• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1134304
異議申立番号 異議2003-73510  
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-05-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-25 
確定日 2006-01-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3447669号「パチンコ機」の請求項1〜14に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3447669号の請求項1〜14に係る特許を取り消す。 
理由 第一.手続の経緯
本件特許第3447669号の特許請求の範囲の請求項1〜14に係る発明は、平成12年6月14日に特願2000-178404号として特許出願されたものであって、平成15年7月4日にその特許権の設定登録がなされ、その後、町田彬、済藤隆義から特許異議申立がなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である、平成17年7月29日に訂正請求がなされたものである。

第二.訂正の適否
[1].訂正の内容
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載を以下のように訂正する。
「動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電圧を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、
前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶する記憶手段と、
前記動作用電源から供給される動作用電圧が所定値以下に低下した場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存することができるパチンコ機であって、
前記動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻すことができる制御手段を備え、
更に、前記動作用電源と前記主基板を接続する第1接続コードと、
前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、
前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電源の供給を停止することを特徴とするパチンコ機。」

訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2の記載を以下のように訂正する。
「動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電源を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、
動作用電圧を検出する検出手段と、
前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができる記憶手段と、
前記検出手段を介して、前記動作用電圧が所定値以下に低下したことが検出された場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存する制御手段と、
前記動作用電圧が所定値以下に低下した際に、前記記憶手段に対する制御手段からのアクセスを停止する信号遮断手段とを備え、
前記制御手段は、前記動作用電圧が所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に対するアクセスが可能となり、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻し、
更に、前記動作用電源と前記主基板とを接続する第1接続コードと、
前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、
前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電圧の供給を停止することを特徴とするパチンコ機。」

訂正事項c
明細書の段落【0006】を以下のように訂正する。
「【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係るパチンコ機は、動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電圧を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶する記憶手段と、前記動作用電源から供給される動作用電圧が所定値以下に低下した場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存することができるパチンコ機であって、前記動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻すことができる制御手段を備え、更に、前記動作用電源と前記主基板を接続する第1接続コードと、前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電源の供給を停止することを特徴とする。

訂正事項d
明細書の段落【0009】を以下のように訂正する。
「また、本発明に係るパチンコ機は、動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電源を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、動作用電圧を検出する検出手段と、前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができる記憶手段と、前記検出手段を介して、前記動作用電圧が所定値以下に低下したことが検出された場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存する制御手段と、前記動作用電圧が所定値以下に低下した際に、前記記憶手段に対する制御手段からのアクセスを停止する信号遮断手段とを備え、前記制御手段は、前記動作用電圧が所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に対するアクセスが可能となり、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻し、更に、前記動作用電源と前記主基板とを接続する第1接続コードと、前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電圧の供給を停止することを特徴とする。」


[2].訂正要件充足性の検討
訂正事項a、bは、「主基板」を「カバーに覆われた」と限定するものであるから特許請求の範囲(請求項1、2)の減縮を目的とした訂正に該当し、また、訂正事項c、dは上記訂正事項a、bと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、これらの訂正は、何れも新規事項の追加には該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

[3].まとめ
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので当該訂正を認める。



第三.本件発明
[1].本件の請求項に係る発明
前記「第二.」で示したように前記訂正が認められるものであるから、本件の請求項1〜14に係る発明(以下「本件発明1〜14」という)は、前記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜14に記載されたとおりのものである。



第四.特許異議申立(第29条第2項)についての判断
[1].当審で通知した取消理由に引用した内の主たる刊行物の記載事項
(ア)特開平8-229192号公報(異議申立人町田彬提出の甲第5号証:以下「刊行物5」という)
(5-1).「【0003】【発明が解決しようとする課題】一方、前記遊技機により遊技が行なわれている最中に、たとえば停電等が発生して前記遊技機への供給電源がOFF状態となった場合には、前記遊技制御手段がシステムダウンしてしまい、供給電源のOFF時に遊技機がどのような遊技状態であったかの遊技状態に関する情報の記憶が消えてしまい、停電が復旧して供給電源がON状態となったとしても、停電発生時に実行されていた遊技状態から再度遊技を開始することができず、停電発生に伴なう遊技者への補償を行なうことができない不都合が生ずる。その結果、停電発生時に遊技者にとって特に有利な特定遊技状態等の遊技状態が発生していた場合には、その遊技状態の記憶が消去されてしまうために、供給電源がONになって遊技が再開可能な状態になったときに、遊技者が大きな不満を抱くという欠点が生ずる。
(5-2).「【0014】【実施例】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機を示すが、本発明はこれに限らず、たとえばコイン遊技機やスロットマシン等の、所定条件の成立により遊技者に遊技価値が付与可能となる遊技機を含む遊技用装置であればすべてに適用される。」(段落【0014】)
(5-3).「【0016】遊技領域3内に打込まれたパチンコ玉が通過口14を通過すれば、その通過玉が通過玉検出器27により検出され、その検出出力に基づいて可変表示器15が可変開始される。そしてこの可変表示器15の可変停止時における表示結果が予め定められた特定の識別情報(たとえば7)になれば可変始動口装置11の左右1対の可動片13が開成して打玉が入賞可能な遊技者にとって有利な第1の状態となる。この可変始動口装置11の始動口12内にパチンコ玉が入賞すればその入賞玉が始動玉検出器26により検出され、その検出出力に基づいて前記可変表示装置4の可変表示部5が可変表示される。」 (段落【0016】)
(5-4).「【0019】前記可変表示器15が可変表示している最中に再度パチンコ玉が通過口14を通過して通過玉検出器27により検出されれば、その通過玉が記憶され、可変表示器15が可変停止した後再度可変開始できる状態になってから前記通過玉の記憶に基づいて再度可変表示器15が可変開始する。この通過玉の記憶が最大たとえば「4」まで記憶可能に構成されており、その通過玉の記憶が通過記憶表示器16により表示される。
【0020】可変表示装置4の可変表示中に再度パチンコ玉が始動口12に入賞して始動玉検出器26により検出された場合あるいは始動口6に入賞して始動玉検出器23により検出された場合には、その始動入賞玉が記憶され、可変表示装置4が可変停止された後再度可変開始可能な状態になってから前記始動入賞記憶に基づいて可変表示装置4が再度可変開始される。この始動入賞記憶の上限はたとえば「4」に定められており、その始動入賞記憶値が始動記憶表示器7により表示される。」(段落【0019】〜 【0020】)
(5-5).「【0039】図8は、本発明にかかるパチンコ遊技機に用いられる制御回路を示すブロック図である。この制御回路は、パチンコ遊技機の遊技状態を制御するための主基板53と、可変表示装置4の可変表示部5で表示される画像を表示制御するための画像表示制御基板65とを有する。
【0040】主基板53には、遊技機の遊技状態を制御するための制御中枢としてのCPU62と、遊技機の遊技状態を制御するためのプログラムが記憶されているROM60と、遊技制御に関するデータが記憶されるRAM59と、電気的に記憶データを消去して書替可能なEEPROM61と、外部との信号の整合性をとるためのI/Oポート63とが設けられている。」(段落【0039】〜 【0040】)
(5-6).「【0042】また、CPU62は、定期的に現時点におけるパチンコ遊技機の遊技状態に関する情報をRAM59に出力し、RAM59でその遊技状態に関する情報を逐次記憶する。
【0043】この主基板53には、電源回路54から所定の電力が供給される。また、電源回路54は、コンデンサ58にも電力を供給し、コンデンサ58でその供給されてきた電力を蓄電する。 【0044】この状態で、停電が発生して電源回路54から電力が供給されなくなった場合には、コンデンサ58から所定期間(たとえば10〜60分程度)RAM59に電力が供給され、RAM59の記憶データが消去されないように保持される。そして、RAM59の記憶データが外部状態表示装置57に伝送されてその外部状態表示装置57により表示される。RAM59には、前述したように、パチンコ遊技機の遊技状態に関する情報(遊技状態情報)が逐次記憶されるのであり、停電により電源回路54からの供給電源がOFFになれば、そのOFFになった時点におけるパチンコ遊技機の遊技状態に関する情報が最終的な遊技状態に関する情報としてRAM59に記憶された状態となっている。その最終的な遊技状態に関する情報すなわち停電時における遊技状態に関する情報がRAM59から外部状態表示装置57に伝送されてその外部状態表示装置57により表示されることになる。この外部状態表示装置57による表示は、コンデンサ58に蓄電された電気が放電されてなくなりRAM59の記憶データを保持できなくなるまで表示され続ける。そして、このコンデンサ58からのバックアップの電力がRAM59に供給されている期間中に、停電が復旧した場合には、CPU62は、その停電時における遊技状態に関する情報を記憶しているRAM59からその情報を読出し、停電発生時におけるパチンコ遊技機の遊技状態から遊技を再スタートさせる。その結果、たとえば大当り制御中に停電が起こり、コンデンサ58によるバックアップの電力が供給されている期間中に停電が復旧した場合には、その大当り制御の状態から遊技がスタートすることとなり、遊技者に遊技状態に関する補償を行なうことができ、遊技者が不測の不利益を被ることが防止できる。また、コンデンサ58による電力供給期間を極力短くすることにより、たとえば閉店後に遊技機に対し予め遊技状態を遊技者に有利な状態(大当り状態や、可変表示装置の高確率制御状態)にセットして電源をOFFにし、遊技場の開店時に電源をONすることにより、開店時の遊技者に対しいきなり有利な状態で遊技を行わせる行為を極力防止できる。 (段落【0042】〜 【0044】)
(5-7).「【0048】図1で説明したパチンコ遊技機は第1種(フィーバータイプ)の機種のパチンコ遊技機である。この第1種のパチンコ遊技機の場合には、前記RAM59に記憶する記憶内容として、たとえば、後述する特別図柄プロセスフラグ値,プロセスタイマ値,大当りフラグ,確変中フラグ,始動入賞記憶値,通過口14を通過した通過玉記憶値,図3,図5に示した各種ランダムカウンタの値(現在値および抽出値),可変入賞球装置10に入賞した入賞玉のカウント値,大当り制御中におけるその大当りが発生したときの可変表示装置4の表示結果,大当り制御中における可変入賞球装置10の繰返し継続制御の実行回数,入賞玉の未処理玉数等である。大当りフラグとは、WCRND1の抽出値に基づいて大当りにすることが事前決定された場合にその決定内容を記憶しておくためのフラグである。確変中フラグとは、前述した確率変動中である旨を記憶するためのフラグである。入賞口や入賞球装置に打玉が入賞すれば、その入賞玉1個につき所定個数の景品玉を払出す払出処理が行なわれるのであり、入賞口あるいは入賞球装置に入賞してまだ前記払出処理が行なわれていない未処理の入賞玉のことを、前記未処理玉数という。」 (段落【0048】)
(5-8).「【0051】図9は、パチンコ遊技機に用いられる制御回路の他の例を示すブロック図である。
【0052】図9に示す制御回路において、図8に示した制御回路と同一の回路,装置部分には同一の参照番号を付し、ここでは、図8に示した制御回路と異なった点について主に説明する。
【0053】図9に示す制御回路においては、CPU62からRAM59に対し定期的に遊技機の遊技状態に関する情報を出力し、RAM59でその出力されてきた遊技状態に関する情報を逐次記憶し、停電時においては、コンデンサ58からRAM59に供給される電力により、RAM59の前記遊技状態に関する情報の記憶が所定期間だけバックアップされて保持される点は、図8に示したものと同様である。そして、電源回路54から停電検知回路79を介して主基板53に電力が供給されており、停電発生時においては、主基板53への電力の供給が断たれると同時に停電検知回路79から停電警告信号がCPU62に入力される。CPU62では、その停電警告信号の入力に基づいて停電発生時における遊技機の遊技状態に関する情報を外部状態表示装置57に出力して、外部状態表示装置57では、その出力されてきた遊技機の遊技状態に関する情報を記憶し、必要に応じて表示する。なお、この外部状態表示装置57は、所定の無停電電源から停電時においても電力が供給されるように構成されており、停電時においても前記遊技機の遊技状態に関する情報の記憶およびその情報の表示動作が可能となるように構成されている。」 (段落【0051】〜 【0053】)
(5-9).してみると、刊行物5には以下の発明(以下「引用発明」という)が記載されている。
「パチンコ遊技機において、主基板53と主基板53とは接続手段を介して主基板に電力を供給する電源回路54、及びバックアップ電源としてのコンデン58が配設されて、主基板のRAM59に記憶されている記憶データ、例えば、特別図柄プロセスフラグ値,プロセスタイマ値,大当りフラグ,確変中フラグ,始動入賞記憶値,通過口14を通過した通過玉記憶値,各種ランダムカウンタの値,可変入賞球装置に入賞した入賞玉のカウント値,大当り制御中におけるその大当りが発生したときの可変表示装置の表示結果,大当り制御中における可変入賞球装置の繰返し継続制御の実行回数等遊技制御に関する情報が消去されないように保持されており、
停電などにより電源回路からの供給電源がオフなった時は、停電検知回路にて当該停電を検知して停電警告信号がCPUに出力され、遊技制御に関する情報が表示・記憶されると共に、バックアップ電力としてのコンデン58からRAM59に電力が供給されて、RAM59における遊技制御に関する情報が所定期間バックアップ保持され、当該所定期間内に停電などが復旧した場合は、CPU62がRAM59に記憶されている停電時における遊技制御に関する情報に基づいて遊技を再スタートさせるパチンコ機。さらに、コンデンサ58の容量を大小適宜値にしてバックアップ電力供給期間を適宜設定することにより、電源オフ時において遊技者に有利な遊技状態を、開店時等の電源オン時に、遊技者に有利な遊技状態としないこと。」

(イ).特開平6-161614号公報(異議申立人町田彬提出の甲第4号証:以下「刊行物4」という)
(4-1).「【0020】実施例4.なお、電源切り換え回路104の自動切り換えを行うために、図12に示す如く、通常電源供給線113に現れる主電源の電圧を、主電源検出手段40で検出し、この検出結果にもとづいて切り換え制御手段41で電源切り換え回路104を切り換えるように構成してもよい。このような構成によれば、電源供給手段からの電源供給停止やコネクタ108が外部装置から引き抜かれたとき等に、通常電源供給線113に現れる電圧が降下し、この電圧の降下にもとづいて電源切り換え回路104が切り換え接点104aを通常電源供給線113側からバッテリ電源供給線112側に切り換えるので、メモリ電源供給線111にはバッテリ電源供給線112側からのバックアップ電圧が自動的に供給される。本実施例によれば、電源切り換え回路104の切り換えを自動的に行える。」(段落【0020】)

