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審決分類 |
審判 一部無効 2項進歩性 無効とする。(申立て全部成立) C07H 審判 一部無効 一時不再理 無効とする。(申立て全部成立) C07H |
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管理番号 | 1143067 |
審判番号 | 無効2003-35411 |
総通号数 | 82 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2006-10-27 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-10-03 |
確定日 | 2006-09-04 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第2132273号「マルチトール含蜜結晶の製造方法」の特許無効審判事件についてされた平成17年 1月26日付け審決に対し、知的財産高等裁判所において審決取消の判決(平成17年(行ケ)第10048号平成17年 9月28日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第2132273号の請求項1及び4に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本件特許第2132273号に係る発明は,平成3年5月23日に国際特許出願(PCT/JP91/00690,特願平3-509213;平成2年6月25日の特許出願である特願平2-164148及び平成3年2月26日の特許出願である特願平3-53211に基づく優先権主張)され,平成9年9月26日に特許権の設定の登録がされた。 請求人上野製薬株式会社は,平成15年10月3日に本件特許の請求項1及び4に係る発明についての特許を無効とすることを求めて審判(無効2003-35411号)を請求し,平成17年1月26日に本件審判の請求は成り立たないとの審決がなされた。 この審決に対する訴えが,請求人よりなされ,知的財産高等裁判所において平成17年(行ケ)10048号事件として審理され,平成17年9月28日に上記審決を取り消す旨の判決が言い渡された。これに対し被請求人は,最高裁判所に上告受理申し立てをしたが,平成18年2月3日に上告審として受理しない旨の決定がなされ(平成17年(行ヒ)第399号事件),本判決は確定した。 2.本件発明 本件特許の請求項1及び4に係る発明は,その特許請求の範囲の請求項1及び4に記載された次のとおりのものである。 【請求項1】 マルチトール含蜜結晶を製造するに際し,マルチトール水溶液を細長い冷却・混練ゾーンを有する押出し機に連続的に供給し,種結晶の存在下で冷却・混練してマルチトールマグマを生成させた後,押出しノズルから連続的に押出すことを特徴とする,マルチトール含蜜結晶の製造方法。 【請求項4】 マルチトール水溶液が,ソルビトール0.5〜15重量%,マルチトール80〜98重量%及びマルトトリイトール及びそれ以上の分子量(DP≧3)の糖アルコール1.5〜10重量%の組成を有することを特徴とする,請求項1〜3の何れか一つに記載のマルチトール含蜜結晶の製造方法。 3.当事者の主張 (3-1)請求人の主張の概要 請求人は,本件特許の請求項1及び4に係る発明は,以下に示す理由により特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから,本件特許の請求項1及び4に係る発明についての特許は特許法第123条第1項第2号に該当し,無効とされるべきである旨を主張し,証拠方法として甲第1号証〜甲第8号証及び参考資料1〜5を提出している。 (請求項1に係る発明について) 理由1:請求項1に係る発明は,周知技術(甲第1号証〜甲第4号証参照)及び公知技術(甲第6号証)に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 理由2:請求項1に係る発明は,甲第6号証に記載された発明,甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (請求項4に係る発明について) 結晶化前のマルチトール水溶液を本件特許の請求項4に係る発明の組成とすることは,前記甲第4号証,甲第6号証,甲第7号証に記載されているように従来周知乃至公知であるので,請求項4に係る発明は,請求項1に係る発明と同様の理由により,周知技術(甲第1号証〜甲第4号証参照)及び公知技術(甲第6号証)に基づいて或いは甲第6号証に記載された発明,甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3-2)被請求人の主張 被請求人は,請求人の請求項1に係る発明についての理由1及び2の主張並びに請求項4に係る発明についての主張に対して,本件出願当時の技術水準を考慮することなくなされたものであり,本件特許の請求項1及び4に係る発明は甲第1〜4並びに第6号証に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないと主張し,証拠方法として,乙第1号証〜乙第6号証を提出している。 