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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1144507
審判番号 不服2002-19843  
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-03-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-10 
確定日 2006-09-27 
事件の表示 平成11年特許願第236641号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 3月13日出願公開、特開2001- 62060〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成11年8月24日の出願であって、平成13年9月7日付の拒絶理由が通知され、平成13年11月20日付で意見および手続補正がなされ、平成14年8月23日付の拒絶査定がなされ、平成14年10月10日に審判請求されるとともに平成14年11月6日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年11月6日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成平成14年11月6日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正の目的
平成14年11月6日付の手続補正は、平成13年11月20日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜5を減縮するもので、平成13年11月20日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜5の内容を下位概念化し、発明を特定するための事項の限定に相当するものであるから、平成15年改正前特許法第17条の2第4項第2号の規定に適合している。
そこで、平成14年11月6日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜5に記載されている事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項に適合するか)について以下に検討する。

(2)補正後の本願発明
平成14年11月6日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1〜5に係る発明は、その請求項1〜5に記載されたとおりのものであると認められ、その請求項1に係る発明は、その請求項1において特定される下記のとおりのものである。

「【請求項1】遊技領域に設けられて変動図柄を表示する特別図柄表示装置を備え、前記変動図柄が変動後所定の態様で停止すると遊技者に有利な特別遊技状態が発生するパチンコ機において、
前記所定の態様は、複数種類の停止態様を含み、前記各停止態様に予め付された所定個数のカウント値により決定される所定の選択確率値に基づいて、一の停止態様を選択する停止態様選択手段と、
前記停止態様選択手段によって選択された所定の停止態様を前記特別図柄表示装置に表示するように制御する表示制御手段とを備え、
前記所定の選択確率値は、少なくとも第1選択確率値と第2選択確率値とを含み、
前記第1選択確率値は、複数の停止態様に付されると共に、前記第2選択確率値と異なり、
該第1選択確率値を決定する前記所定個数のカウント値は、複数個の連続するカウント値で構成されていることを特徴とするパチンコ機。」(以下、「本願補正発明」という。)

1)引用例について
a)引用例とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-105677号公報(以下、「引用例」という。)には、以下の技術事項が図面とともに記載されている。

・記載事項1
「本発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、大当り情報が表示される場合に、特定の大当り図柄が表示される確率を高めて遊技者の要望を満たすことができるパチンコ機を提供することにある。」(公報第2頁左上欄第13行〜第17行)

・記載事項2
「上記した誘導突片24は、下方を除いてほぼ長方形状に突設されるものであり、誘導突片24に囲まれるように図柄表示装置25が設けられている。本実施例において、図柄表示装置25は、3つのドットマトリックス表示器で構成されており、この図柄表示装置25には、複数の図柄(例えば、3つ)が変動表示可能に表示されるようになっている。すなわち、前記始動入賞口4a〜4cのいずれかに打球が入賞すると、図柄表示装置25に表示される多数の図柄がスクロール表示(スクロール速度は、遊技者に図柄が認識できない速度)され、一定時間(例えば、5秒)経過後又は、その一定時間のうちで遊技者によって操作される停止スイッチ16(図示しない:ただし、第1図のブロック図に表示)が操作されたときにスクロール表示が停止されて3つの図柄が停止表示される。停止表示された図柄の組合せが予め定められた大当り図柄の組合せであるときに、大当り状態となる。」(公報第3頁左上欄第15行〜右上欄第13行)

