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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議200173459 審決 特許

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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A63F
審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1143203
異議申立番号 異議2002-71227  
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2002-04-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-13 
確定日 2006-03-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3228506号「ゲーム装置、アーケードゲーム機及び制御方法並びに記録媒体」の請求項1ないし11に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3228506号の請求項1乃至5に係る特許を維持する。 
理由 第一.手続の経緯
本件特許第3228506号の請求項に係わる発明は、平成12年10月19日に特許出願され、平成13年9月7日にその特許権の設定登録がなされ 、平成14年5月13日に特許異議申立がなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である、平成18年1月19日に訂正請求がなされたものである。



第二.訂正の適否
[1].訂正の内容
(A).訂正事項A
請求項1、2、3、4、7、8を削除し、訂正前の請求項9、5、6、10、11を、各々請求項1、2、3、4、5に訂正する。
(B).訂正事項B
特許請求の範囲の請求項1を以下のように訂正する(なお、下線部分は訂正個所を示す。以下同様)
「 プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、
上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、
上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、
上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、
上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態を示すゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、
上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、
上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報を読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記プレイヤーの操作により上記ゲームを終了するときに、上記ゲーム状態記録手段により、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置において、
プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、所定の変更条件に基づいて、
上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更手段と、
他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段とを有し、
上記ゲーム状態読出手段は、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出し、 上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して、上記他のプレイヤーのゲームを進行し、 上記情報内容変更手段は、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果を上記変更条件として、上記ゲーム状態記録媒体に記録された上記プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更することを特徴とするアーケードゲーム装置。」
(C).訂正事項C
特許請求の範囲の請求項2を以下のように訂正する。
「請求項1のアーケードゲーム装置において、
上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの結果を示すゲーム結果情報を含む履歴情報を記録する履歴記録媒体と、
上記プレイヤーから、該プレイヤーのゲーム状態情報に関する上記履歴情報の使用を希望する使用要求を受け取る使用要求受取手段と、
上記使用要求受取手段により受け取った使用要求に応じて、上記履歴情報を上記履歴記録媒体から読み出し、該履歴情報の内容を、該プレイヤーに対して報知する履歴情報報知手段とを有することを特徴とするアーケードゲーム装置。
(D).訂正事項D
特許請求の範囲の請求項3を以下のように訂正する。
「請求項2のアーケードゲーム装置において、
上記履歴情報は、上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの経過を示すゲーム経過情報を含んでおり、
上記履歴情報報知手段は、上記ゲーム経過情報の画像を表示するゲーム経過情報表示手段により報知することを特徴とするアーケードゲーム装置。
(E).訂正事項E
特許請求の範囲の請求項4を以下のように訂正する。
「プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段と、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して上記他のプレイヤーのゲームを進行し、上記ゲーム状態記録手段は、上記プレイヤーの操作によりゲームを終了するときに、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置の制御方法であって、
プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録された該プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更工程を有することを特徴とする制御方法。
(F).訂正事項F
特許請求の範囲の請求項5を以下のように訂正する。
「プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段と、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して上記他のプレイヤーのゲームを進行し、上記ゲーム状態記録手段は、上記プレイヤーの操作によりゲームを終了するときに、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置を構成するコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録された該プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更手段として、上記コンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。」
(G).訂正事項G
明細書の段落【0008】〜【0013】【0018】〜【0023】【0091】〜【0093】の削除
(H).訂正事項H
段落【0005】、【0006】【0009】【0014】【0016】、【0024】、【0026】【0095】を、上記訂正事項a〜e(請求項1〜5)と整合を図る為に、訂正請求書のとおり訂正する。
(J).訂正事項J
発明の名称を「アーケードゲーム装置、制御方法及び記録媒体」に訂正する。

[2].訂正要件の検討
(1).訂正事項(A)〜(F)について、
(i)「ゲーム装置」を「アーケードゲーム装置」に、(ii)「プレイヤーの所持するゲーム価値」を「プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値」に、(iii)「ゲーム進行手段」を「上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段」に、(iv)「プレイヤーのゲーム価値」を「プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値」に、(v)「上記プレイヤーが上記ゲームを終了するときに、」を「上記プレイヤーの操作により上記ゲームを終了するときに、」に、(vi)「プレイヤーがゲームを終了した後であって、」を「プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、」に、(vii)「上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれるゲーム価値の量を変更する」を「上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する」に、(viii)「上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報に基づいて」を「上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して」に、(ix)「上記ゲーム進行手段が進行するゲーム結果」を、「上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果」に、(x)「上記プレイヤーのゲーム状態情報の内容を変更する」を「上記プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する」に、(xi)「上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して行った上記他のプレイヤーのゲーム結果」を「上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの結果」に、(xii)「上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して行った上記他のプレイヤーのゲーム経過」を「上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの経過」に各々訂正することについて、
訂正事項(i)、(iii)は、特許請求の範囲の減縮に該当し、訂正事項(ii)、(iv)〜(xii)は、請求項の明瞭でない記載の釈明に該当し、何れも新規事項の追加には該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(2).訂正事項(G)〜(J)について、
上記訂正事項(G)は特許請求の範囲の減縮に該当し、訂正事項(H)〜(J)は、上記訂正事項(A)〜(F)と整合を図り、さらに不明瞭な記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加には該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
(3)まとめ
したがって、上記訂正は、平成15年改正前特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので当該訂正を認める。



第三.特許異議申立の概要、
異議申立人は、特許公報の特許請求の範囲に記載された各請求項を下記[1]に記載の発明特定事項の構成要素(A〜X)に分説し、下記[6]に記載の各証拠と対比して要旨下記[2]〜[5]の申立理由を主張する。

[1].特許請求の範囲
【請求項1】
A:プレイヤーの所持するゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、
B:上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、
C:ゲームを進行するゲーム進行手段と、
D:上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、
E:上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態を示すゲーム状態情報を、該プレイヤーのゲーム価値を含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、
F:上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、
G1:上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報を読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
G2:上記プレイヤーが上記ゲームを終了するときに、上記ゲーム状態記録手段により、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム装置において、
H:プレイヤーがゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報に基づいて上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、所定の変更条件に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれるゲーム価値の量を変更する情報内容変更手段を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1のゲーム装置において、
I1:他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段を有し、
I2:上記ゲーム状態読出手段は、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出し、
I3:上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報に基づいて、上記他のプレイヤーのゲームを進行し、
J:上記情報内容変更手段は、上記ゲーム進行手段が進行するゲーム結果を上記変更条件として、上記ゲーム状態記録媒体に記録された上記プレイヤーのゲーム状態情報の内容を変更することを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項2のゲーム装置において、
K:上記ゲーム進行手段が進行するゲーム中に、複数のプレイヤーが同時に参加することが可能な構成を備え、
L:第1の他のプレイヤーのゲームに上記プレイヤーのゲーム状態情報が利用されているとき、第2の他のプレイヤーからの利用要求に対して、上記利用要求受取手段による受け取りを拒否する利用要求拒否手段を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項2又は3のゲーム装置において、
M:上記情報内容変更手段は、上記ゲーム進行手段が進行するゲーム中で上記他のプレイヤーが所定量のゲーム価値を費やしたことを上記変更条件として、上記ゲーム状態記録媒体に記録された上記プレイヤーのゲーム価値に、該他のプレイヤーが費やしたゲーム価値の少なくとも一部を追加することを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項2、3又は4のゲーム装置において、
N:上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して行った上記他のプレイヤーのゲーム結果を示すゲーム結果情報を含む履歴情報を記録する履歴記録媒体と、
O:上記プレイヤーから、該プレイヤーのゲーム状態情報に関する上記履歴情報の使用を希望する使用要求を受け取る使用要求受取手段と、
P:上記使用要求受取手段により受け取った使用要求に応じて、上記履歴情報を上記履歴記録媒体から読み出し、該履歴情報の内容を、該プレイヤーに対して報知する履歴情報報知手段とを有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項5のゲーム装置において、
