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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1147089
審判番号 不服2004-239  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-06-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-05 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成9年特許願第322553号「画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年6月18日出願公開、特開平11-161255号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、平成9年11月25日にされた特許出願(平成9年特許願第322553号。以下「本件出願」という。)につき、拒絶査定が平成15年11月25日付けでされたところ、請求人がこの拒絶査定に対する審判を平成16年1月5日に請求し、その後同年2月3日に手続補正書を提出したものである。

第2 本件出願に係る発明
本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成15年9月1日付け手続補正書及び平成16年2月3日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。
「【請求項1】 表示装置の表示画面中に複数の矩形領域をウィンドウとして設定し、その各ウィンドウ内に表示メモリの異なるレイヤに描画された画像データを表示させるマルチウィンドウ表示を行なう表示制御回路を備えた画像表示装置であって、
前記表示制御回路に、
前記表示画面全体を表示領域とする基本画面の表示アドレスを出力するアドレスカウンタと、
前記各ウィンドウに対応するレイヤのアドレスオフセット値と、各ウィンドウの前記表示画面上の表示位置および大きさを示す座標値と、各ウィンドウの優先順位とをそれぞれ設定する複数のレジスタからなるウィンドウ属性レジスタと、
表示動作に同期して前記ウィンドウ属性レジスタの各レジスタに設定された値に基づいて、前記各ウィンドウに対するアドレスオフセット値を切り換えて出力するオフセット切換器と、
前記アドレスカウンタが出力する基本画面の表示アドレスと前記オフセット切換器が出力するアドレスオフセット値とを加算して、基本画面および各ウィンドウの表示アドレスを前記表示メモリに出力するオフセット加算器とを設け、
該オフセット加算器が出力する前記表示アドレスによって、前記表示メモリ上の各レイヤに分散して描画されている各ウィンドウの表示データをピックアップして前記表示装置の表示画面に表示するようにしたことを特徴とする画像表示装置。」

第3 引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の一部及びその記載事項は、以下のとおりである。
1 特開昭62-127792号公報(以下「刊行物1」という。)
刊行物1には、図面と共に、「〈産業上の利用分野〉本発明はマルチウインドウ画像表示方法にかかり、特にラスタスキャンによるリフレッシュ動作によりデイスプレイ画面に画像を表示するデイスプレイ装置のマルチウインドウ画像表示方法に関する。」(1頁右下欄末行?2頁左上欄5行)、「本発明の目的はウインドウバッファメモリからフレームバッファメモリにウインドウ画像をブロック転送する必要がないマルチウインドウ画像表示方法を提供することである。本発明の別の目的はCRTに表示する1画面の画像をフレームバッファメモリに記憶させる必要がないマルチウインドウ画像表示方法を提供することである。」(2頁左下欄5?12行)、「〈実施例〉第1図は本発明を実現するディスプレイ装置の要部ブロック図である。11、12はビーム位置を監視する水平カウンタ及び垂直カウンタ、13は各ウインドウ画像の画像データを記憶するウインドウバッファ、14はウインドウパラメータメモリ、15は可視性マップを記憶する可視性マップメモリ、16、17は加算器である。水平カウンタ11は水平同期信号SHに同期してビームクロックCKをカウントしてビームの水平方向位置xを監視し、垂直カウンタ12は垂直同期信号SVに同期してビームクロックCKをカウントしてビームの垂直方向位置yを監視する。ウインドウバッファ13にはCRTに表示すべき全ウインドウ画像の画像データが記憶されている。たとえば、第2図に示すようにCRTにウインドウ画像1?3を表示させるものとすれば、これらの全ウインドウ画像が記憶される。