・記載事項3
「ROM41には、第7図に示す外れモードの時に図柄表示装置25に表示する図柄(数値が表示されるので以下数値という)を決定するための外れ数値テーブル42と、第8図に示す当りモードの時に図柄表示装置に表示する数値を決定するための当り数値テーブル43とが形成されている。この当り数値テーブル43には、大当りとなるゾロ目の識別情報の組合せのうち、特定の識別情報『7』のゾロ目の組合せに対応する数値が数多く設定されている。具体的には、特定の識別情報『7』に対応する数値は、6つあり、すべての大当りとなるゾロ目の識別情報の組合せに対応する数値が15個であるため、当りモードとなったときに、特定の識別情報『7』が図柄表示装置25に表示される確率は、6/15=2/5となる。即ち、当りモード時においては40%の確率で特定の識別情報が表示されるので、遊技場において、特定の大当り情報が表示されたときに獲得した賞品球で継続的に遊技を行うように遊技者に対して便宜を与えている場合には、獲得した賞品球で継続的に遊技を行いたいという遊技者の要望を満たすことができる。」(公報第4頁右上欄第3行〜左下欄第4行)

・記載事項4
「また、外れモードでないと判定された場合には、ステップ137に移行して、当りモード時の表示用数値を記憶した当り数値メモリ47の各桁の値が数値表示レジスタX1、X2、X3に設定されることにより、数値表示器25には、その当り数値メモリ47に記憶されている当りモード時の表示用数値が表示される。この当りモード時の場合、当り数値テーブル43内に特定の当り数値『7』の方が他の個々の当り数値よりも多く設定されているので、数値表示器25に特定の当り数値『7』が表示される可能性が高くなる。」(公報第7頁左上欄第14行〜右上欄第4行)

・記載事項5
「なお、本実施例の場合には、大当りの数値テーブルを第8図に示したが、小当り、中当りの数値テーブルも図示しないが用意され、モード決定カウンタ45の値が所定の値となったときにそれぞれの数値テーブルから小当り又は中当りに相当する数値が取り出されるようになっている。」(公報第7頁右上欄第16行〜左下欄第2行)

・記載事項6
「以上、実施例について説明してきたが、上記実施例では、図柄表示装置25で表示される識別情報を数値としているが、図柄等であってもよい。」(公報第8頁左上欄第4行〜第6行)

・記載事項7
「[発明の効果] 以上、説明したところから明らかなように、本発明においては、複数種類の大当り情報のうち特定の大当り情報に対応する数値を特定の大当り情報以外の大当り情報に対応する個々の数値よりも多く含むように数値テーブルを構成したので、乱数的に取り出される数値が大当り情報である場合に、図柄表示装置に表示される大当り情報は、特定の大当り情報である確率が高くなり、遊技場において、特定の大当り情報が表示されたときに獲得した賞品球で継続的に遊技を行うように遊技者に対して便宜を与えている場合には、獲得した賞品球で継続的に遊技を行いたいという遊技者の要望を満たすことができる。」(公報第8頁左上欄第19行〜右上欄第12行)

以上の記載事項1〜7及び図1〜8の記載によれば、引用例には次の発明が記載されていると認められる。
「遊技領域3に設けられて、3つのドットマトリックス表示器により構成された複数の図柄を表示する図柄表示装置25を備え、3つのドットマトリックス表示器により構成された複数の図柄が変動後停止表示された図柄の組み合わせが予め定められた当たりモードで停止すると遊技者に当たりモードが発生するパチンコ機において、
停止表示された図柄の組み合わせが予め定められた当たりモードは、『0、0、0』〜『9、9、9』の停止表示された図柄の組み合わせを含み、
各停止表示された図柄の組み合わせに予め付されたアドレスにより決定される確率に基づいて、一の停止表示された図柄の組み合わせを選択するとともに、選択された停止表示された図柄の組み合わせが予め定められた当たりモードを図柄表示装置25に表示するとともに、15個のアドレスにより決定される確率は、少なくとも特定の識別情報『7』のゾロ目に対応する数値と『7』以外のゾロ目に対応する数値とを含み、特定の識別情報『7』のゾロ目に対応する数値は、6つのアドレス2、4、7、12、14、15の停止表示された図柄の組み合わせに付されると共に、『7』以外のゾロ目に対応する数値と異なり、特定の識別情報『7』のゾロ目に対応する数値を決定する6つのアドレスは、ランダムに分布して構成されていることを特徴とするパチンコ機。」(以下、「引用例に記載された発明」という。)

