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審決分類 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06T
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G06T
管理番号 1145353
審判番号 不服2005-2073  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-02-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-07 
確定日 2006-10-13 
事件の表示 平成 6年特許願第204650号「画像制御装置および画像制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 8年 2月20日出願公開、特開平 8- 50661〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯
本願は、平成6年8月5日に出願されたものであって、平成17年1月4日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成17年2月7日に拒絶査定不服審判が請求されると共に同年2月28日に手続補正がなされたものである。

2.平成17年2月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成17年2月28日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
平成17年2月28日付けの手続補正により、特許請求の範囲の請求項1〜7は、
「【請求項1】操作子の操作情報に応じて読み出される複数のオブジェクト画像を記憶する記憶手段と、
撮像手段と、
この撮像手段によって撮像され更新されるフレームに含まれる特定色領域を操作子として抽出する抽出手段と、
この抽出手段によって抽出された操作子の面積を算出する算出手段と、
前記フレームの更新に応じて前記算出手段によって算出された操作子の面積の変化を、前記操作子の操作情報として発生する操作情報発生手段と、
この操作情報発生手段によって発生された操作情報に基づいて、前記記憶手段より対応するオブジェクト画像を読み出して表示する表示手段と
を具備することを特徴とする画像制御装置。
【請求項2】前記フレームの更新に応じて前記算出手段によって算出された操作子の面積の変化から、前記操作子の速度を演算する速度演算手段を更に具備し、
前記操作情報発生手段は、前記速度演算手段によって演算された速度に基づいて操作情報を発生することを特徴とする請求項1に記載の画像制御装置。
【請求項3】前記速度演算手段によって演算された前記操作子の速度の経時変化に応じて、前記操作子の加速度を抽出する加速度演算手段を更に具備し、
前記前記操作情報発生手段は、前記速度演算手段によって演算された速度と、前記加速度演算抽出手段によって演算された加速度とに基づいて操作情報を発生することを特徴とする請求項2記載の画像制御装置。
【請求項4】前記速度演算手段は、フレームの更新により変化する算出された操作子の面積の差分から前記操作子の速度を演算することを特徴とする請求項2または3記載の画像制御装置。
【請求項5】操作子の操作情報に応じて読み出される複数のオブジェクト画像を記憶する記憶手段と、
撮像手段と、
この撮像手段によって撮像され更新されるフレームに含まれる複数の特定色領域を操作子として夫々抽出する抽出手段と、
この抽出手段によって抽出された夫々の操作子の位置座標を記憶する位置座標記憶手段と、
前記抽出手段によって抽出された夫々の操作子の面積を算出する算出手段と、
前記フレームの更新に応じて、前記位置座標記憶手段に記憶されている夫々の操作子の位置情報と前記算出手段によって算出された夫々の操作子の面積の変化とに基づいて、前記夫々の操作子の操作情報を発生する操作情報発生手段と、
この操作情報発生手段によって発生された操作情報に基づいて、前記記憶手段より対応するオブジェクト画像を読み出して表示する表示手段と
を具備することを特徴とする画像制御装置。
【請求項6】撮像部より入力され更新されるフレームに含まれる特定色領域を操作子として抽出する抽出ステップと、
この抽出ステップにて抽出された操作子の面積を算出する算出ステップと、
前記フレームの更新に応じて前記算出ステップにて算出された操作子の面積の変化を、前記操作子の操作情報として発生する操作情報発生ステップと、
この操作情報発生ステップにて発生された操作情報に基づいて、予め操作子の操作情報に応じて読み出される複数のオブジェクト画像を記憶するメモリより対応するオブジェクト画像を読み出して表示部に表示させる表示ステップと
からなることを特徴とする画像制御方法。
【請求項7】撮像部より入力され更新されるフレームに含まれる複数の特定色領域を操作子として夫々抽出する抽出ステップと、
この抽出手段によって抽出された夫々の操作子の位置座標を記憶させる位置座標記憶ステップと、
前記抽出ステップにて抽出された夫々の操作子の面積を算出する算出ステップと、
前記フレームの更新に応じて、前記位置座標記憶ステップにて記憶された夫々の操作子の位置情報と前記算出ステップにて算出された夫々の操作子の面積の変化とに基づいて、前記夫々の操作子の操作情報を発生する操作情報発生ステップと、
この操作情報発生ステップにて発生された操作情報に基づいて、予め操作子の操作情報に応じて読み出される複数のオブジェクト画像を記憶するメモリより対応するオブジェクト画像を読み出して表示部に表示させる表示ステップと
からなることを特徴とする画像制御方法。」
と補正された。

