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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1146178 |
審判番号 | 不服2002-14498 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-10-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-08-01 |
確定日 | 2006-11-02 |
事件の表示 | 特願2001- 42466「エンタテインメントシステム、エンタテインメント装置、記録媒体及びプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成13年10月30日出願公開、特開2001-300144〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.出願の経緯 本願は、特許法第41条に基づく優先権主張を伴う平成13年2月19日(優先日:平成12年2月18日、出願番号:特願2000-42063号)の出願であって、平成14年5月31日付で手続補正がなされた後、同年6月20日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月1日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月29日付で手続補正がなされたものである。 第2.平成14年8月29日付の手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成14年8月29日付の手続補正(以下、本件補正という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正の内容 本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の 「【請求項1】 各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムにおいて、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段を有し、 前記アイテム処理手段は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項2】 請求項1記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム処理手段は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示され、かつ、アイテムを持ったキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムの収納装置を示す画像に移動するシーンと、 前記キャラクタが前記収納装置の画像の位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを前記収納装置に収納するシーンとを表示するアイテム収納手段を含むことを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項3】 請求項1又は2記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム処理手段は、取得したアイテムを、ネットワークを介して接続された他のユーザのエンタテインメント装置に転送するアイテム転送手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項4】 請求項3記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム転送手段は、前記アイテムを他のユーザに転送する際に、少なくとも前記アイテムの種類を示すコードを転送し、 前記アイテム処理手段は、転送されたコードに基づいて前記アイテムを表示するアイテム表示手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム処理手段は、前記取得したアイテムを前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを使用するシーンと、前記キャラクタがアイテムを換金するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させるシーン実行手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項6】 請求項5記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム処理手段は、前記仮想のお金を前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを購入するシーンと、前記キャラクタが別のキャラクタを購入するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させる第2のシーン実行手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項7】 少なくとも使用者による操作要求を出力する操作装置と画像を表示するための表示装置が接続可能とされたエンタテインメント装置において、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段を有し、 前記アイテム処理手段は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段を有することを特徴とするエンタテインメント装置。 【請求項8】 各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムを、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段として機能させるためのプログラムを記録した前記エンタテインメント装置にて読み取り可能な記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段としての機能を有することを特徴とする記録媒体。 