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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B60G
管理番号 1147683
審判番号 不服2004-9536  
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-06-12 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-05-06 
確定日 2006-11-24 
事件の表示 特願2000- 15036「サスペンション装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月12日出願公開、特開2001-158213〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、平成12年1月24日(優先権主張平成11年9月24日)の出願であって、平成16年3月24日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年5月6日付けで審判請求がなされるとともに、同年6月1日付けで手続補正がなされたものである。
なお、本願については、平成15年4月11日付けの手続補正がされたが、これは平成16年3月24日付けの補正却下の決定により却下された。

2.平成16年6月1日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年6月1日付け手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の請求項1に記載された発明

平成16年6月1日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「 【請求項1】 車体側部材と車輪側部材とをシリンダおよび同シリンダに内装されるピストンにより懸架するサスペンション本体と、前記ピストンにより区分される気体室にオリフィス機構を介して連通させたリザーブタンクとを備え、前記オリフィス機構が、前記サスペンション本体に内蔵され、前記気体室とリザーブタンクとを連通し前記気体室内の気体の圧縮および前記気体室の内圧の減少に応じて開閉するチェックバルブを備えた第1の流路と、同第1の流路をバイパスして前記気体室とリザーブタンクとを連通する第2の流路とを備え、かつ前記第1の流路と第2の流路とを合流させるそれぞれ内径の異なる複数の流路を備え、前記複数の流路の中から任意の流路を選択することによって流れを調整可能としたことにより、ダンパを別途設置することなくダンパとしての作用を発揮するものであることを特徴とするサスペンション装置。 」

本件補正は、旧請求項1を削除し、旧請求項2,3を新たな請求項1,2に繰り上げるとともに、新たな請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「サスペンション装置」について「サスペンション本体」と「リザーブタンク」とを備えるものに限定し、同じく、「オリフィス機構」について「前記サスペンション本体に内蔵され」、「前記第1の流路と第2の流路とを合流させる(それぞれ内径の異なる複数の流路を備え)」及び「ダンパを別途設置することなくダンパとしての作用を発揮するものである」との限定を付加するものであって、本件補正に係る事項は、新規事項を含むものとは認められず、特許法第17条の2第4項第1号に規定する請求項の削除、及び同項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用刊行物とその記載事項

原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である実願昭62-132696号(実開昭64-36203号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、「エアサスペンシヨンの減衰力調整装置」に関し、第1?5図とともに次の事項が記載されている。

(ア)「本考案は、エアサスペンションの減衰力調整装置に関し、特に、外部サブ空気室との連結下に減衰力の調整を行なう車輌用エアススペンションに関する。」(明細書第2ページ第5?8行)

(イ)「サスペンション本体の伸圧動作に従い、メイン空気室の容積が変化し、これに連れて、サブ空気室から又は該室に向けて配管路をガスが流れる。 この配管路を流れるガスの流れ方向に対して二方向制御弁が別々に作用する。
即ち、この場合の配管路の影響によるエアダンピング力のピーク値は流路のオリフィス径(流路面積)によって決定されるので、この特性を利用して前記二方向制御弁の各方向の流れに対するオリフィス径を設定することにより、サスペンション伸側動作と圧側動作とにおける各ダンピング特性を任意の非対称状態で得ることが出来る。」(明細書第5ページ第12行?第6ページ第4行)

(ウ)「第1図に示すように、本考案に係るエアサスペンションの減衰力調整装置は、車輌のフロント側左右およびリヤ側左右にそれぞれ配設される各サスペンション本体11にはメイン空気室12が備えられている。そして、当該メイン空気室12には、外部に配設されたサブ空気室13がエア流路たる通路14で連結されており、当該通路14中には、両空気室12、13間を流れるガス流の向きに対して夫々独自の流路抵抗を生じせしめる二方向制御弁15が配設されている。」(明細書第6ページ第8?17行)

(エ)「そして、前記二方向制御弁15は、・・・チェック弁15aを構成すると共に、・・・スロットル15bを形成せしめてある。」(明細書第7ページ第8?19行)

(オ)「従って、これ等オリフィス28からなるスロットル12bとチェック弁12aとの各流路抵抗の設定によって、サスペンション本体11の伸圧動作において夫々非対称のダンピング特性を持たせることが出来る。」(明細書第9ページ第20行?第10ページ第4行)

(カ)第1図には、メイン空気室12とサブ空気室13とを連通し、チェック弁15aを備えた第1の流路と、第1の流路をバイパスしてメイン空気室12とサブ空気室13とを連通する第2の流路が記載されていると認められる。

