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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1146223
審判番号 不服2004-3904  
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-05-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-26 
確定日 2006-11-02 
事件の表示 平成8年特許願第284369号「データ処理装置及び電子部品装着装置」拒絶査定不服審判事件〔平成10年5月22日出願公開、特開平10-135700〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成8年10月25日の出願であって、本願の請求項1〜6に係る発明は、平成15年12月25日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものと認める(請求項1に係る発明を、以下「本願発明」という。)。
「電子部品の寸法・形状等に関する部品データを処理するデータ処理装置において、部品を撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した部品像に前記部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成されたグラフィックを重ねて表示する表示手段を設けたことを特徴とするデータ処理装置。」

2.引用刊行物およびその記載事項
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開平8-236990号公報(以下、「刊行物1」という。)には「部品データ作成方法」に関して、図1〜7とともに以下の記載がある。
イ)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子部品自動実装機において電子部品の寸法や形状などのデータを記憶しておく部品データライブラリを作成する場合に好適に利用できる部品データ作成方法に関するものである。」
ロ)「【0010】
【作用】本願の第1発明によれば、画像表示された部品画像上で寸法測定位置を教示するだけで、寸法測定位置間の距離が算出されて高精度の測定ができ、少ない工数にて誤差の小さい部品データを得ることができる。
【0011】また、第2発明によれば、部品データから部品の形状を示す画像を描画して表示し、対象部品の画像と比較することにより、部品データの正誤の確認、又は対象部品の正誤の確認を容易に行なうことができる。」
ハ)「【0013】まず、図3を参照して電子部品自動実装機の概略構成を説明する。図3において、1は操作盤、2は電子部品を吸着して基板上に実装する実装ヘッド、3は電子部品を実装すべき基板を位置決めするXYテーブル、4は電子部品を認識する認識カメラ、5は部品供給部、6は制御部、7は画像表示部であり、制御部6内には部品データライブラリが記憶され保持されている。部品データライブラリに保持されている部品データは、例えば図4(a)に示すように電子部品8がチップコンデンサの場合、図4(b)に示すように、電子部品8の長さ、幅、及び電極の幅(左右)の寸法等から成っている。」
ニ)「【0015】以上のように使用される部品データライブラリの作成方法について、図1を参照しながら説明する。まず、ステップ#1で部品データを作成すべき電子部品を実装ヘッド2の先端部に吸着し、認識カメラ4にて認識する。次に、ステップ#2で電子部品の画像を画像表示部7に表示する。・・・次に、ステップ#3、#4で操作盤1のキー操作により測定位置教示ポイント10aを移動させ、図5に示すように、画像上で測定を行いたい部分の一方の部品端に測定位置教示ポイント10aを一致させ、一致するとステップ#5で位置を決定する。次に、ステップ#6、#7で操作盤1のキー操作により他方の測定位置教示ポイント10bを移動させ、画像上で測定を行いたい部分の他方の部品端に測定位置教示ポイント10bを一致させ、一致するとステップ#8で位置を決定する。測定位置教示ポイント10a、10bの位置が決定すると、ステップ#9で部品画像9上の教示ポイント10a、10b間の画像上の長さを算出する。・・・次に、ステップ#10で算出された部品寸法を部品データとして部品データライブラリに記憶する。次に、ステップ#11で電子部品8の部品データとして必要な寸法についてステップ#3〜#10の動作を繰り返す。次に、ステップ#12で全ての電子部品についてステップ#3〜#11の動作を繰り返すことにより、部品データライブラリの作成を終了する。」
ホ)「【0017】次に、上述のようにして部品データライブラリが作成された後の部品データライブラリの部品データの確認、及び実装ヘッド2による吸着部品の確認方法について図2を参照しながら説明する。
【0018】まず、ステップ#21で部品データライブラリに記憶、保持されている部品データをもとに、図6に示すように、その輪郭線から成る部品形状を示す画像11を画像表示部7に描画する。次に、ステップ#22で実装ヘッド2にて対象とする電子部品8を吸着して認識カメラ4にて認識し、その部品画像12を部品形状を示す画像11と同時に画像表示部7に表示する。次に、ステップ#23で電子部品の部品画像12を操作盤1のキー操作により移動した後、ステップ#24で操作者が部品画像12と部品形状を示す画像11を比較し、部品の形状や部品各部の寸法が一致しているかどうかを判定する。その結果、一致していれば、ステップ#25で部品供給部5に正しい部品がセットされていることが確認され、又は部品データライブラリのデータが正しいことが確認される。一方、一致していなければ、ステップ#26で部品供給部5に間違った部品がセットされていることが確認され、又は部品データライブラリのデータが誤っていることが確認される。次に、ステップ#27で電子部品の確認を行なった後、処理を終了する。
【0019】以上のように、部品データから部品形状を示す画像を表示し、対象とする部品の部品画像を表示し、部品の形状を示す画像と部品画像を比較することにより、部品の部品供給部5へのセットの間違いの確認、又は部品データライブラリの正誤の確認を容易に行なうことができる。」

