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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1131640
審判番号 不服2002-9317  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-08-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-23 
確定日 2006-02-15 
事件の表示 特願2000- 44501「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 8月28日出願公開、特開2001-231989〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成12年2月22日の出願であって、その請求項1乃至5に係る発明は、平成13年11月29日付で全文補正された明細書及び出願当初の図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次のとおりのものである。
【請求項1】判定結果表示用の複数の図柄を変動表示させた後に停止させて表示する画像表示部を備え、特別遊技状態発生判定手段による判定結果が特別遊技状態発生可の場合には前記図柄を特定の組合せで画像表示部に最終停止表示して特別遊技状態を発生させ、前記図柄の最終停止以前に、前記判定結果に対する情報を報知段階選択手段で選択された段階数に応じて段階的に予告報知するようにした遊技機において、
前記予告報知の段階数増加にしたがい予告報知における特別遊技状態発生に対する信頼度が高くなると共に、前記予告報知を、変動中の判定結果表示用図柄が当該変動中の図柄を2つ残して停止する直前と1つ残して停止する直前との少なくとも2段階とすることを特徴とする遊技機。(以下「本願発明」という)

2.刊行物に記載された発明
刊行物1:特開平10-127883号公報
刊行物2:特開平7-68032号公報
刊行物3:“パチスロ必勝ガイド 1998 4月号”,
株式会社白夜書房,平成10年4月1日,第9巻,第5号
刊行物4:“パチスロ必勝ガイド8月号増刊
サンダーV 世紀末雷神伝説”,
株式会社白夜書房,平成10年8月1日,第9巻,第10号

原査定の拒絶の理由に引用され本願出願前に頒布された、特開平10-127883号公報(以下「刊行物1」という)の
段落番号【0008】には、「そこで本発明は、最後まで目が離せないような効率の良いリーチ状態を発生可能で、大当りへの期待感を十分に向上させることのできる遊技機を提供することを目的としている。」と記載され、
段落番号【0011】には、「【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態をパチンコ遊技機に適用した一実施例として図面を参照して説明する。
A.遊技盤の構成
図1はパチンコ遊技を行う遊技機の遊技盤を示す正面図である。図1において、1は遊技盤であり、前面の略円形領域がガイドレール2で囲まれることにより遊技領域3が形成されている。この遊技領域3には、複数の識別情報(以下、特別図柄、或いは特図という)を表示する識別情報表示部と、背景表示を行う背景表示部とを有する表示領域4aを備えた特別図柄表示装置4(可変表示装置)と、・・・などが備えられている。」と記載され、
段落番号【0015】には、「また本発明では、遊技盤における遊技領域はどのようなものでもよく、複数の識別情報を表示可能な可変表示装置(ここでは特別図柄表示装置4)を備え、識別情報の停止表示態様が特別停止態様(「2」、「2」、「2」等のゾロ目図柄)になったことに基づき所定の遊技価値(大当り状態)を付与可能な遊技機であって、可変表示装置を識別情報表示部と背景表示部に分けて表示制御を行うことが可能な遊技機であれば、任意の構成を取り得る。・・・」と記載され、
段落番号【0023】には、「C.遊技の概要
