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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H05K
管理番号 1136202
異議申立番号 異議2003-71834  
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-05-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-07-22 
確定日 2006-02-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3368192号「プリント基板検査装置」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3368192号の請求項1ないし7に係る特許を取り消す。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許第3368192号(以下、「本件特許」という。)は、平成9年11月10日の出願であって、平成14年11月8日に設定登録(請求項の数:11)されたものであるが、本件特許の請求項1〜11の発明に関して、日置電機株式会社より特許異議の申立がされ、平成16年5月25日付けで本件特許に対し特許を取り消すとの異議決定がなされ、これに対して東京高等裁判所において決定取消の判決(平成16年(行ケ)第307号、平成17年3月29日判決言渡)があった。当審において、あらためて平成17年5月16日付けで特許取消理由を通知し、その通知書で指定した期間内の平成17年7月26日に訂正請求書が提出された後、さらに当審において、平成17年8月31日付けで再度特許取消理由を通知したところ、その通知書で指定した期間内の平成17年11月14日に、訂正取下書が提出されると共に新たな訂正請求書が提出されたものである。

【2】訂正請求の可否
1.訂正の要旨
本件特許異議申立てに係る訂正請求における訂正の要旨は、次の(a)〜(m)のとおりである。
(a)請求項1ないし4を削除する。
(b)請求項5を請求項1と訂正し、その記載を以下のとおりに訂正する。
「【請求項1】接触針をプリント基板へと接触させることによって該プリント基板を検査するための装置であって、該接触針と該プリント基板との距離が、該接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節され、
該接触針の該支持部分を、該第二部分駆動部によって駆動される該支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される平行板ばね機構であって、該運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、
該一対の支持側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである
平行板ばね機構を備える、
プリント基板検査装置。」
(c)請求項6〜11を、それぞれ請求項2〜7と訂正し、各請求項中の引用請求項番号を、それぞれ新請求項番号に訂正する。
(d)明細書の段落【0002】において「その後、プリント基板を」とあるを、「その後、接触針を」と訂正する。
(e)明細書の段落【0005】において、「上記の目的を達成するために、第一の本発明、第二の本発明、そして第三の本発明をなした。以下、それぞれについて説明する。」とあるを「上記の目的を達成するために、本発明をなした。以下に説明する。」と訂正する。
(f)明細書の段落【0006】において、「第一の本発明の装置は」とあるを「本発明の第1の特徴は」と訂正する。
(g)明細書の段落【0011】において、「第二の本発明の装置は」とあるを「本発明の装置の第2の特徴は」と訂正し、「該接触針の該支持部分」とあるを「該接触針の支持部分」と訂正する。
(h)明細書の段落【0012】において、「第二の本発明」とあるを「本発明」と訂正する。
(i)明細書の段落【0016】において、「第三の本発明の装置は」とあるを「本発明の装置は第1の特徴及び第2の特徴を組合わせたものであり」と訂正し、「即ち、第三の本発明は」とあるを、「即ち、本発明は」と訂正し、「該支持部分と該支持部分駆動部とを含む第二部分」とあるを、「該支持部分と該支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分」と訂正し、「プリント基板検査装置である。」とあるを、「プリント基板検査装置を提供するものである。」と訂正する。
(j)明細書の段落【0017】において、「第三の本発明」とあるを「本発明」と訂正し、「支持部分と支持部分駆動部とを含む」とあるを、「支持部分と支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む」と訂正し、「第一の本発明の装置と同様であり」とあるを、「本発明の第1の特徴であり」と訂正し、「効果も第一の本発明の装置」とあるを、「効果は本発明の第1の特徴」と訂正する。
(k)明細書の段落【0018】を、
「【0018】
本発明の装置が備える平行板ばね機構は、接触針の支持部分を、第二部分駆動部によって駆動される支持部分担持部へと接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される。即ち、本発明の装置の第2の特徴で説明された平行板ばね機構が連結していた支持部分担持部は装置に固定されて動かないものであったが、第1及び第2の特徴の組合わせによる本発明の装置における平行板ばね機構が連結する支持部分担持部は第二部分駆動部によって駆動(Z方向)されるところが異なる。本発明の装置に使用される平行板ばね機構自体は、本発明の装置の第2の特徴で説明された平行板ばね機構と同様のものなので、ここではそれについての説明は省略する。なお、本発明の装置に平行板ばね機構を使用した場合の作用及び効果も本発明の装置の第2の特徴で説明したそれと同様である。」と訂正する。
(l)明細書の段落【0019】において、「第三の本発明」とあるを「本発明」と訂正する。
(m)明細書の段落【0035】において、「即ち、第一の本発明の装置においては」とあるを「即ち、上記の通り第1及び第2の特徴を組合わせた本発明の装置においては」と訂正し、「図ることができる。第三の本発明の装置においては」とあるを「図ることができる。また,同時に、本発明の装置においては」と訂正する。

2.訂正の目的、新規事項の有無及び特許請求の範囲の実質的拡張・変更の存否
(1)訂正事項(a)について
訂正事項(a)は、請求項1ないし4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに相当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(2)訂正事項(b)について
訂正事項(b)は、訂正事項(a)における請求項1ないし4の削除に伴って、請求項5を請求項1に繰り上げるとともに、新たな請求項1の発明において、「第二部分」が「支持部分担持部」を含むことを限定するものであるが、訂正事項(b)の上記限定事項については、明細書の段落【0027】に記載されているから、この訂正事項は、特許請求の範囲の減縮に該当するものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(3)訂正事項(c)について
訂正事項(c)は、訂正事項(a)における請求項1ないし4の削除に伴って、請求項6〜11をそれぞれ請求項2〜7に繰り上げるとともに、請求項の繰り上げによって生じる引用請求項番号の齟齬を解消しようとするもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえ、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。
(4)訂正事項(d)〜(m)について
上記訂正事項(d)〜(m)は、訂正事項(a),(b)の特許請求範囲の訂正によって生じる特許明細書の発明の詳細な説明と特許請求の範囲との齟齬を解消しようとするもので、明りょうでない記載の釈明を目的とするものといえ、上記訂正事項(a),(b)と同じく願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.訂正請求の認容について
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

【3】本件特許発明の認定
上記のとおり、平成17年11月14日付けの訂正請求は認められるので、本件特許の請求項1〜7に係る発明は、平成17年11月14日付けの訂正請求書に添付された全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜7に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める(以下、請求項1〜7に係る発明をそれぞれ「本件発明1」〜「本件発明7」という。)。
「【請求項1】接触針をプリント基板へと接触させることによって該プリント基板を検査するための装置であって、該接触針と該プリント基板との距離が、該接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節され、
該接触針の該支持部分を、該第二部分駆動部によって駆動される該支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される平行板ばね機構であって、該運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、
該一対の支持側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである
平行板ばね機構を備える、
プリント基板検査装置。
【請求項2】第一の支持側板ばね、第一の固定側板ばね、第二の支持側板ばね及び第二の固定側板ばねの曲げばね定数が同じである、請求項1に記載のプリント基板検査装置。
【請求項3】該支持部分駆動部と該第二部分駆動部とのうち、一方が小さな距離を調節する微調節手段であり、他方が大きな距離を調節する粗調節手段である、請求項1又は2に記載のプリント基板検査装置。
【請求項4】該支持部分駆動部が微調節手段であり、該第二部分駆動部が粗調節手段である、請求項3に記載のプリント基板検査装置。
【請求項5】該粗調節手段がステッピングモーター又はサーボモーターによって駆動され、該微調節手段がリニアモーター又はソレノイドによって駆動されるものである、請求項3又は4に記載のプリント基板検査装置。
【請求項6】該平行板ばね機構が2対の該支持側板ばねと2対の該固定側板ばねとを有し、かつ該運動方向の延長線上から見たときに、互いに隣接する2対の該支持側板ばねが2対の該固定側板ばねに挟まれて配置されているか又は互いに隣接する2対の該固定側板ばねが2対の該支持側板ばねに挟まれて配置されているものである、請求項1乃至5のいずれかに記載のプリント基板検査装置。
【請求項7】該第一の支持側板ばねの他端と該第一の固定側板ばねの他端との固定部分と、該第二の支持側板ばねの他端と該第二の固定側板ばねの他端との固定部分と、を部材によって連結しているものである、請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント基板検査装置。」