Q:上記履歴情報は、上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して行った上記他のプレイヤーのゲーム経過を示すゲーム経過情報を含んでおり、
R:上記履歴情報報知手段は、上記ゲーム経過情報の画像を表示するゲーム経過情報表示手段により報知することを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
請求項2、3、4、5又は6のゲーム装置において、
S:上記ゲーム進行手段が進行するゲーム内容が互いに異なる複数のゲーム情報を記録したゲーム情報記録媒体と、
T:上記ゲーム情報記録媒体に記録された複数のゲーム情報の中から、上記他のプレイヤーが参加を希望するゲーム情報を選択するゲーム情報選択手段とを有し、
U:上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム情報選択手段により選択されたゲーム情報に基づいて、上記他のプレイヤーのゲームを進行し、
V:上記プレイヤーのゲーム状態情報は、上記複数のゲーム情報のうち、該プレイヤーを特定するプレイヤー特定情報をもつゲーム情報を含んでおり、
W:上記利用要求受取手段は、上記ゲーム情報選択手段により上記ゲーム情報が選択されたことを利用要求として受け取ることを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
請求項7のゲーム装置において、
X:上記他のプレイヤーが、上記プレイヤーのプレイヤー特定情報をもつゲーム情報に基づくゲームの目的を達成したとき、上記ゲーム状態記録媒体に記録された該ゲーム情報がもつ該プレイヤー特定情報を、該他のプレイヤーを特定するプレイヤー特定情報に変更するプレイヤー特定情報変更手段を有することを特徴とするゲーム装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、4、5、6、7又は8のゲーム装置の構成を有するアーケードゲーム機。
【請求項10】
プレイヤーの所持するゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、ゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーのゲーム価値を含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報を読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記プレイヤーがゲームを終了するときに、上記ゲーム状態記録手段により、
該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム装置の制御方法であって、
プレイヤーがゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報に基づいて上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、所定の変更条件に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれるゲーム価値の量を変更する情報内容変更工程を有することを特徴とする制御方法。
【請求項11】
プレイヤーの所持するゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、ゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーのゲーム価値を含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報を読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記プレイヤーがゲームを終了するときに、上記ゲーム状態記録手段により、
該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム装置を構成するコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
プレイヤーがゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報に基づいて上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、所定の変更条件に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれるゲーム価値の量を変更する情報内容変更手段として、上記コンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。


[2].第1の申立理由要旨(特許法第36条、特許法第29条第1項柱書)
本件特許の各請求項に記載の特許発明は、特許を受けようとする発明が明瞭でなく、特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、又発明として未完成であり特許法第29条第1項柱書の規定に違反し、これらの特許は、特許法第113条の規定により取り消されるべきものである。
(ア).請求項1、10、11について、
本件特許発明の構成要素Eは、プレイヤーのゲーム中に、「このプレイヤーの所持するゲーム価値」がプレイヤーのゲームの進行にともなって変動するのか不明である。
さらに、明細書の段落【0004】の「プレイヤーがゲームを終了するときに記録されるゲ-ム状態情報を用いて、プレイヤーに対し、新しいゲーム性を提供することができるゲーム装置」を提供するという目的は達成されないから、発明としては未完成である。
よって、特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、また、特許法第29条柱書の規定に違反し、特許を受けることができないものであり、その特許は取り消されるべきものである。
また、請求項10、請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の発明と実質的に同一であるから、上述した同様の理由で特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、特許法第29条柱書の規定に違反し、特許を受けることができないものであり、その特許は取り消されるべきものである。
(イ).請求項2について、
請求項2に係る発明では、この請求項2が従属する請求項1に係る発明との関連において、「ゲーム価値」について何ら特定されておらず、特許を受けようとする発明が明瞭でない。
よって、特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、さらに、請求項1に記載の発明との関連において、発明が成立しないので特許法第29条第1項柱書の規定に違反するものであるから特許を受けることができない。
(ウ).請求項4について、
請求項4の発明は、この請求項が従属する請求項2、3との関係において、 「ゲーム中にゲーム価値を費やす」ことの意味が不明であるから、特許を受けようとする発明が明瞭ではないので特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、さらに、本件発明の作用効果を奏することもできないので発明として成立しておらず、特許法第29条第1項柱書の規定に違反し、特許を受けることができない
(エ).請求項7について、
請求項7の発明は、その構成である「ゲーム進行手段が進行するゲーム内容が互いに異なる複数のゲーム情報」との関係において、その構成要素Vが、何を意味するのか不明であるから、明細書の段落【0096】の作用効果を奏しない。
以上のように、請求項7の発明は、特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、また発明としても未完成であるから特許法第29条第1項柱書の規定にも違反するもので、特許を受けることはできない。
(オ).請求項8について、
請求項8の発明も、この請求項が従属する請求項7との関係において、「上記他のプレイヤーが、上記プレイヤーのプレイヤー特定情報を持つゲーム情報に基づくゲームの目的を達成したとき」とは何を意味するのか不明であるから、明細書の段落【0097】に記載されている作用効果は奏しない。
したがって、請求項8の発明は、特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、また発明としても未完成であるから特許法第29条第1項柱書の規定にも違反するもので、特許を受けることはできない。


[3].第2の申立理由要旨(特許法第29条第1項第1〜第3号及び第2項)
請求項1〜11の特許発明は、この特許出願前に日本国内で公然知られた発明(公知発明)、公然実施された発明(公用発明)、その特許出願前に頒布された刊行物に記載の発明(刊行物発明)と同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、これらの特許は特許法第113条の規定により取り消されるべきものである。
あるいは、前記各請求項に係る特許発明は、公知発明、公用発明、刊行物発明から当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、これらの特許は特許法第113条の規定により取り消されるべきものである。
(カ).第1の証拠群:甲第1号証〜甲第7号証による申立理由
(カ-1)請求項1と甲第1号証(特開2000-288238公報)の対比
甲第1号証は、本件特許権者により出願された特許出願の公開公報であり、本件特許の独立請求項1に係る発明の構成Hを除く、構成A〜G2の全てが記載されている。
一方、甲第2号証(特開平9-101948号公報)、甲第3号証(特開平10-333542号公報)には、本件独立請求項1の構成Hが記載されている。
しかも、両者を組み合わせることに何ら困難性はないから、独立請求項1に係る特許発明は特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
(カ-2)請求項2の限定事項について
甲第3号証(特開平10-333542号公報)には、その段落【0119】【0120】【0156】〜【0158段】の記載、要するに、、他のクライアントPC2が所定のイベントを与えることにより、所有者PC1の仮想生命オブジェクトの成長パラメータが変更される処理が行われ、仮想生命オブジェクトの成長パラメータデータが更新されることになる構成は、本件特許の請求項2 に記載の構成要素I1〜I3、Jに該当する。
しかも、ゲームを再開したときに、そのクライアントの肉体的、精神的な成長の度合いが、ゲーム中断時とは異なった状態となることは、構成Hにも該当することは明らかである。
よって、甲第3号証に記載の発明を、前記甲第1号証に記載の発明と、または甲第1号証及び甲第2号証に記載の発明とを組み合わせることにより、本件特許の請求項1に係る発明、請求項2に係る発明に到達することができる。
従って、本件特許の請求項1に係る特許発明、請求項2に係る特許発明は、前記甲第1号証〜甲第3号証の記載から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
(カ-3)請求項3の限定事項について
甲第4号証(特開2000-126455公報)に記載の事実を挙げるまでもなく、対戦中のプレイヤーに第3者が割り込んで対戦を申し込んでも、その対戦が終了するまではその申し込みを受け付けない、ということは一般に行われており、このことはゲームの世界に限ったことではなく、通常の現実世界においても同様である。
従って、請求項3に記載の内容は新規な事項ではない。
以上のように、請求項3に記載の内容は新規な事項ではなく、従って請求項3に係る特許発明は、甲第1号証〜甲第4号証の記載から、当業者が容易になし得るものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
(カ-4)請求項4の限定事項について
甲第5号証の段落【0012】【0014】【0015】【0017】【0020】【0022】に記載の構成は、本件特許の請求項4に係る特許発明の構成Mに該当する事項が示されている。
従って、本件特許の請求項4に係る特許発明は、甲1〜4号証と、甲第5号証の記載から当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
(カ-5)請求項5の限定事項について
甲第3号証の段落【0166】に記載された構成は、本件特許の請求項5の特許発明の構成N該当する。
さらに、同号証の段落【0175】にはユーザの履歴情報を利用する構成が記載されているように請求項5の特許発明における履歴情報を利用する技術(構成要素O、P)は本件特許の出願以前に公知である。
したがって、請求項5に係る特許発明は、甲第1号証〜甲第4号証の記載から、当業者が容易になし得るものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
(カ-6)請求項6の限定事項について、
単にゲーム経過を示す履歴情報を画像として表示することを特定する構成は、証拠を挙げるまでもなく本件特許に係る出願日以前に周知の技術である。
したがって、請求項6の発明は、請求項5の発明と同様な理由から特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
(カ-7)請求項7の限定事項について、
甲第4号証の段落【0048】記載の各ゲーム空間であるゲームコース等は構成S、T、U、Wに該当し、甲第5号証には構成V示されている。
したがって、請求項7に係る特許発明は、前記各甲号証、及び甲第4号証、甲第5号証の記載から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
(カ-8)請求項8の限定事項について、
甲第5号証の段落【0022】の記載は、当該限定事項に該当する
したがって、本件特許の請求項7、8に係る特許発明も、前述した各甲号証及び甲第5号証の記載から、当業者が容易に発明することかできたものであることには変わりなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることはできない。
(カ-9)請求項9の限定事項について
甲第1号証には、ゲームをアーケードゲーム機に適用する旨の記載がなされており、しかも請求項1〜3 、7、8のゲーム装置に係る発明を、アーケードゲーム機に限定することは、単なる設計事項に過ぎない。
したがって、請求項1〜3、7、8に係る発明と同様の理由により、請求項9 に係る特許発明も特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることはできない。
(カ-10)請求項10、11の限定事項について
請求項10は、請求項1のゲーム装置に対応する制御方法に係る発明であり、請求項11は、請求項1のゲーム装置に対応するプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体に係る発明であり、これら請求項10、11に係る発明の内容は、請求項1に係る発明と実質的に同一である。
したがって、請求項10、11に係る発明は、請求項1に係る発明と同様の理由により特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることはできない。
(キ)第2の証拠群 (ウルティマオンライン)と本件特許発明との対比。
甲第8号証〜甲第12号証は、本件特許発明と同一の発明がウルティマオンラインにおいて公然知られ公然実施され、さらに刊行物に記載されており、本件特許発明は、特許法第29条第1項各号または第2項の規定により特許を受けることができない
すなわち、「ウルティマオンライン」では、オンラインゲームの世界が常にリアルタイムで時間が進んでいるという点で、それまでの「ウルティマ」や普通のゲームとは大きく相異している。つまり、一のプレイヤーがゲームを終了した後にも、他のプレイヤーによってゲームは常に進められ、一のプレイヤーがゲームを再開したときにはそのプレイヤーのゲーム状態が変更されているというものである(甲第12号証第37頁参照)。
さらに、自分では操作できないが5分間プレーが続行されるといういわゆる放置プレー状態となるという特徴的な構成を具備し、(甲第11号証第102頁参照)、本ゲームにおける放置プレー状態では、「プレイヤーがゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報に基づいて上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、所定の変更条件に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれるゲーム価値の量を変更」するというゲーム情報の処理が行われている。
