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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H04N
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  H04N
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  H04N
管理番号 1132558
異議申立番号 異議2003-73239  
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-06-11 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-19 
確定日 2005-12-21 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3437294号「光電変換装置」の請求項1ないし12に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3437294号の請求項1ないし11に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3437294号の請求項1ないし12に係る発明は、平成6年11月29日に特許出願され、平成15年6月6日にその特許権の設定登録がなされ、その後、島田洋より特許異議の申立てがなされ、平成17年5月12日に取消理由が通知され、その指定期間内である平成17年7月25日に訂正請求がなされ、平成17年10月26日に取消理由が通知され、先の訂正請求が取り下げられ、その指定期間内である平成17年11月8日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「複数の蓄積型ラインセンサと、該蓄積型ラインセンサの蓄積状態を監視するモニタ回路と、該モニタ回路の出力を所定置と比較し該蓄積型センサの蓄積停止を判定し蓄積停止蓄積信号を出力する判定回路と、蓄積停止時に該蓄積型ラインセンサの蓄積信号を記憶するメモリ回路と、該メモリ回路からの蓄積信号の読み出しを制御する読み出し制御回路と、読み出し値をA/D変換するA/D変換器とにおいて、複数の該モニタ回路の出力を1つの出力に変換する最大値順次出力回路を有することを特徴とする光電変換装置。」を、
「複数の蓄積型ラインセンサと、前記複数の蓄積型ラインセンサの蓄積状態を監視する複数のモニタ回路と、前記モニタ回路の出力を所定置と比較し該蓄積型ラインセンサの蓄積停止を判定し蓄積停止蓄積信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた判定回路と、蓄積停止時に前記蓄積型ラインセンサの蓄積信号を記憶するメモリ回路と、前記メモリ回路からの蓄積信号の読み出しを制御する読み出し制御回路と、読み出し値をA/D変換するA/D変換器とを有する光電変換装置において、前記複数のモニタ回路の出力信号を共通のラインを介して順番に前記判定回路に出力する最大値順次出力回路と、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定値に達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記蓄積停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路とを有し、所定のタイミングで、前記複数のモニタ回路のうち最大値を示す前記モニタ回路の出力信号が、前記最大値順次出力回路を介して前記判定回路に出力され、前記所定値に達したと判定されることを特徴とする光電変換装置。」
と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項8の「前記判定回路から出力される蓄積停止信号は、前記蓄積型ラインセンサ毎に出力されることを特徴とする請求項1の光電変換装置。」を、削除する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項9の
「複数の蓄積型ライセンサと, 各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタし、各センサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する選択回路と、停止信号に応答して前記対象となるラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記選択回路の出力ライン及び前記停止信号の入力ラインを有する第1モジュールと、前記選択回路から順次選択されて対象となるラインセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるライセンサに対する出力ごとに独立して検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行い、各出力ごとに制御された時間にて停止信号を順次出力する、蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路から出力される停止信号の出力ラインと、前記選択回路の出力を入力する畜積時間制御回路の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、第1モジュールの選択回路の出力ラインと第2モジュールの蓄積時間制御回路の入力ラインと、第1モジュールの停止信号の入力ラインと第2モジュールの停止信号の出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。」を、請求項8として、
「複数の蓄積型ライセンサと, 各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、停止信号に応答して前記対象となるラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び前記停止信号の共通の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大値順次出力回路から順次選択されて対象となるラインセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるライセンサに対する出力ごとに独立して検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行い、各出力ごとに制御された時間にて前記停止信号を順次出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路から出力される停止信号の共通の出力ラインと、前記最大値順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、さらに、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定レベルに達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路を有し、前記第1モジュールの選択回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの停止信号の共通の入力ラインと前記第2モジュールの停止信号の共通の出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項10の
「複数の蓄積型ラインセンサと、各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタし、各センサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する選択回路と、各ラインセンサごとに対応して設けられ、対象となるラインセンサに対する停止信号に応答して対応するラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記選択回路の出力ライン及び各転送回路に対してそれぞれ独立に停止信号を入力するための複数の入力ラインを有する第1モジュールと、前記選択回路から順次選択されて対象となるライセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行い、各出力ごとに制御された時間にて停止信号を出力する蓄積時間制御回路と、該回路からの停止信号を対象となるラインセンサに対応して設けられた各転送回路へ伝えるための複数の出力ラインと、前記選択回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、第1モジュールの選択回路の出力ラインと第2モジュールの蓄積時間制御回路の入力ラインと、第1モジュールの各入力ラインと該ラインに対応する第2モジュールの各出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。」を、請求項9として