【4】引用例の発明
これに対して、当審における平成17年8月31日付けで通知した取消の理由に引用した本件特許の出願前である平成7年8月18日に日本国内において頒布された特開平7-218540号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「緩衝手段を有する接触針」に関して、図1,2とともに次のような記載がある。
A)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばコンピュータ、ラジオ、テレビジョン等の電子・電気部品である積層銅貼り板、いわゆるプリント配線板の導通、絶縁、静電気容量など電気的検査や、電気的測定に用いる接触針(コンタクトプローブ)の改良に関する。」
B)「【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の特徴は、直棒体のリニアガイドにガイドされて、リニアガイドにそれぞれ平行して摺動する主動ブロックと従動ブロックとの間に、主動ブロックの移動により従動ブロックを移動させる、緩衝手段が設けられており、従動ブロックには、被検査又は測定物に接触するニードル17が取付けられている点にある。
【0008】
【作用】主動ブロックを移動させると、緩衝手段を介して従動ブロックが移動するが、両ブロックは直棒体のリニアガイドにガイドされてリニアガイドと平行に移動する。従って従動ブロックに取付けられたニードルもリニアガイドと平行に直線的に移動し、ニードルの先端が振れないで、正確に検査又は測定ポイントに接触する。」
C)「【0009】
【実施例】図1に於いて、11は断面が四角形の直棒体のリニアガイドで、図外検査又は測定装置のアームに取付けられている。12は主動ブロックで、リニアガイド11に摺動自在に嵌め込まれており、一端部にはスプリング取付部13が突設されている。
【0010】14は従動ブロックであって、リニアガイド11に摺動自在に嵌め込まれている。15はスプリング取付部で、主動ブロック11側のスプリング取付部13と対向して、従動ブロック14の一端部から突設されている。16は取付台で、従動ブロック14の他端部に突設されている。17は先端が尖った尖塔型のニードルで、ニードル17の中心軸をリニアガイド11と平行させて、軸部18が取付台16に取付けられている。
【0011】19は連結軸で、その両端部を両スプリング取付部13、15に移動自在に嵌め込まれ、それぞれナット20或いは割りピンなどで、抜け止めされている。21は緩衝手段のコイル状スプリングで、連結軸19に外嵌されて両スプリング取付部13、15の間に張設されている。
【0012】そこで例えばプリント配線板4のフットプリント5を、この接触針を用いて電気的検査をするとき、まず主動ブロック12をニードル17側へ移動させ、ニードル17をフットプリント5の検査ポイントへ正確に接触させられる。主動ブロック12移動手段としては、クランク機構、カム機構、ソレノイド等の任意の公知手段を用いることができる。」
D)「【0015】図2はこの発明の接触針を利用したプリント配線板の検査装置を示す。Mはステッピングモータ、22はモータMで駆動されるクランク機構、23はクランク機構22で駆動される駆動ロッドで、その一端部は主動ブロック12に枢着されている。そして両ブロック12、14は、基枠24の摺動台25に跨がっている。
【0016】なおこの検査装置は、接触針が横向きになるよう図外駆動アーム取付けられて、X-Y方向へ移動する。又接触針には、楔状のブレード25の先端からニードル17を突出させており、ニードル17でフットプリント5を、ブレード25でランドを検査する。」

上記A)〜D)の記載と図1,2とからみて、上記刊行物1の接触針は、検査又は測定装置のアームに取付けられた直棒体のリニアガイド11にガイドされて摺動する主動ブロック12と従動ブロック14との間に、主動ブロック12の移動により従動ブロック14を移動させる緩衝手段が設けられ、従動ブロック14には被検査又は測定物に接触するニードル17が取付けられたものであって、特に図2に示されたものは、ニードル17とブレード25を有する接触針をプリント配線板へと接触させることによって該プリント配線板を検査するための検査装置であって(但し、該検査装置がそれだけで独立した検査装置を構成するものでなく、基枠24を検査装置本体に何らかの方法で固定して用いられるものであることは自明である。)、該検査装置は、接触針の支持部分である従動ブロック14を、検査装置本体に固定された基枠24へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるリニアガイド11と、該従動ブロック14を該接触針の運動方向へ駆動するための駆動機構(ステッピングモータM,クランク機構22,駆動ロッド23,主動ブロック12から構成された機構)とを備え、該接触針と該プリント配線板との距離が、該接触針の支持部分である従動ブロック14を駆動するための前記駆動機構によって調節されるものと認められる。
したがって上記刊行物1には、
「接触針をプリント配線板へと接触させることによって該プリント配線板を検査するための装置であって、該接触針と該プリント配線板との距離が、該接触針の支持部分である従動ブロック14を駆動するための駆動機構によって調節され、
該接触針の該従動ブロック14を、基枠24へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるリニアガイド11を備える、
プリント配線板検査装置。」の発明(以下、「刊行物1の発明」という。)が記載されているものと認める。

同じく、当審における平成17年8月31日付けで通知した取消の理由に引用した本件特許の出願前である平成2年8月9日に日本国内において頒布された特表平2-502488号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「位置検出プローブ」に関して、第1,2図とともに次のような記載がある(但し、行数を表す数字は余白行も1行とした。)。
E)「本発明は、座標測定機械、工作機械あるいは検査ロボットのような位置決め装置において位置検出や測定のために用いられるプローブに関する。」(第2頁左下欄7〜9行)
F)「先ず、第1図を参照するに、プローブは上ハウジング10を有し、この上ハウジング10が、座標測定機械,検査ロボットあるいは工作機械のクイルないしはスピンドルに挿入されることによって、3方向X,Y,Zに動作可能となる。プローブは、3つのばね平行四辺形構成12X,12Y,12Zを具え、この3つの平行四辺形構成は、相対的に固定のハウジング10と可動のワークピース-接触スタイラス14との間で一続きに構成される。スタイラス14は、ばね平行四辺形の各々によって方向X,Y,Zのそれぞれに並進動作が可能となる。すなわち、ばね平行四辺形12Zにより、平行四辺形12Zと12Yとの間に構成される接続部材16のZ軸方向の動きが可能となり、また、ばね平行四辺形12Yにより、下ハウジング18の接続部材16に相対したY軸方向の動きが可能となり、さらに、ばね平行四辺形12Xにより、スタイラスホルダー20のハウジング18に相対したX軸方向の動きが可能となる。」(第3頁左上欄22行〜右上欄13行)
G)「第1図および第2図を参照して、ばね平行四辺形構成12Xについて説明する。インナープレート22Xは、スタイラスホルダ20を介してスタイラス14を支持するものであり、下ハウジング18に固定される1対のアウタープレート24Xに相対してX方向に並進可能である。インナープレート22Xは、1対の平行な板ばね28Xによって、中間プレート26Xからつるされている。立代わって、中間プレート26Xは、2対の平行な板ばね30Xを介してアウタープレート24Xに支持されている。このように、ばね平行変辺形[注:平行四辺形の誤記]構成12Xは2つの別個なばね平行四辺形を具え、これらばね平行四辺形は、中間プレート26Xで折り返すようにして一続きに接続される。ばね平行四辺形が1つの場合には下ハウジング18に相対したスタイラス14の動きが弧状になるのに対し、この折り返し構成によれば、ハウジング18に相対したスタイラス14の純粋なX軸方向の並進動作が可能となる。」(第3頁右上欄20行〜左下欄11行)
H)「第3図は、トリガセンサ40とこれに対応する信号調整回路42を、座標測定機械あるいは工作機械のコンピュータ数値制御部と共に示している。従来と同様に、制御部54はプログラムを実行して上記機械をX,YおよびZ方向に駆動し、プローブのスタイラス14を測定すべき様々な点でワークピースに接触させる。」(第4頁左下欄16〜21行)
I)「以上の説明は、3軸X,Y,Z方向にふれることができるプローブに関したものであったが、本発明は、1軸あるいは2軸方向にのみふれることができるプローブにも適用され得るということが理解されよう。」(第5頁右下欄9〜12行)