(2)補正の適否について
前記補正の適否について判断するに、補正前の特許請求の範囲の請求項は5つであり、補正後の特許請求の範囲の請求項は7つであるから、この補正は特許請求の範囲の請求項を増やす補正であり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。特許法第17条の2第3項第2号は、特許請求の範囲の減縮について規定し、同号にいう「特許請求の範囲の減縮」は、補正前の請求項と補正後の請求項との対応関係が明白であって、かつ、補正後の請求項が補正前の請求項を限定した関係になっていることが明確であることが要請されるものであるというべきであって、補正前の請求項と補正後の請求項とは、一対一又はこれに準じるような対応関係にあるものでなければならない。そうであってみれば、増項補正は、補正後の各請求項の記載により特定される各発明が、全体として、補正前の請求項の記載により特定される発明よりも限定されたものとなっているとしても、上述したような一対一又はこれに準じるような対応関係がない限り、同号にいう「特許請求の範囲の減縮」には該当しないというべきである。
そして、平成17年2月28日付けの手続補正書による前記補正は、請求項の削除、誤記の訂正、及び明りょうでない記載の釈明の何れにも該当しない。
したがって、平成17年2月28日付けの手続補正書による補正は、特許法第17条の2第3項各号に規定するいずれの要件をも満たしていないから、平成17年2月28日付けの手続補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成17年2月28日付けの手続補正は、前記のとおり却下されるから、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成16年10月27日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】特定色の操作子を撮像してなる撮像画像から当該操作子に対応する特定色領域領域を抽出する抽出手段と、
この抽出手段により抽出される特定色領域の面積値の経時変化に応じた情報を発生する情報発生手段と、
複数のオブジェクト画像を記憶する記憶手段と、
前記情報発生手段によって発生された情報に基づいて、前記記憶手段より対応するオブジェクト画像を読み出して表示する表示手段と
を具備することを特徴とする画像制御装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用した特公平2-17188号公報(平成2年4月19日出願公告。以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。

(ア)「〔産業上の利用分野〕
本発明は遊戯装置に関し、特に、遊戯者の身体の一部分に取り付けられた指標を撮像手段で認識し、この指標と撮像手段までの距離を電子演算処理回路で算出することによりゲ-ムを行なう遊戯装置に係わるものである。
〔従来の技術〕
従来のTVデ-ム装置は、遊戯者が手でジョイステイツク等を操作したり、あるいは足でマツトスイツチを踏んだりしてゲ-ムを行なつていた。特に、ボクシング等の格闘技ゲ-ムでは単にパンチのタイミングを押ボタン等で入力するものであつた。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、従来のTVゲ-ム装置は、入力すべき情報が遊戯者の手足の動きである場合でも、ジヨイステイツク等のコントロ-ラを操作することにより入力しなければならなかつた。特にボクシング等の格闘技ゲ-ムでは、単にパンチのタイミングを入力するのみであり、パンチの方向やスピ-ド等を自由に入力することができなかつた。このために、遊戯者が本当に相手と闘つている様な雰囲気を味わうことができず、すぐ飽きてしまうという問題点があつた。そして遊戯者が幼児の場合にはコントロ-ラの操作が難しく、思う様にTVゲ-ムを楽しむことができないという問題点があつた。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は上記問題点に鑑み案出されたもので、遊戯者の身体の一部分に取り付けられた指標を認識するための撮像手段と、この撮像手段のビデオ信号出力をデイジタル信号に変換するためのA-Dコンバ-タと、このA-Dコンバ-タのデイジタル出力を記憶するためのフレ-ム・バツフアと、このフレ-ム・バツフアに接続され、撮像手段における指標の像の大きさから前記指標と前記撮像手段との距離を演算するための演算処理手段と、この演算処理手段で演算された距離を入力とするテレビゲ-ム装置とからなることを特徴としている。
〔作用〕
以上の様に構成された本発明は、遊戯者の身体の一部に取り付けられた指標を撮像手段で認雑し、この撮像手段のビデオ信号出力をA-Dコンバ-タでデイジタル信号に変換し、このデイジタル信号をフレ-ム・バツフアに記憶し、前記撮像手段における指標の像の大きさから、撮像手段と指標との距離を演算処理手段で演算し、この距離信号をテレビゲ-ム装置の入力側に導入することにより、ゲ-ムを行なうものである。」(第1頁左欄第19行〜第2頁左欄第16行)
なお、下線は審決において附された。以下同様。

