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審決分類 |
審判 査定不服 4項4号特許請求の範囲における明りょうでない記載の釈明 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4項3号特許請求の範囲における誤記の訂正 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1147464 |
審判番号 | 不服2004-8740 |
総通号数 | 85 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-11-02 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-04-28 |
確定日 | 2006-11-17 |
事件の表示 | 特願2000-119438「ディスクドライブ装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年11月 2日出願公開、特開2001-307411〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、平成12年4月20日の出願であって、平成16年3月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月28日付けで特許法第121条第1項の審判請求がなされるとともに、同年5月28日付けで手続補正がなされたものである。 2.平成16年5月28日付け手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成16年5月28日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1については、 「【請求項1】 ディジタル・バーサタイル・ディスクを再生するディスクドライブ装置において、 装着されたディジタル・バーサタイル・ディスクの所定位置からディレクトリ情報を読み出すディレクトリ情報読み出し手段と、 前記ディレクトリ情報からVIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリが存在しないかどうかを判定する第1の判定手段と、 前記第1の判定手段でVIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリが存在しないと判定されたとき、前記ディジタル・バーサタイル・ディスクの再生速度を制限する再生速度制御手段とを 有することを特徴とするディスクドライブ装置。」 とあったものを、 「【請求項1】 ディジタル・バーサタイル・ディスクを再生するディスクドライブ装置において、 装着されたディジタル・バーサタイル・ディスクの所定位置からディレクトリ情報を読み出すディレクトリ情報読出し手段と、 前記ディレクトリ情報からVIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリ名が存在しないかどうかを判定する第1の判定手段と、 前記第1の判定手段でVIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリ名が存在しないと判定されたとき、前記ディジタル・バーサタイル・ディスクの再生速度を制限する再生速度制御手段とを 有することを特徴とするディスクドライブ装置。」 と、第1の判定手段が、「ディレクトリ」が存在しないかどうかを判定するとされていたものを、「ディレクトリ名」が存在しないかどうかを判定するものに文言上変更するものであるが、「ディレクトリが存在しない」ことが、「ディレクトリ名が存在しないこと」と等価であることは、当業者にとって自明のことであり、特許法第17条の2第4項第2号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとは認められない。 また、特許法第17条の2第4項第2号以外の各号に規定する要件を目的とするものでもない。 したがって、本件補正は、特許法第159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。 (2)本件補正が特許法第17条の2第4項第2号に規定される、特許請求の範囲の減縮に該当すると仮定しての検討 上記(1)で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第4項各号に掲げる事項を目的とするものと認めることができないものであるから、本来これ以上の検討は不要であるが、仮に、本件補正が特許法第17条の2第4項第2号に規定される、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するとした場合、本件補正の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するか)についても、以下に検討する。 (a)引用例 原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-306661号公報(以下、「引用例1」という。)