上記F)〜I)の記載と第1,2図とからみて、上記刊行物2の位置検出プローブは、接触針であるスタイラス14をワークピースへと接触させることによって該ワークピースを測定するための装置であって、スタイラス14を支持するインナープレート22Xを、該装置の下ハウジング18へと固定されたアウタープレート24Xへと該スタイラス14の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるばね平行四辺形構成12Xを具えているものと認められ、該ばね平行四辺形構成12Xは、その運動方向に離れたインナープレート22Xの2点に、主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対(運動方向について前後一対)の板ばね28Xと、同じく運動方向に離れたアウタープレート24Xの2点に、主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ板ばね28Xが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対(運動方向について前後一対)の板ばね30Xとを有しており、該一対の板ばね28Xのうち運動方向について一方の側に位置する第一の板ばね28Xの他端と、一対の板ばね30Xのうち該一方の側に位置する第一の板ばね30Xの他端とを固定し、一対の板ばね28Xのうち運動方向について他方の側に位置する第二の板ばね28Xの他端と、一対の板ばね30Xのうち該他方の側に位置する第二の板ばね30Xの他端とを固定した平行板ばね機構であるものと認められる。
そして、接触針であるスタイラス14を支持する「インナープレート22X」は、接触針の「支持部分」ということができるとともに、該インナープレート22Xを中間プレート26と板ばね28X,30Xを介して担持している「アウタープレート24X」は、支持部分を担持する「支持部分担持部」ということができ、さらに、インナープレート22Xに取り付けられた「板ばね28X」は「支持側板ばね」、アウタープレート24Xに取り付けられた「板ばね30X」は「固定側板ばね」ということができるから、上記刊行物2には、
「接触針をワークピースへと接触させることによって該ワークピースを測定するための装置であって、
該接触針の支持部分を、該装置へと固定された支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される平行板ばね機構であって、該運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、
該一対の支持側板ばねのうち一方の側に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該一方の側に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち他方の側に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該他方の側に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである平行板ばね機構を備える、
測定装置。」
の発明が記載されているものと認める。

同じく、当審における平成17年8月31日付けで通知した取消の理由に引用した本件特許の出願前である昭和64年1月27日に日本国内において頒布された特開昭64-26105号公報(以下、「刊行物3」という。)には、「面形状測定装置」に関して、第1〜13図とともに次のような記載がある。
J)「本発明は、面形状測定装置に関し、特に非球面レンズ等の非球面形状を高速且つ高精度に測定する面形状測定装置に関する。
とりわけ、本発明は光プローブ等の非接触プローブを被検面に投射して被検面からの反射光の検知センサ上への投射状態にもとづいて被検面の形状を測定する際に好適である。」(第1頁左下欄14〜20行)
K)「定盤1に固着された粗動ガイド10と粗動スライド11との間は、空気静圧案内方式で構成される。粗動ガイド10に固着された粗動モータ12と粗動スライド11とは、回転直進変換機構であるところのボールネジまたは台形ねじ等によるねじ12′により連結される。粗動スライド11に固着された粗動格子スケール13と粗動ガイド10に固着された格子ピツチ読取装置14とにより、粗動スライド11の移動量を測定する。
粗動スライド11に固着された微動ガイド15と微動スライド16との間は空気静圧案内方式で構成される。リニアモータで構成される微動モータ17は粗動スライド11に固着され、そのスライド部を微動ガイド15を嵌通させて微動スライド16に固着する。
オートフオーカス顕微鏡20が微動スライド16に固着され、オートフオーカス顕微鏡20に固着された微動格子スケール18と、粗動スライド11に固着された格子ピツチ読取装置19とにより、オートフオーカス顕微鏡20の移動量を測定する。」(第2頁右下欄6行〜第3頁左上欄5行)
L)「第2図に示すオートフオーカス顕微鏡20では、合焦状態判別光学系42により被測定物30の対物レンズ41に対する合焦状態を検出し、その合焦状態により微動モータ17を駆動し、オートフオーカス顕微鏡20を移動せしめることにより、常時、被測定物30の表面と対物レンズ41の光軸とが交わる点、即ち被測定点に対物レンズ41の焦点位置をロツクする様なオートフオーカシング機構を備える。」(第3頁左上欄14行〜右上欄2行)
M)「格子ピツチ読取装置19の出力信号は、微動スライド移動量検出器53に入力され微動スライド16の移動量として信号処理される。さらに、微動スライド16の移動量はサーボドライバ52および制御コンピユータ60に入力される。このとき、微動スライド16,微動格子スケール18,格子ピツチ読取装置19,微動スライド移動量検出器53,サーボドライバ52,微動モータ17によりオートフオーカス顕微鏡20の位置決めサーボ機構ループが形成される。
制御コンピユータ60からの指令により、粗動モータドライバ54が駆動され、粗動モータドライバ54に接続された粗動モータ12が回転することにより、ねじ12′により連結された粗動スライド11が移動する。
粗動ガイド10に固着された格子ピツチ読取装置14の、粗動格子スケール13の目盛を読取った出力信号は粗動スライド移動量検出器55に入力され、粗動スライド11の移動量として信号処理され制御コンピユータ60に入力される。」(第4頁左上欄14行〜右上欄13行)
N)「まず、微動ガイド15と微動スライド16との間に設けられた不図示の近接センサの動作位置に微動スライド16をおき、微動スライド移動量検出器53の出力を0にリセツトする。また、第1図に示す粗動ガイド10と粗動スライド11との間に設けられた不図示の近接センサの動作位置に粗動スライド11をおき、この状態での対物レンズ41の焦点位置と旋回軸21との距離が微動スライド移動量検出器53の出力と粗動スライド移動量検出器55の出力との和に等しくなるように粗動スライド移動量検出器55の出力をプリセツトする。つまり、対物レンズ41の焦点位置が旋回軸21と一致する状態における微動スライド移動量検出器53の出力と粗動スライド移動量検出器55の出力との和が0となるようにキヤリブレーシヨンされたことになる。
次に被測定物30の軸、即ちレンズの光軸と割出軸22が一致するように、被測定物30を不図示のチヤツク機構により割出軸22に固着する。
次に微動スライド移動量検出器53の出力と、粗動スライド移動量検出器55の出力との和が被測定物30の曲率半径R(設計値)となるように、粗動スライド11および微動スライド16を駆動する。このとき微動スライド16は位置決めサーボ機構で駆動されているものとする。次に、R合せスライド7を駆動し、第4,5図[注:第4図の誤り]に示されるオートフオーカス顕微鏡20の合焦状態検出可能領域まで、オートフオーカス顕微鏡20に被測定物30の被測定面を接近させる。この状態において、位置決めサーボ機構ループからオートフオーカシングサーボ機構ループへの切替えを行う。これにより、被測定点が対物レンズ41の略焦点位置にロツクされたことになる。ここで微動スライド移動量検出器53の出力と粗動スライド移動量検出器55の出力との和が被測定物30の曲率半径RとなるようにR合せスライド7を微調整駆動する。」(第5頁左上欄10行〜左下欄4行)

上記J)〜N)の記載と第1,3図とからみて、上記刊行物3の面形状測定装置は、オートフオーカス顕微鏡20の対物レンズ41から光プローブを被測定物30の被検面に照射し、対物レンズ41の焦点位置が被測定物30の被検面に常時一致するようにオートフオーカス顕微鏡20を微動させて該被検面の面形状を測定する測定装置であって、対物レンズ41の焦点位置と該被検面との距離が、該オートフオーカス顕微鏡20を支持する微動スライド16を駆動するための微動モータ17と、粗動スライド11(該粗動スライド11が、微動スライド16,微動ガイド15の保持部分,微動モータ17を含んでいることは、第1図から明らかである。)を駆動するための粗動モータ12とによって調節されるようになっており、該微動ガイド15は、オートフオーカス顕微鏡20を支持する微動スライド16を粗動モータ12によって駆動される粗動スライド11へと該オートフオーカス顕微鏡20の運動方向に沿ってスライド可能に担持するためのガイド機構として配置されているものと認められる。
そして、上記「オートフオーカス顕微鏡20」は、対物レンズ41の焦点位置が接触式プローブの先端位置に対応する非接触式の「プローブ装置」ということができるとともに、それを支持する「微動スライド16」はその「支持部分」ということができ、また、微動スライド16を駆動するための「微動モータ17」、微動スライド16をスライド可能に担持する「微動ガイド15の保持部分」は、それぞれ「支持部分駆動部」、「支持部分担持部」ということができる。さらに、これら微動スライド16,微動モータ17,微動ガイド15の保持部分を含む「粗動スライド11」、及びそれを駆動するための「粗動モータ12」は、それぞれ、支持部分,支持部分駆動部,支持部分担持部を含む「第二部分」、及び「第二部分駆動部」ということができる。
したがって、上記刊行物3には、
「プローブ装置の焦点位置を被測定物の被検面に一致させることによって該被検面の面形状を測定するための装置であって、該プローブ装置と該被検面との距離が、該プローブ装置の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節され、
該プローブ装置の支持部分を、該第二部分駆動部によって駆動される該第二部分へと該プローブ装置の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるガイド機構を備える、
測定装置。」
の発明が記載されているものと認める。