次に、役物制御回路100の制御フローを説明する前に、本実施例の遊技機で行われる遊技の概要について説明する。ガイドレール2を介して遊技領域中に打込まれた遊技球が、特別図柄始動口を兼ねた普通変動入賞装置6に入賞すると、特別図柄表示装置4の表示領域4aにおいて多数の識別図柄(数字、文字、記号、図柄等よりなるもの)が移動(スクロール)する表示(いわゆる変動表示)が行われて、変動表示ゲーム(画像変動遊技)が行われる。そして、この変動表示ゲーム結果としての停止表示態様が所定の態様(例えば、「7、7、7」などのゾロ目)であれば、大当りと呼ばれる特別遊技状態が発生する。」と記載され、
段落番号【0040】には、「(b)リーチ態様決定処理のサブルーチン
次に、図4に示すメインルーチンのステップS20で行われる変動処理中に行われるサブルーチンで、リーチをどの態様で発生させるかを決定するリーチ態様決定処理の詳細について、図7および図8により説明する。このサブルーチンが開始されると、まずステップS50で大当りか否かを判別する。大当りか否かは、乱数抽出による大当り判定によって決定される。大当りでなければ、ステップS82にジャンプする(詳細は後述)。大当りであれば、ステップS52に進んでリーチパターン決定用乱数の抽出を行う。なお、大当り発生の場合、必ず、その前にリーチが発生する。リーチ発生の態様には複数種類のパターンがあり、そのリーチパターンを決定するのがリーチパターン決定用乱数で、0〜99の乱数がある。次いで、ステップS54で抽出したリーチパターン決定用乱数に応じてリーチ種類の振り分け処理を行う。」と記載され、
段落番号【0041】には、「ステップS54のリーチ種類の振り分け処理におけるリーチ種類(大当り時のリーチの種類)には、リーチA〜リーチCの3つのパターンがあり、リーチパターン決定用乱数が0〜9であればステップS56に分岐してリーチAにする。したがって、リーチAへの振り分け率は10%となる。リーチパターン決定用乱数が10〜49であればステップS58に分岐してリーチBにする。したがって、リーチBへの振り分け率は40%となる。また、リーチパターン決定用乱数が50〜99であればステップS60に分岐してリーチCにする。したがって、リーチCへの振り分け率は50%となる。リーチAは通常のリーチ、リーチBはおやじリーチ、リーチCは背景変化リーチである。この振り分け処理により、大当り発生時のリーチの態様は、高い確率でリーチCに、やや高い確率でリーチBに、低い確率でリーチAにそれぞれ振り分けられる。」と記載され、
段落番号【0042】には、「リーチAあるいはリーチBの場合は、ステップS72にジャンプする。一方、リーチCの場合は、ステップS62に進んで再度リーチ種類の振り分け処理を行う。ステップS62のリーチ種類の振り分け処理におけるリーチ種類には、春リーチ〜冬リーチの4つのパターンがあり、リーチパターン決定用乱数が50〜54であればステップS64に分岐して春リーチにする。したがって、春リーチへの振り分け率は10%(リーチA、リーチBを含めたリーチ全体での春リーチへの振り分け率は5%)となる。春リーチは、背景が春の背景になるリーチである(図柄が1周するまで)。リーチパターン決定用乱数が55〜64であればステップS66に分岐して夏リーチにする。したがって、夏リーチへの振り分け率は20%(リーチA、リーチBを含めたリーチ全体での夏リーチへの振り分け率は10%)となる。夏リーチは、背景が春の背景から夏の背景まで変化するリーチである(図柄が2周するまで)。」と記載され、
段落番号【0043】には、「リーチパターン決定用乱数が65〜79であればステップS68に分岐して秋リーチにする。したがって、秋リーチへの振り分け率は30%(リーチA、リーチBを含めたリーチ全体での秋リーチへの振り分け率は15%)となる。秋リーチは、背景が春→夏→秋に変化するリーチである(図柄が3周するまで)。リーチパターン決定用乱数が80〜99であればステップS70に分岐して冬リーチにする。したがって、冬リーチへの振り分け率は40%(リーチA、リーチBを含めたリーチ全体での秋リーチへの振り分け率は20%)となる。冬リーチは、背景が春→夏→秋→冬に変化するリーチである(図柄が4周するまで)。なお、リーチの始まりは必ず春の背景からである。この振り分け処理により、大当り発生時のリーチの態様でリーチCになった場合は、高い確率で冬リーチに、やや高い確率で秋リーチに、やや低い確率で夏リーチに、低い確率で春リーチに、それぞれ振り分けられる。」と記載され、