引用例1記載のものにおいて、サスペンション本体11は、車輌用エアサスペンションを構成し、車輌のフロント側左右およびリヤ側左右にそれぞれ配設されること(上記記載事項(ア)(ウ))からみて、車体側部材と車輪側部材とを懸架するものであることは明らかである。また、チェック弁15aは、その機能からみて、メイン空気室12内の気体の圧縮およびメイン空気室12の内圧の減少に応じて開閉するものであり、二方向制御弁15は、サスペンション伸側動作と圧側動作とにおける各ダンピング特性を任意の非対称状態で得ることができるようにするもの(上記記載事項(イ))であるから、ダンパとしての作用を発揮するものであることは明らかである。

したがって、上記記載事項(ア)?(カ)及び第1?5図の記載からみて、引用例1には、

「車体側部材と車輪側部材とを懸架するサスペンション本体11と、メイン空気室12に二方向制御弁15を介して連通させたサブ空気室13とを備え、前記二方向制御弁15が、前記メイン空気室12とサブ空気室13とを連通し前記メイン空気室12内の気体の圧縮および前記メイン空気室12の内圧の減少に応じて開閉するチェック弁15aを備えた第1の流路と、同第1の流路をバイパスして前記メイン空気室12とサブ空気室13とを連通する第2の流路とを備え、ダンパとしての作用を発揮するものであるエアサスペンション。」

の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

同じく、本願の優先権主張の日前に日本国内において頒布された刊行物である特開昭59-26636号公報(以下、「引用例2」という。)には、「エアサスペンション装置」に関し、第1?7図とともに次の事項が記載されている。

(キ)「第1図は本実施例に係るエアサスペンション装置を示しており、車輪1が取付けられている車軸2は、エアベローズ等のエアスプリング3によって、車体の骨組みを構成するフレーム4に懸架されている。上記エアスプリング3の上部にはアッパープレート5が取付けられている。このアッパープレート5には円形の開口6が設けられており、この開口6の部分には、連通管7が接続されている。そしてこの連通管7はサージタンク8と接続されている。
さらにエアスプリング3の内部には円形をなす絞りプレート9が配されている。この絞りプレート9は第2図に示すように、円周方向に沿って互いに大きさの異なる複数の絞り孔10が設けられており、このプレート9の回転にともなって複数の絞り孔10が上記円形の開口6と順次整合するようになっている。・・・従ってこの絞りプレート9の互いに大きさのことなる複数の絞り孔10の内の一つが選択的に上記アッパープレート5の円形の開口6と整合するようになり、これによってサージタンク8とエアスプリング3とを連通させる絞りの絞り径が変更されることになる。すなわち絞りプレート9によってこのエアサスペンション装置のエアスプリング3とサージタンク8との間の絞り径を段階的に変化させることが出来る。」(第2ページ左上欄第13行?同左下欄第10行)

(ク)「さらに上記絞りプレート9の回転によって絞りの有効面積を変更することにより、第4図に示すようにエアサスペンション装置の減衰係数も同時に変更されることになり、これによって第4図においてA点からE点の間で段階的に減衰係数を変化させることができる。従ってこの減衰係数の選択についても、車両の状態や路面の状態に応じて種々に変更することが可能となる。」(第2ページ右下欄第8?16行)

(3)対比

本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「メイン空気室12」、「二方向制御弁15」、「サブ空気室13」、「チェック弁15a」、「エアサスペンション」は、それぞれ本願補正発明の「気体室」、「オリフィス機構」、「リザーブタンク」、「チェックバルブ」、「サスペンション装置」に相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、

「車体側部材と車輪側部材とを懸架するサスペンション本体と、気体室にオリフィス機構を介して連通させたリザーブタンクとを備え、前記オリフィス機構が、前記気体室とリザーブタンクとを連通し前記気体室内の気体の圧縮および前記気体室の内圧の減少に応じて開閉するチェックバルブを備えた第1の流路と、同第1の流路をバイパスして前記気体室とリザーブタンクとを連通する第2の流路とを備え、ダンパとしての作用を発揮するものであるサスペンション装置。」

である点で一致し、以下の点で相違するものと認められる。

[相違点1]
本願補正発明では、サスペンション本体は、「シリンダおよび同シリンダに内装されるピストンにより」構成されるものであって、気体室は、「前記ピストンにより区分される」ものであるのに対して、引用発明では、サスペンション本体11の具体的構成は明らかではなく、メイン空気室12がサスペンション本体11のピストンにより区分されるのか否か明らかではない点。

