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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1144086 |
審判番号 | 不服2002-19841 |
総通号数 | 83 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-12-07 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-10-10 |
確定日 | 2006-09-19 |
事件の表示 | 平成10年特許願第143271号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年12月 7日出願公開、特開平11-333062〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成10年5月25日の出願であって、平成14年8月23日付で拒絶査定がされ、これに対し、同年10月10日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年11月6日付で手続補正がなされたものである。 2.平成14年11月6日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年11月6日付の手続補正を却下する。 [理由] (1)補正後の本願発明 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 「外部電源から供給される所定電圧を各種電気部品に対して供給制御する電源回路基板を備えたパチンコ機において、 外枠と、外枠に対して蝶番により開閉可能に取り付けられた内枠と、内枠に取り付けられる機構盤と、 前記電源回路基板に配設されるとともに、オンにした場合には、該電源回路基板に別個独立に接続される主基板と賞球基板に対して前記外部電源からの所定電圧を供給し、オフにした場合には、前記主基板と賞球基板への外部電源からの所定電圧の供給を遮断するスイッチと、 前記電源回路基板に一端側が接続されると共に、台島に配設される電源コンセントに差し込まれるプラグが他端側に接続される電源コードと、を備え、 前記電源回路基板は、前記機構盤の裏面側上部の左右方向中央部よりも前記蝶番側の位置に配設されて、 前記スイッチは、該電源回路基板の前記蝶番と離間する位置に配置されて、 前記電源コードの一端側は、該電源回路基板の前記蝶番に近接する位置に接続されることを特徴とするパチンコ機。」と補正された。 上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「全ての電気部品に対する所定電圧の供給をオン・オフするスイッチ」を、「オンにした場合には、該電源回路基板に別個独立に接続される主基板と賞球基板に対して前記外部電源からの所定電圧を供給し、オフにした場合には、前記主基板と賞球基板への外部電源からの所定電圧の供給を遮断するスイッチ」に変更するものであるが、「全ての電気部品」を「主基板と賞球基板」とし、「所定電圧の供給」のための接続態様を「別個独立に接続される主基板と賞球基板」とし、「供給をオン・オフする」を「オンにした場合には」「供給し」「オフにした場合には」「遮断する」として、いずれも概念的に下位にするものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。 (2)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-289712号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに以下の記載がある。 (記載事項a) 「【0017】図1は、本発明の遊技用装置における遊技制御基板の機能ブロック図である。この遊技制御基板100は、たとえば図4に示すようなパチンコ遊技機1等の遊技機における遊技状態を制御するための基板であり、遊技状態を制御するための遊技制御手段200が設けられている。この遊技制御基板100は、基板収容手段の一例の基板収容体101に収容されている。遊技機には、遊技制御基板100の他に他の制御基板として、後に詳しく説明する中継基板47,表示制御基板120,払出制御基板130が設けられている。そして他の電気機器の一例のこれらの基板47,120,130と遊技制御基板100とがコネクタ等からなる外部接続手段102,103,104により電気的に接続されている。」 (記載事項b) 「【0044】図5は、パチンコ遊技機1の一部内部構造を示す背面図である。パチンコ遊技機1の裏面側には、遊技盤を取付け固定するための回動レバー70が設けられており、ミドルプレート69の裏面側から遊技盤30を挿入して位置決めした状態で回動レバー70を回動することにより、遊技盤30がミドルプレート69側に押付られた状態で固定される。68は機構板止着部材であり、機構板60をパチンコ遊技機1の背面に取付けるためのものである。遊技盤30の裏面側には、機構板60が設けられている。