(ウ).特開平8-229227号公報(異議申立人町田彬提出の甲第6号証:以下「刊行物6」という)
(6-1).「【0011】遊技領域3内に打込まれたパチンコ玉が通過口14を通過すれば、その通過玉が通過玉検出器27により検出され、その検出出力に基づいて可変表示器15が可変開始される。そしてこの可変表示器15の可変停止時における表示結果が予め定められた特定の識別情報(たとえば7)になれば可変始動口装置11の左右1対の可動片13が開成して打玉が入賞可能な遊技者にとって有利な第1の状態となる。この可変始動口装置11の始動口12内にパチンコ玉が入賞すればその入賞玉が始動玉検出器26により検出され、その検出出力に基づいて前記可変表示装置4の可変表示部5が可変表示される。」 (段落【0011】)
(6-2).「【0014】前記可変表示器15が可変表示している最中に再度パチンコ玉が通過口14を通過して通過玉検出器27により検出されれば、その通過玉が記憶され、可変表示器15が可変停止した後再度可変開始できる状態になってから前記通過玉の記憶に基づいて再度可変表示器15が可変開始する。この通過玉の記憶が最大たとえば「4」まで記憶可能に構成されており、その通過玉の記憶が通過記憶表示器16により表示される。
【0015】可変表示装置4の可変表示中に再度パチンコ玉が始動口12に入賞して始動玉検出器26により検出された場合あるいは始動口6に入賞して始動玉検出器23により検出された場合には、その始動入賞玉が記憶され、可変表示装置4が可変停止された後再度可変開始可能な状態になってから前記始動入賞記憶に基づいて可変表示装置4が再度可変開始される。この始動入賞記憶の上限はたとえば「4」に定められており、その始動入賞記憶値が始動記憶表示器7により表示される。」 (段落【0014】〜 【0015】)
(6-3).「【0017】図2は、可変表示器15の可変表示状態を説明する説明図である。可変表示器15で可変表示される複数種類の識別情報(普通図柄)は、0,1,3,5,7,9の6種類である。そして、1図柄の表示時間が0.040秒であるために、前記6種類の図柄がすべて可変表示されて一巡される1周期が0.240秒となる。この可変表示は、0,1,3,5,7,9の順序で可変表示され、9が表示された後は再度0から可変表示される。そして、この可変表示器15の可変停止時にたとえば「7」が表示されれば、当りとなり可変始動口装置11の可動片13が開成する。」 (段落【0017】)
(6-4).「【0037】また、CPU62は、定期的に現時点におけるパチンコ遊技機の遊技状態に関する情報をRAM59に出力し、RAM59でその遊技状態に関する情報を逐次記憶する。
【0038】この主基板53には、電源回路54から所定の電力が供給される。また、電源回路54は、コンデンサ58にも電力を供給し、コンデンサ58でその供給されてきた電力を蓄電する。
【0039】この状態で、停電が発生して電源回路54から電力が供給されなくなった場合には、コンデンサ58から所定期間(たとえば10〜60分程度)RAM59に電力が供給され、RAM59の記憶データが消去されないように保持される。そして、RAM59の記憶データが外部状態表示装置57に伝送されてその外部状態表示装置57により表示される。RAM59には、前述したように、パチンコ遊技機の遊技状態に関する情報(遊技状態情報)が逐次記憶されるのであり、停電により電源回路54からの供給電源がOFFになれば、そのOFFになった時点におけるパチンコ遊技機の遊技状態に関する情報が最終的な遊技状態に関する情報としてRAM59に記憶された状態となっている。その最終的な遊技状態に関する情報すなわち停電時における遊技状態に関する情報がRAM59から外部状態表示装置57に伝送されてその外部状態表示装置57により表示されることになる。この外部状態表示装置57による表示は、コンデンサ58に蓄電された電気が放電されてなくなりRAM59の記憶データを保持できなくなるまで表示され続ける。そして、このコンデンサ58からのバックアップの電力がRAM59に供給されている期間中に、停電が復旧した場合には、CPU62は、その停電時における遊技状態に関する情報を記憶しているRAM59からその情報を読出し、停電発生時におけるパチンコ遊技機の遊技状態から遊技を再スタートさせる。その結果、たとえば大当り制御中に停電が起こり、コンデンサ58によるバックアップの電力が供給されている期間中に停電が復旧した場合には、その大当り制御の状態から遊技がスタートすることとなり、遊技者に遊技状態に関する補償を行なうことができ、遊技者が不測の不利益を被ることが防止できる。また、コンデンサ58による電力供給期間を極力短くすることにより、たとえば閉店後に遊技機に対し予め遊技状態を遊技者に有利な状態(大当り状態や、可変表示装置の高確率制御状態)にセットして電源をOFFにし、遊技場の開店時に電源をONすることにより、開店時の遊技者に対しいきなり有利な状態で遊技を行わせる行為を極力防止できる。」 (段落【0037】〜 【0039】)
(6-5).「【0043】図1で説明したパチンコ遊技機は第1種(フィーバータイプ)の機種のパチンコ遊技機である。この第1種のパチンコ遊技機の場合には、前記RAM59に記憶する記憶内容として、たとえば、後述する特別図柄プロセスフラグ値,プロセスタイマ値,大当りフラグ,確変中フラグ,始動入賞記憶値,通過口14を通過した通過玉記憶値,図3,図5に示した各種ランダムカウンタの値(現在値および抽出値),可変入賞球装置10に入賞した入賞玉のカウント値,大当り制御中におけるその大当りが発生したときの可変表示装置4の表示結果,大当り制御中における可変入賞球装置10の繰返し継続制御の実行回数,入賞玉の未処理玉数等である。大当りフラグとは、WCRND1の抽出値に基づいて大当りにすることが事前決定された場合にその決定内容を記憶しておくためのフラグである。確変中フラグとは、前述した確率変動中である旨を記憶するためのフラグである。入賞口や入賞球装置に打玉が入賞すれば、その入賞玉1個につき所定個数の景品玉を払出す払出処理が行なわれるのであり、入賞口あるいは入賞球装置に入賞してまだ前記払出処理が行なわれていない未処理の入賞玉のことを、前記未処理玉数という。」 (段落【0043】)

(エ).特開平9-117560号公報(異議申立人町田彬提出の甲第7号証:以下「刊行物7」という)
(7-1).「【0031】この遊技盤1はいわゆる第1種パチンコ遊技機100に設置されるもので、遊技盤1のガイドレール2で囲まれた遊技領域3には、特別図柄(特図ともいう。)の可変表示装置4、特別変動入賞装置5、普通図柄(普図ともいう。)の始動ゲート6,6、普図の始動記憶表示器6a,6a,…、補助可変表示部としての普図の可変表示器7、一般入賞口8,8,…、特図始動口を兼ねた普通変動入賞装置9、風車とよばれる方向変換部材10,10,…、サイドランプ11,11、障害釘などが配設されている。
【0032】特図の可変表示装置4には、例えば液晶表示画面などによって構成される可変表示部4a、特図の始動記憶表示器4b,4b,…等が設けられている。この可変表示部4aにおいて、特図の可変表示遊技や後述する特殊補助表示遊技が行われる。」 (段落【0031】〜 【0032】)
(7-2).「【0085】その後、ステップS2で生成された遊技データを情報表示装置202の表示部202aに表示させる一時記憶データ表示処理(ステップS3)を行なう。その結果、例えば図6(a)〜(c)に示すように、電源遮断状態発生時の遊技状態に応じた遊技データが島設備装置200の表示部202aに表示される。
【0086】図6(a)は、大当たり中に電源遮断状態が発生した場合における表示例であり、表示部202aには、電源遮断状態発生時の遊技状態が大当たり状態であったことに関連する遊技データの表示(「大当たり中」、「8R、カウント5」、「大当たり図柄“7”」、「確変残り2回」)と共に、停電による大当たり遊技の途中終了時から最高継続可能遊技の終了時点までに獲得が予想される遊技価値に関連する遊技データの表示(「あと127個の出玉が予想されます」)がなされている。
【0087】図6(b)は、確率変動中に電源遮断状態が発生した場合における表示例であり、表示部202aには、電源遮断状態発生時の遊技状態が確率変動状態であったことに関連する遊技データの表示(「確率変動中」、「確変残り1回」、「始動記憶3個」、「ラッキーナンバー遊技中」)がなされている。
【0088】図6(c)は、普図時短ゲーム中に電源遮断状態が発生した場合における表示例であり、表示部202aには、電源遮断状態発生時の遊技状態が普図時短遊技状態であったことに関連する遊技データの表示(「普図時短中」、「時短残り20回」、「始動記憶2個」)がなされている。」(段落【0085】〜 【0088】)

(オ).特開平9-155031号公報(異議申立人町田彬提出の甲第9号証:以下「刊行物9」という)
(9-1).「【0041】図7及び図8は本発明の第2の実施形態を例示し、特定図柄での大当たりの発生後、第2始動手段16の開閉回数を計数し、その開閉回数が設定回数N回(例えば50回程度)になった時に、短縮解除手段46が変動時間短縮手段45による設定を解除するようにしたものである。」 (段落【0041】)

(カ).特開平7-129474号公報(異議申立人町田彬提出の甲第10号証:以下「刊行物10」という)
(10-1).「【0015】ところが、AP.ROM32に書き込まれているアプリケーションプログラムを解読やコピーしようとする者、あるいは不正なAP.ROMに交換しようとする者は、電源スイッチ38をオフした後、表示モジュール10をゲーム機から取り外し、表示モジュール内の信号ラインに接続するあるいはAP.ROM32を取り出すために、蓋部14を開成する。すると、コネクタスイッチ20が断となるので、メモリ34がバックアップ用のバッテリ44から切り離されてしまう。これにより、メモリ34の内容は消去してしまい、上記第1及び第2の所定領域の初期化終了フラグ及びシステムデータは不定なデータとなってしまう。即ち、このように一度開成したならば、メモリ34内容は壊されてしまう。」 (段落【0015】)

(キ).特開昭61-103463号公報(異議申立人町田彬提出の甲第12号証:以下「刊行物12」という)
(12-1).「<従来技術> 弾球遊戯機には、複雑な流れの遊戯でもスムーズに進行できるようにするために、遊戯状態を順次記憶するRAM等の記憶装置を具備したものがある(例えば実公昭58-8286)。この記憶装置は、電源端子から高電圧が印加するとき書込端子から信号を入力して遊戯状態を順次記憶すると共に、電源端子の低電圧の印加により記憶を消却するようになっている。このため従来では停電時に記憶装置の記憶が消えて遊戯の続行が不能になるのを防止するため、バッテリ等の補助電源を設け、停電時には商用電源に代えてこの補助電源により記憶装置の電源端子に給電するようにしていた。」(第1頁右欄第1〜13行)
(12-2).「遊戯中において、商用電源が電源入力端子101に通電状態のとき、電源によりRAM98の電源端子VDDに高電圧が印加すると共に、コンデンサ102、109が充電される。またこのときトランジスタ112がオン状態になるため、作動端子CSが低電圧となり、RAM98は書込端子WRから信号を入力して、遊戯状態を順次記憶する。商用電源が停電等によりオフすると、コンデンサ102の放電により、該コンデンサ102から電源端子VDDに高電圧が供給され、RAM98の記憶は消却されることない。このときトランジスタ112がオフするため、作動端子CSが高電圧になり、RAM98は、作動を停止し、RAM98の記憶はそのまま保持されると共に、RAM98の電力消費が少なくなる。そして電源のオフから一定時間(約1時間)経過すると、コンデンサ109の放電により点Aの電圧が高くなり、トランジスタ104がオンし、その結果放電回路103の作動によりコンデンサ102が急速に放電し、この時点でコンデンサ102から電源端子VDDへ高電圧が供給されなくなり、RAM98の記憶が消却される。」(第6頁左上欄第3行〜同頁右上欄第4行)
(12-3).「本発明では、コンデンサ102を急速に放電せしめるように作動する放電回路103と、電源のオフが一定期間続いたとき放電回路103を作動せしめるタイマ回路107とを設けたので、停電がある程度長く続いた場合、放電回路103によりコンデンサ102を急速に放電させて、記憶装置98の記憶が部分的に消却される前に記憶装置98の記憶を強制的に総て消却でき、上記のような支障を生じることもなく、その効果は著大である。」(第6頁左下欄第9〜18行)

(ク).特開平9-167120号公報(異議申立人町田彬提出の甲第13号証:以下「刊行物13」という)
(13-1).「【0002】【従来の技術】従来より、記憶装置に格納されたデータの誤り検出には、記憶装置内のデータを加算したチェックサムや、所定の単位データ(1バイト,1ワード等)毎に付加したパリティが用いられるが、こうしたチェックサムやパリティでは、データの誤り訂正を行うことができない。また、データの誤り訂正には、ハミング符号,ファイヤ符号,リード・ソロモン符号等が用いられるが、こうした従来の誤り訂正の手法では、データに付加するビット数が多く、また装置が高価になるという問題がある。」 (段落【0002】)

(ケ).特開平8-16488号公報(異議申立人町田彬提出の甲第14号証:以下「刊行物14」という)
(14-1).「【0013】このECC回路11は通常時に(装置電源オン時に)一定時間々隔をもってメモリ3の格納データのエラー検出訂正を行ってデータ再書込みをなすものであり、図1(B)に示す如く、メモリデータのワード方向に、各ワード単位でECC1を生成し、かつこのECC1により対応ワードのエラーチェック訂正を行う。」 (段落【0013】)

(コ).特開昭63-150716号公報(異議申立人町田彬提出の甲第16号証:以下「刊行物16」という)
(16-1).「第4図は従来のメモリボード装着状態を表す図である。記憶保護を必要とするメモリ4には消費電力の小さいC-MOS等が使用され、これを搭載したメモリボード8は装置本体の主電源1とバックアップ用バッテリ2とに接続されてバックアップされる。
即ち、主電源1が切断されると、バックアップ用バッテリ2よりメモリ4に電源が供給されるもので、逆流防止用ダイオード6はバックアップ用バッテリ2から装置本体への逆流を防止するために設けられる。
上記メモリボード8は例えば内筺10(第4図)に装着され、バックアップ用バッテリ2、主電源1とは、バックボード9を介して図示省略したコネクタによって、他の信号線とともに接続される。
このため、メモリボード8を取り外すときは内筺10のフロント側に引き出され、バックアップ用バッテリ2との接続は切断される。
[発明が解決しようとする問題点] 以上説明したように、バッテリバックアップされたメモリボードを装置本体より取り外すときバックアップ用バッテリも切り離され、記憶保護されているデータが失われるという問題点があった。」(第2頁左上欄第1行〜同頁右上欄第5行)