段落番号【0044】には、「ここでの説明は大当りが発生する場合であるが、春リーチ〜冬リーチのうち、冬リーチは必ず大当りが発生するもの(大当り時以外の振り分けがないもの)であり、それ以外の春リーチ〜秋リーチは大当りの発生率が春、夏、秋の順に高くなる。そして、春リーチ〜秋リーチの場合には、外れもありえるようになっている。・・・」と記載され、
段落番号【0064】には、「(e)リーチC(背景変化リーチ)の動作
図15、図16はリーチCの動作に対応する特別図柄表示装置4の表示画像を示す図である。リーチCの動作は、春、夏、秋、冬の順で背景が逐次変化(ただし、春リーチの場合は春の背景で終了、夏リーチの場合は春→夏と変化する背景で終了、秋リーチの場合は春→夏→秋と変化する背景で終了、冬リーチの場合は春→夏→秋→冬と変化する背景で終了)していく背景変化リーチである。リーチCに移行した場合、リーチパターン決定用乱数の抽出結果に応じて春、夏、秋、冬の何れかの背景リーチが発生することになる。まず、図15(a)に示すように画面上でリーチ発生が確定する(この例では「夏、-、夏」の図柄でリーチが確定し、このとき背景画像はない)。」と記載され、
段落番号【0068】には、「・・・そして、春、夏、秋、冬と背景が変化するに従って大当りの発生率が高くなる。したがって、遊技者にしてみると、背景変化リーチが発生すると、季節の変化に応じて(つまり、季節が進行するに従って)大当りへの期待感が高まり、わくわくしたり、どきどきしたりして極めて遊技の興趣をそそられる演出になる。」と記載され、
段落番号【0069】には、「以上のように本実施例では、特別図柄表示装置4の表示領域4aに特図を表示する識別情報表示部と、背景表示を行う背景表示部とを設け、特別停止態様の停止表示の可能性が発生(リーチが発生)したことに基づき背景表示の変更制御が行われとともに、特別停止態様の停止表示と背景表示の変更とを関連付けた制御(例えば、大当りの発生と背景画とを関連付けた制御)が行われる。例えば、背景表示の変更では、段階的な進行状態(春、夏、秋、冬というような背景でリーチ背景が進行する状態)で背景変更の制御が行われ、背景表示の進行状態が進むことに応じて特別停止態様の停止表示の可能性を高めるように特別停止態様の停止表示と背景表示の変更とを関連付けた制御が行われる。例えば、背景が冬画像である冬リーチまで発展した場合は、必ず大当りが発生し、それ以外の背景が春〜秋画像である春リーチ〜秋リーチの場合は大当りの発生率が春、夏、秋となるに従って高くなる。また、春リーチ〜秋リーチの場合には、外れもありえる。・・・」と記載され、
段落番号【0070】には、「したがって、図柄(識別情報)の表示の他に背景表示の変更によっても、特別停止態様の発生(大当りの発生)が左右されることとなり、従来にない斬新なリーチ表示を行うことができ、特別図柄表示装置4における表示領域4a全体を効率良く利用して、大当りへの期待感を十分に向上させることができる。また、背景表示の変更では段階的な進行状態で背景変更の制御が行われ、当該背景表示の進行状態が進むことに応じて特別停止態様の停止表示の可能性を高めるように特別停止態様の停止表示と背景表示の変更とを関連付けた制御が行われることにより、リーチ状態が進むにつれて、背景表示が段階的に変化し、背景表示が変化するほど大当りの発生を高めるように制御される(つまり、春リーチ〜冬リーチの場合に大当りの発生率が春、夏、秋、冬となるに従って高くなる)ので、リーチが発生する度に背景が変化すると、大当りへの期待感が格段に高まり、最後まで目を離せないような効率の良いリーチ状態を実現することができ、興趣の向上した遊技機にすることができる。」と記載され、