(イ)「〔実施例〕
本発明の一実施例を図面に基づいて説明すると、1はビデオカメラであつて、遊戯者の身体の一部分に取り付けられた指標aを認識するものである。ビデオカメラ1は撮像手段の1つであり、ITV(工業用カメラ)、ビジコン管等の撮像管を用いたビデオカメラやCCD(電荷結合デバイス)等の固体撮像素子を用いたビデオカメラを使用することができる。なお、オプテイツクRAMを用いたデイジタルカメラを採用することもできるが、いずれの場合にも適当な光学レンズを使用する必要があるのはもちろんである。2は入力処理部であつて、ビデオカメラ1のビデオ信号アナログ出力を処理するものであり、雑音処理等を行なつている。3は高速A-Dコンバ-タであつて、入力処理部2の出力信号をデイジタル信号に変換するものである。この高速A-Dコンバ-タ3は8ビツトの画像処理用A-Dコンバ-タであることが望ましい、4はフレ-ム・バツフアであり、高速A-Dコンバ-タ3のデイジタル出力を記憶するもので、512×512×8ビツトの画像用メモリICを使用することができる。なお、カラ-画像処理を行なう場合には、ビデオカメラ1のR-G-B出力信号をそれぞれ3つづつの入力処理部2,2,2と高速A-Dコンバ-タ3,3,3とフレ-ム・バツフア4,4,4で独立に処理するのが望ましい。5は演算処理手段であつて、ビデオカメラ1における指標aの像の大きさから指標aとビデオカメラ1との距離を演算するものである。すなわち、まず遊戯者の指標aを認識し、ビデオカメラ1のレンズによる像の大きさを算出する必要がある。指標aの認識には、入力画像デ-タをあらかじめ設定された基準パタ-ン・デ-タと比較するパタ-ンマツチングや、色彩によるマツチング法が適用できる。また、ビデオカメラ1に白黒ITV(工業用カメラ)を採用し、指標aとほぼ同色の色フイルタをビデオカメラ1のレンズに装着すれば、極めて安価な認識装置を提供することができる。また、同一の焦点距離のレンズで同一の指標aを撮影する場合において、このレンズによる指標aの像の大きさは、レンズから指標aの距離が離れるに従つて小さくなる。すなわち、このレンズの像の大きさと前記距離の対応関係を演算処理手段5に記憶させれば、指標aの移動距離を算出することができる。更に、移動時間を検出すれば指標aの移動速度を算出することが可能となる。6は、テレビゲ-ム装置であつて、本実施例ではボクシングゲ-ムのプログラムが収納されている。このテレビゲ-ム装置6の入力側には、遊戯者の繰り出すパンチの距離、方向、スピ-ド等が入力される様になつている。遊戯者が腕の一部分に指標aを取り付ければ、演算処理手段5によりパンチの距離、方向、スピ-ドを算出することができる。特に指標aを球体にすれば、撮影方向に関係なくパンチのスピ-ド等を計算することができる。
以上の様に構成された本実施例は、遊戯者の腕の一部分に指標aを取り付け、遊戯者がテレビゲ-ム装置6のデイスプレイ61に表われた相手に向かつてパンチを繰り出せば、ビデオカメラ1が遊戯者を撮影し、演算処理手段5が指標aを認識するとともに、遊戯者のパンチのスピ-ド、方向、距離を算出してテレビゲ-ム装置6に出力することにより、ボクシングゲ-ムのプログラムに従つてあたかも格闘技を行なつている様な雰囲気を味わうことができる。
なお、本実施例においては、TVゲ-ム装置にボクシングゲ-ムを採用した場合について説明したが、格闘技デ-ムに限ることなく遊戯者の身体の動きを入力情報とするTVゲ-ムであれば足りる。更に、テレビゲ-ム装置6は単独のゲ-ム専用機であつてもよく、一般のパソコンであつてもよい、そして、本実施例全体を1つの専用機として構成することも可能である。また、演算処理手段5において、画像の特徴抽出を確実に行なうために種々のデイジタル処理を行なうことが望ましい、そして、ビデオカメラ1のレンズがズ-ムレンズの場合には、焦点距離の変動により像の大きさが変化するので、演算処理手段5で補償する必要がある。」(第2頁左欄第17行〜第3頁左欄第8行)