(キ-1) 請求項1との対比
ウルティマオンライン等では、サーバは、本件請求項1に係る特許発明の構成A、B、C、E、F、G1として機能し、さらには各プレイヤーが使用するPCは、参考図3 に示すように本件発明の構成Dとして機能するので、ウルティマオンライン等のシステムでは、本件請求項1に係る発明の構成要素A〜G1の要件を具備する。
また、ウルティマオンライン等では、プレイヤーがゲームを中断(終了)した後であって、プレイヤーがゲームを再開(開始)するまでの間、他のキャラクタからの窃盗や攻撃、略奪という所定の条件に基づいて、プレイヤーの所持するゲーム価値であるゴールドやアイテムの量が変更される処理がサーバーにて行われるから、当該サーバは構成要素Hとして機能することになる。
以上のように、ウルティマオンライン等のシステムにおいては、本件特許の請求項1に係る特許発明の構成要素A〜Hの全てを具備し、請求項1に係る特許発明と同一の発明を公然使用し、公然実施するものである。
加えて、ウルティマオンライン等についての説明を記載した、本件特許に係る出願日以前に公開頒布された刊行物である甲第9号証〜甲第12号証にも、本件特許の請求項1に係る特許発明と同一の発明が記載されている。
従って、本件特許の請求項1に係る特許発明は、特許法第29条第1項第1号〜第3号の規定に該当し、新規性がなく、特許を受けることができないものである。
(キ-2)請求項2の限定事項について
他のプレイヤーがPCを用いて、画面上に表示される放浪中のプレイヤーキャラクタをダブルクリックし、窃盗や攻撃を仕掛ける操作を行うと、当該操作信号を受け入れるサーバは、構成要素I1として機能することになる。
サーバが行なう、放浪中のプレイヤーキャラクタと、泥棒またはPKとして行動する他のプレイヤーキャラクタとが存在するゲームを進行させる一連の処理は、本件特許の請求項2 に係る構成要素I2に該当し、さらに構成要素I3という構成に該当する。
、他のプレイヤーによる「窃盗」の成功や、「PK」による攻撃及び略奪の成功は、本件特許の請求項2に係る構成要素Jの「変更条件」に該当し、この変更条件に基づいて、サーバがその記憶手段に記憶されている放浪中のプレイヤーキャラクタのゲーム状態情報の内容を変更する処理は、本件特許の請求項2に係る構成要素Jに該当する。
以上のように、ウルティマオンライン等に係るシステムでは、本件特許の請求項2に係る構成要素I1、I2、I3、Jの全ての構成を具備するものであり、請求項2に係る特許発明と同一の発明を実施する。
加えて、刊行物である甲第10号証、甲第11号証、甲第12号証にも、同様に本件特許の請求項2に係る特許発明と同一の発明が記載されている。
従って、本件特許の請求項2に係る特許発明は、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることはできない。
(キ-3)請求項3の限定事項について
ウルティマオンライン等は、オンラインのマルチプレイヤーロールプレイングゲームであるから、本件特許の請求項3に係る構成要素Kに該当する。
また、ゲーム中におけるプレイヤーキャラクタ同士の戦闘を、1対1の戦闘に限定することは、ゲームにおける単なる設計事項に過ぎないから、本件特許の請求項3に係る構成要素Lは、ゲームにおける単なる設計事項に過ぎない。
従って、本件特許の請求項3に係る特許発明は、ウルティマオンライン等で公然知られ公然実施されている発明と実質的に同一であり、また甲第9号証〜甲第12号証に記載されている発明とも実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることができない。
また、仮に請求項3に係る特許発明が、特許法第29条第1項各号の規定に該当しない場合でも、前述した公知公用、または刊行物に記載の発明から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。
(キ-4)請求項7の限定事項について
ウルティマオンライン等のシステムにおけるサーバの記憶手段は、本件特許の請求項7の特許発明に係る構成要素Sに該当する。
ウルティマオンライン等において、各プレイヤーは複数の都市の中から参加を希望する都市をPC(パソコン等の端末)を用いて選択することは、本件特許の請求項7 に係る構成要素Tに該当する。
ウルティマオンライン等において、プレイヤーキャラクタはお金を稼いだり、アイテムを獲得したり、さらには他のプレイヤーと交流を深めたりする処理は、構成要素Uに該当する。
また、プレイヤーのゲーム状態情報には、どの都市に当該プレイヤーが存在するかを特定する情報が含まれているから構成要素Vに該当する。
プレイヤーキャラクタをダブルクリックすることをもって利用要求をするという構成は、構成要素Wと実質的に同一である。
したがって、本件特許の請求項7に係る特許発明は、ウルティマオンライン等において公然知られ公然実施された発明と実質的に同一であり、さらには刊行物である甲第9号証〜甲第12号証に記載の発明とも、実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることはできない。
また、仮に請求項7 に係る特許発明が、前記公知公用、または刊行物に記載の発明と実質的に同一でなかったとしても、これらの発明からは当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。
(キ-5)請求項8の限定事項について
プレイヤーキャラクタの所持品を他のプレイヤーキャラクタが奪う構成は、本件特許の請求項8 に係る構成要素Xに該当する。
したがって、本件特許の請求項8に係る特許発明はウルティマオンライン等で公然知られ公然実施された発明と実質的に同一であり、また刊行物である甲第9号証〜甲第12号証に記載の発明と実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し特許を受けることはできない。
また、仮に請求項8に係る特許発明は、前記公知公用、刊行物に記載の発明と実質的に同一でなかったとしても、これらの発明から当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることはできない。
(キ-6)請求項9の限定事項について
前述したように、請求項1〜3、7、8のゲーム装置に係る発明は、本件特許に係る出願日以前に公然知られ公然実施され、また刊行物に記載された発明と同一の発明である以上、このようなゲーム装置の発明をアーケードゲーム機に限定することは、単なる設計事項に過ぎず、従って請求項9に係る発明は、前記公知、公用、刊行物に記載の発明と実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることはできない。
また、仮に請求項9に係る発明は、前記公知公用、刊行物に記載の発明と実質的に同一でなかったとしても、これらの発明から当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることはできない。
(キ-7)請求項10、11と甲第1号証との対比
請求項10は、請求項1のゲーム装置に対応する制御方法に係る発明であり、請求項11は、請求項1のゲーム装置に対応するプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体に係る発明であり、これら請求項10、11に係る発明の内容は、請求項1に係る発明と実質的に同一である。
前述したように、請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項各号の規定に該当する以上、これら請求項10、11に係る発明も特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることはできない。
(ク)第3の証拠群 (トレジャー・オブ・ゲノム )と本件特許発明との対比。
甲第13号証〜甲第15号証は、本件特許発明と同一の発明がトレジャー・オブ・ゲノムにおいて公然知られ公然実施され、さらに刊行物に記載されており、本件特許発明が、特許法第29条第1項各号または第2項の規定により特許を受けることができない
(ク-1).請求項1との対比
トレジャー・オブ・ゲノムにおける、お金であるゴールドや、アイテムは、プレイヤーから受け取ったり、プレイヤーに対して与えたりする処理を行なうものであるから、本件特許の請求項1に係る構成要素A、Bとして機能する。
プレイヤーがゲームを進めていくと、トレジャー・オブ・ゲノムで使用されるサーバの記憶手段は、構成要素Eとして機能し、さらにサーバの中央制御装置は、構成要素F及び構成要素G1として機能する。
当該サーバは、本件請求項1に係る構成要素A、B、C、E、F、G1として機能し、さらには各プレイヤーが使用するPCは、構成要素Dとして機能する。
従って、トレジャー・オブ・ゲノムのシステムでは、本件請求項1に係る発明の構成要素A〜G1の要件を具備する。
プレイヤー自身はサーバに常時接続しなくてもゲームは進行するので、いわゆる放置プレーも実行でき、当該処理は、サーバによって実現されるのであるから、当該サーバは、本件特許の請求項1に係る構成要素Hとして機能することになる。
以上のように、トレジャー・オブ・ゲノムのシステムにおいては、本件特許の請求項1に係る特許発明の構成A〜Hの全ての構成を具備し、請求項1に係る特許発明と同一の発明を公然使用し、公然実施するものであるから、本件特許の請求項1に係る特許発明は、特許法第29条第1項第1号〜第3号の規定に該当し、新規性がなく、特許を受けることができないものである。
(ク-2).請求項2との対比
トレジャー・オブ・ゲノムにおいては、他のプレイヤーは負けたプレイヤー(ゲームを中断しているプレイヤー)からお金やアイテムを奪って自分のものとすることができ、戦闘結果という変更条件に基づいて、負けたプレイヤー(ゲームを中断しているプレイヤー)のゲーム価値(保有ゴールド、保有アイテム)を変更(甲第13号証第26頁参照)するサーバの一連の処理は、本件特許の請求項2に係る特許発明に該当する。
従って、本件特許の請求項2に係る特許発明は、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることはできない。
(ク-3)請求項3の限定事項について
トレジャー・オブ・ゲノムはログアウト後も、ゲームが自動的に進行するオンラインのマルチプレイヤー型のカードを用いた対戦ゲームである点は構成要素Kに該当する。
トレジャー・オブ・ゲノムにおいて、「戦闘回避で強奪デッキから逃げろ」の欄(第122頁の「ピクシー」のカードの説明)のように、他のプレイヤーのデッキとの戦闘を自動的に避けることは、構成要素Lに該当する。
また、ゲーム中におけるプレイヤーキャラクタ同士の戦闘を1対1の戦闘に限定する構成要素Lは、ゲームにおける単なる設計事項に過ぎない
したがって、本件特許の請求項3に係る特許発明は、トレジャー・オブ・ゲノムで公然知られ公然実施されている発明と実質的に同一であり、また甲第13号証に記載されている発明とも実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ク-4)請求項4の限定事項について
プレイヤーがゲームを中断している間に、不特定多数間で行われた戦闘で他のプレイヤーが勝利すると負けたプレイヤー(ゲームを中断しているプレイヤー)のゲーム価値(保有ゴールド、保有アイテム)も変更される(甲第13号証第26頁参照)点は構成要素Mに該当する。
したがって、本件特許の請求項4に係る特許発明は、トレジャー・オブ・ゲノムで公然知られ公然実施されている発明と実質的に同一であり、また甲第13号証に記載されている発明とも実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることができない。
また、仮に請求項4に係る特許発明が、特許法第29条第1項各号の規定に該当しない場合でも、前述した公知公用、または刊行物に記載の発明から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ク-5)請求項5、6の限定事項について
戦闘結果という変更条件に基づいて、負けたプレイヤー(ゲームを中断しているプレイヤー)のゲーム価値(保有ゴールド、保有アイテム)等を含むゲーム状態情報も変更される(甲第13号証第26頁参照)ことが、プレイヤーがログアウトした後にサーバによって自動的に行われるものである点は構成要素Nに該当する。
プレイヤーが再度ログインし、ゲームを再開するときにインフォメーションを選択すると、これが履歴情報の使用要求となり、最新の履歴情報をブラウザ上で閲覧することができ、この履歴情報には、当然に他のプレイヤーとの戦闘などのゲーム経過も含まれる(甲第13号証第12〜13頁参照)。
また、甲第15号証の図7において、「戦闘結果」をクリックすると、甲第15号証の図8の画面に示すように、他のプレイヤーデッキとのゲーム結果情報が画像を含めて詳細に表示される 甲第13号証に記載の上記構成は、本件特許の請求頂5 に係る構成要素O及び構成要素Pに該当するとともに、本件特許の請求項6に係る構成要素Q及び構成要素Rに該当する。
したがって、本件特許の請求項5、6に係る特許発明は、トレジャー・オブ・ゲノムで公然知られ公然実施されている発明と同一であり、また甲第13号証に記載されている発明とも同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることができない。
また、仮に請求項5、6に係る特許発明が、特許法第29条第1項各号の規定に該当しない場合でも、前述した公知公用、または刊行物に記載の発明から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ク-6)請求項7の限定事項について
複数の島のゲーム情報は、サーバの記憶手段に記憶される(甲第13号証第7、18〜19、48〜49、52〜53、60〜61頁参照)ものであるから、サーバの記憶手段は構成要素Sに該当する。
各プレイヤーは複数の島の中から希望する島をPCを用いて選択し(甲第13号証第18〜19頁参照)、マップ中の「ワールドマップ」をクリックして条件を満たしていれば希望する島へ移動する(甲第15号証図9参照)点は構成要素Tに該当する。
プレイヤーのデッキは選択された島の中を冒険し、ゴールドを稼いだり、アイテムを獲得したりするゲームをサーバーにて実行処理する点は構成要素Uに該当する。
プレイヤーが冒険するときには、当該プレイヤーのゲーム状態情報には、どの島に当該プレイヤーが存在するかを特定する情報が含まれる点(甲第15号証の図7)は、プレイヤー特定情報がゲーム状態情報に含まれる構成であるから、構成要素Vに該当する。
以上のように、トレジャー・オブ・ゲノムでは、本件特許の請求項7に係る特許発明の構成要素S、T、Uを具備するから、請求項7に係る特許発明は、前記トレジャー・オブ・ゲノムに係る公知公用、または刊行物に記載の発明から当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ク-7)請求項8の限定事項について
プレイヤーのデッキと他のプレイヤーのデッキが戦闘し、プレイヤーのデッキの所持品が他のプレイヤーのデッキに奪われた時には、そのプレイヤーのデッキの所持品の所有者が前記他のプレイヤーに変更される点(甲第13号証第26〜27頁)は、本件特許の請求項8に係る構成要素Xに該当する。
従って、本件特許の請求項8に係る特許発明はトレジャー・オブ・ゲノムに係る公知公用、刊行物に記載の発明から当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることはできない。
(ク-8)請求項9の限定事項について
請求項1〜8のゲーム装置に係る発明は、本件特許に係る出願日以前に公然知られ公然実施され、刊行物に記載された発明と同一の発明又はこれらの発明から当業者が用意に発明できたものである以上、このようなゲーム装置の発明をアーケードゲーム機に限定することは、単なる設計事項に過ぎず、従って請求項9に係る発明は、特許法第29条第1項各号又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることはできない。
(ク-9)請求項10、11の限定事項について
請求項10は、請求項1のゲーム装置に対応する制御方法に係る発明であり、請求項11は、請求項1のゲーム装置に対応するプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体に係る発明であり、これら請求項10、11に係る発明の内容は、請求項1に係る発明と実質的に同一である。