[相違点2]
本願補正発明では、オリフィス機構は、「サスペンション本体に内蔵され」、「第1の流路と第2の流路とを合流させるそれぞれ内径の異なる複数の流路を備え、前記複数の流路の中から任意の流路を選択することによって流れを調整可能とした」ものであって、「ダンパを別途設置することなく」ダンパとしての作用を発揮するものであるのに対して、
引用発明では、二方向制御弁15は、「サスペンション本体11に内蔵され」、「第1の流路と第2の流路とを合流させるそれぞれ内径の異なる複数の流路を備え、前記複数の流路の中から任意の流路を選択することによって流れを調整可能とした」ものではなく、「ダンパを別途設置することなく」ダンパとしての作用を発揮するとの限定もない点。

(4)当審の判断

次に、上記相違点について以下で検討する。

[相違点1]について

車体側部材と車輪側部材とを懸架する車両用のサスペンション装置の技術分野において、シリンダおよび同シリンダに内装されるピストンにより構成され、当該ピストンにより区分される気体室を備えたサスペンション本体は、従来周知の事項(例えば、特開平2-95918号公報、又は、米国特許第1492731号明細書参照。)であるから、引用発明において、サスペンション本体11をかかる周知技術のものに置換することによって、シリンダおよび同シリンダに内装されるピストンにより構成されるものとし、メイン気体室12を当該ピストンにより区分されるものとすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。
してみれば、上記相違点1に係る本願補正発明の構成に格別の困難性は認められない。

[相違点2]について

まず、上記相違点2に係る本願補正発明の構成のうち「ダンパを別途設置することなく」の技術的意義について検討するに、かかる構成を追加する補正の根拠となった本願当初明細書の段落【0007】【0027】の記載、及び関連する他の記載(段落【0004】?【0006】、図14、15等)に照らせば、かかる構成は、エアスプリングの機能を持つエアシリンダにつき、ダンパの機能を兼ね備えるように構成することによって、エアシリンダとは別個のダンパを設置する必要性をなくすことを意味していると解される。

そうであるならば、引用発明も、エアスプリングの機能を持つ、メイン空気室12を備えたサスペンション本体11(エアサスペンション)は、メイン空気室12とサブ空気室13とを連通する通路14にオリフィス機構たる二方向制御弁15を介在させることによって、ダンパの機能を兼ね備えたものということができるから、サスペンション本体11(エアサスペンション)とは別個のダンパを設置する必要性を有するものではなく、「ダンパを別途設置することなく」ダンパとしての作用を発揮するものであると認められる。

この点、審判請求人は、平成16年6月1日付け手続補正書(審判請求書理由補充書)において、引用発明は、メイン空気室12をゴム等の弾性体により構成したエアサスペンションであって、主な減衰力を得るために、二方向制御弁15とは別に、ダンパを欠かすことができないものであるから、「ダンパを別途設置する」ものである旨主張する。しかしながら、メイン空気室12をゴム等の弾性体により構成した点(引用例1には明記されていない。)はともかく、「ダンパを別途設置することなく」の技術的意義については上記検討のとおりであり、オリフィス機構の有する減衰力の程度との関連でその意義を解釈することは、本願当初明細書の記載に基づくものではないから、そのような解釈に基づいて相違点を主張することは失当である。なお、平成18年9月13日の面接において、審判請求人は、「ダンパを別途設置することなく」の技術的意義について、上記検討のとおりであることを認めている点を付言する。

次に、上記相違点2に係る本願補正発明の構成のうち、オリフィス機構が「サスペンション本体に内蔵され」た点については、車両用のサスペンション装置の技術分野において、従来周知の事項(例えば、引用例2の上記記載事項(キ)及び第1図、又は、実願昭55-96291号(実開昭57-23442号)のマイクロフィルムの第1図参照)であり、オリフィス機構が「それぞれ内径の異なる複数の流路を備え、前記複数の流路の中から任意の流路を選択することによって流れを調整可能とした」点については、引用例2に記載されている事項(上記記載事項(キ)(ク))であると認められる。

してみれば、引用発明において、オリフィス機構たる二方向制御弁15につき、かかる周知技術のごとくサスペンション本体11に内蔵するよう構成するとともに、引用例2記載の発明に基づいて、「第1の流路と第2の流路とを合流させるそれぞれ内径の異なる複数の流路を備え、前記複数の流路の中から任意の流路を選択することによって流れを調整可能とした」ものとすることは、当業者ならば容易に想到し得たことである。

