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審決分類 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 C07C
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 C07C
管理番号 1149333
審判番号 不服2005-8543  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-12-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-05-09 
確定日 2006-12-19 
事件の表示 平成7年特許願第502216号「リポキシン化合物」拒絶査定不服審判事件〔平成6年12月22日国際公開、WO94/29262、平成8年12月17日国内公表、特表平8-512023〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本願は、1994年6月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1993年6月15日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成7年12月15日付けで特許法第184条の8に該当する補正書の写し(翻訳文)提出書2通が提出され、平成12年12月1日付けで手続補正書が提出され、平成16年4月22日付けで拒絶理由が通知され、これに対し、平成16年11月11日付けで意見書とともに手続補正書が提出され、平成17年1月31日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年5月9日に審判請求がなされ、平成17年6月8日付けで手続補正がなされ、平成17年7月7日付けで審判請求書の手続補正書が提出されたものである。

2.平成17年6月8日付け手続補正についての却下の決定

[補正却下の決定の結論]

平成17年6月8日付け手続補正を却下する。

[理由]

(1)本件補正の内容

平成17年6月8日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲
「1.天然のリポキシンの活性領域及び生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域を有するリポキシン類似体。
2.天然のリポキシンがリポキシンA4である請求項1記載のリポキシン類似体。
3.天然のリポキシンがリポキシンB4である請求項1記載のリポキシン類似体。
4.生体内で患者に投与された場合、又は試験管内で単球と共に培養された場合に15-オキソ又は13-14-ジヒドロ代謝物に変換されない請求項2記載のリポキシン類似体。
5.相同的置換アッセイにおいて、分化HL-60細胞又は白血球上のLXA4特異的レセプターに、0.6±0.3nMに匹敵するか又はそれより低いKdで結合する請求項4記載のリポキシン類似体。
6.生体内で患者に投与された場合、又は試験管内で単球と共に培養された場合に5-オキソ又は6-7-ジヒドロ代謝物に変換されない請求項3記載のリポキシン類似体。
7.構造式:

{式中、Aは

ここでXはR1、OR1又はSR1であり(但しQ1がCNの場合、XはR1、OR1もしくはSR1のいずれでもない);
ここでR1は
(i)水素;
(ii)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(iii)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(iv)炭素数が7?12のアラルキル;
(v)フェニル;
(vi)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して-NO2、-CN、-C(=O)-R1、-SO3H及び水素から成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
(vii)検出可能標識分子;又は
(viii)炭素数が2?8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルケニル;
であり;
Q1は(C=O)、SO2又は(CN)であり;
Q3はO、S又はNHであり;
R2及びR3の一方は水素であり、他方は
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(c)炭素数が3?6のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が2?8のアルケニル;又は
(e)RaQ2Rb[ここでQ2は-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである]
であり;
R4は
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?6のアルキル;
である;

ここでR1は
(i)水素;
(ii)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(iii)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(iv)炭素数が7?12のアラルキル;
(v)フェニル;
(vi)置換フェニル

ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して-NO2、-CN、-C(=O)-R1、水素及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる;
(vii)検出可能標識分子;又は
(viii)炭素数が2?8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルケニル;
であり;
n=1?10であり;
R2、R3a及びR3bは独立して
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(c)炭素数が3?6のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が2?8のアルケニル;又は
(e)RaQ2RbここでQ2は-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである;
から選ばれ;
Y1又はY2は一方が-OH、メチル又は-SHであり、他方は
(a)H
(b)CHaZbここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;
Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンであり;
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;
(d)炭素数が1?4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
である;

ここでRaは
(a)H;又は
(b)炭素数が1?8のアルキル;
から成る群より選ばれる;