段落番号【0075】には、「請求項2記載の発明によれば、背景表示の変更では、段階的な進行状態で背景変更の制御を行い、該背景表示の進行状態が進むことに応じて、特別停止態様の停止表示の可能性を高めるように、該特別停止態様の停止表示と該背景表示の変更とを関連付けた制御を行うことにより、特別停止態様の停止表示の可能性の状態(例えば、リーチ状態)が進むにつれて、背景表示が段階的に変化し、背景表示が変化するほど大当りの発生を高めるように制御される(例えば、背景画像が季節であるとき、春リーチ〜冬リーチの場合に大当りの発生率が春、夏、秋、冬となるに従って高くなる)ので、リーチが発生する度に背景が変化すると、大当りへの期待感が格段に高まり、最後まで目を離せないような効率の良いリーチ状態を実現することができ、興趣の向上した遊技機にすることができる。」とそれぞれ記載されている。
したがって、これらの記載と、図面、特にリーチ態様決定処理のサブルーチンを示すフローチャートである【図7】に示された事項を併せると、
刊行物1には、
「複数の識別情報を変動表示させた後に停止させて表示する識別情報表示部と背景を表示する背景表示部とを有する表示領域4aを備えた特別図柄表示装置4を備え、前記複数の識別情報の停止表示態様がゾロ目などの特別停止態様になったことに基づき大当りと呼ばれる特別遊技状態を発生させ、リーチが発生すると、リーチパターン決定用乱数の数値によりリーチA〜リーチCの3つに振り分けられたパターンの何れかのリーチ表示を行うパチンコ遊技機において、
リーチCに振り分けられた場合には、春の背景になる春リーチと、背景が春→夏に変化する夏リーチと、背景が春→夏→秋に変化する秋リーチと、背景が春→夏→秋→冬に変化する冬リーチとの4つのパターンの何れかに再度振り分けられ、春、夏、秋、冬と背景が段階的に変化するに従って大当りの発生率が高くなるように特別停止態様の停止表示と背景表示の変化とを関連付けた制御を行うと共に、前記リーチ表示を、リーチ発生が確定すると行う、
大当りへの期待感が高まり、遊技の興趣をそそられる演出をできるパチンコ遊技機。」の発明(以下、「刊行物1に記載された発明」という)が記載されていると認められる。

原査定の拒絶の理由に周知技術として引用された、特開平7-68032号公報(以下「刊行物2」という)の
段落番号【0006】には、「【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明する。まず、図7を参照して実施例に係る弾球遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の遊技盤1の構成について説明する。図において、遊技盤1のほぼ円状に設けられた誘導レール2の内側が遊技領域3として構成され、該遊技領域3のほぼ中央に可変表示装置30が配置されている。可変表示装置30は、特定遊技状態の一種である権利発生遊技状態を間接的に生起せしめるLCD表示器32と・・・とを含んで構成される。・・・」と記載され、
段落番号【0016】には、「まず、図1において、LCD表示器32の表示領域は、表示領域の上約2/3を占める特別図柄表示領域40と下約1/3を占める普通図柄表示領域50とに区画され、特別図柄表示領域40には、複数(3つ)の特別図柄41が表示され、普通図柄表示領域50には、「1〜0」の10個の普通図柄51と、「1〜4」の4個の通過記憶表示図柄52とが表示される。・・・」と記載され、
段落番号【0019】には、「更に、特別図柄表示領域40に表示される特別図柄41について図2を参照して説明すると、・・・即ち、図2に示す特別図柄表示領域40においては、複数列の特別図柄41が上から下に向けて回転しているように表示され、その特別図柄41の変動表示領域の上部に確変図柄42が表示されると共に、遊技の進行に伴ってい発生する遊技状態を予告的に報知する予告表示図柄60〜62が順次表示されるようになっている。・・・」と記載され、