また,請求人の主張する上記理由1に対して,無効審判事件請求人を同一とする本件特許に対する無効審判事件(無効2001-35349)において請求人が主張した無効理由と実質的に同一であり,本来許されないものである旨を主張している。 4.当事者の提出した証拠 (4-1)請求人の提出した証拠 甲第1号証:「KRCニーダの用途例について」栗本技報No.15,第103〜117頁,株式会社栗本鐵工所発行(昭和61年7月10日) 甲第2号証:特公昭49- 36206号公報 甲第3号証:特開昭62-148496号公報 甲第4号証:特開平 2- 42997号公報 甲第5号証:「月刊フードケミカル10」Vo1 5,NO.10,第20頁〜第42頁,(株式会社食品化学新聞社,1989年10月1日発行) 甲第6号証:特公昭63- 2439号公報 甲第7号証:「月刊フードケミカル11」Vol11,NO.7,第69頁〜第77頁,(株式会社食品化学新聞社,1985年11月1日発行) 甲第8号証:平成15年(ネ)第3746号 特許権侵害差止請求控訴事件 控訴人準備書面(第1回)抜粋 (第1頁〜第4頁,第22頁,第43頁〜第47頁)。 参考資料1:「改訂調理用語辞典(社団法人 全国調理師養成施設協会 発行)」(第279頁) 参考資料2:「日本食品大事典(医歯薬出版株式会社発行)」(第57頁〜第59頁) 参考資料3:特開平4-53468号公報 参考資料4:「新甘味料技術資料集」(第一インターナショナル株式会社 発行),第131頁〜第136頁 参考資料5:平成14年(ワ)第4251号特許権侵害差止請求事件(原告)準備書面(6),第14頁〜第15頁 (4-2)被請求人の提出した証拠 乙第1号証:「総合食品事典」(株式会社同文書院)第913頁“マルチット”の項,第921頁“水あめ”の項 乙第2号証:「澱粉化学ハンドブック」(株式会社朝倉書店) 乙第3号証:「あめ菓子製造.流通管理等マニュアル」(社団法人食生活開発研究所)(目次2頁) 乙第4号証:特許第3174424号公報 乙第5号証:無効審判事件(無効2001一35349)における平成13年8月10日付審判請求書 乙第6号証:無効審判事件(無効2001-35349)における平成14年3月26日付審決 5.当審の判断 (理由2について) 上記平成17年(行ケ)第10048号判決において,知的財産高等裁判所は,本件特許の請求項1及び4に係る発明は,甲第6号証に記載された発明,甲第1号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された発明並びに周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものと認められる旨判示している。 そして,上記判示事項は,行政事件訴訟法第33条第1項の規定により本件無効審判事件において当審を拘束する。 よって,本件特許の請求項1及び4に係る発明についての特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり,同法123条第1項第2号に該当し,無効とすべきものである。 なお,被請求人は,平成18年2月8日付けで上申書を提出し,特許請求の範囲の訂正案を提示している。この訂正は,本件特許の請求項1に係る発明をマルチトール水溶液の組成,濃度や温度,種晶の添加量等の操作条件で更に限定しようとするものであるが,これらの限定は,甲第6号証にマルチトール水溶液に種晶を共存させ,無水マルチトールの晶出を行うときの条件として記載されている事項から当業者が容易に採用することができるものにすぎない。 6.むすび 以上のとおり,請求人主張の他の無効理由(理由1)を検討するまでもなく,本件特許の請求項1及び4に係る発明についての特許は,無効とすべきものである。 審判に関する費用については,特許法169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,被請求人が負担すべきものとする。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-01-11 |
結審通知日 | 2005-01-12 |
審決日 | 2006-07-25 |
出願番号 | 特願平3-509213 |
審決分類 |
P
1
122・
07-
Z
(C07H)
P 1 122・ 121- Z (C07H) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 横尾 俊一 |
特許庁審判長 |
塚中 哲雄 |
特許庁審判官 |
森田 ひとみ 谷口 博 吉住 和之 佐伯 裕子 |
登録日 | 1997-09-26 |
登録番号 | 特許第2132273号(P2132273) |
発明の名称 | マルチトール含蜜結晶の製造方法 |
代理人 | 小澤 誠次 |
代理人 | 太田 恵一 |
代理人 | 小林 茂雄 |
代理人 | 廣田 雅紀 |