「複数の蓄積型ラインセンサと、各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、各ラインセンサごとに対応して設けられ、対象となるラインセンサに対する停止信号に応答して対応するラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び各転送回路に対してそれぞれ独立に停止信号を入力するための複数の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大順次出力回路から順次選択されて対象となるライセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行い、各出力ごとに制御された時間にて停止信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該積時間制御回路からの停止信号を対象となるラインセンサに対応して設けられた各転送回路へ伝えるための複数の出力ラインと、前記最大順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、前記第1モジュールの最大値順次出力回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの各入力ラインと該入力ラインに対応する前記第2モジュールの各出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。」
と訂正する。
オ.訂正事項e
特許請求の範囲の請求項11の、
「前記選択回路はピーク出力回路であることを特徴とする請求項9または10の光電変換装置。」を、請求項10として、
「前記最大値順次出力回路はピーク出力回路であることを特徴とする請求項8または9の光電変換装置。」と訂正する。
カ.訂正事項f
特許請求の範囲の請求項12の、
「前記選択回路はボトム出力回路であることを特徴とする請求項9または10の光電変換装置。」を、請求項11として、
「前記最大値順次出力回路はボトム出力回路であることを特徴とする請求項8または9の光電変換装置。」
と訂正する。
キ.訂正事項g
特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるため、明細書段落【0011】の記載を【0010】として内容を訂正し、【0017】の記載を削除し、【0037】の記載を【0016】として内容を訂正し、【0049】の記載を【0017】として内容を訂正し、【0142】の記載を【0104】として内容を訂正し、【0143】の記載を【0105】として内容を訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aないしfは、願書に添付された明細書に記載された事項の付加により、特許請求の範囲の減縮および明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、また、上記訂正事項gは、上記訂正事項aないしfと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
申立人島田洋は、請求項1ないし8に係る発明は、甲第1号証(特開昭62-212611号公報)、甲第2号証(特開平6-11645号公報)、甲第3号証(特開平3-163972号公報)、甲第4号証(特開平5-341180号公報)をもとに容易に発明をすることができたものであり、請求項9ないし12に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであり、また請求項1ないし12の記載には不備があり、特許法第36条第4、5項の規定により、特許を取り消すべきと主張している。

(2)本件の請求項1ないし11に係る発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし11に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明11」ともいう)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
【請求項1】 複数の蓄積型ラインセンサと、前記複数の蓄積型ラインセンサの蓄積状態を監視する複数のモニタ回路と、前記モニタ回路の出力を所定置と比較し該蓄積型ラインセンサの蓄積停止を判定し蓄積停止蓄積信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた判定回路と、蓄積停止時に前記蓄積型ラインセンサの蓄積信号を記憶するメモリ回路と、前記メモリ回路からの蓄積信号の読み出しを制御する読み出し制御回路と、読み出し値をA/D変換するA/D変換器とを有する光電変換装置において、
前記複数のモニタ回路の出力信号を共通のラインを介して順番に前記判定回路に出力する最大値順次出力回路と、
前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定値に達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記蓄積停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路とを有し、
所定のタイミングで、前記複数のモニタ回路のうち最大値を示す前記モニタ回路の出力信号が、前記最大値順次出力回路を介して前記判定回路に出力され、前記所定値に達したと判定されることを特徴とする光電変換装置。【請求項2】 前記最大値順次出力回路はピーク出力回路であることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項3】 前記最大値順次出力回路はボトム出力回路であることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項4】 前記モニタ回路は蓄積制御される前記蓄積型ラインセンサとは別個に設けたセンサでモニタすることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項5】 前記モニタ回路は、前記蓄積型ライセンサのピーク値あるいはボトム値である最高振巾値を出力することを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項6】 前記モニタ回路は、前記蓄積型ライセンサのピーク値とボトム値との差を出力することを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項7】 前記判定回路から出力される蓄積停止信号は、一度1つの信号ラインを経由して停止すべき前記蓄積型ライセンサに割り当てられることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項8】 複数の蓄積型ライセンサと, 各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、停止信号に応答して前記対象となるラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び前記停止信号の共通の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大値順次出力回路から順次選択されて対象となるラインセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるライセンサに対する出力ごとに独立して検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行い、各出力ごとに制御された時間にて前記停止信号を順次出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路から出力される停止信号の共通の出力ラインと、前記最大値順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、さらに、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定レベルに達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路を有し、前記第1モジュールの選択回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの停止信号の共通の入力ラインと前記第2モジュールの停止信号の共通の出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。
【請求項9】 複数の蓄積型ラインセンサと、各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、各ラインセンサごとに対応して設けられ、対象となるラインセンサに対する停止信号に応答して対応するラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び各転送回路に対してそれぞれ独立に停止信号を入力するための複数の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大順次出力回路から順次選択されて対象となるライセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行い、各出力ごとに制御された時間にて停止信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該積時間制御回路からの停止信号を対象となるラインセンサに対応して設けられた各転送回路へ伝えるための複数の出力ラインと、前記最大順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、前記第1モジュールの最大値順次出力回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの各入力ラインと該入力ラインに対応する前記第2モジュールの各出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。