段落番号【0028】には、「前記ステップ30のLCDコントロール処理は、図6(B)に示すように行われる。即ち、ステップ300でリーチフラグがセットされているか否かが判別され、セットされていればステップ310でリーチになる前にLCD制御処理を実行する。このリーチ前のLCD制御処理は、図2(A)に示すように、左列の特別図柄41が停止した段階でリーチ予告表示図柄60(図示では、リーチという文字)を表示する制御である。次いで、ステップ320で高確率フラグがセットされているか否かが判別され、セットされていればステップ330で高確率状態のLCD制御処理を実行する。この高確率状態のLCD制御処理は、図2(B)に示すように、左右2列の特別図柄41が停止してリーチ表示をしている段階で大当りとなる確率が高い旨を予告する高確率予告表示図柄61(図示では、GOという文字)を表示する制御である。さらに次いで、ステップ340で大当りフラグがセットされているか否かが判別され、セットされていればステップ350で大当りになる前にLCD制御処理を実行する。この大当り前のLCD制御処理は、図2(C)に示すように、最後に停止する中列の特別図柄41の変動が停止する前の段階で大当りとなる旨を予告する大当り予告表示図柄62(図示では、ボーナスという文字)を表示する制御である。したがって、大当りであるときには、各予告表示図柄60〜62が各段階で順次表示されるようになっている。」とそれぞれ記載されている。
したがって、これらの記載と、図面、特に、特別図柄表示領域に表示される特別図柄の変動状態時における表示内容を示すLCD表示器の正面図である【図2】に示された事項を併せると
刊行物2には、
「大当りであるときには、予告的に報知する予告表示図柄60〜62が各段階で順次表示されるパチンコ遊技機において、
左列の特別図柄41が停止した段階で「リーチ」という文字のリーチ予告表示図柄60を表示し、左右2列の特別図柄41が停止してリーチ表示をしている段階で大当りとなる確率が高い旨を予告する「GO」という文字の高確率予告表示図柄61を表示し、最後に停止する中列の特別図柄41の変動が停止する前の段階で大当りとなる旨を予告する「ボーナス」という文字の大当り予告表示図柄62を表示する、パチンコ遊技機」の発明が記載されていると認められる。

本願出願前に頒布された、“パチスロ必勝ガイド 1998 4月号”,株式会社白夜書房,平成10年4月1日,第9巻,第5号(以下「刊行物3」という)の、
第4乃至5頁には、「解析&攻略フラッシュ炸裂の超巨大特集」「サンダーV」と記載され、
第5頁見出し及び本文第1段第1乃至21行には、「予告音・消灯・フラッシュがワンセットの「予告機能テーブル」が全ての鍵を握る!!」
「状態に応じテーブルで一連の動作を抽選する」
「リール回転開始時に発生する「予告音」、各リールを止めた時の「バックライト消灯」、そして全リール停止直後の「フラッシュ」…これら三要素によって、ボーナスフラグ成立への期待感を段階的に演出していくチャンス予告システム。それを司っていたのは、成立フラグに応じて選択される「予告機能テーブル」だった。これは、・・・レバーを叩いた直後…すなわち「役判定の直後」に、数種類あるテーブルの中から当選役に応じて選択され、そこに記された内容に従って一連の動作が実行される仕組み。プログラム上での位置づけとしては、多種多彩な出目の組み合わせを作り出すリール制御用テーブルと同等…と考えて頂いて差し支えないだろう。」と記載され、
第5頁左の「基本的なゲームの流れ」の図には、「予告音が鳴った」の記載に続いて「リールランプが消灯」及び「1つ消灯 2つ消灯 3つ消灯」及び「フラッシュした?」と記載され、
第6頁見出し及び本文第1段第1行乃至第2段第1行には、「状態別で複雑に交錯する予告システム!・・・」
「予告音→全消灯→フラッシュ…は全て鉄板!!」
「・・・多種多彩なチャンスパターンを生み出す源となっているのは、成立フラグや状態に対応して存在する「予告機能テーブル」である。・・・
各テーブルでは、予告音の有無→消灯の有無と消灯リール数→フラッシュの有無とその種類…と言った一連の動作が数パターンずつ事細かに指定されており、128を分母とする振り分け抽選によって、その中のいずれかが選択される仕組み。・・・」とそれぞれ記載され、
