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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B61B
管理番号 1148941
審判番号 不服2004-5893  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-25 
確定日 2006-12-14 
事件の表示 平成9年特許願第178739号「チェーン駆動設備」拒絶査定不服審判事件〔平成11年1月26日出願公開、特開平11-20678〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成9年7月4日の出願であって、平成16年2月20日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年3月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月26日付けで手続補正がなされたものである。

【2】平成16年4月26日付けの手続補正(明細書についての手続補正であって、以下、「本件補正」ともいう。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成16年4月26日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「一定経路上で移動されるチェーンに移動力を付与するチェーン駆動設備であって、固定の機枠には、一定経路の方向で一対の輪体が、それぞれ輪体軸を介して回転自在に設けられるとともに、両輪体間には、前記チェーン側にその外面側が係合自在な回転伝動体が設けられ、一方の輪体軸は回転駆動軸であり、この回転駆動軸に回転駆動装置の出力軸が連動連結され、前記回転駆動装置は、弾性体使用の緩衝形式である回り防止手段を介して機枠側に設けられるとともに、機枠側には、回転駆動装置側の異常な動きを検出する検出器が設けられ、前記機枠側には、回転伝動体の張力調整手段が設けられ、この張力調整手段は、両輪体間において回転伝動体の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体と、前記回転伝動体の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内する第二のガイド体と、これらガイド体を互いに接近離間する方向へ各別に移動させる移動調整具とからなることを特徴とするチェーン駆動設備。」(下線部は補正箇所を示す。)
と補正された。
上記補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された「回転駆動装置」に関する、「この回転駆動軸に回転駆動装置が連動連結され、」との構成を、願書に最初に添付された明細書または図面に記載された技術的事項によって、「この回転駆動軸に回転駆動装置の出力軸が連動連結され、前記回転駆動装置は、弾性体使用の緩衝形式である回り防止手段を介して機枠側に設けられるとともに、機枠側には、回転駆動装置側の異常な動きを検出する検出器が設けられ、」と限定するものであるから、新規事項を追加するものではなく、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2.引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された実公昭47-24149号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「コンベヤ用チエンとその駆動装置」に関して、第1?4図とともに次のような記載がある。(但し、摘記部分の行の計数は余白行も1行とした。)
A)「本考案はコンベヤ用チエンとその駆動装置に関するものであつて、その主たる目的は、そのコンベヤ用チエンが、横軸で枢支されたホイールを有するものにおいて、駆動時にそのホイールが案内レールに対して浮き上がつたり、横方向に相対移動したりする事を確実に防止し得るものであつてかつ駆動チエン側に関しては、押具を含む駆動ユニツトを非常に丈夫に構成しながら、押具や、この駆動チエンとこれを案内する押えレールとの間の相対摺動面などに無理を生ぜしめないですむように改良された構成を提供せんとする点にある。」(第1頁第1欄18?28行)
B)「1は駆動装置であつて、図外のモータに連動する駆動輪2と他の輪体3とに掛け渡された駆動チエン4をもつている。この駆動チエン4は、コンベヤ用チエン案内レール5の上側にそつた直線経路部分6を有しており、この直線経路部分6の上側にそわされた押えレール7は固定フレーム8に取付位置調整装置9を介して取付けられている。前記案内レール5に案内されるコンベヤ用チエンは、第2図、第4図に示すように上下に並列する一対のリンク10と、横方向に並列する一対のリンク11とが十字形ピン12によつて交互に横方向および上下方向に相対揺動自在に連結されたものであつて、・・・このようなコンベヤ用チエン18を案内する案内レール5は、第3図に特に良く示されるようにホイール16の転動する一対のレール板19と前記ホイール14に接近する両側板20とをもつている。」(第1頁第1欄30行?第2欄15行)
C)「前記駆動チエン4は第2図、第3図に示すように、横向きのローラピン21によつて連結されたリンク22からなる一般的な形状のものであつて所定のピツチおきに位置する横方向一対の外側リンク22aがその下側両端部で一体に連結されていてその両連結部22bには、前記コンベヤ用チエン18の横方向一対のリンク11の、ホイール16の両側方部上面11aに接当するリンク押え面25を有せしめ前方の連結部からは、該リンク11間の前端近傍部に突入する押具23を突設し後方の連結部からは同じリンク11間の後端近傍部に突入する先行阻止具24を突設してある。」(第1頁第2欄16?27行)