【請求項10】 前記最大値順次出力回路はピーク出力回路であることを特徴とする請求項8または9の光電変換装置。
【請求項11】 前記最大値順次出力回路はボトム出力回路であることを特徴とする請求項8または9の光電変換装置。

(3)刊行物等
特許異議申立人が証拠として提示した刊行物には、それぞれ、以下の点が記載されている。

刊行物1:特開昭62-212611号公報(甲第1号証)
PDアレイ(蓄積型ラインセンサ)と、PDアレイの蓄積状態を監視するモニターPDM1,PDM2(モニタ回路)と、モニターPDM1,PDM2のモニター出力AGCOSnをコンパレータの(-)入力に印加して比較し、PDアレイの蓄積停止を判定してシフトパルスSH,SH1,SH2(蓄積停止信号)を出力するコンパレータCom1(判定回路)と、CCDイメージセンサの各要素毎の蓄積電荷による光量信号を記憶するCCDレジスタ(メモリ回路)と、積分クリア信号ICGパルス(積分開始信号)、シフトパルスSH(蓄積停止信号)をCCDレジスタに供給するように制御するマイクロコンピュータ20(制御回路)と、CDシフトレジスタR1,R2の出力信号をデジタル化するA/D変換回路80(A/D変換器)とを有することを特徴とする光電変換装置である点。

刊行物2:特開平6-11645号公報(甲第2号証)
光電変換装置において複数のモニタ回路の出力を、出力バッファ、差動アンプなどからなる回路(モニタ回路)の出力が出力バッファによって1つの出力に変換する点。

刊行物3:特開平3-163972号公報(甲第3号証)
最大値の出力回路としてピーク出力を検出するピーク出力回路(最大値検出回路)、ボトムピークを出力するボトム出力回路(最小値検出回路)を有する点。

刊行物4:特開平5-341180号公報(甲第4号証)
モニタ回路、ラインセンサを別個に設ける点。

(4)対比・判断
本件発明1ないし11と上記刊行物1ないし4に記載の発明とを対比すると、当該刊行物に記載の発明は、本件発明を特定する事項である、
「前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた判定回路」を有し「前記複数のモニタ回路の出力信号を共通のラインを介して順番に前記判定回路に出力する最大値順次出力回路と、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定値に達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記蓄積停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路とを有し、所定のタイミングで、前記複数のモニタ回路のうち最大値を示す前記モニタ回路の出力信号が、前記最大値順次出力回路を介して前記判定回路に出力され、前記所定値に達したと判定される」事項(請求項1ないし7)
「各出力ごとに制御された時間にて前記停止信号を順次出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路から出力される停止信号の共通の出力ラインと、前記最大値順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、さらに、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定レベルに達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路を有し、前記第1モジュールの選択回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの停止信号の共通の入力ラインと前記第2モジュールの停止信号の共通の出力ラインとを接続した」事項(請求項8,10,11)
「各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路」と、「前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び各転送回路に対してそれぞれ独立に停止信号を入力するための複数の入力ラインを有する第1モジュール」と、「前記最大順次出力回路から順次選択されて対象となるライセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行い、各出力ごとに制御された時間にて停止信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該積時間制御回路からの停止信号を対象となるラインセンサに対応して設けられた各転送回路へ伝えるための複数の出力ラインと、前記最大順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュール」を有する事項(請求項9,10,11)
を備えておらず、当該事項により本件発明1ないし11は、「ICのピン数の増大、半田付けの箇所が増え信頼性が下がるという欠点、回路モジュールの規模が大きくなるという欠点」(段落【0008】【0009】)を解消するという顕著な効果、モジュール間での「必要な信号線がかなり減る」(段落【0119】)という顕著な効果を奏するといえるのであり、本件発明が上記刊行物1ないし4に記載のものから容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、訂正により記載不備は解消した。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし11に係る発明の特許を取り消すことができない。
また、他に本件発明1ないし11に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
光電変換装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の蓄積型ラインセンサと、前記複数の蓄積型ラインセンサの蓄積状態を監視する複数のモニタ回路と、前記モニタ回路の出力を所定値と比較し該蓄積型ラインセンサの蓄積停止を判定し蓄積停止信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた判定回路と、蓄積停止時に前記蓄積型ラインセンサの蓄積信号を記憶するメモリ回路と、前記メモリ回路からの蓄積信号の読み出しを制御する読み出し制御回路と、読み出し値をA/D変換するA/D変換器とを有する光電変換装置において、
前記複数のモニタ回路の出力信号を共通のラインを介して順番に前記判定回路に出力する最大値順次出力回路と、
前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定値に達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記蓄積停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路とを有し、
所定のタイミングで、前記複数のモニタ回路のうち最大値を示す前記モニタ回路の出力信号が、前記最大値順次出力回路を介して前記判定回路に出力され、前記所定値に達したと判定されることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】前記最大値順次出力回路はピーク出力回路であることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項3】前記最大値順次出力回路はボトム出力回路であることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項4】前記モニタ回路は蓄積制御される前記蓄積型ラインセンサとは別個に設けたセンサでモニタすることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項5】前記モニタ回路は、前記蓄積型ラインセンサのピーク値あるいはボトム値である最高振巾値を出力することを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項6】前記モニタ回路は、前記蓄積型ラインセンサのピーク値とボトム値との差を出力することを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項7】前記判定回路から出力される蓄積停止信号は、一度1つの信号ラインを経由して停止すべき前記蓄積型ラインセンサに割り当てられることを特徴とする請求項1の光電変換装置。