尚、このウインドウバッファ13は第7図に示す従来のウインドウバッファメモリWBMと同一の機能を有するものである。可視性マップメモリ15はCRTの各ピクセルに対応して記憶域を有し、可視性マップを記憶する。ここで、可視性マップはCRT画面上の任意の位置(ピクセル)における可視性レベル(表示優先度)VLを示すものである。従って、可視性マップメモリ15は各ピクセル毎に可視性レベルを記憶し、ウインドウ画像が重なっている部分(ピクセル)では後述するように記憶されている可視性レベルに対応するウインドウ画像が表示される。たとえば、第2図に示すようにCRTにウインドウ画像1?3(1?3はウインドウ画像を特定する番号であり可視性レベルと一致する)を表示するものとすれば、メモリ15の各ピクセルに対応する記憶域には第3図に示すように表示するウインドウ画像の可視性レベル(ウインドウ番号)0?3が記憶される。ただし、0は背景である。尚、ここで注目すべきは可視性レベルとウインドウ番号が一致していることである。ウインドウパラメータメモリ14は第4図に示すように可視性レベル(ウインドウ番号)に対応させてウインドウパラメータを記憶するものであり、1画面に最大16個のウインドウ画像を表示できるものとすれば可視性レベル1?16に対応させてそれぞれウインドウパラメータΔx、Δyを記憶する。ここで、ウインドウパラメータΔx、Δyは次のような意味を有するパラメータである。第5図(A)に示すようにウインドウ画像WDの基準点PCのデイスプレイ画面(CRT)上の位置を(xC,yC)とし、又該基準点における画像データを記憶するウインドウバッファ13におけるにおける記憶位置を第5図(B)に示すように(xR,yR)とすれば、ウインドウ画像WD上の任意のポイントQ(基準点PCからインクリメンタルでx、yのポイント)に対応するウインドウバッファ13の記憶位置P(xP,yP)は次式・・・表現される。・・・このΔx、Δyがウインドウパラメータであり、ウインドウ画像の表示位置とウインドウバッファ13の記憶位置が決まれば既知の値となる。尚、(x,y)をウインドウ内だけでなく画面上の任意の点として拡張するにはΔx、Δyを可視性レベル(ウインドウ番号)VLの関数として・・・とする。・・・ 以下、第1図の動作を説明する。ただし、ウインドウ画像1?3を第2図に示すように表示するものとする。」(3頁左上欄2行?4頁左上欄2行)、「以上により各メモリ13?15にウインドウ画像データ、ウインドウパラメータ、可視性マップが記憶されれば以後以下のようにしてビームが位置するピクセルに表示する画像データがウインドウバッファ13から読み取られる。水平カウンタ11及び垂直カウンタ12はそれぞれビームクロックCKをカウントしてビーム位置(x,y)を出力する。このビーム位置(x,y)に応じたピクセルアドレス(たとえばxとyを直列に並べたもの)が指示する可視性マップメモリ15から、該ピクセルに表示されるウインドウ画像の可視性レベル(ウインドウ番号)VLを求める。しかる後、該可視性レベルVLに対応するウインドウパラメータΔx、Δyをウインドウパラメータメモリ14から求める。ついで、加算器16、17でビーム位置に対応するピクセルの画像データが記憶されているウインドウバッファ13上の位置(xP,yP)を次式・・・より・・・求め、該xP、yPよりウインドウバッファ13のアドレス(たとえばxP、yPを直列に並べたもの)を生成する。そして、該生成したアドレスが指示するウインドウバッファ13の記憶域から画像データを読み取ってCRTに入力する。以後、ビーム位置に応じて上記処理を繰り返すことによりCRTにマルチウインドウ画像が表示されることになる。」(4頁右上欄1行?左下欄9行)、「〈発明の効果〉以上本発明によれば、ラスタースキャン方式デイスプレイの画面リフレッシュ動作において、ピクセルアドレスで可視性マップを引き、その出力でウインドウパラメータテーブルを引き、ウインドウパラメータとピクセルアドレスからフレームバッファに与えるアドレスを生成し、該アドレスからウインドウ画像データを読み出すように構成したから、従来のように複数のウインドウ画像を合成した1画面のイメージ(画像)をフレームバッファメモリのような物理メモリ上に生成する必要がなく、従ってウインドウ画像の変更に際しては新たなウインドウ画像をウインドウバッファに書き込むだけでよく、従来のようにウインドウバッファメモリからフレームバッファメモリにウインドウ画像をブロック転送しなくてもよく即時的な画像表示が可能になった。又、本発明によれば、可視性マップを書き替えるだけでウインドウ画像の重なり具合を簡単に変更することができ、しかもウインドウパラメータテーブルを書き換えるだけで瞬時にして表示内容を変更することができる。従って、本発明によればマルチタスク/マルチウインドウ環境下でのアニメーション表示のように動的に変化するウインドウ画像と静止しているウインドウ画像との混在も従来のようにフレームバッファ全画面分デュアルで持つ必要がなく、非常に高速に実現できる。」(4頁右下欄17行?5頁右上欄3行)等の記載がされている。