(サ).特開平5-35614号公報(異議申立人町田彬提出の甲第19号証:以下「刊行物19」という)
(19-1).「【0005】すなわち、上記構成のバックアップ装置は、CPU1の電源電圧VCCを保護するのではなく、CPU1の制御状態を保持するRAM3自体にバッテリを備える方式である。通常こうした不揮発性RAMは、電源電圧VCCが低下してある電圧VP となると書込み禁止となるような保護がなされている。
【0006】しかしながら、上記構成のバックアップ装置では、CPUや他のメモリの電源電圧の低下時の正常動作を行う電圧にばらつきがあり、電源断時、電源投入時及び瞬停時にRAMに不要なデータを書き込んでしまうことがあった。
【0007】【発明が解決しようとする課題】以上述べたように従来のバックアップ装置では、CPUや他のメモリの電源電圧の低下時の正常動作を行う電圧にばらつきがあるため、電源断時、電源投入時及び瞬停時に、装置の制御状態を保持する不揮発性メモリに誤ったデータを書き込んでしまうことがあった。」 (段落【0005】〜 【0007】)
(19-2).「【0018】図3は電源断時の電源電圧VCCの時間的変化を示している。電源電圧が低下してVT 以下になると、まず第1の比較器16がこれを検出して割込み信号ST を発生する。これによってCPU11に割込みがかかり、ROM12のプログラムによってCPU11が停止する。このため、RAM13に対しての書込みパルスの発生が停止され、これによって誤ったデータの書込みが防止できる。
【0019】さらに電源電圧VCCが低下してVR 以下になると、第2の比較器17がこれを検出してリセット信号SR1を発生する。これによってCPU11にリセットがかかる。この場合は、前述したように、RAM13に割り付けられたアドレス8000(HEX) 番地以降を選択しないことによって、誤ったデータの書込みが防止できる。さらに電源電圧VCCが低下してVP 以下になると、RAM13自体の書込み禁止機能が働くため、誤ったデータの書込みが防止できる。次に、電源瞬停時の場合の動作について図4を参照して説明する。」 (段落【0018】〜 【0019】)

(シ).特開平7-100253号公報(異議申立人町田彬提出の甲第20号証:以下「刊行物20」という)
(20-1).「【0028】図6は、LCDユニット30の背面部を示す部分分解斜視図である。LCDユニット30は、LCD32が取付けられたユニットベース31とその裏面側を覆うカバー303とを含む。カバー303の裏面側には、LCDユニット30の表示状態を制御するための基板40が設けられている。この基板40には、LCD制御用マイクロコンピュータ42やマイコンインターフェイス41が実装されている。カバー303の裏面側には嵌合孔50が穿設されている。一方、裏カバー47には前記嵌合孔50に嵌合する嵌合突起49が設けられており、この嵌合突起49を嵌合孔50に嵌合させた状態で裏カバー47が基板40を覆うように取付けられる。この裏カバー47にはROMカセット45を挿入するための開口部48が設けられている。一方、この裏カバー47の組付状態において開口部48に臨む基板40部分には、ゲーム制御用基板26に接続するためのコネクタ44が設けられている。」 (段落【0028】)
(20-2).「【0031】図7は、ゲーム制御用基板ボックスの分解斜視図である。ゲーム制御用基板ボックスは、収納ボックス本体52、透明板64および透明カバー体74を備えている。収納ボックス本体52は、導電性を有するようにするために、たとえばポリプロピレンにカーボンを混ぜた合成樹脂で形成されている。この樹脂の色は黒色である。なお、導電性を有する金属板で構成してもよい。また、透明板64および透明カバー体74は、ポリカーボネイト等で透明に形成されている。」 (段落【0031】)
(20-3).「【0071】RAM222は、コンデンサによりバックアップされている。しかし、何らかの原因で電源の瞬断等があった場合には、CPU動作が不安定となり、RAM222への異常なアクセスにより、RAM222のデータが破壊されるおそれがある。そのため、RAM222には、電源瞬断時のバックアップ電源からの出力に応答して、RAM222へのアクセスを禁止するためのアクセス制御機能が付加されている」(段落【0071】)

[2].本件発明1と引用発明との対比判断
(1).本件発明1
本件発明1は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

(2).本件発明1と引用発明とにおける発明特定事項の対応関係
(a).引用発明における、(ア)「電源回路」、(イ)「コンデンサ」、(ウ)「主基板」、(エ)[RAMにおける遊技制御に関する情報」、(オ)「CPU」、(キ)「停電などが復旧した場合」は、本件発明1における(あ)「動作用電源」、(い)「バックアップ電源」、(う)「主基板」、(え)「遊技情報を記憶する記憶手段」、(お)「制御手段」、(き)「前記動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰した場合」に各々対応する。
(b).引用発明における、「停電などにより電源回路からの供給電源がオフになった場合」は、引用発明を認定した刊行物5の(5-1)のように遊技制御手段がシステムダウンして正常動作しないことを意味するものであるから、本件発明においてシステムが正常動作しない「動作用電圧が所定値以下に低下した場合」に対応する。
(c).引用発明における「接続手段」と、本件発明における、コネクタを介した「第1接続コード」、「第2接続コード」、とは、動作用電源、及びバックアップ電源と主基板間を接続する「第1接続手段」、「第2接続手段」で共通する。

(3).一致点
「動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電圧を供給するバックアップ電源が配設され、
前記電源とは別に設けられた主基板に配設されて遊技状態に関する遊戯情報を記憶する記憶手段と、
前記動作用電源から供給される動作用電圧が所定値以下に低下した場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存することができるパチンコ機であって、
前記動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻すことができる制御手段を備え、
更に、前記動作用電源と前記主基板を接続する第1接続手段、
前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれ接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する第1接続手段とは別に設けられた第2接続手段を有するパチンコ機。」

(4).相違点
(ア).相違点1
電源に関して、本件発明1は、動作用電源とバックアップ電源が同一基板に配設されているのに対し、引用発明は、当該両電源が同一基板に配設されているか否か不明である点
(イ).相違点2
主基板に関して、本件発明1は、主基板がカバーに覆われているのに対し、引用発明は、当該基板がカバーに覆われているのか否か不明である点。
(ウ).相違点3
第1、第2接続手段に関して、本件発明1は、それぞれコネクタを介して手動により接続を解除可能であるのに対し、引用発明は、具体的接続手段が不明である点

(5).相違点の検討
(ア).相違点1について、
動作用電源とバックアップ電源等電源を一基板に配設することは、例えば、特開2000-61046号(平成12年2月9日公開)に示される様に周知の事項であるから、両電源を同一基板に配設することは単なる設計的事項である。
したがって、当該相違点は格別のものではない。
(イ).相違点2について、
基板をカバーで覆うことは、例えば、刊行物20(裏カバー47,透明カバー体74)に示される様に周知の事項であるから、主基板をカバーで覆うことは単なる設計的事項である。
したがって、当該相違点は格別ものではない。
(ウ).相違点3について、
コネクタ接続は、例えば刊行物16に示される様に、手動により着脱自在な周知の接続手段であるから、主電源、バックアップ用電源の主基板への接続手段として、当該周知のコネクタ接続手段を採用することは当業者が必要に応じて適宜なし得る設計的事項であり、しかも採用したことによる効果も予測の範囲内のことで格別のものではない。
したがって、当該相違点は格別ものではない。
(エ).まとめ、
以上のように各相違点は格別のものではなく、しかも、それらの相違点を総合的に判断しても格別の作用効果は認められない。

(6).むすび
以上のとおり、本件発明1は、前記刊行物5に記載された発明(引用発明)、及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[3].本件発明2と引用発明との対比判断
(1).本件発明2
本件発明2は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項2に記載されたとおりのものである。

(2).本件発明2と引用発明における発明特定事項の対応関係
(a).引用発明における、(ア)「電源回路」、(イ)「コンデンサ」、(ウ)「主基板」、(エ)「RAMにおける遊技制御に関する情報」、(オ)「停電などにより電源回路からの供給電源がオフなった場合」、(カ)「停電などが復旧した場合」、(キ)「停電検知回路」(ク)「CPU」は、本件発明2における(あ)「動作用電源」、(い)「バックアップ電源」、(う)「主基板」、(え)「遊戯情報を記憶する記憶手段」、(お)「動作用電圧が所定値以下に低下した場合」、(か)「前記動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰した場合」、(き)「動作電圧を検出する検出手段」、(く)「記憶手段に記憶されている遊技情報を呼出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻し」に各々対応する。
(b).引用発明における「遊技制御に関する情報が表示・記憶される」ことと本件発明2の「信号遮断手段」とは、供給電力が所定値以下に低下したことを検出したことに対処する、「電圧低下対処手段」で共通する。
(c).引用発明における「停電などにより電源回路からの供給電源がオフなった時は、停電検知回路にて当該停電を検知して停電警告信号がCPUに出力され、遊技制御に関する情報が表示・記憶されると共に、バックアップ電力としてのコンデン58からRAM59に電力が供給されて、RAM59における遊技制御に関する情報が所定期間バックアップ保持」する機能は、本件発明2における「前記動作用電源から供給される動作用電圧が所定値以下に低下した場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存する」機能に対応する。

(3).一致点
機能実現手段としては、各種制御手段にて実現されることが周知事項であることを勘案すると、両者は以下の点で一致する。
「動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電源を供給するバックアップ電源が配設され、
動作用電圧を検出する検出手段と、
前記電源とは別に設けられて主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができる記憶手段と、
前記動作用電圧が所定値以下に低下したことが検出された場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存する制御手段と、
前記動作用電圧が所定値以下に低下した際の電圧低下対処手段を備え、
前記制御手段は前記動作用電圧が所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に対するアクセスが可能となり、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻し、
更に、前記動作用電源と前記主基板を接続する第1接続手段、
前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれ接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する第1接続手段とは別に設けられた第2接続手段とを有するパチンコ機。」

(4).相違点
(ア).相違点1
電源に関して、本件発明2は、動作用電源とバックアップ電源が同一基板に配設されているのに対し、引用発明は、当該両電源が同一基板に配設されているか否か不明である点
(イ).相違点2
主基板に関して、本件発明2は、主基板がカバーに覆われているのに対し、引用発明は、当該基板がカバーに覆われているのか否か不明である点。
(ウ).相違点3
第1、第2接続手段に関して、本件発明2は、それぞれコネクタを介して手動により接続を解除可能であるのに対し、引用発明は、具体的接続手段は不明である点
(エ).相違点4
電圧低下対処手段に関して、本件発明2は、記憶手段に対する制御手段からのアクセスを停止することであるのに対し、引用発明は、停電発生時における遊技状態に関する情報を表示・記憶している点
(オ).相違点5
記憶保存手段に関して、本件発明2は、動作電圧を検出する、検出手段を「介している」のに対し、引用発明は検出手段を介しているかどうか不明である点

(5).相違点の検討
(ア).相違点1、2、3に関しては、前記「第四.[2].(5).相違点の検討」に記載したとおりである。
(イ).相違点4について、
電源電圧の低下に対する大容量コンデンサによるバックアップ装置では、CPUや他のメモリの動作電圧の相違により、電源断時、電源投入時、瞬停時にRAMに不要なデータを書込む等の制御装置に動作不良が生じることは刊行物19、20に示される様に周知の事項であり、しかも、刊行物20には、動作不良対策手段として、CPUのRAMへのアクセスを禁止する、アクセス禁止手段が示されているから、引用発明において、動作電圧の低下を検出した際の動作不良対策として、当該アクセス禁止手段を採用することは、当業者が適宜なし得る程度のことである。
したがって、当該相違点は格別のものではない。
(ウ).相違点5について、
本件発明2において、「検出手段を介して」における「介して」は、「検出された場合」を修飾するのか「バックアップ電圧を供給して」を修飾するのか明瞭でないが、前者の場合は「検出手段」の当然の機能であり、後者の場合は、電圧を監視して、ショート、断線など検出し、その検出結果に基づいて各種制御を行うことは周知事項であり、バックアップ電圧についても同様であることは、刊行物4に、電源電圧が所定電圧以下になったことを検出して、当該検出結果に基づいてバックアップ電圧に切り替えることが示されていることからも明らかであるから、引用発明において、電源電圧が所定電圧以下になったときにバックアップ電源に切り替える切換手段として、前記周知事項に基づいて停電検知回路の出力によりバックアップ電源に切り替えるようにすることは、当業者が適宜なし得る設計的事項である。
なお、バックアップ電源としてのコンデンサと動作用電源とRAMとの接続回路について、図5を参照すると、検出回路からの信号により動作するとは解せないものである。
したがって、当該相違点は当業者が適宜なし得る設計的事項である。
(エ).まとめ、
以上のように各相違点は格別のものではなく、しかも、それらの相違点を総合的に判断しても格別の作用効果は認められない。

(6).むすび
以上のとおり、本件発明は、前記刊行物5に記載された発明(引用発明)、及び刊行物4、16、19、20に示される様な周知事項に基づいて当業者が適宜なし得る設計的事項である。
したがって、本件発明2についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[4].本件発明3と引用発明との対比判断
本件発明3は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1、または2に記載された発明において、遊技情報として「確率変動状態情報を含む」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[2].本件発明1と引用発明との対比判断」、または「[3].本件発明2と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「確率変動状態」に関する情報は、刊行物6,7、及び引用発明には確率変動状態を表す「確変中フラグ」として示される様に遊技情報として周知の情報であるから、「確率変動状態情報を含む」ように限定することは、当業者が適宜なし得る程度の事項である。
したがって、本件発明3についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[5].本件発明4と引用発明との対比判断
本件発明4は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項3に記載された発明において、遊技情報として「変動時間短縮状態情報を含む」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[4].本件発明3と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「変動時間短縮状態」に関する情報は遊技情報としては、例えば、刊行物7、9に示される様に周知の情報であるから、引用発明における遊技情報として、前記周知の情報である、「変動時間短縮状態」に関する情報を含むように限定することは当業者が適宜なし得る程度の事項である。
したがって、本件発明4についての特許は、特許法第29条第2項の規定に反してなされたものであるから、特許法第113条第2項に該当し、取り消されるべきものである。