この機構板60の上方部分には、玉タンク61が配設されており、遊技機設置島から供給されるパチンコ玉をこの玉タンク61内に貯留し、玉整列レール62で整列しながら玉払出装置63に供給する。」 (記載事項c) 「【0049】・・・さらにパチンコ遊技機1の図5における右上箇所に、ターミナルボックス65が設けられており、このターミナルボックス65に電源端子66が設けられており、この電源端子66にAC24Vの電源が接続される。図中67は電源スイッチであり、この電源スイッチ67をON,OFFすることにより、パチンコ遊技機1の電源をON,OFF切換えすることができる。遊技制御基板100と電源端子66とが、コネクタ106B,電源スイッチ67を介して電気的に接続されている。電源端子26にAC24Vの電源を接続した状態で電源スイッチ67をONに切換えれば、AC24Vがコネクタ106Bを介して遊技制御基板100に供給される。」 (記載事項d) 「【0086】遊技制御基板100には電源回路223が設けられており、AC24Vの電源がこの電源回路223に接続されている。電源回路223では、所定の直流電流に変換してその直流電流を各種回路や電気機器に供給する。」 また、前記記載事項aおよびbによれば、機構板60はパチンコ遊技機1の裏面側に固定される遊技盤の裏面側に設けられることから、前記記載事項cのターミナルボックス65が設けられるパチンコ遊技機1の図5における右上箇所とは、機構盤の裏面側上部の左右方向中央部よりも右側の位置に配設されているものと認められる。 記載事項a〜d及び上記認定事項によれば、引用例には、次の発明が記載されていると認められる。 「AC24Vを遊技制御基板に対して供給制御するターミナルボックス65を備えたパチンコ遊技機1において、 機構板60と、 遊技制御基板100と、 払出制御基板130と、 前記ターミナルボックスに配設されるとともに、ONにした場合には,ターミナルボックスに接続される遊技制御基板に対してAC24Vの電源を供給し、OFFにした場合には、前記遊技制御基板へのAC24Vの供給を遮断する電源スイッチ67と、 前記ターミナルボックスに接続されるAC24Vの電源と、を備え、 前記ターミナルボックスは、機構盤の裏面側上部の左右方向中央部よりも右側の位置に配設されて、 前記電源スイッチは該ターミナルボックスに配置されて、 AC24Vの電源は、該ターミナルボックスに接続されるパチンコ遊技機1。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを比較すると、引用発明の「AC24V」は本願補正発明の「外部電源から供給される所定電圧」に相当し、以下同様に、「パチンコ遊技機1」は「パチンコ機」に、「ターミナルボックス65」は「電源回路基板」に、「機構板60」は「機構盤」に、「遊技制御基板100」は「主基板」に、「払出制御基板130」は「賞球基板」に、「電源スイッチ67」が「スイッチ」に、それぞれ相当し、 両者は、 「外部電源から供給される所定電圧を主基板に対して供給制御する電源回路基板を備えたパチンコ機において、 機構盤と、 前記電源回路基板に配設されるとともに、オンにした場合には、該電源回路基板に接続される主基板に対して前記外部電源からの所定電圧を供給し、オフにした場合には、前記主基板への外部電源からの所定電圧の供給を遮断するスイッチと、を備え、 前記電源回路基板は、前記機構盤の裏面側上部に配設されて、 前記スイッチは、該電源回路基板に配置されているパチンコ機。」の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 本願補正発明では、電源回路基板に別個独立に接続される主基板と賞球基板に対して外部電源からの所定電圧を供給し、遮断するスイッチを備えるものであるのに対して、引用発明では、電源回路基板に接続される主基板に対して外部電源からの所定電圧を供給し、遮断するスイッチを備えるものの、賞球基板に関しては明らかでない点。 [相違点2] 本願補正発明では、外枠と、外枠に対して蝶番により開閉可能に取り付けられた内枠と、内枠に取り付けられる機構盤と、電源回路基板に一端側が接続されると共に、台島に配設される電源コンセントに差し込まれるプラグが他端側に接続される電源コードと、を備え、前記電源回路基板は、左右方向中央部よりも蝶番側の位置に配設されて、スイッチは、該電源回路基板の前記蝶番と離間する位置に配置されて、電源コードの一端側は、該電源回路基板の前記蝶番に近接する位置に接続される構成であるのに対し、引用発明では、蝶番に係る構成、電源コードに係る構成、及び、蝶番に対するスイッチと電源コードの位置関係に係る構成が明らかでない点。 (4)判断 [相違点1]について 電源回路基板に別個独立に主基板及び賞球基板に対して外部電源から所定電圧を供給する構成は従来周知の技術であり(例えば、特開平8-117428号公報の【0038】段落、【0068】段落及び図6におけるターミナル基板78、遊技制御基板199及び払出制御基板152が、本願補正発明の電源回路基板、主基板及び賞球基板に相当する。また、特開平8-52264号公報の【0055】段落及び図13〜15におけるターミナル基板90、遊技制御回路基板240及び払出制御回路基板200が、本願補正発明の電源回路基板、主基板及び賞球基板に相当する。)