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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1131964
審判番号 不服2002-15403  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-02-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-08-12 
確定日 2006-02-24 
事件の表示 特願2000-242428「情報検索システム」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月20日出願公開、特開2002- 56030〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
出願 平成12年 8月10日
拒絶理由通知(一回目) 平成13年10月12日
意見書(一回目) 平成13年12月17日
手続補正書(一回目) 平成13年12月17日
拒絶理由通知(二回目) 平成14年 1月30日
意見書(二回目) 平成14年 4月 3日
手続補正書(二回目) 平成14年 4月 3日
拒絶理由通知(三回目、最後) 平成14年 4月19日
意見書(三回目) 平成14年 6月24日
手続補正書(三回目) 平成14年 6月24日
補正却下の決定(平成14年6月24日付け手続補正書(三回目)について) 平成14年 7月12日

拒絶査定 平成14年 7月12日
審判請求書 平成14年 8月12日
手続補正書 平成14年 9月11日

2.原審において、平成14年7月12日付けでされた補正却下の決定についての当審の判断
本願は、原審において、平成14年7月12日付けで、平成14年6月24日付け手続補正についての補正却下の決定をした上で拒絶査定をしているので、上記補正却下の決定について、まず検討する。
2-1.平成14年7月12日付け補正却下の決定の概要
平成14年7月12日付けの補正却下の決定は、平成14年4月19日付けで原審で通知された最後の拒絶理由に対してなされた平成14年6月24日付け手続補正が、特許法第17条の2第3項第2号の補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものでなく、特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により、却下するというものである。
2-2.平成14年6月24日付け手続補正の内容
平成14年6月24日付け手続補正は、特許請求の範囲の請求項1を、平成14年4月3日付け手続補正書に記載された
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け、この各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成され、これらの関連ポータルサイトの各々同じ表示構成の画面内に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替える地域選択部のクリックボタンと、選択した県のポータルサイトに画面を切り替えるクリックボタンとを各々設け、各関連ポータルサイトの県名選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタンをクリック操作することにより、所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも直接移行可能としたことを特徴とする情報検索システム。」
から、
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け、この各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成され、これらの関連ポータルサイトの各々同じ表示構成の画面内の上方に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替える地域選択部のクリックボタンと、選択した県のポータルサイトに画面を切り替えるクリックボタンとを各々設け、各関連ポータルサイトの画面上方の、県名選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタンをクリック操作することにより、所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも直接移行可能としたことを特徴とする情報検索システム。」(以下、「補正後の発明」という。)
へと補正しようとするものである。
2-3.当審の判断
(1)平成14年6月24日付け補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「画面内に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替えるクリックボタン」を「画面内の上方に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替えるクリックボタン」として、「画面を切り替えるクリックボタン」が「画面内の上方」であるとの限定をし、「上記各関連ポータルサイトの、県名選択用のクリックボタン」を「上記各関連ポータルサイトの、県名選択用のクリックボタン」として、「県名選択用のクリックボタン」が「画面上方」であるとの限定をするものであるから、特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができものであるか否か、以下、検討する。
(2)原審が通知した最後の拒絶理由の概要は、本件請求項1において特定される発明は、以下の引用例1ないし9に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるというものである。
引用例1:YAHOO! JAPAN ホーム:地域情報:都道府県[オンライン],日本,1999年5月8日,http://web.archive.orgにて平成14年1月30日検索[http://web.archive.org/web/*/http://www.yahoo.co.jp/Regional/Prefectures/],