(ウ)「〔効果〕
以上の様に構成された本発明は、遊戯者の身体の一部に取り付けられた指標を撮像手段で認識し、この撮像手段のビデオ信号出力をA-Dコンバ-タでデイジタル信号に変換し、このデイジタル信号をフレ-ム・バツフアに記憶し、前記撮像手段における指標の像の大きさから、撮像手段と指標との距離を演算処理手段で演算し、この距離信号をテレビゲ-ム装置の入力側に導入することによりゲ-ムを行うように構成されているので、ジヨイステイツク等のコントロ-ラを操作することなく、遊戯者の手足の動きを直接入力情報とすることができるという効果がある。
そして、特にボクシング等の格闘技ゲ-ムでは、遊戯者の腕に指標を取り付けることにより、パンチのスピ-ド、方向等を直接入力することができるので遊戯者が本当に相手と闘つている様な雰囲気を味わうことができ、コントロ-ラが不要なので幼児でもTVゲ-ムを楽しむことができるという卓越した効果がある。」(第3頁左欄第9行〜同頁右欄第10行)

以上の記載からみて、引用例1には次のような発明が記載されているものと認められる。
「遊戯者の身体の一部分に取り付けられた指標aと同色の色フィルタを備え、前記遊戯者の身体の一部分に取り付けられた指標aを認識するための撮像手段1と、この撮像手段1のビデオ信号出力をデイジタル信号に変換するためのA-Dコンバ-タ3と、このA-Dコンバ-タのデイジタル出力を記憶するためのフレ-ム・バツフア4と、このフレ-ム・バツフア4に接続され、撮像手段1における指標aの像の大きさから該指標aと撮像手段1との距離を演算するための演算処理手段5と、この演算処理手段5で演算された経時的に変化する距離に基づいて指標aの方向、速度を求める手段、これらの指標aと撮像手段1との距離、指標aの方向、指標aの速度を入力とするテレビゲ-ム装置6とからなる遊戯装置。」

(2)対比
本願発明と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「遊戯者の身体の一部分に取り付けられた指標a」は、本願発明の「操作子」に相当し、引用例1に記載された発明の「テレビゲーム装置6のディスプレイ61」は、本願発明の「表示装置」に相当し、引用例1に記載された発明の「テレビゲ-ム装置6のデイスプレイ61に表われた相手」は、本願発明の「オブジェクト画像」に相当し、引用例1に記載された発明の「指標aの像の大きさ」は、本願発明の「操作子の特定色領域の面積値」に相当し、引用例1に記載された発明の「遊戯者の繰り出すパンチのスピ-ド、方向、距離の情報」は、本願発明の「情報発生手段によって発生された情報」に相当し、引用例1に記載された発明の「遊戯装置」は、本願発明の「画像制御装置」に相当することは、明らかである。