ここでRaは
(i)水素;
(ii)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;又は
(iii)検出可能標識分;
であり;
n=1?10であり;
R3a及びR3bは独立して
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(c)炭素数が3?6のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が2?8のアルケニル;又は
(e)RaQ2RbここでQ2は-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである;
から選ばれ;
Y2は
(a)H
(b)CHaZbここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;
Zはハロゲンである;又は
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;
であることができ;そして
Bは

ここでY1又はY2は一方が-OH、メチル又は-SHであり、他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;
Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;又は
(d)炭素数が1?4のアルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
であり;
ここでR5は
(a)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Riここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

ここでZi、Ziii及びZvそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる;
(c)-RaQaRbここでQa=-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;
Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである;
(d)-C(Riii)(Riv)-RiここでRiは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO,Hから成る群より
選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
であり;
ここでRiii及びRivは独立して
(i)H;
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、Zはハロゲンである];
(e)炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝鎖状ハロアルキル;
であり;
R6は
(a)H;
(b)炭素数が1?4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル;
(c)ハロゲン;
である;

ここでY1又はY2の一方は-OH、メチル、-H又は-SHであり、
他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;
Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;
(d)炭素数が1?4のアルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
であり;
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Riここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

ここでZi、Ziii及びZvそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZiwはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる;
(c)-RaQaRbここでQa=-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;
Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである;
(d)-C(Riii)(Riv)-Riここで、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
であり;
ここでRiii及びRivは独立して
(i)H;及び
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、Zはハロゲンである]:
から成る群より選ばれる;
(e)炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝鎖状ハロアルキル;
である;

ここでY1又はY2は一方がヒドロキシル、メチル、水素又はチオールであり、他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;
Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;
(d)炭素数が1?4のアルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
であり;
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Riここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;
(iii)置換フェニル

ここでZi、Ziii及びZvそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
Zii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる;
(c)-RaQaRbここでQa=-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;
Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである;又は
(d)-C(Riii)(Riv)-RiここでRiは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZivはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より
選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
であり;
ここでRiii及びRivは独立して
(i)H;及び
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、Zはハロゲンである]
である;

ここでY1又はY2は一方が-OH、メチル又は-SHであり、他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、
Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;又は
(d)炭素数が1?4のアルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
であり;
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Riここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
(c)-RaQaRb[ここでQa=-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;
Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである];
(d)-C(Riii)(Riv)-RiここでRiは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
であり;
ここでRiii及びRivは独立して
(i)H;又は
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、Zはハロゲンである]
から選ばれる;又は
(e)炭素数が1?8であり、そして1?6個のハロゲン原子を有する直鎖状もしくは分枝鎖状ハロアルキル;
である;

ここでY3又はY4は一方が-OH、メチル、水素又は-SHであり、
他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;そしてZはシアノ、ニトロ又はハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;
(d)炭素数が1?4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ;
であるか、
あるいはY3及びY4は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
であり;
Y5又はY6は一方が-OH、メチル、水素又は-SHであり、他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;
Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;
(d)炭素数が1?4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルコキシ;
であるか、
あるいはY5及びY6は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
であり;
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Riここでn=0?4であり、そしてRiは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素、メトキシ及びヒドロキシルから成る群より選ばれる;
(c)-RaQaRb[ここでQa=-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;
Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル又は置換フェニルである];
(d)-C(Riii)(Riv)-RiここでRiは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より
選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
であり;
ここでRiii及びRivは独立して
(i)H;又は
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3]であり、そしてZはハロゲンである];
から選ばれる;又は
(e)炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝鎖状ハロアルキル;
である;

ここでRbは

もしくは

のいずれかであり、
ここでZiiおよびZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素、メトキシおよびヒドロキシルより成る群から選択され;
ここでZiiiは水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1もしくはSO3Hのいずれかである;

ここでRb及びRcは独立して
(a)H;
(b)ヒドロキシル又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)炭素数が1?3のアルコキシ
から成る群より選ばれ;
Rd及びReは独立して
(a)H;
(b)ヒドロキシル又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)炭素数が1?3のアルコキシ;又は
(f)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が2?4のアルキル又はハロアルキル;
から成る群より選ばれる;