【請求項8】複数の蓄積型ラインセンサと、各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、停止信号に応答して前記対象となるラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び前記停止信号の共通の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大値順次出力回路から順次選択されて対象となるラインセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに独立して検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行ない、各出力ごとに制御された時間にて前記停止信号を順次出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路から出力される停止信号の共通の出力ラインと、前記最大値順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、さらに、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定レベルに達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路を有し、前記第1モジュールの選択回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの停止信号の共通の入力ラインと前記第2モジュールの停止信号の共通の出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。
【請求項9】複数の蓄積型ラインセンサと、各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、各ラインセンサごとに対応して設けられ、対象となるラインセンサに対する停止信号に応答して対応するラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び各転送回路に対してそれぞれ独立に停止信号を入力するための複数の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大値順次出力回路から順次選択されて対象となるラインセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行ない、各出力ごとに制御された時間にて停止信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路からの停止信号を対象となるラインセンサに対応して設けられた各転送回路へ伝えるための複数の出力ラインと、前記最大値順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、前記第1モジュールの最大値順次出力回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの各入力ラインと該入力ラインに対応する前記第2モジュールの各出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置。
【請求項10】前記最大値順次出力回路はピーク出力回路であることを特徴とする請求項8または9の光電変換装置。
【請求項11】前記最大値順次出力回路はボトム出力回路であることを特徴とする請求項8または9の光電変換装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はカメラ等の光学機器に使用される光電変換装置に関し、特に蓄積型センサを用いて蓄積信号制御を行なう形式の光電変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の蓄積型センサを用いた光電変換装置は、ビデオカメラやスチルカメラ等の光学機器において広く使用されている。例えば、スチルカメラの自動焦点調節装置の一部に、被写体像を検出するための蓄積型センサが用いられている。こうした蓄積型センサを用いるに当たり、蓄積信号を所定量に制限する方法がいろいろ提案されている。
【0003】
以下に図16を参照して、従来スチルカメラにおいて使用されている自動焦点調節装置の検出部の概略について説明する。
【0004】
51〜53は、それぞれ蓄積型のラインセンサであり、57〜59が対応したラインセンサ51〜53に光が入射している状態を検知するモニタ回路である。モニタ回路57〜59の出力によりラインセンサ51〜53の蓄積信号の制御を行なう。モニタ回路57〜59の出力S1〜S3は、それぞれ133〜135のAGC判定回路に入り、出力S1〜S3か所定時間内に所定値に達した時に、AGC判定回路133〜135が蓄積停止信号STOP1〜STOP3を各ラインセンサ51〜53に出力し、この信号を受けたラインセンサ51〜53は、その時の蓄積信号を54〜56のメモリ回路に転送する。
【0005】
ラインセンサ51〜53がそれぞれ蓄積停止信号を受けて蓄積信号を転送した後、メモリ回路54〜56に記憶された蓄積信号は、それぞれ136の読み出し制御回路から出力されるDRIVE-CLOCKに応じて、63〜65の出力バッファを介して順次出力され、66の増巾器で増巾され、71のA/D変換器でA/D変換された後各種の信号処理が行なわれる。この時、増巾器66の信号増巾率は、AGC判定回路133〜135が前述のような蓄積制御を実施した時に用いた所定時間と所定値とをパラメータに決定されており、それぞれのラインセンサ51〜53に対応して蓄積信号の読み出し時に読み出し制御回路136によって設定される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の従来例において、図16の点線の領域A,Bのように回路のモジュール化を図ると、以下のような問題点が生じる。
【0007】
(1)A領域とB領域のモジュールの間に、モニタ信号と蓄積停止信号の2つの信号のやりとりが各ラインセンサの数だけあるため、信号線数はラインセンサ数の2倍となり、ラインセンサの数の増大と共に、信号線数が2倍で増大する欠点を有していた。
【0008】
また、こうした状態で回路モジュールをIC化すると、ICのピン数が増大し、A領域、B領域間の信号線数が増大すると、配線数も増大しそれだけ基板面積のうち配線用の部分の占有率が増大するばかりでなく実装化を図る時に半田付けの箇所が増え信頼性が下がるという欠点も有していた。
【0009】
(2)AGC判定回路を、各ラインセンサごとに用意しなければならず、ラインセンサの数が増えると、B領域の回路モジュールの規模が大きくなりコストアップになるという欠点を有していた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の蓄積型ラインセンサと、前記複数の蓄積型ラインセンサの蓄積状態を監視する複数のモニタ回路と、前記モニタ回路の出力を所定値と比較し該蓄積型ラインセンサの蓄積停止を判定し蓄積停止信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた判定回路と、蓄積停止時に前記蓄積型ラインセンサの蓄積信号を記憶するメモリ回路と、前記メモリ回路からの蓄積信号の読み出しを制御する読み出し制御回路と、読み出し値をA/D変換するA/D変換器とを有する光電変換装置において、前記複数のモニタ回路の出力信号を共通のラインを介して順番に前記判定回路に出力する最大値順次出力回路と、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定値に達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記蓄積停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路とを有し、所定のタイミングで、前記複数のモニタ回路のうち最大値を示す前記モニタ回路の出力信号が、前記最大値順次出力回路を介して前記判定回路に出力され、前記所定値に達したと判定されることを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0011】
前記課題を解決するために、請求項2の発明は、請求項1の構成を有する光電変換装置において、前記最大値順次出力回路はピーク出力回路であることを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0012】
前記課題を解決するために、請求項3の発明は、請求項1の構成を有する光電変換装置において、前記最大値順次出力回路はボトム出力回路であることを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0013】
前記課題を解決するために、請求項4の発明は、請求項1の構成を有する光電変換装置において、前記モニタ回路は蓄積制御される前記蓄積型ラインセンサとは異なるセンサの出力をモニタすることを特徴とする光電変換装置を提供する。前記課題を解決するために、請求項5の発明は、請求項1の構成を有する光電変換装置において、前記モニタ回路は、前記蓄積型ラインセンサのピーク値あるいはボトム値である最高振巾値を出力することを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0014】
前記課題を解決するために、請求項6の発明は、請求項1の構成を有する光電変換装置において、前記モニタ回路は、前記蓄積型ラインセンサのピーク値とボトム値との差を出力することを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0015】
前記課題を解決するために、請求項7の発明は、請求項1の構成を有する光電変換装置において、前記判定回路から出力される蓄積停止信号は、一度1つの信号ラインを経由して停止すべき前記蓄積型ラインセンサに割り当てられることを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0016】
