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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1136874
審判番号 不服2003-4236  
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-12-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-14 
確定日 2006-05-15 
事件の表示 特願2000-178815「工作機械のアタッチメントの情報提供システム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年12月26日出願公開、特開2001-357295〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成12年6月14日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年12月24日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものと認める。

「工作機械の種類に関する種類情報と、前記工作機械中、用途に応じた工作機械の個別情報と、前記工作機械の個別情報の中、個別工作機械に関するアタッチメント情報と、前記アタッチメント情報の中、個々のアタッチメントが有する種類、サイズ等の情報が、記録転送手段によりデータ管理部に転送され、インターネットを通じて前記各工作機械に関する各種情報が提供可能に前記データ管理部で管理される構成の工作機械のアタッチメントの情報提供システムにおいて、
前記工作機械に関する各種情報に、前記工作機械及びアタッチメントの製造、販売業者リスト、梱包、包装業者リスト及び各種アタッチメントの使用方法に関する情報が加えられていると共に、前記工作機械に関する画像データが画像転送手段によりデータ管理部に転送可能に構成されていることを特徴とする工作機械のアタッチメントの情報提供システム。」

2.引用例

これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平10-222508号公報(以下、「引用例1」という。)には、「コンピュータ画面レイアウト編集方法」に関して、次の事項が図面と共に記載されている。

(a)「【発明の属する技術分野】本発明は、インターネットに発信するホームページの作成に用いるコンピュータ画面レイアウト編集方法に関する。
【従来の技術】ホームページは、HTML(Hyper Text Markup Language)言語で記述されたテキスト・ファイル(以下「HTMLファイル」という。)である。したがって、このHTMLファイルは、テキスト・エディターを用いて自由に作成・編集することができる。
ここで、図8を参照し、ホームページを作成してプロバイダのサーバに登録する手順について説明する。(1)テキスト・エディターを用いてホームページのHTMLファイルを作成する。(2)ブラウザを用いて作成したHTMLファイルを表示してみる。なお、ブラウザは、タグ付きのHTMLファイルを読み込むと、それぞれのタグの機能を解釈して文字や画像を指定の位置に指定の大きさで表示するソフトフェアである。(3)ファイル転送プロトコル(FTP)の手順に従って、サーバにホームページのHTMLファイルをアップロードする。以上により、ホームページの登録が完了する。」(公報段落番号【0001】〜【0003】、なお、(1)〜(3)はいずれも丸数字である。)

(b)「図7は、本発明のコンピュータ画面レイアウト編集方法に用いられる入力画面の一例を示す。ここでは、Aタイプ(上下積み型)のものを示すが、Bタイプ(左右積み型)でも同様の入力画面である。
入力画面は、大きく分けて文字情報(テキスト)を入力するテキスト入力エリア10と、画像情報(ビジュアル)を入力するビジュアル挿入エリア20と、事前確認ボタン30と、登録ボタン40とにより構成される。」(公報段落番号【0045】〜【0046】)

(c)「文字入力ボックス12には、本文や見出しなどの文字要素を入力する。入力した文字のレイアウトは、位置指定ボックス13で「左寄せ」、「中央」、「右寄せ」のいずれかを指定する。入力した文字の「書体」、「大きさ」、「色」は、文字指定ボックス14に用意されているメニューの中からそれぞれ選択する。なお、文字サンプルボタン15を押すことにより、別ウインドに各指定の文字サンプルを表示させることができる。
ビジュアル挿入エリア20は、基本ブロック番号指定ボックス211と、枝番ブロック番号指定ボックス212、213、214と、画像ファイル指定ボックス22と、位置指定ボックス23とにより構成される。基本ブロックの番号指定は、基本ブロック番号指定ボックス211のメニューの中から指定するブロック番号を選択する。基本ブロックを左右上下に分割した枝番ブロックの通し番号の指定は、各枝番ブロック番号指定ボックス212、213、214のメニューの中から指定する枝番ブロックの通し番号を選択する。この実施例では、基本ブロック番号指定ボックス211は基本ブロック番号指定部111に対応し、枝番ブロック番号指定ボックス212は左右分割指定部112に対応し、枝番ブロック番号指定ボックス213は上下分割指定部113に対応し、枝番ブロック番号指定ボックス214は左右分割指定部114に対応している。
このビジュアル挿入エリア20には基本ブロック番号指定ボックス211、枝番ブロック番号指定ボックス212、213、214はそれぞれ3組あり、1つの枝番ブロック内に最大3つのビジュアル(画像)を挿入することができる。画像ファイル指定ボックス22には、挿入するビジュアル(画像)のファイル名を指定する。「Browse... 」ボタン24を押すと、ファイルの選択ボックスが開くので、ハードディスクにある画像データファイルを選択することができる。ここで指定されたファイルが、登録時にサーバへアップロードされる。挿入するビジュアル(画像)のレイアウトは、位置指定ボックス23で「左寄せ」、「中央」、「右寄せ」のいずれかを指定する。なお、本実施例ではビジュアル挿入エリア20には挿入指定のボックスは3組が用意してあるが、実際にはこの数に限定されることがなく、プログラム上では組数はこの数よりも多くても実行することが可能である。
事前確認ボタン30を押すと、それまで入力されたデータに従って別ウインドにページイメージが表示される。このページイメージと入力データを見比べながら画面を確認し、登録ページを満足のいくレイアウトに仕上げていく。すべてのデータを入力し、レイアウトに問題がなければ登録ボタン40を押す。これにより、全データがサーバへアップロードされる。」(公報段落番号【0050】〜【0053】)