ここでRb及びRcは独立して
(a)H;
(b)ヒドロキシル又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)炭素数が1?3の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル;あるいは
(f)炭素数が1?3のアルコキシ;
から成る群より選ばれ;
Rd及びReは独立して
(a)H;
(b)ヒドロキシル又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)炭素数が1?3のアルコキシ;又は
(f)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が2?4のアルキル又はハロアルキル;
から成る群より選ばれる;

ここでRb及びRcは独立して
(a)H;
(b)ヒドロキシル又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)炭素数が1?3の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル;
(f)炭素数が1?3のアルコキシ;
から成る群より選ばれ;
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Riここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素、メトキシ及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
(c)-RaQaRbここでQa=-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;
Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル又は置換フェニルである;
(d)-C(Riii)(Riv)-RiここでRiii及びRivは独立して
(i)H;又は
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、Zはハロゲンである]
から選ばれ;又は
(e)炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝鎖状ハロアルキル;
である;

ここでRb及びRcは独立して
(a)H;
(b)ヒドロキシル又はチオール;
(c)メチルまたはハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)炭素数が1?3の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル;
(f)炭素数1?3のアルコキシ;
から成る群より選ばれ;
Rd及びReは独立して
(a)H;
(b)ヒドロキシル又はチオール;
(c)メチル又はハロメチル;
(d)ハロゲン;
(e)炭素数が1?3のアルコキシ;又は
(f)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が2?4のアルキル又はハロアルキル;
から成る群より選ばれる、
であることができるが、しかし(5S,6R,15S)-トリヒドロキシ-7E,9E,11Z,13E-エイコサテトラエン酸(LXA4)のC-1位アミド類、C-1位エステル類及び製薬学的に許容し得るC-1位塩類を除外し、そしてLXA4のC-5、C-6及びC-15位アルカノエート類を除外し;そして(5S,14R,15S)-トリヒドロキシ-6E,8Z,1OE,12E-エイコサテトラエン酸(LXB4)のC-1位アミド類、C-1位アルカノエート類及び製薬学的に許容し得るC-1位塩類、並びにLXB4のC-5、C-14及びC-15位アルカノエート(アセテート)類を除外する}
のリポキシン類似体。
8.構造式:

[式中、XはR1、OR1又はSR1であり(但しQ1がCNの場合、XはR1、OR1もしくはSR1のいずれでもない);
ここでR1は
(i)水素;
(ii)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(iii)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(iv)炭素数が7?12のアラルキル;
(v)フェニル;
(vi)置換フェニル

[ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して-NO2、-CN、-C(=O)-R1、-SO3H及び水素から成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
(vii)検出可能な標識分子;或いは
(viii)炭素数が2?8の直鎖状もしくは分枝状のアルケニル;
であり;
式中、Q1は(C=O)、SO2もしくは(CN)であり:
式中、Q3はO、SもしくはNHであり;
式中、R2及びR3の1つは水素であり、他は
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(c)炭素数が3?6のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が2?8のアルケニル;
(e)RaQ2Rb[ここでQ2は-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;そしてRbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルである]
であり;
式中、R4は
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?6のアルキル;
であり;
式中、Y1又はY2は一方が-OH、メチル又は-SHであり、他方は
(a)H
(b)CHaZbここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;
Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンである;
(c)直鎖状もしくは分枝鎖状の炭素数が2?4のアルキル;
又は
(d)炭素数が1?4のアルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N-H;又は
(b)=O;
であり;
式中、R5は
(a)直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Riここでn=0?4であり、そしてRiは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フエニル;又は
(iii)置換フェニル

