁変換素子2を膜形成して構成され、磁気ディスク3との対向面に浮上レール4、4’が形成される。スライダ本体1は、例えばアルミナ-チタンカーバイド(Al2O3TiC)により形成される。浮上レール4、4’は、磁気ディスク3の回転により図1(b)における矢印A方向から空気が流入することにより磁気ディスク3上適宜高さに浮上するように、両側縁部と空気流入側端部中央に設けられ、空気空気流流入端5には傾斜面8が形成される。両側縁部の浮上レール4は長手通しに連続状に形成される。」
「【0011】電磁変換素子2はMRヘッド(磁気抵抗効果型ヘッド)であり、図2に示すように、薄膜工程を利用することにより、ギャップ層2aを介して第1、第2、および第3の磁気ヨーク層2b、2c、2dを対向配置し、さらに、層間絶縁層を介してコイル2eが形成される。なお、図2において2fはMR層(磁気抵抗効果層)を示す。電磁変換素子2は浮上レール4の空気流流出端7に配置され、磁極面2gはいずれか一方の浮上レール4のレール面4b上に位置する。図1に示すように、空気流流出端7近傍において浮上レール4は左右両端が長手方向に沿って掘り込まれており、磁気ディスク3との当接面が幅狭とされている。Raが2nm程度の面粗さの磁気ディスク3を対象とする場合、浮上レール4の掘り込み深さdは20nm以上で、幅狭部4aの幅wが50〜100μm程度とするのが望ましい。」

以上の、特に図6の、突起が設けられて、吸着が防止される磁気ヘッドスライダに関する記載を参照すると、引用例1には、
「空気流流入端に傾斜面が形成されたスライダ本体の、両側縁部と空気流入側端部中央に、浮上レールが形成され、
前記両側縁部に形成された浮上レールの空気流流出端に、電磁変換素子が配置され、空気流流出端近傍において左右両端が長手方向に沿って掘り込まれ磁気ディスクとの当接面が幅狭とされた磁気ヘッドスライダにおいて、
前記両側縁部に形成された浮上レールには、空気流流入側と空気流流出端との長手方向のほぼ中間位置に、それぞれ突起が設けられた磁気ヘッドスライダ。」の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

(2-2)引用例2
同じく、原査定の拒絶理由に引用された特開平10-125025号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、浮動ヘッドスライダについて、以下の記載がある。
「【0007】これらの図において、符号2はメインリセス、3,4はスライダ1上でメインリセス2を形成する一対のサイドレール、5はこれらのサイドレール3,4間を接続するように設けたクロスレールで、6はこのクロスレール5の外側寄りの上方部分に設けたチャンファである。また、図16において、7はリセス2を分断するように設けたセンタレールで、これによりリセスは2a,2bで示すように分断して形成されている。さらに、図17において、8はメインリセス2の中央部分下方に配設したセンタパッドである。」
「【0018】さらに、本発明に係る浮動ヘッドスライダは、センタパッドを、各レールに施される一定の曲面加工の仮装曲線よりも深く加工するか、センタパッド表面に穴または溝、あるいはその両方が一個以上存在するように構成する。このとき、穴または溝の密度が一定でないようにするとよい。」
図2,3,4,9〜13、17では、センターパッド26又は8が、両サイドレール14,15又は3,4間の後部に図示されている。また、図5,6では、浮動ヘッドスライダ10の媒体面が曲面に図示されている。