そして、引用例1には、
「指標aの認識には、入力画像デ-タをあらかじめ設定された基準パタ-ン・デ-タと比較するパタ-ンマツチングや、色彩によるマツチング法が適用できる。また、ビデオカメラ1に白黒ITV(工業用カメラ)を採用し、指標aとほぼ同色の色フイルタをビデオカメラ1のレンズに装着すれば、極めて安価な認識装置を提供することができる。」(第2頁右欄第4〜11行)
との記載がなされており、この記載からみるに、引用例1には、指標aを含む撮像画像から、指標aに対応する特定色の色領域を抽出することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「特定色の操作子を撮像してなる撮像画像から当該操作子に対応する特定色領域領域を抽出する抽出手段」
を有する点で差異はない。
なお、注目画像を特定色としたクロマキー合成は、原審が拒絶の理由に引用した特開平1-228387号公報、及び、特開平4-127674号公報にその旨の記載があるように当業者には周知な技術事項である。

引用例1には、
(i)「撮像手段における指標の像の大きさから前記指標と前記撮像手段との距離を演算する演算処理手段」(第2頁左欄第1〜3行)
(ii)「前記撮像手段における指標の像の大きさから、撮像手段と指標との距離を演算処理手段で演算し、この距離信号をテレビゲ-ム装置の入力側に導入することにより、ゲ-ムを行なうものである。」(第2頁左欄第12〜16行)
(iii)「5は演算処理手段であつて、ビデオカメラ1における指標aの像の大きさから指標aとビデオカメラ1との距離を演算するものである。すなわち、まず遊戯者の指標aを認識し、ビデオカメラ1のレンズによる像の大きさを算出する必要がある。」(第2頁左欄第43行〜同頁右欄第2行)
(iv)「このレンズによる指標aの像の大きさは、レンズから指標aの距離が離れるに従つて小さくなる。すなわち、このレンズの像の大きさと前記距離の対応関係を演算処理手段5に記憶させれば、指標aの移動距離を算出することができる。更に、移動時間を検出すれば指標aの移動速度を算出することが可能となる。」(第2頁右欄第13〜19行)
(v)「本実施例ではボクシングゲ-ムのプログラムが収納されている。このテレビゲ-ム装置6の入力側には、遊戯者の繰り出すパンチの距離、方向、スピ-ド等が入力される様になつている。遊戯者が腕の一部分に指標aを取り付ければ、演算処理手段5によりパンチの距離、方向、スピ-ドを算出することができる。特に指標aを球体にすれば、撮影方向に関係なくパンチのスピ-ド等を計算することができる。
以上の様に構成された本実施例は、遊戯者の腕の一部分に指標aを取り付け、遊戯者がテレビゲ-ム装置6のデイスプレイ61に表われた相手に向かつてパンチを繰り出せば、ビデオカメラ1が遊戯者を撮影し、演算処理手段5が指標aを認識するとともに、遊戯者のパンチのスピ-ド、方向、距離を算出してテレビゲ-ム装置6に出力することにより、ボクシングゲ-ムのプログラムに従つてあたかも格闘技を行なつている様な雰囲気を味わうことができる。」(第2頁右欄第20〜38行)
(vi)「前記撮像手段における指標の像の大きさから、撮像手段と指標との距離を演算処理手段で演算し、この距離信号をテレビゲ-ム装置の入力側に導入することによりゲ-ムを行うように構成されているので、ジョイステック等のコントローラを操作することなく、遊戯者の手足の動きを直接入力情報とすることができるという効果がある。」(第3頁左欄第14行〜同頁右欄第3行)
との記載がなされており、これら(i)〜(vi)の記載からみるに、引用例1には、ボクシングゲームにおいて、遊戯者の腕の一部分に取り付けられた指標aに対応する特定色領域の像の大きさ、すなわち面積を演算し、この面積の経時変化から遊戯者の繰り出すパンチのスピード、方向、距離等の情報を発生することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「この抽出手段により抽出される特定色領域の面積値の経時変化に応じた情報を発生する情報発生手段」
を有する点で差異はない。