は、光ディスク用データ読み出し装置に関して、図面と共に、以下の技術事項が記載されている(なお、下線は当審で付与した。)。 (i) 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、CD(Compact DiskやDVD(Digital Versitile Disk等の光ディスクからデータを読み出す光ディスク用データ読み出し装置に係り、詳しくはデータの読み出しを改善する光ディスク用データ読み出し装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】CDやDVDからデータを読み出す光ディスクプレーヤや光ディスクドライブにおけるディスクの回転方式には、CLV(Constant LinearVelocity)とCAV(Constant Angular Vilocity)とがある。従来の光ディスクプレーヤ又は光ディスクドライブでは、個々に回転方式をCLV及びCAVのいずれか一方に固定されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】音声や映像を再生する光ディスクプレーヤでは、光ディスクよりデータを連続して長く読み出すことになり、光ディスクの回転方式はシーケンシャルアクセスに適したCLVの方が有利であるのに対して、パソコンにおけるデータ読み出しに利用される光ディスクドライブでは、例えは辞書CD-ROMからのデータ読み出しのように、多数の短いファイルを頻繁に読み出す場合には、回転方式がCLVであると、データを読み出そうとするファイルが記録されているディスク半径方向のトラック位置が変化するごとに、スピンドルモータの回転速度を増減する必要があり、伝送レートの低下に繋がるとともに、回転速度の変動に因るスピンドルモータの負担増大及び消費電力増大に繋がり、CAVの方が有利である。 【0004】この発明の目的は、光ディスクからデータを読み出す光ディスク用データ読み出し装置において、データ読み出しを改善することである。」 (ii) 「【0007】このように、光ディスク用データ読み出し装置(10)は、光ディスク(11)の回転方式がCLV又はCAVに固定されず、CLV及びCAVを選択できるので、回転駆動手段にセットした光ディスク(11)について、適切な方の回転方式でデータ読み出しして、伝送レートの向上、回転駆動手段の増減速回数抑制に因る回転駆動手段の負担軽減及び電力節約を図ることができる。 【0008】この発明の光ディスク用データ読み出し装置(10)は次の(a)?(c)を有している。(a)セットされた光ディスク(11)を回転駆動する回転駆動手段(b)回転駆動手段にセットされた光ディスク(11)のデータ読み出しについてシーケンシャルアクセス及びランダムアクセスのいずれが有利かを判定するアクセス方式判定手段(20)(c)アクセス方式判定手段(20)がそれぞれシーケンシャルアクセス及びランダムアクセスを有利と判定としたとき回転駆動手段による光ディスク(11)の回転方式をそれぞれCLV及びCAVへ切替える切替手段(21,26) 【0009】光ディスク用データ読み出し装置(10)は、光ディスク(11)の回転方式がCLV又はCAVに固定されず、CLV及びCAVを選択できるようになっている。そして、アクセス方式判定手段(20)が、回転駆動手段にセットされた光ディスク(11)について、その光ディスク(11)からのデータ読み出しがCLV及びCAVのいずれが有利かを判定して、適切な方の回転方式に従って光ディスク(11)からのデータ読み出しが実施されるので、伝送レートの向上、回転駆動手段の増減速回数抑制に因る回転駆動手段の負担軽減及び電力節約を図ることができる。」 (iii) 「【0011】光ディスク(11)の種類には、例えば、CDには、CD-AUDIO、VCD(Video CD)、CD-EXTRA(CDエキストラ:CDの内周側及び外周側がそれぞれオーディオデータエリア及びROMエリアとなっているもの)、フォトCD(写真CD)、及びCD-ROMかある。また、DVDには、DVD-VIDEO、DVD-AUDIO、及びDVD-ROMがある。光ディスク(11)の種類は、リードインゾーンのコントロールデータ領域やTOCを調べることにより判明する。CD-ROMやDVD-ROMの中には、ランダムアクセスに適したCAVの方が有利である場合があるので、光ディスク(11)の種類がCD-ROMやDVD-ROMであるときには、一律に、又はさらに内部のファイル内容等を検討してから、回転方式をCAVとする。」 (iv) 「【0013】CD-ROMやDVD-ROMに記録されているファイルの種類は、例えば拡張子より判別される。CD-ROMのデータ構造はISO9660に従って定義されており、DVD-ROMのデータ構造はUDF Bridgeに従って定義されている。データ構造をメモリに読込んでから、どのような種類のファイルが記録されているかを検出することができる。音声ファイルの拡張子はWAV、画像ファイルの拡張子はBMPやJPGとなっている。音声ファイルや画像ファイルは、長いので、それらを読み出すときは、シーケンシャルアクセスとした方が有利となるので、それらの長さ(=サイズ)合計が光ディスク(11)内の全ファイルの長さ合計の所定値以上を占めている光ディスク(11)については、光ディスク(11)の回転方式をCLVにするが、そうでないときは、CAVとする。