【5】発明の対比・当審の判断
1.本件発明1と刊行物1の発明との対比
本件発明1と刊行物1の発明とを対比すれば、刊行物1の発明の「プリント配線板」は本件発明1の「プリント基板」に相当しており、同様に、接触針を支持する部材である「従動ブロック14」は「支持部分」に、従動ブロック14を接触針の運動方向へ駆動するための「駆動機構」は「駆動部」に、従動ブロック14を担持する「基枠24」は「支持部分担持部」に、それぞれ相当している。
また、刊行物1の発明の「リニアガイド11」は、支持部分(従動ブロック14)をスライド可能に担持する「ガイド機構」である限りにおいて本件発明1の「平行板ばね機構」に対応している。
したがって、本件発明1は刊行物1の発明と、
「接触針をプリント基板へと接触させることによって該プリント基板を検査するための装置であって、該接触針と該プリント基板との距離が、該接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部によって調節され、
該接触針の該支持部分を、支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるガイド機構を備える、
プリント基板検査装置。」
で一致し、以下の相違点で相違しているものと認める。
<相違点>
1)本件発明1のガイド機構は、運動方向に離れた支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねとを有し、該一対の支持側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端とを固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端とを固定した平行板ばね機構であるのに対し、刊行物1の発明のガイド機構はリニアガイド11である点。
2)本件発明1では、接触針とプリント基板との距離が、接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、支持部分と支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部とによって調節され、ガイド機構である平行板ばね機構は、接触針の支持部分を、第二部分駆動部によって駆動される支持部分担持部へと接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるのに対し、刊行物1の発明では、接触針とプリント配線板との距離が、接触針の支持部分(従動ブロック14)を駆動するための支持部分駆動部(駆動機構)によって調節されるとともに、ガイド機構(リニアガイド11)が、接触針の支持部分(従動ブロック14)を、支持部分担持部(基枠24)へと接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されようになってはいるものの、それが更に支持部分(従動ブロック14)と支持部分駆動部(駆動機構)と支持部分担持部(基枠24)とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部によって調節されるようになっているか否かについては明らかでない点。

2.相違点の検討
(1)相違点1)に関して
上記刊行物2には、接触針をワークピースへと接触させることによって該ワークピースを測定する測定装置において、
「接触針の支持部分を、該装置へと固定された支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される平行板ばね機構であって、該運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、
該一対の支持側板ばねのうち一方の側に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該一方の側に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち他方の側に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該他方の側に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである平行板ばね機構」を、接触針の支持部分(インナープレート22X)を支持部分担持部(アウタープレート24X)へスライド可能に担持するためのガイド機構として備える発明が記載されている。
刊行物2の発明は、接触針がワークピースに接触することにより、該接触針の支持部分(インナープレート22X)が支持部分担持部(アウタープレート24X)に対してスライドする部分のガイド機構として、該平行板ばね機構を用いており、支持部分を駆動する駆動部によって、該接触針の支持部分が支持部分担持部に対してスライドする部分のガイド機構として、これを用いているものではないが、平行板ばね機構を、このような接触針の支持部分が駆動部により支持部分担持部に対してスライドする部分のガイド機構として用いること自体は従来周知の技術(例えば、当審における平成17年5月16日付けの取消理由に引用した特開平8-322235号公報、或いは特開昭60-119402号公報、特開昭61-50048号公報を参照されたい。)であるから、上記刊行物2の発明の平行板ばね機構を、刊行物1の発明における、接触針の支持部分(従動ブロック14)が駆動部(駆動機構)によってスライドする部分のガイド機構として適用することには格別な困難性が認められない。
したがって、刊行物1の発明のガイド機構として、リニアガイド11に代えて上記刊行物2の発明の平行板ばね機構を用いることは、当業者が容易に行い得たものである。またその場合、刊行物1の発明の接触針は、支持部分である従動ブロック14の一端に設けられているから、各一対の支持側板ばね,固定側板ばねのうち、接触針に近い方が第一の板ばねとなり、遠い方が第二の板ばねとなることは当然である。
してみれば、刊行物1の発明で、ガイド機構として、運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、該一対の支持側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである平行板ばね機構を用いることは、刊行物1の発明に上記刊行物2の発明を適用することにより当業者が容易に行うことができたものである。
(特許権者は、平成17年11月14日付けの特許異議意見書の第8頁1〜10行で、「本発明は、ばね平行四辺形(平行板ばね機構)のスタイラス(接触針)を取り付けたインナープレート(支持部分)が、並進運動(相対偏倚)の際、刊行物1の従動ブロックのように摺動することがないから、機械的強度を維持するために質量を増す必要がない点に着目して、スタイラス(接触針)を取り付けたインナープレート(支持部分)のみを〈リニアガイドを用いることなく〉独立で駆動させて、よって、被検査面に接触針が接触する際の衝撃を少なくしようとするものである。」(但し、〈〉内は当審で付加。)として、刊行物2には、上述した本発明の目的及び技術思想がない、と主張しているが、このような目的及び技術思想は、上述した従来周知の技術のように、平行板ばね機構を接触針の支持部分が駆動部により支持部分担持部に対してスライドする部分のガイド機構として用いることにより、すでに達成されている目的及び技術思想にすぎない。)
(2)相違点2)に関して
上記刊行物3には、プローブ装置の焦点位置を被測定物の被検面に一致させることによって該被検面の面形状を測定するための測定装置において、
「プローブ装置と該被検面との距離が、該プローブ装置の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節され、
該プローブ装置の支持部分を、該第二部分駆動部によって駆動される該第二部分へと該プローブ装置の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるガイド機構を備える」発明が記載されている。
そして上記刊行物3の発明は刊行物1の発明と極めて類似する技術分野に属するから、上記刊行物3の発明を刊行物1の発明に適用することには格別な困難性が認められない。
してみれば、刊行物1の発明で、接触針とプリント基板との距離を、接触針の支持部分である従動ブロック14を駆動するための駆動機構(支持部分駆動部)ばかりでなく、支持部分である従動ブロック14と支持部分駆動部である駆動機構と支持部分担持部である基枠24とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部とによっても調節されるようにして、ガイド機構を、接触針の支持部分である従動ブロック14を該第二部分駆動部によって駆動される基枠24(支持部分担持部)へと接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置されるように構成することは、刊行物1の発明に上記刊行物3の発明を適用することにより当業者が容易に行うことができたものである。
(特許権者は、平成17年11月14日付けの特許異議意見書の第8頁11〜13行で、「刊行物3の開示内容は、非接触プローブを有する面形状測定装置であるから、接触針をプリント基板へと接触させる本発明とはその駆動機構が異なる。」と主張しているが、上記刊行物3のオートフオーカス顕微鏡20の対物レンズ41の焦点位置は、接触プローブの接触部に相当しているから、特許権者の上記主張には理由がない。またさらに付け加えるならば、接触プローブを粗動部と微動部を備えた移動機構によって移動させることも、(1)で引用した上記特開昭60-119402号公報にみられるように、従来普通に行われている技術事項である。)

3.本件発明2に関して
本件発明2は、本件発明1において、第一の支持側板ばね、第一の固定側板ばね、第二の支持側板ばね及び第二の固定側板ばねの曲げばね定数を同じにしたものであるが、平行板ばね機構を用いた移動機構において、各板ばねの曲げばね定数を同じにすることは周知技術(例えば、実願昭53-96860号(実開昭55-26104号)のマイクロフィルムの第5頁3〜9行を参照。)である。

4.本件発明3、4に関して
本件発明3は、本件発明1又は2において、支持部分駆動部と第二部分駆動部のうち、一方が小さな距離を調節する微調節手段であり、他方が大きな距離を調節する粗調節手段であるようにしたものであり、本件発明4は、本件発明3において、支持部分駆動部が微調節手段であり、第二部分駆動部が粗調節手段であるようにしたものであるが、プローブと対象物との距離を、該プローブの支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部とによって調節し、支持部分を担持する支持部分担持部を該第二部分駆動部によって駆動するようにしたものにおいて、支持部分駆動部を微調節手段とし、第二部分駆動部を粗調節手段とすることは、上記刊行物3の発明にもみられるように周知技術である。

5.本件発明5に関して
本件発明5は、本件発明3又は4において、粗調節手段がステッピングモーター又はサーボモーターによって駆動され、微調節手段がリニアモーター又はソレノイドによって駆動されるようにしたものであるが、粗調節手段や微調節手段をどのようなモーターで駆動するかは当業者が適宜選択する設計事項である(粗調節手段がステッピングモーターによって駆動され、微調節手段が電磁方式即ちリニアモーターによって駆動されている例として、例えば特開平5-150004号公報を参照されたい。ちなみに、上記刊行物3の発明でも微動モータ17はリニアモータで構成されている。)。