2)対比
引用例に記載された発明と本願補正発明を対比すると、引用例に記載された発明の「遊技領域3」は本願補正発明の「遊技領域」に相当している。以下同様に、「3つのドットマトリックス表示器により構成された複数の図柄」は「変動図柄」、「図柄表示装置25」は「特別図柄表示装置」、「停止表示された図柄の組み合わせが予め定められた当たりモード」は「所定の態様」、「遊技者」は「遊技者」、「当たりモード」は「有利な特別遊技状態」、「『0、0、0』〜『9、9、9』」は「複数種類」、「停止表示された図柄の組み合わせ」は「停止態様」、「15個のアドレス」は「所定個数のカウント値」、「特定の識別情報『7』のゾロ目に対応する数値」は「第1選択確率値」、「『7』以外のゾロ目に対応する数値」は「第2選択確率値」、「6つのアドレス2、4、7、12、14、15の停止表示された図柄の組み合わせ」は「複数の停止態様」「パチンコ機」は「パチンコ機」にそれぞれ相当している。

そして、引用例に記載された発明は、以下の構成を実質的に具備しているといえる。

・実質的具備事項1
引用例の記載事項3の「ROM41には、第7図に示す外れモードの時に図柄表示装置25に表示する図柄(数値が表示されるので以下数値という)を決定するための外れ数値テーブル42と、第8図に示す当りモードの時に図柄表示装置に表示する数値を決定するための当り数値テーブル43とが形成されている。この当り数値テーブル43には、大当りとなるゾロ目の識別情報の組合せのうち、特定の識別情報『7』のゾロ目の組合せに対応する数値が数多く設定されている。具体的には、特定の識別情報『7』に対応する数値は、6つあり、すべての大当りとなるゾロ目の識別情報の組合せに対応する数値が15個であるため、当りモードとなったときに、特定の識別情報『7』が図柄表示装置25に表示される確率は、6/15=215となる。・・・」、引用例の記載事項4の「・・・当りモード時の場合、当り数値テーブル43内に特定の当り数値『7』の方が他の個々の当り数値よりも多く設定されている・・・」なる記載及び第8図に基づけば、大当りとなる特定の識別情報『7』のゾロ目の組合せに対応するアドレスが6つ設定され、かつ、すべての当りモードとなるゾロ目の組合せに対応するアドレスの数である15個より、特定の識別情報『7』のゾロ目の組合せに対応する数であるアドレス6つを差し引いた数の9つが『7』以外のゾロ目に対応するアドレスとして設定されていることから、引用例に記載された発明において、i)すべての当りモードとなるゾロ目の組合せに対応するアドレスの数である15個は所定の個数ということができること、ii)特定の識別情報『7』がゾロ目で図柄表示装置25に表示される確率は6/15=2/5であること、iii)『7』以外のゾロ目で図柄表示装置25に表示される確率は1/15であること、かつ、iv)これら確率の値を確率値と呼称できるとともに、2/5と1/15はそれぞれ予め定められた所定の選択確率値ということができること、及び「特定の識別情報『7』のゾロ目に対応する数値」は「第1選択確率値」、「『7』以外のゾロ目に対応する数値」は「第2選択確率値」に上記のとおり相当しているので、v)第1選択確率値と第2選択確率値はその値が異なることは明らかである。
また、引用例に記載された発明は、2/5及び1/15の確率値からなる所定の選択確率値に基づいて、一つの停止態様として停止させ表示させるために図柄の組み合わせを選択し決定しているのであるから、そのような選択決定機能を実現し得る停止態様選択手段を有すると解される。
そして、引用例に記載された発明の「停止表示された図柄の組み合わせ」、「アドレス」はそれぞれ本願補正発明の「停止態様」、「カウント値」に相当していることは上記2)柱書きに示したとおりである。
そうすると、引用例に記載された発明は、「各停止態様に予め付された所定個数のカウント値により決定される所定の選択確率値に基づいて、一の停止態様を選択する停止態様選択手段」を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項2
上記実質的具備事項1において示したように、引用例に記載された発明が停止態様選択手段を実質的に具備していること、及び引用例の記載事項3の「・・・第8図に示す当りモードの時に図柄表示装置25に表示する数値を・・・」なる記載並びに第8図に基づけば、停止態様選択手段によって15個のアドレスにより決定され選択された停止表示された図柄の組み合わせを図柄表示装置25に表示していることは明らかであるから、そのような表示を実現し得る表示制御手段を有していると解される。
そして、引用例に記載された発明の「図柄表示装置25」、「停止表示された図柄の組み合わせ」は、本願補正発明の「特別図柄表示装置」、「停止態様」に相当していることは上記2)柱書きに示したとおりである。
そうすると、引用例に記載された発明は、「停止態様選択手段によって選択された所定の停止態様を特別図柄表示装置に表示するように制御する表示制御手段」を実質的に具備しているということができる。

