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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F17C |
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管理番号 | 1139010 |
審判番号 | 不服2004-2363 |
総通号数 | 80 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-07-31 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-02-05 |
確定日 | 2006-06-28 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 4392号「オゾンガスの貯蔵方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 7月31日出願公開、特開平10-196890〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年1月14日の出願であって、その請求項1に係る発明は、明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。(以下「本願発明」という。) 「含有する不純物成分を重量比率でアルミニウム40ppm以下、チタン250ppm以下、鉄30ppm以下、カルシウム40ppm以下、マグネシウム10ppm以下、ナトリウム200ppm以下、ジルコニウム50ppm以下に調製した高純度シリカゲルをオゾン貯蔵容器内に充填し、この高純度シリカゲルを充填してなるオゾン貯蔵容器を冷却しながら、オゾン発生器で発生させたオゾンガスをオゾン貯蔵容器内に供給してオゾンガスを高純度シリカゲルに吸着保持させるオゾンガスの貯蔵方法。」 2.引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願の日前に頒布された刊行物である特開平4-224102号公報(以下、「引用文献」という。)には、次の事項が記載されている。 記載事項1:「多孔質吸着材からなるオゾン吸着層を不活性ガス雰囲気に保持する工程と、該不活性ガス雰囲気のオゾン吸着層を冷却状態とする工程と、冷却状態のオゾン吸着層にオゾンを送り込んで不活性ガスと置換しオゾンガスをオゾン吸着層に吸着させる工程と、オゾンガスを吸着したオゾン吸着層を遮光材で覆った状態とする工程とを有することを特徴とするオゾンの保存方法。」(【特許請求の範囲】) 記載事項2:「本発明は、オゾンの保存方法に係り、特に、オゾンを効率良く保存する技術に関するものである。」(段落【0001】) 記載事項3:「図1及び図2において、符号1は酸素ボンベガス等の酸素ガス供給源、2はオゾン発生器、3は窒素ガスボンベ等の不活性ガス供給源( 窒素ガス供給源 )、4はガス供給管、5は冷却用容器、6はドライアイス等の冷却媒体、7は保存容器、8は高純度のシリカゲル粒子やMS-13X等の多孔質ゼオライト粒子を充填してなるオゾン吸着層、9はガス排出管、10は弁、11は遮蔽容器である。」(段落【0008】、図1,図2) 記載事項4:「オゾン吸着層8が重量100グラムの高純度のシリカゲルであり、不活性ガスとオゾンガスとの置換及びドライアイスによる冷却処理を行った場合であると、吸着オゾン量が約6リットルに達することが確認された。」(段落【0011】) 以上の事項から、引用文献1には、高純度シリカゲルをオゾン保存容器内に充填し、この高純度シリカゲルを充填してなるオゾン保存容器を冷却しながら、オゾン発生器で発生させたオゾンガスをオゾン保存容器内に供給してオゾンガスを高純度シリカゲルに吸着保持させるオゾンガスの貯蔵方法、が記載されている。 3.対比 本願発明における「貯蔵」と引用文献における「保存」は同様の意味であるから、本願発明と引用文献1に記載されたものとを対比すると、 両者は、「高純度シリカゲルをオゾン貯蔵容器内に充填し、この高純度シリカゲルを充填してなるオゾン貯蔵容器を冷却しながら、オゾン発生器で発生させたオゾンガスをオゾン貯蔵容器内に供給してオゾンガスを高純度シリカゲルに吸着保持させるオゾンガスの貯蔵方法。」である点で一致し、以下の点で相違している。 ・相違点:本願発明では、高純度シリカゲルの不純物について、含有する不純物成分を重量比率でアルミニウム40ppm以下、チタン250ppm以下、鉄30ppm以下、カルシウム40ppm以下、マグネシウム10ppm以下、ナトリウム200ppm以下、ジルコニウム50ppm以下に調製したものであると限定しているのに対し、引用文献1では、高純度シリカゲルの不純物について特に限定していない点。 4.当審の判断 相違点について 本願発明では、高純度シリカゲルの不純物について不純物成分及びその含有量を限定しているのに対し、引用文献に記載された発明では、高純度のシリカゲルを用いることは記載されているが、不純物成分とその含有量については記載がない。 しかし、高純度シリカゲルが含有する不純物成分として、アルミニウム、チタン、鉄、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びジルコニウムがあることは、本願出願前において周知の事項であり(例えば、特開昭60-204613号公報(特に第1表参照)、特開昭60-204614号公報(特に第1表参照)、特開昭63-8208号公報(特に第2表参照))、それらの不純物成分の含有量についても、本願発明で数値限定される範囲内にあるものである。 そして、周知例としてあげた文献に記載されている高純度シリカゲルはその用途が特段限定されているものではないから、オゾンの吸着に用いる高純度シリカゲルが含有する不純物成分及びその含有量も同程度のものと認められる。 よって、本願発明のように高純度シリカゲルの不純物成分を列挙し、その含有量を数値で限定することは、本件出願前において通常用いられている高純度シリカゲルの不純物成分及びその含有量を単に記載したものにすぎず、当業者が容易になし得ることである。 5.むすび したがって、本願発明は、引用文献1及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、他の請求項について検討するまでもなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-17 |
結審通知日 | 2006-04-25 |
審決日 | 2006-05-09 |
出願番号 | 特願平9-4392 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F17C)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 倉田 和博 |
特許庁審判長 |
寺本 光生 |
特許庁審判官 |
種子 浩明 宮崎 敏長 |
発明の名称 | オゾンガスの貯蔵方法 |
代理人 | 鈴江 正二 |
代理人 | 木村 俊之 |