6.本件発明6に関して
本件発明6は、本件発明1乃至5のいずれかにおいて、平行板ばね機構が2対の支持側板ばねと2対の固定側板ばねとを有し、かつ該運動方向の延長線上から見たときに、互いに隣接する2対の支持側板ばねが2対の固定側板ばねに挟まれて配置されているか又は互いに隣接する2対の該固定側板ばねが2対の該支持側板ばねに挟まれて配置されているようにしたものであるが、平行板ばね機構を用いた移動機構において各板ばねをこのような構造のものとすることは、「3.」で引用した上記マイクロフィルムにもみられるように、これまた周知技術である。

7.本件発明7に関して
本件発明7は、本件発明1乃至6のいずれかにおいて、第一の支持側板ばねの他端と第一の固定側板ばねの他端との固定部分と、第二の支持側板ばねの他端と第二の固定側板ばねの他端との固定部分と、を部材によって連結するようにしたものであるが、平行板ばね機構を用いた移動機構において、各板ばねをこのように連結することは上記刊行物2の発明や「3.」で引用した上記マイクロフィルムでも行われている。

そして、本件発明1〜7が奏する作用効果は、上記刊行物1〜3に記載された発明と上記各周知技術から予測される程度以上のものではない。
したがって、本件発明1〜7は、上記刊行物1〜3に記載された発明と上記各周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