[6].本件発明5と引用発明との対比判断
本件発明5は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項4に記載された発明において、遊技情報として「時間短縮残回数情報を含む」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[5].本件発明4と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「時間短縮回数」に関する情報は遊技情報としては、例えば、刊行物7に示される様に周知の情報であり、しかも、残回数の情報とすることも示されているから、引用発明における遊技情報として、前記周知の遊技情報である「時間短縮残回数」の情報を含むように限定することは当業者が適宜なし得る程度の事項である。
したがって、本件発明5についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[7].本件発明6と引用発明との対比判断
本件発明6は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された発明において、遊技情報として「普通図柄保留数情報を含む」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[2].本件発明1と引用発明との対比判断〜[6].本件発明5と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「普通図柄保留数」に関する情報は遊技情報としては、例えば、刊行物6、7、8、及び引用発明にも、普通図柄保留数情報、特別図柄保留数情報の表示手段として記憶表示器16,7が示されている様に周知の遊技情報であるから、引用発明における遊技情報として、前記周知の遊戯情報である「普通図柄保留数」の情報を含むように限定することは単なる設計的事項である。
したがって、本件発明6についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[8].本件発明7と引用発明との対比判断
本件発明7は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された発明において、遊技情報として「特別図柄保留数情報を含む」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[2].本件発明1と引用発明との対比判断〜[7].本件発明6と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「特別図柄保留数」に関する情報は遊技情報としては、例えば、刊行物6、7、8、及び引用発明にも、普通図柄保留数情報、特別図柄保留数情報の表示手段としての記憶表示器16,7が示されている様に周知の遊戯情報であるから、引用発明における遊技情報として、前記周知の遊戯情報である、「特別図柄保留数」の情報を含むように限定することは単なる設計的事項である。
したがって、本件発明7についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[9].本件発明8と引用発明との対比判断
本件発明8は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された発明において、遊技情報として「特別遊技情報を含む」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[2].本件発明1と引用発明との対比判断〜[8].本件発明7と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「特別遊技」に関する情報は遊技情報としては、例えば、刊行物6、7、8、及び引用発明にも「大当たり」が示されている様に周知の遊戯情報であるから、引用発明における遊技情報として、前記周知の遊技情報である、「特別遊技」の情報を含むように限定することは単なる設計的事項である。
したがって、本件発明8についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[10].本件発明9と引用発明との対比判断
本件発明9は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項8に記載された発明において、遊技情報として「ラウンド数情報を含む」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[9].本件発明8と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「ラウンド数」に関する情報は遊技情報としては、例えば、刊行物7、特開平6-54950号公報等に示される様に周知の情報であるから、引用発明における遊技情報として、前記周知の遊技情報である、「ラウンド数」の情報を含むように限定することは単なる設計的事項である。
したがって、本件発明9についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[11].本件発明10と引用発明との対比判断
本件発明10は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項9に記載された発明において、遊技情報として「大入賞口個数情報を含むこと」を限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[9].本件発明8と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
「大入賞口個数」に関する情報は、遊技情報としては、例えば、刊行物6、7、特開平6-54950号公報、引用発明に示される様に周知の情報であるから、引用発明における遊技情報として、前記「大入賞口個数」の情報を含むように限定することは単なる設計的事項である。
したがって、本件発明10についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[12].本件発明11と引用発明との対比判断
本件発明11は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10に記載された発明において遊技情報を消去する消去手段を備えることを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[2].本件発明1と引用発明との対比判断〜[11].本件発明10と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
遊技情報を消去することは、例えば、刊行物12に、タイマー手段にて形成する放電回路による遊技情報消去手段が示され、引用発明にも、バックアップ電力としてのコンデンサの容量の大小による遊技情報の消去手段が示されている様に当業界では周知の事項であるから、当該限定事項は単なる設計的事項である。
したがって、本件発明11についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[13].本件発明12と引用発明との対比判断
本件発明12は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項11に記載された発明において、遊技情報消去手段として、前扉と連動するスイッチであることを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[12].本件発明11と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
メモリの消去手段として、蓋部の開閉に連動するスイッチによる消去手段が刊行物10に示されており、当該メモリの消去手段を引用発明に示されるコンデンサの容量の大小による遊技情報の消去手段に代替適用すること、及び、適用に際して、当該スイッチと連動する開閉部として前扉を選択することは、パチンコにおける開閉部として前扉は周知であること、及び適用したことによる効果も予測の範囲内のことであるから、当業者が刊行物10に示されるメモリ消去手段により容易に想到できることである。
したがって、本件発明12についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[14].本件発明13と引用発明との対比判断
本件発明13は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項11または請求項12に記載された発明において、消去手段の構成として、バックアップ用電圧の供給時間を設定する時間設定手段が設けられ、前記供給時間の経過後に、前記記憶手段に記憶されている遊技情報が消去されることを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[12].本件発明11と引用発明との対比判断」または「[13].本件発明12と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
遊技情報を消去する手段として、刊行物12に示される、タイマー手段にて形成する放電回路による遊技情報保持期間の調整手段、及び刊行物6、及び引用発明に示される、バックアップ電力としてのコンデンサの容量の大小による遊技情報保持期間の調整手段が示される様に、バックアップ電力供給時間を適宜設定して、遊技情報保持期間の調整を可能とすることは当該技術分野では周知の事項であるから、当該限定事項は単なる設計的事項である。
したがって、本件発明11についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。


[15].本件発明14と引用発明との対比判断
本件発明14は、平成17年7月29日付訂正明細書の特許請求の範囲の請求項11〜請求項13に記載された発明において、遊技情報に関して、遊技情報が正しく記憶されているか否かを管理する「管理情報が付加されている」ことを限定したものである。
したがって、前記限定事項以外については、前記「[12].本件発明11と引用発明との対比判断」〜「[14].本件発明13と引用発明との対比判断」に記載したとおりであるから、当該限定事項について以下検討する。
検討
記憶装置に格納された情報の誤り検出手段、訂正手段として、パリティチェック、ECC処理等管理情報を付加するエラー対策手段は、刊行物13、14に示される様に周知の手段であるから、当該エラー対策手段を、引用発明においてRAMに格納された遊技情報に適用することは当業者が必要に応じてなし得る程度の事項である。
したがって、本件発明14についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。