http://web.archive.org/web/19990508100814/http://www.yahoo.co.jp/Regional/Prefectures/
引用例2:YAHOO! JAPAN ホーム:地域情報:日本の地方:北陸:富山[オンライン],日本,1999年10月2日,http://web.archive.orgにて平成14年1月30日検索[http://web.archive.org/web/*/http://www.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokuriku/Toyama/],
http://web.archive.org/web/19991002141115/http://www.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokuriku/Toyama/
引用例3:YAHOO! JAPAN ホーム:地域情報:日本の地方:北陸:石川[オンライン],1998年12月6日,http://web.archive.orgにて平成14年1月30日検索[http://web.archive.org/web/*/http://www.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokuriku/Ishikawa/],
http://web.archive.org/web/19981206135520/http://www30.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokuriku/Ishikawa/
引用例4:YAHOO! JAPAN ホーム:地域情報:日本の地方:北陸:福井[オンライン],日本,1998年12月7日,http://web.archive.orgにて平成14年1月30日検索[http://web.archive.org/web/*/http://www.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokuriku/Fukui/],
http://web.archive.org/web/19981207070707/http://www01.yahoo.co.jp/Regional/Japanese_Regions/Hokuriku/Fukui/
引用例5:Yahoo! JAPAN[オンライン],日本,2000年7月11日,http://web.archive.orgにて平成14年4月19日検索,[http://web.archive.org/web/*/http://www.yahoo.co.jp]
http://web.archive.org/web/20000711063349/http://www.yahoo.co.jp
引用例6:Yahoo![オンライン],米国,2000年7月11日,http://web.archive.orgにて平成14年4月19日検索,[http://web.archive.org/web/*/http://www.yahoo.com]
http://web.archive.org/web/20000711063958/http://www.yahoo.com
引用例7:岡村秀昭,NTTの番号検索サービスを使う-パソコンを使って安く正確に電話番号を調べる,日経PC21,日本,日経BP社,1999年2月1日,第4巻第2号,p.100-107
引用例8:清水隆夫,Topics-アトラスRD首都圏for Windows 95 ユーザの助言が随所に光り完成度の高い電子地図ソフト,PC WAVE,日本,株式会社ラッセル社,1996年6月1日,第4巻 第6号,p.42-45
引用例9:実用新案登録第3038785号公報 (「登録実用新案第3038785号公報」の誤り)
(3)そして、上記各引用例には、それぞれ、次の事項が図面とともに記載されている。
[引用例1]
YAHOO!JAPAN の「ホーム:地域情報:」の「都道府県」のページには、都道府県の一覧が掲載されており、それぞれの都道府県のページにリンクが張られている点が看取される。
[引用例2]
YAHOO!JAPAN の「ホーム:地域情報:日本の地方:北陸:」の「富山」のページには、「富山」県の情報を提供する情報サイトを所定のテーマごとに分けて、それぞれ、複数の情報サイトにリンクが張られている点が看取される。
[引用例3]
YAHOO!JAPAN の「ホーム:地域情報:日本の地方:北陸:」の「石川」のページには、「石川」県の情報を提供する情報サイトを所定のテーマごとに分けて、それぞれ、複数の情報サイトにリンクが張られている点が看取される。
[引用例4]
YAHOO!JAPAN の「ホーム:地域情報:日本の地方:北陸:」の「福井」のページには、「福井」県の情報を提供する情報サイトを所定のテーマごとに分けて、それぞれ、複数の情報サイトにリンクがを張られている点が看取される。
[引用例5]
YAHOO!JAPANのページには、「世界のYahoo!」として、「アメリカ-カナダ-ブラジル・・・」の各国のサイトにリンクが張られている点が看取される。
[引用例6]
YAHOOのページには、「Local Yahoo!s」として、「・・・-India-Japan-Korea-・・・」の各国のサイトにリンクが張られている点が看取される。
[引用例7]
(1)104頁4段目左から3行目〜105頁1段目右から2行目には、「「エリア」は、プルダウンメニューから都道府県を選べる(図20)。「検索実行」ボタンをクリックすれば、検索が実行される(図21)。」と記載されている。
(2)図20の説明には、「まず、企業名を直接指定して、検索してみよう。会社名欄に「NTT」と入力、エリアは、すぐ下のプルダウンメニューの中から「東京都」を選択する」と記載されている。
(3)図21の説明には、「エリア欄に「東京都」と入り、タイトルに大きく「東京都」と表示される。「検索実行」ボタンをクリックすると検索が始まる」と記載されている。
[引用例8]
(省略)
[引用例9]
(省略)
(4)ここで、上記引用例1ないし4から、次のような事実が認められる。
