ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03F 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03F 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03F |
---|---|
管理番号 | 1147137 |
審判番号 | 不服2004-19876 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-02-09 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-09-24 |
確定日 | 2006-11-09 |
事件の表示 | 平成11年特許願第207537号「ハーフトーン位相シフトマスクの特性補正方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月 9日出願公開、特開2001- 33938〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願は、平成11年7月22日の出願であって、平成16年8月18日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月24日に拒絶査定に対する審判請求がなされ、当審において平成18年6月9日付けで拒絶理由通知がなされ、同年8月14日付で手続補正がなされたものである。 本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成18年8月14日付け明細書及び図面の記載からみて、請求項1に記載された次のとおりのものである。 【請求項1】 基板上にハーフトーン膜が形成されたハーフトーン位相シフトマスクの透過率を予め定めた透過率にするための酸性溶液の浸漬時間及び前記酸性溶液の種類を含む処理条件と、前記ハーフトーン膜の透過率との対応関係を予め定めて記憶し、 前記ハーフトーン膜の透過率を測定し、 前記対応関係に基づいて、測定した透過率に対応する前記処理条件を求め、 求めた処理条件に基づいて、前記ハーフトーン位相シフトマスクの透過率が予め定めた透過率になるように少なくとも前記ハーフトーン膜を酸性溶液に浸漬するハーフトーン位相シフトマスクの特性補正方法。 2.原審の拒絶の理由に引用した引用例 引用例1 特開平7-43887号公報 引用例2 特開平10-20471号公報 引用例3 特開平10-148929号公報 2.1 引用例の記載内容 ・引用例1の記載1 引用例1の【特許請求の範囲】の請求項7及び8には、 「【請求項7】 透明基板上にハーフトーン位相シフト層を有するハーフトーン位相シフトフォトマスクにおいて、その製造工程と分離された別工程により、前記ハーフトーン位相シフト層の開口部の透過率を100%としたときの、ハーフトーン位相シフト部の露光光に対する透過率を、1%から50%の間に含まれる範囲内で変えることができることを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク。 【請求項8】 請求項7において、前記別工程が、前記ハーフトーン位相シフトフォトマスクを150℃以上の温度雰囲気中にさらす工程を含むことを特徴とするハーフトーン位相シフトフォトマスク。」 と記載されている。 ・引用例1の記載2 引用例1の【0014】段落には、 「【0014】…この露光光透過率の変化量は、加熱温度、加熱時間、雰囲気等によって変わるので、これらを制御することによって、露光光透過率も制御することができる。…」 と記載されている。 ・引用例1の記載3 引用例1の【0026】段落には、 「【0026】 【作用】本発明においては、ハーフトーン位相シフト層の露光光透過率を、…1%から50%の間に含まれる範囲内で任意に変えることができるので、ブランクス又はフォトマスク製造後に所望の露光光透過率に調節できる…。」 と記載されている。 ・引用例1の記載4 引用例1の【0031】段落には、 「【0031】次に、このハーフトーン位相シフトフォトマスク309を空気雰囲気の対流式オーヴンで200℃に加熱したところ、ハーフトーン位相シフト部の波長365nm光の透過率は図5に示すように、加熱時間に応じて変化して行った。」 と記載されている。 ・引用例1の記載5 引用例1の【0033】ないし【0038】段落には、 「【0033】〔実施例2〕露光光透過率を変えることができるハーフトーン位相シフトフォトマスクの別の実施例を図2の製造工程を説明するための図を参照にして説明する。…波長365nm光の透過率が約12%である多層ハーフトーン位相シフトフォトマスク用ブランクス506を得た。 … 【0037】この多層ハーフトーン位相シフトフォトマスク507を以下の条件で10分間酸素プラズマにさらしたところ、ハーフトーン位相シフト部の波長365nm光透過率は約12%から約17%へと変化した。 【0038】…この多層ハーフトーン位相シフトフォトマスク507も、透過率変化の前後で、…透過率分布…等は全て実用に供することができるものであった。」 と記載されている。 ・引用例1の記載6 引用例1の第5図には、ハーフトーン位相シフト部の、加熱時間に対する光透過率の変化を示す図が記載されている。 引用例2の【0006】段落には、 「【0006】…位相シフトマスクの露光、さらには酸、アルカリ等の薬品に浸すことによっても、理想的な位相差及び透過率比からずれてしまう…。」 と記載されている。 引用例3の【0013】段落には、 「【0013】…位相シフトマスクの光半透過部の構成要素である酸化モリブデンシリサイド膜あるいは酸化窒化モリブデンシリサイド膜は、マスク製造工程における洗浄及びマスク使用時の洗浄等の前処理又は洗浄液として使用される硫酸等の酸に弱く、特に、光半透過部の透過率及び位相差の値をKrFエキシマレーザー光(248nm)用に設定した場合、消衰係数(K)を小さくする必要があり、この手段として酸化度又は酸化窒化度を十分に上げなくてはならないが、…設定した透過率、位相差にずれが生じてしまう…。」 