上記A)?C)の記載からみて、上記刊行物1の「コンベヤ用チエンとその駆動装置」における駆動装置1は、一定経路上で移動されるコンベヤ用チエン18に移動力を付与する装置であって、該駆動装置1には、上記一定経路の方向で、図外のモータに連動する駆動輪2と他の輪体3とからなる一対の輪体2,3が、それぞれ回転自在に設けられるとともに、両輪体2,3間には、前記コンベヤ用チエン18側にその外面側が係合自在な駆動チエン4が設けられ、駆動装置1側の固定フレーム8には、両輪体2,3間において駆動チエン4の該一定経路側の内面を摺接案内する押えレール7が、取付位置調整装置9によりコンベヤ用チエン18に向かって移動可能に設けられているものと認められる。
そして上記駆動装置1には、上述したように、一対の輪体2,3がそれぞれ回転自在に設けられるとともに駆動チエン4の内面を摺接案内する押えレール7が設けられているのであるから、該駆動装置1が、これら一対の輪体2,3を回転自在に保持するとともに押えレール7の固定フレーム8を保持する固定の機枠を有することは明らかであり、また、これら一対の輪体2,3が、該機枠に対して輪体軸を介して回転していることも明らかである。
さらに、上記一方の輪体2がモータに連動する駆動輪である以上、該駆動輪2の輪体軸が回転駆動軸であり、この回転駆動軸にモータの出力軸が連動連結されることは当然である。
したがって、上記刊行物1には、
「一定経路上で移動されるコンベヤ用チエン18に移動力を付与する駆動装置1であって、固定の機枠には、一定経路の方向で一対の輪体2,3が、それぞれ輪体軸を介して回転自在に設けられるとともに、両輪体2,3間には、前記コンベヤ用チエン18側にその外面側が係合自在な駆動チエン4が設けられ、一方の輪体軸は回転駆動軸であり、この回転駆動軸にモータの出力軸が連動連結され、前記機枠側には、両輪体2,3間において駆動チエン4の一定経路側の内面を摺接案内する押えレール7と、押えレール7を移動させる取付位置調整装置9が設けられた駆動装置1。」の発明(以下、「刊行物1の発明」という。)が記載されているものと認める。

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された実公昭48-40293号公報(以下、「刊行物2」という。)には、「装軌車輌の足廻り装置」に関して、第1?5図とともに次のような記載がある。
D)「図面中1は履帯であり、この履帯1は第4図に示す履板2を多数枚連結して構成してある・・・。この履帯1は前後の遊動輪6,7に掛けてあり、これら遊動輪6,7は図示しないフレームに前後方向に移動可能に設けてあり、遊動輪6,7は緩衝ばね6a,7aにより常に外方に、即ち、前側の遊動輪6は前方、また、後側の遊動輪7は後方にそれぞれ押されている。フレームには駆動機構8が装備してある。この駆動機構8は無端状の駆動チエーン9を備え、この駆動チエーン9は第5図に示す駆動爪体10を互にリンク11で連結して構成してある。・・・前記駆動チエーン9はフレームに回転可能に軸支された遊動鎖車15と駆動軸16に固着された駆動鎖車17とに掛けてある。フレームにはチエーン支持台18と上下方向に調節可能なチエーン張り調節台19とが設けてあり、これらの台18,19は駆動チエーン9の内側に摺接しており、駆動チエーン9の駆動爪体10の係合突起12は前記履板2の係合孔3に係脱可脱に係合している。前記履帯1の下側部には、下転輪20が接している。
而して、駆動軸16をして、駆動鎖車17を第2図矢印の方向に回転させて駆動チエーン9を同様に矢印の方向に回転すると、駆動爪体10の係合突起12の送りにより、履帯1は矢印の方向に回転走行し、車輌を前進させ、また駆動鎖車17を逆方向に回転駆動することにより、履帯1を逆に回転走行させ、車輌を後進させる。」(第1頁第2欄2?37行)
E)第3図には、フレームに設けられたチエーン支持台18が、両鎖車15,17間において駆動チエーン9の一定経路側の内面を摺接案内していることと、同じくフレームに上下方向に調節可能に設けられたチエーン張り調節台19が、前記駆動チエーン9の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内するように形成されていることが記載されている。

