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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01C
管理番号 1142137
審判番号 不服2004-24189  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-01-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-11-25 
確定日 2006-08-17 
事件の表示 平成5年特許願第142091号「苗植機」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年1月6日出願公開、特開平7-7〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成5年6月14日の出願であって、平成16年9月29日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに同年12月27日に手続補正がなされたものである。
ところで、平成16年12月27日の手続補正及び平成15年4月4日の手続補正は補正の却下の決定により却下されているので、本願の請求項1に係る発明は、平成14年7月29日付の手続補正書の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「操縦席52を備える車体7にリンク8を介して苗植機体9を昇降可能に設け、左右に複数個配列された苗載台11を相互間に間隔部Aが形成されるよう苗植機体9で支持して設け、該苗載台11に載置された苗を繰出装置13で苗分離装置14の苗分離位置へ搬送し、苗分離装置14で分離した苗を植付ける複数条植の苗植機において、
平面視で苗載台11の間隔部Aにステップ51を車体7に支持させて設け、該ステップ51を、苗植機体9を昇降させても干渉しない苗植機体9より操縦席52側で、且つ苗載台11の上端より低く苗分離位置より高い位置に設けたことを特徴とする苗植機。」
(以下「本願発明」という。)

2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布されている刊行物である特開平4-370007号公報(以下、「引用例1」という。)には、「乗用田植機」に関して、次の技術事項が記載されている。
「【請求項1】操縦者の足場となるステップフロア8a、8bを走行車体1の座席9の下方周辺に設け、苗載台26を前側が上位に後側が下位になるよう傾斜させて設けた苗植付作業機2を昇降作動可能なリンク24を介して前記走行車体1の後側に装着した乗用田植機において、前記苗載台26の上位前側部の下方に位置させて前記走行車体1の後側にリヤステップ8c、8cを取付けたことを特徴とする乗用田植機」
「【0011】…26は苗載台で、前側が上位に後側が下位になるよう傾斜させて植付部伝動ケース27に固定されているレール上に左右スライド可能に取り付けられている。伝動ケース27内の左右往復機構により苗載台26は左右に往復移動して、植付装置28…にその植え付けサイクルに合わせて一株づつ苗を供給する。」
「【0012】植付装置28…は、植付部伝動ケース26(当審注:27の誤り)の左右端からそれぞれ後方に向かって延びる2本の植付伝動フレーム29、29の後側に、左右両側2条分づつ取り付けられ全体で4条植え分装着されている。… 苗載台26の苗供給に合わせて一株づつ苗を取って圃場に植え付けていく。」
「【0017】リヤステップ8c、8cは、左右に分割した構成で、それぞれ左右の走行車体側リンクベース24c、24cに固着のリヤステップ支持プレート47、47にリヤステップ8c、8cが固定されて支持されている。また、このリヤステップ8c、8cは、苗植付作業機2の苗載台26の上位前側部の下方に入り込むうに位置させて取り付けられている。これにより、苗植付作業機2を上昇させたとき、リヤステップ8c、8cに足を載せて、楽に、苗載台26の上に体を乗り出すことができ、苗載台26に載せた苗がめくれ上がったり、逆に滑り落ちなかったり等の苗載置不良状態を起こしたときに、安定した姿勢で、苗載台の下位部に向かって手を延ばして不良状態となった苗を直接手で修正することができる。尚、左右のリヤステップ8c、8cの間は所定の間隔があけられていて、その間を、リンク24が油圧シリンダ23により昇降作動する。」

これらの記載および図面を参照すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認める。かっこ内は対応する引用例1における構成・用語である。
「操縦席(座席9)を備える車体(走行車体1)にリンク(リンク24)を介して苗植機体(苗植付作業機2)を昇降可能に設け、左右に複数個配列された苗載台(苗載台26)を苗植機体で支持して設け、該苗載台に載置された苗を苗分離位置へ搬送し、分離した苗を植付ける複数条植の苗植機(乗用田植機)において、
ステップ(リヤステップ8c、8c)を車体に支持させて設け、該ステップを、苗植機体を昇降させても干渉しない苗植機体より操縦席側で、且つ苗載台の上端より低く苗分離位置より高い位置に設けた苗植機。」
(以下、「引用例1発明」という)