第四.まとめ
以上のとおり、本件発明1〜14は、前記刊行物5に記載された発明、及び刊行物2〜4、6〜20に記載されるような周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件発明1〜14についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
パチンコ機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電圧を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、
前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶する記憶手段と、
前記動作用電源から供給される動作用電圧が所定値以下に低下した場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存することができるパチンコ機であって、
前記動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻すことができる制御手段を備え、
更に、前記動作用電源と前記主基板を接続する第1接続コードと、
前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、
前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電源の供給を停止することを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電源を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、
動作用電圧を検出する検出手段と、
前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができる記憶手段と、
前記検出手段を介して、前記動作用電圧が所定値以下に低下したことが検出された場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存する制御手段と、
前記動作用電圧が所定値以下に低下した際に、前記記憶手段に対する制御手段からのアクセスを停止する信号遮断手段とを備え、
前記制御手段は、前記動作用電圧が所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に対するアクセスが可能となり、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻し、
更に、前記動作用電源と前記主基板とを接続する第1接続コードと、
前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、
前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電圧の供給を停止することを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】請求項1または請求項2に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、確率変動状態を示す確率変動状態情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項4】請求項3に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、変動時間短縮状態を示す変動時間状態短縮情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項5】請求項4に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、時間短縮残回数を示す時間短縮残回数情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項6】請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、普通図柄保留数を示す普通図柄保留数情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項7】請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、特別図柄保留数を示す特別図柄保留数情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項8】請求項1乃至請求項7のいずれか一に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、特別遊技を示す特別遊技情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項9】請求項8に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、大当たりのラウンド数を示すラウンド数情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項10】請求項9に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報は、大入賞口入賞個数を示す大入賞口入賞個数情報を含むことを特徴とするパチンコ機。
【請求項11】請求項1乃至請求項10のいずれか一に記載のパチンコ機において、
前記記憶手段に記憶されている遊技情報を消去することができる消去手段を備えたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項12】請求項11に記載のパチンコ機において、
前記消去手段は、パチンコ機の前扉の開放と連動するスイッチであることを特徴とするパチンコ機。
【請求項13】請求項11または請求項12に記載のパチンコ機において、
前記消去手段には、前記バックアップ用電圧の供給時間を設定する時間設定手段が設けられ、前記供給時間の経過後に、前記記憶手段に記憶されている遊技情報が消去されることを特徴とするパチンコ機。
【請求項14】請求項11乃至請求項13のいずれか一に記載のパチンコ機において、
前記遊技情報には、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を正しく記憶しているか否かを管理するための管理情報が付加されていることを特徴とするパチンコ機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常時は動作用電圧に基づいて動作するパチンコ機に関し、特に、遊技者による遊技中に停電等の電気事故が、その動作用電圧に発生した場合であっても、遊技状態の情報等を記憶して保存することにより、電気事故以前の遊技状態に戻すことができるパチンコ機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のパチンコ機は、遊技内容に変化を加えることによって、パチンコ機の遊技者の興味を高めるべく種々の役物(入賞を容易にするための特別な装置)を遊技板に備える。例えばパチンコ球が始動入賞口に入賞すると、CRT等の図柄表示装置に表示されている変動図柄が変動を開始し、一定時間経過した後に表示された図柄が一定確率で揃うと(例えば「7、7、7」等のゾロ目)、大当たりとして大入賞口が所定回数続けて開くとともに図柄表示装置に大当たり映像が表示されるものがある。そのようなパチンコ機には、各種の制御に非常に多くの電子制御回路が組み込まれ、役物制御回路、表示回路、或いは賞球の払出制御回路などの各種回路が、マイクロコンピュータ等を含む電子制御回路によって制御される。
【0003】
そのため、パチンコ遊技店で、例えば電気回線のショート、停電等の電気事故が発生し、電子制御回路に供給される動作用電圧が低下した場合、電子制御回路の動作が停止して、各種回路の動作が停止する結果、パチンコ機全体の動作も直ちに停止することになる。そのため、例えば大当たりとして大入賞口が所定回数続けて開いている途中等に、電気事故が発生した場合であっても、その動作は直ちに停止してしまい、遊技していた遊技者は驚愕することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなパチンコ機の場合、かかる電気事故に対しては十分に対処できておらず、電気事故の修理等が完了して、電子制御回路に供給される電圧が回復した場合であっても、電子制御回路は初期状態に戻るにすぎなかった。
そのため、各種回路の動作も初期状態に戻るにすぎず、電気事故以前の遊技中の大当たりとしての大入賞口の開放状態に戻らないので、遊技者の不利益は極めて大きいものとなる。かかる場合、パチンコ遊技店が、遊技者の申し出に基づいて、賞球を適宜払い戻す等の対応をするにすぎず、パチンコ機自体が電気事故に対して対応できなかった。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、遊技中に電気事故が発生した場合であっても、遊技情報等を記憶して保存することにより、電気事故以前の遊技状態に戻ることができるため、停電等の電気事故に対して対応することが可能なパチンコ機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係るパチンコ機は、動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電圧を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶する記憶手段と、前記動作用電源から供給される動作用電圧が所定値以下に低下した場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存することができるパチンコ機であって、前記動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻すことができる制御手段を備え、更に、前記動作用電源と前記主基板を接続する第1接続コードと、前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電源の供給を停止することを特徴とする。
【0007】
このような特徴を有するパチンコ機においては、記憶手段は、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができるが、遊技中に電気事故が発生し、パチンコ機の動作用電圧が所定値以下に低下した場合に、記憶手段にバックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、記憶手段に記憶されている遊技情報を保存状態にする。
【0008】
それにより、遊技者による遊技中に停電等の電気事故が発生したのが、例えば「大当たり」として大入賞口が開放される遊技状態であっても、その遊技情報等を記憶手段に記憶して保存することにより、動作用電圧が所定値以上に復帰した場合に、電気事故以前の遊技状態に戻ることができ、パチンコ機自体が停電等の電気事故に対して対応することが可能となって、遊技者に不利益を与えることがない。また、電気事故修復中にバックアップ電圧を供給している場合であっても、コネクタを外すことにより第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電源の供給を停止することができるので、パチンコ店の管理者等が、手動により記憶手段に記憶されている遊技情報等を消去することが可能となる。これにより、記憶手段に記憶された遊技情報等を、例えば管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
【0009】
また、本発明に係るパチンコ機は、動作用電圧を供給する動作用電源及びバックアップ電源を供給するバックアップ電源が配設された電源基板と、動作用電圧を検出する検出手段と、前記電源基板とは別に設けられてカバーに覆われた主基板に配設され、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができる記憶手段と、前記検出手段を介して、前記動作用電圧が所定値以下に低下したことが検出された場合に、前記記憶手段に対して前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を保存する制御手段と、前記動作用電圧が所定値以下に低下した際に、前記記憶手段に対する制御手段からのアクセスを停止する信号遮断手段とを備え、前記制御手段は、前記動作用電圧が所定値以上に復帰した場合、前記記憶手段に対するアクセスが可能となり、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻し、更に、前記動作用電源と前記主基板とを接続する第1接続コードと、前記バックアップ電源と前記主基板とをそれぞれコネクタを介して接続して該バックアップ電源からバックアップ電圧を供給する前記第1接続コードとは別に設けられた第2接続コードとを有し、前記コネクタを外すことにより、前記第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電圧の供給を停止することを特徴とする。
【0010】
このようなパチンコ機においては、記憶手段は、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができる。検出手段がパチンコ機の動作用電圧を検出し、動作用電圧が所定値以下に低下したことを検出した場合に、記憶手段に前記バックアップ電源からバックアップ電圧を供給して、記憶手段に記憶されている遊技情報が保存されるとともに、信号遮断手段が制御手段からの記憶手段に対するアクセスを停止する。そして、検出手段を介して、動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰したことが検出された場合に、制御手段からの記憶手段に対するアクセスを可能として、記憶手段に記憶されている遊技情報を呼び出して、前記動作用電圧が所定値以下に低下する前の遊技状態に戻す。
【0011】
それにより、遊技者による遊技中に停電等の電気事故が発生したのが、例えば遊技中の大当たりとしての大入賞口の開放等の遊技状態であっても、その遊技情報等を記憶して保存することにより、電気事故以前の遊技状態に戻ることができる。それにより、停電等の電気事故に対して対応することが可能となって、遊技者に不利益を与えることがない。また、信号遮断手段が、制御手段による記憶手段に対するアクセスを停止することにより、動作用電圧が所定値以下に低下することによる記憶手段への悪影響を防止することができる。尚、信号遮断手段が、制御による記憶手段に対するアクセスを停止する際に、制御手段の動作を停止しても良い。
また、電気事故修復中にバックアップ電圧を供給している場合であっても、コネクタを外すことにより第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電源の供給を停止することができるので、パチンコ店の管理者等が、手動により記憶手段に記憶されている遊技情報等を消去することが可能となる。これにより、記憶手段に記憶された遊技情報等を、例えば管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。尚、制御手段には、電気事故に対処するための事故対策回路が含まれているのが望ましい。
【0012】
また、上記に記載のパチンコ機において遊技情報は、確率変動状態を示す確率変動状態情報を含むことが望ましい。
パチンコ機においては、図柄表示を変動させる変動図柄表示装置と、その図柄の変動を開始させる始動入賞口とを遊技領域に配設するものがあり、その始動入賞口への入賞に基づいて、その図柄が変動後所定の態様(例えば「7,7,7」のぞろ目)で停止した場合に、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる。
この特別遊技状態の発生する確率が、通常確率よりも高い確率で発生する場合と、通常確率で発生する遊技状態とで変動する場合とがあり、これを確率変動という。尚、特別遊技の状態であることを示す特別遊技情報と称し、これも遊技情報に含まれるのが望ましい。
そして、特別遊技状態の発生する確率が通常確率よりも高い確率で発生する場合は、遊技者にとって有利な状態であるので、停電等の電気事故が発生し、その後復旧した場合、その状態が継続されるのが望ましく、確率変動状態情報は記憶手段に記憶保存されるのが望ましい。
【0013】
また、上記に記載のパチンコ機において、前記遊技情報は変動時間短縮状態を示す変動時間状態短縮情報を含むことが望ましい。
この変動時間短縮状態とは、通常時は、図柄変動表示装置のハズレパターンの変動図柄が所定時間(例えば6〜8秒)だけ変動させた後に停止状態になるのに対して、図柄変動表示装置のハズレパターンの変動図柄が、通常の時間(例えば6〜8秒)よりも短い時間(2〜3秒)だけ変動させた後停止状態になって、「大当たり(特別遊技)状態」になるまでの待ち時間(変動時間)が短縮される(約1/3になる)ことをいう。
この場合も、通常時はハズレパターンの変動図柄が所定時間(例えば6〜8秒)だけ変動するように設定され、特定の条件(例えば変動図柄が変動後の特定の態様で停止した場合)の下で、短い時間(2〜3秒)だけ変動させた後に、停止状態になる。そして、図柄が短い時間(2〜3秒)だけ変動すると、結果的に、次の大当たりが早くなり、変動時間短縮状態は、遊技者にとって有利な状態であるので、停電等の電気事故が発生し、その後復旧した場合、その変動時間短縮状態が継続されるのが望ましいので、変動時間状態短縮情報は記憶手段に記憶保存されるのが望ましい。
【0014】
また、前記遊技情報は、時間短縮残回数を示す時間短縮残回数情報を含むことが望ましい。この時間短縮残回数とは、変動図柄表示装置の図柄が変動中に例えば第1種始動口等へ入賞した場合には、その入賞個数を所定個までカウントして、その回数分だけ変動時間短縮状態に移行できるパチンコ機の場合、その変動時間短縮状態に移行できる回数をいう。従って、かかる変動時間短縮状態情報は、記憶手段に記憶保存されるのが望ましい。
【0015】
前記遊技情報は、普通図柄保留数を示す普通図柄保留数情報を含むことが望ましい。
図柄表示を変動させる普通図柄表示装置と、その普通図柄の変動を開始させるゲート等とを遊技領域に配設するパチンコ機においては、パチンコ球のゲートの通過に基づいて、その普通図柄表示装置が図柄変動した後「所定の数字等」で停止した場合に、補助入賞装置が所定時間開かれて所定の始動口にパチンコ球が入賞しやすくなる。その図柄変動等中に、ゲートを通過した個数分だけ、普通図柄表示装置を図柄変動して停止できるものを普通図柄保留数という。この普通図柄保留数情報は記憶手段に記憶保存されるのが望ましい。
【0016】
前記遊技情報は、特別図柄保留数を示す特別図柄保留数情報を含むことが望ましい。図柄表示を変動させる特別図柄表示装置と、その特別図柄の変動を開始させる始動入賞口とを遊技領域に配設するパチンコ機においては、その始動入賞口への入賞に基づいて、特別図柄表示装置の図柄が変動後所定の態様で停止し、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる。特別図柄保留数情報とは、その特別図柄の変動中に入賞した個数分だけ、特別遊技状態に移行できる回数をいうが、この特別図柄保留数情報は記憶手段に記憶保存されるのが望ましい。
【0017】