前述したように、請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項各号の規定に該当する以上、これら請求項10、11に係る発明も特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることはできない
(ケ)第4の証拠群(信長の野望 天翔記)と本件特許発明との対比。
(ケ-1)請求項1との対比
、本件特許の請求項1の構成要素C、E〜G1はプレイステーションに具備されており、構成要素Dは接続されたテレビが該当するものである。
したがって、「信長の野望 天翔記」のシステムでは、本件請求項1に係る構成要素C〜G1の要件を具備する。
プレイヤーのターンが終了した後であって、次のターンを開始するまでの間に、他勢力が自勢力の城に攻め込んできて、構成要素Hと同意である自勢力の財力である米や金、兵士の数や城の防御力が変更される処理が行われる処理は、請求項1に係る構成要素Hとして機能することになり、また構成要素A,Bの「ゲーム価値受取手段」、「ゲーム価値払出手段」としても機能することになる。
以上のように、「信長の野望 天翔記」のシステムにおいては、本件特許の請求項1に係る構成要素A〜Hの全てを具備し、請求項1に係る特許発明と同一の発明を公然使用し、公然実施するものであるから、本件特許の請求項1に係る特許発明は、特許法第29条第1項第1号〜第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ケ-2)請求項2の限定事項について
マルチプレイにおいて、自分の城が選択されることが請求項2の利用要求に該当し、前記選択を受付けプレイヤー同士で城の覇権を争うことは、本件特許の請求項2の構成要素I1〜Jに該当する。
従って、「信長の野望 天翔記」のシステムでは、本件請求項2に係る構成要素I1〜Jの全ての要件を具備するから、本件特許の請求項2に係る特許発明は、特許法第29条第1項第1号〜第3号の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ケ-3)請求項4の限定事項について
金や米、自軍の戦力や手に入れる領地は「ゲーム価値」に該当し、「城攻めに成功する」ことが本願請求項4の「他のプレイヤーが所定量のゲーム価値を費やしたことを上記変更条件として」に該当し、「城を攻め落とすことにより、領地を拡大し、財力、戦力の増大させる」ことが「上記ゲーム状態記録媒体に記録された上記プレイヤーのゲーム価値に、該他のプレイヤーが費やしたゲーム価値の少なくとも一部を追加する」に該当することになる。
従って、本件特許の請求項4に係る特許発明は、公然知られ公然実施されている発明と実質的に同一であり、また甲第13号証に記載されている発明とも実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることができない。
また、仮に請求項4に係る特許発明が、特許法第29条第1項各号の規定に該当しない場合でも、前述した公知公用、または刊行物に記載の発明から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ケ-4)請求項7の限定事項について
他のプレイヤーが一のプレイヤーの領地に攻め込む場合、「それぞれのプレイヤーが日本の各地で形成している勢力」が請求項7の構成要素Sに該当し、「複数の勢力の中から攻め込む領土を選択し、選択された領土で戦争が行われる」ことが構成要素T、Uに該当し、「それぞれの勢力はプレイヤーがプレイする大名が支配している」ことが構成要素Vに該当し、「他のプレイヤーが一のプレイヤーの領地に攻め込むと、プレイヤー同士で戦争が行われる」ことが構成要素Wに該当する。
したがって、本件特許の請求項7に係る特許発明は、公然知られ公然実施されている発明と実質的に同一であり、また甲第13号証に記載されている発明とも実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることができない。
また、仮に請求項7に係る特許発明が、特許法第29条第1項各号の規定に該当しない場合でも、前述した公知公用、または刊行物に記載の発明から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。
(ケ-5)請求項8の限定事項について
「他のプレイヤーが一のプレイヤーの領地に攻め込み、城を占領する」、及び「城主が交代し、他のプレイヤーの大名の勢力下におかれる」ことが、構成要素Xに該当する。
したがって、本件特許の請求項8に係る特許発明は、公然知られ公然実施されている発明と実質的に同一であり、また甲第13号証に記載されている発明とも実質的に同一であり、特許法第29条第1項各号の規定に該当し、特許を受けることができない。
また、仮に請求項8に係る特許発明が、特許法第29条第1項各号の規定に該当しない場合でも、前述した公知公用、または刊行物に記載の発明から、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定に該当し、特許を受けることができない。

[4]. 結び
以上のように、本件特許の各請求項に係る特許発明は、特許を受けようとする発明が明確ではなく、特許法第36条に規定する要件を満たしておらず、また、「発明」として未完成であり、特許法第29条第1項柱書の規定に違反し、これらの特許は特許法第113条の規定により取り消されるべきものである。
さらに、本件特許の各請求項に係る特許発明は、特許法第29条第1項各号又は第2項の規定に該当し、これらの特許は特許法第113条の規定により取り消されるべきものである。

[5].証拠方法
(1)甲第1号証 特開2000-288238公報
(2)甲第2号証 特開平9-101948号公報。
(3)甲第3号証 特開平10-333542号公報。
(4)甲第4号証 特開2000-126455公報。
(5)甲第5号証 特開平9-155065号公報。
(6)甲第6号証 特開平9-218900号公報。
(7)甲第7号証 特開平10-268750号公報。
(8)甲第8号証 「ウルティマ公式ファンブック」、2000年12月25日発行、発行所:株式会社ローカス、発売元:株式会社角川書店。
(9)甲第9号証 「LOGIN 1998年2月号」、1998年2月1日発行、発行所:株式会社アスキー。
(10)甲第10号証 「ウルティマオンライン ザ・セカンド エイジ公式ガイド改訂版」、2000年2月22日発行、発行所:ソフトバンクパブリッシング株式会社。
(11)甲第11号証 「ウルティマオンライン ザ・セカンド エイジ」用のゲームソフト。
甲第11号証の1 上記ゲームソフトのパッケージに同梱されいた解説書の写し。
甲第11号証の2 ゲームソフトのパッケージの表及び裏の表紙の写し。
甲第11号証の3 上記ゲームソフトのパッケージに同梱されていたゲーム用CDの表面の拡大コピー。
(12)甲第12号証 「ウルティマオンライン ルネッサンス・エディションオフィシャルガイドブック」、平成12年(2000年)9月10日発行、発行所:株式会社勁文社。
(13)甲第13号証 「トレジャー・オブ・ゲノム公式ガイド」、2000年6月20日発行、発行所:ソフトバンクパブリッシング株式会社。
(14)甲第14号証 「ゲームギャザ 12 月号」、1999年12月2日発行、発行所:株式会社ホビージャパン。
(15)甲第15号証 「トレジャー・オブ・ゲノム」をオンライン上で実際にプレーしたときに、PC上に表示されるゲーム画面をプリントアウトしたもの。
(16)甲第16号証 プレイステーンョン用のゲームソフト「信長の野望 天翔記」。
甲第16号証の1 上記ゲームソフトのパッケージに同梱されていた解説書の写し。
甲第16号証の2 ゲームソフトのパッケージを開放し水平に展開した状態での写し。
甲第16号証の3 上記ゲームソフトのパッケージに同梱されていたゲーム用CDの表面の写しである。
(17)甲第17号証 「超絶 大技林 現行的6機種 99年春版」、平成11年4月20日発行、発行所 株式会社徳間書店/インターメディア・カンパニー。
(18)甲第18号証 「信長の野望 天翔記 ハイパーガイドブック上巻」、1995年10月30日発行、発行所:株式会社光栄る。



第四.特許異議の判断
[1].本件発明
上記「第二」で示したように上記訂正が認められるものであるから、本件の請求項1〜5に係る発明(以下「本件訂正発明1〜5」という)は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるとおりのものである。

[2].第1の申立理由について
本件訂正発明1〜5において、ゲーム価値は、メダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであり、当該ゲーム価値の量であるクレジットデータの変更については、他のプレイヤーのゲームが進行してゲーム結果が生じたときであるから、ゲーム価値とゲームの進行手段との関係は明らかである。
しかも、異議申立人が不明であると主張する請求項4の「ゲーム中にゲーム価値を費やす」及び請求項7、8の「上記複数のゲーム情報のうち、該プレイヤーを特定するプレイヤー特定情報を持つゲーム情報」の文言は削除されたものである。
したがって、当該主張事項は解消されたものである。
また、異議申立人は、発明が不明であることを理由に特許法第29条第1項柱書の規定に違反する旨主張するが、異議申立人が主張する不明点は上記の様に解消されたものであるから、当該特許法第29条第1項柱書の規定に違反する旨の主張も解消されたものである。

[3].第2の申立理由、
プレイヤーのゲーム終了後のゲーム状態情報を利用して他のプレイヤーがゲームを行う点は甲第3号証に示されているが、そのゲーム結果に応じてゲーム価値を変更する点、したがって、ゲーム結果に応じて受取、払出されるゲーム価値だけ変化し、ゲーム状態を変化させない点は示されていない。
また、ウルティマオンラインは、プレイヤーがゲームを終了した後にも、5分間はプレイヤーからの操作が行われずプレイが続行され、再度ログインしたときにプレイヤーのゲーム状態が変化する可能性が存在するものであるが、ゲーム結果に応じて受取、払出されるゲーム価値だけ変化し、ゲーム状体を変化させない点は示されていない。
「トレジャーオブゲノム」、及び「信長の野望 天翔記」に示される放置ゲームはプレイヤーのゲーム終了後のゲームプレイではない点、及びゲーム結果に応じて受取、払出されるゲーム価値だけ変化し、ゲーム状態を変化させない点は示されていない。
以上の様に、異議申立人が提示した証拠には、いずれにも、ログアウト後のゲーム状態情報を利用して他のプレイヤーが行ったゲーム結果に応じて受取、払出されるゲーム価値だけ変化し、当該ゲーム状態情報の内ゲーム状態を変化させない点に関する記載、示唆も認められなから、本件訂正発明1〜5は、異議申立人が提示した証拠方法に基づいて当業者が容易に発明できたものとは認められない。



第五.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては本件訂正発明1〜5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件訂正発明1〜5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アーケードゲーム装置、制御方法及び記録媒体
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はとれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、
上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、
上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、
上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、
上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態を示すゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、
上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、
上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報を読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記プレイヤーの操作により上記ゲームを終了するときに、上記ゲーム状態記録手段により、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置において、
プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、所定の変更条件に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更手段と、
他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段とを有し、
上記ゲーム状態読出手段は、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情を上記ゲーム状態記録媒体から読み出し、
上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して、上記他のプレイヤーのゲームを進行し、
上記情報内容変更手段は、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果を上記変更条件として、上記ゲーム状態記録媒体に記録された上記プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更することを特徴とするアーケードゲーム装置。
【請求項2】
請求項1のアーケードゲーム装置において、
上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの結果を示すゲーム結果情報を含む履歴情報を記録する履歴記録媒体と、
上記プレイヤーから、該プレイヤーのゲーム状態情報に関する上記履歴情報の使用を希望する使用要求を受け取る使用要求受取手段と、
上記使用要求受取手段により受け取った使用要求に応じて、上記履歴情報を上記履歴記録媒体から読み出し、該履歴情報の内容を、該プレイヤーに対して報知する履歴情報報知手段とを有することを特徴とするアーケードゲーム装置。
【請求項3】
請求項2のアーケードゲーム装置において、
上記履歴情報は、上部プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの経過を示すゲーム経過情報を含んでおり、
上記履歴情報報知手段は、上記ゲーム経過情報の画像を表示するゲーム経過情報表示手段により報知することを特徴とするアーケードゲーム装置。
【請求項4】
プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段と、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して上記他のプレイヤーのゲームを進行し、
上記ゲーム状態記録手段は、上記プレイヤーの操作によりゲームを終了するときに、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置の制御方法であって、
プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録された該プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更工程を有することを特徴とする制御方法。
【請求項5】
プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すグレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段と、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出すゲーム状態読出手段とを備え、
上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態値報を利用して上記他のプレイヤーのゲームを進行し、
上記ゲーム状態記録手段は、上記プレイヤーの操作によりゲームを終了するときに、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置を構成するコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、
プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録された該プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更手段として、上記コンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲームセンタ等に設置されるアーケードゲーム装置及びこの装置の制御方法、並びに、このゲーム装置を構成するコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用ゲーム機やアーケードゲーム機等において、プレイヤーがゲームを終了する際に、そのゲーム状態を保存しておくゲームは、従来から知られている。このようなゲームでは、プレイヤーがゲームを再開するときに、保存しておいたゲーム状態を読み出して、前回終了したときのゲーム状態からゲームの続きを行うことができる。この種のゲームとしては、例えば、プレイヤーがゲーム画面上に出現する戦士や魔法使い等を操作し、その戦士等の能力を変動させながら、そのゲーム中に用意されたダンジョン等を探検するロール・プレイング・ゲームなどがある。また、ゲームセンタ等に設置されるアーケードゲーム機においても、この種のゲームは存在する。例えば、プレイヤーが自分の競走馬を調教し、そのスピード能力やスタミナ能力等を高めて、その競走馬をレースに参加させることができる育成型競馬シュミレーションゲームである。このゲームでは、プレイヤーがゲームを終了するときに、自分の調教した競走馬の情報等のゲーム状態情報を磁気カードに保存する。そして、そのプレイヤーがゲームを再開するとき、その磁気カードから競走馬情報等を読み出すことで、前回のゲーム終了時点における競走馬の情報をそのまま利用することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来のゲーム装置において、前回のゲーム状態を記録したゲーム状態情報は、ゲームを再開する際に前回のゲーム状態をそのまま継続させるためだけに利用されていた。よって、プレイヤーに対して、ゲーム再開時に前回のゲーム状態からゲームを再開でき、長期間に渡ってのゲームプレイが可能となるというゲーム性を提供できるが、それ以上のゲーム性を提供するものではなかった。
【0004】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、プレイヤーがゲームを終了するときに記録されるゲーム状態情報を用いて、プレイヤーに対し、新しいゲーム性を提供することができるアーケードゲーム装置及び制御方法、並びに、このゲーム装置を構成するコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、上記ゲーム価直受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態を示すゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報を読み出すゲーム状態読出手段とを備え、上記プレイヤーの操作により上記ゲームを終了するときに、上記ゲーム状態記録手段により、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置において、プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、所定の変更条件に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更手段と、他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段とを有し、上記ゲーム状態読出手段は、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出し、上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して、上記他のプレイヤーのゲームを進行し、上記情報内容変更手段は、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果を上記変更条件として、上記ゲーム状態記録媒体に記録された上記プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更することを特徴とするものである。
【0006】
このゲーム装置においては、ゲーム価値受取手段により、メダル等のゲーム価値をプレイヤーから受け取り、グーム結果に応じて、ゲーム価値払出手段により、そのプレイヤーに対してゲーム価値を払い出す。プレイヤーの操作によりゲームを終了するときに、ゲーム状態記録手段により、そのプレイヤーのゲーム状態情報をゲーム状態記録媒体に記録する。このゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報は、例えば、そのプレイヤーがゲームを再開するときにゲーム進行手段に読み込まれることで、そのプレイヤーは、前回のゲーム状態からゲームを再開することができる。また、このゲーム状態情報は、例えば、そのプレイヤーにより情報内容を単に閲覧するという形で利用することもできる。ここで、上記ゲーム状態情報には、そのプレイヤーのゲーム価値の量を示すクレジットデータが含まれており、本ゲーム装置においては、プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、情報内容変更手段により、所定の変更条件に基づいて、ゲーム状態記録媒体に記録されたゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータが変更される。すなわち、プレイヤーがゲームを行っていない間に、そのプレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量が変更される。
具体的に説明すると、まず、利用要求受取手段により、プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を他のプレイヤーから受け取り、その利用要求に係るゲーム状態情報を、ゲーム状態読出手段により読み出す。そして、ゲーム進行手段は、その読み出したゲーム状態情報を利用して、上記他のプレイヤーのゲームを進行する。よって、上記他のプレイヤーは、他人である上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用してゲームを行うことになる。ここで、本ゲーム装置では、上記他のプレイヤーによるゲームのゲーム結果を変更条件として、情報内容変更手段により、ゲーム状態記録媒体に記録された上記プレイヤーのゲーム状態情報に含まれるクレジットデータを変更する。例えば、上記プレイヤーが所有する城に上記他のプレイヤーが戦士等を操作して攻め込み占領するような対戦ゲームの場合には、その他のプレイヤーにより城が占領されたというゲーム結果に応じて、ゲーム状態情報に含まれる上記プレイヤーのクレジットデータを、所定量のゲーム価値を減じたものとする。また、この場合、上記他のプレイヤーにより城が占領されなかったというゲーム結果に応じて、例えば、その他のプレイヤーの費やしたゲーム価値に基づき、ゲーム状態情報に含まれる上記プレイヤーのクレジットデータを、所定量のゲーム価値を加算したものとする。
以上より、プレイヤーは、前回のゲームを終了したときのゲーム価値の量とは異なる量の状態からゲームを再開したり、閲覧したりすることになる。これにより、プレイヤーが、そのゲーム状態情報を用いて、例えば、ゲームを再開したり、閲覧したりする際のゲーム価値量が、前回のゲームを終了したときよりも多くなっていたり、少なくなっていたりするという新規なゲーム性を出すことができる。尚、ここでいうゲーム価値とは、ゲームの結果によって得られたり、失われたりするものであり、ゲームの種類等によって種々考えられ、例えば、ゲームセンタ等で使用するメダルやコイン又はこれらの電子データ、金銭又はその電子データを意味するものである。
【0007】
尚、上記ゲーム状態情報は、プレイヤーがゲームを終了した時点のものである必要はなく、例えば、プレイヤーがゲームを終了した時点から最も近い所定の時点のものであってもよい。また、このゲーム状態情報は、その利用用途に応じて種々考えられ、例えば、ゲーム状態情報を前回の続きのゲームを再開するときに用いる場合には、そのゲームの再開を行う上で必要な情報であり、単にゲームを閲覧することにのみ用いる場合には、その閲覧を行う上で必要な情報である。また、上記情報内容変更手段によりゲーム状態情報に含まれるゲーム価値の量を変更するための所定の変更条件は、本ゲーム装置が行うゲームの種類やゲーム目的等、本発明の利用形態に応じて、種々考えられる。
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1のアーケードゲーム装置において、上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの結果を示すゲーム結果情報を含む履歴情報を記録する履歴記録媒体と、上記プレイヤーから、該プレイヤーのゲーム状態情報に関する上記履歴情報の使用を希望する使用要求を受け取る使用要求受取手段と、上記使用要求受取手段により受け取った使用要求に応じて、上記履歴情報を上記履歴記録媒体から読み出し、該履歴情報の内容を、該プレイヤーに対して報知する履歴情報報知手段とを有することを特徴とするものである。
【0015】
このゲーム装置においては、上記他のプレイヤーが上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して行ったゲーム結果を示すゲーム結果情報を含む履歴情報を履歴記録媒体に記録しておく。そして、使用要求受取手段により、上記プレイヤーから、その履歴情報の使用を希望する使用要求を受け取ったら、履歴情報報知手段により、その使用要求に応じて、その履歴情報を履歴記録媒体から読み出し、その履歴情報の内容を、上記プレイヤーに対して報知する。尚、例えば、プレイヤーがゲームを再開するときに行うゲーム再開要求を、プレイヤーからの履歴情報の使用要求として用いれば、プレイヤーは、ゲーム再開時に自動的に変更履歴を知る構成とすることができる。
【0016】
また、請求項3の発明は、請求項2のアーケードゲーム装置において、上記履歴情報は、上記プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された上記他のプレイヤーのゲームの経過を示すゲーム経過情報を含んでおり、上記履歴情報報知手段は、上記ゲーム経過情報の画像を表示するゲーム経過情報表示手段により報知することを特徴とするものである。
【0017】
このゲーム装置においては、上記プレイヤーのゲーム状態情報が他のプレイヤーによってどのように変更されたかという他のプレイヤーのゲーム経過が、ゲーム経過情報表示手段に画像で表示される。尚、ゲーム経過情報表示手段としては、ゲーム画面を表示する表示手段を利用することができる。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
また、請求項4の発明は、プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段と、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出すゲーム状態読出手段とを備え、上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して上記他のプレイヤーのゲームを進行し、上記ゲーム状態記録手段は、上記プレイヤーの操作によりゲームを終了するときに、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置の制御方法であって、プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録された該プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更工程を有することを特徴とするものである。
【0025】
この制御方法においては、上記請求項1のゲーム装置がもつ情報内容変更手段と同様の処理を実行することで、前回のゲームを終了したときのゲーム価値の量とは異なる量の状態でのゲームを、プレイヤーが再開したり閲覧したりすることができるという新規なゲーム性を提供することができる。
【0026】
また、請求項5の発明は、プレイヤーの所持するメダル、コイン若しくは金銭又はこれらの電子データであるゲーム価値を受け取るゲーム価値受取手段と、上記プレイヤーに対してゲーム価値を払い出すゲーム価値払出手段と、上記ゲーム価値受取手段がゲーム価値を受け取ることを条件にゲームを進行するゲーム進行手段と、上記ゲーム進行手段により進行するゲーム画面を表示する表示手段と、上記ゲーム進行手段が進行するゲームにおけるプレイヤーのゲーム状態情報を、該プレイヤーに対して上記ゲーム価値払出手段により払い出し可能なゲーム価値の量を示すクレジットデータを含む状態で記録するゲーム状態記録媒体と、上記ゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するゲーム状態記録手段と、他のプレイヤーから、上記プレイヤーのゲーム状態情報の利用を希望する利用要求を受け取る利用要求受取手段と、上記利用要求受取手段により受け取った利用要求に係るゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体から読み出すゲーム状態読出手段とを備え、上記ゲーム進行手段は、上記ゲーム状態読出手段により読み出されたゲーム状態情報を利用して上記他のプレイヤーのゲームを進行し、上記ゲーム状態記録手段は、上記プレイヤーの操作によりゲームを終了するときに、該プレイヤーのゲーム状態情報を上記ゲーム状態記録媒体に記録するアーケードゲーム装置を構成するコンピュータを機能させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体であって、プレイヤーの操作によりゲームを終了した後であって、該プレイヤーが上記ゲーム状態読出手段により読み出したゲーム状態情報を利用して上記ゲーム進行手段により進行されるゲームを開始するまでの間に、上記ゲーム進行手段が進行する上記他のプレイヤーのゲーム結果に基づいて、上記ゲーム状態記録媒体に記録された該プレイヤーのゲーム状態情報に含まれる上記クレジットデータを変更する情報内容変更手段として、上記コンピュータを機能させるためのプログラムを記録したことを特徴とするものである。
【0027】
この記録媒体に記録されたプログラムは、請求項1のゲーム装置を構成するコンピュータに実行されることで、前回のゲームを終了したときのゲーム価値の量とは異なる量の状態でのゲームを、プレイヤーが再開したり閲覧したりすることができるという新規なゲーム性を提供することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、ロールプレイングゲームを実行するゲーム装置であるメダルゲーム機に適用した一実施形態について説明する。本実施形態に係るメダルゲーム機では、プレイヤーが操作対象であるゲーム主人公の戦士キャラクタ(以下、「主人公」という。)を操作し、ダンジョン内に出現するゲーム要素である宝石を拾って、そのダンジョンから脱出することをゲーム目的とする探検ゲームが展開される。そのダンジョンでは、主人公の行く手を阻むゲーム要素である敵モンスターが出現するので、プレイヤーは、そのモンスターに倒されることなく、ダンジョンを脱出できるように主人公を操作する。プレイヤーに操作される主人公は、モンスターに対抗するため、モンスターを攻撃したり、種々のアイテムや魔法を使用したりしながら、ダンジョン内を進み、脱出を試みる。また、本探検ゲームには、複数のダンジョンが用意されており、各プレイヤーは、すべてのダンジョンのクリアを目指す。
【0029】
また、本実施形態に係るメダルゲーム機では、ダンジョンの他に城を占領することをゲーム目的とするゲームも展開される。このゲームでは、プレイヤーが城の占領に成功すると、その城の城主となることができ、城主となったプレイヤーは、自分の城を占領するために挑戦してくる他のプレイヤーと、一種の対戦ゲームを行うことができる。尚、この対戦ゲームのゲーム進行内容は、上記探検ゲームのものと同様であり、また、本対戦ゲームには、複数の城が用意されており、各プレイヤーは、これらの城の中から挑戦する城を選択し、その城の占領を目指す。
【0030】
