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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) G01H
管理番号 1135948
審判番号 不服2003-2666  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-05-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-20 
確定日 2006-05-08 
事件の表示 平成 6年特許願第282868号「判別装置及び判別方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 5月17日出願公開、特開平 8-122142〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、平成6年10月21日の出願であって、その請求項1ないし3に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して、平成17年11月30日付けで拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。
ここで上記拒絶理由の内容は以下のとおりである。
『 本件出願の請求項1〜3に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物:特開平5-314357号公報

(a)本願発明
本件出願の請求項1〜3に係る発明は、平成15年3月24日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものと認める。(以下、「請求項1〜3に係る発明」をそれぞれ「本願発明1〜3」という。)

(b)本願発明1〜3について
・本願発明1
刊行物には、図面とともに次の事項が記載されている。
(ア)「【0020】
この振動検出部5は、図2に示されるように、振動によりパルス列を発生する感震スイッチ1と、感震スイッチ1からのパルス波から複数種類の特徴量を後述のようにして抽出する特徴量抽出部2と、抽出された特徴量を入力として、ファジイ推論を実行することにより振動の励起要因を判別する推論部3と、これらの各出力に基づいて、基本的に4種類の判定結果に対応する出力値を振動データとして推論装置7に出力する判定出力部4とより構成されている。」
(イ)「【0028】
ところで、本実施例では、図6に示す如きパルス波Pが得られた場合、特徴量抽出部2では上記各機能を利用することにより、所定の計時時間内における次の5種類の特徴量をそれぞれ抽出している。」
(ウ)「【0068】
そこで、パルス数、ON時間最大値、OFF時間最大値、ON時間比最大値、OFF時間比最大値に関するメンバーシップ関数を図15(a)〜(e)に示す如く設け、以下の如きファジィルールを作り、上記特徴量抽出部で抽出された5種類の特徴量データに基づき振動の励起要因が地震、すなわち、「異常1」であるか、地震でない衝撃、すなわち、「異常2」であるかを判別しようとするのが本実施例である。
・・・(中略)・・・
【0075】
こうして、各ルールにおける適合度が算出されると、例えば図16に示す如き推論結果が得られることになる。
【0076】
同図において、判定値Jがー1に近い数値ほど異常2(地震以外の衝撃)である可能性が高いという判定、1に近い数値ほど異常1(地震)である可能性が高いという判定を意味する。
【0077】
そして、この例では、ルール1、2、3、5を利用した異常1であるとの判定の適合度がS1(0.54)、ルール4、6を使用した異常2であるとの判定の適合度がS2(1)の場合、判定値JはJ0(-0.3)となる。
【0078】
ところで、判定値Jはー1に近いほど異常2であることを示し、1に近いほど異常1であることを示す。
【0079】
したがって、例えば判定値Jが正の数なら異常1、判定値Jが負の数なら異常2と判定してもよいし、所定のしきい値を設け、例えば判定値Jがー1〜-0.2の範囲なら異常2、判定値Jが0.2〜1の範囲なら異常1と判別すれば、より精度の高い判別処理ができることになる。」
(エ)「【0094】
・・・地震の場合には、正常と判定されて警報が発せられることがなく、・・・」

本願発明1と刊行物に記載された発明(以下、「引用発明」という。)とを対比すると、引用発明の「感震スイッチ1」、「特徴量抽出部2」、「推論部3」とが、それぞれ本願発明1の「センサ」、「波形特徴量抽出手段」、「判別処理手段」に相当する。
そして、引用発明の「特徴量抽出部2」の具体的な構成は、上記(イ)の記載から判断して、本願発明1の「複数種類の特徴量を抽出することができるように予め設定されていて、所定時間内のセンサ信号波形に基づいて、前記複数種類の特徴量を抽出して前記判別処理手段へ送信するもの」を備え、また、引用発明の「推論部3」の具体的の構成は、上記(ウ)、(エ)の記載から判断して、本願発明1の「(検査)対象の正常又は異常を判定するために有効な特徴量として前記特徴量のうちの少なくとも一部の複数の特徴量を用いた複数の判定ルールを予め決定されており、前記波形特徴量抽出手段から送信された前記複数種類の特徴量のそれぞれから、前記判定ルールに基づいて正常の適合度又は異常の適合度を求め、求めた各特徴量の適合度から、前記判定ルールに基づいて正常又は異常の度合いを求め、求めた度合いから、前記判定ルールに基づいて正常の判定結果又は異常の判定結果を出力するもの」を備えている。
そうしてみると、本願発明1は、判別装置の対象が検査対象であるのに対し、引用発明は、その対象が防犯の監視対象である点で相違するが、両者はその余の点においては一致するものと認められる。
上記相違点について検討する。
複数の判定ルールに基づいて、複数種類の特徴量から検査対象の正常又は異常を判別することは、周知技術(例えば、特開平3-35140号公報、特開平6-102150号公報等を参照されたい。)であるから、引用発明の判別装置を検査に用いることは、当業者が容易に為し得ることである。
したがって、引用発明に上記周知技術を適用し、本願発明1の構成を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

・本願発明2
引用発明及び周知例に示した文献は、いずれも、複数の判定ルールを用いたファジイ推論により測定(検査)対象の正常又は異常を判別するものであるから、前記の本願発明1についての説明と同様の理由により、引用発明に上記周知技術を適用し、本願発明2の構成を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。

・本願発明3
本願発明3は、本件請求項1の装置を方法の発明として表現したものにすぎないから、前記の本願発明1についての説明と同様の理由により、引用発明に上記周知技術を適用し、本願発明3の構成を得ることは当業者が容易に想到し得ることである。 』

そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-01 
結審通知日 2006-03-07 
審決日 2006-03-22 
出願番号 特願平6-282868
審決分類 P 1 8・ 121- WZF (G01H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 郡山 順  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 櫻井 仁
▲高▼見 重雄
発明の名称 判別装置及び判別方法  
代理人 中野 雅房  

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