引用例1には、
「以上の様に構成された本実施例は、遊戯者の腕の一部分に指標aを取り付け、遊戯者がテレビゲ-ム装置6のデイスプレイ61に表われた相手に向かつてパンチを繰り出せば、ビデオカメラ1が遊戯者を撮影し、演算処理手段5が指標aを認識するとともに、遊戯者のパンチのスピ-ド、方向、距離を算出してテレビゲ-ム装置6に出力することにより、ボクシングゲ-ムのプログラムに従つてあたかも格闘技を行なつている様な雰囲気を味わうことができる。」
との記載がなされており、この記載からみるに、引用例1には、ゲーム上での対戦相手の画像(オブジェクト画像)を、遊戯者の繰り出すパンチのスピ-ド、方向、距離に応じてテレビゲーム装置6に表示することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
「情報発生手段によって発生された情報に基づいて、対応するオブジェクト画像を表示する表示手段」
を有する点で差異はない。

そうすると、本願発明と引用例1に記載された発明とは、
(一致点)
「特定色の操作子を撮像してなる撮像画像から当該操作子に対応する特定色領域領域を抽出する抽出手段と、
この抽出手段により抽出される特定色領域の面積値の経時変化に応じた情報を発生する情報発生手段と、
前記情報発生手段によって発生された情報に基づいて、対応するオブジェクト画像を表示する表示手段と
を具備することを特徴とする画像制御装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明は、複数のオブジェクト画像を記憶する記憶手段を有し、情報発生手段によって発生された情報に基づいて、前記記憶手段より対応するオブジェクト画像を読み出しているのに対して、引用例1に記載された発明は、ゲーム上での対戦相手の複数の画像(オブジェクト画像)を記憶する記憶装置を有し、遊戯者の繰り出すパンチのスピ-ド、方向、距離に応じて対戦相手の画像(オブジェクト画像)を前記記憶手段より読み出しているとは明記しない点。

(3)判断
上記相違点について判断するに、ゲーム上の対戦相手であるプレーヤの画像を遊戯者の動きに応じて記憶装置から読み出し表示装置に表示することは、ゲーム装置やシミュレーション装置の技術分野においては、当業者の周知自明な技術常識であるところ、例えば、次の刊行物1〜3、すなわち、
1.実願昭62-153140号(実開昭64-56289号)の願書に添付した明細書及び図面の内容を撮影したマイクロフィルム(昭和64年4月7日特許庁発行)
2.特開平05-309174号公報、
3.特開昭63-135188号公報、
には、ゲーム上の対戦相手のキャラクタ画像(オブジェクト画像)を記憶装置に記憶しておき、遊戯者の操作または動きに応じて該画像を読み出して表示することが開示されている。
したがって、引用例1に記載された発明に、前記周知技術事項を適用することにより、本願発明の如く、複数のオブジェクト画像を記憶する記憶手段を有し、情報発生手段によって発生された情報に基づいて、前記記憶手段より対応するオブジェクト画像を読み出すように構成することは、当業者が適宜なし得ることである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-28 
結審通知日 2006-08-08 
審決日 2006-08-24 
出願番号 特願平6-204650
審決分類 P 1 8・ 574- Z (G06T)
P 1 8・ 121- Z (G06T)
P 1 8・ 572- Z (G06T)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松尾 俊介  
特許庁審判長 関川 正志
特許庁審判官 鈴木 明
伊知地 和之
発明の名称 画像制御装置および画像制御方法  

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