前記遊技情報は、大当たりのラウンド数を示すラウンド数情報を含むことが望ましい。ラウンド数情報とは、大当たりの場合、所定ラウンド数だけ大入賞口が開放・閉鎖の動作を繰り返す際に、現在何ラウンドであるかを示す情報をいう。このラウンド数情報は記憶手段に記憶保存されるのが望ましい。
【0018】
前記遊技情報は、大入賞口入賞個数を示す大入賞口入賞個数情報を含むことが望ましい。この大入賞口入賞個数情報とは、何個パチンコ球が大入賞口に入って何個入賞したかを示す情報をいう。この大入賞口入賞個数情報は、記憶手段に記憶保存されるのが望ましい。
【0019】
前記記憶手段に記憶されている遊技情報を消去することができる消去手段を備えることが望ましい。この場合、消去手段は、消去操作用スイッチであることが望ましく、パチンコ遊技店の顧客等が容易に触れないように、特にパチンコ機の裏側に設けられているのが望ましい。
そして、パチンコ遊技店の管理者は記憶手段に記憶された遊技情報等を管理上消去したい場合があり、消去手段が動作することによって、かかる要望を容易に適えることができる。
これは、記憶手段に保存された遊技情報等を消去できないとすると、例えば遊技情報が、遊技者にとって有利な状態(例えば大当たり)で電気事故が発生し、電気事故の修復を待てない遊技者に対しパチンコ遊技店としては補償した後に、その電気事故の修復完了後、遊技をしようとする別の遊技者が、未だ何らの遊技をしていないにも拘わらず、遊技者にとって有利な状態が突然に現れるとすると、パチンコ遊技店の不利益が大きいので、記憶手段に記憶された遊技情報等を消去して、かかる事態を防止する必要があるからである。
【0020】
前記消去手段は、パチンコ機の前扉の開放と連動するスイッチであることが望ましい。この場合、パチンコ遊技店の管理者等が、動作用電圧を遮断した際に、パチンコ機の前扉を開放すると、スイッチがその前扉の開放と連動して、記憶手段に記憶された遊技情報を消去する。その結果、パチンコ遊技店の管理者はその遊技情報等を管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
前記消去手段には、前記バックアップ用電圧の供給時間を設定する時間設定手段が設けられ、前記供給時間の経過後に、前記記憶手段に記憶されている遊技情報が消去されることが望ましい。
それにより、時間設定手段がバックアップ用電圧の供給時間(例えば3時間)を設定し、供給時間(例えば3時間)が経過した場合、記憶手段に記憶されている遊技情報が消去される。これは、停電等の電気事故の修復するまでに例えば3時間以上かかった場合、パチンコ遊技店にいた顧客も3時間もその修復を待っているとは考えにくく、また、パチンコ遊技店の営業時間が既に終わっている場合があるので、このような場合には、記憶手段に記憶されている遊技情報は不要となるからである。かかる場合、供給時間(例えば3時間)が経過すると、記憶手段に記憶されている遊技情報が自動的に消去されるので、パチンコ遊技店の管理者等が、記憶手段に記憶された遊技情報を消去するための作業をする必要がなくなる。
【0021】
前記遊技情報には、前記記憶手段に記憶されている遊技情報を正しく記憶しているか否かを管理するための管理情報が付加されていることが望ましい。
このような管理情報を遊技情報に付加する場合、遊技情報が正しく記憶されている否かを把握できる。すなわち、管理情報が正しい場合、記憶手段に記憶されている遊技情報が正しく記憶されていると把握できるが、管理情報が正しくない場合、記憶手段に記憶された遊技情報は間違っている可能性が高い。そして、正しくない遊技情報に基づいて、電気事故以前の遊技状態に戻ったとしても、結果として遊技者の利益に適うとはいえず、間違っている遊技情報の場合、それを消去するといった方策を取るのが望ましい。それにより、管理情報が正しい場合のみ、記憶手段に記憶されている遊技情報を使用する態様を採用することが可能である。
【0022】
また、前記停止手段は、接離可能なコネクタを備え、手動によってコネクタをはずすことによって前記バックアップ電圧を前記記憶手段に供給するのを停止することが望ましい。
それにより、パチンコ店の管理者等が停止手段としてのコネクタをはずすことにより、バックアップ電圧を記憶手段へ供給するのを停止できる。
もっとも、前記停止手段としては、必ずしも接離可能なコネクタに限った訳でなく、例えば手動スイッチ等その他のものであってもよいことはいうまでもない。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るパチンコ機について具体化した実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
先ず、実施形態に係るパチンコ機の全体構成について図1に基づき説明する。図1は実施形態に係るパチンコ機全体を示した正面図である。
図1において、パチンコ機1は、いわゆる第一種パチンコ機である。パチンコ機1は、その前面側に遊技盤2を備え、この遊技盤2は、後述する入賞口、図柄表示装置、電動役物及びゲート等の各種構造物を配設している。その遊技盤2の下側には、払い出される賞球を受ける上皿3がプレート4上に配設され、この上皿3には出力用スピーカ3aが内蔵される。その上皿3の下側には、この上皿3から溢れた賞球を受ける下皿5が配設されている。
【0024】
また、下皿5の側方には、ハンドル6が配設され、上皿3に連通する不図示の球送り機構を介して上皿3のパチンコ球がハンドル6に連結された発射装置へ送られるように構成されている。
その遊技盤2の左右上方側には、賞球及び球切れ表示ランプ10、10が設けられており、賞球及び球切れの際に、その表示ランプ10が点滅することにより、遊技者、遊技場の管理者等にその旨を知らせる。また、遊技盤2の前側は、ステンレス等の金属製枠を有するガラス扉9により被覆されており、ガラス扉9はその側方(左)側に設けられたヒンジ部材等を介して開閉自在に支持されている。そして、ヒンジ部材等の反対側(右)側に設けられた鍵穴9bに、遊技店の管理者等が鍵を挿入して回転操作して、ロックを解除することにより、ガラス扉9を前方側へ開くことができる。
【0025】
そのガラス扉9の左上部には、遊技中のエラーを表示するエラー表示ランプ7が設けられており、また、ガラス扉9の上側及び右側には、「当たり」を表示する当たり表示ランプ8、8が取り付けられている。
ここで、パチンコ機1における遊技盤2上の遊技領域の構成について説明する。この遊技領域には、所定厚さの板材からなる遊技盤2上に入賞口などの各構造物が配設され、各構造物を囲むように環状のレール11が遊技盤2上に立設されている。このレール11は、発射されたパチンコ球を遊技領域11内に案内する案内路15を構成し、遊技盤2上の遊技領域の上方側部には、レール11に沿って打ち込まれるパチンコ球の進行を制限するための段差部16が設けられている。そして、その段差部16には、軸支された返しゴム(図示せず)が配設されている。
【0026】
また、遊技領域のほぼ中央には、図柄表示装置を構成するLCD表示器12が遊技盤2の裏面側から前面側へ取り付けられている。このLCD表示器12は、背景画面上の左側、中央、右側に3個の変動図柄を表示する液晶パネルである。そして、LCD表示器12の左側、中央、右側にそれぞれ表示された図柄が変動しながら、停止した状態が全体として所定の図柄(例えば「777」等)を構成する場合に、遊技者にとって有利な遊技状態である「いわゆる大当たり」となる。
また、LCD表示器12の上方には、前面側にキャラクタ図柄が描かれた入賞口18が配設されており、この入賞口18には、遊技盤2の裏面に設けられた賞球樋が連通されている。そして、この入賞口18に入ったパチンコ玉を検出する入賞口スイッチ18A(図4参照)が、遊技盤2の裏側に設けられており、入賞口18に入賞したことを入賞口スイッチ18Aが検出すると、所定の個数の賞球が上部受皿3に排出されるように構成されている。また、LCD表示器12内の下端部には、変動図柄の始動回数を遊技者に知らせるための、変動図柄始動記憶表示器13が設けられている。
【0027】
また、LCD表示器12の下方には、第1種始動口23が配設されており、この第1種始動口23には、遊技盤2の裏面に設けられた賞球樋が連通されている。そして、この第1種始動口23に入ったパチンコ玉を検出する始動口スイッチ23Aが遊技盤2の裏側に設けられており、この第1種始動口23に入賞して始動口スイッチ23A(図4参照)が入賞したことを検出すると、LCD表示器12の変動図柄が変動開始して、所定の個数の賞球が上部受皿3に排出されるように構成されている。
また、LCD表示器12の左右上側には、各電飾ランプ19、20が設けられており、これら電飾ランプ19、20は、LCD表示器12の変動図柄が変動する際に点滅する。
【0028】
また、各電飾ランプ19、20の下側には、各ゲート21、22が配設されている。このゲート21、22には、パチンコ球の通過を検出する検出スイッチ(図示せず)が備えられ、この検出スイッチがパチンコ球の通過を検出することにより、LCD表示器12の変動図柄が変動開始するように構成されている。
また、各ゲート21、22の下側には、電飾ランプが施された下入賞口24、25が配設されており、これら下入賞口24、25には、遊技盤2の裏面に設けられた賞球樋が連通されている。そして、各下入賞口24、25への入賞を検出する下入賞口スイッチ24A、25A(図4参照)が、遊技盤2の裏側に設けられ、下入賞口24、25に入賞したことを下入賞口スイッチ24A、25Aが検出すると、所定の個数の賞球が上部受皿3に排出されるように構成されている。
【0029】
そして、第1種始動口23の下方には、大入賞口26を有する特別電動役物27が配設されており、この大入賞口26は、長い横幅を有するとともに上方に開口する開閉扉28を備えている。そして、第1種始動口23又はゲート21、22にパチンコ球が入り、LCD表示器12の画面の、左側、中央、右側にそれぞれ表示された図柄が変動した後に、全体として所定画面になった場合(例えば、777のように揃った場合)、開閉扉28が開かれて、遊技者に有利な特別遊技状態になる。
この開閉扉28には、遊技盤2の裏面に設けられた賞球樋が連通されており、大入賞口26内には、開閉扉28が開かれたときに入賞したパチンコ球の個数をカウントするための大入賞口カウントスイッチ26B(図4参照)が設けられている。そして、大入賞口カウントスイッチ26Bがカウントしたパチンコ球の個数に対応する分の所定の個数の賞球が上部受皿3に排出されるように構成されている。この場合、大入賞口26の開閉扉28は、25秒間経過又は10個のパチンコ球の入賞が大入賞口カウントスイッチ26Bにより検出されるまで開放される。
【0030】
また、大入賞口26の内部には、遊技者にとって有利な遊技状態(いわゆる大当たり)に設定するための「いわゆるVゾーン」が仕切り形成されており、当該Vゾーンへの入賞検出用のVスイッチ26A(図4参照)が設けられている。そして、大入賞口26の開閉扉28が開放した後に、Vゾーンへの入賞として、規定数の遊技球(例えば10個の入賞)をVスイッチ26Bが検出した場合に、または、開閉扉28の開放後所定時間(例えば30秒間)経過した後に、開閉扉28は一旦閉鎖される。
【0031】
また、このような特別電動役物32における大入賞口26の左右には、電飾ランプが施された各入賞口29、30が設けられており、遊技盤2の裏面に設けられた賞球樋に連通されている。そして、この各入賞口29、30への入賞を検出する入賞口スイッチ29A、30A(図4参照)が、遊技盤2の裏側に設けられ、各入賞口29、30に入賞したことを入賞口スイッチ29A、30Aが検出すると、所定の個数の賞球が上部受皿3に排出されるように構成されている。
【0032】
具体的には、各入賞口29、30に入賞した場合には、入賞球1個当たり賞球が10個払い出され、前述した大入賞口26に入賞した場合には、入賞球1個当たり賞球が15個払い出され、第1種始動口23に入賞した場合には、入賞球1個当たり賞球が5個払い出され、各入賞口18に入賞した場合には、入賞球1個当たり賞球が10個払い出され、さらに、各下入賞口24、25に入賞した場合には、入賞球1個当たり賞球が13個払い出される。
また、特別電動役物27の直下には、レール11に沿ってアウト口32が開設されている。更に、レール11に囲まれたこのような遊技領域には、前記各構成物とともに複数の釘が打設されてパチンコ球の複雑な流路を構成している。
【0033】
次に、パチンコ機1の裏側の構成について図2及び図3に基づいて説明する。図2はその実施形態に係るパチンコ機1全体を示した背面図である。図3は実施形態に係るパチンコ機1の賞球及び貸球の払い出しに係る機構セット盤の要部を拡大した背面図である。
パチンコ機1は、図2に示すように、木製の外枠41に対して木製の内枠42がヒンジ部材等を介して開閉自在に取り付けられている。また、この内枠42のほぼ中央部には、遊技盤2を着脱自在に支持するための金属製の機構盤43が取り付けられている。そして、この機構盤43の裏側には、合成樹脂製の機構セット盤44が開閉自在に蝶番により取り付けられている。
【0034】
また、パチンコゲーム機1の裏側最上段には、上方に開口した賞球タンク45が機構セット盤44上に固定されている。賞球タンク45の直上には、パチンコ球の補給装置46が配設され、この補給装置46には、垂直にパチンコ球の落下させるための、吐出部46Aが設けられている。その賞球タンク45には、タンクレール47が取り付けられており、賞球タンク45の傾斜した底面に設けられた連通孔を介してパチンコ球をタンクレール47に落下させる。タンクレール47の内部には、パチンコ球を1列に整列流出し、賞球ケース48にパチンコ球を送る通路が形成されている。
【0035】
その賞球ケース48には、パチンコ球を下方側へ案内する賞球案内部48Aが設けられている。この賞球案内部48Aには、賞球通路49が形成され、賞球通路49はパチンコ球を更に下流側へ1列で送る。
尚、賞球ケース48内には、賞球通路49を通過するパチンコ球を確認する球有り検出スイッチ62、パチンコ球の払い出しを調節する払い出しソレノイド61等が内装されている。
【0036】
その賞球ケース48の下流側には、パチンコ球の排出部が形成され、入賞球を排出する入賞球排出通路50及び下皿排出路51が設けられている。その下皿排出路51は、下皿5内の賞球のオーバーフローを検出するための下皿オーバーフロースイッチ69を内蔵する。内枠42の裏側(図2参照)には、下部受皿ボックス52がボルトにより取り付けられており、下皿排出路51を介して上皿3から溢れた賞球を受けて下皿5に案内する。この下皿排出路51及び下部受皿ボックス52により下皿受け部を構成する。
また、賞球タンク45、タンクレール47、賞球案内部48A、賞球ケース48、球有り検出スイッチ62、及び払い出しソレノイド61等により賞球払出手段を構成する。
【0037】
また、機構セット盤44のほぼ中央部に形成された開口部75には、図柄表示装置や賞球の払い出しに係る制御等を行うための主基板53が設けられている(図2参照)。この主基板53は、遊技盤2の裏面を覆うセンタカバー54に装着された状態で固定され、更にポリカーボネート樹脂等の合成樹脂により形成された透明なカバー53Bに覆われている。この主基板53には、証紙58が貼り付けられており、カバー53Bを封印した証紙58を一度はがして再び貼り付けると、その形跡が証紙58に現れて、はっきりと肉眼で確認できるため、不正な主基板53の交換を防止する役割を果たす。尚、この主基板53には、パチンコゲーム機1の賞球払い出し制御等を制御するためのCPU83A等が装着されてる(図4参照)。
【0038】
また、主基板53の下方側には、賞球制御基板55がカバーに覆われて取り付けられている。この賞球制御基板55には、賞球払出等の駆動制御を行うためのCPU84A等が装着されている(図4参照)。さらに、機構セット盤44の上方角部には、中継基板56が設けられており(図2参照)、この中継基板56は、パチンコゲーム機1とホールコンピュータをつないで信号のやりとりをする働きをする他に、基板56上に操作用スイッチが配設されている。
また、機構セット盤44の最上部における賞球タンク45の底面外側には、賞球タンクスイッチ60が設けられており、賞球タンクスイッチ60が賞球タンク45内のパチンコ球無しを検出すると、検出信号を出力する。
【0039】
そして、賞球タンク45内のパチンコ球は、賞球の払い出しに伴い、一点鎖線の矢印で示されるように、タンクレール47、及び賞球ケース案内部48A内の賞球通路49を介して、賞球ケース48内に送られる。この賞球ケース48内には、パチンコ球を回転することにより、順次送り出す爪車64が一方向(図3中、時計方向)回転するように設けられ、払出ソレノイド61のオン・オフ駆動により所定の角度毎(この実施形態では、約60度毎)に回転駆動される。
尚、このように送られているパチンコ球の有無を検出する球有り検出スイッチ62が、爪車64の上側に設けられており、パチンコ球有りを検出することにより、検出信号を出力する。
【0040】
さらに、爪車64の下側には、払出カウントスイッチ63が配設されており、この払出カウントスイッチ63が払出ソレノイド61のオン・オフ駆動によって順次払い出されるパチンコ球の通過の有無を検出すると、その検出信号を出力する。そして、排出ソレノイド61のオン・オフ駆動によって払い出された賞球は、下方に送られて賞球払出口70を介して上皿3に送られる。そして、上皿3から溢れた賞球は、下皿排出路51を介して下部受皿ボックス52に送られる。また、この下皿排出路51内には、下皿オーバーフロースイッチ69が設けられており、この下皿オーバーフロースイッチ69がパチンコ球有りを検出すると、検出信号を出力する。
また、各入賞口18、29、30、各下入賞口24、25、第1種始動口23、及び大入賞口26に入賞した入賞球は、案内樋を介して機構セット盤44の下方の内側に設けられた入賞球案内樋65によって二点鎖線矢印で示されるように、一列に整列されて、下方に開口されている入賞球排出路50に排出される。
【0041】
次に、賞球の払い出しを行う機構の構成、及び入賞球の排出に係る制御システムの構成について図4に基づいて説明する。図4はこの実施形態に係るパチンコ機1に係る制御システムのブロック図である。
パチンコ機1の賞球の払い出しに係る制御システム81は、図4に示すように、主基板53、賞球制御基板55、賞球払出装置82、各入賞口スイッチ18A、29A、30A、各下入賞口スイッチ24A、25A、始動口スイッチ23A、Vスイッチ26A、大入賞口カウントスイッチ26B、賞球タンクスイッチ60、球有り検出スイッチ62、及び下皿オーバーフロースイッチ69等から構成される。
【0042】
また、主基板53には、CPU83A、ROM83B、RAM83C、入力回路83D、及び出力回路83E、電気事故に対処するための事故対策回路83F等が配設されており、これらCPU83A、ROM83B、RAM83C、入力回路83D、出力回路83E及び事故対策回路83Fは、バス線により相互に接続されている。
また、賞球制御基板55には、CPU84A、ROM84B、RAM84C、入力回路84D、及び出力回路84E等が配設されており、これらCPU84A、ROM84B、RAM84C、入力回路84D、及び出力回路84Eは、バス線により相互に接続されている。さらに、賞球払出装置82は、払出カウントスイッチ63及び払出ソレノイド61等から構成されている。
【0043】
主基板53のCPU83Aは、ROM83Bに予め格納されているパラメータや制御プログラムに従って動作し、入力回路83Dを介して入力される入力信号等に基づいて、各種制御信号を出力回路83Eを介して賞球制御基板55に出力する。また、ROM83Bは、制御プログラム等を格納するメモリである。RAM83Cは、CPU83Aを介して演算された各種データや外部から入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであるが、停電等の電気事故が発生した場合に、記憶されたデータ等は消去する。入力回路83Dは、外部から入力されたアナログ信号等をディジタル信号に変換して出力する。出力回路83Eは、CPU83Aを介して演算された各種データをシリアルデータに変換して出力する。