上記D),E)の記載からみて、上記刊行物2の「装軌車輌の足廻り装置」における駆動機構8は、前後の遊動輪6,7間の一定経路上で移動される履帯1に移動力を付与する機構であって、該駆動機構8が取り付けられたフレームには、上記一定経路の方向で一対の鎖車(遊動鎖車15と駆動鎖車17)が、それぞれ回転自在に設けられており、両鎖車15,17間には、前記履帯1側にその外面側が係合自在な駆動チエーン9が設けられるとともに、一方の鎖車(駆動鎖車17)の回転軸は駆動軸16として構成され、さらに前記フレーム側には、両鎖車15,17間において駆動チエーン9の一定経路側の内面を摺接案内するチエーン支持台18と、前記駆動チエーン9の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内するチエーン張り調節台19とが設けられているものと認められる。
また、駆動軸16が回転駆動装置の出力軸に連動連結されることは自明であるとともに、チエーン張り調節台19が上下方向に調節可能である以上、該チエーン張り調節台19には、チエーン支持台18とチエーン張り調節台19を互いに接近離間する方向へ移動させる移動調整具が設けられており、これらチエーン支持台18とチエーン張り調節台19によって、駆動チエーン9の張力調整手段が構成されていることもまた自明である。
そして、上記「駆動機構8」,「履帯1」,「鎖車」,「駆動チエーン9」は、それぞれ「駆動設備」,「無端状の移動体」,「輪体」,「回転伝動体」と言い換えることができるとともに、上記「チエーン支持台18」,「チエーン張り調節台19」は、それぞれ駆動チエーン9をガイドしている部材であるから、「第一のガイド体」,「第二のガイド体」とそれぞれ言い換えることができる。
したがって、上記刊行物2には、
「一定経路上で移動される無端状の移動体に移動力を付与する駆動設備であって、固定のフレームに、一定経路の方向で一対の輪体がそれぞれ回転自在に設けられるとともに、両輪体間には、前記無端状の移動体側にその外面側が係合自在な回転伝動体が設けられ、一方の輪体の回転軸は駆動軸であり、この駆動軸に回転駆動装置の出力軸が連動連結された駆動設備において、フレーム側に、回転伝動体の張力調整手段を設け、この張力調整手段を、両輪体間において回転伝動体の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体と、前記回転伝動体の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内する第二のガイド体と、これらガイド体を互いに接近離間する方向へ移動させる移動調整具とから構成する」発明(以下、「刊行物2の発明」という。)が記載されているものと認める。

3.本願補正発明と上記刊行物1の発明との対比
そこで、本願補正発明と上記刊行物1の発明とを対比すれば、上記刊行物1の発明の「コンベヤ用チエン18」は本願補正発明の「チェーン」に対応し、以下同様に「駆動装置1」は「チェーン駆動設備」に、「駆動チエン4」は「回転伝動体」に、「モータ」は「回転駆動装置」に、「押えレール7」は「第一のガイド体」に、それぞれ対応している。また、上記刊行物1の発明の「取付位置調整装置9」は、第一のガイド体である押えレール7の移動調整具である限りにおいて、本願補正発明の「移動調整具」に対応している。
したがって、本願補正発明は上記刊行物1の発明と、
「一定経路上で移動されるチェーンに移動力を付与するチェーン駆動設備であって、固定の機枠には、一定経路の方向で一対の輪体が、それぞれ輪体軸を介して回転自在に設けられるとともに、両輪体間には、前記チェーン側にその外面側が係合自在な回転伝動体が設けられ、一方の輪体軸は回転駆動軸であり、この回転駆動軸に回転駆動装置の出力軸が連動連結され、前記機枠側には、両輪体間において回転伝動体の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体と、ガイド体を移動させる移動調整具が設けられたチェーン駆動設備」
で一致し、以下の<相違点>で相違しているものと認める。
<相違点>
1)本願補正発明の回転駆動装置は、弾性体使用の緩衝形式である回り防止手段を介して機枠側に設けられるとともに、機枠側には、回転駆動装置側の異常な動きを検出する検出器が設けられているのに対し、上記刊行物1の発明の回転駆動装置であるモータは、機枠側にどのように設けられているか明らかでなく、異常な動きを検出する検出器が設けられているか否かも明らかでない点。
2)本願補正発明では、機枠側に回転伝動体の張力調整手段が設けられ、この張力調整手段は、両輪体間において回転伝動体の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体と、前記回転伝動体の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内する第二のガイド体と、これらガイド体を互いに接近離間する方向へ各別に移動させる移動調整具とからなるのに対し、上記刊行物1の発明では、機枠側に、両輪体間において回転伝動体(駆動チエン4)の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体(押えレール7)と、第一のガイド体(押えレール7)を移動させる移動調整具が設けられてはいるものの、該第一のガイド体(押えレール7)に対して回転伝動体(駆動チエン4)の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内する第二のガイド体と、これらガイド体を互いに接近離間する方向へ各別に移動させる移動調整具とからなる張力調整手段は設けられていない点。