(a)引用例2の「富山」のページは、「富山」県の情報を提供する情報サイトを所定のテーマごとに分けて、それぞれ、複数の情報サイトにリンクが張られた「富山」県に関する「ポータルサイト」であり、引用例3の「石川」県のページは、「石川」県の情報を提供する情報サイトを所定のテーマごとに分けて、それぞれ、複数の情報サイトにリンクが張られた「石川」県に関する「ポータルサイト」であり、引用例4の「福井」県のページは、「福井」県の情報を提供する情報サイトを所定のテーマごとに分けて、それぞれ、複数の情報サイトにリンクが張られた「福井」県に関する「ポータルサイト」であること。
(b)「富山」県に関する「ポータルサイト」、「石川」県に関する「ポータルサイト」、「福井」県に関する「ポータルサイト」は、それぞれ、引用例1の「都道府県」のページからリンクが張られていること。
(c)引用例1ないし4を総合すると、引用例1ないし4の各ページの関連から、YAHOO!JAPANのホームページにおいて「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システム」が、実施されていたこと。
(5)上記(a)〜(c)の事実を総合すると、YAHOO!JAPANのホームページにおいて、
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる県毎の情報を提供するポータルサイトを各々の県のポータルサイトとして設け、この各県毎の各々の県のポータルサイトは都道府県のページからリンクが張られていることを特徴とする情報検索システム。」の発明が実施されていたものと認められる。
そして、YAHOO!JAPANのホームページは、本願の出願前に日本国内で広く知られていたものであるから、上記発明は、本願の出願前に日本国内において公然実施をされた発明である。(以下、「公然実施をされた発明」という。)
なお、原審では、上記「公然実施をされた発明」を「刊行物記載の発明」として認定しているが、どちらにしても特許法第29条第2項を適用することに違法性はないので、以下、「公然実施をされた発明」として対比判断する。
(6)補正後の発明(以下、「前者」という。)と、上記公然実施をされた発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、
後者の「各々の県のポータルサイト」は、「都道府県」のページからリンクが張られていて、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる情報を提供するのであるから、後者の「各々の県のポータルサイト」は、前者の「関連ポータルサイト」に相当する。
また、後者のものも、各々の県のポータルサイトは都道府県のページからリンクが張られていて、各々の県のポータルサイトから都道府県のページを介して何れの県のポータルサイトにも移行できることが、明らかであるから、後者の「各県毎の各々の県のポータルサイトは都道府県のページからリンクが張られている」との構成は、前者の「関連ポータルサイトは所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも移行可能とした」との構成に相当する。
そうすると、両者は、
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け、この関連ポータルサイトは所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも移行可能としたことを特徴とする情報検索システム。」
である点で一致し、次の点で相違している。
[相違点1]
前者では、「各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成され」ているのに対して、後者では、そうでない点。
[相違点2]
所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも移行可能とした構成に関して、前者では、何れの各関連ポータルサイトからも「直接移行可能」であるのに対して、後者では、何れの各関連ポータルサイトからも都道府県のページを介して移行可能である点。
[相違点3]
前者では、「関連ポータルサイトの各々同じ表示構成の画面内の上方に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替える地域選択部のクリックボタンと、選択した県のポータルサイトに画面を切り替えるクリックボタンとを各々設け、各関連ポータルサイトの画面上方の、県名選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタンをクリック操作することにより、」所望の県の関連ポータルサイトに、移行可能としているのに対して、後者では、そうでない点。
(7)上記相違点について検討すると、
[相違点1]について
サイトの表示構成をどのように設計するかは、サイトのデザインに関することであり、技術的事項ではないが、人が目で見る文書等を同じような様式にフォーマット化して見やすくすることは、普通に行われていることであり、インターネットのサイトの表示構成でも当然考えられることである。
この点は、引用例2の「富山」県のサイトも、引用例3の「石川」県のサイトも、引用例4の「福井」県のサイトも、同じような表示構成の画面にデザインされ、各県内の「エンターテインメント」、「教育」、「行政」等の異なる所定のテーマ毎に構成されていることからも明らかである。
したがって、各関連ポータルサイトを互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成するようにすることは、当業者であれば、当然考えることである。
そうすると、上記相違点1で挙げた前者のような構成を得ることは、当業者であれば容易に想到し得るものと認める。
[相違点2]について
上記引用例5のYAHOO!JAPANのホームページおよび上記引用例のYAHOOのホームページは、それぞれ日本国内又は外国において広く知られたホームページであり、本願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされていたものと認められる。
そして、上記引用例5および6から、YAHOO!JAPANのホームページには、「世界のYahoo!」として、「アメリカ-カナダ-ブラジル・・・」の各国のサイトにリンクが張られており、また、YAHOOのホームページには「Local Yahoo!s」として、「・・・-India-Japan-Korea-・・・」の各国のサイトにリンクが張られていて、地域間のサイトを国という同一のレベルで直接移行可能とすることが、日本国内又は外国において公然実施をされていたものと認められる。