また、賞球制御基板55の入力回路84Dには、主基板53の出力回路83Eが配線により接続されている。更に、賞球制御基板55の出力回路84Eには、払出ソレノイド61が配線により接続されている。
【0044】
また、賞球制御基板55のCPU84Aは、ROM84Bに予め格納されているパラメータや制御プログラムに従って動作し、入力回路84Dを介して入力される主基板53からの入力信号等に基づいて、各種制御信号を出力回路84Eを介して出力して払出ソレノイド61を駆動制御する。また、ROM84Bは、制御プログラム等を格納するメモリである。RAM84Cは、CPU84Aを介して演算された各種データや外部から入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリである。入力回路84Dは、外部から入力されたアナログ信号等をディジタル信号に変換して出力し、出力回路84Eは、CPU84Aを介して演算されたディジタルデータをアナログ信号に変換後、払出ソレノイド61の駆動電圧を出力する。
【0045】
そして、主基板53の入力回路83Dには、払出カウントスイッチ63、各入賞口スイッチ18A、29A、30A、各下入賞口スイッチ24A、25A、始動口スイッチ23A、Vスイッチ26A、大入賞口カウントスイッチ26B、賞球タンクスイッチ60、球有り検出スイッチ62、及び下皿オーバーフロースイッチ69が配線により接続されている。
それにより、大入賞口26、第1種始動口23、各入賞口18、29、30、及び各下入賞口24、25へのパチンコ球の入賞は、大入賞口カウントスイッチ26B、Vスイッチ26A、始動口スイッチ23A、各入賞口スイッチ18A、29A、30A、及び各下入賞口スイッチ24A、25Aにより検出され、これら各スイッチ26A、26B、23A、25A、24A、30A、29A、18Aによる検出信号は、主基板53の入力回路83Dに入力される。
【0046】
そして、主基板53は、入力回路83Dに入力されたこれらの検出信号に基づいて、各入賞口26、23、18、29、30、24、25の入賞個数を記憶すると共に、各入賞球1個に対する各賞球個数をROM83Bより読み出し、これに基づいて出力回路83Eを介して賞球制御基板55の入力回路84Dに払出ソレノイド61の駆動信号を出力する。そして、主基板53は、払出カウントスイッチ63からの検出信号に基づいて、大入賞口26、第1種始動口23、各入賞口18、29、30、及び各下入賞口24、25の順番で、この賞球個数の賞球の払い出しを全て終了すると出力回路83Eを介して出力している払出ソレノイド61の駆動信号を停止する。
【0047】
また、主基板53は、球有り検出スイッチ62及び下皿オーバーフロースイッチ69からの検出信号が入力回路83Dに入力された場合には、払出ソレノイド61の駆動信号の出力を停止して、球切れ表示ランプ10又はエラー表示ランプ7を点灯する。そして、パチンコ球が補給されると、再度、払出ソレノイド61の駆動信号を出力する。さらに、主基板53は、賞球タンクスイッチ60からの検出信号が入力回路83Dに入力された場合には、球切れ表示ランプ10を点灯する。
【0048】
また、賞球制御基板55は、主基板53から払出ソレノイド61の駆動信号が入力回路84Dに入力されると、この払出ソレノイド61の駆動信号に基づいて払出ソレノイド61を所定時間オン・オフ駆動させる。
主基板53のCPU83Aにおいて行われる賞球払出制御処理のメイン処理としては、各入賞口18、23、24、25、26、29、30への入賞を検出した場合、各入賞口18、23、24、25、26、29、30毎に入賞個数のデータをRAM83Cから読み出す。そして、CPU83Aはその入賞個数のデータに1を加算して、再度、加算した入賞個数のデータをRAM83Cに記憶させる入賞加算処理を実行する。
反対に、各入賞口18、23、24、25、26、29、30の入賞個数のデータを賞球の払い出しに伴って、CPU83Aは、入賞個数のデータをRAM83Cから読み出し、その入賞個数のデータから1を減算して、再度、減算した入賞個数のデータをRAM83Cに記憶させる入賞減算処理を実行する。
【0049】
また、CPU83Aは、大入賞口26にパチンコ球が入賞し、大入賞口カウントスイッチ26Bからパチンコ球検出信号を入力していること、または、大入賞口26内の中央部のVゾーンにパチンコ球が入賞し、Vスイッチ26Aからパチンコ球検出信号を入力していることを検出した場合、大入賞口入賞個数情報としての大入賞口入賞個数のデータをRAM83Cから読み出す。そして、CPU83Aは、その大入賞口入賞個数のデータに1を加算して、再度、加算した大入賞口入賞個数のデータをRAM83Cに記憶させる大入賞口入賞処理を行う。
反対に、賞球の払い出しの際に、CPU83Aは、大入賞口入賞個数のデータをRAM83Cから読み出し、その大入賞口入賞個数のデータから1を減算して、再度、減算した大入賞口入賞個数のデータをRAM83Cに記憶させる大入賞口入賞減算処理を実行する。
【0050】
また、CPU83Aは、第1種始動口23にパチンコ球が入賞し、始動口スイッチ23Aからパチンコ球検出信号を入力したことを検出した場合、RAM83Cから始動口入賞個数のデータを読み出す。そして、CPU83Aは始動口入賞個数のデータに1を加算して、再度、加算した始動口入賞個数のデータをRAM83Cに記憶させる第1種始動口入賞処理を行う。
反対に、賞球の払い出しの際に、CPU83Aは始動口入賞個数のデータをRAM83Cから読み出し、その始動口入賞個数のデータから1を減算して、再度、減算した始動口入賞個数のデータをRAM83Cに記憶させる第1種始動口入賞減算処理を実行する。
これら始動口入賞個数のデータ、入賞個数のデータ、大入賞口入賞個数のデータ等がRAM83Cに記憶された遊技情報となり、これら遊技情報が遊技中に電気事故が発生しRAM83Cから消去し、電気事故以前の状態に戻らないと、遊技者の不利益は極めて大きくなるが、後述の態様で遊技情報がRAM83Cに記憶・保存されている場合、CPU83Aは、これら遊技情報を呼び出すことによって、電気事故以前の状態に戻すことができる。
【0051】
次に、事故対策回路83Fについて、図5に基づいて説明する。図5に示す部品は、主に事故対策回路83Fと主基板53の回路の内の主要部を抽出したものから成る。
事故対策回路83Fは、主基板53に設けられたCPU83A等を動作させる電圧を監視するための電源監視回路83Gと、RAM83Cへのアクセスを防止する信号遮断回路83Hと、CPU83Aから所定のRAM83Cを選択するデコーダ83Jと、RAM83Cに保存された遊技状態の情報等を消去するための消去手段としての消去操作用スイッチ83K等とを備えている。
また、その事故対策回路83Fには、主基板53と別のバックアップ電源基板83Lが接続可能に設けられている。このバックアップ電源基板83Lには、バックアップ電源としての大容量コンデンサC1が設けられており、この大容量コンデンサC1と接続されるコネクタC2は、主基板53側のコネクタC3と接続・離脱可能に構成されている。それにより、パチンコ店の管理者等がコネクタC2またはコネクタC3を手でもって、相手方のコネクタC3またはコネクタC2から離すことにより、バックアップ電圧をRAM83C(記憶手段)に供給するのを停止できる。
【0052】
そして、コネクタC2及びコネクタC3間を接続した場合は、大容量コンデンサC1に貯えられた電荷により、RAM83Cの端子GNDとRAM83Cの端子Vccと間に、バックアップ電圧を供給できる。また、RAM83Cの端子Vccに、動作用電圧がダイオードD1を介して印可されているので、通常時は動作用電圧(例えば5ボルト)がRAM83Cの端子GNDと端子Vcc間に印可され、動作用電圧が所定電圧値(例えば4ボルト以下)に低下した場合に限り、大容量コンデンサC1によるバックアップ電圧が印可されることになる。
この場合、通常時は動作用電圧(例えば5ボルト)がダイオードD1を介して大容量コンデンサC1に印可されているので、大容量コンデンサC1は充電状態になり、大容量コンデンサC1のバックアップ電圧はRAM83Cに対して所定時間供給することができる。
【0053】
また、動作用電圧を検出する検出手段として機能する電源監視回路83Gは、RAM83Cの端子GNDとRAM83Cの端子Vccとの間に印可される動作用電圧を監視し、この動作用電圧の電圧低下時(例えば4ボルト以下の場合)に、CPU83AからRAM83Cへのアクセスを防止するべく、監視出力端子K1から信号遮断回路83H及びCPU83Aに、動作用電圧の低下を示す信号(以下電圧低下信号という)を出力する。それにより、電圧低下信号を受けたCPU83Aはリセットするとともに、電圧低下信号を受けた信号遮断回路83Hは信号遮断動作を行い、デコーダ83Jを介したCPU83AからのRAM83Cへのアクセスを、信号遮断回路83Hでもって遮断する。
【0054】
それにより、電気事故が発生し、動作用電圧が所定電圧値(例えば4ボルト以下)に低下した場合に、信号遮断回路83Hは、CPU83Aが誤動作を起こして、RAM83Cに対して悪影響を及ぼすといったことを防止するとともに、RAM83Cの端子GNDとRAM83Cの端子Vccとの間に、大容量コンデンサC1からバックアップ電圧を供給して、RAM83Cに記憶されている遊技情報を保存することができる。
その後、電気事故が修復され、所定値以下に低下した動作用電圧が所定値以上(例えば5ボルト)に復帰した場合、監視出力端子K1から電圧低下信号がCPU83A及び信号遮断回路83Hへ出力されなくなる。それにより、CPU83Aのリセットが解除されるとともに、信号遮断回路83Hの信号遮断動作を停止して、デコーダ83Jを介してCPU83AからRAM83Cへのアクセスを許容する。
【0055】
このように動作用電圧が所定値以上に復帰した場合、RAM83Cには遊技情報が保存されているので、CPU83AはRAM83Cに記憶されている遊技情報を呼び出して、動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻すことができる。
それにより、遊技者による遊技中に停電等の電気事故が発生したのが、例えば「大当たり」として大入賞口26が開放する遊技状態であっても、バックアップ電圧を供給して、遊技情報等をRAM83Cに記憶して保存できるので、電気事故の修復後に、電気事故以前の遊技状態に戻ることができ、停電等の電気事故に対して対応することが可能となって、遊技者に不利益を与えることがない。
【0056】
尚、コネクタC2及びC3間を、接続及び離脱可能に構成した理由は、バックアップ電源基板83LのコネクタC2と、主基板53側のコネクタC3とを離脱した場合、RAM83Cに記憶されている遊技情報が消去できる場合があるので、RAM83Cに記憶されている遊技情報が解読されることなく、不正を防止することができる。そして、パチンコ店の管理者等が、コネクタC2とコネクタC3とを離脱することにより、簡単にRAM83Cに記憶されている遊技情報を消去することができる。それにより、これらコネクタC2とコネクタC3とを、手動でもって接続して、バックアップ電圧をRAM83C(記憶手段)に供給したり、手動でもって接続を解除して、その供給を停止できるので、コネクタC2とコネクタC3とが、RAM83Cへのバックアップ電圧の供給を停止する停止手段を構成することになる。
【0057】
また、RAM83Cの端子Vccに接続される配線に、バックアップ電圧を遮断可能とする消去操作用スイッチ83Kを設けているので、必要に応じて、消去操作用スイッチ83Kを操作してバックアップ電圧の供給を遮断することにより、RAM83Cに記憶されている遊技情報を消去することができる。
そして、消去手段として消去操作用スイッチ83Kを、パチンコ遊技店の管理者等が操作すると、RAM83Cに記憶された遊技情報が消去される結果、RAM83Cに記憶された遊技情報等を管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
【0058】
これは、電気事故の発生が営業時間の終了間際で、RAM83Cに記憶保存された遊技状態の情報が、遊技者にとって有利な状態(例えば大当たり)である場合、電気事故が修復された翌日の遊技店の開店時に、遊技者が何らの遊技をしていないにも拘わらず、遊技者にとって有利な状態が突然に現れるとするなら、遊技店の不利益が大きいので、RAM83Cに記憶保存された遊技情報を消去して、かかる事態を防止する必要があるからである。
もっとも、この実施の形態の場合、例えばダイオードD1の代わりにトランジスタを使用しても良いし、信号遮断回路は、RAM83Cの端子CEに接続する替わりに、RAM83Cの端子WRに接続しても良い。また、バックアップ電源基板83Lと主基板53とを必ずしも別基板とする必要はない。
また、消去操作用スイッチ83Kが通常の電圧の供給を停止する消去手段を構成することとなるが、消去手段は必ずしもその態様に限定される訳ではないことはいことはいうまでもない。
【0059】
また、RAM83Cに記憶された遊技情報を消去する消去手段としては、図7に示すように、バックアップ用電圧の供給時間を設定する時間設定手段としてタイマ回路T1を設けてもよい。
具体的には、RAM83Cの端子VccにトランジスタT2のコレクタ端子を接続し、トランジスタT2のベース端子にタイマ回路T1の出力端子を結合するとともに、トランジスタT2のエミッタ端子及びタイマ回路T1に動作用電圧及び大容量コンデンサC1によるバックアップ電圧を印可する。バックアップ用電圧の供給時間(例えば3時間)の経過後に、タイマ回路T1が動作してトランジスタT2のベース端子への出力を低下させると、トランジスタT2が非作動状態になるので、RAM83Cへのバックアップ電圧の印可を遮断させ、RAM83Cに記憶されている遊技情報を消去する。
【0060】
このようにバックアップ用電圧の供給時間(例えば3時間)が経過すると、RAM83Cに記憶されている遊技情報が自動的に消去されるので、パチンコ遊技店の管理者等が、RAM83Cに記憶された遊技情報を消去するための作業をする必要がなくなる。この場合も、バックアップ用電源としての大容量のコンデンサC1と接続されるコネクタC2は、相手方のコネクタC3と接離可能に構成されているので、パチンコ遊技店の管理者等が、手動でもって、バックアップ電圧をRAM83C(記憶手段)に供給したり、その供給を停止したりできる。
また、RAM83Cに記憶された遊技情報を消去する手段としては、前記RAM83Cに記憶されている遊技情報が、図8(a)に示すように、一例として「1010…101101」のデータである場合に、図8(b)に示すように、「0000…000000」のデータの如く、上書きしてクリアするクリア手段であってもよい。この場合、クリア手段が、RAM83Cに記憶されている遊技情報をクリアする結果、RAM83Cに記憶されている遊技情報を消去するので、遊技情報等を管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
【0061】
また、RAM83Cに記憶されている遊技情報が、一例として「1010…101101」のデータである場合に、データの最後に管理情報としてチェックバイトを付加し、例えば「55H」のデータを付加して記憶させておく。そして、遊技中に電気事故が発生した場合に、既述した如く、バックアップ用電圧をRAM83Cに印可して、遊技情報等を記憶し保存しておくが、電気事故が修復した際に、CPU83Aが遊技情報を呼び出して電気事故以前の遊技状態に戻すに当たって、チェックバイトの「55H」のデータが、正しく残っていることを確認する。
このようなチェックバイトの管理情報を使用する理由は、管理情報が正しい場合は、遊技情報が正しく記憶されていると把握できるが、管理情報が正しくない場合は、RAM83Cに記憶された遊技情報は間違っている可能性が高いので、正しくない遊技情報に基づいて、電気事故以前の遊技状態に戻ったとしても、結果として遊技者の利益に適うとはいえず、間違っている遊技情報の場合は、それを消去するといった方策を取るのが望ましいからである。それにより、管理情報が正しい場合のみ、遊技情報を使用する態様を採用することが可能である。
【0062】
また、RAM83Cに記憶された遊技情報を消去するための消去手段としては、動作用電圧の遮断時におけるパチンコ機1のガラス扉9(前扉)の開放と連動する消去用スイッチであってもよい。この場合、消去用スイッチ83Kは、図6に示すように、スイッチ接点aとその作動片bとの接触・非接触によってオン・オフ状態になるスイッチ(図示せず)を使用しても良い。
その具体的態様としては、ガラス扉9を閉じた状態で作動片bが押圧されることにより、押圧された作動片bとスイッチ接点aとが接触状態となり、消去用スイッチ83Kがオン状態になるのに対して、ガラス扉9を開いた状態では作動片bが押圧されないため、作動片bとスイッチ接点aとが非接触状態となり、消去用スイッチ83Kがオフ状態になるように、消去用スイッチ83Kをガラス扉9の近傍に取り付ける。
【0063】
そして、パチンコ遊技店の管理者等が、動作用電源をオフした状態で、パチンコ機1のガラス扉9を開放すると、消去用スイッチ83Kの作動片bがそのガラス扉9の開放と連動して消去用スイッチ83Kがオフ状態になり、バックアップ電圧の供給の下、その消去用スイッチ83Kからの出力信号を検出したCPU83Aが、RAM83Cに記憶された遊技情報を消去するように構成する。その結果、動作用電源をオフした状態で、パチンコ機1のガラス扉9を開放するという動作により、パチンコ遊技店の管理者等はRAM83Cに記憶された遊技情報等を容易に消去することができる。
【0064】
尚、主基板53に配設されるCPU83A、ROM83B、RAM83C、入力回路83D、出力回路83E、及び賞球制御基板55に配設されるCPU84A、ROM84B、RAM84C、入力回路84D、出力回路84Eが、制御手段を構成する。
また、各入賞口スイッチ18A、29A、30A、各下入賞口スイッチ24A、25A、始動口スイッチ23A、Vスイッチ26A、及び大入賞口カウントスイッチ26Bが入賞検出手段を構成する。更に、主基板53のRAM83Cが入賞個数記憶手段として機能する。
【0065】
以上詳細に説明した通り、この実施形態に係るパチンコ機1によれば、動作用電圧を検出する電源監視回路83Gと、バックアップ電圧を供給できる大容量コンデンサC1と、遊技状態に関する遊技情報を記憶することができるRAM83Cと、電源監視回路83Gが動作用電圧が所定値以下に低下したことを検出した場合に、RAM83Cに大容量コンデンサC1からバックアップ電圧を接離可能なコネクタC2及びC3を介して供給して、RAM83Cに記憶されている遊技情報を保存することができるパチンコ機1であって、動作用電圧が所定値以下に低下した際に、RAM83Cにアクセスするのを停止する信号遮断回路83Hと、動作用電圧が所定値以上に復帰した場合、信号遮断回路83Hを介したアクセスを可能として、RAM83Cに記憶されている遊技情報を呼び出して、動作用電圧が所定値以下に低下する以前の遊技状態に戻すことができるCPU83Aと、RAM83Cに記憶されている遊技情報を消去する消去操作用スイッチ83Kとを備える。そして、バックアップ電圧をRAM83Cに供給するのを、コネクタC2及びC3間の接続を手動により解除することにより、停止できる。尚、信号遮断回路83HがRAM83Cにアクセスするのを停止する際に、必要に応じて、CPU83A(制御手段)の動作を停止しても良い。
【0066】