【請求項9】 請求項8記載の記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示され、かつ、アイテムを持ったキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムの収納装置を示す画像に移動するシーンと、 前記キャラクタが前記収納装置の画像の位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを前記収納装置に収納するシーンとを表示するアイテム収納手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項10】 請求項8又は9記載の記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、取得したアイテムを、ネットワークを介して接続された他のユーザのエンタテインメント装置に転送するアイテム転送手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項11】 請求項10記載の記録媒体において、 前記アイテム転送手段としての機能は、前記アイテムを他のユーザに転送する際に、少なくとも前記アイテムの種類を示すコードを転送する機能を有し、 前記アイテム処理手段は、転送されたコードに基づいて前記アイテムを表示するアイテム表示手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項12】 請求項8〜11のいずれか1項に記載の記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、前記取得したアイテムを前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを使用するシーンと、前記キャラクタがアイテムを換金するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させるシーン実行手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項13】 請求項12記載の記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、前記仮想のお金を前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを購入するシーンと、前記キャラクタが別のキャラクタを購入するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させる第2のシーン実行手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項14】 各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムを、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段として機能させるためのプログラムにおいて、 前記アイテム処理手段としての機能は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段としての機能を有することを特徴とするプログラム。」 という記載を、 「【請求項1】 各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムにおいて、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段を有し、 前記アイテム処理手段は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段と、 取り出したアイテムを、ネットワークを介して接続された他のユーザのエンタテインメント装置に転送するアイテム転送手段とを有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項2】 請求項1記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム処理手段は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示され、かつ、アイテムを持ったキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムの収納装置を示す画像に移動するシーンと、 前記キャラクタが前記収納装置の画像の位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを前記収納装置に収納するシーンとを表示するアイテム収納手段を含むことを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項3】 請求項1又は2記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム転送手段は、前記アイテムを他のユーザに転送する際に、少なくとも前記アイテムの種類を示すコードを転送し、 前記アイテム処理手段は、転送されたコードに基づいて前記アイテムを表示するアイテム表示手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム処理手段は、前記取得したアイテムを前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを使用するシーンと、前記キャラクタがアイテムを換金するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させるシーン実行手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項5】 請求項4記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテム処理手段は、前記仮想のお金を前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを購入するシーンと、前記キャラクタが別のキャラクタを購入するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させる第2のシーン実行手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテムは、前記表示装置にビデオゲームに関する情報を表示する場合であって、前記ビデオゲームの雰囲気を変化させるものであることを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項7】 請求項6記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテムは、前記キャラクタの家をリフォームさせるシーンを表示するためのリフォームクーポンであり、前記キャラクタがビデオゲーム内で前記リフォームクーポンを使用することで、大工を示すキャラクタが現れるシーンが表示されることを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項8】 請求項6記載のエンタテインメントシステムにおいて、 前記アイテムは、前記キャラクタの家を掃除するシーンを表示するためのクリーンクーポンであり、前記キャラクタがビデオゲーム内で前記クリーンクーポンを使用することで、掃除を行うキャラクタが現れるシーンが表示されることを特徴とするエンタテインメントシステム。 