• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1147194
審判番号 不服2005-322  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-01-06 
確定日 2006-11-09 
事件の表示 平成 8年特許願第316701号「フォトフィニッシングシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月19日出願公開、特開平10-161248〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年11月27日に出願された特願平8-316701号であって、平成16年11月30日付で拒絶査定がなされ、これに対して、平成17年1月6日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成16年7月30日付手続補正書で補正された明細書及び図面の記載から見て、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)と認める。
「プリント注文された写真画像を画像データとして所定の記憶媒体に記憶せしめて保管する手段を備えたフォトフィニッシングシステムにおいて、
前記所定の記憶媒体内の画像データの特定に必要な検索ID情報と、注文するプリントのサイズおよび枚数を記入するための前記検索ID情報ごとの記入欄とを、ファクシミリによる送付が可能な紙に前記プリント注文単位で印字することにより、前記プリント注文に使用する注文シートを出力する印字出力手段を備えたことを特徴とするフォトフィニッシングシステム。」

3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された特開平8-95163号公報(以下、引用例1という。)には、次の事項が記載されている。
ア.【0002】【背景技術】
一般的なユーザは写真撮影した未現像フイルムをラボラトリィに持っていって,未現像フイルムを現像してもらい,現像したフイルムの画像を印画紙に焼付けて写真を作成してもらっている。ユーザはラボラトリィから現像したフイルムとプリントされた写真とを持って帰る。
【0003】
これらのフイルムと写真はユーザの好みに応じて,アルバムに貼付されたり,袋に入れられた状態で,整理された形でまたは未整理の形で保管される。
【0004】
焼増が必要な場合には,フイルムをラボラトリィに持参するとともに,焼増してほしい駒の番号,枚数,その他の条件をラボラトリィのオペレータに伝える。

イ.【0007】
この発明によるフイルム画像の管理方法は,現像後のフイルムの画像を,撮像することにより,その画像を表わす原ディジタル画像データに変換し,原ディジタル画像データを,縮小画像を表わす縮小ディジタル画像データに変換し,縮小ディジタル画像データをユーザ用記録媒体に格納し,原ディジタル画像データをラボ用記録媒体にフイルムの識別コードとともに格納し,フイルムおよび縮小ディジタル画像データを格納したユーザ用記録媒体に上記識別コードを付与するものである。ラボ用記録媒体とはラボラトリィ用記録媒体を意味する。

ウ.【0020】
ユーザはユーザ用記録媒体に焼増のための注文データを格納して焼増の注文を行うことができる。

エ.【0092】
注文データには,ユーザ用ディスクに記録された画像データのうち焼増を希望する画像のフイルムを特定する番号(上述の識別コードにおける処理通し番号またはフイルム番号)およびそのフイルム内の駒の識別番号,焼増を希望する枚数,大きさ(サイズまたは拡大率等),トリミングに関する情報が含まれる。注文データは,一態様においてはユーザ用ディスクに記録される。他の態様では通信装置を通してラボラトリィ・システムに伝送される。

オ.【0118】
目的とする画像データがラボ用ディスクに保存されていれば,ユーザ用ディスクに記録された注文データが読取られる。ユーザ用ディスクから読取られた注文データまたは受信した注文データにしたがって,注文されたフイルムの駒の画像データがラボ用ディスクから読出され,写真プリンタ15を用いて注文された大きさ,条件の写真が注文された枚数プリントされる。

したがって、上記記載事項、及び図面から、引用例1には、
「現像後のフイルムの画像を,撮像することにより,その画像を表わす原ディジタル画像データに変換し,原ディジタル画像データを,縮小画像を表わす縮小ディジタル画像データに変換し,縮小ディジタル画像データをユーザ用記録媒体に格納し,原ディジタル画像データをラボ用記録媒体にフイルムの識別コードとともに格納するラボラトリィ・システムにおいて、
ユーザ用記録媒体に記録された画像データのうち焼増を希望する画像のフイルムを特定する番号およびそのフイルム内の駒の識別番号,焼増を希望する枚数,大きさに関する情報が含まれる注文データがユーザ用記録媒体に格納され、ユーザ用記録媒体から読取られた注文データにしたがって,注文されたフイルムの駒の画像データがラボ用記録媒体から読出され,写真プリンタ15を用いて注文された大きさの写真が注文された枚数プリントされるラボラトリィ・システム。」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に頒布された特開平7-333737号公報(以下、引用例2という。)には、次の事項が記載されている。
カ.【0018】
写真焼付装置1は、印画紙3をロール状に収納している印画紙マガジン4から引き出された印画紙3が、投影露光部5で露光された後、現像処理部DEにて現像され、一駒分の画像情報を含む大きさに切断されて排出する写真焼付プリンタとしての機能と、フィルム2の複数駒の画像情報と付加情報とを一つの印刷対象物であるインデックスプリントシートPEに印刷し、インデックスプリントを作製するインデックスプリンタとしての機能を併せ持つ。