よって、上記相違点2に係る本願補正発明の構成に格別の困難性は認められない。

そして、本願補正発明の奏する効果についてみても、引用発明、引用例2記載の発明及び周知技術から予測可能なものであり、格別なものとはいえない。

この点、審判請求人は、平成16年6月1日付け手続補正書(審判請求書理由補充書)及び平成18年9月13日の面接において、本願補正発明は、シリンダ及びピストンにより構成されるサスペンション本体にオリフィス機構を内蔵して、それぞれ内径の異なる複数の流路の中から任意の流路を選択するものであるから、任意のダンピング特性(減衰量)を得ることができるという格別の効果を奏するのに対して、引用発明及び引用例2記載の発明は、ゴム等の弾性体により構成したエアサスペンション装置であるから、ダンパを別途設置しなければ、ダンパとしての作用を発揮することはできず、或いは、弾性体の歪みによる影響によりダンピング特性を任意に設定することはできない旨主張する。

しかしながら、本願当初明細書には、オリフィス機構がそれぞれ内径の異なる複数の流路の中から任意の流路を選択するものであることによって、容易にダンピング特性(減衰量)を調節することができる旨記載(段落【0013】【0053】)されているものの、かかるオリフィス機構をシリンダ及びピストンにより構成されるサスペンション本体に内蔵することによって、「任意のダンピング特性(減衰量)」を得ることができる点については記載も示唆もされていないから、本願補正発明の効果についての審判請求人の主張は、本願当初明細書に基づくものとは認められない。

また、審判請求人の主張のとおり、引用発明及び引用例2記載の発明がゴム等の弾性体により構成したエアサスペンション装置であると仮定したとしても、かかる形式のエアサスペンション装置が一般的に別途ダンパを備えていることをもって、引用例1及び2の記載内容を無視してまで、引用発明及び引用例2記載の発明が、ダンパを別途設置しなければダンパとしての作用を発揮することはできないとの解釈を採用することは困難である。

さらに、審判請求人の主張のとおり、かかる形式のものにおいて弾性体の歪みがダンピング特性に影響を与えると仮定したとしても、そのような弾性体の歪みの影響は、引用発明のサスペンション本体を周知技術に照らしてシリンダ及びピストンにより構成すれば取り除かれることは、当業者ならば容易に予測できるのであるから、審判請求人の主張する効果は格別のものとはいえない。

したがって、本願補正発明の奏する効果についての審判請求人の主張は採用できない。

よって、本願補正発明は、引用発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項の規定で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について

(1)本願発明

本件補正は上記2.のとおり却下されたので、本願の請求項1?3に係る発明は、平成14年2月28日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりである。

「 【請求項1】 車体側部材と車輪側部材とをシリンダおよび同シリンダに内装されるピストンにより懸架するサスペンション装置において、前記ピストンにより区分される気体室にオリフィス機構を介して連通させたリザーブタンクを備え、前記オリフィス機構は、前記気体室とリザーブタンクとを連通し前記気体室内の気体の圧縮および前記気体室の内圧の減少に応じて開閉するチェックバルブを備えた第1の流路と、同第1の流路をバイパスして前記気体室とリザーブタンクとを連通する第2の流路とを備えたものであることを特徴とするサスペンション装置。 」

(2)引用刊行物とその記載事項

原査定の拒絶の理由に引用した刊行物である引用例1,2及びその記載事項は上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断

本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明から「サスペンション装置」について、「サスペンション本体」と「リザーブタンク」とを備えるものとの限定を省くとともに、「オリフィス機構」について「前記サスペンション本体に内蔵され」及び「前記第1の流路と第2の流路とを合流させるそれぞれ内径の異なる複数の流路を備え、前記複数の流路の中から任意の流路を選択することによって流れを調整可能としたことにより、ダンパを別途設置することなくダンパとしての作用を発揮するものである」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件をすべて含み、更に他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例2記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。そして、このような特許を受けることができない発明を包含する本願は、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-20 
結審通知日 2006-09-26 
審決日 2006-10-11 
出願番号 特願2000-15036(P2000-15036)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60G)
P 1 8・ 575- Z (B60G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 増岡 亘小関 峰夫  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 平瀬 知明
永安 真
発明の名称 サスペンション装置  
代理人 加藤 久  

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