そうすると、後者のように、何れの各関連ポータルサイトからも都道府県のページを介して移行可能であるような構成に代えて、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも直接移行可能とすることは、当業者であれば、容易に想到し得るものと認める。
[相違点3]について
上記引用例7の記載事項から、引用例7には、都道府県名を選択するクリックボタンと選択した都道府県の画面に切り替えるクリックボタンとを設け、選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタン(検索実行ボタン)をクリック操作することにより、画面を切り替える技術が開示されており、このような技術は本願の出願前に周知の技術と認められ、また、クリックボタンを画面内の上方に設けるようにして、画面をスクロールせずにクリック操作できるようにすることも、本願の出願前に周知の技術にすぎない(例えば、1997 November Nikkei Multimedia p195-199、p197の「表紙で”ショッピング”を目立たせる」の欄参照)から、各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面とし、所望の県の関連ポータルサイトに何れの関連ポータルサイトからも直接移行可能とすることが、上記相違点1および相違点2で述べたように容易であれば、その関連ポータルサイトの移行手段として上記周知の技術を採用することは、当業者であれば当然考えることである。
そうすると、上記相違点3において挙げた前者のような構成を得ることは、当業者であれば、容易に想到し得るものと認める。
また、補正後の発明の効果は、上記引用例および周知の技術から、当業者が予測できる範囲内のものである。
(8)以上のとおりであるから、本願の補正後の発明は、引用例に示された本願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明および周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許出願の際に独立して特許を受けることができないとして、原審において、補正却下の決定をしたことは妥当なものである。

3.平成14年9月11日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年9月11日付の手続補正を却下する。
[理由]
3-1.補正の内容
平成14年6月24日付け手続補正書についての平成14年7月12日付けの補正却下の決定は、妥当なものであるから、本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、平成14年4月3日付け手続補正書に記載された
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け、この各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成され、これらの関連ポータルサイトの各々同じ表示構成の画面内に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替える地域選択部のクリックボタンと、選択した県のポータルサイトに画面を切り替えるクリックボタンとを各々設け、各関連ポータルサイトの県名選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタンをクリック操作することにより、所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも直接移行可能としたことを特徴とする情報検索システム。」
から、
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる県毎の情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け、この各県毎の関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成され、これら各県毎の関連ポータルサイトの各々同じ表示構成の画面内の上方に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替える地域選択部のクリックボタンと、選択した県のポータルサイトに画面を切り替えるクリックボタンとを各々設け、上記各関連ポータルサイトの画面上方の、県名選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタンをクリック操作することにより、所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも直接移行可能としたことを特徴とする情報検索システム。」(以下、「本願補正発明」という。)
へと補正しようとするものである。
そして、上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「各々異なる情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け」を「各々異なる県毎の情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け」として、「各々異なる情報」が「県毎の」であるとの限定をし、また、「この各関連ポータルサイト」を「この各県毎の関連ポータルサイト」として、「各関連ポータルサイト」が「県毎の」であるとの限定をし、また、「これら関連ポータルサイト」を「これら各県毎の関連ポータルサイト」として、「関連ポータルサイト」が「各県毎の」であるとの限定をし、また、「画面内に、」を「画面内の上方に、」として、「クリックボタン」の配置が画面内「の上方」であるとの限定をし、また、「上記各関連ポータルサイトの、県名選択用のクリックボタン」を「上記各関連ポータルサイトの画面上方の、県名選択用のクリックボタン」として、「県名選択用のクリックボタン」が「画面上方」であるとの限定をし、また、「何れの各関連ポータルサイト」を「何れの各県毎の関連ポータルサイト」として、「関連ポータルサイト」が「県毎の」であるとの限定をするものであるから、特許法第17条の2第3項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第4項において準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について、以下に検討する。