キ.【0022】
コントローラCOに接続されるビデオプリンタVPは、コントローラCOから送られて来るビデオ信号に含まれる複数枚分の画像情報を、一枚の印刷対象物である一枚のインデックスプリントシートPEに印刷し、いわゆるインデックスプリントを作製する。

ク.【0041】
図11及び図12のプリント例では、付加情報表示欄CSに、付加情報の一例として、顧客が焼き増しを注文する際にその枚数を記入する「焼き増し枚数記入欄」を印刷した場合を例示している。図11では、画像情報表示領域IAの下方側箇所に、図12では、画像情報表示領域IAの右側片側箇所に夫々「焼き増し枚数記入欄」を印刷している。このように構成することで、顧客は、フィルム2がネガフィルムの場合は、フィルム2のネガ画像ではなくインデックスプリントのポジ画像を見ながら、その「焼き増し枚数記入欄」に枚数を記入して行けるので、間違った駒に焼き増し注文することを防止することができる。
尚、図11及び図12のプリント例では、ミシン目CLによって「焼き増し枚数記入欄」のみをインデックスプリントシートPEから切離し容易な構成としてあり、顧客は「焼き増し枚数記入欄」を切り離して焼き増しを注文し、画像情報表示領域IAを含む部分は手元に保存しておくことができる。

4.対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「現像後のフイルムの画像」は、上記記載事項ア.も参照すれば、本願発明の「プリント注文された写真画像」に相当する。
また、本願発明の「所定の記憶媒体」は、発明の詳細な説明の段落【0008】に、「「所定の記憶媒体」は、例えば写真店やラボのサーバコンピュータのハードディスクなどであり」と定義されているので、引用発明の「ラボ用記録媒体」が相当する。
また、本願発明の「フォトフィニッシングシステム」は、発明の詳細な説明の段落【0001】【発明の属する技術分野】に、「写真プリントを作成する際にその写真の画像データを保管しておいて後に焼き増しプリントの作成などに利用する」と記載されているので、引用発明の「ラボラトリィ・システム」が相当する。
引用発明の「焼増を希望する画像のフイルムを特定する番号およびそのフイルム内の駒の識別番号,焼増を希望する枚数,大きさに関する情報が含まれる注文データ」は、本願発明の「注文するプリントのサイズおよび枚数」に相当する。
また、引用発明では、「注文データにしたがって,注文されたフイルムの駒の画像データがラボ用記録媒体から読出され」るので、引用発明の注文データは、本願発明の「所定の記憶媒体内の画像データの特定に必要な検索ID情報」と「検索ID情報ごとの」「注文するプリントのサイズおよび枚数」を有していることは明らかである。
また、本願発明の「検索ID情報と、注文するプリントのサイズおよび枚数を記入するための前記検索ID情報ごとの記入欄とを、ファクシミリによる送付が可能な紙に前記プリント注文単位で印字することにより、前記プリント注文に使用する注文シートを出力する印字出力手段を備えた」ことと、引用発明の「注文データにしたがって,注文されたフイルムの駒の画像データがラボ用記録媒体から読出され」ることとは、検索ID情報と、前記検索ID情報ごとの注文するプリントのサイズおよび枚数を「通知することを可能とする」点で一致する。

したがって、両者は、「プリント注文された写真画像を画像データとして所定の記憶媒体に記憶せしめて保管する手段を備えたフォトフィニッシングシステムにおいて、
前記所定の記憶媒体内の画像データの特定に必要な検索ID情報と、前記検索ID情報ごとの注文するプリントのサイズおよび枚数を通知することを可能とするフォトフィニッシングシステム。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1;
所定の記憶媒体内の画像データの特定に必要な検索ID情報と、前記検索ID情報ごとの注文するプリントのサイズおよび枚数を「通知することを可能とする」ために、本願発明では、「検索ID情報と、注文するプリントのサイズおよび枚数を記入するための前記検索ID情報ごとの記入欄とを、ファクシミリによる送付が可能な紙に前記プリント注文単位で印字することにより、前記プリント注文に使用する注文シートを出力する印字出力手段を備えた」のに対し、引用発明では、ユーザ用記録媒体を利用した点。

5.当審の判断
相違点1について;
引用例2には、顧客が焼き増しを注文する際にその枚数を記入する「焼き増し枚数記入欄」を有するインデックスプリントシートPEを印刷するビデオプリンタVPを備えた点が記載されている。インデックスプリントシートPEを「ファクシミリによる送付が可能な紙」と限定することは、通常、紙はファクシミリによる送付が可能であるから、何ら格別なことではない。結局、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の構成を限定することは、当業者にとって容易である。

そして、本願発明の効果も、引用発明、及び引用例2に記載された発明から予測される範囲のもので格別のものではない。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用例1、2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-06 
結審通知日 2006-09-12 
審決日 2006-09-26 
出願番号 特願平8-316701
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 信田 昌男  
特許庁審判長 末政 清滋
特許庁審判官 佐藤 昭喜
辻 徹二
発明の名称 フォトフィニッシングシステム  
代理人 柳田 征史  
代理人 佐久間 剛  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