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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 B60J
管理番号 1147034
審判番号 不服2003-2521  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-09-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-01-09 
確定日 2006-11-24 
事件の表示 平成10年特許願第111312号「車両移動伸縮車庫装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 9月14日出願公開、特開平11-245667〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯と本願発明
本願は、平成10年3月6日の出願であって、「車両移動伸縮車庫装置」に関するものと認められる。

2.原査定の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
「平成11年2月8日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

補正後の明細書及び図面には、伸縮屋根による別形態の車両移動伸縮車庫装置が記載されており、出願当初の発明とは、車両移動伸縮車庫装置車両の発明である点については共通しているが、願書に最初に添付した明細書又は図面から直接かつ一義的に導き出されるものではない。」

3.当審の判断
上記拒絶の理由において、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないとされた、平成11年2月8日付けでした手続補正により補正された明細書及び図面について、以下に検討する。
(イ)補正後の明細書における「(図一)から図六図までは伸縮屋根部を金属、あるいは合成樹脂等の堅牢なもので構成し」(本願の公開公報である特開平11-245667号公報の第5頁左欄第11?13行、以下同様に引用箇所は当該公報により示す)の記載は、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という)に記載も示唆もされていなかった事項である。
当初明細書等には、「溝状内部に(7)の回転体を入れ(1)のように抜け落ちない構造とし(8)の回転体押え部に(4)の内部車巾レール(5)の上部屋根材シートを接続し側面は(6)のシートを接続しレールに沿って上部及び側面シートは伸縮できる.…第二図は…(5)の屋根シートを引き伸ばした側面図.第三図は本発明を縮めて走行している状態を示す側面図.」(第2頁第2欄第9?20行)と記載され、当初明細書等の第三図には、(5)の上部屋根シートが縮められて波状を呈している様子が記載されている。すなわち、当初明細書等には、補正後の明細書記載の「(2)伸縮屋根」に相当する「(5)上部屋根シート」が、「金属、あるいは合成樹脂等の堅牢なもので構成」されたことは記載されておらず、むしろ図面(第三図)には、「上部屋根シート」が波状に伸縮可能であるような柔軟な材料から成ることが示唆されているというべきである。
(ロ)補正後の明細書における「車本体で車輪の走行に支障をきたさない位置に上部の伸縮構造レールと平行に下部レールを取り付け上部及び下部のレールの内側あるいは外装には、容易に移動する構造の支持部のついている回転体等を装備し、その支持部に側面シートを取り付け」(第4頁左欄第13行?右欄第1行)、「(4)伸縮レール、(3)格納レール、(5)下部レールに沿って(6)の側面シートを伸ばし」(第5頁左欄第15?16行)の記載、及び当該「(5)下部レール」を示す補正後の図二?八、十の記載は、当初明細書等に記載も示唆もなかった事項である。
当初明細書等には、「(1)の外周車長レール(2)の内部車長レール(3)の外周車巾レール、(4)の内部車巾レール」(第2頁右欄第17?18行)が記載されているのみであり、対応する図面においても「下部レール」について記載も示唆もない。
(ハ)補正後の明細書における「走行時には伸縮屋根と伸縮レールを格納屋根へ収納し」(第4頁右欄欄第4?5行)、「(2)伸縮屋根、と(4)伸縮レールを、(3)格納レール(1)の格納屋根より伸ばして屋根部を作り」(第5頁左欄第13?15行)の記載、及び該格納レールを備えた「(1)格納屋根」を示す補正後の図一?八の記載は、当初明細書等に記載も示唆もなかった事項である。
当初明細書等には、「屋根付きシートは水平横部に側面囲いシートは横部へと瞬時にて伸縮し、収納庫に納めて運転走行し、駐車時には収納庫に縮まっているシートを屋根は水平横部に側面は横の方向えとレールに沿って瞬時にて拡大して」(第2頁左欄第7?11行)と記載され、補正後の明細書に記載された「(1)格納屋根」に相当する「(9)上部屋根収納庫」に、上部屋根シートを収納することは記載されていると認められるが、「伸縮レール」が「格納屋根」の「格納レール」に収納されることについては記載されていない。
さらに、当初明細書等には「車長状レールを水平に設置し伸縮自在な構造とし」(第2頁左欄第2?3行)、「第六図は本発明を縮めて後方収納箱に収納し走行状態を示した正面図」(第2頁右欄第23?24行)との記載はあるが、走行状態を示すとされる第三図、第六図をみても、伸縮レールと格納レールの判別ができないばかりでなく、「車長状レール」である「(1)の外周車長レール」と「(2)の内部車長レール」は、「(9)上部屋根収納庫」に収納されていないことが明らかであるから、上記補正後の明細書及び図面の記載は、当初明細書等に記載も示唆もなかったものである。
(ニ)補正後の明細書における「(7)の伸縮屋根補強棒で(2)の伸縮屋根をロックすれば、風雨に対して耐久力も増し、又冬になって50?60cm位の積雪があってもなんら支障をきたさない。」(第5頁左欄第23?26行)の記載、及び当該「(7)伸縮屋根補強棒」を示す補正後の図一、三、五、九の記載は、当初明細書等に記載も示唆もなかった事項である。
(ホ)補正後の明細書における「(図二)、は(4)伸縮レール、(3)格納レール、(5)下部レールに沿って(6)側面シートを後部座席へ圧縮し」(第5頁左欄第26?28行)、「(図十)は(6)の側面シートと(2)の伸縮レール(8)の屋根伸縮シートを後部へ圧縮して、運転状態を示す側面図」(第5頁右欄第11?13行)の記載、及び該側面シートを後部座席にレールに沿って圧縮した状態を示す補正後の図二、八、十の記載は、当初明細書等に記載も示唆もなかった事項である。
当初明細書等には、「側面囲いシートは横部へと瞬時にて伸縮し、収納庫に納めて運転走行し」(第2頁左欄第7?9行)、「第六図は本発明を縮めて後方収納箱に収納し走行状態を示した正面図」(第2頁右欄第23?24行)、「(10)側面囲いシート収納庫.」(第2頁右欄第42?43行)と記載され、図二?六には略円筒状の該「(10)側面囲いシート収納庫」が車輌後部に設けられていることが記載されているのであって、上記補正後の明細書記載のように、側面シートを収納庫ではなく、「レールに沿って圧縮した状態」で収納することは記載も示唆もされていなかったことは明らかである。
(ヘ)補正後の明細書における「(6)の側面シートが安定しない場合もあるので、鎖等で綱状するか、あるいは上、下のレール間を伸縮構造の右記のような柵として側面シートに取り付けるようにしてもよい」(第5頁左欄第35?38行)の記載は、当初明細書等に記載も示唆もなかった事項である。
(ト)補正後の明細書における「(2)伸縮屋根を伸ばした一部から折れる機構にすれば操作も簡単であり、コストも安い。」(第5頁左欄第40行?右欄第1行)の記載、及び該「(2)伸縮屋根を伸ばした一部から折れる機構」を示す補正後の図四、六の記載は、当初明細書等に記載も示唆もされていなかった事項である。

以上の通り、平成11年2月8日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面には、当初明細書等に記載も示唆もされていなかった新規な事項である上記事項(イ)?(ト)が記載されているから、原査定のとおり、当該補正は当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものでない。

4.むすび
したがって、平成11年2月8日付けの手続補正書による補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-01-20 
結審通知日 2006-01-31 
審決日 2006-02-13 
出願番号 特願平10-111312
審決分類 P 1 8・ 55- Z (B60J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 島田 信一  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 柴沼 雅樹
平瀬 知明
発明の名称 車両移動伸縮車庫装置  

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