以上のことから、引用例1には、
「ホームページのHTMLファイルが、テキスト・エディター及びブラウザを備えた端末によりサーバにアップロードされ、インターネットを通じて前記HTMLファイルが発信可能に前記サーバで管理される構成のホームページ発信システムにおいて、
画像ファイルが前記端末によりサーバにアップロード可能に構成されているホームページ発信システム。」
が記載されていると認められる(以下「引用例1発明」という。)。

3.対比

本願発明(以下「前者」という。)と引用例1発明(以下「後者」という。)とを対比すると、後者の「サーバ」は前者の「データ管理部」に、後者の「アップロード」は前者の「転送」に、後者の「発信」は前者の「提供」に、それぞれ相当する。
また、後者の「テキスト・エディター及びブラウザを備えた端末」と前者の「記録転送手段」と「画像転送手段」とは、いずれも転送手段である点で共通し、後者の「ホームページのHTMLファイル」と、前者の「工作機械の種類に関する種類情報と、前記工作機械中、用途に応じた工作機械の個別情報と、前記工作機械の個別情報の中、個別工作機械に関するアタッチメント情報と、前記アタッチメント情報の中、個々のアタッチメントが有する種類、サイズ等の情報」及び「前記工作機械及びアタッチメントの製造、販売業者リスト、梱包、包装業者リスト及び各種アタッチメントの使用方法に関する情報」とは、いずれも情報である点で共通し、後者の「画像ファイル」と、前者の「前記工作機械に関する画像データ」とは、いずれも画像データである点で共通し、後者の「ホームページ発信システム」と前者の「工作機械のアタッチメントの情報提供システム」とは、いずれも情報提供システムである点で共通する。
してみれば、両者は、
「情報が、転送手段によりデータ管理部に転送され、インターネットを通じて前記情報が提供可能に前記データ管理部で管理される構成の情報提供システムにおいて、
画像データが転送手段により前記データ管理部に転送可能に構成されている情報提供システム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
前者は、工作機械のアタッチメントの情報提供システムであって、その提供する情報が、「工作機械の種類に関する種類情報と、前記工作機械中、用途に応じた工作機械の個別情報と、前記工作機械の個別情報の中、個別工作機械に関するアタッチメント情報と、前記アタッチメント情報の中、個々のアタッチメントが有する種類、サイズ等の情報」及び「前記工作機械及びアタッチメントの製造、販売業者リスト、梱包、包装業者リスト及び各種アタッチメントの使用方法に関する情報」ならびに「前記工作機械に関する画像データ」であるのに対し、後者は、ホームページを発信するシステムであって、発信する情報の内容を特定していない点。

[相違点2]
前者は、情報が「記録転送手段」により転送され、画像データが「画像転送手段」により転送可能であるのに対し、後者はいずれも一つの端末によりアップロードされる点。

4.判断

[相違点1について]
原審で引用された「有元美津世著,“全図解インターネットビジネスの仕組み”,株式会社あさ出版,1999年7月30日第1刷発行,p.55-57」のほか、「“特集インターネットがすべてを速くする Part2安い部品を早く決める 理想の電子カタログ実現が近づく”,日経デジタルエンジニアリング,第18号,日経BP社,1999年5月15日発行,p.80-83」、特開2000-90096号公報、特開平10-240830号公報等の出願前公知の各種刊行物に見られるように、本願出願前において、インターネットを用いて情報提供を行うことは、その業界を問わず周知の事項であったといえ、提供する情報の内容は、情報を提供する者が、その情報提供の目的や、ユーザーのニーズを分析する等して、適宜に定めるものであることは、当業者の技術常識であったと認められる。
また、本願発明が提供する情報として請求項に記載された「工作機械の種類に関する種類情報と、前記工作機械中、用途に応じた工作機械の個別情報と、前記工作機械の個別情報の中、個別工作機械に関するアタッチメント情報と、前記アタッチメント情報の中、個々のアタッチメントが有する種類、サイズ等の情報」及び「前記工作機械及びアタッチメントの製造、販売業者リスト、梱包、包装業者リスト及び各種アタッチメントの使用方法に関する情報」ならびに「前記工作機械に関する画像データ」が特別な技術上の性質を有する情報であるとは認められないから、引用例1発明において発信する情報の内容として、これらの情報を選択することに技術上の阻害要因が存在するとも認められない。
したがって、引用例1発明により発信する情報の内容を、上記相違点1に係る各種の情報と定め、工作機械のアタッチメントの情報提供システムとすることは、当業者が容易になし得ることである。

[相違点2について]
HTMLファイルと画像ファイルとをアップロードするために、各ファイルのそれぞれについてアップロードする手段を採用することと、両方のファイルをアップロードする手段を採用することとは、当業者にとって適宜に選択し得る程度の事項に過ぎない。
よって、引用例1発明において、HTMLファイルをアップロードする手段と画像ファイルをアップロードする手段とを設けることは軽微な設計変更に過ぎないから、上記した相違点2に係る構成を得ることは、当業者が容易になし得ることである。

そして、本願発明の作用効果も、上記した引用例1の記載から当業者が予測できる範囲のものである

5.むすび

したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-03-07 
結審通知日 2006-03-14 
審決日 2006-03-27 
出願番号 特願2000-178815(P2000-178815)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 谷口 信行  
特許庁審判長 赤穂 隆雄
特許庁審判官 篠原 功一
阿波 進
発明の名称 工作機械のアタッチメントの情報提供システム  
代理人 庄司 建治  

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