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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G02F
管理番号 1144168
審判番号 不服2003-22459  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-03-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-20 
確定日 2006-09-21 
事件の表示 平成11年特許願第235476号「液晶表示装置のセルギャップ測定法及び測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月 6日出願公開、特開2001- 59952〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成11年8月23日の出願であって、平成15年10月15日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月20日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年12月16日に手続補正がなされたものである。

2.平成15年12月16日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年12月16日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】 所定の寸法のセルギャップをなして貼り合わせた一対の電極付き基板と該一対の電極付き基板に挟持された液晶層とを有する液晶セルを備える液晶表示装置のセルギャップ測定法において、
測定領域が1mmφから50μmφであり、そして、近赤外光を液晶セルに照射し、セルギャップで近赤外光を反射干渉させ、得られた干渉波形を解析して算出することを特徴とする液晶表示装置のセルギャップ測定法。」と補正された。
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項について「測定領域が1mmφから50μmφであり、そして、」との限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶理由に引用された本願出願前に国内で頒布された特開平7-5446号公報(以下、「引用例」という。)には、
「【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶パネルの製造方法は、以下のとおりである。まず、対向電極53と画素電極55間に液晶と未硬化の光硬化性樹脂との混合溶液を狭持させる。」、
「【0022】
【作用】
対向電極基板またはアレイ基板の周辺部に封止樹脂を塗布し、対向電極基板とアレイ基板間を貼り合わせた後、前記基板間に混合溶液を注入する。封止樹脂の高さは、封止樹脂にガラスファイバー等を含有させて所定の高さになるようにする。」、
「【0024】
本発明の製造方法では、混合溶液の注入後、平滑性のあるガラス基板もしくはローラ等を用いて対向基板等を押圧し、表示領域部の液晶の膜厚を封止樹脂の高さと一致するようにする。混合溶液は常温では白濁しているが、加熱するとアイソトロピック状態となり、光透過性を有するようになる。光透過性があれば干渉膜厚計等を用いて混合溶液の膜厚を測定できる。本発明では膜厚を測定するための混合溶液を加温し、アイソトロピック状態にする。前記状態で表示領域の混合溶液の膜厚を測定する。・・・・・。」が記載されている。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例に記載の事項とを比較すると、
(a)引用例に記載された「対向電極基板とアレイ基板」、「混合溶液」、「液晶パネル」は、本願補正発明の「一対の電極付き基板」、「液晶層」、「液晶セル」にそれぞれ相当し、
(b)引用例に記載された膜厚測定方法は、液晶表示装置において、液晶パネルの表示領域の測定箇所について、所定の寸法のセルギャップ測定法を開示しているといえるので、
本願補正発明と引用例に記載の発明は、
「所定の寸法のセルギャップをなして貼り合わせた一対の電極付き基板と該一対の電極付き基板に挟持された液晶層とを有する液晶セルを備える液晶表示装置のセルギャップ測定法において、ある測定領域のセルギャップを測定する」点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
本願補正発明では、セルギャップ測定法として、測定領域が1mmφから50μmφであり、そして、近赤外光を液晶セルに照射し、セルギャップで近赤外光を反射干渉させ、得られた干渉波形を解析して算出するのに対し、引用例に記載のものは、干渉膜厚計を用いるが、測定領域及び測定光の波長領域については特に明記されていない点。

(4)判断
[相違点]について検討する。
液晶表示装置のセルギャップ測定法として、近赤外光を液晶セルに照射し、セルギャップで近赤外光を反射干渉させ、得られた干渉波形を解析して算出することは、本出願前周知(例、特開平2-144517号公報 3頁右上欄13行〜左下欄7行を参照。)であり、上記引用例発明の干渉膜厚計として、該周知技術に係る構成を適用し、その際、測定すべき領域を1mmφから50μmφとする程度のことは当業者にとって格別困難とはいえない。
そして、本願補正発明の奏する作用効果は、上記引用例記載の発明及び周知技術から当業者が予測できる範囲内のものに過ぎない。

なお、審判請求人は、平成15年12月16日付けで手続補正された審判請求書第2頁第31〜40行において、「本願第1発明は、(a)測定領域が1mmφから50μmφであり、(b)近赤外光を液晶セルに照射し、セルギャップで近赤外光を反射干渉させ、得られた干渉波形を解析して算出し、そして、(c)近赤外光での光干渉の反射光で、得られた干渉縞の波形(スペクトル)を解析することにより、(d)入射ビームをより平行光を保つよう光学レンズで集光し、さらにアパーチャーでビームを絞り込むことが可能で、特に液晶表示装置のカラーフィルター上や液晶駆動素子基板上に凹凸があっても、ビームを絞って測定することができる」旨主張している。
しかしながら、上記主張は、本願請求項4で限定されている、測定対象である液晶セルがカラーフィルタや液晶駆動素子を有すること、さらに、アパーチャーでビームを紋り込むことなどの事項を前提としたものであって、特許請求の範囲(請求項1)の記載に基づくものとは認められないので、上記主張は採用しない。
なお、膜厚の測定法において、測定領域を1mmφから50μmφとすることは、例えば、特開平11-218466号公報 段落0049、特開平11-173813号公報 段落0019などに見られるように格別のものではない。
よって、本願補正発明は、上記引用例記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年12月16日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、出願時の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】 所定の寸法のセルギャップをなして貼り合わせた一対の電極付き基板と該一対の電極付き基板に挟持された液晶層とを有する液晶セルを備える液晶表示装置のセルギャップ測定法において、
近赤外光を液晶セルに照射し、セルギャップで近赤外光を反射干渉させ、得られた干渉波形を解析して算出することを特徴とする液晶表示装置のセルギャップ測定法。」
(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明において「測定領域が1mmφから50μmφであり、そして、」との限定を省くもので、本願補正発明の構成を全て含むものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含むものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、上記引用例に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-21 
結審通知日 2006-07-25 
審決日 2006-08-07 
出願番号 特願平11-235476
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02F)
P 1 8・ 575- Z (G02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤岡 善行  
特許庁審判長 瀧本 十良三
特許庁審判官 井上 博之
鈴木 俊光
発明の名称 液晶表示装置のセルギャップ測定法及び測定装置  
代理人 特許業務法人第一国際特許事務所  

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