、また、主基板と共に賞球基板へ所定電圧を供給し、遮断するスイッチとすることも従来周知の技術であり(例えば、特開平7-39627号公報の【0010】段落におけるターミナル基板ボックス24、遊技制御回路基板16、払出制御回路基板20及び電源スイッチ23が、本願補正発明の電源回路基板、主基板、賞球基板及びスイッチに相当する。また、特開平7-68028号公報の【0010】段落におけるターミナル基板ボックス24、遊技制御回路基板16、払出制御回路基板20及び電源スイッチ23が、本願補正発明の電源回路基板、主基板、賞球基板及びスイッチに相当する。)、引用発明に従来周知の技術を採用して相違点1に係る本願補正発明の構成に想到することに格別の困難性は認められない。 [相違点2]について 電源回路基板に一端側が接続されると共に、台島に配設される電源コンセントに差し込まれるプラグが他端側に接続される電源コードを備える構成は、従来周知の技術であるから(例えば、特開平8-117428号公報の【0038】段落、【0068】段落及び図6、または、特開平8-52264号公報の図13参照)、そのような周知の電源コードを採用することに、格別の困難性は認められない。 また、外枠と、外枠に対して蝶番により開閉可能に取り付けられた内枠と、内枠に取り付けられる機構盤とを備え、電源回路基板は、左右方向中央部よりも蝶番側の位置に配設されて、スイッチは、該電源回路基板の前記蝶番と離間する位置に配置されて、電源コードの一端側は、該電源回路基板の前記蝶番に近接する位置に接続される構成は、従来周知の技術であり(例えば、特開平7-323118号公報の図2〜4、特開平8-52264号公報の図3〜4参照。)、その採用に格別の困難性は認められない。 したがって、相違点2に係る本願補正発明の構成は、引用発明に従来周知の技術を採用したものであるから、当業者が容易に想到し得たものというべきである。 そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)むすび 以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成14年11月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年7月25日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「外部電源から供給される所定電圧を各種電気部品に対して供給制御する電源回路基板を備えたパチンコ機において、 外枠と、外枠に対して蝶番により開閉可能に取り付けられた内枠と、内枠に取り付けられる機構盤と、 前記電源回路基板に配設されるとともに、オンにした場合には、該電源回路基板に別個独立に接続される主基板と賞球基板に対して前記外部電源から の所定電圧を供給し、オフにした場合には、前記主基板と賞球基板への外部電源からの所定電圧の供給を遮断するスイッチと、 前記電源回路基板に一端側が接続されると共に、台島に配設される電源コンセントに差し込まれるプラグが他端側に接続される電源コードと、を備え、 前記電源回路基板は、前記機構盤の裏面側上部の左右方向中央部よりも前記蝶番側の位置に配設されて、 前記スイッチは、該電源回路基板の前記蝶番と離間する位置に配置されて、 前記電源コードの一端側は、該電源回路基板の前記蝶番に近接する位置に接続されることを特徴とするパチンコ機。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された引用例、及びその記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の「オンにした場合には、該電源回路基板に別個独立に接続される主基板と賞球基板に対して前記外部電源からの所定電圧を供給し、オフにした場合には、前記主基板と賞球基板への外部電源からの所定電圧の供給を遮断するスイッチ」を、「全ての電気部品に対する所定電圧の供給をオン・オフするスイッチ」とするものであって、すなわち、「主基板と賞球基板」を「全ての電気部品」とし、所定電圧の供給のための接続態様である「別個独立に接続される主基板と賞球基板」を省き、「オンにした場合には」「供給し」「オフにした場合には」「遮断する」を「供給をオン・オフする」として、概念的に上位にしたものである。 そうすると、本願発明を概念的に下位にしたものに相当する本願補正発明が、前記2.(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-06-01 |
結審通知日 | 2006-06-27 |
審決日 | 2006-07-12 |
出願番号 | 特願平10-143271 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 塩崎 進 |
特許庁審判長 |
二宮 千久 |
特許庁審判官 |
藤田 年彦 篠崎 正 |
発明の名称 | パチンコ機 |
代理人 | 山中 郁生 |
代理人 | 富澤 孝 |
代理人 | 岡戸 昭佳 |