【請求項9】 少なくとも使用者による操作要求を出力する操作装置と画像を表示するための表示装置が接続可能とされたエンタテインメント装置において、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段を有し、 前記アイテム処理手段は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段と、 取り出したアイテムを、ネットワークを介して接続された他のユーザのエンタテインメント装置に転送するアイテム転送手段とを有することを特徴とするエンタテインメント装置。 【請求項10】 各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムを、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段として機能させるためのプログラムを記録した前記エンタテインメント装置にて読み取り可能な記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段としての機能、及び、 取り出したアイテムを、ネットワークを介して接続された他のユーザのエンタテインメント装置に転送するアイテム転送手段としての機能を有することを特徴とする記録媒体。 【請求項11】 請求項10記載の記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示され、かつ、アイテムを持ったキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムの収納装置を示す画像に移動するシーンと、 前記キャラクタが前記収納装置の画像の位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを前記収納装置に収納するシーンとを表示するアイテム収納手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項12】 請求項11又は12記載の記録媒体において、 前記アイテム転送手段としての機能は、前記アイテムを他のユーザに転送する際に、少なくとも前記アイテムの種類を示すコードを転送する機能を有し、 前記アイテム処理手段は、転送されたコードに基づいて前記アイテムを表示するアイテム表示手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項13】 請求項10〜12のいずれか1項に記載の記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、前記取得したアイテムを前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを使用するシーンと、前記キャラクタがアイテムを換金するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させるシーン実行手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項14】 請求項13記載の記録媒体において、 前記アイテム処理手段としての機能は、前記仮想のお金を前記キャラクタに渡したときに、前記使用者の選択操作に従って、少なくとも前記キャラクタが前記アイテムを購入するシーンと、前記キャラクタが別のキャラクタを購入するシーンを含む複数のシーンから1つのシーンを選択して実行させる第2のシーン実行手段としての機能を有すること を特徴とする記録媒体。 【請求項15】 各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムを、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段として機能させるためのプログラムにおいて、 前記アイテム処理手段としての機能は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段としての機能、及び、 取り出したアイテムを、ネットワークを介して接続された他のユーザのエンタテインメント装置に転送するアイテム転送手段としての機能を有することを特徴とするプログラム。」 と補正することを含むものである。 2.補正の適否についての検討 本件補正は、請求人が、審判請求書(平成14年11月6日付け方式補正)において説明するように以下(1)〜(7)の補正を含むものである。 (1)請求項1と請求項3とを統合し、新たな請求項1とする補正 (2)請求項4、5、6をそれぞれ新たな請求項3、4、5に繰り上げる補正 (3)新たな請求項6、7、8を追加する補正 (4)請求項7と請求項10とを統合し、新たな請求項9とする補正 (5)請求項8と請求項10とを統合し、新たな請求項10とする補正 (6)請求項9、11、12、13をそれぞれ新たな請求項11、12、13、14に繰り下げる補正 (7)請求項14と請求項10とを統合し新たな請求項15とする補正 つまり、本件補正は、上記(3)の記載からもわかるように新たな請求項である請求項6乃至8の3項を追加するものであり、特許請求の範囲に記載された請求項の項数自体も補正前の14個の請求項から補正後の15個の請求項へと1項増加しているものである。 そして、知財高裁において「・・・(特許法第17条の2第4項第)2号の規定は,請求項の発明特定事項を限定して,これを減縮補正することによって,当該請求項がそのままその補正後の請求項として維持されるという態様による補正を定めたものとみるのが相当であって,当該一つの請求項を削除して新たな請求項をたてるとか,当該一つの請求項に係る発明を複数の請求項に分割して新たな請求項を追加するというような態様による補正を予定しているものではないというべきである。・・・一つの請求項に記載された発明を複数の請求項に分割して,新たな請求項を追加する態様による補正は,たとえそれが全体として一つの請求項に記載された発明特定事項を限定する趣旨でされたものであるとしても,2号の定める「特許請求の範囲の減縮」には当たらないというべきであり,2号の定める「特許請求の範囲の減縮」は,補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあることを必要とすると解するのが相当である。」(平成17(行ケ)第10192号)と判示されているように、新たな請求項を追加することは、特許法第17条の2第4項第2号の定める「特許請求の範囲の減縮」に該当しないものである。 したがって、本件補正により新たに増加した請求項は、新たな請求項を追加する態様によるものであって、補正前後の請求項に係る発明が一対一の対応関係にあるとはいえないので、本件補正の目的は、特許法第17条の2第4項第2号の定める「特許請求の範囲の減縮」に該当するとはいえない。 