2 特開平9-198021号公報(以下「刊行物2」という。)
刊行物2には、図面と共に、「【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、表示画面に複数画面を重ねて表示させる表示制御装置に関し、特に表示データの転送量を増大させることなく多数画面を表示画面として表示させるのに最適な表示制御装置に関する。」、「【0015】【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について説明する。図1は、この発明の一実施例に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。この表示制御装置は、複数画面分の画像データを格納するビデオメモリ1と、表示画面上の各座標位置に表示すべき画像データをビデオメモリ1から読み出すためのアドレスを決定するメモリアドレス生成部2とを備える。【0016】メモリアドレス生成部2は、表示画面上の各座標に対して各画面における表示有効範囲と、各画面間の表示優先順位と、ビデオメモリ1の座標領域における各画面の原点位置とからメモリアドレスを決定する機能を有する。【0017】図2は表示画面の一例を示す図、図3はビデオメモリ1に格納される各画面の画像データの一例を示す図である。表示画面21には、図2(a)に示すように、左上端の位置を原点(0,0)とし、水平方向をx軸、鉛直方向をy軸とする直交座標系が設けられている。ドットクロック及びラインクロックに基づく表示走査は、原点(0,0)を表示開始座標として開始され、水平方向を主走査方向、垂直方向を副走査方向として行われる。この表示座標領域には、背景画像と複数の窓(mado1?mado3)が表示されている。各窓及び背景には、mado2>mado3>mado1>背景のように優先順位が設定され、この優先順位に基づく重なりが表示されている。【0018】これらのmado1?mado3及び背景の画像データは、それぞれビデオメモリ1の異なる領域に互いに重ならないように記憶されている。即ち、ビデオメモリ1には、図3に示すように、左上端の位置を原点(0,0)とし、水平方向をX軸、鉛直方向をY軸とする直交座標系が設けられている。このビデオメモリ座標領域には、例えば背景を表示する画面領域31と、mado1?mado3を表示する画面領域32,33,34とが設定される。各画面領域31?34のスタート座標(原点座標)(0,0),(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3)は、各画面領域31?34が表示画面に表示された場合の表示画面の原点位置に対応する。【0019】図1におけるスタートX座標レジスタ31,32,…及びスタートY座標レジスタ41,42,…には、これら各画面領域31?34のスタート座標(0,0),(X1,Y1),…が格納される。【0020】メモリX座標カウンタ51,52,…及びメモリY座標カウンタ61,62,…は、スタートX座標レジスタ31,32,…及びスタートY座標レジスタ41,42,…に保持された各画面のスタート座標(X1,Y1),(X2,Y2),…から表示走査に同期して各画面のビデオメモリ1上でのメモリ座標(X,Y)を生成する。即ち、メモリX座標カウンタ51,52,…は、表示走査に同期して、ドットクロック単位でカウントアップし、走査ラインが変わる度にスタートX座標X1,X2,…をロードする。一方、メモリY座標カウンタ61,62,…は、ラインクロック単位でカウントアップし、1フィールドのカウントが終了するとスタートY座標Y1,Y2…をロードする。【0021】一方、画面有効信号発生回路71,72,…は、mado1?mado3及び背景を表示する画面領域31?34の表示有効範囲を記憶すると共に、表示走査に同期して各mado1?mado3及び背景の内部を走査中であることを示すイネーブル信号を出力する。より具体的には、画面有効信号発生回路71,72,…は、mado1?mado3及び背景の領域をこれらの左上端のメモリ座標(XLT,YLT)及び右下端のメモリ座標(XRB,YRB)によって記憶し、これらのデータと、メモリX座標カウンタ及びメモリY座標カウンタから出力されるメモリ座標(X,Y)との大小比較によって、生成されたメモリ座標(X,Y)がmado1?mado3又は背景の内部であるかどうかを決定すれば良い。