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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01K |
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管理番号 | 1148977 |
審判番号 | 不服2004-13519 |
総通号数 | 86 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-08-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-06-30 |
確定日 | 2006-12-13 |
事件の表示 | 特願2002- 19214「動物の排泄物処理材及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 8月13日出願公開、特開2002-223653〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成4年5月29日に出願した特願平4-181464号の一部を特許法第44条第1項の規定により分割して平成11年3月31日に新たな特許出願とした特願平11-92899号の一部をさらに分割して、平成14年1月28日に新たな特許出願としたものであって、平成16年5月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年6月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。 そして、その請求項1に係る発明は、平成16年6月30日付けの手続補正書で補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものと認められ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 (本願発明) 「ヒノキチオールを木の成分として含有する木粉並びに該木粉より少ない量の接着機能を有する配合物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有している乾燥造粒物であることを特徴とする動物の排泄物処理材。」 なお、「1ミリメートル上」は「1ミリメートル以上」の誤記と認めて認定した。 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の遡及日前に頒布された刊行物である、特開昭62-239932号公報(以下、「引用例」という。)には、「ペット等の排泄物処理材」に関して、特に下記の記載がある。 (イ)「1.吸水性材料の1?7m/mの大きさを有する粒状物の表面を、凝塊性、膨潤性を有する150メッシュよりも細かい粉末で10?500μの膜厚に被覆したペット等の排泄物処理材。 2.吸水性材料の粒状物がパルプ、ゼオライト、セピオライト及び木粉からなる特許請求の範囲第1項に記載のペット等の排泄物処理材。 3.凝塊性、膨潤性を有する細かい粉末がベントナイトからなる特許請求の範囲第1項に記載のペット等の排泄物処理材。」(特許請求の範囲) (ロ)「本発明に係る処理材は吸水した箇所のみがおこし状の固塊となり、かつその固塊は好ましい条件である程度より賢固となり、その凝塊団子を摘まみとって廃棄し、新しいものをその量だけ補充すればよい。」(2頁右上欄5?9行) (ハ)「芯材の粒状物の大きさ(直径)は約1?7m/m、好ましくは約2?5m/mであり、1m/mより小さい粒状物はペットの足に付着して付近を汚染する傾向があり、...」(同頁右上欄15?18行) (ニ)「本発明のペット等の排泄物処理材は、芯材の粒状物に対し、水分を均一に噴霧して表面を充分に湿潤させてから、速かに粉衣すべきベントナイト粉末を撒粉混合後、直ちに乾燥機で乾燥する。例えば、5m/m(直径)のパルプ粒状物100重量部に対し、ベントナイト粉末25重量部を粉衣することにより約80μの膜厚が得られる。...」(同頁左下欄12?18行) ここで、特に上記(ハ)の記載から、乾燥粒状物となったペット等の排泄物処理材の粒径は1ミリメートル以上と解され、これらの記載を参照すると、引用例には、下記の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されている。 (引用例記載の発明) 「木粉からなる吸水性材料の粒状物並びに該粒状物の表面を凝塊性を有する細かい粉末で10?500μの膜厚に被覆し、1ミリメートル以上の粒径を有している乾燥粒状物であるペット等の排泄物処理材」 3.対比・判断 (1)対比 本願発明と引用例記載の発明を比較すると、引用例記載の発明の「凝塊性を有する」とは、上記2.の(ロ)の記載から、処理材が吸水すると「接着機能を有する」ということであり、引用例記載の発明の「木粉からなる吸水性材料の粒状物」、「凝塊性を有する細かい粉末」、「乾燥粒状物」、「ペット等の排泄物処理材」は、それぞれ、本願発明の「木粉」「接着機能を有する配合物質」、「乾燥造粒物」、「動物の排泄物処理材」に相当する。そして、引用例記載の発明において、「1ミリメートル以上の粒径を有している乾燥粒状物」に対して、「10?500μの膜厚に被覆」される「凝塊性を有する細かい粉末」の量は、明らかに少ないと認められることから、両者は、下記の点で一致し、 (一致点) 「木粉並びに該木粉より少ない量の接着機能を有する配合物質を含有し、1ミリメートル以上の粒径を有している乾燥造粒物である動物の排泄物処理材」 次の点で相違している。 (相違点) 木粉が、本願発明では、ヒノキチオールを木の成分として含有する木粉であるのに対し、引用例記載の発明では、吸水性材料との限定しかない点。 (2)判断 種々の分野において、消臭・防臭のために、ヒノキチオールを木の成分として含有する木粉を用いることは、従来より周知技術(例えば、査定時に提示した特開昭63-230169号公報、特開平1-242001号公報、および、特開昭63-150218号公報、原査定の拒絶の理由に提示した特開昭64-37987号公報、特開平2-124106号公報、実願昭62-142269号(実開昭64-46220号)のマイクロフィルム等参照。)であって、消臭・防臭機能が要求される、動物の排泄物処理材の吸水性材料である木粉として、ヒノキチオールを木の成分として含有する木粉を採用することは、当業者が容易に想到することができたものである。 なお、接着機能を有する配合物質として、引用例では、ベントナイトの粉末しか例示されていないが、造粒物である動物の排泄物処理材の基材に、基材より少ない量含有される接着機能を有する配合物質としては、高吸水性樹脂、澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等、種々のものが周知(例えば、原査定の拒絶の理由に提示した特開昭59-74935号公報、特開昭60-94042号公報、特開昭63-102619号公報、特開平2-265968号公報、特開平3-191729号公報、および、査定時に提示した特開昭59-183635号公報等参照。)である。 なお、請求人は、平成16年9月22日付けで提出した審判請求の理由に係る手続補正書において、補正案を提示しているが、該補正案の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明では、本願発明に対して表現の異なる部分があるものの、両者の技術的な範囲の意味するところにおいては実質的に差異はないと言わざるを得ないことから、上記補正案を勘案しても、更なる審理を行うべき必要性がないと言わざるを得ない。 さらに、平成18年10月17日付審理再開申立書によれば、請求人は、上記補正案を前提として、本願発明に係る動物の排泄物処理材は、脱臭剤としてヒノキチオールを含有する木粉を配合するのはなく、ヒノキチオールを木の成分として含有する木粉を使用するものであって、本願発明について重大な事実誤認がなされているので、審理は再会されるべきである旨主張している。 しかしながら、当審においては、本願発明に係る動物の排泄物処理材を「ヒノキチオールを木の成分として含有する木粉」を使用するものであるとの認定のもとに審理がなされており(上記「1.手続きの経緯・本願発明」参照)、上記審理再開申立書を勘案しても、審理を再開すべき必要性はないと言わざるを得ない。 4.むすび 以上のように、本願発明は、引用例記載の発明および周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-09-28 |
結審通知日 | 2006-10-03 |
審決日 | 2006-10-19 |
出願番号 | 特願2002-19214(P2002-19214) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A01K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 郡山 順、森次 顕 |
特許庁審判長 |
大元 修二 |
特許庁審判官 |
宮川 哲伸 西田 秀彦 |
発明の名称 | 動物の排泄物処理材及びその製造方法 |
代理人 | 滝口 昌司 |
代理人 | 中里 浩一 |
代理人 | 武田 正彦 |