それにより、電源監視回路83Gがパチンコ機1の動作用電圧を検出し、動作用電圧が所定値以下に低下したことを検出した場合に、RAM83Cに大容量コンデンサC1からバックアップ電圧を供給して、RAM83Cに記憶されている遊技情報が保存されるとともに、信号遮断回路83HがRAM83Cにアクセスするのを停止する。そして、電源監視回路83Gは、動作用電圧が所定値以下に低下した後に所定値以上に復帰したことを検出した場合に、信号遮断動作を停止して、CPU83AからRAM83Cへのアクセスを許容し、RAM83Cに記憶されている遊技情報を呼び出して、動作用電圧が所定値以下に低下する前の遊技状態に戻す。そして、消去操作用スイッチ83Kを必要に応じて操作することにより、RAM83Cに保存された遊技状態の情報等を消去することができる。また、バックアップ電圧をRAM83Cに供給するのを、コネクタC2及びC3間の接続を手動により解除することにより停止できるので、電気事故修復中にバックアップ電圧をRAM83Cに供給している場合であっても、RAM83Cに保存された遊技状態の情報等を消去することができる。
【0067】
また、図9に示す他の実施の形態のパチンコ機においても、この発明を適用することができる。このパチンコ機の場合、普通図柄表示装置、特別図柄表示装置等を備えており、確率変動状態、変動時間状態短縮状態、時間短縮残回数記憶状態、普通図柄保留数記憶モード、特別図柄保留数記憶モードといった遊技者の興味を引きつける遊技態様を実現できるが、上記したパチンコ機との相違点を中心に説明する。
具体的には、図9に示す遊技領域90のほぼ中央には、特別図柄表示装置92が配設され、この特別図柄表示装置92は、左、中、右に3分割された特定図柄を映像表示するCRTやLCD等から構成されている。また、特別図柄表示装置92の上方には、普通図柄表示装置91が設けられている。また、特別図柄表示装置92の直下には、第1始動口93、ゲート94、95、及びチューリップ式役物の補助入賞装置96が配設されており、第1始動口93又は補助入賞装置96の第2始動口96aにパチンコ球が入賞すると、特別図柄表示装置92の映像表示が変動する。
【0068】
また、第1始動口93、ゲート94、95、及び補助入賞装置96の下方には、大入賞口97を備える特別電動役物が配設されている。大入賞口97の開閉扉98は、第1始動口93又は第2始動口96aにパチンコ球が入り、特別図柄表示装置92の図柄が変動した後に、所定状態を達成した場合(例えば、「7,7,7」のように揃った場合等)に開かれ、大入賞口97の内の入賞が検出される。
そして、特別図柄表示装置92の図柄変動中に、第1始動口93等にパチンコ球が入った場合、その入賞された個数分(特別図柄保留数)だけ、特別図柄表示装置92が図柄変動して停止する。
【0069】
この場合、特別図柄保留数のデータは、最大4個分までRAM83Cに記憶でき、1個入賞する毎にRAM83Cから特別図柄保留数のデータを読み出し、特別図柄保留数のデータに1を加算し、特別図柄保留数のデータが4になった状態で加算を停止する。反対に、特別図柄保留数のデータが1以上で、特別図柄表示装置92が図柄変動して停止すると、特別図柄保留数のデータをRAM83Cから読み出し、特別図柄保留数のデータから1を減算して、再度、減算した特別図柄保留数のデータを、特別図柄保留数のデータが0になるまで、特別図柄表示装置92が図柄変動した後に停止する。
尚、遊技領域90に特別図柄保留数を示す4個の表示ランプ92a等を設けて、特別図柄保留数と表示ランプ92a数とを対応させて、表示ランプ92aの点灯により特別図柄保留数を遊技者に知らせる態様を採用するのが望ましい。
また、特別図柄保留数と対応する表示ランプ92a数を示すデータを、RAM83Cに記憶する場合に、始動口93等やゲート94等を通過したときに得られたカウント値(すなわち、特別図柄表示装置92の図柄が変動した後に、例えば「7,7,7」のゾロ目といった所定状態を達成する際のカウント値)を、保留ランプの点灯情報として記憶するのが望ましい。
【0070】
また、ゲート94、95をパチンコ球が通過すると、普通図柄表示装置91が作動開始し、普通図柄表示装置91の図柄変動後、所定図柄で停止した場合(通常時には、1、7のいずれかを表示した場合)に、補助入賞装置96が所定時間開かれて第2始動口96aにパチンコ球が入賞しやすくなる。そして、図柄変動中に、ゲート94、95等をパチンコ球が通過すると、その個数分(普通図柄保留数)だけ、普通図柄表示装置91が図柄変動して、所定の態様(例えば「7」の目)で停止できる。
【0071】
この場合、普通図柄保留数のデータは、最大4個分までRAM83Cに記憶でき、1個入賞する毎にRAM83Cから読み出され、その普通図柄保留数のデータに1を加算してRAM83Cに記憶させ、普通図柄保留数のデータが4になった状態で加算を停止する。反対に、普通図柄保留数のデータが1以上で、普通図柄表示装置91が図柄変動して停止すると、普通図柄保留数のデータをRAM83Cから読み出し、普通図柄保留数のデータから1を減算して、再度、減算した普通図柄保留数のデータをRAM83Cに記憶させ、普通図柄保留数のデータが0になるまで、普通図柄表示装置91が図柄変動した後に停止する。
尚、遊技領域90に普通図柄保留数を示す4個の表示ランプ99等を設けて、普通図柄保留数と表示ランプ99数とを対応させて、表示ランプ99の点灯により普通図柄保留数を遊技者に知らせる態様を採用するのが望ましい。
また、普通図柄保留数と対応する表示ランプ99数を示すデータを、RAM83Cに記憶する場合に、ゲート94等を通過したときに得られたカウント値(すなわち、普通図柄表示装置91の図柄が変動した後に、例えば「7」の目といった所定状態を達成する際のカウント値)を、保留ランプの点灯情報として記憶するのが望ましい。
【0072】
次に、確率変動について説明する。前記特別図柄表示装置92が図柄変動し、停止した図柄が例えば「7,7,7」の場合、遊技者に有利な特別遊技状態を発生するが、この特別遊技状態を示す特別遊技データ(特別遊技情報)もRAM83Cに記憶される。そして、確率変動とは、その特別遊技状態の発生する確率が、通常確率(例えば1/199)よりも高い確率(例えば10/199)で発生する場合と、通常確率(例えば1/199)で発生する場合との間で変動することをいう。
具体的には、確率変動状態は、第1始動口93又は第2始動口96aにパチンコ球が入った際に、CPU83AがROM83Bに記憶されている「特別遊技状態発生番号」と、クロック回路(図示せず)から取り入れられてRAM83Cに記憶されている「変動数値番号」とが一致しているか否かを判断する。そして、CPU83Aは、「特別遊技状態発生番号」と「変動数値番号」とが一致していない場合に、特別遊技状態の発生する確率が通常確率(例えば1/199)となるように設定し、特別図柄表示装置92の図柄が変動後の特定の態様「はずれパターン」で停止させる。それに対しCPU83Aが「特別遊技状態発生番号」と、「変動数値番号」とが一致していると判断した場合に、特別遊技状態の発生する確率が通常確率よりも高い確率(例えば10/199)で発生するように設定し、特別図柄表示装置92の図柄を、変動後の特定の態様「大当たりパターン」で停止させる。このような特別遊技状態の発生する確率が通常確率よりも高い確率で発生する場合は、遊技者にとって有利な状態であるので、確率変動状態情報としての確率変動を示すデータは、遊技情報としてRAM83Cに記憶されるのが望ましい。
【0073】
次に、変動時間短縮状態について説明する。この変動時間短縮状態とは、通常時は、特別図柄表示装置92の「ハズレパターン」の変動図柄が所定時間(例えば6〜8秒)だけ変動させた後に停止状態になるのに対して、特別図柄表示装置92のハズレパターンの変動図柄が、通常の時間(例えば6〜8秒)よりも短い時間(2〜3秒)だけ変動させた後停止状態になって、「大当たり(特別遊技)状態」になるまでの待ち時間(変動時間)を短縮できる(約1/3になる)ものをいう。
この場合も、第1始動口93又は第2始動口96aにパチンコ球が入った際に、CPU83AがROM83Bに記憶されている「変動時間短縮発生番号」と、クロック回路(図示せず)から取り入れられてRAM83Cに記憶されている「変動数値番号」とが一致しているか否かを判断する。「変動時間短縮発生番号」と「変動数値番号」とが一致していない場合に、特別図柄表示装置92の「ハズレパターン」の図柄が、所定時間(例えば6〜8秒)だけ変動するように設定されるのに対し、一致している場合に、短い時間(2〜3秒)だけ「ハズレパターン」の図柄を変動させた後に、停止状態になる。
このような図柄が短い時間(2〜3秒)だけ変動すると、結果的に、次の大当たりが早くなり、変動時間短縮状態は、遊技者にとって有利な状態であるので、変動時間短縮状態情報としての変動時間短縮状態を示すデータは、遊技情報としてRAM83Cに記憶保存されるのが望ましい。
【0074】
次に、時間短縮残回数について説明する。この時間短縮残回数とは、変動図柄表示装置92の図柄が変動中に、例えば第1始動口93等へ入賞した場合には、その入賞個数を所定個までカウントして、その回数分だけ変動時間短縮状態に移行できる回数をいう。変動時間短縮状態は、遊技者にとって有利な状態であるので、時間短縮残回数の情報としての時間短縮残回数を示すデータは、遊技情報としてRAM83Cに記憶保存されるのが望ましい。
その時間短縮残回数情報としての時間短縮残回数のデータは、RAM83Cに記憶でき、1個入賞する毎にRAM83Cから読み出され、その時間短縮残回数のデータに1を加算し、時間短縮残回数のデータをRAM83Cに記憶させる。反対に、時間短縮残回数のデータが1以上で、普通図柄表示装置91が図柄変動して停止すると、時間短縮残回数のデータをRAM83Cから読み出し、普通図柄保留数のデータから1を減算して、再度、減算した時間短縮残回数のデータをRAM83Cに記憶させ、時間短縮残回数のデータが0になるまで繰り返す。
【0075】
尚、本発明は前記実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論であり、以下のようにしてもよい。バックアップ電圧を供給するバックアップ電源としては、例えば、蓄電池、ニッカド電池、乾電池、ニッケル水素電池等のバッテリーであっても良い。
また、他の実施の形態として、電源基板は、通常の電源用の接離可能なコネクタと、バックアップ電源用の接離可能なコネクタを別個に備えてもよい。具体的には、電源基板100は、図10に示すように、通常の動作用電源101と、バックアップ電源102を備える他に、通常の動作用電源101用のコネクタ101aと、停止手段としてのバックアップ電源用のコネクタ102aを備えている。この場合、コネクタ101aが通常の動作用電源101と接続され、更にコネクタ102aがバックアップ電源102と接続されている。
また、図10に示す主基板110は、前述の実施の形態の主基板53と同様に構成されており、この実施の形態の場合、電源基板100の通常の動作用電源101用のコネクタ101aと接続されるコネクタ111と、電源基板100のバックアップ電源102用のコネクタ102aと接続されるコネクタC112とを備えている。そして、主基板110のコネクタ111と電源基板100のコネクタ101aとの間には、通常の動作用電圧を供給するための、接続コード113が接続されており、また、主基板110のコネクタC112と電源基板100のコネクタ101aとの間には、バックアップ電圧を供給するための、接続コード114が接続されている。そのためパチンコ店の管理者等が、コネクタ111を手でもって、接続コード113を取り外すことにより、相手方のコネクタ101aとの間の接続を解除して、通常の動作用電圧をメモリ(記憶手段)に供給するのを停止できる他に、コネクタ112を手でもって、接続コード114を取り外すことにより、相手方のコネクタ102aとの間の接続を解除して、バックアップ電圧をメモリ(記憶手段)に供給するのを停止できる。
それにより、主基板110側のコネクタ111及びコネクタ112を、電源基板100のコネクタ101a及びコネクタ102aから離脱した場合、主基板110のメモリ(図示せず)に記憶されている遊技情報が消去されることになる。従って、パチンコ店の管理者等が手動でもって、主基板110上のメモリ(記憶手段)に、通常の電圧及びバックアップ電圧の供給を停止して遊技情報等を消去できるので、メモリに記憶された遊技情報等を、例えば管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
また、遊技状態の情報を記憶する記憶手段としては、例えば通常使用されるRAM83Cに必ずしも記憶保存させる必要はなく、RAM83Cから例えばバックアップ用のメモリに遊技情報を転送して記憶保存させても良い。また、停電等の電気事故を発生したことを制御回路が検出した場合、CPU83Aの動作を直ちに停止するように構成してもよい。
【0076】
また、パチンコ機としては、上記第1種パチンコ機に限らず、例えば第2種パチンコ機、第3種パチンコ機に適用しても良い。また、遊技情報等を記憶して保存するメモリとしては、通常使用されるRAM83C以外の転送用のメモリを使用して、保存直前に通常使用されるRAM83Cから転送用のメモリに遊技情報等を転送してもよい。
更に、パチンコ機1台毎に消去操作用スイッチ83K(消去手段)を設ける態様の他に、複数のパチンコ機をまとめて、1個の消去操作用スイッチで操作できるように構成しても良い。また、消去操作用スイッチ83K(消去手段)を通常の動作用電源からの接続コードに設けてもよい。この場合、バックアップ電源からの接続コードに操作スイッチを設けてもよい。
【0077】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係るパチンコ機によれば、遊技者による遊技中に電気事故が発生したのが、例えば遊技中の大当たりとしての大入賞口の開放等の遊技状態であっても、例えば大当たり情報、大当たりのラウンド数を示すラウンド数情報、大入賞口入賞個数情報といった遊技情報等を記憶して保存することにより、電気事故修復後に電気事故以前の遊技状態に戻ることができるため、電気事故に対して対応することが可能となって、遊技者に不利益を与えることがない。
また、電気事故修復中にバックアップ電圧を供給している場合であっても、コネクタを外すことにより第2接続コードによるバックアップ電源と記憶手段との接続を手動で解除し、記憶手段に対するバックアップ電源の供給を停止することができるので、パチンコ店の管理者等が、手動により記憶手段に記憶されている遊技情報等を消去することが可能となる。これにより、記憶手段に記憶された遊技情報等を、例えば管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
また、信号遮断手段が、制御手段による記憶手段に対するアクセスを停止することにより、動作用電圧が所定値以下に低下することによる記憶手段への悪影響を防止することができる。
また、保留ランプの点灯情報、大当たり情報、ラウンド数情報、特別遊技情報、大入賞口入賞個数情報、確率変動状態情報、変動時間状態短縮情報、時間短縮残回数情報、普通図柄保留数情報及び特別図柄保留数情報等が、遊技情報に含まれる場合、遊技者の興味を引きつける遊技態様を実現できる。
また、消去手段が例えば消去操作用スイッチである場合、パチンコ遊技店の管理者等が、その消去操作用スイッチを操作すると、消去手段の作動により記憶手段に記憶された遊技情報が消去される結果、パチンコ遊技店の管理者はその遊技情報等を管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
【0078】
また、消去手段が動作用電圧の遮断時におけるパチンコ機の前扉の開放と連動するスイッチである場合、パチンコ遊技店の管理者等が、動作用電圧を遮断した際に、パチンコ機の前扉を開放すると、スイッチがその前扉の開放と連動することにより、記憶手段に記憶された遊技情報が消去される結果、パチンコ遊技店の管理者は、その遊技情報等を管理上消去したいという要望を極めて容易に適えることができる。
また、消去手段には、バックアップ用電圧の供給時間を設定する時間設定手段が設けられ、供給時間(例えば3時間)が経過すると、記憶手段に記憶されている遊技情報が自動的に消去されるので、パチンコ遊技店の管理者等が、記憶手段に記憶された遊技情報を消去するための作業をする必要がない。
更に、記憶手段に記憶されている遊技情報が正しく記憶しているか否かを管理するための管理情報が、遊技情報に付加されているので、管理情報が正しい場合のみ、記憶手段に記憶されている遊技情報を使用する態様を採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この実施形態に係るパチンコ機全体を示した正面図である。
【図2】
実施形態に係るパチンコ機全体を示した背面図である。
【図3】
実施形態に係るパチンコ機の賞球及び貸球の払い出しに係る機構セット盤の要部を拡大した背面図である。
【図4】
実施形態に係るパチンコ機の賞球及び貸球の払い出しに係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【図5】
実施形態に係るパチンコ機の事故対策回路の具体的な回路図である。
【図6】
消去用スイッチを拡大して示す正面図である。
【図7】
図5に示す回路の変形例の要部を示す回路図である。
【図8】
(a)は記憶手段に記憶されている遊技情報を示す図である。(b)はその遊技情報が上書きしてクリアされた状態を示す図である。
【図9】
他の実施形態に係るパチンコ機を示した正面図である。
【図10】
他の実施形態に係る電源基板と主基板との接続関係を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・パチンコ機
2・・・遊技盤
3a・・・スピーカ
3・・・上皿
5・・・下皿
18、29、30・・・入賞口
18A、29A、30A・・・入賞口スイッチ
23、93・・・第1種始動口
23A・・・始動口スイッチ
24、25・・・下入賞口
24A、25A・・・下入賞口スイッチ
26、97・・・大入賞口
26A・・・Vスイッチ
26B・・・大入賞口カウントスイッチ
44・・・機構セット盤
45・・・賞球タンク
48・・・賞球ケース
53・・・主基板
55・・・賞球制御基板
60・・・賞球タンクスイッチ
61・・・払出ソレノイド
62・・・球有り検出スイッチ
63・・・払出カウントスイッチ
81・・・制御システム
83A、84A・・・CPU
83F・・・事故対策回路
83C・・・RAM
83L・・・バックアップ電源基板
83G・・・電源監視回路
83K・・・消去操作用スイッチ
C1・・・大容量コンデンサ
T1・・・タイマ回路
91・・・普通図柄表示装置
92・・・特別図柄表示装置
96・・・補助入賞装置
C2、C3・・・コネクタ
101a、102a・・・コネクタ
111、112・・・コネクタ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-11-16 
出願番号 特願2000-178404(P2000-178404)
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山崎 仁之▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 白樫 泰子
塩崎 進
登録日 2003-07-04 
登録番号 特許第3447669号(P3447669)
権利者 奥村遊機株式會社
発明の名称 パチンコ機  
代理人 山中 郁生  
代理人 富澤 孝  
代理人 岡戸 昭佳  
代理人 山中 郁生  
代理人 岡戸 昭佳  
代理人 富澤 孝  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