前記課題を解決するために、請求項8の発明は、複数の蓄積型ラインセンサと、各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、停止信号に応答して前記対象となるラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び前記停止信号の共通の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大値順次出力回路から順次選択されて対象となるラインセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに独立して検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行ない、各出力ごとに制御された時間にて前記停止信号を順次出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路から出力される停止信号の共通の出力ラインと、前記最大値順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、さらに、前記複数のモニタ回路の出力信号のうち、所定レベルに達した出力信号を出力する前記モニタ回路を特定するとともに、前記停止信号に基づき、このモニタ回路に対応する蓄積型ラインセンサに対して蓄積を停止するように制御する選択回路を有し、前記第1モジュールの選択回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの停止信号の共通の入力ラインと前記第2モジュールの停止信号の共通の出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0017】
前記課題を解決するために、請求項9の発明は、複数の蓄積型ラインセンサと、各ラインセンサに入射する光量に応じた各ラインセンサでの信号蓄積状態をモニタする複数のモニタ回路と、これらモニタ回路で得られた信号を、各ラインセンサで蓄積された信号のうち大きなものから順次対象となるラインセンサの蓄積信号として選択して出力する最大値順次出力回路と、各ラインセンサごとに対応して設けられ、対象となるラインセンサに対する停止信号に応答して対応するラインセンサにおいて蓄積された信号を転送する転送回路と、前記最大値順次出力回路の共通の出力ライン及び各転送回路に対してそれぞれ独立に停止信号を入力するための複数の入力ラインを有する第1モジュールと、前記最大値順次出力回路から順次選択されて対象となるラインセンサの蓄積信号として出力される出力を各対象となるラインセンサに対する出力ごとに検知し、各出力ごとに該出力が所定レベルとなるように蓄積時間制御を行ない、各出力ごとに制御された時間にて停止信号を出力する、前記複数のモニタ回路に対して共通に設けられた蓄積時間制御回路と、該蓄積時間制御回路からの停止信号を対象となるラインセンサに対応して設けられた各転送回路へ伝えるための複数の出力ラインと、前記最大値順次出力回路の出力を入力する蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを有する第2モジュールとから構成され、前記第1モジュールの最大値順次出力回路の共通の出力ラインと前記第2モジュールの蓄積時間制御回路の共通の入力ラインとを接続し、前記第1モジュールの各入力ラインと該入力ラインに対応する前記第2モジュールの各出力ラインとを接続したことを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0018】
前記課題を解決するために、請求項10の発明は、請求項8または9の構成を有する光電変換装置において、前記最大値順次出力回路はピーク出力回路であることを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0019】
前記課題を解決するために、請求項11の発明は、請求項8または9の構成を有する光電変換装置において、前記最大値順次出力回路はボトム出力回路であることを特徴とする光電変換装置を提供する。
【0020】
【実施例】
以下に蓄積型ラインセンサを用いたカメラを例に、本発明の実施例について説明する。
【0021】
図1は、カメラの電気制御ブロックの構成例であり、このカメラは蓄積型のラインセンサを用いた焦点検出装置を備えている。
【0022】
図1で、1はマイクロコンピュータ、2はレンズ制御回路、3は液晶表示回路、4はスイッチセンス回路、5はストロボ発光制御回路、6は焦点検出ユニット、7は測光回路、8はシャッター制御回路、9は給送回路である。
【0023】
マイクロコンピュータ1は、カメラ各部の動作を制御する。レンズ制御回路2は、マイクロコンピュータ1と通信を行ない、通信内容により不図示のモニタを制御し、不図示の撮影レンズの距離環と絞りを制御する。一方、マイクロコンピュータ1にはレンズの焦点距離情報や距離情報、ベストピント補正情報、その他各種補正情報などが転送される。
【0024】
液晶表示回路3は、マイクロコンピュータ1よりシャッタースピード・絞り制御値などのカメラの撮影情報を受け取り液晶表示を行なう。
【0025】
スイッチセンス回路4は、レリーズボタンの撮影準備を始動させる第一ストロークと連動しているレリーズスイッチSW1や、その他不図示の露出モードを決めるスイッチや自動焦点調節のモードを決めるスイッチの状態を読み取る。スイッチが切り替わる度に通信を行なって、マイクロコンピュータ1にスイッチ情報を転送する。
【0026】
ストロボ発光制御回路5は、ストロボの発光と調光を制御する回路であり、発光のための電荷を蓄えるための回路、発光部であるキセノン管、トリガー回路、発光を停止させる回路、フィルム面反射光測光回路、積分回路などの回路からなる。
【0027】
焦点検出ユニット6は、ラインセンサSNSを含む光学系の機構とその駆動回路からなる。SNSは3対のセンサ列SNS-1aとSNS-1b、SNS-2aとSNS-2b、SNS-3aとSNS-3bで構成される蓄積型のラインセンサである。センサ駆動回路は、マイクロコンピュータ1からのセンサ蓄積開始信号を受け取り、ラインセンサの電荷の蓄積を開始させ、所定のレベルに達するとラインセンサの蓄積を終了させ、蓄積の終了したことをマイクロコンピュータ1に伝える。次に、マイクロコンピュータ1よりセンサ駆動回路にセンサ値読み出しの命令が伝わるとセンサ駆動回路はラインセンサSNSにセンサ駆動信号を出力し、マイクロコンピュータ1にラインセンサに蓄積された信号が読み出され、センサ駆動信号に同期してAD変換が行なわれる。AD変換された被写体の像信号から、被写体が撮影レンズによりどの位置に焦点を結んでいるかを既存の位相差検出法による演算によって検出するようになっている。
【0028】
測光回路7は、画面を複数のエリアに分割し、各エリアの被写体の輝度をTTL測光しマイクロコンピュータ1にデータを送る。
【0029】
シャッター制御回路8は、マイクロコンピュータ1の制御信号に応答して不図示のシャッターユニットの制御、すなわち先幕走行、後幕走行、シャッターチャージを行なう。
【0030】
給送回路9は、マイクロコンピュータ1の制御信号に応答してフィルム給送用モータを制御し、フィルムの巻き上げ、巻き戻しを行なう。
【0031】
図2は、図1に示したマイクロコンピュータ1の動作を示すフローチャートで、このフローチャートに基づいてカメラ全体の動作の説明を行なう。
【0032】
動作開始で、ステップ201から開始する。
【0033】
[ステップ201]測光・測距開始のレリーズスイッチSW1がONであるか否かを判定し、ONであればステップ202に進み、ONでなければステップ201に戻り、レリーズスイッチSW1がONになるまで繰り返し判定を行なう。
【0034】
[ステップ202]露光量を決定するための測光回路7を動作させ被写体の光量を測定し、測光を行なってステップ203に進む。
【0035】
[ステップ203]被写体の焦点状態を検出し撮影レンズを焦点位置に移動するために、焦点検出ユニット6を動作させてレンズ制御回路2により撮影レンズを焦点位置に移動しピントを合わせる自動焦点調節を行ない、ステップ204に進む。
【0036】
[ステップ204]レリーズスイッチSW2がONになっているか否かを判定し、ONであればステップ205に進み、ONでなければステップ201に戻る。
【0037】
[ステップ205]レリーズ動作を行なうためにステップ202での測光値に基づいて決定された絞り値に、レンズの絞りを絞り込み、ステップ206に進む。
【0038】
[ステップ206]TTL一眼レフカメラのミラーをアップさせ、ステップ207に進む。ステッップ207〜ステップ209ではシャッター動作を行なう。
【0039】
[ステップ207]露光動作を行なうためシャッター制御回路8を制御し先幕走行させる。
【0040】
[ステップ208]ステップ202の測光で決まったシャッター秒時時間待ち。
【0041】
[ステップ209]シャッターの後幕走行を開始させ、露光を終了する。
【0042】
[ステップ210]ステップ206でアップさせたミラーを所定位置にダウンさせる。
【0043】
[ステップ211]ステップ205で絞り込んだ絞りを開放側に戻す。
【0044】
[ステップ212]給送回路9を動作させてフィルムを1コマ分巻き上げ、ステップ201に戻る。
【0045】
