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審決分類 |
審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 D06F 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 D06F 審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 D06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 D06F 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 D06F |
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管理番号 | 1146209 |
審判番号 | 不服2004-553 |
総通号数 | 84 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-11-06 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-01-08 |
確定日 | 2006-11-02 |
事件の表示 | 特願2000-131113号「家庭用の超音波洗浄装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月6日出願公開、特開2001-310095号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成12年4月28日の出願であって、平成15年12月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し平成16年1月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年2月9日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年2月9日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年2月9日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 本件補正は、平成15年9月25日付け手続補正により補正された特許請求の範囲に、新たな請求項5を加える補正を含むものである。 この補正は、特許法第17条の2第4項の各号に規定する目的のいずれを目的とするものでもない。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第4項の項定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本願発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、拒絶査定時の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「圧電体を用いた超音波振動子の前側に前部超音波ホーンが接合され、且つ前記超音波振動子の後側に後部超音波ホーンが接合されてなる超音波振動部を備え、前記超音波ホーンの先端部に被洗浄物を接触させて被洗浄物の洗浄を行う家庭用の超音波洗浄装置であって、 前記超音波振動子はランジュバン型超音波振動子であり、前記前部超音波ホーンの先端面が略平面であり、且つ前記先端面が軸比Rを有し、その軸比Rが3≦R≦10の範囲に設定され、且つ前記ランジュバン型超音波振動子の消費電力が8W以下に設定されると共に、前記圧電体における前記前部超音波ホーンと接合する面の面積S1が3.14cm2以下であり、且つ前記前部超音波ホーンの前記先端面の面積S2が20mm2≦S2≦140mm2であることを特徴とする家庭用の超音波洗浄装置。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由に引用した特開平6-218337号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。 ア.「本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、洗浄槽を不要とし任意の被洗浄物を任意方向から照射洗浄できる可搬形の超音波洗浄機を提供することにある。」(段落【0004】) イ.「【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例に係る超音波洗浄機を示す。本装置は、発振器1と可搬形の箱体2とで基本的に構成される。 【0010】箱体2は、例えば直方体形状のもので、内部に振動子21とこの振動子21の励振端を冷却するファン25とを配置してある。振動子21の出力端にはコーン22を介してホーン23の一端が連結されるが、コーン22を箱体2の側壁に固定してホーン23の他端を箱体2の外部に突出させてある。 【0011】振動子21は、例えば従来の洗浄機で用いられているボルト締めランジュバン型超音波振動子であり、従来と同様に発振器1から超音波周波電気信号を受けて超音波振動を発生する。この振動はコーン22を介してホーン23に伝達されその他端先端面から放射されるが、コーン22は省略される場合もある。この場合はホーン23がその途中を箱体2の側壁に固定されることになる。 【0012】また、箱体2には、外部から挿通され通過するホース24が支持される。このホース24は、図外に向かう一端が例えば水道の蛇口に連結され、他端は図示するように箱体2の側壁から外部に突出したホーン23の他端の側端面に連結される。 