また、リールが3個設けられていることは刊行物の全体の記載から明らかであるから、
刊行物3には、「リール回転開始時に発生する「予告音」、リールを止めた時の「バックライト消灯」、そして全リール停止直後の「フラッシュ」よりなる一連の動作により、ボーナスフラグ成立への期待感を段階的に演出していく、ゲーム機におけるチャンス予告システムにおいて、「バックライト消灯」は3つのリールについて各リールを止めた時に行われる予告システム。」の発明が記載されていると認められる。

本願出願前に頒布された、“パチスロ必勝ガイド8月号増刊 サンダーV 世紀末雷神伝説”,株式会社白夜書房,平成10年8月1日,第9巻,第10号(以下「刊行物4」という)の、
第8頁見出しには、「音と光と大量リーチ目が高次元で融合する今世紀最強の超官能的回胴式遊技機 雷神サンダーV誕生!!」と記載され、
第9頁見出し及び本文第1段第1乃至21行には、「究極の期待感演出…それがチャンス予告」
「雷神サンダーVの雷神たる所以…それは、音と光を巧みに使った斬新かつ官能的な期待感演出機能「チャンス予告システム」にある。これこそがサンダーVの核心部分であり、・・・
チャンス予告システムは、3つの予告アクション…リール回転開始時の「予告音」、リールを止めていく過程での「バックライト消灯」、全リール停止直後の「フラッシュ」によって構成される。」と記載され、
第9頁左下の「基本的なゲームの流れ」の図には、「予告音が鳴った」の記載に続いて「リールランプが消灯」及び「1つ消灯 2つ消灯 3つ消灯」及び「フラッシュした?」と記載され、
第16頁見出し及び本文第1段第1行乃至第3段第2行には、「予告音・消灯・フラッシュがワンセットの状態別テーブルがチャンス予告全ての鍵を握る!!
予告機能テーブル徹底解説」
「ドラマの筋書きは予め決まっている」
「レバーを叩いた直後の「予告音」、各リールを止めた時の「バックライト消灯」、全リール停止直後の「フラッシュ」…これら三要素によって、ボーナスへの期待感を段階的に演出していくチャンス予告システム。その源となっているのは、成立フラグに応じて抽選・選択される「予告機能テーブル」である。
これは、予告音・消灯・フラッシュがワンセットで管理されているもので、数種類ある中から役判定の結果に適応するものがひとつ選ばれ、その内容に従って一連の動作が実行される仕組み。プログラム上の位置づけとしては、リール制御用のテーブルと全く同じと言えるだろう。
各テーブルでは、予告音の有無→消灯の有無と消灯リール数→フラッシュの有無とその種類…と言った一連の予告動作が数パターンずつ事細かに指定されており、128を分母とする振り分け抽選によってその中のいずれかが選択される。」とそれぞれ記載され、
また、リールが3個設けられていることは刊行物の全体の記載から明らかであるから、
刊行物4には、「リール回転開始時の「予告音」、リールを止めていく過程での「バックライト消灯」、全リール停止直後の「フラッシュ」によって構成される3つの予告アクションにより、ボーナスへの期待感を段階的に演出していく、遊技機におけるチャンス予告システムにおいて、「バックライト消灯」は3つのリールについて各リールを止めた時に行われる予告システム。」の発明が記載されていると認められる。

3.比較・検討
本願発明と刊行物1に記載された発明とを比較すると、
刊行物1に記載された発明の「複数の識別情報」は本願発明の「複数の図柄」に相当し、以下同様に、「変動表示」は「変動表示」に、「特別図柄表示装置4」は「画像表示部」に、「特別停止態様になったこと」は「特定の組合せで最終停止表示」に、「特別遊技状態」は「特別遊技状態」に、「リーチ表示」は「予告報知」に、「パチンコ遊技機」は「遊技機」に、「背景が段階的に変化するに従って大当りの発生率が高くなる」は「段階数増加にしたがい特別遊技状態発生に対する信頼度が高くなる」に、それぞれ相当する。そして、「複数の図柄」が「判定結果表示用」であり、「リーチが発生する」のは「図柄の最終停止以前」であるのは、遊技機の技術常識からみて明らかであり、また刊行物1に記載された発明の「リーチパターン決定用乱数の数値によりリーチCに振り分けられた場合に、背景が春→夏→秋→冬に段階的に変化する」技術事項は本願発明の「情報を報知段階選択手段で選択された段階数に応じて段階的に予告報知する」技術事項に相当するから、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。