図3は、図2のステップ203の焦点調節の動作を示したフローチャートで、このフローチャートに基づいて自動焦点調節の動作の説明を行なう。
【0046】
[ステップ301]焦点検出ユニット6のセンサ信号を読み出す。
【0047】
[ステップ302]読み出したセンサ信号の2像の出力状態より、位相差検出法に基づいて、2像の位相差を検出する。
【0048】
[ステップ303]ステップ302で求めた位相差より被写体のディフォーカス量を算出する。
【0049】
[ステップ304]ステップ303で得られたディフォーカス量が所定値以内ならば合焦状態と判定して自動焦点調節終了へ、所定値を超えているならば、合焦状態でないと判定してステップ305に進む。
【0050】
[ステップ305]ステップ303で得られたディフォーカス量とレンズの種類の情報からレンズ駆動量を算出する。
【0051】
[ステップ306]レンズ駆動量をレンズ制御回路2に伝え、所定量分レンズの距離環を駆動する。
【0052】
<実施例1>
図4は、図3の自動焦点調節の動作を示したフローチャート中のステップ301のセンサ信号読み出しに寄与する回路のブロック図で、本発明の中心となる実施例である。
【0053】
図4で51〜53は蓄積型のラインセンサ、54〜56はメモリ回路、57〜59はモニタ回路、60〜62は合成回路、63〜65は出力バッファ、66は増巾器、67は最大値ライン選択回路、68は最大値順次出力回路、69はAGC判定回路、70は読み出し制御回路、71はA/D変換器である。
【0054】
ラインセンサ51は、フォトダイオードやCCD等を検出素子として用いるが、図1のカメラ電気制御ブロック図中の焦点検出ユニットのラインセンサSNS-1aとSNS-1bの2つのラインセンサに相当し、図4では1ラインとして表現している。通常カメラの位相検出方法では、対応した2つのラインセンサを1つのグループとして扱い、2つのラインセンサの被写体像の位相差を求めた上で自動焦点調節に用いる。図1でラインセンサ52はSNS-2aとSNS-2bに、ラインセンサ53はSNS-3aとSNS-3bに相当する。ラインセンサ51〜53に所定量の光量が蓄積されると蓄積停止され、蓄積信号をメモリ回路54〜56に転送され、各ラインセンサ、各画素ごとに記憶する。モニタ回路57〜59は、それぞれラインセンサ51〜53に当たる入射光の光量をモニタするもので、通常ラインセンサ51〜53とは別に近接してモニタ用フォトダイオードを設置する。モニタ用フォトダイオードはラインセンサ51〜53にそれぞれ1つ設け、ラインセンサ51〜53への入射光の光量の平均的な値を示すようにする。合成回路60〜62は、読み出し制御回路70から蓄積開始信号を貰い、ラインセンサ51〜53とモニタ回路57〜59にリセット状態から蓄積開始を行なう信号を送る。また、最大値ライン選択回路67から蓄積停止信号を貰って、ラインセンサ51〜53とモニタ回路57〜59の蓄積を停止しリセット状態に置く信号を送る。出力バッファ63〜65はメモリ回路54〜56の出力をそれぞれバッファする。増巾器66のゲインは、読み出し制御回路70によりセットされる。最大値順次出力回路68は、各モニタ回路57〜59の出力のうち蓄積信号の最も大きな出力を優先的にAGC判定回路69に出力する。出力信号名をSMONITORと称する。最大値ライン選択回路67は、最大値順次出力回路68から現在SMONITORとして出力されているモニタ回路の所属するラインを示すLINE信号を受け取り、AGC判定回路69より出される蓄積停止信号STOPを該LINE信号に相当するラインに出力する回路である。AGC判定回路69は、最大値順次出力回路から出力されるSMONITOR信号が所定時間内に所定値に達したことを判定し蓄積停止信号STOPを出力する。前記所定値としては、複数のレベル値が設けられており、蓄積停止されたラインと前記所定値の情報は、読み出し制御回路70に転送される。読み出し制御回路70は、読み出し時にそれぞれのメモリ回路54〜56に出力を促すDRIVE-CLOCK信号を出力すると共に、増巾器66のゲインをAGC判定回路69から転送された各ラインの蓄積停止時の前記所定値から決定し、各ラインの読み出しに合わせて増巾器66に設定する。A/D変換器71は、各ラインセンサ51〜53の蓄積停止時の出力が増巾器66で増巾された後の出力VOUTを受けてA/D変換する。A/D変換された情報は、その後不図示の信号処理に用いられる。尚、図4及び後述の図12,13,14に示される点線部AとBはそれぞれモジュール化されたICにて構成され、IC間は図示のラインにて接続されている。
【0055】
図4のブロック図で示した各回路の動作を、図5のタイミングチャートを用いて説明する。読み出し制御回路70からラインセンサ51〜53の蓄積開始及びモニタ回路57〜59のモニタ開始のSTART信号が出力される。前記START信号は合成回路60〜62を介してそれぞれの回路に伝わり、ラインセンサ51〜53は蓄積を開始する。この時の状態を示したのが、図5のACC1〜ACC3であり、各ライン共に信号レベルLのリセット状態から信号レベルHの蓄積状態へ移行する。入射光がラインセンサ51>ラインセンサ52>ラインセンサ53の順に強く、同様にモニタ回路にもモニタ回路57>モニタ回路58>モニタ回路59の順に強く入射している場合を例にとる。各モニタ回路の出力はモニタ回路57がS1、モニタ回路58がS2、モニタ回路59がS3とすると、最大値順次出力回路68でまず最も出力の高いモニタ回路57の出力値S1がSMONITOR信号として選択されAGC判定回路69に入力される。図5に、前記最大値順次出力回路68の出力SMONITORの波形を示す。蓄積時間の経過と共に、モニタ回路57の出力S1が上昇し、ある所定時間T1内に所定値VTH1に達した時点で、AGC判定回路69から蓄積停止信号STOPが出力され、最大値ライン選択回路67に入力される。最大値ライン選択回路67は、現在SMONITORとして出力されているラインすなわちラインセンサ51に対応したモニタ回路57の所属するラインのメモリ回路54と合成回路60とに蓄積停止信号STOP1を出力する。STOP1の信号を受けて、ラインセンサ51の蓄積信号はメモリ回路54に転送されるが、同時に合成回路60からの出力でラインセンサ51及びモニタ回路57は蓄積状態からリセット状態に遷移する。結果として、モニタ回路57の出力S1は無信号レベルになり、最大値順次出力回路68はモニタ回路57の次に出力の大きいモニタ回路58の出力S2をSMONITORとして出力する。次に、モニタ回路57の場合と同様にAGC判定が行なわれて、モニタ回路58の出力が所定時間T1内に所定値VTH1に到達するとAGC判定回路69からSTOP信号が出力される。最大値ライン選択回路67では、現在ラインセンサ52に対応するモニタ回路58のラインが選択されておりSTOP2の信号が出力される。STOP2の信号を受けて、ラインセンサ52から蓄積信号がメモリ回路55に転送されると共に、合成回路61を経た蓄積停止信号によりラインセンサ52とモニタ回路58はリセット状態になる。最後に、最大値順次出力回路68の出力SMONITORとして、ラインセンサ53に対応するモニタ回路59の出力S3が選択される。図5の例では、モニタ回路59の出力がT1時間内に所定値VTH1に達せず、低いレベルの所定値VTH2に所定時間T2内に到達するか否かの判定がAGC判定回路69により行なわれ、VTH2に達した時点でSTOP信号が出力される。なお前記所定値VTH2が、前記所定値VTH1の1/2の値であると、読み出し時には増巾器66のゲインは所定値VTH1の2倍にする。STOP信号は、最大値ライン選択回路67に入力され、STOP3信号がラインセンサ53に対応したモニタ回路59の所属したラインに出力される。ラインセンサ53の蓄積信号は、メモリ回路56に転送され、ラインセンサ53及びモニタ回路59が蓄積停止しリセット状態になる。
【0056】
上記のように、蓄積制御が行なわれた後、読み出し制御回路70は、ラインセンサ51〜53の蓄積信号の読み出しをする。読み出し制御回路70が、最初にメモリ回路54に対してDRIVE-CLOCKを出力すると、メモリ回路54は該出力に応じて記憶したラインセンサ51の蓄積信号を出力する。前記蓄積信号は、出力バッファ63を経て増巾器66により増巾された後、A/D変換器71に入力される。次にメモリ回路55、メモリ回路56の順に同様に読み出し制御を受ける。メモリ回路56に対応するモニタ回路59は、前記AGC制御の際T1時間に所定値VTH1に達せず、T2時間内でVTH1の1/2の所定値VTH2に達したため、増巾器66には、先行する2つの場合の所定増巾率の2倍の値を設定する。こうすることで、A/D変換器71に入力される信号のレベルは、各ラインセンサ51〜53ともほぼ同一の値の範囲内に収まる。
【0057】
なお、AGC判定回路69で、複数の所定値を準備するのは、蓄積時間が不当に長くなるのを抑えるためである。読み出し時の増巾率を大きくすることでS/N的には若干不利にはなるが、時間が削減でき応答性が向上されるメリットが大きい。
【0058】
図6にモニタ回路の1例を示す。
【0059】