【0013】即ち、ホーン23の他端は、例えば図2に示すように平板状になっており、内部に、その先端面に開口部を有する縦穴(図示例では4個)26とこれらの縦穴26の基端を相互に連通し側端面に開口部を有する横穴27とが設けられ、この横穴27の開口部に継手28を介してホース24の他端が接続される。要するに、ホーン23の他端先端面から水道水が洗浄液として流れ出るようになっているのである。 【0014】なお、ホーン23の他端先端面は、図2に示すように垂直平坦面でもよいが、図3(a)に示すように段付きでもよく、また図3(b)に示すように傾斜面としてもよい。」(段落【0009】〜【0014】) そして、図2には、ホーン23の先端面を長方形とした態様が図示されている。 上記記載事項及び図示内容から、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「任意の被洗浄物を任意方向から照射洗浄できる可搬形の超音波洗浄機であって、 箱体2の内部に振動子21を配置し、該振動子21は、ボルト締めランジュバン型超音波振動子であり、振動子21の出力端にはコーン22を介してホーン23の一端が連結され、ホーン23の他端は箱体2の外部に突出させ、その先端面は、長方形の平坦面である超音波洗浄機。」 (2)対比・判断 本願発明と引用発明とを対比すると、後者の「振動子21」、「ホーン23」、「超音波洗浄機」は、その機能ないし構造からみて、それぞれ、前者の「超音波振動子」、「前部超音波ホーン」、「超音波洗浄装置」に相当する。 そして、ボルト締めランジュバン型超音波振動子は、圧電体を用いた超音波振動子の前側に前部超音波ホーンが接合され、且つ前記超音波振動子の後側に後部超音波ホーンが接合されてなる超音波振動部を構成するものであるから、両者は、 「圧電体を用いた超音波振動子の前側に前部超音波ホーンが接合され、且つ前記超音波振動子の後側に後部超音波ホーンが接合されてなる超音波振動部を備え、被洗浄物の洗浄を行う超音波洗浄装置であって、 前記超音波振動子はランジュバン型超音波振動子であり、前記前部超音波ホーンの先端面が略平面である超音波洗浄装置。」である点で一致しており、次の点で相違する。 相違点1:本願発明は、超音波ホーンの先端部に被洗浄物を接触させて被洗浄物の洗浄を行うのに対し、引用発明は、超音波ホーンの先端部に被洗浄物を接触させるか否か不明である点。 相違点2:本願発明は「家庭用」であるのに対し、引用発明は「家庭用」であるのか不明である点。 相違点3:本願発明は、「前記先端面が軸比Rを有し、その軸比Rが3≦R≦10の範囲に設定され、且つ前記ランジュバン型超音波振動子の消費電力が8W以下に設定されると共に、前記圧電体における前記前部超音波ホーンと接合する面の面積S1が3.14cm2以下であり、且つ前記前部超音波ホーンの前記先端面の面積S2が20mm2≦S2≦140mm2である」のに対し、引用発明は、先端面が長方形であるから、軸比Rを有すると認められるものの、その軸比Rの値が不明であり、ランジュバン型超音波振動子の消費電力、圧電体における前記前部超音波ホーンと接合する面の面積S1及び前部超音波ホーンの前記先端面の面積S2について、その値が不明である点。 まず、相違点1について検討すると、超音波ホーンの先端部又は実質的に超音波ホーンの先端部であるといえる部分に被洗浄物を接触させて被洗浄物の洗浄を行うことは、例えば、特開平8-1104号公報、国際公開第99/42553号パンフレット等に記載されているように従来周知の技術であるから、引用発明をそのようなものとして用いて、相違点1に係る本願発明の特定事項とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 相違点2について検討すると、超音波洗浄装置を家庭用として用いることは普通に行われているところであり、本願発明は家庭用とするための特段の構成を備えたものでもないから、引用発明のものを「家庭用」とすることも当業者が容易に想到し得ることである。 相違点3について検討する。 軸比Rをどのように設定するかは適宜選択する事項にすぎず、本願発明における数値限定に臨界的意義を認めることもできないから、この点は当業者が適宜なし得る設計的事項にすぎない。 また、超音波振動子の消費電力、圧電体における前部超音波ホーンと接合する面の面積S1及び前部超音波ホーンの前記先端面の面積S2は、被洗浄物に対応して選定すべき設計的事項である上、原査定の拒絶の理由に引用した、実願平3-8092号(実開平4-98470号)のマイクロフィルムに記載されたものも、S1が3.14cm2以下、20mm2≦S2≦140mm2の条件を満たしており、更に、国際公開第99/42553号パンフレットには、8W以下の低電力で駆動するものが記載されているように、それらの値は特別なものではない。 そして、本願発明における、それらの数値限定に臨界的意義を認めることもできないから、相違点3に係る本願発明の特定事項とすることは当業者が容易に想到し得ることである。 また、相違点1ないし3に係る本願発明の特定事項とすることによる効果も、当業者が予測し得る範囲のものであって格別のものは認められない。 (3)むすび したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-08-31 |
結審通知日 | 2006-09-05 |
審決日 | 2006-09-19 |
出願番号 | 特願2000-131113(P2000-131113) |
審決分類 |
P
1
8・
571-
Z
(D06F)
P 1 8・ 573- Z (D06F) P 1 8・ 572- Z (D06F) P 1 8・ 121- Z (D06F) P 1 8・ 574- Z (D06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 由希子、金丸 治之 |
特許庁審判長 |
阿部 寛 |
特許庁審判官 |
下原 浩嗣 一色 貞好 |
発明の名称 | 家庭用の超音波洗浄装置 |
代理人 | 三好 秀和 |