(2-3)引用例3
同じく、原査定の拒絶理由に引用された特開平9-245451号公報(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに、磁気ヘッドスライダについて、以下の記載がある。
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、突起の径が小さくなると、突起の単位面積に加わる圧力が高くなり、しかも、ねじれが生じているレール面上では、複数の突起のうちの一部がスライダの静止状態での重心の片寄りによって磁気ディスク面に接触しないといった事態が生じやすくなる。
【0008】この結果、停止状態で一部の突起に加わる圧力が、設計値よりも高くなって突起が早く磨耗する原因となるので、磁気ヘッドの耐久性が低下する。また、突起の高さは、スライダの浮上に影響を与えない大きさ、例えば30nm程度まで低くする必要があるが、その大きさはスライダのレール面の仕上がりのクラウン量とほぼ同一のオーダになる。
【0009】この場合、突起以外の箇所のレール面が磁気ディスクに接触することになるので、吸着防止のために設けた突起の存在価値がなくなってしまう。本発明の目的は、スライダに設けた突起の磨耗速度を低減するとともに、突起を磁気記録媒体面に確実に接触させるための磁気ヘッド及び磁気記録装置を提供することにある。」
「【0062】図14に示す磁気ヘッドにおいて、図8と同一符号は同一要素を示し、磁気ヘッドの空気流入端(先端)から空気流出端(後端)への方向(y方向)の長さをLとする。この磁気ヘッドの第1及び第2のレール面14に形成される突起4は、磁気ヘッドのy方向の長さの中心から後端へL/4後退させた位置までの範囲に、また、レール15に形成される突起5はレール15の中心よりも右側(スライダ中心側)に、それぞれ形成されている。これにより、磁気ヘッドの磁気ディスク対向面に300nm程度のクラウン量が生じても、突起4,5を確実に磁気ディスクに接触させることができる。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明1とを対比する。
本願補正発明と引用発明1は、「磁気ヘッドスライダ」の発明で共通する。
引用発明1の「浮上レール」は、磁気ディスクの回転により空気が流入することにより浮上するように作用するものであるから、本願補正発明の、スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面に形成された「磁気ディスク対向面に浮力発生のためのレール」といえる。
引用発明1の「電磁変換素子」は、上記【0011】に記載されているように、浮上レールに配置されて、MRヘッドとコイル2eを備えているから、MRヘッドと書込ヘッドとの複合型磁気ヘッドというものであり、引用発明1の「電磁変換素子」は、本願補正発明における、スライダ本体内に設けられた、磁気情報の書き込みあるいは読み出しを行う「磁気ヘッドコア」というものである。
引用発明1の、「電磁変換素子」は、浮上レールの空気流流出端に配置された構成であるから、その配置は、本願補正発明における「磁気ヘッドコア」が、「スライダ本体の前記空気流の流出側端面に配置された」構成といえる。
引用発明1の「浮上レール」のうち、スライダコアの「両側縁の浮上レール」は、長手通しに連続状に形成され(上記【0009】参照)ているから、本願補正発明の「スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面の両縁部側に形成され、かつ前記スライダ本体の空気流の流入側から空気流の流出側にかけて延出するサイドレール」といえる。
引用発明1の「浮上レール」のうち、「空気流入側端部中央の浮上レール」は、「両側縁の浮上レール」とは別に、中央に形成された浮上レールの形状において、本願補正発明の「両サイドレールの間に形成されたアイランド状」の「センターレール」といえる。
引用発明1の、「両側縁の浮上レール」と「空気流入側端部中央の浮上レール」が形成された以外の部分は、高さが一段低い部分であるから、「両側縁の浮上レール」と「空気流入側端部中央の浮上レール」の間の部分は、本願補正発明の、「両サイドレール」および「センターレール」の間の「溝」の構成といえる。
引用発明1の「突起」は、「両側縁の浮上レール」の「空気流流入側と空気流流出端との長手方向のほぼ中間位置」に形成された突起であり、「電磁変換素子」が空気流出端に配置されているから、長手方向の中間位置の突起は、「電磁変換素子」のギャップからの距離がスライダ本体の長さの1/3の範囲には存在しないことは明らかであり、引用発明1の「突起」の構成は、本願補正発明における、「空気流の流入側寄りの両側で、両サイドレールの前記空気流の流入側端部の後方にそれぞれ1以上設けられ」、「スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面で、磁気ヘッドコアの磁気ギャップからの距離が前記スライダ本体の長さの1/3以下の長さの領域には有しない」構成の「突起」といえる。

以上のことから、引用発明と本願補正発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
〈一致点〉
「板状のスライダ本体内に磁気ヘッドコアが設けられ、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面に浮力発生のためのレールおよび/またはパッドが形成され、磁気ディスクに対して浮上走行して磁気情報の書き込みあるいは読み出しを行う磁気ヘッドスライダであって、
前記レールは、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面の両縁部側に形成され、かつ前記スライダ本体の空気流の流入側から空気流の流出側にかけて延出するサイドレールと、前記両サイドレールの間に形成されたアイランド状のセンターレールを有しており、
前記両サイドレールおよびセンターレールの間に溝が設けられ、前記空気流の流入側寄りの両側で、前記両サイドレールの前記空気流の流入側端部の後方にそれぞれ突起が1以上設けられ、前記突起は前記サイドレールよりも磁気ディスク側に突出されており、
前記磁気ヘッドコアは前記スライダ本体の前記空気流の流出側端面に配置され、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面で、前記磁気ヘッドコアの磁気ギャップからの距離が前記スライダ本体の長さの1/3以下の長さの領域には突起を有しないことを特徴とする磁気ヘッドスライダ。」

〈相違点〉
(a)スライダ本体の媒体対向面とレールとパッドのうち少なくともレールの形状が、本願補正発明では、「クラウン」が形成された形状であるのに対して、引用発明1では、空気流流入端に傾斜面が形成された形状であって、「クラウン」の記載がない点。
(b)サイドレール及びセンターレールは、本願補正発明では、「サイドレールは空気流の流入側端部の幅が空気流の流出側端部の幅よりも幅広に形成され」て、「両サイドレール後端部間」に形成されたセンターレールであるのに対して、引用発明1では、サイドレール(浮上レール4)は、空気流流出端近傍において左右両端が長手方向に沿って掘り込まれ磁気ディスクとの当接面が幅狭に形成されているが、空気流流入端の幅が空気流流出端の幅よりも幅広であるとの記載はない、また、アイランド状のセンターレールは、空気流入側端部中央に形成されている点。
(c)突起が、本願補正発明では、「溝内」の「両サイドレールの空気流の流入側端部の幅広部の後方」に、「クラウン量より高く」形成されているのに対して、引用発明1では、「両サイドレール」の上に設けられている点。

