• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1135468
審判番号 不服2004-25666  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-10-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-12-16 
確定日 2006-04-27 
事件の表示 平成10年特許願第 76153号「光拡散板及び該光拡散板を用いた透過型スクリーン」拒絶査定不服審判事件〔平成11年10月 8日出願公開、特開平11-271510〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成10年3月24日の出願であって、平成16年11月11日付けで拒絶査定がなされ、平成16年12月16日付けで審判請求がなされたものである。
本願の請求項1に係る発明は、平成16年2月2日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下、「本願発明」という。)
「透過型スクリーンに用いられる光拡散板において、表裏外層を形成する樹脂が光透過性樹脂からなり、該光透過性樹脂のガラス転移点(Tg)が50℃以上であって、中間層が、拡散性微粒子を分散せしめた光透過性樹脂である3層構成からなることを特徴とする光拡散板。」

2.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開昭56-151560号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、
[記載事項1]
「メタクリル樹脂板は、その優れた透明性、加工性により種々の用途に使用されており、背面投影スクリーンもその一つである。これはメタクリル樹脂板に何らかの方法で光拡散層を形成せしめ、背面投影スクリーンとなすものである。」(第1頁右欄第7〜11行)
[記載事項2]
「メタクリル樹脂シロップに添加される光拡散剤としては、メタクリル樹脂板の屈折率と異なる屈折率を有するものであればどのようなものでもよいが、たとえば二酸化珪素、酸化チタン、水酸化アルミニウム、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる、光拡散剤の粒径としては1〜100μmの範囲、好ましくは1〜20μmである。」(第2頁左下欄第5〜12行)
[記載事項3]
「第4図は第2図の方法で得られたもので、両方のメタクリル樹脂板(1)、(1)の間に光拡散剤を含有せるメタクリル樹脂の薄層(11)が挟着された状態で形成されている。」(第3頁右上欄第2〜5行)
なる記載がある。
上記記載および図面第4図には3層構成の光拡散性メタクリル樹脂板が示されていることから、引用刊行物には、
「背面投影スクリーンに用いられる光拡散性メタクリル樹脂板において、表裏外層を形成する樹脂が透明メタクリル樹脂からなり、中間層が、光拡散剤を含有せる透明メタクリル樹脂である3層構成からなることを特徴とする光拡散性メタクリル樹脂板。」
なる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用発明とを比較すると、引用発明における「背面投影スクリーン」、「光拡散性メタクリル樹脂板」、「透明メタクリル樹脂」、「光拡散剤を含有せる」はそれぞれ本願発明における「透過型スクリーン」、「光拡散板」、「光透過性樹脂」、「拡散性微粒子を分散せしめた」に相当するので、両者は
「透過型スクリーンに用いられる光拡散板において、表裏外層を形成する樹脂が光透過性樹脂からなり、中間層が、拡散性微粒子を分散せしめた光透過性樹脂である3層構成からなることを特徴とする光拡散板。」
の点で一致するが、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明における表裏外層を形成する光透過性樹脂は、そのガラス転移点(Tg)が50℃以上であるのに対し、引用発明における表裏外層を形成する透明メタクリル樹脂はガラス転移点(Tg)についての限定がない点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
光学用として販売されている透明メタクリル樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)のガラス転移温度は100℃程度であることが知られており、引用発明における表裏外層を形成するメタクリル樹脂として50℃以上のガラス転移温度を有する樹脂を使用することには何ら困難性がなく、当業者が容易に採用することができたものであり、上記相違点に係る構成は、格別のものではない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-02-22 
結審通知日 2006-02-28 
審決日 2006-03-13 
出願番号 特願平10-76153
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 越河 勉森口 良子  
特許庁審判長 上野 信
特許庁審判官 前川 慎喜
秋月 美紀子
発明の名称 光拡散板及び該光拡散板を用いた透過型スクリーン  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