3-2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された各引用例についての認定事項は、上記「2-3.(3)」に記載のとおりである。
引用例1ないし4から、
「2-3.(4)」に記載したように、
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる県毎の情報を提供するポータルサイトを各々の県のポータルサイトとして設け、この各県毎の各々の県のポータルサイトは都道府県のページからリンクが張られていることを特徴とする情報検索システム。」の発明が本願の出願前に日本国内において公然実施をされていたものと認められる。(以下、「公然実施をされた発明」という。)
3-3.対比・判断
(1)本願補正発明(以下、「前者」という。)と公然実施をされた発明(以下、「後者」という。)とを対比すると、
後者の「各々の県のポータルサイト」は、「都道府県」のページからリンクが張られていて、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる情報を提供するのであるから、後者の「各々の県のポータルサイト」は、前者の「関連ポータルサイト」に相当する。
また、後者のものも、各々の県のポータルサイトは都道府県のページからリンクが張られていて、各々の県のポータルサイトから都道府県のページを介して何れの県のポータルサイトにも移行できることが、明らかであるから、後者の「各県毎の各々の県のポータルサイトは都道府県のページからリンクが張られている」との構成は、前者の「各県毎の関連ポータルサイトは所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも移行可能とした」との構成に相当する。
そうすると、両者は、
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる県毎の情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け、この各県毎の関連ポータルサイトは所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも移行可能としたことを特徴とする情報検索システム。」
である点で一致し、次の点で相違している。
[相違点1]
前者では、「各県毎の各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成され」ているのに対して、後者では、そうでない点。
[相違点2]
所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも移行可能とした構成に関して、前者では、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも「直接移行可能」であるのに対して、後者では、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも、都道府県のページを介して移行可能である点。
[相違点3]
所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも移行可能とするための構成として、前者では、「各県毎の関連ポータルサイトの各々同じ表示構成の画面内の上方に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替える地域選択部のクリックボタンと、選択した県のポータルサイトに画面を切り替えるクリックボタンとを各々設け、各関連ポータルサイトの画面上方の、県名選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタンをクリック操作することにより、」所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも移行可能としているのに対して、後者では、そうでない点。
(2)上記相違点について検討すると、
[相違点1]について
サイトの表示構成をどのように設計するかは、サイトのデザインに関することであり、技術的事項ではないが、人が目で見る文書等を同じような様式にフォーマット化して見やすくすることは、普通に行われていることであり、インターネットのサイトの表示構成でも当然考えられることである。
この点は、引用例2の「富山」県のサイトも、引用例3の「石川」県のサイトも、引用例4の「福井」県のサイトも、同じような表示構成の画面にデザインされ、各県内の「エンターテインメント」、「教育」、「行政」等の異なる所定のテーマ毎に構成されていることからも明らかである。
したがって、各県毎の各関連ポータルサイトを互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成するようにすることは、当業者であれば、当然考えることである。
そうすると、上記相違点1で挙げた前者のような構成を得ることは、当業者であれば容易に想到し得るものと認める。
[相違点2]について
上記引用例5のYAHOO!JAPANのホームページおよび上記引用例のYAHOOのホームページは、それぞれ日本国内又は外国において広く知られたホームページであり、本願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされていたものと認められる。
そして、上記引用例5および6から、YAHOO!JAPANのホームページには、「世界のYahoo!」として、「アメリカ-カナダ-ブラジル・・・」の各国のサイトにリンクが張られており、また、YAHOOのホームページには「Local Yahoo!s」として、「・・・-India-Japan-Korea-・・・」の各国のサイトにリンクが張られていて、地域間のサイトを国という同一のレベルで直接移動可能とすることが、日本国内又は外国において公然実施をされていたものと認められる。