一致点
判定結果表示用の複数の図柄を変動表示させた後に停止させて表示する画像表示部を備え、前記図柄を特定の組合せで画像表示部に最終停止表示して特別遊技状態を発生させ、前記図柄の最終停止以前に、報知段階選択手段で選択された段階数に応じて段階的に予告報知するようにした遊技機において、
前記予告報知の段階数増加にしたがい予告報知における特別遊技状態発生に対する信頼度が高くなる、遊技機。

相違点(A)
特別遊技状態の発生が、本願発明では、特別遊技状態発生判定手段による判定結果が特別遊技状態発生可の場合に複数の図柄を特定の組合せで画像表示部に最終停止表示して発生させるのに対し、刊行物1に記載された発明では、複数の図柄を特定の組合せで画像表示部に最終停止表示して発生させる点。
相違点(B)
本願発明では、特別遊技状態発生判定手段による判定結果に対する情報を予告報知するのに対し、刊行物1に記載された発明では、最終停止表示(特別停止態様の停止表示)と関連付けて予告報知(背景変化リーチ表示)する点。
相違点(C)
予告報知を、本願発明では、変動中の判定結果表示用図柄が当該変動中の図柄を2つ残して停止する直前と1つ残して停止する直前との少なくとも2段階とするのに対し、刊行物1に記載された発明では、リーチ発生が確定すると行う点。

そこで、上記相違点について検討する。
相違点(A)について
遊技機において、大当たりか外れかを判定するためのカウンタ及び大当たり時に停止表示させる図柄を決定させるための別のカウンタを備え、カウンタの大当たりの判定時に前記別のカウンタにより決定された大当たり図柄を停止表示させることは、通常、おこなわれていることであるから、相違点(A)に係る本願発明を特定する事項とすることは、当業者が容易になし得たものである。
相違点(B)について
最終停止表示図柄が特別遊技状態発生判定手段の判定結果に関連して決定されることは、上記の「相違点(A)について」に記載したように、通常、採用されている技術事項であるから、刊行物1に記載された発明に当該技術事項を適用する際に、最終停止表示と関連付けて予告報知するのに替えて、特別遊技状態発生判定手段による判定結果に対する情報を予告報知するようにすることは、当業者が容易になし得たものである。
相違点(C)について
予告報知を、判定結果表示用図柄が変動中の少なくとも2段階とすることは、例えば、上記の刊行物2乃至4に記載されているように当該技術分野においては周知・慣用の技術である。そして、変動中の複数の図柄の各々に対してどの段階で報知するかは遊技の進行状況を考慮して、当業者が適宜決定できる事項であるから、相違点(C)に係る本願発明の発明を特定する事項とすることは、刊行物1に記載された発明及び周知・慣用技術に基づいて当業者が容易になし得たものである。

また、効果の点においても、刊行物1には、「大当りへの期待感を十分に向上させることのできる遊技機を提供する」及び「興趣の向上した遊技機にすることができる」と記載されているから、本願発明が格別の効果を有するとは認められない。

4.むすび
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知・慣用技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-01 
結審通知日 2005-12-06 
審決日 2005-12-20 
出願番号 特願2000-44501(P2000-44501)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 川島 陵司
渡部 葉子
発明の名称 遊技機  
代理人 後藤 憲秋  

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