以下、本実施形態に係るメダルゲーム機全体の構成について説明する。図2は、本実施形態に係るメダルゲーム機全体の概略構成図である。このゲーム機は、各プレイヤーが操作する12個のゲームユニット1と、これらゲームユニット1を統括的に制御する中央制御装置20とで構成されている。プレイヤーは、ゲーム価値であるメダルをゲームユニット1に投入することで、そのゲームユニット1でのゲームに参加することができる。各ゲームユニット1は、LANケーブル等の通信ラインにより、中央制御装置20に接続されている。本メダルゲーム機では、最大12人のプレイヤーが同時にゲームをプレイすることが可能である。また、中央制御装置20は、12個のゲームユニット1のうちの1つのゲームユニット内部に配置されている。
【0031】
図3は、ゲームユニット1の外観図である。ゲームユニット1は、ゲームの進行に応じたゲーム画面を表示する表示手段としてのディスプレイ2と、ゲームの進行に応じた効果音やバックミュージック等の音を流すスピーカー3と、プレイヤーがゲーム画面上に出現する主人公を操作するための操作手段である操作レバー4及び3つの操作ボタン5a,5b,5cと、メダルの払出し等を行うためのペイアウトボタン5dと、後述する磁気カードを取り出してゲームを終了するための保存終了ボタン5eとが設けられている。プレイヤーは、ディスプレイ2に表示されるゲーム画面を見ながら、操作レバー4及び3つの操作ボタン5a,5b,5cを操作することで、そのゲーム画面上に出現する主人公を移動させたり、アイテムを使用したりすることができる。また、ゲームユニット1には、プレイヤーが支払うメダルを受け取るためのゲーム価値受取手段としてのメダル投入口6、プレイヤーに対してメダルを払い出すためのゲーム価値払出手段としてのメダル払出ロ7、ゲームを終了したプレイヤーが次回のプレイ時にゲームの続きを行うために、そのプレイヤーの個人情報や終了時のゲーム状態等のゲーム状態情報を記録するゲーム状態記録媒体としての磁気カード9を挿入したり、取り出したりするためのカード挿入取出口8なども設けられている。
【0032】
図4は、ゲームユニット1内部の概略構成を示すブロック図である。ゲームユニット1は、ゲームユニット1内の各部を制御するメイン基板10と、ディスプレイ2の画像表示を制御するための画像表示制御部11と、スピーカー3で流す音を制御するための音響制御部12と、操作レバー4や操作ボタン5a,5b,5c及びペイアウトボタン5d並びに保存終了ボタン5eからの信号を受け取って所定の制御信号に変換する操作制御部13と、カード挿入取出口8に挿入された磁気カード9に対してデータの書き込み及び読み出しを行う磁気カード書込読出部14と、ペイアウトボタン5dの操作に応じてメダルの払い出し等を制御するためのメダル払出制御部15とを有する。また、ゲームユニット1には、メダル枚数を電子データに変換したゲーム価値であるクレジットデータ等の各種データを一時的に記録するRAM16や、上記探検ゲーム及び上記対戦ゲームに必要なゲーム実行プログラム等および各種データベースが格納されたROM17なども設けられている。メイン基板10は、画像表示制御部11、音響制御部12、操作制御部13、磁気カード書込読出部14、メダル払出制御部15、RAM16及びROM17に、それぞれ接続されている。また、メイン基板10は、インターフェース18を介して、中央制御装置20に接続されており、中央制御装置20の後述する中央制御基板21とのデータ通信が可能となっている。
【0033】
図5は、中央制御装置20の概略構成を示すブロック図である。中央制御装置20は、各ゲームユニット1のメイン基板10との間でデータ通信を行い、本メダルゲーム機全体を制御する中央制御基板21と、各ゲームユニット1で行われる各ゲームを統括的に制御するための制御プログラム等を記録したプログラム用ROM22と、各種データベースを記録したデータベース用ROM23とを有する。また、中央制御基板21は、インターフェース24を介して、各ゲームユニット1のメイン基板10に接続されており、各メイン基板10とのデータ通信が可能となっている。
【0034】
本メダルゲーム機において、プレイヤーがゲームを終了する場合には、次回のゲーム再開時に、その終了時のゲーム状態を復元させるためのゲーム状態情報であるゲーム状態データを、ゲーム状態記録手段としての磁気カード書込読出部14により磁気カード9に記録する。このゲーム状態データには、プレイヤーネーム(主人公の名前)、最終プレイ時間、主人公の能力、所有するアイテムの種類等のプレイヤー情報と、ゲーム終了時の主人公がいるダンジョン又は城の種類、そのダンジョン又は城内における主人公、敵モンスター又はアイテムの位置等のフィールドデータ等のゲーム情報などが含まれる。一方、プレイヤーが一度終了したゲームの続きを行う場合には、自分の磁気カード9をカード挿入取出口8に挿入する。これにより、ゲーム状態読出手段としての磁気カード書込読出部14は、その磁気カード9に記録されたゲーム状態データを読み取る。このゲーム状態データは、RAM16に記録され、ROM17に記録されたゲーム実行プログラムに読み込まれる。これにより、プレイヤーは、ゲーム実行プログラムが実行するゲーム進行手段としてのメイン基板10により進行されるゲームにおいて、前回の続きのゲーム状態からプレイを再開することができる。
【0035】
尚、磁気カード9に全てのゲーム状態データを記録する必要はなく、例えば、磁気カード9にプレイヤーIDを記録しておき、プレイヤー特定情報であるプレイヤーIDに対応するゲーム状態データの一部又は全部を、中央制御装置20のデータベース用ROM23に記録しておくようにしてもよい。この場合、磁気カード9からプレイヤーIDを読み取った後、そのプレイヤーIDに対応するゲーム状態データを、中央制御装置20からゲームユニット1のRAM16にダウンロードすることで、上記と同様に、前回の続きのゲーム状態からプレイを再開することができる。
【0036】
次に、本メダルゲーム機1の各ゲームユニット1で行われるゲームの流れについて説明する。図1は、各ゲームユニット1のROM17に格納されているゲーム実行プログラムを実行するメイン基板10によるゲームの流れを示すフローチャートである。プレイヤーは、ゲームに参加する場合、まず磁気カード9をカード挿入取出口8に挿入する(S1)。初めてプレイする場合には、プレイヤーは、本メダルゲーム機が設置されているゲームセンタ等の店員あるいは自動販売機などから、新規な磁気カード9を入手し、その磁気カード9をカード挿入取出口8に挿入する。また、前回のゲームの続きをしようとするプレイヤーは、前回終了時のゲーム状態データに記録した磁気カード9をカード挿入取出口8に挿入する。このようにして磁気カード9を受け取ったゲームユニット1は、磁気カード書込読出部14により、磁気カード9の記録内容を読み出し、そのデータをメイン基板10に送る。メイン基板10は、受け取った記録内容に応じて、新規なプレイか否かを判断する(S2)。
【0037】
上記S3により新規プレイでないと判断された場合、メイン基板10は、図6に示すように、中央制御基板21に対して、磁気カード9に記録されたゲーム状態データが有するプレイヤーIDのID番号を送信する。これを受信した中央制御基板21は、前回の続きであると判断し、そのメイン基板10に対して、新規なID番号を返信する。この新規ID番号を受信したメイン基板10は、磁気カード書込読出部14により、磁気カード9に記録されたゲーム状態データを読み出し(S4)、これをRAM16に記録する。そして、メイン基板10は、そのゲーム状態データに基づき、ROM17に記録されたプログラムをロードし、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に、前回の続きのゲーム画面が表示させて、ゲームが開始され(S5)、ゲームが進行する。
【0038】
一方、上記S2により新規プレイであると判断された場合、メイン基板10は、図7に示すように、中央制御基板21に対して、ダミーIDを送信する。これを受信した中央制御基板21は、新規プレイと認識し、そのメイン基板10に対して、新規なID番号を返信する。この新規ID番号を受信したメイン基板10は、初期情報の入力及び設定を行う(S3)。この初期情報の入力及び設定では、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に、図8(a)に示す名前入力画面を表示させる。プレイヤーは、操作レバー4及び操作ボタン5aを操作し、その名前入力画面に表示されている50音ボタンのカーソルを移動させて、主人公の名前を入力する。入力後、名前入力画面中の決定ボタンを選択すると、図8(b)に示す名前確認画面が表示され、その画面中のYesボタンを選択することで名前を決定する。次に、ディスプレイ2には、図8(c)に示す職業選択画面が表示される。この画面では、プレイヤーが操作する主人公の職業を選択する。以上の入力又は選択の操作内容は、操作制御部13からメイン基板10に送られ、プレイヤー情報としてRAM16に記録される。
【0039】
このようにして初期情報の入力・設定処理が終了したら、メイン基板10によりゲームが開始され(S5)、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に、図9に示すメインメニュー画面が表示される。このメインメニュー画面には、ダンジョンを探検する探検ゲームボタンと、他人が所有する城に挑戦する対戦ゲームボタンと、これらゲーム中に使用できる魔法カードの一覧を表示させるカード一覧ボタンとが用意されている。この画面で、プレイヤーは、探検ゲームをするか、対戦ゲームをするかを選択する。
【0040】
ここで、プレイヤーが探検ゲームを選択した場合、メイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に、図10に示すダンジョン選択画面を表示させ、ダンジョン選択処理を実行する。このダンジョン選択画面には、各ダンジョンを示す表示エリアが表示される。そして、プレイヤーは、操作レバー4でカーソルを移動させることにより、挑戦するダンジョンを選択する。各表示エリアには、それぞれダンジョン名と、挑戦するのに必要なメダル枚数(挑戦費用)が表示されている。各ダンジョンでは、それぞれ、そのダンジョン名に由来するゲーム展開がなされ、互いに異なるゲームが進行される。プレイヤーが、例えば、ゆかいなダンジョンを選択した場合、図示の画面上方部分に、選択されたダンジョンが表示される。そして、プレイヤーは、この選択したダンジョンに挑戦することを決めたら、操作ボタン5aを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、挑戦費用に相当する分だけ減少させる。
【0041】
具体的に説明すると、ゲームユニット1のROM17は、各ダンジョンのゲーム内容を含むゲーム情報としてのダンジョンデータを記録したダンジョン情報データベースを記録するゲーム情報記録媒体としてのデータ領域を有している。このダンジョン情報データベースには、ダンジョンデータを特定するためのダンジョン名データに関連付けて、挑戦費用データがそれぞれ記録されている。メイン基板10は、図10に示したダンジョン選択画面で選択されたダンジョンに関するダンジョン選択信号を操作制御部13から受け取ると、プレイヤーにより選択されたダンジョン名を認識する。これにより、メイン基板10は、上記ダンジョン情報データベースからダンジョン名データを選択し、このダンジョン名データに対応した挑戦費用データを読み出す。そして、メイン基板10は、この読み出した挑戦費用データに相当するクレジット分を、RAM16に記録されたクレジットデータから減らす処理を行う。
【0042】
ここで、RAM16に記録されているクレジットデータが、挑戦費用データに相当するクレジット分に満たない場合、プレイヤーに対してメダルの追加投入を促す画面を表示させる。メダルが投入されたら(S6)、図示しないメダル投入センサによりメダル枚数が検出され、メイン基板10は、そのメダル投入枚数に応じたクレジットデータをRAM16に記録する(S7)。尚、メダル投入を促しても、メダルが投入されない場合には、そのダンジョンへの挑戦を許可しない。以下、クレジットデータを減らす処理が行われるときにも、上記と同様にメダル投入を促す。
【0043】
また、メイン基板10は、ダンジョン選択信号からダンジョン名を認識すると、ゲーム情報選択手段として機能し、上記ダンジョン情報データベースから、そのダンジョン名データに対応するダンジョンデータを読み出す。そして、そのダンジョンデータに基づいたプログラムをロードして、画像表示制御部11により、ディスプレイ2にゲーム画面を表示させる。
【0044】
一方、図9に示したメインメニュー画面で、プレイヤーが対戦ゲームを選択した場合、メイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に、図11に示す城選択画面を表示させ、城選択処理を実行する。この城選択画面には、各城を示す表示エリアが表示される。そして、プレイヤーは、操作レバー4でカーソルを移動させることにより、挑戦する城を選択する。各表示エリアには、それぞれ城名と、挑戦費用が表示されている。各城では、それぞれ、互いに異なるゲームの進行状態が用意されており、種々のゲーム展開がなされる。また、各城では、それぞれ、過去に城の占領に成功したプレイヤーが城主となっており、プレイヤーは、その城主であるプレイヤーと対戦することになる。
【0045】
具体的に説明すると、中央制御装置のデータベース用ROM23は、各城のゲーム内容を含むゲーム情報としての城データを記録した城情報データベースを記録するゲーム情報記録媒体としてのデータ領域を有している。この城情報データベースに記録されている城データに含まれる城名データには、プレイヤー特定情報である城主のIDが関連付けされている。すなわち、この城データは、城主であるプレイヤーのゲーム状態情報として利用され、この城情報データベースは、ゲーム状態記録媒体として機能している。
【0046】
図12及び図13は、城選択処理におけるメイン基板10と中央制御基板21との間のデータ通信を説明する説明図である。メイン基板10は、プレイヤーが図9に示したメインメニュー画面で対戦ゲームを選択したときのボタン操作により、操作制御部13からの信号を受け取ると、中央制御基板21に対戦データ要求を送信する。これを受信した中央制御基板21は、ゲームユニット1のディスプレイ2に図11に示した城選択画面を表示させるための画像データを返信する。そして、ディスプレイ2に表示された城選択画面で、プレイヤーにより挑戦する城が選択されると、メイン基板10は、そのボタン操作による操作制御部13からの城選択信号を受け取る。そして、メイン基板10は、その城選択信号に応じた城名データを含む利用要求としての城データ要求を、利用要求受取手段として機能する中央制御基板21に送信する。これを受信した中央制御基板21は、ゲーム情報選択手段及びゲーム状態読出手段として機能し、その城データ要求に含まれる城名データに対応する城データを、上記城情報データベースから読み出す。そして、その城データは、図12に示すように、メイン基板10に返信される。そして、この城データを受信したメイン基板10は、その城データに基づくプログラムをロードし、ゲームが進行する。
【0047】
ここで、中央制御基板21が城データ要求を受信したときに、その城が他のプレイヤーによりプレイされている、すなわち、その城データ要求に係る城データが他のゲームユニット1にダウンロードされている場合がある。この場合、中央制御基板21は、利用要求拒否手段として機能し、城データの代わりに、挑戦不許可データを送信する。この不許可データを受信したメイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に、その城には挑戦できない旨のメッセージを表示し、再度、図9に示したメインメニュー画面を表示する。
【0048】
また、ゲームユニット1のROM17は、各城データを特定するための城名データに関連付けて、挑戦費用データがそれぞれ記録された城挑戦情報データベースを記録するデータ領域を有している。そして、メイン基板10は、上記探検ゲームと同様に、ROM17に記録された城挑戦情報データベースから城名データに対応した挑戦費用データを読み出し、その挑戦費用データに相当するクレジット分を、RAM16に記録されたクレジットデータから減らす処理を行う。
【0049】
このようにしてゲームが進行すると、ディスプレイ2には、図14に示すようなゲーム画面が表示される。尚、ゲーム画面は、探検ゲームも対戦ゲームもほぼ同様であり、そのゲームの進み方も同様であるので、以下、探検ゲームを例に挙げて説明する。
【0050】
図14に示すゲーム画面には、ダンジョン内のフィールドであるダンジョン画面が表示されている。また、画面上部には、ダンジョンのフロアー数、主人公の体力及びプレイヤーのクレジットデータに基づくクレジット数が表示されており、画面右下部分には、プレイヤーが使用可能な主人公の所有する複数の魔法カードが表示されそいる。上記ダンジョン画面は、ダンジョンのフロアーを上方から見たものであり、図示の画面には、主人公、敵モンスター、ゲーム要素であるアイテムカードが表示されている。