図6で81〜83はモニタ用フォトダイオード、84〜86は半導体スイッチ、87〜89はオペアンプ、90〜92はダイオード、93〜95はコンパレータ、96は最大値ライン選択回路、97〜99は光電流積分用コンデンサである。モニタ用フォトダイオード81〜83は、前述のようにラインセンサ51〜53に隣接して設置される。半導体スイッチ84〜86は、スイッチがOFFだと光電流積分用コンデンサ97〜99が積分状態になり、ONだとリセット状態になる。該半導体スイッチ84〜86は、それぞれ図4中の合成回路60〜62によって制御される。オペアンプ87〜89は、非反転入力端子に光電流積分用コンデンサ97〜99が接続され、出力側にダイオード90〜92が接続されている。オペアンプ87〜89とダイオード90〜92により各光電流積分用コンデンサ97〜99に蓄積された電荷量のうちの最大値がSMONITORとして出力される。この機能は、図4中の最大値順次出力回路68の機能に相当する。
【0060】
コンパレータ93〜95は、オペアンプ87〜89の出力を所定値と比較して、どのラインが現在SMONITORとなっているかを検知する。例えば、光電流積分用コンデンサ97の出力値が他の光電流積分用コンデンサより値が大きいならばSMONITORには、光電流積分用コンデンサ97の値が出力され、オペアンプ87は、正常な帰還ループ制御を行なう。一方、他のオペアンプ88,89の反転入力端子には、SMONITORの電圧値が印加される。この電圧値は、非反転入力端子に入る電圧値より大きいため、オペアンプ88,89の出力は出力可能な下限値を示すことになる。この状態を、コンパレータ93〜95で識別する。この例では、コンパレータ93がHレベル、コンパレータ94,95がLレベルの出力値を示し、Hレベルを示すラインがSMONITORとして選択されたラインであることが判る。コンパレータの出力を受けとる最大値ライン選択回路96は機能的には、図4の最大値ライン選択回路と同じで、SMONITORが所定値に達した時に、Hレベルを示しているラインにSTOP信号を送ることを行なう。
【0061】
モニタ用フォトダイオード81〜83と光電流積分用コンデンサ97〜99ならびに半導体スイッチ84〜86で構成される回路は、図4中のモニタ回路57〜59にそれぞれ相当する。
【0062】
<実施例2>
図9に本発明の第2実施例を示す。図6で示した第1実施例のモニタ回路57〜59は、正側に出力される例であり、これに応じて最大値順次出力回路68もピーク値を検知する回路構成を採用している。一方、モニタ回路57〜59が負側に出力される時の例が図9に示してある。構成要素は、図6と図9はすべて一致するが、回路の結線状態が異なる。
【0063】
モニタ回路57〜59の積分開始により、半導体スイッチ84〜86がONからOFFに切り替わり、リセット状態にあった光電流積分用コンデンサ97〜99は、モニタ用フォトダイオード81〜83の光電流により電源電圧より負側の方向に充電される。該光電流積分用コンデンサ97〜99の電圧は、オペアンプ87〜89とダイオード90〜92で構成されるボトム値を検知する回路で、電源電圧より最も負側に最大となった光電流積分用コンデンサ97〜99の電圧値がSMONITORとして選択出力される。図4で示したAGC判定回路69は、下向きの勾配をもつ電圧値を所定値VTH1,VTH2と比較判定すれば良い。
【0064】
例えば、第1実施例と同じ様に、光電流積分用コンデンサ97〜99の充電量が97>98>99の順に蓄積されているとすると、SMONITORの出力状態は図7に示したようになる。本例では、光電流積分用コンデンサ97の充電量が最も大きいので、オペアンプ87の非反転入力端子電圧が他のオペアンプ88,89の非反転入力端子電圧より負側にある為、オペアンプ87とダイオード90を通して、帰還ループ制御が行なわれ、オペアンプ87の非反転入力端子電圧とSMONITORの出力は一致する。他のオペアンプ88,89は非反転入力端子電圧>反転入力端子電圧となり、オペアンプ88,89の出力は出力可能な最大値に貼りつくことになる。従って、コンパレータ93がHレベル、コンパレータ94,95がLレベルの出力値を示す。前記出力値を最大値ライン選択回路96に入力し、SMONITORの値が所定値に達した時に、STOP信号を現在Hレベルを示すラインに割り当てることが行なわれる。
【0065】
オペアンプ87〜89、ダイオード90〜92で構成されるボトム検知回路が、図4中の最大値順次出力回路68に、またモニタ用フォトダイオード81〜83と光電流積分用コンデンサ97〜99ならびに半導体スイッチ84〜86で構成される回路は、図4中のモニタ回路57〜59にそれぞれ相当する。
【0066】
<実施例3>
図10に本発明の第3実施例を示す。101〜103はフォトダイオードでラインセンサ51を構成する画素のフォトダイオードを例として3ケ示す。101〜103はフォトダイオード、104〜106は半導体スイッチ、107〜109は光電流積分用コンデンサ、110〜112はオペアンプ、113〜115はダイオードである。
【0067】
フォトダイオード101〜103、光電流積分用コンデンサ107〜109、半導体スイッチ104〜106でラインセンサ51のモニタ回路の一部が構成される。また、オペアンプ110〜112とダイオード113〜115でピーク出力回路が構成され、ラインセンサ51の各画素内のピーク出力が得られる。オペアンプ110〜112、ダイオード113〜115は、図4のモニタ回路57を構成する。モニタ回路57の出力は、この例では3出力であるが、この内のピーク出力が、Siとして最大値順次出力回路68に入力される。図10では、ラインセンサ51内のピーク値を示す画素の出力が、ラインセンサ51のモニタ出力として蓄積制御に用いられる。図8に横にラインセンサの画素、縦に信号値をとり、1つのラインセンサの各画素の値を波形で図示しており、ピーク値は、図中のPEAKと示した値である。なお、ラインセンサ52,53、モニタ回路58,59についても同様の構成をもつ。本回路を用いると、第1実施例(図6)や第2実施例(図9)のようにフォトダイオードをラインセンサとは別個に設ける場合よりも直接ラインセンサの出力を用いるためセンサへの入射光量状態と良く一致するモニタ回路が構成できるメリットがある。例えば別個にフォトダイオードを設ける場合では、図8の波形の平均値的な値が得られ、該値で蓄積制御を行なうと、ラインセンサの波高値が飽和してしまうといった現象の発生する可能性があるが、図10のようなラインセンサと同じフォトダイオードをモニタ回路にも利用する場合では、前記の欠点を有することなく正確に制御が行なえる。
【0068】
動作としては、ラインセンサ51〜53のピーク出力がSiとして出力され、図4に示した最大値順次出力回路68に入力され、出力値の高いものから順にSMONITORとして出力され、次にSMONITORを受けたAGC判定回路69は所定時間内に所定値に達するとSTOP信号を発生する。以降、ラインセンサ51〜53の蓄積制御が第1実施例と同様に行なわれる。
【0069】
<実施例4>
図11と図12を用いて第4実施例の説明を行なう。
【0070】
第3実施例に対して、各ラインセンサ51〜53のピーク出力だけでなく、ボトム出力も取得し、差分量[(ピーク値)-(ボトム値)]で蓄積制御を行なう例を示す。図11は、図10と良く似た回路構成をとっており、同じ要素についての説明は省略する。異なるのは、116〜118のオペアンプと119〜121のダイオード並びに122の減算器が増設されている点である。
【0071】
オペアンプ116〜118とダイオード119〜121でボトム検知回路を構成する。
【0072】
図11の回路構成によれば、図8に示したラインセンサの出力波形の最低値がボトム出力として検知される。ここでピーク値とボトム値の差分をとれば図8で示したように差分量“P-B”が得られる。なお、減算器122は、ラインセンサ中のピーク出力とボトム出力の差分をとるためのものである。
【0073】
オペアンプ110〜112、ダイオード113〜115、オペアンプ116〜118、ダイオード119〜121、減算器122で、モニタ回路が構成される。
【0074】
本モニタ回路を用いたブロック図を図12に示す。図12は図4と良く似た回路構成をとっており、同じ要素については説明を省略する。異なるのは150〜152の合成回路と153〜155のボトム信号ホールド用のサンプル&ホールド回路(以下S/H回路と略す)並びに156〜158の減算器である。
【0075】
合成回路150〜152が図4の第1実施例の合成回路と異なるのは、S/H回路153〜155への制御信号ラインが追加されている点である。S/H回路153〜155の入力はモニタ回路57〜59のボトム信号であり、合成回路150〜152は蓄積停止信号を受けると制御信号ラインに信号を送りこれを受けたS/H回路153〜155はモニタ回路57〜59から出力されるボトム信号値をホールドする。減算器156〜158は、メモリ回路54〜56の出力からS/H回路153〜155でホールドされたボトム値を差し引いて出力する。なお、図11中のBottom iは各モニタ回路57〜59のボトム出力であるが、これが図12のS/H回路153〜155に入力される。
【0076】
全体の動作の説明を行なう。ラインセンサ51〜53の蓄積が開始されると、そのライン毎の“P-B”値がモニタ回路57〜59から出力される。例えば、“P-B”値がモニタ回路57>58>59の順に大きいとすると、まずモニタ回路57の“P-B”値が最大値順次出力回路68で選択され出力される。この時の最大値順次出力回路68は、図6中のオペアンプ87〜89とダイオード90〜92により構成された最大値順次出力回路と同一の構成をとる。最大値順次出力回路68の出力はSMONITORと呼ばれ、AGC判定回路69に入力され、SMONITORすなわち“P-B”値が所定値を超えた時点でAGC判定回路69は蓄積停止信号STOPを発生させる。前記蓄積停止信号は、最大値ライン選択回路67に入力され、ラインセンサ51への蓄積停止信号として割り当てられ、ラインセンサ51の蓄積信号がメモリ回路54へ転送される。同時に前記蓄積停止信号は、合成回路150へも入力され、S/H回路153へホールド信号が送られ該S/H回路153に入力されているラインセンサ51のボトム値がホールドされる。