4.判断
(1)相違点1)に関して
一定経路上で移動されるコンベヤに移動力を付与するコンベヤ駆動設備において、該コンベヤ駆動設備に回転駆動力を与える回転駆動装置を、弾性体使用の緩衝形式である回り防止手段を介してチェーン駆動設備の機枠側に設けるとともに、機枠側には、回転駆動装置側の異常な動きを検出する検出器を設けることは周知技術(例えば、実願昭49-43801号(実開昭50-132891号)のマイクロフィルムにおける回転駆動装置としての変速装置8と、スプリング11を用いた過負荷検出安全装置5を参照されたい。該過負荷検出安全装置5が変速装置8の回り防止手段を構成していることは自明である。)である。
してみれば、刊行物1の発明において、回転駆動装置であるモータを、弾性体使用の緩衝形式である回り防止手段を介して機枠側に設けるとともに、機枠側には、回転駆動装置側の異常な動きを検出する検出器を設けることは、上記刊行物1の発明に上記周知技術を適用することにより、当業者が容易に行うことができたものである。
(2)相違点2)に関して
刊行物2には、一定経路上で移動される無端状の移動体に移動力を付与する駆動設備であって、固定のフレームに、一定経路の方向で一対の輪体がそれぞれ回転自在に設けられるとともに、両輪体間には、前記無端状の移動体側にその外面側が係合自在な回転伝動体が設けられ、一方の輪体の回転軸は駆動軸であり、この駆動軸に回転駆動装置の出力軸が連動連結された駆動設備において、フレーム側に、回転伝動体の張力調整手段を設け、この張力調整手段を、両輪体間において回転伝動体の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体と、前記回転伝動体の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内する第二のガイド体と、これらガイド体を互いに接近離間する方向へ移動させる移動調整具とから構成する発明が記載されており、この発明を、フレームと無端状の移動体を機枠とチエンに置き換えて、上記刊行物1の発明に適用することには、何ら困難性が認められない。そしてその場合、刊行物1の発明の押えレール7は、取付位置調整装置9によりコンベヤ用チエン18に向かって移動可能に設けられているのであるから、刊行物2の発明を刊行物1の発明に適用すれば、第一のガイド体である押えレール7が、該取付位置調整装置9により、第二のガイド体の移動調整具とは独立して(すなわち各別に)、第二のガイド体に対して接近離間する方向へ移動することは明らかである。
してみれば、上記刊行物1の発明において、機枠側に回転伝動体(駆動チエン4)の張力調整手段を設けるとともに、該張力調整手段を、両輪体間において回転伝動体(駆動チエン4)の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体(押えレール7)と、回転伝動体(駆動チエン4)の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内する第二のガイド体と、これらガイド体を互いに接近離間する方向へ各別に移動させる移動調整具とからなるものとして構成することは、上記刊行物1の発明に上記刊行物2の発明を適用することにより当業者が容易に行い得たものである。

そして、本願補正発明が奏する作用効果は、上記刊行物1,2の発明と上記周知技術に示唆された事項から予測される程度以上のものではない。
したがって、本願補正発明は、上記刊行物1,2の発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、上記刊行物1,2に記載された発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

【3】本願発明について
平成16年4月26日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成15年9月19日付けの手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)と認められる。
「一定経路上で移動されるチェーンに移動力を付与するチェーン駆動設備であって、固定の機枠には、一定経路の方向で一対の輪体が、それぞれ輪体軸を介して回転自在に設けられるとともに、両輪体間には、前記チェーン側にその外面側が係合自在な回転伝動体が設けられ、一方の輪体軸は回転駆動軸であり、この回転駆動軸に回転駆動装置が連動連結され、前記機枠側には、回転伝動体の張力調整手段が設けられ、この張力調整手段は、両輪体間において回転伝動体の一定経路側の内面を摺接案内する第一のガイド体と、前記回転伝動体の一定経路とは離れた側の内面を摺接案内する第二のガイド体と、これらガイド体を互いに接近離間する方向へ各別に移動させる移動調整具とからなることを特徴とするチェーン駆動設備。」

1.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物、および、その記載事項は、前記「【2】2.」に記載したとおりである。

2.本願発明と刊行物1との対比・判断
本願発明は、前記「【2】」で検討した本願補正発明から、「回転駆動装置」に関する、回転駆動装置「の出力軸」との構成と、「前記回転駆動装置は、弾性体使用の緩衝形式である回り防止手段を介して機枠側に設けられるとともに、機枠側には、回転駆動装置側の異常な動きを検出する検出器が設けられ、」との構成を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものである本願補正発明が、前記「【2】4.」に記載したとおり、刊行物1,2の発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願補正発明の上位概念発明である本願発明も、本願補正発明と同様の理由により、刊行物1,2の発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

3.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1,2に記載された発明と上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-11 
結審通知日 2006-10-17 
審決日 2006-10-31 
出願番号 特願平9-178739
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B61B)
P 1 8・ 121- Z (B61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山内 康明  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 永安 真
ぬで島 慎二
発明の名称 チェーン駆動設備  
代理人 板垣 孝夫  
代理人 森本 義弘  

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