(4)判断
上記相違点について検討する。
相違点(a)について
引用例2には、媒体面が曲面とされた浮動ヘッドスライダが記載されている。また、引用例3では、磁気ヘッドスライダのクラウン量について記載されており、クラウンが形成された磁気ヘッドスライダは周知である。引用発明1の磁気ヘッドスライダにおいて、浮上レールにクラウンが形成された磁気ヘッドスライダとすることは、当業者が容易に推考できたものと認められる。

相違点(b)について
磁気ヘッドスライダにおいて、空気流の流入側端部の幅が空気流の流出側端部の幅よりも幅広に形成されたサイドレールは周知(特開平6-12808号公報:レール50,51,110,112、特開平10-269736号公報:レール31,32、特開平11-16315号公報:浮上レール面1)であり、引用発明1の磁気ヘッドスライダにおいて、空気流の流入側端部の幅が空気流の流出側端部の幅よりも幅広に浮上レールを形成することは、当業者であれば容易に推考できることである。また、引用例2には、サイドレール間の後端部にセンタパッドが形成された浮動ヘッドスライダが記載されており、引用発明1の磁気ヘッドスライダにおいて、両側縁部の浮上レール間の中央に浮上レールを形成する場合に、引用例2の浮動ヘッドスライダのように、両側縁部の浮上レール後端部間の中央に浮上レールを形成することは、当業者が容易に推考できたことと認められる。

相違点(c)ついて
引用例1の磁気ヘッドスライダにおいて、磁気ディスクへの吸着を防止するための突起の高さが、磁気ヘッドスライダ表面より高く形成されていればよいことは明らかであり、両側縁部の浮上レールに突起が設けられても、両側縁部の浮上レール間の溝の両側にそれぞれ突起を設けてもよく、あるいは、両側縁部の浮上レールに突起を設け、さらに溝の両側にもそれぞれ突起を設けるようにしてもよいことは、当業者であれば容易に推察できることである。このように突起が形成された磁気ヘッドスライダは周知であり、両サイドレールの空気流の流入側端部の幅広部の後方に突起を設けた構成の磁気ヘッドスライダも、周知(前記特開平6-12808号公報:図10,11おけるストラット134、前記特開平11-16315号公報:図8〜17における突起11,10,3’(図4,7,10,13,17においては浮上レール1の側面図は弧状)等参照)の事項である。
してみれば、引用発明1において、クラウンを形成した場合に、溝内の、両側縁部の浮上レールの空気流流入側の幅広部の後方に、クラウン量より高く、突起を形成することは、当業者が容易に推考できたことと認められる。

結局、前記各相違点は、格別なものではなく、また、前記各相違点を総合的に検討しても奏される効果は当業者が当然に予測できる範囲内のものと認められる。

したがって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成15年7月1日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年1月31日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「板状のスライダ本体内に磁気ヘッドコアが設けられ、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面に浮力発生のためのレールおよび/またはパッドが形成され、磁気ディスクに対して浮上走行して磁気情報の書き込みある
いは読み出しを行う磁気ヘッドスライダであって、
前記スライダ本体の媒体対向面とレールとパッドうち少なくともレールにクラウンが形成され、前記レールは、前記スライダ本体の磁気ディスク側の媒体対向面の両縁部側に形成され、かつ前記スライダ本体の空気流の流入側
から空気流の流出側にかけて延出するサイドレールを有しており、これら両サイドレール間に溝が設けられ、前記溝の前記空気流の流入側寄りの両側にそれぞれ突起が1以上設けられ、前記突起は前記サイドレールよりも磁気ディスク側に突出されており、しかも前記突起の高さはクラウン量より高くされていることを特徴とする磁気ヘッドスライダ。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例の記載事項及び周知例は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記「2.(1)」で検討した本願補正発明から、請求項2,3,6記載の構成を省き、補正前の「突起」の位置限定事項である「両サイドレールの空気流の流入側端部の幅広部の後方」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらの他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1乃至3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1乃至3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1乃至3に記載された発明に基づいて、当業者が当業者が容易に発明をすることができたものであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-05 
結審通知日 2005-12-06 
審決日 2005-12-19 
出願番号 特願2000-13489(P2000-13489)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G11B)
P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鈴木 重幸  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 相馬 多美子
小林 秀美
発明の名称 磁気ヘッドスライダ  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 高柴 忠夫  
代理人 高橋 詔男  
代理人 杉浦 秀幸  
代理人 鈴木 三義  
代理人 志賀 正武  
代理人 村山 靖彦  

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