上記イ)〜ホ)の記載からみて、上記刊行物1の「部品データ作成方法」は、電子部品自動実装機において電子部品の寸法や形状などの部品データを記憶しておく部品データライブラリを作成する方法に関するものであって、該方法に用いられる電子部品自動実装機は、部品を認識(即ち撮像)する認識カメラ4と、該認識カメラ4が撮像した部品画像12に前記部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成された部品形状を示す画像11(部品形状を示す画像が部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成されることは自明である。)を同時に表示する画像表示部7とを設けて成り、電子部品の寸法・形状等に関する部品データを処理する装置として機能しているものと認められる。
したがって上記刊行物1には、
「電子部品の寸法・形状等に関する部品データを処理する電子部品自動実装機において、部品を撮像する認識カメラ4と、該認識カメラ4が撮像した部品画像12に前記部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成された部品形状を示す画像11を同時に表示する画像表示部7を設けた電子部品自動実装機。」の発明(以下、「刊行物1の発明」という。)が記載されているものと認める。

3.本願発明と上記刊行物1の発明との対比
本願発明と上記刊行物1の発明とを対比すれば、上記刊行物1の発明の「電子部品自動実装機」は、電子部品の寸法・形状等に関する部品データを処理する装置として機能しているから本願発明の「データ処理装置」に対応し、以下同様に「認識カメラ4」は「撮像手段」に、「部品画像12」は「部品像」に、「部品形状を示す画像11」は「グラフィック」に、「画像表示部7」は「表示手段」に、それぞれ対応している。
また、本願発明で、部品像にグラフィックを「重ねて」表示するということは、部品像にグラフィックを「同時に」表示している限りにおいて、上記刊行物1の発明で、部品画像12に画像11を「同時に」表示することと異ならない。
したがって本願発明と上記刊行物1の発明は、
「電子部品の寸法・形状等に関する部品データを処理するデータ処理装置において、部品を撮像する撮像手段と、該撮像手段が撮像した部品像に前記部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成されたグラフィックを同時に表示する表示手段を設けたデータ処理装置。」
で一致し、以下の<相違点>で相違しているものと認める。
<相違点>
本願発明の表示手段は、撮像手段が撮像した部品像に部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成されたグラフィックを同時に表示するにあたり、両者を重ねて表示するのに対し、上記刊行物1の発明の表示手段である画像表示部7は、撮像手段である認識カメラ4が撮像した部品像である部品画像12に部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成されたグラフィックである部品形状を示す画像11を同時に表示するにあたり、両者を重ねて表示するか否かについては明らかでない点。

4.相違点の検討
撮像手段が撮像した部品像と部品データに基づき生成されたグラフィックとを、同時に表示して対照することにより、両者の異同に関する判断を行う装置において、判断を行うにあたり、撮像手段が撮像した部品像と部品データに基づき生成されたグラフィックとを重ねて表示するようにすることは周知技術(例えば、特公昭59-2069号公報参照。)である。
してみれば上記刊行物1の発明の表示手段である画像表示部7で、撮像手段である認識カメラ4が撮像した部品像である部品画像12に部品データのうち部品各部の寸法データに基づき生成されたグラフィックである部品形状を示す画像11を同時に表示するにあたり、両者を重ねて表示するように構成することは、上記刊行物1の発明に上記周知技術を適用することにより、当業者が容易に行い得たものである。

そして、本願発明が奏する作用効果は、上記刊行物1の発明と上記周知技術に示唆された事項から予測される程度以上のものではない。
したがって、本願発明は、上記刊行物1の発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上詳述したとおり、本願発明は、上記刊行物1の発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
そして、このような進歩性を有しない発明を包含する本願は、本願の請求項2〜6に係る発明について検討するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-31 
結審通知日 2006-09-05 
審決日 2006-09-21 
出願番号 特願平8-284369
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 ぬで島 慎二
平瀬 知明
発明の名称 データ処理装置及び電子部品装着装置  
代理人 相澤 清隆  

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