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布されている刊行物である実願平2-112928号(実開平4-68619号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、「乗用型多条植移植機」に関して、次の技術事項が記載されている。
「そして、前記支持フレーム(9)の前部側で上方低位置に、該支持フレーム(9)の前記各縦杆(91)(92)上に突設させた前後一対の突杆(31)(31)を介して前記ステップ台(30)を、前記支持フレーム(9)の幅方向全長にわたって取付けると共に、前記ステップ台(30)の幅方向中間位置で前記各リンク(6)(7)の上方位置に、支持杆(32)を介して補助者用シート(33)を取付け、このシート(33)上に補助者が座乗して、前記各移植装置(10)の作動監視や、該各移植装置(13(当審注:10の誤り))への苗継ぎ時期の確認が行えるようにしている。しかも、これら各移植装置(10)への苗継ぎ作業時には、前記シート(33)上に座乗した補助者が、前記支持フレーム(9)の幅方向全長にわたるステップ台(30)上を歩いて機体幅方向両側に位置する縦搬送部(11)位置まで移動することで、簡単かつ安全に苗継ぎを行えるようになすのである。」(明細書7頁15行〜8頁12行)
「また、前記各移植装置(10)は、第1図で明らかなように、ポット苗が縦横方向に多数収容された苗トレイ(A)を後方側に縦送りする縦搬送部(11)と、該縦搬送部(11)の搬送終端側で前記苗トレイ(A)からポット苗を1つづつ取出す苗取出爪(12)を備えた苗取出体(13)及び、その左右方向への横送り機構(14)を備えた苗取出部(15)と、前記苗取出爪(12)で取出されたポット苗を下方側に落下案内させる一対の搬送ベルト(16a)をもった上下搬送部(16)と、この上下搬送部(16)から落下案内されるポット苗を受取り、上下方向への所定の植付動作を行いながら圃場へと移植する開閉可能な移植爪(17)をもつ移植部(18)と、前記移植爪(17)に同調して上下動し、この移植爪(17)で移植されたポット苗に対し培土する培土輪(19)とを設けている。そして、前記各移植装置(10)の移植爪(17)による移植作業に伴い、前記各縦搬送部(11)でのポット苗が少なくなったとき、前記ステップ台(30)上を歩きながら補助者が所定の縦搬送部(11)に簡単に苗継ぎ作業を行い、また、機体幅方向中間に位置する縦搬送部(11)に苗継ぎを行う場合にも、危険を伴うことなく安全に行うのである。」(明細書8頁18行〜10頁1行)

これらの記載および特に第2図を参照すると、引用例2には、次の技術が記載されているものと認める。かっこ内は対応する引用例2における構成・用語である。
「苗載台(縦搬送部11)を相互間に間隔部が形成されるよう設け、平面視で苗載台の間隔部及び非間隔部にステップ(ステップ台30)を設ける。」

3.対比・判断
本願発明と引用例1発明とを対比すると、両者は、
「操縦席を備える車体にリンクを介して苗植機体を昇降可能に設け、左右に複数個配列された苗載台を苗植機体で支持して設け、該苗載台に載置された苗を苗分離位置へ搬送し、分離した苗を植付ける複数条植の苗植機において、
ステップを車体に支持させて設け、該ステップを、苗植機体を昇降させても干渉しない苗植機体より操縦席側で、且つ苗載台の上端より低く苗分離位置より高い位置に設けた苗植機。」
の点で一致し、下記の点で相違している。

相違点1:本願発明では「苗載台を相互間に間隔部が形成されるよう設け、平面視で苗載台の間隔部にステップを設ける」のに対し、引用例1発明ではそうなっていない点。
相違点2:苗載台に載置された苗を苗分離位置へ搬送し、分離した苗を植付けるにあたり、本願発明では「苗載台に載置された苗を繰出装置で苗分離装置の苗分離位置へ搬送し、苗分離装置で分離した苗を植付ける」のに対し、引用例1発明では不明である点。

相違点1について検討すると、引用例2には、上記のとおり「苗載台を相互間に間隔部が形成されるよう設け、平面視で苗載台の間隔部にステップを設ける。」という技術が記載されているから、これを引用例1発明に適用して、相違点1に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得ることである。

相違点2について検討すると、苗載台に載置された苗を繰出装置で苗分離装置の苗分離位置へ搬送し、苗分離装置で分離した苗を植付けることは、従来周知の技術であり(原査定の拒絶の理由に引用された特開昭56-134906号公報及び上記引用例2等参照。)、当業者が容易に採用し得ることである。

そして、本願発明によってもたらされる効果も、引用例1発明、引用例2記載の技術および周知技術から、当業者が予測することができる程度のものであって、格別なものとはいえない。

4.むすび
以上、本願発明は、引用例1発明、引用例2記載の技術および周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-05-08 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-12 
出願番号 特願平5-142091
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 隆彦小野 忠悦  
特許庁審判長 安藤 勝治
特許庁審判官 西田 秀彦
柴田 和雄
発明の名称 苗植機  

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