また、各ファイルの長さを調べ、所定値以上の長さの全ファイルの長さ合計が光ディスク(11)内の全ファイルの長さ合計の所定値以上を占めている光ディスク(11)については、光ディスク(11)の回転方式をCLVにするが、そうでないときは、CAVとしてもよい。さらに、光ディスク(11)に記録されているファイルの個数を調べ、個数が所定値以上であるときは、ランダムアクセスが有利と判断し、回転方式をCAVとし、所定値未満であるときは、シーケンシャルアクセスが有利と判断して、回転方式をCLVとしてもよい。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1はCD・DVD兼用データ読み出し装置10の主要部の構成図である。ピックアップ12は、1個のレーザ光源からの光ビーム(以下、「メインの光ビーム」と言う。)をホログラムに通過させることにより新たに例えば6個のサブの光ビームを生成するようになっている。メインの1個の光ビームと新たに生成された6個のサブの光ビームとの計7個の光ビームが、光ディスク11の半径方向へ連続して並ぶ7個の異なるトラックに照射され、各反射光がピックアップ12の光検出器(図示せず)にそれぞれ入射される。メインの光ビームの反射光を入射された光検出器の出力は、フォーカスサーボ及びトラッキングサーボのエラー信号として使用するために、RF信号処理ブロック13へ入力される。サブの光ビームの反射光を入射された光検出器の計6個のRF信号は、EQ(イコライザ)-AMP14へ送られて、波形等化されつつ、増幅される。PLLブロック15は、EQ-AMP14からのサブの光ビームに係る計6個のRF信号と、RF信号処理ブロック13からのメインの光ビームに係る1個のRF信号との計7個のRF信号をPLL(Phase Locked Loop)処理によりチャンネルクロック信号を生成するとともに、計7個のEFM信号を生成し、これらチャンネルクロック信号及びEFM信号を復調部16へ送る。復調部16では、MUX(マルチプレクサ)により各チャンネルのEFM信号を集めてシリアルデータとし、その後、EFM復調され、ECC(Error Correction Code:エラー訂正及びデスクランブル)処理される。復調部16のATAPIインターフェース(AT Attachment Packet Interface)ICのレジスタには、光ディスク11の記録されているリードイン情報が書込まれる。なお、ATAPIインターフェースはパソコン(図示せず)とのデータ送受用に使用される。CPU20は、そのレジスタの内容を読込んで、光ディスク11の種類、各ファイルの長さを検出し、サーボプロセッサ21及びDVD-DSP26へCAV及びCLVの切替信号を送る。DVD-DSP26は、メモリ27に適宜、データを読み書きし、処理を行なう。CPU20は、さらに、サーボプロセッサ21へトレーの開閉指示やスレッド(光ディスク11の半径方向へ光ディスク11のd移動)の指示を出す。サーボプロセッサ21は、ドライバ22を駆動して、トレー開閉用アクチュエータ及びスレッド用アクチュエータを制御する。モータドライバ28は、光ディスク11を回転駆動するスピンドルモータ(図示せず)への駆動電流を増減して、スピンドルモータの回転速度を制御する。光ディスク11がCDである場合の、光ディスク11のCLV制御のための制御信号はサーボプロセッサ21からモータドライバ28へ送られる。光ディスク11がDVDである場合の、光ディスク11のCLV制御のための制御信号はDVD-DSP26からモータドライバ28へ送られる。モータドライバ28は、スピンドルモータの回転速度に比例する周波数のFG信号をサーボプロセッサ21へ送る。光ディスク11をCAV制御するときは、サーボプロセッサ21は、モータドライバ28からのFG信号をフィードバック信号としてモータドライバ28へスピンドルモータの回転速度を増減して、所望の回転速度を達成する。 【0015】図2はDVDの種類とモータ制御との関係を示している。DVDには、DVD-VIDEO、DVD-AUDIO、及びDVD-ROMがあり、DVD-VIDEO及びDVD-AUDIOの場合には、一律にCLVモータ制御とされる。DVD-ROMの場合は、後述のように、それに記録されているファイルの種類等に応じてCLVモータ制御又はCAVモータ制御が行われる。」 上記摘記事項、及び図面の記載を参酌すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が開示されているものと認める。 「DVD(Digital Versitile Disk)からデータを読み出す光ディスク用データ読み出し装置において、 回転駆動手段にセットしたDVDについて、リードインゾーンの内容を読み込み、シーケンシャルアクセス及びランダムアクセスのいずれが有利かを判定するアクセス方式判定手段と、 アクセス方式判定手段がそれぞれシーケンシャルアクセス及びランダムアクセスを有利と判定としたとき回転駆動手段による光ディスク(11)の回転方式をそれぞれCLV及びCAVへ切替える切替手段とからなり、 アクセス方式判定手段は、リードインゾーンの内容から、ディスクの種類がDVD-VIDEO及びDVD-AUDIOと判定されたときには回転方式をCLVとし、 DVD-ROMであると判定されたときには、CAVとする光ディスク用データ読み出し装置。」 (b)対比 本願補正発明と引用例1発明とを対比する。 引用例1発明の「DVD(Digital Versitile Disk)からデータを読み出す光ディスク用データ読み出し装置」は、本願補正発明の「ディジタル・バーサタイル・ディスクを再生するディスクドライブ装置」に相当する。 引用例1発明の「リードインゾーンを読み込む」動作は、本願補正発明の「装着されたディジタル・バーサタイル・ディスクの所定位置」から「情報を読み出す」動作に相当し、「読み込む」動作は、「読み出し手段」である。 引用例1発明の「アクセス方式判定手段」は、ディスクの種類に応じて「アクセス方式」を判定するものであり、本願補正発明の「第1の判定手段」も、VIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリ名が存在しないディスクであるかどうか、すなわちディスクの種類を判定するものであるから、引用例1発明の、「アクセス方式判定手段」は、本願補正発明の「第1の判定手段」に相当する。 引用例1発明の、「回転方式を切替える切替手段」は、本願補正発明の「再生速度制御手段」に相当する。 引用例1発明の「光ディスク用データ読み出し装置」は、本願補正発明の、「ディスクドライブ装置」に相当する。 そうすると、本願補正発明と引用例1発明とは、次の点で一致する。 [一致点] 「ディジタル・バーサタイル・ディスクを再生するディスクドライブ装置において、 装着されたディジタル・バーサタイル・ディスクの所定位置から情報を読み出す情報読出し手段と、 前記情報からディスクの種類を判定する第1の判定手段と 前記第1の判定手段により前記ディジタル・バーサタイル・ディスクの再生速度を制御する再生速度制御手段とを 有するディスクドライブ装置。」 そして、次の各点で相違する。 [相違点] (イ) ディスクの種類を判定する手段であるが、本願補正発明は、「ディレクトリ情報読出し手段」であって、 「ディレクトリ情報からVIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリ名が存在しないかどうかを判定」するのに対し、引用例1発明の「アクセス方式判定手段」は、「リードインゾーンの内容を読み込み」、判定している点。 (ロ) 再生速度制御手段であるが、本願補正発明は「VIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリ名が存在しないと判定されたときであるのに対し、引用例1発明は、「ディスクの種類がDVD-VIDEO及びDVD-AUDIOと判定されたときにはCLVとし、DVD-ROMであると判定されたときには、CAVとする」ものである点。 (c)当審の判断 そこで、上記相違点について検討する。 相違点(イ)について、DVDが、ディレクトリ構造を記録した領域を有し、データ領域に記録されたデータの再生に先立ち、ディレクトリ構造を読み取ること、またそのサブディレクトリ名が、ビデオデータを格納するVIDEO_TS、オーディオデータを格納するAUDIO_TS、及びそれ以外のものからなることは、例えば原査定の拒絶の理由で提示された、本願出願前に頒布された刊行物である特開平11-191282公報(【0067】、【0071】、【0117】?【0123】、【0145】及び第3、4、10、14図等参照)、及び特開平11-328929号公報(【0036】?【0038】、【0042】、【0046】、【0207】?【0212】、【0279】?【0289】、第1、2、12-14図等参照)に記載されるように、周知である。 そして、上記周知のディレクトリ構造を読み取ることにより、ディレクトリ名、すなわち、ディレクトリの存在が確認されること、及び、VIDEO_TSにはビデオデータを、AUDIO_TSにはオーディオデータを格納することが一応の定義とされていることから、少なくともこれらのディレクトリ以外のディレクトリが存在しなければ、ビデオデータ、オーディオデータ以外のデータが存在しない可能性が高いと判断し得ることは、当業者にとって自明のことにすぎない(特にディレクトリ名が格納されている点について、上記特開平11-328929号公報【0212】等参照)。 そうすると、引用例1発明の、リードイン領域の内容から、DVD-VIDEO、DVD-AUDIOのディスクであるか、それ以外のディスクであるかを判別する手段に替えて、DVDを読み取る際の周知の動作である、ディレクトリ構造が記録された領域を読み取ることにより、VIDEO_TS、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリ名が存在するかどうかを判定し、ビデオデータ、あるいはオーディオデータが記録されたDVD-VIDEO、DVD-AUDIOディスクであるか、それ以外のデータも記録された可能性が高いディスクであるかを判別する上記相違点(イ)の構成は、当業者が容易に想到し得たことである。 相違点(ロ)について、オーディオデータ等の実時間性が要求されるデータが記録された光ディスクを再生する場合、実時間性が要求されないデータを再生する場合に比較して、再生速度を単に制限することは、原査定の拒絶の理由でも提示された、特開平3-228262号公報、特開平4-362569号公報、特開平8-77691号公報等に記載されるよう周知である。 