・実質的具備事項3
引用例に記載された発明においては、15個のアドレスにより決定される選択確率値は、少なくとも2/5である第1選択確率値と1/15である第2選択確率値とを含むものであり、2/5である第1選択確率値は、6つの特定の識別情報『7』のゾロ目の組み合わせに付されると共に、1/15である第2選択確率値と異なっていることは上記実質的具備事項1において示したとおりである。
そして、引用例に記載された発明の「15個のアドレスにより決定される確率」、「6つの特定の識別情報『7』のゾロ目の組み合わせ」は、本願補正発明の「所定個数のカウント値により決定される所定の選択確率値」、「複数の停止態様」に対応することは上記2)柱書きに示したとおりである。
そうすると、引用例に記載された発明は、「所定の選択確率値は、少なくとも第1選択確率値と第2選択確率値とを含み、第1選択確率値は、複数の停止態様に付されると共に、第2選択確率値と異なる」なる構成を実質的に具備しているということができる。

そこで、本願補正発明と引用1に記載された発明を対比すると、

「遊技領域に設けられて、変動図柄を変動表示可能に表示する特別図柄表示装置を備え、変動図柄が変動後所定の態様で停止すると遊戯者に有利な特別遊技状態が発生するパチンコ機において、
所定の態様は、複数種類の停止態様を含み、
各停止態様に予め付与された所定個数のカウント値により決定される所定の選択確率値に基づいて、一の停止態様を選択する停止態様選択手段と、
停止態様選択手段によって選択された所定の停止態様を特別図柄表示装置に表示するように制御する表示制御手段とを備え、
所定の選択確率値は、少なくとも第1選択確率値と第2選択確率値とを含み、第1選択確率値は、複数の停止態様に付されると共に、第2選択確率値と異なる、ことを特徴とするパチンコ機。」の点で一致し、以下の点で相違している。

・相違点
第1選択確率値を決定する所定個数のカウント値が、本願補正発明においては「複数個の連続するカウント値としてまとめて一つにされている」のに対して、引用例に記載された発明においては「複数個のカウント値はランダムに分布している」点。