【0022】優先番号レジスタ81,82,…は、各画面間の表示優先順位をそれぞれ優先番号“1”,“2”,…として格納する。即ち、優先番号“1”,“2”,…をmado2、mado3、mado1の順に設定する場合には、図2(a)に示すような表示画面21を得る。なお、背景の優先順位は常に最も低く設定される・・・。【0023】画面優先処理回路9は、表示走査に同期して画面有効信号発生回路71,72,…からのイネーブル信号と優先番号レジスタ81,82,…に記憶された優先番号とに基づいて表示すべき画面を決定する。即ち、画面優先処理回路9は、画面有効信号発生回路71,72,…から供給されるイネーブル信号が“1”である各画面の優先番号“1”,“2”,…を優先番号レジスタ81,82,…から入力し、それぞれの値を比較して、イネーブル信号が“1”である画面の中で最も優先順位の高い画面の画面番号“1”,“2”,…を出力する。【0024】セレクタ10は、メモリX座標カウンタ51,52,…及びメモリY座標カウンタ61,62,…で生成された各画面のメモリ座標(X,Y)のうち、画面優先処理回路9で決定された画面のメモリ座標(X,Y)を選択し、ビデオメモリアドレス変換回路12に供給する。なお、メモリX座標カウンタ51,52,…及びメモリY座標カウンタ61,62,…とセレクタ10とは、アドレス生成部11を構成している。【0025】ビデオメモリアドレス変換回路12は、セレクタ10から供給されたメモリ座標(X,Y)をビデオメモリ1のアドレスに変換する。ビデオメモリアドレス変換回路12によりアドレス設定されたビデオメモリ1から読み出された画像データは、図示しない画像コントローラに供給され、ここでRGB信号に変換されると共に、モニタ等の表示装置に供給される。」、「【0026】次に、このように構成された表示制御装置の動作について説明する。先ず、図2(a)の表示開始座標(0,0)から走査が開始されると、背景画面の画面有効信号発生回路71から供給されるイネーブル信号のみが“1”になるので、背景を表示する画面領域の座標(X,Y)が選択される。表示走査が、図2(b)に示すように、mado1の表示領域22に達すると、画面有効信号発生回路72から供給されるイネーブル信号も“1”になり、背景よりもmado1の方が優先順位が高いので、mado1のメモリ座標(X,Y)が選択される。表示走査がmado3の表示領域23に達すると、画面有効信号発生回路71,72,74から供給されるイネーブル信号が“1”になるので、それぞれの優先番号“4”,“3”,“2”を比較して、優先順位の最も高いmado3のメモリ座標(X,Y)が選択される。表示走査がmado3の表示領域24に達すると、画面有効信号発生回路71,74から供給されるイネーブル信号が“1”になるので、それぞれの優先番号“4”,“2”を比較して、優先順位の高いmado3のメモリ座標(X,Y)を選択する。表示走査がmado2の表示領域25に達すると、画面有効信号発生回路71?73から供給されるイネーブル信号が“1”になるので、それぞれの優先番号“4”,“3”,“1”を比較して、優先順位の最も高いmado2のメモリ座標(X,Y)が選択される。表示走査がmado3の表示領域26に達すると、画面有効信号発生回路71?74から供給されるイネーブル信号が“1”になるので、それぞれの優先番号“4”,“3”,“1”,“2”を比較して、優先順位の最も高いmado2のメモリ座標(X,Y)が選択される。表示走査がmado3の表示領域27に達すると、画面有効信号発生回路71,73,74から供給されるイネーブル信号が“1”になるので、それぞれの優先番号“4”,“1”,“2”を比較して、優先順位の最も高いmado2のメモリ座標(X,Y)が選択される。表示走査がmado2の表示領域28に達すると、画面有効信号発生回路71,73から供給されるイネーブル信号が“1”になるので、それぞれの優先番号“4”,“2”を比較して、優先順位の高いmado2のメモリ座標(X,Y)が選択される。【0027】この実施例によれば、ビデオメモリ1のアドレスの生成段階で優先処理を行うので、重ね合わせるmado1?mado3の数に拘らず、ビデオメモリ1のアクセスは常に1画面分にすることができる。また、mado1?mado3の表示領域を移動する場合には、スタートX座標レジスタ31,32,…及びスタートY座標レジスタ41,42,…に移動量分だけ増加させた値をそれぞれロードさせるだけで良い。これにより、移動するmado1?mado3をビデオメモリ1に再描画することなく、mado1?mado3を移動させることができる。更に、mado1?mado3を後方に移動する場合には、mado1?mado3に設定する優先番号を変更するだけで、mado1?mado3をそれぞれ移動させることができる。従って、表示領域の大きい窓を移動させたり、窓を素早く移動させる場合でも一定の追従性を確保することができる。」等の記載がされている。