そうすると、後者のように、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも都道府県のページを介して移行可能であるような構成に代えて、何れの各県毎の関連ポータルサイトからも直接移行可能であるようにすることは、当業者であれば、容易に想到し得るものと認める。
[相違点3]について
上記引用例7の記載事項から、引用例7には、都道府県名を選択するクリックボタンと選択した都道府県の画面に切り替えるクリックボタンとを設け、選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタン(検索実行ボタン)をクリック操作することにより、画面を切り替える技術が開示されており、このような技術は本願の出願前に周知の技術と認められ、また、クリックボタンを画面内の上方に設けるようにして、画面をスクロールせずにクリック操作できるようにすることも、本願の出願前に周知の技術にすぎない(例えば、1997 November Nikkei Multimedia p195-199、p197の「表紙で”ショッピング”を目立たせる」の欄参照)から、各県毎の各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面とし、所望の県の関連ポータルサイトに何れの各県毎の関連ポータルサイトからも直接移行可能とすることが、上記相違点1および相違点2で述べたように容易であれば、その関連ポータルサイトの移行手段として上記周知の技術を採用することは、当業者であれば当然考えることである。
そうすると、上記相違点3において挙げた前者のような構成を得ることは、当業者であれば、容易に想到し得るものと認める。
また、本願補正発明の効果は、上記引用例および周知の技術から、当業者が予測できる範囲内のものである。
したがって、本願補正発明は、上記引用例に示された本願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明および周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(3)以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項で準用する同法第126条第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

4.本願発明について
平成14年9月11日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年4月3日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「インターネット上の複数のサイトにリンクが張られたポータルサイトを介した情報検索システムにおいて、所定のテーマに関する情報について複数の情報サイトにリンクされているとともに、各々県単位で地域情報に関するサイトにリンクし各々異なる情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け、この各関連ポータルサイトは互いに同じ表示構成の画面を有し、互いに同一カテゴリー内の異なる所定のテーマ毎に構成され、これらの関連ポータルサイトの各々同じ表示構成の画面内に、複数の県名が記載され他の県の関連ポータルサイトへ画面を切り替える地域選択部のクリックボタンと、選択した県のポータルサイトに画面を切り替えるクリックボタンとを各々設け、各関連ポータルサイトの県名選択用のクリックボタンに画面上のポインタをあわせてクリック操作し、画面切り替え用のクリックボタンをクリック操作することにより、所望の県の関連ポータルサイトに、何れの各関連ポータルサイトからも直接移行可能としたことを特徴とする情報検索システム。」

4-1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2-3.」に記載したとおりである。

4-2.対比・判断
本願発明は、前記3.で検討した本願補正発明から「各々異なる県毎の情報を提供するポータルサイトを関連ポータルサイトとして設け」についての限定事項である「県毎の」との構成を省き、「この県毎の関連ポータルサイト」についての限定事項である「県毎の」との構成を省き、「これら各県毎の関連ポータルサイト」についての限定事項である「各県毎の」との構成を省き、「画面内の上方に、」についての限定事項である「の上方」との構成を省き、「上記各関連ポータルサイトの画面上方の、県名選択用のクリックボタン」についての限定事項である「画面上方」との構成を省き、「何れの各県毎の関連ポータルサイト」についての限定事項である「県毎」との構成を省くものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「3-3.」に記載したとおり、上記引用例に示された本願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明および周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記引用例に示された本願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明および周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4-3.むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に示された本願の出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明および周知の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-12-22 
結審通知日 2005-12-28 
審決日 2006-01-11 
出願番号 特願2000-242428(P2000-242428)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高瀬 勤  
特許庁審判長 小林 信雄
特許庁審判官 篠原 功一
久保田 健
発明の名称 情報検索システム  
代理人 廣澤 勲  

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