【6】むすび
以上のとおりであって、本件の請求項1〜7に係る発明は、上記刊行物1〜3に記載された発明と、上記各周知技術とに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の請求項1〜7に係る発明についての特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件の請求項1〜7に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
プリント基板検査装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】接触針をプリント基板へと接触させることによって該プリント基板を検査するための装置であって、該接触針と該プリント基板との距離が、該接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節され、
該接触針の該支持部分を、該第二部分駆動部によって駆動される該支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される平行板ばね機構であって、該運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、
該一対の支持側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである平行板ばね機構を備える、
プリント基板検査装置。
【請求項2】第一の支持側板ばね、第一の固定側板ばね、第二の支持側板ばね及び第二の固定側板ばねの曲げばね定数が同じである、請求項1に記載のプリント基板検査装置。
【請求項3】該支持部分駆動部と該第二部分駆動部とのうち、一方が小さな距離を調節する微調節手段であり、他方が大きな距離を調節する粗調節手段である、請求項1又は2に記載のプリント基板検査装置。
【請求項4】該支持部分駆動部が微調節手段であり、該第二部分駆動部が粗調節手段である、請求項3に記載のプリント基板検査装置。
【請求項5】該粗調節手段がステッピングモーター又はサーボモーターによって駆動され、該微調節手段がリニアモーター又はソレノイドによって駆動されるものである、請求項3又は4に記載のプリント基板検査装置。
【請求項6】該平行板ばね機構が2対の該支持側板ばねと2対の該固定側板ばねとを有し、かつ該運動方向の延長線上から見たときに、互いに隣接する2対の該支持側板ばねが2対の該固定側板ばねに挟まれて配置されているか又は互いに隣接する2対の該固定側板ばねが2対の該支持側板ばねに挟まれて配置されているものである、請求項1乃至5のいずれかに記載のプリント基板検査装置。
【請求項7】該第一の支持側板ばねの他端と該第一の固定側板ばねの他端との固定部分と、該第二の支持側板ばねの他端と該第二の固定側板ばねの他端との固定部分と、を部材によって連結しているものである、請求項1乃至6のいずれかに記載のプリント基板検査装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板の検査装置に関し、より詳細には検査時間が短くかつ検査に伴うプリント基板への損傷を著しく低減することができるプリント基板の検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器等の電気回路を形成するためにプリント基板が多用されている。プリント基板は、絶縁体の基板上に金属によって形成された導体部分によって電気回路を形成するものであり、近年の、電子機器の小型化及び集積化の要求に対応して微細かつ精密な構造が求められるようになってきている。プリント基板は写真技術やエッチング技術等を用いて形成されるが、形成されたプリント基板の健全性を検査するために、接触針をプリント基板の各部に接触させて電気的特性(抵抗、絶縁、導通、及び静電容量等)を調査することが多用されている。この方法は接触針をプリント基板の各検査位置に接触させる必要があるので、接触針をプリント基板に対して平行方向(以後、「XY方向」という。)の所定位置に正確に移動させ、その後、接触針をプリント基板に対して垂直方向(以後、「Z方向」という。)に移動させる。
【0003】
この接触針の動きのうち、Z方向への動きは検査位置1個に対して1往復(接触針がプリント基板に当接して、検査を行った後、接触針がプリント基板から離れてXY方向に移動可能となる位置まで戻るため1往復する。)することが必要であり、このZ方向への移動時間が全体検査時間の中の大きな割合を占めていた。特に、近年の高集積化されたプリント基板では、検査位置が数千乃至数万にものぼり、検査時間の増加が顕著になってきている。さらに、接触針がプリント基板に接触する際、大きな衝撃をプリント基板に与えると衝撃によってプリント基板が損傷したり、衝撃が破損原因になることもあった。なお、この衝撃は、検査を迅速に行うために接触針のZ方向への速度を増加させると増大する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来から行われてきている接触針によるプリント基板の検査は、検査時間が長くかつプリント基板への衝撃が大きいという問題があった。従って、本発明においては、検査時間が短くかつプリント基板への衝撃が小さいプリント基板検査装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明をなした。以下に説明する。
【0006】
本発明の1の特徴は、接触針のZ方向への移動を2個の別個の駆動部を用いて行うことを特徴とする。即ち、第一の本発明は、接触針をプリント基板へと接触させることによって該プリント基板を検査するための装置であって、該接触針と該プリント基板との距離が、該接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節されるものである、プリント基板検査装置である。
【0007】
本装置においては、接触針とプリント基板との距離が、接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、支持部分と支持部分駆動部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節される。プリント基板上の検査位置のZ方向への分布はプリント基板のそりによって主として生じるが、通常それほど大きくない。従って、1個の検査位置の検査が終了する度に接触針を元の位置に必ずしも戻す必要はなく、個々の検査位置のZ方向への分布が十分吸収できるだけのZ方向の移動を行えば足りる。即ち、2個の別個の駆動部(支持部分駆動部と第二部分駆動部)のうち、いずれか一方が検査位置のZ方向への分布を吸収できるような変位を有し、他方がほぼ一定量のZ方向への移動を行うようにする。個々の検査位置に対しては通常該一方の駆動部のみでZ方向へと接触針を移動させる。こうすることによって、個々の検査位置に対しての、接触針のZ方向への移動量が小さくなるので、接触針をZ方向へと移動させるための時間を大幅に短縮することができる。
【0008】
支持部分駆動部と第二部分駆動部とのうち、一方が小さな距離を調節する微調節手段であり、他方が大きな距離を調節する粗調節手段であるようにしてもよい。微調節手段が、個々の検査位置のZ方向への分布を吸収することができる小さな変位を有し、粗調節手段が検査開始時及び終了時に一定の距離だけ接触針をZ方向へと移動させるようにすれば、個々の検査位置に対して接触針の必要移動量を大幅に減少させるので、検査時間を大幅に減少させることができる。なお、検査が進行している部分の、プリント基板のそり等の外形に合わせて、粗調節手段によって接触針とプリント基板との距離を調節してやれば、さらに微調節手段の変位を小さくすることができるので、一層、検査時間を減少させることができる。
【0009】
支持部分駆動部が微調節手段であり、第二部分駆動部が粗調節手段であるようにしてもよい。こうすることで、個々の検査位置に対してZ方向へと移動する部分即ち微調節手段によって移動される部分が、接触針及び支持部分によって構成される小型かつ軽量なものとなるので、個々の検査位置に対する移動部分の慣性質量を減少させ、敏速な移動を可能ならしめ検査時間を短縮することができると共に、プリント基板への接触時における衝撃を低減することができる(プリント基板が受ける衝撃は、衝突するものの質量に比例する)。
【0010】
支持部分駆動部と第二部分駆動部とはいかなる方法によって駆動されてもよく、例えば、油圧シリンダー、空気シリンダー、モーター、及びソレノイド等を用いることができるが、正確性や管理の容易性等を考慮するとモーターを用いることが好ましい。さらに、ステッピングモーター又はサーボモーターによって粗調節手段を駆動し、リニアモーター又はソレノイドによって微調節手段を駆動することが好ましい。ステッピングモーター等は一定の変位を正確に発生させ、リニアモーター等は円滑かつ柔らかい動きを行うことができるからである。
【0011】
本発明の装置の第2の特徴は、接触針の支持部分を、装置へと固定された支持部分担持部へと接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するための平行板ばね機構を有することを特徴とする。即ち、本発明は、接触針をプリント基板へと接触させることによって該プリント基板を検査するための装置であって、該接触針の支持部分を、該装置へと固定された支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される平行板ばね機構であって、該運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、該一対の支持側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである平行板ばね機構を備える、プリント基板検査装置である。
【0012】
従来のプリント基板検査装置における接触針の支持部分を接触針の運動方向に沿ってスライド可能に把持するためにはリニアガイドと呼ばれる、レールとこれに嵌合するレール受けとからなるものを使用していた。即ち、該支持部分に通常、レール受けを取り付け、支持部分担持部にレールを敷設し、そして該レール受けと該レールとを摺動可能に嵌合させることで、該支持部分を該レールに沿って移動できるようにしていた。しかし、このリニアガイドを使用すると、リニアガイドの自重が大きいために接触針に付随して移動する部分の質量が大きくなり、接触針がプリント基板に衝突する際の衝撃が大きくなる問題に加え、敏速な移動ができなくなる問題があった。このため、本発明の装置においては、リニアガイドに代えて薄板状の板ばねによって構成された軽量な平行板ばね機構を使用している。
【0013】
該平行板ばね機構は、接触針の運動方向に離れた、接触針の支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、支持部分把持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有する。従って、接触針の運動方向に対して垂直方向から支持部分と支持部分担持部とを見ると、互いに平行又は一直線になった支持部分と支持部分担持部とが存在し、支持部分には2枚の支持側板ばねが取り付けられており、支持部分担持部には2枚の固定側板ばねが取り付けられており、そして2枚の支持側板ばねと2枚の固定側板ばねとの合計4枚の板ばねが平行(重なっている場合も含む。)になっている(馬等の動物が立ったときの4本の脚の配置に類似している。)。そして、一対の支持側板ばねのうち接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、一対の固定側板ばねのうち接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして一対の支持側板ばねのうち接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、一対の固定側板ばねのうち接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定している(前記の例にたとえると馬の前足同志を縛り、そして後足同志を縛った状態になる。)。このため接触針の運動方向に対して垂直方向から見た場合、力が加わらない中立の位置では、第一の支持側板ばねと第一の固定側板ばねとは互いに重なり合うように配置され、また同様に第二の支持側板ばねと第二の固定側板ばねとは互いに重なり合うように配置される。一方、力が加わり支持部分が移動すると、同方向から見ると第一の支持側板ばねと第一の固定側板ばねとはアルファベットの「V」の形を形成し、また同様に第二の支持側板ばねと第二の固定側板ばねとはアルファベットの「V」の形を形成する。このとき第一の支持側板ばね、第一の固定側板ばね、第二の支持側板ばね、そして第二の固定側板ばねの曲げばね定数が同じであれば、支持部分が支持部分担持部に対して平行に移動するので好ましい。