一方、DVDに記録されたデータの種類を、所定の領域に記録されたディレクトリ名により判定することは、相違点(イ)に対する検討において上述したとおりである。 そうすると、引用例1発明において、ディスクの種類を判定するために、周知技術に基づき、ディレクトリ構造が記録された所定の領域を読み取り、VIDEO_TS、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリ名が存在するかどうかを判定し、その結果、実時間性が要求されるデータである、ビデオ、あるいはオーディオデータ以外のデータが記録されていないDVD-VIDEO、DVD-AUDIOのディスクであると判定された際は、再生速度を単に制限するよう制御することは、当業者が必要に応じて適宜なし得たことと認められる。 そして、上記各相違点についての判断を総合しても本願発明の奏する効果は引用例1から当業者が充分に予想可能なものであって、格別のものとは言えない。 なお、請求人は、審判請求の理由において、引用例1(特開平11-306661号公報)について、 「しかしながら、データ種別の具体的な判別について、引用文献7には、ファイルの拡張子から判断すると開示されているだけであり」 としているが、上記引用例1は、上記摘記事項の(iii)に示したように、「光ディスク(11)の種類がCD-ROMやDVD-ROMであるときには、一律に、又はさらに内部のファイル内容等を検討してから、回転方式をCAVとする。」と、ディスクの種類がDVD-ROMであると判定された場合は、一律に、CAVとすることが開示されている。 よって、上記請求人の主張は採用できない。 したがって本願補正発明は、引用例1に記載された発明、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)本件補正についてのむすび 以上のとおり、仮に本件補正が特許法第17条の2第4項第2号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるとした場合でも、同第17条の2第5項で準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、結局、同法第159条第1項で準用する同法53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3.本願発明について 平成16年5月28日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年4月25日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 ディジタル・バーサタイル・ディスクを再生するディスクドライブ装置において、 装着されたディジタル・バーサタイル・ディスクの所定位置からディレクトリ情報を読み出すディレクトリ情報読み出し手段と、 前記ディレクトリ情報からVIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリが存在しないかどうかを判定する第1の判定手段と、 前記第1の判定手段でVIDEO_TSディレクトリ、AUDIO_TSディレクトリ以外のディレクトリが存在しないと判定されたとき、前記ディジタル・バーサタイル・ディスクの再生速度を制限する再生速度制御手段とを 有することを特徴とするディスクドライブ装置。」 (1)引用例 原査定の拒絶の理由で引用された引用例1、および、その記載事項は、前記「2.(2)(a)」に記載したとおりである。 (2)対比・判断 本願発明は、前記「2.」で検討した本願補正発明から請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、第1の判定手段に用いられる情報が「ディレクトリ名」であったものを「ディレクトリ」としたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「2.(2)(c)」に記載したとおり、引用例1、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1、並びに周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3)むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-26 |
結審通知日 | 2006-09-26 |
審決日 | 2006-09-27 |
出願番号 | 特願2000-119438(P2000-119438) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(G11B)
P 1 8・ 575- Z (G11B) P 1 8・ 574- Z (G11B) P 1 8・ 573- Z (G11B) P 1 8・ 121- Z (G11B) P 1 8・ 571- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齊藤 健一 |
特許庁審判長 |
片岡 栄一 |
特許庁審判官 |
江畠 博 吉村 伊佐雄 |
発明の名称 | ディスクドライブ装置 |