と記載されている。 2.2 引用例1記載の発明の認定 上記引用例1の記載から、引用例1には、「透明基板上にハーフトーン位相シフト層を有するハーフトーン位相シフトフォトマスクにおいて、前記ハーフトーン位相シフト層の開口部の透過率を100%としたときの、ハーフトーン位相シフト部の露光光に対する透過率を、150℃以上の温度雰囲気中にさらす処理をすることにより、1%から50%の間に含まれる範囲内で変え、所望の露光光透過率を得るハーフトーン位相シフトフォトマスク」が記載されている。 3. 対比・判断 本願発明と引用例1記載の発明を対比する。 引用例1記載の発明の「透明基板」、「ハーフトーン位相シフト層」及び「所望の露光光透過率」は、本願第1発明の「基板」、「ハーフトーン膜」及び「予め定めた透過率」に相当する。 また、引用例1記載の発明のハーフトーン位相シフトフォトマスクは、「ハーフトーン位相シフト部の露光光に対する透過率を、150℃以上の温度雰囲気中にさらすことにより、1%から50%の間に含まれる範囲内で変えることができ、所望の露光光透過率に調節」することを含むから、本願発明の「透過率が予め定めた透過率になるようにする特性補正方法」に実質的に相当する構成を有する。 そうすると、両者は、 「基板上にハーフトーン膜が形成されたハーフトーン位相シフトマスクの透過率を予め定めた透過率にするため、 ハーフトーン位相シフトマスクの透過率が予め定めた透過率になるようにしたハーフトーン位相シフトマスクの特性補正方法。」 において一致し、以下の点で相違する。 相違点1 本願発明では、ハーフトーン位相シフトマスクの透過率を予め定めた透過率にするため、ハーフトーン位相シフトマスクを酸性溶液に浸漬するのに対し、引用例1記載の発明では、ハーフトーン位相シフトマスク部を150°以上の温度雰囲気中にさらす点。 相違点2 本願発明では、「酸性溶液の浸漬時間及び前記酸性溶液の種類を含む処理条件と、前記ハーフトーン膜の透過率との対応関係を予め定めて記憶」するのに対し、引用例1記載の発明では、当該記載がない点。 相違点3 本願発明では、「ハーフトーン膜の透過率を測定」するのに対し、引用例1記載の発明では、当該記載がない点。 相違点4 本願発明では、「対応関係に基づいて、測定した透過率に対応する前記処理条件を求め、求めた処理条件に基づいて、少なくともハーフトーン膜を酸性溶液に浸漬する」構成であるのに対し、引用例1記載の発明では、当該記載がない点。 以下、相違点について検討する。 相違点1について ハーフトーン位相シフトマスクの透過率が、酸性溶液に浸すことにより、変化することは、引用例2,3に示されるように周知事項であるから、ハーフトーン位相シフトマスクの透過率を変えるため、引用例1記載の手段に代えて、酸性溶液に浸す手段を用いることは、当業者が容易に想到できたことであり、相違点1については、当業者が容易に想到できた程度のことである。 相違点2について 引用例1の記載4を参照すると、引用例1の第5図には、ハーフトーン位相シフト部の、加熱時間に対する光透過率の変化を示す図が記載されているから、引用例1には、処理条件と、ハーフトーン膜の透過率との対応関係を予め定めて記憶することが実質的に記載され、また、酸性溶液を用いることは上記相違点1で述べたように周知事項から容易に想到できたことであるから、相違点2については、当業者が容易に想到できた程度のことである。 相違点3について 引用例1の記載5を参照すると、引用例1には、露光透過率を処理することによって変える前のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクス506の露光透過率を測定し、その後、フォトマスクブランクス506をエッチングしフォトマスクを得て、その後、酸素プラズマにさらすことにより露光透過率が約12%から約17%へ変化したことが記載され、実用に供することができる露光透過率が得られたことが記載されている。 上記記載は、露光透過率を変える処理が、150°以上の温度雰囲気にさらす実施例に関するものではないが、当該150°以上の温度雰囲気にさらす実施例においても、露光透過率を処理することによって変える前のハーフトーン位相シフトフォトマスクブランクスの露光透過率を測定することはことは、当業者が容易になし得たことであるから、相違点3については、当業者が容易に想到できたことである。 相違点4について 相違点2についての検討で述べたように引用例1には、処理条件と、ハーフトーン膜の透過率との対応関係を予め定めて記憶することが実質的に記載され、また透過率を測定していることを考慮すると、前記対応関係を用いて、測定した透過率に対応する処理条件を求めることは、引用例1の第5図の処理時間と透過率の対応関係から、当業者が容易に想到できたことであるから、相違点4については、当業者が容易に想到できたことである。 また、本願発明が有する効果についても引用例1に記載された発明及び周知事項から予測できた程度のものにすぎない。 4.むすび そうすると、本願請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明及び周知事項に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-08 |
結審通知日 | 2006-09-12 |
審決日 | 2006-09-25 |
出願番号 | 特願平11-207537 |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(G03F)
P 1 8・ 537- WZ (G03F) P 1 8・ 121- WZ (G03F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 伊藤 昌哉 |
特許庁審判長 |
末政 清滋 |
特許庁審判官 |
辻 徹二 瀬川 勝久 |
発明の名称 | ハーフトーン位相シフトマスクの特性補正方法 |
代理人 | 福田 浩志 |
代理人 | 加藤 和詳 |
代理人 | 西元 勝一 |
代理人 | 中島 淳 |