また、新たな請求項を追加する態様による補正が、特許法第17条の2第1号に規定する請求項の削除、同項第3号に規定する誤記の訂正、同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明の何れの目的にも該当しないことは明らかである。 3.むすび 以上のとおりであり、本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に掲げる事項を目的とする補正に該当しないものであり、さらに、同項第1号に規定する請求項の削除、同項第3号に規定する誤記の訂正、同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明の何れの目的にも該当しないことも明らかなので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 第3.本願発明に関する検討 1.本願発明 平成14年8月29日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1乃至14に係る発明は、平成14年5月31日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1乃至14に記載されたとおりのものであるところ、請求項1に記載された発明(以下、本願発明という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムにおいて、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段を有し、 前記アイテム処理手段は、 前記表示装置に表示された前記使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、 運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、 前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するアイテム取得手段を有することを特徴とするエンタテインメントシステム。」 2.引用文献に記載された発明 原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-267359号公報(以下、引用文献という。)には、以下の事項が記載されている。 ・記載事項1 「図1は本発明の一実施形態としてのゲームシステムを示す構成図である。このゲームシステムは、ゲーム機本体と、プログラムデータが記録された記録媒体30とからなる。ゲーム機本体は、CPU1と、このCPU1に接続されたアドレス、データ及びコントロールバスからなるバス2と、このバス2に接続された各構成要素とからなる。 バス2には、・・・描画処理プロセッサ10・・・インターフェース回路20・・・が接続されている。 また、描画処理プロセッサ10にテレビジョンモニタ(以下、単に「モニタ」という。)12が接続され、・・・インターフェース回路20に、・・・コントローラ22が接続されている。」(段落【0016】〜【0018】) ・記載事項2 「コントローラ22は、外部から操作可能な操作手段として、第1左ボタン22L1、第2左ボタン22L2、第1右ボタン22R1、第2右ボタン22R2、上方向キー22U、下方向キー22D、左方向キー22L、右方向キー22R、スタートボタン22a、セレクトボタン22b、第1ボタン22c、第2ボタン22d、第3ボタン22e及び第4ボタン22fを備え、ゲームプレーヤが操作するもので、それぞれ操作に応じた操作信号を出力する。 上方向キー22U、下方向キー22D、左方向キー22L、及び右方向キー22Rは、CPU1に対して、例えばゲームプレーヤがキャラクタを画面上で上下左右に移動させるコマンドを与えたり、メニュー画面でアイコンの選択を移動させるコマンドを与えるものである。」(段落【0048】〜【0049】) ・記載事項3 「電源スイッチ(図略)がオンにされ、ゲームシステムに電源が投入される。この時、記録媒体30が記録媒体ドライバ19に装填されていると、CPU1が、ROM6に記憶されているオペレーティングシステムに基づいて、記録媒体ドライバ19に対し記録媒体30からのプログラムデータの読み出しを指示する。・・・ CPU1は、メインメモリ5に記憶されているゲームプログラムデータ、並びにゲームプレーヤが、コントローラ22を介して指示する内容に基づいて、ゲームを進行する。即ち、CPU1は、コントローラ22を介してゲームプレーヤから指示される指示内容に基づいて、適宜、画像処理の制御、音声処理の制御、内部処理の制御を行う。 画像処理の制御とは、本実施形態においては、キャラクタに指示されるアニメに該当するパターンデータから、各スケルトンの座標の計算乃至ポリゴンの頂点座標データの計算、得られた3次元座標データや視点位置データのグラフィックスデータ生成プロセッサ3への供給、グラフィックスデータ生成プロセッサ3が求めたバッファ11の表示エリア上のアドレスデータや輝度データを含む描画命令の発行等である。」(段落【0052】〜【0056】) ・記載事項4 「CPU1は、機能ブロックとして、コントローラ検出手段41、・・・及び設定変更手段52を備えている。」(段落【0066】) ・記載事項5 「図3〜図5を用いて、ゲームの手順について説明する。図3は本ビデオゲームの手順を示すフローチャート・・・を示す図である。 ・・・ゲームが開始されると、まず、第1のキャラクタと第2のキャラクタとが並んで主人公を選択する選択画面がモニタ12に表示され(ステップST100)、次いで、プレーヤによりコントローラ22を操作することによって主人公が選択される(ステップST110)。」(段落【0081】〜【0083】) ・記載事項6 「図3に戻り、続いて、独自イベントとして、コントローラ22の操作により主人公が例えば薬草等のアイテムを拾得するような場面が設定されている(ステップST140)。」(段落【0088】) ・記載事項7 「図3に戻り、続いて、独自イベントとして、第1のゲームと同様に、コントローラ22の操作により主人公が例えば薬草等のアイテムを拾得するような場面が設定されている(ステップST220)。」(段落【0095】) ・記載事項8 「上記実施形態では、戦闘ゲームに適用しているが、これに限られず、アドベンチャーゲームなどに適用することができる。」(段落【0126】) これらの記載、ならびに、図1乃至8によれば、引用文献には、以下の発明が記載されているものと認められる。 