【0051】
プレイヤーは、操作レバー4及び操作ボタン5a,5b,5cを操作して、主人公を移動させたり、敵モンスターに攻撃したり、所有する魔法カードを使用したりすることができる。また、敵モンスターも主人公に対して攻撃してくるので、その攻撃を受けると、主人公の体力が減り、体力が0になると、ゲームオーバーとなる。
【0052】
主人公が所有する魔法カードを使用する場合、プレイヤーは、操作ボタン5cを押す。これにより、メイン基板10は、面像表示制御部11により、ディスプレイ11に、図15に示すカード選択画面を表示させる。このカード選択画面では、画面右下にある魔法カードにカーソルが出現する。また、このカード選択画面には、カーソルで選択されている魔法カードの内容を示すカード内容画面が画面左側部分に表示される。このカード内容画面には、その魔法カードを使用したときの効果と、その魔法カードを使用するのに必要なメダル枚数(カード使用費用)が表示されている。プレイヤーは、操作レバー4でカーソルを移動させ、使用を希望する魔法カードを選択した後、操作ボタン5aを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、魔法カードのカード使用費用に相当する分だけ減少させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0053】
具体的に説明すると、ゲームユニット1のROM17には、魔法カードデータを、プレイヤーが使用可能な状態で記録した使用可能データ領域と、魔法カードデータをプレイヤーが使用不可能な状態で記録した使用不可能データ領域とを有する魔法カードデータベースが格納されている。この魔法カードデータベースに記録された各魔法カードデータは、カード名データに関連付けられた各種データを有している。プレイヤーが使用可能な魔法カードデータには、メイン基板10が実行するカード使用プログラムによる読み出しを可能にする読出許可符号が付加されている。尚、図14のゲーム画面又は図15のカード選択画面に表示されている魔法カードは、使用可能データ領域に記録されている魔法カードデータの一部である。また、魔法カードデータは、カード名データに関連付けて、カード使用費用データ等も記録されている。
【0054】
メイン基板10は、図15に示したカード選択画面で選択された魔法カードに関するカード使用信号を受け取ると、プレイヤーの指示に基づく魔法カード名を認識する。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータがカード使用費用データ以上あるとき、魔法カードデータベースからカード名データに対応するカード効果データを読み出して、そのカード効果データに基づいてゲーム状態を変更する。例えば、使用した魔法カードが敵モンスターに攻撃するものである場合、カード効果データの数値を敵モンスターへのダメージ計算に利用し、その算出結果に基づいて、敵モンスターの体力データを減少させる。
【0055】
また、メイン基板10は、そのカード名データに対応したカード使用費用データを読み出す。そして、メイン基板10は、この読み出したカード使用費用データに相当するクレジットデータを、RAM16に記録されたクレジットデータから減じる。
【0056】
また、ダンジョン内には、図14に示したゲーム画面に表示されているようなアイテムカードが存在する。プレイヤーが主人公を操作してアイテムカードを拾うと、魔法カードを入手することができる。
【0057】
また、ダンジョン内には、所持する魔法カードを売却したり、所持していない魔法カードを購入したりすることができる図16(a)に示すショップが用意されている。プレイヤーが主人公を操作してショップに入場した場合、所有する魔法カードを売却してクレジットに変えたり、そのショップで販売されている魔法カードを自分のクレジットを支払って購入したりすることができる。
【0058】
上記ショップで魔法カードを購入する場合、プレイヤーは、図16(a)に示すショップ画面において、操作レバー4を操作して、カーソルを「カードを買う」ボタンに合わせ、操作ボタン5aを押す。これにより、メイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ11に、図16(b)に示す購入カード選択画面を表示させる。この購入カード選択画面では、画面上方部分に、そのショップで売っている魔法カードのカード一覧画面が表示され、画面左下に、カーソルで選択されている魔法カードの内容を示すカード内容画面が表示される。カード一覧画面には、魔法カードを購入するために必要なメダル枚数(カード購入費用)が表示されている。プレイヤーは、操作レバー4でカーソル412を移動させ、購入を希望する魔法カードを選択した後、操作ボタン5aを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、その魔法カードのカード購入費用に相当する分だけ減少させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0059】
具体的に説明すると、上記魔法カードデータベースには、カード名データに関連付けられたカード購入費用データも記録されている。メイン基板10は、図16(b)に示した購入カード選択画面で選択された魔法カードに関するカード購入信号を受け取ると、プレイヤーの指示に基づく魔法カード名を認識する。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータがカード購入費用データ以上あるとき、魔法カードデータベースの使用不可能データ領域にある魔法カードデータの使用を許可する。その後、メイン基板10は、カード名データに対応する魔法カードデータに使用許可符号を付加する。これにより、その魔法カードデータは、魔法カードデータベースの使用可能データ領域に記録されることになり、プレイヤーにより使用可能となる。
【0060】
また、メイン基板10は、上記魔法カードデータベースからカード名データを選択し、このカード名データに対応したカード購入費用データを読み出す。そして、メイン基板10は、この読み出したカード購入費用データに相当するクレジットデータを、RAM16に記録されたクレジットデータから減じる。
【0061】
一方、上記ショップに向いて、所有する魔法カードを売却する場合、プレイヤーは、図16(a)に示すショップ画面において、操作レバー4を操作し、カーソルを「カードを売る」ボタンに合わせ、操作ボタン5aを押す。これにより、メイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ11に、図16(c)に示す売却カード選択画面を表示させる。この売却カード選択画面では、画面右下にある魔法カードにカーソルが出現し、カーソルで選択されている魔法カードの内容を示すカード内容画面が画面左側部分に表示される。また、この売却カード選択画面の画面上方部分には、選択された魔法カードと交換されるメダル枚数(カード売却収入)を表示した引取価格画面が表示される。プレイヤーは、操作レバー4でカーソルを移動させ、所持する魔法カードの中から売却する魔法カードを選択した後、操作ボタと5aを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、その魔法カードのカード売却収入に相当する分だけ増加させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0062】
具体的に説明すると、上記魔法カードデータベースには、カード名データに関連付けられたカード売却収入データも記録されている。メイン基板10は、図16(b)に示した売却カード選択画面で選択された魔法カードに関するカード売却信号を受け取ると、プレイヤーの指示に基づく魔法カード名を認識する。そして、メイン基板10は、その魔法カードがショップで売却可能なものであるとき、魔法カードデータベースの使用可能データ領域にある魔法カードデータの不使用を許可する。その後、メイン基板10は、カード名データに対応する魔法カードデータから使用許可符号を削除する。これにより、その魔法カードデータは、魔法カードデータベースの使用不可能データ領域に記録されることになり、プレイヤーは、その魔法カードデータを使用できなくなる。
【0063】
また、メイン基板10は、使用可能データ領域にある魔法カードデータの不使用が許可されると、上記魔法カードデータベースからカード名データを選択し、このカード名データに対応したカード売却収入データを読み出す。そして、メイン基板10は、この読み出したカード売却収入データに相当するクレジットデータを、RAM16に記録されたクレジットデータに足す。
【0064】
また、配置されている敵モンスターの中には、倒すとクレジットが増加するゲーム要素である宝石モンスターが存在する。この宝石モンスターの動作は、ゲーム実行プログラムを実行するメイン基板10により制御されている。プレイヤーは主人公を操作して宝石モンスターを倒すと、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、その宝石モンスターの種類に応じたメダル枚数である宝石獲得額に相当する分だけ増加させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0065】
具体的に説明すると、ゲームユニット1のROM17は、宝石モンスター名データに関連付けて、宝石獲得額データが記録された宝石モンスターデータベースを記録するデータ領域を有する。メイン基板10は、宝石モンスターを攻撃するようにプレイヤーが主人公を操作することで、ダメージ計算を行い、その算出結果により宝石モンスターの体力データが0になると、上記宝石モンスターデータベースから宝石モンスター名データを選択し、この宝石モンスター名データに対応した宝石獲得額データを読み出す。そして、メイン基板10は、この読み出した宝石獲得額データに相当するクレジット分を、RAM16に記録されたクレジットデータに足す処理を行う。
【0066】
また、ダンジョン内には、自分のクレジットを賭けて、賭けゲームであるスロットゲームを行うことができるスロットマシンが配置された図17(a)に示すカジノも用意されている。プレイヤーは主人公を操作してスロットマシンの前に移動させ、操作ボタン5aを押すと、メイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に、図17(b)に示すスロット画面を表示させる。このスロット画面には、画面中央部分に3つのリールが表示されており、この画面において、自分のクレジット増加を狙ってスロットゲームを行うことができる。
【0067】
スロット画面において、操作ボタン5bを押すと、そのボタン操作が、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、スロットゲームのプレイに必要なメダル枚数(プレイ費用)に相当する分だけ減少させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。これにより、スロットゲームにおいて、自分のクレジットがベットされたことになる。その後、プレイヤーは、操作ボタン5aを押すことにより、そのボタン操作が操作制御部13からメイン基板10に送られ、メイン基板10は、画像表示制御部11により、スロット画面のリールを回転表示させる。そして、プレイヤーは、再び操作ボタン5aを押すことで、各リールを左から順に停止させることができる。このスロットゲームにおいて、当たり図柄が揃った場合、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、その当たり図柄に応じたメダル枚数の配当額に相当する分だけ増加させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0068】
具体的に説明すると、ゲームユニット1のROM17は、図柄データに関連付けて、配当額データが記録された配当データベースを記録するデータ領域を有する。メイン基板10は、プレイヤーがスロットゲームを行い、揃った図柄を認識した後、上記配当データベースから、対応する図柄データを選択し、この図柄データに対応した宝石獲得額データを読み出す。揃った図柄が当たり図柄である場合、すなわち、配当額データがクレジットを増加させるものである場合、メイン基板10は、この読み出した配当額データに相当するクレジット分を、RAM16に記録されたクレジットデータに足す処理を行う。
【0069】
また、本メダルゲーム機で行う探検ゲームでは、プレイヤーは、主人公を操作してダンジョンを単に脱出するのではなく、ダンジョン内の最終フロアーにあるゲーム要素としての特定アイテムカードを拾って、そのダンジョンを脱出することをゲームの目的達成要件としている。本実施形態では、プレイヤーが、ダンジョン内にある特定アイテムカードを見つけ出し、その特定アイテムカードを拾った後にダンジョンを脱出することで、その特定アイテムカードに応じたクレジットを獲得することができる。すなわち、プレイヤーは、主人公を操作して特定アイテムカードを持った状態で脱出に成功するという目的達成要件を満たすと、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、脱出したダンジョンの種類に応じたメダル枚数であるクリアボーナス額に相当する分だけ増加させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0070】
具体的に説明すると、ゲームユニット1のROM17に記録されたダンジョン情報データベースは、ダンジョン名データに関連付けて、クリアボーナス額データも記録している。プレイヤーが主人公を操作して、特定アイテムカードを所持してダンジョンを脱出すると、メイン基板10は、上記ダンジョン情報データベースから、脱出したダンジョン名データを選択し、このダンジョン名データに対応したクリアボーナス額データを読み出す。そして、メイン基板10は、この読み出したクリアボーナス額データに相当するクレジット分を、RAM16に記録されたクレジットデータに足す処理を行う。
【0071】
また、プレイヤーは、主人公を操作してダンジョンを脱出したときに、そのダンジョン内で拾ったゲーム要素である宝石を所持している場合、その宝石に応じたクレジットを獲得することができる。すなわち、宝石を持った状態で脱出に成功すると、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、その宝石の種類に応じたメダル枚数である宝石額に相当する分だけ増加させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0072】
具体的に説明すると、ゲームユニット1のROM17は、宝石名データに関連付けて、宝石額データが記録された宝石情報データベースを記録するデータ領域を有する。プレイヤーが宝石を持った状態で脱出に成功すると、メイン基板10は、上記宝石情報データベースから宝石名データを選択し、この宝石名データに対応した宝石額データを読み出す。そして、メイン基板10は、この読み出した宝石額データに相当するクレジット分を、RAM16に記録されたクレジットデータに足す処理を行う。
【0073】
このようにして、主人公がダンジョンの脱出に成功すると、所定の演出の後、ディスプレイ2には、再び図10に示したダンジョン選択画面が表示される。よって、プレイヤーは、このダンジョン選択画面において、次に挑戦するダンジョンを選択することで、同じダンジョン又は別のダンジョンに挑戦することができる。
【0074】
また、プレイヤーが図9に示したメインメニュー画面で対戦ゲームを選択することで行われる城選択処理において、プレイヤーが、ディスプレイ2に表示された図11に示した城選択画面で、自分が城主となっている城を選択した場合、プレイヤーは、自分のクレジットと自分の城を守るためのゲーム要素である護衛モンスターを追加することができる。この護衛モンスターの動作は、ゲーム実行プログラムを実行するメイン基板10により制御される。これにより、他のプレイヤーが自分の城に挑戦してきたときの城防衛力をアップさせることができる。
【0075】
尚、プレイヤーが自分の城を選択したときに、その城に他のプレイヤーが挑戦している場合には、護衛モンスターを追加する処理はできないが、他のプレイヤーのプレイ状況を知ることができる。具体的には、中央制御基板21から、他のプレイヤーが操作しているゲームユニット1のメイン基板10に信号を送り、その信号に応じて、そのメイン基板10から、例えば、他のプレイヤーが操作する操作対象の種類や装備(戦士等)、所有する魔法カードの種類、現在いるフロアー等の情報を返信する。これを受けた中央制御基板21は、その情報を、その城の所有者であるプレイヤーのゲームユニット1のメイン基板10に送る。これにより、プレイヤーのゲームユニット1のディスプレイ2には、その情報が表示され、プレイヤーは、他のプレイヤーのゲーム進行状況を知ることができる。
