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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B62D
管理番号 1130300
審判番号 不服2003-8789  
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-08-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-05-16 
確定日 2006-02-22 
事件の表示 平成7年特許願第18007号「電動パワーステアリング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成8年8月13日出願公開、特開平8-207796、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年2月6日の出願であって、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成15年3月25日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)について、A〜Cの符号を付して分説して記載すると次のとおりである。
「【請求項1】
A:車両において、手動操舵力が入力されるステアリング軸が、ラックピニオン機構を介して、転舵輪を転舵すべく軸方向に移動可能とされたラック軸に連結されると共に、
B:前記ラック軸と同軸的にボールネジ機構が配置され、前記ラック軸に嵌合されたボールナットを電動モータで回転することによりラック軸を移動させて手動操舵力を補助する電動パワーステアリング装置において、
C:前記ラック軸及び前記電動モータが、該ラック軸の軸線と該電動モータの軸線とが所定の鋭角をなすように配置されていること
を特徴とする電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記ボールナットと前記電動モータとは、該ボールナットに固定された第1の傘歯車と、前記電動モータの出力軸に固定された第2の傘歯車とを噛合させることにより互いに連結されている請求項1の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記ラック軸、前記ボールナット及び電動モータは共通のハウジング内に収容されている請求項1の電動パワーステアリング装置。」

2.原査定の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、「本願の請求項1ないし3に係る発明は、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平2-254057号公報(以下、「引用例1」という。)及び特開平5-124524号公報(以下、「引用例2」という。)に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。

3.当審の判断
引用例1には、「電気式動力舵取装置」に関して、第1頁左下欄第5〜14行に、「ハウジングに軸承されたボ-ルネジを有するラックシャフトと、前記ボ-ルネジにボ-ルを介して螺合され、かつハウジングにベアリングを介して回転可能に支持されたナット、このナットとギヤ連動され操舵補助力を付与する電気モ-タとを備えた電気式動力舵取装置おいて、前記ナットとベアリングとを一体で軸方向の移動を許容して設け、ベアリングとハウジング間にラックシャフトの推力を吸収する弾性部材を介装したことを特徴とする気式動力舵取装置。」と記載され、また、第2頁右上欄第2〜8行に、「7は電気モ-タであり、ラックシャフト2と平行な軸線方向でハウジング1に固設されている。この電気モ-タ7の出力軸上のギヤ8と、前記ナット5の外径に固着したギヤ9とが噛合され、電気モ-タ7のトルクが前記ギヤ8,9によつて減速してナット5に伝達されるようになっている。」と記載されていることから、本願発明の構成要件A及びBに相当する事項は実質的に記載されていると認められる。しかし、当該引用例1に記載のものは、ラックシャフト2の軸線と電気モータ7の軸線とは平行であるので、本願発明の構成要件C「前記ラック軸及び前記電動モータが、該ラック軸の軸線と該電動モータの軸線とが所定の鋭角をなすように配置されていること」とは相違する。
また、引用例2には、出力軸3の軸線とステアリングホイールに加わる操作力を受ける入力軸1の軸線とが所定の鋭角をなすように配置する旨は記載されているが、引用例2の当該記載事項は、ラック軸の軸線と電動モータの軸線とが所定の鋭角をなすように配置することまでも示唆するものとはいえない。
そうすると、引用例1及び2のいずれにも、本願発明の構成要件C「前記ラック軸及び前記電動モータが、該ラック軸の軸線と該電動モータの軸線とが所定の鋭角をなすように配置されていること」は、記載あるいは示唆されているとはいえない。
そして、本願発明は、構成要件Cとしたことによって、電動モータとラック軸とを近接させ、電動パワーステアリング装置の寸法を小さくすると共に逆入力時の騒音低減を図り、更に電動モータのギア部のイナーシャを小さくして電動パワーステアリング装置の制御性・操作性を向上させるという独自の効果を奏するものと認められる。
よって、本願発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、本願の請求項2,3に係る発明は、本願発明を更に限定するものであるから、上記本願発明についての判断と同様の理由により、上記引用例1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4.むすび
したがって、本願の請求項1ないし3に係る発明は、引用例1及び2に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、本願については、原査定の拒絶の理由を検討しても、その理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2006-02-10 
出願番号 特願平7-18007
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B62D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大谷 謙仁  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 永安 真
柴沼 雅樹
発明の名称 電動パワーステアリング装置  
代理人 越智 隆夫  
代理人 加藤 伸晃  
代理人 本宮 照久  
代理人 高梨 憲通  
代理人 藤野 育男  
代理人 臼井 伸一  
代理人 朝日 伸光  
代理人 岡部 正夫  
代理人 高橋 誠一郎  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 産形 和央  

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