3)判断
上記相違点について検討する。
パチンコやスロットマシン等のスロットを用いるゲーム技術分野における、当たり図柄とアドレス、カウント値や乱数値を対応させる特定当たり図柄テーブルにおいて、乱数値等をまとめて一つとし、その一つにまとめられた乱数値等の範囲に一つの大当たり時の停止図柄と対応させることは周知な技術にすぎない(必要であれば、パチンコ機については特開平10-290864号公報、スロットマシンについては特開平8-117390号公報及び特開平3-77569号公報等参照されたい)。
一方、引用例の記載事項3の「・・・第8図に・・・当り数値テーブル43とが形成されている。この当り数値テーブル43には、大当りとなるゾロ目の識別情報の組合せのうち、特定の識別情報『7』のゾロ目の組合せに対応する数値が数多く設定されている。具体的には、特定の識別情報『7』に対応する数値は、6つあり、すべての大当りとなるゾロ目の識別情報の組合せに対応する数値が15個であるため、当りモードとなったときに、特定の識別情報『7』が図柄表示装置25に表示される確率は、6/15=2/5となる。・・・」なる記載、及び第8図に基づけば、引用例に記載された発明においては、2/5の確率値を決定する6つのアドレスである2、4、7、12、14、15は、ランダムに構成されているものの、6つのアドレスの内の二つのアドレス(具体的には第8図の、アドレス14とアドレス15)は一部連続していることが示されており、アドレスを連続させることが示されているといえる。
そして、引用例に記載された発明の「アドレス」は、本願補正発明の「カウント値」に相当していることは上記2)柱書きに示したとおりである。
そうすると、ゲーム技術分野でスロットを用いる点で共通するパチンコとスロットマシンの間において、当たり図柄テーブルに関する周知技術を相互に参酌することに格別困難性はないのであるから、上記周知技術を参酌して、引用例に記載された発明の当たりテーブルの第1選択確率値を決定する6つのカウント値を一部2つの連続するカウント値で構成することに替えて、第1選択確率値を決定する6つのカウント値を、すべて6つとも連続するカウント値で構成しまとめて一つにして、そのまとめた一つのカウント値の範囲と一つの停止態様を対応させるようにすること、すなわち相違点に係る構成とすることは、当業者が引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、容易に想到できる程度の技術事項にすぎない。

以上のとおり、本願補正発明は、引用例に記載された発明及びゲーム技術分野における周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものである。

4)作用効果
本願補正発明によって奏する効果も、引用例に記載された発明及びゲーム技術分野における周知技術から普通に予測できる範囲内のものであって格別のものがあるとは認められない。

5)むすび
上記のとおりであるので、本願補正発明は、引用例に記載された発明及びゲーム技術分野における周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項により特許を受けることができない。

(3)補正却下の判断
上記(2)のとおり、本願補正発明は、平成15年改正前特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるので、平成14年11月6日付の手続補正は、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成14年11月6日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願発明は、平成13年11月20日付の手続補正書における特許請求の範囲の請求項1において特定される以下のものである。
「【請求項1】遊技領域に設けられて変動図柄を表示する特別図柄表示装置を備え、前記変動図柄が変動後所定の態様で停止すると遊技者に有利な特別遊技状態が発生するパチンコ機において、
前記所定の態様は、複数種類の停止態様を含み、 前記各停止態様に予め付された所定の選択確率値に基づいて、一の停止態様を選択する停止態様選択手段と、
前記停止態様選択手段によって選択された所定の停止態様を前記特別図柄表示装置に表示するように制御する表示制御手段とを備え、
前記所定の選択確率値は、少なくとも第1選択確率値と第2選択確率値とを含み、前記第1選択確率値は、複数の停止態様に付されると共に、前記第2選択確率値と異なることを特徴とするパチンコ機。」(以下、「本願発明」という。)

1)引用例について
引用例の記載およびその記載事項は上記2.(2)1)に記載したとおりである。

2)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明の「所定個数のカウント値により決定される所定の選択確率値」の内の「所定個数のカウント値により決定される」、及び「前記第2選択確率値と異なり、該第1選択確率値を決定する前記所定個数のカウント値は、複数個の連続するカウント値で構成されていること」の内の「り、該第1選択確率値を決定する前記所定個数のカウント値は、複数個の連続するカウント値で構成されてい」の構成要件を削除することにより縮減したものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記に記載したとおり、引用例に記載された発明及びゲーム技術分野における周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例に記載された発明及びゲーム技術分野における周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及びゲーム技術分野における周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-06-01 
結審通知日 2006-06-27 
審決日 2006-07-24 
出願番号 特願平11-236641
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 塩崎 進  
特許庁審判長 三原 裕三
特許庁審判官 宮本 昭彦
渡部 葉子
発明の名称 パチンコ機  
代理人 富澤 孝  
代理人 岡戸 昭佳  
代理人 山中 郁生  

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