【0076】
自分の城に護衛モンスターを追加する場合、そのプレイヤーは、図11に示した城選択画面において、自分が城主となっている城を選択し、操作ボタン5cを押す。これにより、メイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ11に、図18に示す護衛モンスター選択画面を表示させる。この護衛モンスター選択画面では、画面に表示されている各護衛モンスターカードにカーソルが出現する。各護衛モンスターカードには、その護衛モンスター名、護衛モンスターの画像及び護衛モンスターの説明が表示されている。また、この護衛モンスターカードには、その護衛モンスターを配置するために必要なメダル枚数(護衛費用)も表示されている。また、護衛モンスター選択画面の画面上部には、自分の城名、護衛モンスターが配置されるフロアー箇所の空き情報などが表示されている。護衛モンスターは、城のフロアーの特定の箇所にしか配置できず、その箇所には、それぞれ1体のみ配置される。
【0077】
プレイヤーは、図18に示した護衛モンスター選択画面において、護衛モンスターを配置する箇所及び護衛モンスターの種類を深めたら、操作レバー4でカーソルを移動させ、操作ボタン5aを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、護衛モンスターの護衛費用に相当する分だけ減少させるように変更するクレジットデータ変動処理を実行する(S8)。
【0078】
具体的に説明すると、中央制御装置20のデータベース用ROM23は、護衛モンスター名データに関連付けて、護衛費用データを記録した護衛モンスターデータベースが記録されたデータ領域を有している。プレイヤーが図18に示した護衛モンスター選択画面で護衛モンスターを選択すると、メイン基板10は、その護衛モンスター選択信号を中央制御基板21に送信する。これを受信した中央制御基板21は、その信号に対応する護衛モンスター名データから護衛モンスターデータベースに記録された護衛モンスターデータを読み出し、そのデータを、上記城情報データベースにおけるプレイヤーの城データに追加する。また、護衛モンスター選択信号を受信した中央制御基板21は、上記護衛モンスターデータベースから、その護衛モンスター選択信号に対応する護衛モンスター名データを選択し、この護衛モンスター名データに対応した護衛費用データを読み出す。そして、中央制御基板21は、その護衛費用データをメイン基板10に返信する。これを受信したメイン基板10は、その護衛費用データに相当するクレジット分を、RAM16に記録されたクレジットデータから減じる処理を行う。
【0079】
また、本メダルゲーム機で行う対戦ゲームでは、プレイヤーが城に挑戦し、他のプレイヤーからその城を奪取することがゲーム目的となっている。この対戦ゲームにおいて、城に挑戦したプレイヤーは、その城に挑戦するための挑戦費用や、魔法カードを使用するためのカード使用費用など、自分のクレジットを費やすことになる。城に挑戦したプレイヤーが費やしたクレジットの少なくとも一部、例えば90%は、城を所有するプレイヤーのクレジットに加算される。すなわち、城に挑戦したプレイヤーが城の占領に失敗しゲームが終了したとき、そのゲームユニット1のメイン基板10から、ゲームに費やした使用クレジットデータ等が中央制御基板21に送られる。ここで、中央制御装置20のデータベース用ROM23は、ゲーム状態情報であるプレイヤー情報を記録するゲーム状態記録媒体としてのデータ領域を有している。そして、使用クレジットデータ等を受信した中央制御基板21は、情報内容変更手段として機能し、城に挑戦したプレイヤーが城の占領に失敗しゲームが終了したことを変更条件として、上記プレイヤー情報に含まれるクレジットデータを、その使用クレジットデータの90%に相当する分だけ増加させるように変更する保存データ変更処理を行う(S9)。
【0080】
また、城に挑戦したプレイヤーが城の占領に成功するというゲーム目的を達成した場合、そのプレイヤーは、その城の城主となることができる。よって、他のプレイヤーからの挑戦を受けて、その城の防衛に成功したときにクレジットが増加するという城主としての特典を受けることができる。具体的には、城に挑戦したプレイヤーが城の占領に成功したとき、そのゲームユニット1のメイン基板10から、城奪取信号等が中央制御基板21に送られる。これを受信した中央制御基板21は、城に挑戦したプレイヤーが城の占領に成功したことを変更条件として、中央制御装置20のデータベース用ROM23に記録された城情報データベースから、その城奪取信号に対応する城名データを選択し、この城名データに関連付けられた城主のIDを、城の占領に成功したプレイヤーのプレイヤー特定情報であるIDに変更する保存データ変更処理を行う(S9)。
【0081】
また、城主となっているプレイヤーがプレイを開始するときには、他のプレイヤーが自分の城に挑戦したゲーム結果情報及びゲーム経過情報を含む履歴情報が報知される。具体的には、城に挑戦するプレイヤーの対戦ゲーム中において、所定場面の映像データが、ゲームユニット1のRAM16に記録される。そして、そのプレイヤーのゲームが終了すると、メイン基板10は、上記使用クレジットデータや城奪取信号等とともに、その映像データが中央制御基板21に送信する。この映像データを受信した中央制御基板21は、データベース用ROM23のプレイヤー情報を記録した履歴記録媒体としてのデータ領域に記録されている城主のプレイヤー情報に、その映像データを履歴情報として記録する。
【0082】
城主となっているプレイヤーが磁気カード9を挿入してゲームに参加したとき、メイン基板10は、磁気カード書込読出部14により磁気カード9に記録されたゲーム状態データを読み出すことで、そのプレイヤーが城を所有していると認識することができる。そして、このメイン基板10は、図6に示したように、中央制御基板21に対して、使用要求である履歴情報のデータ要求を行う。使用要求受取手段として機能する中央制御基板21は、このデータ要求を受けたら、そのプレイヤーのIDからプレイヤー情報を特定し、そのプレイヤー情報に含まれる履歴情報を、データベース用ROM23から読み出す。そして、その履歴情報をメイン基板10に送信する。これを受信したメイン基板10は、履歴情報報知手段として機能し、その履歴情報に含まれる映像データに基づいて、画像表示制御部11により、ゲーム結果情報表示手段としてのディスプレイ2に、自分の城に挑戦した他のプレイヤーのゲーム映像を表示させる。尚、履歴情報は、このような映像でなくても、文字や音声などで報知する構成であってもよい。
【0083】
尚、本実施形態では、各ダンジョンや城でのモンスターの強さが大きく異なるが、主人公は、モンスターを倒したり、魔法カードを使用したりすることでレベルアップし、その能力を高めることができる。尚、プレイヤーの能力データ(攻撃力、守備力等)は、ダンジョンクリア時にディフォルトに戻されるが、主人公のもつ装備や魔法カード等は、そのまま継続される。
【0084】
プレイヤーは、RAM16に記録されたクレジットデータをメダルに換算してメダルの払出しを受ける場合、図3に示すペイアウトボタン5dを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、RAM16に記録されているクレジットデータを、メダル払出制御15に送り、メダル払出制御15により、メダル払出処理を実行する(S11)。これにより、プレイヤーに対して、メダル払出ロ7から、その時点のクレジットデータに相当する枚数のメダルが払い出される。
【0085】
また、プレイヤーは、ゲームを終了しようとする場合には、図3に示す保存終了ボタン5eを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、画像表示制御部11により、ディスプレイ2に表示されている画像の上に重なるようにして、図19に示すゲーム終了選択画面を表示させる(S10)。このゲーム終了選択画面には、「ゲームを終了しますか?」というコメントの下に「はい」ボタンと「いいえ」ボタンが表示されている。プレイヤーは、ゲームを終了させない場合には、操作レバー4でカーソルを「いいえ」ボタンに合わせて、操作ボタン5aを押す。これにより、ゲーム終了選択画面が消えて、直前の画面からゲームが再開される。一方、プレイヤーは、ゲームを終了させる場合には、操作レバー4でカーソルを「はい」ボタンに合わせて、操作ボタン5aを押す。このボタン操作は、操作制御部13からメイン基板10に送られる。そして、メイン基板10は、図6及び図7に示したように、RAM16に記録されているクレジットデータやゲーム状態データを、データセーブ要求として、中央制御基板21に送信する、これを受信した中央制御基板21は、そのデータを、データベース用ROM23に記録されているそのプレイヤーのプレイヤー情報に保存する。そして、中央制御基板21は、メイン基板10に保存が完了した旨のセーブ完了データを送信する。これを受信したメイン基板10は、磁気カード書込読出部14により、磁気カード9にクレジットデータやゲーム状態データ等を書き込み、その磁気カード9を、カード挿入取出口8から排出する。
【0086】
以上、本実施形態によれば、プレイヤーがゲームを終了するときにデータベース用ROM23に記録されるプレイヤー情報(クレジットデータ)や城情報データベースが、そのプレイヤーがゲームプレイしていない間に変更されるので、そのプレイヤーが、そのプレイヤー情報や城情報データベースを利用する際に、前回のゲームを終了したときとは異なるものがプレイヤーに提供されるという新規なゲーム性が得られる。
【0087】
尚、本実施形態では、主人公がダンジョンや城を探検ずるロールプレイングゲームを行うメダルゲーム機について説明したが、本発明は、種々のゲームに適用することができる。例えば、プレイヤーが操作対象である戦闘機を操作し、敵の戦闘機を撃墜しながら敵の基地の占拠を目指してプレイするようなシューティングゲームなどにも適用することができる。
【0088】
また、本実施形態では、実質的には、各ゲームユニット1が独立したゲームを展開する構成について説明したが、各ゲームユニット1を結ぶ中央制御装置20で全体のゲーム進行を行い、各ゲームユニット1のプレイヤーが、同一のゲームに参加する構成としてもよい。この場合、各プレイヤーが操作する主人公が互いに協力しながらダンジョンの脱出を目指す設定にしてもよいし、各プレイヤーが操作する主入公が互いに敵同士となる対戦ゲームのように設定してもよい。このとき、各ゲームユニット1は、同一店舗内にある必要はなく、複数の店舗間にまたがってネットワークを介して接続されるように構成してもよい。これによれば、より多くのユーザーによる大規模なゲームを実現することができる。
【0089】
また、本実施形態において、ゲームユニット1のメイン基板10及び中央制御装置20の中央制御基板21が実行する各種プログラムは、CD-ROM等の記録媒体に記録された状態で入手することができる。また、このようなプログラムは、ネットワークを構成する公衆電話回線、専用電話回線、ケーブルテレビ回線、無線通信回線等により構成される通信網等の伝送媒体を介して、送信装置であるコンピュータにより送信された信号を受信することで入手することもできる。この信号は、プログラムを含む所定の搬送波に具現化されたコンピュータデータ信号である。この送信の際、伝送媒体中には上記プログラムの少なくとも一部を伝送していればよい。すなわち、上記プログラムを構成するすべてのデータが、一時に伝送媒体上に存在している必要はない。また、上記コンピュータからプログラムを送信する送信方法には、プログラムを構成するデータを連続的に送信する場合も、断続的に送信する場合も含まれる。
【0090】
【発明の効果】
請求項1乃至5の発明によれば、プレイヤーがゲーム状態情報を用いてゲームを再開等するときに、プレイヤーに対して、自分のゲーム価値が増えているか又は減っているかを期待させるようなゲーム性を提供することができ、プレイヤーがゲームを終了するときに記録されるゲーム状態情報を用いて、プレイヤーに対し、新しいゲーム性を提供することができるという優れた効果がある。
しかも、プレイヤーがゲーム状態情報を用いてゲームを再開等するときに、プレイヤーに対して、他のプレイヤーによりゲーム状態情報に含まれるゲーム価値の量がどのように変更されているかを期待させるような、一種の対戦型ゲームにも似たゲーム性を提供することができるという優れた効果がある。
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
また、請求項2及び3の発明によれば、プレイヤーがゲーム状態情報を用いてゲームを再開等するときに、プレイヤーに対して、該プレイヤーのゲーム状態情報を利用して進行された他のプレイヤーのゲームの結果を示すゲーム結果情報を含む履歴情報を知る楽しみを提供することができるという優れた効果がある。
【0095】
また、請求項3の発明によれば、プレイヤーに対して、他のプレイヤーのゲーム戦略やテクニック等を知る楽しみを提供することもできるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
実施形態に係るメダルゲーム機を構成するゲームユニットのROMに格納されているゲーム実行プログラムを実行するメイン基板によるゲームの流れを示すフローチャート。
【図2】
同メダルゲーム機の全体の概略構成図。
【図3】
同ゲームユニットの外観図。
【図4】
同ゲームユニット内部の概略構成を示すブロック図。
【図5】
同メダルゲーム機を構成する中央制御装置の概略構成を示すブロック図。
【図6】
既存のカード処理における同ゲームユニットと同中央制御装置との間のデータ通信の流れを示す説明図。
【図7】
新規のカード処理における同ゲームユニットと同中央制御装置との間のデータ通信の流れを示す説明図。
【図8】
(a)は、同ゲームユニットのディスプレイに表示される名前入力画面の説明図。(b)は、同ゲームユニットのディスプレイに表示される名前確認画面の説明図。(c)は、同ゲームユニットのディスプレイに表示される職業選択画面の説明図。
【図9】
同ゲームユニットのディスプレイに表示されるメインメニュー画面の説明図。
【図10】
同ゲームユニットのディスプレイに表示されるダンジョン選択画面の説明図。
【図11】
同ゲームユニットのディスプレイに表示される城選択画面の説明図。
【図12】
城の挑戦が許可された場合の城選択処理における同ゲームユニットと同中央制御装置との間のデータ通信の流れを示す説明図。
【図13】
城の挑戦が許可されない場合の城選択処理における同ゲームユニットと同中央制御装置との間のデータ通信の流れを示す説明図。
【図14】
同ゲームユニットのディスプレイに表示されるゲーム画面の説明図。
【図15】
同ゲームユニットのディスプレイに表示されるカード選択画面の説明図。
【図16】
(a)は、同ゲームユニットのディスプレイに表示されるショップ画面の説明図。(b)は、同ショップ画面で購入できるカードの一覧が表示されたカード選択画面の説明図。(c)は、同ショップ画面で売ることができるカードの一覧が表示されたカード選択画面の説明図。
【図17】
(a)は、同ゲームユニットのディスプレイに表示されるカジノ画面の説明図。(b)は、同カジノのスロット画面の説明図。
【図18】
同ゲームユニットのディスプレイに表示される護衛モンスター選択画面の説明図。
【図19】
同ゲームユニットのディスプレイに表示されるゲーム終了選択画面の説明図。
【符号の説明】
1 ゲームユニット
2 ディスプレイ
4 操作レバー
5a,5b,5c 操作ボタン
5d ペイアウトボタン
6 メダル投入口
7 メダル払出口
8 カード挿入取出口
9 磁気カード
10 メイン基板
20 中央制御装置
21 中央制御基板
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2006-02-22 
出願番号 特願2000-319656(P2000-319656)
審決分類 P 1 651・ 537- YA (A63F)
P 1 651・ 121- YA (A63F)
最終処分 維持  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 渡戸 正義
塩崎 進
登録日 2001-09-07 
登録番号 特許第3228506号(P3228506)
権利者 コナミ株式会社
発明の名称 アーケードゲーム装置、制御方法及び記録媒体  
代理人 黒田 壽  
代理人 黒田 壽  

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