【0014】
平行板ばね機構が2対の支持側板ばねと2対の固定側板ばねとを有し、かつ接触針の運動方向の延長線上から見たときに、互いに隣接する2対の支持側板ばねが2対の固定側板ばねに挟まれて配置されているか又は互いに隣接する2対の固定側板ばねが2対の支持側板ばねに挟まれて配置されるようにしてもよい。こうすると、1対の支持側板ばねと1対の固定側板ばねとによって構成された平行板ばね機構を使用した場合では、支持部分に力が加わって移動した場合(支持側板ばねと固定側板ばねとが開いて「V」形を形成した場合)、接触針の運動方向に対して垂直方向へも支持部分が移動する傾向が生じるが、2対の支持側板ばねと2対の固定側板ばねとを使用し、2対の支持側板ばねと2対の固定側板ばねとのいずれかの2対(隣接させて配置する)を他の1対と他の1対との間に挟み込むようにすれば、該運動方向に対して垂直方向への、支持部分の移動を防止することができる。なお、この場合、2枚の第一の支持側板ばねの2個の他端と2枚の第一の固定側板ばねの2個の他端との4個の他端を一体として連結固定し、そして2枚の第二の支持側板ばねの2個の他端と2枚の第二の固定側板ばねの2個の他端との4個の他端を一体として連結固定してもよく、そうすればさらに該運動方向に対して垂直方向への、支持部分の移動を防止することができる。
【0015】
第一の支持側板ばねの他端と第一の固定側板ばねの他端との固定部分(第一の固定部分という。)と、第二の支持側板ばねの他端と第二の固定側板ばねの他端との第二の固定部分(第二の固定部分という。)と、を部材によって連結してもよい。こうすれば、支持部分が移動した際に、第一の支持側板ばねと第二の支持側板ばねとに加わる力を該部材が受け、支持部分のXY方向(特に、第一の固定部分や第二の固定部分への方向又はその方向とは逆方向)への動きを減少するように該部材が動き、接触針を極めて正確にプリント基板に接触させることができるので好ましい。特に、第一の支持側板ばね、第一の固定側板ばね、第二の支持側板ばね、そして第二の固定側板ばねを同じ曲げ弾性にすると、支持部分のXY方向への動きをちょうど相殺することができるので、極めて正確な検査を行うことができる。
【0016】
本発明の装置は第1の特徴及び第2の特徴を組合わせたものであり、接触針のZ方向への移動を2個の別個の駆動部を用いて行い、接触針の支持部分を支持部分担持部へとスライド可能に担持するために平行板ばね機構を使用したことを特徴とする。即ち、本発明は、接触針をプリント基板へと接触させることによって該プリント基板を検査するための装置であって、該接触針と該プリント基板との距離が、該接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、該支持部分と該支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節され、該接触針の該支持部分を、該第二部分駆動部によって駆動される該支持部分担持部へと該接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される平行板ばね機構であって、該運動方向に離れた、該支持部分の2点に、当該支持側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにその一端が取り付けられた一対の支持側板ばねと、該運動方向に離れた、該支持部分担持部の2点に、当該固定側板ばねの主表面が互いに平行になるようにかつ該運動方向に対して垂直になるようにかつ該支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるようにその一端が取り付けられた一対の固定側板ばねと、を有し、該一対の支持側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばねの他端と、を固定し、そして該一対の支持側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばねの他端と、該一対の固定側板ばねのうち該接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばねの他端と、を固定したものである平行板ばね機構を備える、プリント基板検査装置を提供するものである。
【0017】
本発明の装置のうち、接触針とプリント基板との距離が、接触針の支持部分を駆動するための支持部分駆動部と、支持部分と支持部分駆動部と支持部分担持部とを含む第二部分を駆動するための第二部分駆動部と、によって調節されることは、本発明の第1の特徴であり、それによる作用及び効果は本発明の第1の特徴において説明したものと同様であるので、ここでは省略する。
【0018】
本発明の装置が備える平行板ばね機構は、接触針の支持部分を、第二部分駆動部によって駆動される支持部分担持部へと接触針の運動方向に沿ってスライド可能に担持するために配置される。即ち、本発明の装置の第2の特徴で説明された平行板ばね機構が連結していた支持部分担持部は装置に固定されて動かないものであったが、第1及び第2の特徴の組合わせによる本発明の装置における平行板ばね機構が連結する支持部分担持部は第二部分駆動部によって駆動(Z方向)されるところが異なる。本発明の装置に使用される平行板ばね機構自体は、本発明の装置の第2の特徴で説明された平行板ばね機構と同様のものなので、ここではそれについての説明は省略する。なお、本発明の装置に平行板ばね機構を使用した場合の作用及び効果も本発明の装置の第2の特徴で説明したそれと同様である。
【0019】
本発明の装置は、接触針のZ方向への移動を2個の別個の駆動部を用いて行っているので、個々の検査位置に対しての、接触針のZ方向への移動量が小さくなるので、接触針をZ方向へと移動させるための時間を大幅に短縮することができ、さらに接触針の支持部分を支持部分担持部へとスライド可能に担持するために平行板ばね機構を使用しているので、プリント基板へ衝突する部分の質量を小さくすることができ、プリント基板への衝撃を低減することができる。
【0020】
支持部分駆動部と第二部分駆動部とのうち、一方が小さな距離を調節する微調節手段であり、他方が大きな距離を調節する粗調節手段であるようにしてもよい。微調節手段が、個々の検査位置のZ方向への分布を吸収することができる小さな変位を有し、粗調節手段が検査開始時及び終了時に一定の距離だけ接触針をZ方向へと移動させるようにすれば、個々の検査位置に対して接触針の必要移動量を大幅に減少させるので、検査時間を大幅に減少させることができる。なお、検査が進行している部分の、プリント基板のそり等の外形に合わせて、粗調節手段によって接触針とプリント基板との距離を調節してやれば、さらに微調節手段の変位を小さくすることができるので、一層、検査時間を減少させることができる。
【0021】
支持部分駆動部が微調節手段であり、第二部分駆動部が粗調節手段であるようにしてもよい。こうすることで、個々の検査位置に対してZ方向へと移動する部分即ち微調節手段によって移動される部分が、接触針及び支持部分によって構成される小型かつ軽量なものとなるので、個々の検査位置に対する移動部分の慣性質量を減少させ、敏速な移動を可能ならしめ検査時間を短縮することができると共に、プリント基板への接触時における衝撃を低減することができる(プリント基板が受ける衝撃は、衝突するものの質量に比例する)。
【0022】
支持部分駆動部と第二部分駆動部とはいかなる方法によって駆動されてもよく、例えば、油圧シリンダー、空気シリンダー、モーター、及びソレノイド等を用いることができるが、正確性や管理の容易性等を考慮するとモーターを用いることが好ましい。さらに、ステッピングモーター又はサーボモーターによって粗調節手段を駆動し、リニアモーター又はソレノイドによって微調節手段を駆動することが好ましい。ステッピングモーター等は一定の変位を正確に発生させ、リニアモーター等は円滑かつ柔らかい動きを行うことができるからである。
【0023】
平行板ばね機構が2対の支持側板ばねと2対の固定側板ばねとを有し、かつ接触針の運動方向の延長線上から見たときに、互いに隣接する2対の支持側板ばねが2対の固定側板ばねに挟まれて配置されているか又は互いに隣接する2対の固定側板ばねが2対の支持側板ばねに挟まれて配置されるようにしてもよい。こうすると、1対の支持側板ばねと1対の固定側板ばねとによって構成された平行板ばね機構を使用した場合では、支持部分に力が加わって移動した場合(支持側板ばねと固定側板ばねとが開いて「V」形を形成した場合)、接触針の運動方向に対して垂直方向へも支持部分が移動する傾向が生じるが、2対の支持側板ばねと2対の固定側板ばねとを使用し、2対の支持側板ばねと2対の固定側板ばねとのいずれかの2対(隣接させて配置する)を他の1対と他の1対との間に挟み込むようにすれば、該運動方向に対して垂直方向への、支持部分の移動を防止することができる。なお、この場合、2枚の第一の支持側板ばねの2個の他端と2枚の第一の固定側板ばねの2個の他端との4個の他端を一体として連結固定し、そして2枚の第二の支持側板ばねの2個の他端と2枚の第二の固定側板ばねの2個の他端との4個の他端を一体として連結固定してもよく、そうすればさらに該運動方向に対して垂直方向への、支持部分の移動を防止することができる。
【0024】
第一の支持側板ばねの他端と第一の固定側板ばねの他端との固定部分(第一の固定部分という。)と、第二の支持側板ばねの他端と第二の固定側板ばねの他端との第二の固定部分(第二の固定部分という。)と、を部材によって連結してもよい。こうすれば、支持部分が移動した際に、第一の支持側板ばねと第二の支持側板ばねとに加わる力を該部材が受け、支持部分のXY方向(特に、第一の固定部分や第二の固定部分への方向又はその方向とは逆方向)への動きを減少するように該部材が動き、接触針を極めて正確にプリント基板に接触させることができるので好ましい。特に、第一の支持側板ばね、第一の固定側板ばね、第二の支持側板ばね、そして第二の固定側板ばねを同じ曲げ弾性にすると、支持部分のXY方向への動きをちょうど相殺することができるので、極めて正確な検査を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0026】
図1は、本発明のプリント基板検査装置の一例の一部を示す斜視図である。図1に一部が示されたプリント基板検査装置は、接触針のZ方向への移動を2個の別個の駆動部を用いて行い、接触針の支持部分を支持部分担持部へとスライド可能に担持するために平行板ばね機構を使用している。図1を参照して、プリント基板(図示せず)へ接触させて検査を行う接触針1が支持部分3の一端に取り付けられ支持されている。センサー用リフレクター5の下側に隠れているが、支持部分3の他端がリニアモーター7の駆動軸へと取り付けられている。即ち、本実施例の場合はリニアモーター7が支持部分駆動部として取り付けられている。
【0027】
支持部分3を両側から挟むように支持部分担持部11が設けられ、支持部分3と支持部分担持部11とは平行板ばね機構13を介して取り付けられている。このため、支持部分3は支持部分担持部11へ接触針1の運動方向に沿ってスライド可能に担持されている。従って、リニアモーター7が支持部分3を移動させることによって接触針をZ方向に移動させることができる。さらに、支持部分3を担持した支持部分担持部11とリニアモーター7(支持部分駆動部)とが移動台9へと取り付けられている。従って、移動台9を移動させれば、それに伴って接触針1、支持部分3、支持部分担持部11、平行板ばね機構13、センサー用リフレクター5、そしてリニアモーター7の全て(第二部分)が移動する。一方、移動台9の下側には固定台15が設置されており、固定台15と移動台9とはリニアガイドによって一定方向へスライド可能に取り付けられている。このリニアガイドは、固定台15の所定位置に敷設されたレール17と、レール17にスライド可能に嵌合する、移動台9の下面部分19と、から構成されている。このため、移動台9は、レール17に沿ってスライド移動することができる。