第4 当審の判断
本願発明と刊行物1に記載された発明とを対比する。
刊行物1に記載されたCRT、ウインドウバッファは、それぞれ本願発明の「表示装置」、「表示メモリ」に相当し、刊行物1に記載された表示制御のための回路、表示のための装置は、それぞれ本願発明の「表示制御回路」、「画像表示装置」に相当する。刊行物1に記載された水平カウンタ11及び垂直カウンタ12は本願発明の「アドレスカウンタ」に相当し、刊行物1に記載された加算器16及び17は本願発明の「オフセット加算器」に相当する。また、刊行物1に記載された可視性マップメモリ15及びウインドウパラメータメモリは、ウインドウパラメータΔx及びΔy、ウインドウの画面上の位置、優先度を設定し、設定された値に基いてウインドウパラメータを切り換えて出力する点で、本願発明の「ウィンドウ属性レジスタ」及び「オフセット切換器」と共通する。
そうすると、本願発明は、刊行物1に記載された発明と以下の一致点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。
一致点 本願発明と刊行物1に記載された発明とが「表示装置の表示画面中に複数の矩形領域をウィンドウとして設定し、その各ウィンドウ内に表示メモリの異なるレイヤに描画された画像データを表示させるマルチウィンドウ表示を行なう表示制御回路を備えた画像表示装置であって、前記表示制御回路に、前記表示画面全体を表示領域とする基本画面の表示アドレスを出力するアドレスカウンタと」、「前記各ウィンドウに対応するレイヤのアドレスオフセット値と」、「各ウィンドウの前記表示画面上の表示位置」を示すデータと、「各ウィンドウの優先順位と」をそれぞれ設定する記憶手段と、「表示動作に同期して」「設定された値に基づいて、前記各ウィンドウに対するアドレスオフセット値を切り換えて出力する」手段と、「前記アドレスカウンタが出力する基本画面の表示アドレスと前記オフセット切換器が出力するアドレスオフセット値とを加算して、基本画面および各ウィンドウの表示アドレスを前記表示メモリに出力するオフセット加算器とを設け、該オフセット加算器が出力する前記表示アドレスによって、前記表示メモリ上の各レイヤに分散して描画されている各ウィンドウの表示データをピックアップして前記表示装置の表示画面に表示するようにした」「画像表示装置」である点。
相違点1 本願発明では記憶手段として「複数のレジスタからなるウィンドウ属性レジスタ」を用い、オフセット値の切り換えのために「切換器」を用いているのに対し、刊行物1にはこのような記載がされていない点。
相違点2 本願発明ではウィンドウについて「表示位置および大きさを示す座標値」を用いているのに対し、刊行物1にはこのような記載がされていない点。
相違点1について検討すると、記憶手段としてレジスタを用いることは慣用手段であり、記憶された値の切り換えのために切換器を用いることも慣用手段であって、刊行物1に記載された発明において相違点1のようにすることは当業者が適宜に行い得ることである。
相違点2について検討すると、ウィンドウ等の所定の領域を示すために表示位置及び大きさを示す座標値を用いることは、例えば刊行物2にも示され、周知であり、刊行物1に記載された発明において相違点2のようにすることは当業者が適宜に行い得ることである。
本願発明の奏する効果についてみても、刊行物1に記載された発明及び周知慣用の技術手段から予測しうる範囲内のものであって、格別のものではない。
したがって、本願発明は、当業者が刊行物1に記載された発明及び周知慣用の技術手段に基いて容易に発明をすることができたものである。

第5 まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、本件出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-06 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-25 
出願番号 特願平9-322553
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 亮治  
特許庁審判長 瀧 廣往
特許庁審判官 後藤 時男
山口 敦司
発明の名称 画像表示装置  
代理人 大澤 敬  

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