【0077】
ラインセンサ51の停止後、順次ラインセンサ52、ラインセンサ53が蓄積制御を受けて停止する。全ラインセンサの蓄積終了後、読み出し制御回路70からDRIVE-CLOCK信号が発せられ、ラインセンサ51に対応したメモリ回路54からセンサ信号が出力され、減算器156に入力される。S/H回路153は前記ボトム値をホールドしているため、減算器156では、メモリ回路54から出力されたセンサ信号は該ボトム値が減算される。減算器156の出力値は増巾器66へ入力され、A/D変換器71でA/D変換される。メモリ回路54の読み出し終了後、順にメモリ回路55、メモリ回路56の読み出しが行なわれる。
【0078】
本実施例の如く、ラインセンサ51〜53の出力から、S/Hしたボトム値を減算するのは、以下の点でメリットがある。前記ラインセンサをカメラの位相差検出方式の自動焦点調節用センサとして捉えると、ラインセンサの各画素の信号波形のうち、コントラストの成分のみを用いるため、前述のように“P-B”値がA/D変換され、ダイナミックレンジ一杯にコントラスト成分となるため精度良く位相差を求めることができる。
【0079】
<実施例5>
図13を用いて第5実施例の説明を行なう。
【0080】
第5実施例と第1実施例の相違は、図4の最大値ライン選択回路67を設けず、図13のAGC判定回路131より直接各ラインへ蓄積停止信号を出力する点にある。AGC判定回路131は、現在SMONITORに出力されているラインを入力される“LINE”信号から判別し、SMONITORが所定値に達すると、蓄積停止信号を該ラインに送出する。この制御は、全ラインが蓄積停止するまで行なわれ、その後第1実施例と同じように読み出し制御が実施される。
【0081】
本実施例では、蓄積停止信号線をラインセンサの数だけ必要とするが、図15で示した従来例と比べると、全体として必要な信号線はかなり減る。
【0082】
<実施例6>
図14を用いて第6実施例の説明を行なう。点線で囲まれたA領域は、図4で示した第1実施例と全く同じであるが、点線で囲まれたB領域はカメラで一般的に用いるマイクロコンピュータ132を採用した例である。
【0083】
マイクロコンピュータ132は、A/D変換器を多数内蔵しており、入力としてSMONITOR信号とVOUT信号を受けとる。また出力としてはGAIN-SET信号がある。他の論理信号は通常の汎用ポートに接続されている。
【0084】
本ブロック図の動作を図15のフローチャートを用いて説明する。
【0085】
[ステップ1401]蓄積開始のため、合成回路60〜62にSTART信号を出力し、ラインセンサ51〜53とモニタ回路57〜59を蓄積開始させる。
【0086】
[ステップ1402]最大値順次出力回路68から入力したSMONITOR信号を内蔵のA/D変換器で取り込む。
【0087】
[ステップ1403]取り込んだSMONITOR信号値を、所定時間T1,T2,T3と所定値VTH1,VTH2,VTH3によってAGC判定を行なう。
【0088】
[ステップ1404]ステップ1403のAGC判定の結果、蓄積信号が所定値に達していれば、蓄積信号OKとしてステップ1405へ進み、所定値に達していなければ、ステップ1402へ戻る。
【0089】
[ステップ1405]蓄積停止信号STOPを最大値ライン選択回路67に送出する。結果として、現在のSMONITORとして出力されているラインが蓄積停止する。
【0090】
[ステップ1406]蓄積停止を行なったモニタラインNoを取り込む。
【0091】
[ステップ1407]ステップ1406で取り込んだラインNoと、ステップ1403で行なったAGC判定で用いられた所定時間と所定値より求めた読み出し時のゲインとを記憶する。
【0092】
[ステップ1408]全ラインの蓄積停止が行なわれたか否かを判定し、まだ蓄積制御しているラインがあればステップ1402に戻り、終了していればステップ1409へ進む。
【0093】
[ステップ1409]ライン1(ラインセンサ51に対応)に対して、増巾器66の読み出しゲインをセットする。
【0094】
[ステップ1410]ライン1に対して、メモリ回路駆動クロック(DRIVE-CLOCK)を送出し、メモリ回路54からの信号が出力されバッファ63、増巾器66を通り、VOUTの信号となる。
【0095】
[ステップ1411]ステップ1410で出力されたライン1のVOUT信号をA/D変換して取り込む。
【0096】
[ステップ1412]ステップ1409と同様にライン2(ラインセンサ52に対応)に対して増巾器66の読み出しゲインをセットする。
【0097】
[ステップ1413]ステップ1410と同様に、ライン2にメモリ回路駆動クロック(DRIVE-CLOCK)を送出し、メモリ回路55の信号が出力されVOUTの信号となる。
【0098】
[ステップ1414]ステップ1411と同様にライン2のVOUT信号をA/D変換して取り込む。
【0099】
以下[ステップ1415]〜[ステップ1417]はライン3に対し、[ステップ1412]〜[ステップ1414]までライン2に対して行なった処理を同様に繰り返す。
【0100】
上記のステップでマイクロコンピュータに記憶された各ラインのVOUTのA/D変換値は、公知の位相差検出演算に利用される。
【0101】
マイクロコンピュータを利用して本実施例の如く構成すると、AGC判定用にはSMONITORの1つの信号線しか必要なく、マイクロコンピュータに内蔵しているA/D変換器の使用チャンネル数が少なくて済む。また、蓄積停止信号の送出のためのポートも1端子割り当てるだけで良く、必要な端子数が少なくて済む。
【0102】
なお、本実施例では、ラインセンサとしてフォトダイオードを用いた例を示しているが、他のCCDタイプやアモルファスシリコンタイプ等のラインセンサでも同様に用いることができる。ラインセンサの数は3ラインの例を挙げたが、ラインセンサの数が増えても適用可能で、ラインセンサの数が増える程本発明の効果は大きくなる。
【0103】
また、本実施例では、カメラの自動焦点調節用のセンサの例を示しているが、測光用センサとしても利用できるのはもちろんであり、カメラ以外の他の製品の光電変換装置としても応用が可能である。
【0104】
【発明の効果】
(1)複数のラインセンサのモニタ信号を1つの信号線にまとめ、共通の判定回路(蓄積時間制御回路)に入力し、該信号を用いてラインセンサの蓄積制御を可能となるようにしたことにより、適切に分割した回路モジュール間の信号線の数を大巾に削減でき実装化がし易く、信頼性が向上する。
【0105】
(2)複数のラインセンサのモニタ信号を1つの信号線にまとめ、共通の判定回路(蓄積時間制御回路)に入力し、該信号を用いてラインセンサの蓄積制御を可能となるようにしたことにより、適切に分割した回路モジュール間の信号線の数を大巾に削減できると共に判定回路(蓄積時間制御回路)の削減ができ、実装化がしやすく信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】カメラの電気制御ブロック図
【図2】カメラの動作のメインフローチャート
【図3】カメラの自動焦点調節のフローチャート
【図4】第1の実施例を示したブロック回路図
【図5】ラインセンサの蓄積制御のタイミングチャート
【図6】第1の実施例等に用いられるモニタ回路の具体例
【図7】ラインセンサを負方向に蓄積した時のSMONITOR波形
【図8】ラインセンサの各画素の信号波形例
【図9】第2の実施例等に用いられるモニタ回路の具体例
【図10】第3の実施例でラインセンサのピーク値を出力するモニタ回路の具体例
【図11】第4の実施例でラインセンサの“ピーク値-ボトム値”を出力するモニタ回路の具体例
【図12】第4の実施例で“ピーク値-ボトム値”を用いて蓄積制御するブロック回路図
【図13】第5の実施例で複数の蓄積停止信号線を有するブロック回路図
【図14】第6の実施例でマイクロコンピュータを使用したブロック回路図
【図15】第6の実施例でマイクロコンピュータ使用時のフローチャート
【図16】従来例のブロック回路図
【符号の説明】
6…焦点検出ユニット 51,52,53…ラインセンサ
54,55,56…メモリ回路 57,58,59…モニタ回路
67…最大値ライン選択回路 68…最大値順次出力回路
69…AGC判定回路
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-12-05 
出願番号 特願平6-294576
審決分類 P 1 651・ 531- YA (H04N)
P 1 651・ 534- YA (H04N)
P 1 651・ 121- YA (H04N)
最終処分 維持  
前審関与審査官 濱野 隆  
特許庁審判長 原 光明
特許庁審判官 北岡 浩
清水 正一
登録日 2003-06-06 
登録番号 特許第3437294号(P3437294)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 光電変換装置  
代理人 水野 勝文  
代理人 岸田 正行  
代理人 岸田 正行  
代理人 小花 弘路  
代理人 水野 勝文  
代理人 小花 弘路  

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