「オペレーティングシステム、及び、ゲームプログラムに基づいて制御を行うCPU1を含むゲーム機本体と、 CPU1に接続されたインターフェース回路20に接続されているコントローラ22と、 CPU1に接続された描画処理プロセッサ10に接続されているモニタ12とを有するゲームシステムにおいて、 コントローラ22は、ゲームプレーヤがキャラクタを画面上で上下左右に移動させるコマンドを与えたり、メニュー画面でアイコンの選択を移動させるコマンドを与えたりするものであって、 CPU1は、コントローラ22を介してゲームプレーヤから指示される指示内容に基づいて、キャラクタに指示されるアニメに該当するパターンデータから描画命令を発行する画像処理の制御を行うものであって、 ゲームの手順において、コントローラ22の操作により主人公がアイテムを拾得するような場面が設定されているゲームシステム。」(以下、「引用発明」という。) 3.本願発明と引用発明との対比 ・対応関係1 引用発明の「ゲーム機本体」は、本願発明の「各種プログラムを実行するエンタテインメント装置」に、以下同様に「ゲームプレーヤ」は「使用者」に、「コントローラ22」は「使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置」に、「モニタ12」は「エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置」に、「ゲームシステム」は「エンタテインメントシステム」に、「キャラクタ」及び「主人公」は「キャラクタ」に、「アイテム」は「アイテム」にそれぞれ相当する。 ・対応関係2 引用発明におけるゲームには、主人公がアイテムを拾得するような場面が設定されているものであり、引用発明は、表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行っており、使用者の操作入力に従ってキャラクタがアイテムを拾得するものである。 そして、CPUで行うゲームにおける処理を1つの機能ブロックとして表現することは、上記記載事項4でもなされているように周知の表現方法である。 してみれば、引用発明は、表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段を有するものであり、当該アイテム処理手段と本願発明におけるアイテム処理手段とは、使用者の操作入力に従ってキャラクタがアイテムを拾得するアイテム取得手段を有する点において共通しているものである。 ・一致点 よって、本願発明及び引用発明は、 「各種プログラムを実行するエンタテインメント装置と、 使用者による操作要求を前記エンタテインメント装置に入力する少なくとも1つの操作装置と、 前記エンタテインメント装置から出力された画像を表示する表示装置とを有するエンタテインメントシステムにおいて、 前記表示装置に表示されたキャラクタが取り扱うアイテムに関する処理を行うアイテム処理手段を有し、 前記アイテム処理手段は、使用者の操作入力に従ってキャラクタがアイテムを拾得するアイテム取得手段を有するエンタテインメントシステム。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 ・相違点 アイテム取得手段が、本願発明は、表示装置に表示された使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するシーンと、運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示するものであるのに対して、引用発明は、そのように構成されていない点。(以下、相違点という。) 4.相違点についての検討 ・相違点について (1)引用発明は、使用者の操作入力に従ってキャラクタを移動させることができるものである。 そして、ゲームにおいて、キャラクタをアイテムのあるところに移動させてアイテムを拾得するゲーム制御を行うもの、及び、キャラクタを移動させる方法として、使用者を象徴する画像によってキャラクタを運搬させるものは、本願出願より前に発売されていたゲーム「テーマパーク」(※1)、「グーグートロプス」(※2)において実現されているように周知のものである。 してみれば、引用発明において、アイテムの拾得にあたって、表示装置に表示された使用者を象徴する画像が、前記表示装置に表示されたキャラクタを前記使用者の操作入力に従って運搬するように設定することに格別の困難性はない。 (2)引用発明は、アニメに該当するパターンデータから描画命令を発行するものであり、引用発明において、アイテムの拾得にあたって、シーンの表示を行うことに格別の困難性はない。 (3)ゲームにおいて、現実世界の動作をゲーム演出に取り入れることは一般的になされているところ、現実世界において、ものを拾得するにあたって、ものがあると思われる位置に移動する動作、前記位置付記に近づいたときにものを探す動作、及び、当該ものを取り出す動作を行うことは通常のことであるから、引用発明に前記各動作を演出として採用することに格別の困難性はない。 以上(1)乃至(3)での検討によれば、引用発明のアイテムの拾得にあたって、運搬された前記キャラクタがアイテムを探すシーンと、前記キャラクタがアイテムの設置位置に到達したとき、前記キャラクタがアイテムを取り出すシーンとを表示することに格別の困難性はなく、前記相違点に係る本願発明の構成のようにすることは、当業者が容易になし得ることである。 ※1 「テーマパーク」については、下記周知文献1を参照されたい。 周知文献1:スーパーファミコン完全攻略シリーズ125 テーマパーク必勝攻略法、ファイティングスタジオ、1997年11月30日、第2版、第16ページ 上記周知文献1において、「ピンセット」が、本願発明の「使用者を象徴する画像」に相当するものである。 ※2 「グーグートロプス」については、下記周知文献2及び3を参照されたい。 周知文献2:電撃PlayStation、メディアワークス、1998年11月27日、第4巻第27号、第160〜161ページ 周知文献3:グーグートロプス公式ガイドブック、株式会社エニックス、1999年2月18日、初版、第8ページ 上記周知文献2及び3において、「ベル」が、本願発明の「使用者を象徴する画像」に相当するものである。 ・効果について 本願発明の効果が、引用発明、及び、周知事項に基づく効果の総和以上の格別なものとは認められない。 5.まとめ したがって、本願発明は、引用発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明、及び、周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-01 |
結審通知日 | 2006-09-05 |
審決日 | 2006-09-19 |
出願番号 | 特願2001-42466(P2001-42466) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63F)
P 1 8・ 572- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 武田 悟 |
特許庁審判長 |
中村 和夫 |
特許庁審判官 |
宮本 昭彦 塩崎 進 |
発明の名称 | エンタテインメントシステム、エンタテインメント装置、記録媒体及びプログラム |
代理人 | 千葉 剛宏 |
代理人 | 土屋 洋 |