【0028】
固定台15の立ち上がり部分15aにはステッピングモーター21(第二部分駆動部)が取り付けられ、ステッピングモーター21の駆動軸21aは立ち上がり部分15aを貫通しており、駆動軸21aの先端にはプーリー23が取り付けられている。プーリー23と自由に回転しうるプーリー25(アイドラー)との間にはベルト27が取り付けられており、ステッピングモーター21の駆動軸21aの回転に伴ってベルト27及びプーリー25が運動する。ベルト27の所定位置には、棒状部材29の一端が固定的に取り付けられている。棒状部材29の他端は移動台9へ取り付けられており、このためステッピングモーター21の駆動軸21aが回転すると、プーリー23、ベルト27、そして棒状部材29を介して移動台9が移動する。即ち、本実施例の装置では、接触針1とプリント基板(図示せず)との間の距離を調節するための、接触針1のZ方向への動きは、リニアモーター7(支持部分駆動部)とステッピングモーター21(第二部分駆動部)とによって行われる。
【0029】
図2は、図1に示された装置に使用されている平行板ばね機構13を示す斜視図である。図2を参照して、平行板ばね機構13は、2対の支持側板ばね51、53、55、57(支持側板ばね51と53とで一対をなし、支持側板ばね55と57とで一対をなす。)と、2対の固定側板ばね61、63、65、67(固定側板ばね61と63とで一対をなし、固定側板ばね65と67とで一対をなす。)と、を有する。1対の支持側板ばね51、53は、接触針の運動方向に離れた、支持部分の2点にその一端51a、53aが取り付けられる。また、取り付けは、1対の支持側板ばね51、53の主表面が互いに平行になるように、かつ接触針の運動方向に対して垂直になるように行われる。一方、1対の固定側板ばね61、63は、接触針の運動方向に離れた、支持部分担持部の2点にその一端61a、63aが取り付けられる。また、取り付けは、1対の支持側板ばね61、63の主表面が互いに平行になるように、かつ接触針の運動方向に対して垂直になるように、かつ支持側板ばねが伸びる方向と同方向に伸びるように行われる。一対の支持側板ばね51、53のうち接触針に近い方に位置する第一の支持側板ばね51の他端51bと、一対の固定側板ばね61、63のうち接触針に近い方に位置する第一の固定側板ばね61の他端61bと、が固定されており、さらに一対の支持側板ばね51、53のうち接触針から遠い方に位置する第二の支持側板ばね53の他端53bと、一対の固定側板ばね61、63のうち接触針から遠い方に位置する第二の固定側板ばね63の他端63bと、が固定された状態になっている。また、第一の支持側板ばね51の他端51bと第一の固定側板ばね61の他端61bとの固定部分と、第二の支持側板ばね53の他端53bと第二の固定側板ばね63の他端63bとの固定部分と、を部材71によって連結している。
【0030】
他方の一対の支持側板ばね55、57と他方の一対の固定側板ばね65、67とは、一対の支持側板ばね51、53と一対の固定側板ばね61、63とによって形成される平行板ばね機構と同様な平行板ばね機構を形成するので、ここでは説明を省略する。なお、本実施例の場合、平行板ばね機構13が2対の支持側板ばね51、53、55、57と2対の固定側板ばね61、63、65、67とを有し、かつ接触針の運動方向の延長線(即ち、支持側板ばね51、53、55、57と固定側板ばね61、63、65、67との主表面に対して垂直な線の延長線)上から見たときに、互いに隣接する2対の支持側板ばね51、55が2対の固定側板ばね61、65に挟まれて配置されている(逆方向から見れば、互いに隣接する2対の支持側板ばね53、57が2対の固定側板ばね63、67に挟まれて配置されている)。
【0031】
図3乃至5は、移動台9、それに取り付けられたリニアモーター7、支持部分3、支持部分担持部11、平行板ばね機構13、センサー用リフレクター5、そして接触針1によって構成される第二部分を示すためのそれぞれ上面図、右側面図、及び正面図である。図3乃至5を参照して、移動台9の上面にリニアモーター7と支持部分担持部11の一端が取り付けられている。リニアモーター7の駆動軸33は、センサー部35を介してばね31の一端に連結されている。ばね31の他端は支持部分3へと連結されている。なお、支持部分3の上面部分の大部分がセンサー用リフレクター5によって隠されており、また支持部分3は支持部分担持部11に挟まれるようになっているので支持部分3の側面部分は見えない(実際には、支持部分3はばね31の他端から接触針1まで連続している。)。支持部分3は支持部分担持部11に平行板ばね機構13を介して担持されており、リニアモーター7によって(ばね31を介して)支持部分担持部11に対して容易にスライド移動することができる。
【0032】
図6は、図1に示した装置を使用してプリント基板を検査する際の、接触針1の運動を示す説明図である。図6は、プリント基板81を鉛直方向に立てた状態を鉛直上方向から見たところを示している。従って、プリント基板81の主表面は本図面に対して垂直方向に伸びている。プリント基板図6を参照して、プリント基板81がそり83を有しているので、検査面81aは凸面を形成している。検査面81aに接触して検査する接触針1が、支持部分3に支持されて位置Aに静止している。なお、本図においては、図示及び理解を容易にするために、接触針1と支持部分3以外の部分は省略している。位置Aは検査開始前の始点を示しており、検査を開始すると、ステッピングモーター21(第二部分駆動部)が移動台9をプリント基板81側へ(Z方向へ)移動させる。これによって接触針1が位置Bへと到達する。接触針1が位置Bへと到達した後、プリント基板81の各検査位置へ接触針1が接触することによる検査が始められる。位置Bから、XY方向に接触針1を移動させて検査位置の前面部分(位置C)へと位置させる。その後、リニアモーター7(支持部分駆動部)が支持部分3をプリント基板81側へ(Z方向へ)移動させ、接触針1をプリント基板81へ接触させて検査を行う(位置D)。検査完了後、リニアモーター7(支持部分駆動部)が支持部分3をプリント基板81から離れる方向へ(Z方向へ)移動させ、接触針1を位置Cへと戻す。接触針1は、次の検査位置に向けてXY方向に移動し、そこでZ方向に移動してプリント基板81に接触し、そこで検査を行い、そしてプリント基板81から離れる動作を繰り返して、プリント基板81全部の検査位置を検査する。図6の位置E、位置F、そして位置Gは、接触針1の検査を行う位置を示しており、検査は位置D、位置E、位置F、位置Gの順番で行われ、これら全ての位置で検査が完了しリニアモーター7(支持部分駆動部)が支持部分3をプリント基板81から離れる方向へ(Z方向へ)移動させた位置を示したものが位置Hである。位置Hからは、ステッピングモーター21(第二部分駆動部)が移動台9をプリント基板81から遠ざかる方向へ(Z方向へ)移動させ、これによって接触針1が位置Jへと到達し、全ての検査工程が完了する。
【0033】
このように動作するので、各検査位置に対して接触針1がZ方向に移動する距離は、図中の線P(リニアモーター7(支持部分駆動部)が支持部分3をプリント基板81から離れる方向へ移動させた場合の接触針1の針先位置)からプリント基板81の検査面81aまでで足りる。このため接触針1のZ方向への運動を単一の駆動部によって行っていた従来装置では、図中の線Qからプリント基板81の検査面81aまで各検査位置に対して移動することが必要であったので、線Pと線Qとの間の距離即ちステッピングモーター21(第二部分駆動部)が移動台9を移動させる距離分だけ本発明の装置の方が接触針1の移動距離が小さくなるので検査時間の短縮を図ることができる。各検査位置に対する接触針1の移動距離を小さくするには、線Pを検査面81aに近くすればよいが、プリント基板81のそり83を考慮すれば各検査位置に対する移動距離がそり83よりも大きくなければならない。
【0034】
上記のように、線Pを直線とする場合(ステッピングモーター21(第二部分駆動部)が移動台9を移動させる距離が一定である場合)では、各検査位置に対する接触針1の移動距離は、プリント基板81のそり83よりも小さくすることはできず、短縮の限界があった。そこで線Pを検査面81aの形状に合わせた線(曲線や折れ曲がった直線等)とすることで該移動距離を限りなく小さくすることができ、更なる検査時間の短縮を図ることができる。即ち、ステッピングモーター21(第二部分駆動部)による移動台9の移動距離を検査面81aの形状に合わせて変化させればよく、好ましくは、線Pが検査面81aと平行になるようにして検査面81aにできる限り接近させるようにすれば、該移動距離を極めて小さくできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。即ち、上記の通り第1及び第2の特徴を組合わせた本発明の装置においては、接触針の支持部分を軽量な平行板ばね機構によって担持するのでZ方向へ接触針を移動させる際に移動する部分の質量を低減でき、迅速な運動による検査時間の短縮及び接触針の、プリント基板への衝突による衝撃の低減を図ることができる。また、同時に、本発明の装置においては、接触針のZ方向への運動を2個の別個の駆動部によって駆動し接触針の支持部分を軽量な平行板ばね機構によって担持するので、各検査位置に対するZ方向への接触針の移動距離を小さくしかつZ方向へ接触針を移動させる際に移動する部分の質量を低減でき、更なる検査時間の短縮及び接触針の、プリント基板への衝突による衝撃の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例のプリント基板検査装置の一部を示す斜視図である。
【図2】
本発明の一実施例の図1に示された装置に使用されている平行板ばね機構を示す斜視図である。
【図3】
本発明の一実施例の第二部分を示す上面図である。
【図4】
本発明の一実施例の第二部分を示す右側面図である。
【図5】
本発明の一実施例の第二部分を示す正面図である。
【図6】
本発明の一実施例の接触針の運動を示す説明図である。
【符号の説明】
1 接触針
3 支持部分
5 センサー用リフレクター
7 リニアモーター
9 移動台
11 支持部分担持部
13 平行板ばね機構
15 固定台
15a 立ち上がり部分
17 レール
19 下面部分
21 ステッピングモーター
21a ステッピングモーターの駆動軸
23 ステッピングモーターの駆動軸に取り付けられているプーリー
25 プーリー(アイドラー)
27 ベルト
29 棒状部材
31 ばね
33 リニアモーターの駆動軸
35 センサー部
51、53、55、57 支持側板ばね
51a、53a、55a、57a 支持側板ばねの一端
51b、53b、55b、57b 支持側板ばねの他端
61、63、65、67 固定側板ばね
61a、63a、65a、67a 固定側板ばねの一端
61b、63b、65b、67b 固定側板ばねの他端
71 部材
81 プリント基板
81a 検査面
83 そり
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-12-22 
出願番号 特願平9-323758
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (H05K)
最終処分 取消  
特許庁審判長 大野 覚美
特許庁審判官 藤井 俊明
永安 真
ぬで島 慎二
見目 省二
登録日 2002-11-08 
登録番号 特許第3368192号(P3368192)
権利者 マイクロクラフト株式会社
発明の名称 プリント基板検査装置  
代理人 合田 潔  
代理人 大原 拓也  
代理人 笠原 英俊  
代理人 佐竹 勝一  
代理人 今城 俊夫  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 笠原 英俊  
代理人 大塚 文昭  
代理人 高石 秀樹  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 今城 俊夫  
代理人 大塚 文昭  
代理人 富岡 英次  
代理人 高石 秀樹  
代理人 西島 孝喜  
代理人 合田 潔  
代理人 佐竹 勝一  
代理人 富岡 英次  
代理人 西島 孝喜  

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