ここでZi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;
ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる;
(c)-RaQaRbここでQa=-O-又は-S-であり;
Raは直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;
Rbは水素原子または直鎖状もしくは分枝鎖状であることができる炭素数が1?8のアルキルであり;
(d)-C(Riii)(Riv)-RiここでRiii及びRivは独立して
(i)H;
(ii)CHaZbここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、そしてZはハロゲンである;
から成る群より選ばれる;
(e)炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝鎖状ハロアルキル;
であり;
R6は
(a)H;
(b)炭素数が1?4の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル;
(c)ハロゲン;
であるが;しかし
(5S,6R,15S)-トリヒドロキシ-7E,9E,11Z,13E-エイコサテトラエン酸(LXA4)のC-1位アミド類、C-1位エステル類、製薬学的に許容し得るC-1位エステル類、及び製薬学的に許容し得るC-1位塩類ならびにLXA4のC-5、C-6及びC-15位アルカノエート類を除外する。]のリポキシン類似化合物。
9.

[式中、R’はH又はCH3である]
から成る群より選ばれるリポキシン類似体。
10.請求項1記載の類似体及び製薬学的に許容し得る担体を含む製薬学的組成物。
11.患者における炎症又は炎症応答を処置又は予防するための、天然のリポキシンの活性領域及び生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域を有するリポキシン類似体を有効な抗炎症量で含んでなる製薬学的組成物。
12.炎症応答が白血球の活性化から生じ、その活性化は筋肉漏出又は水腫を引き出す白血球移動及び反応性酸素種の生成を含むものである請求項11記載の組成物。
13.炎症応答が慢性関節リウマチ又は喘息を伴うものである請求項12記載の組成物。
14.炎症応答が、身体的外傷及び放射線暴露を含む身体的損傷から生ずるものである請求項12記載の組成物。
15.有効血管拡張量の請求項1記載の化合物を有効成分とする血管収縮応答又は状態の処置又は予防のために血管拡張を誘導するための、天然のリポキシンの活性領域及び生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域を有するリポキシン類似体を有効な抗炎症量で含んでなる製薬学的組成物。
16.血管収縮応答又は状態が、糸球体疾患を含む腎血管力学疾患、ならびに高血圧、心筋梗塞及び心筋虚血を含む心臓血管疾患から成る群より選ばれるものである請求項15記載の組成物。
17.請求項1記載の化合物を有効成分とする患者におけるスルフィドペプチドロイコトリエンに対する血管収縮応答に拮抗するための製薬学的組成物。
18.該ロイコトリエンに対する血管収縮応答が:喘息、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、ショック、炎症、慢性関節リウマチ、通風、乾癬、アレルギー性鼻炎、成人呼吸困難症候群、クローン病、内毒素性ショック、外傷性ショック、出血性ショック、腸虚血性ショック、腎糸球体疾患、良性前立腺肥大、炎症性腸疾患、心筋虚血、心筋梗塞、循環器性ショック、脳損傷、全身性エリテマトーデス、慢性腎疾患、心臓血管疾患及び高血圧から成る群より選ばれる医学的障害を伴うものである請求項17記載の組成物。
19.血管収縮応答が慢性腎疾患などの穏やかな血管収縮、ならびに糸球体腎臓疾患などの慢性の重度の血管収縮を含む腎血管収縮応答である請求項18記載の組成物。
20.請求項10記載の類似体を有効成分とする骨髄抑制障害の処置又は予防のために患者において細胞増殖を刺激するための製薬学的組成物。」
を、

本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
構造式:
【化1】

[式中、XはR1、OR1又はSR1であり、
ここでR1は
(i)水素;
(ii)炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝状のアルキル;
(iii)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(iv)炭素数が7?12のアラルキル;
(v)フェニル;
(vi)置換フェニル
【化2】

[式中、Zi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して-NO2、-CN、-C(=O)-R1、水素及び-SO3Hから成る群より選ばれ;Zii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
(vii)蛍光標識のような検出可能な標識分子;あるいは
(viii)炭素数が2?8の直鎖状もしくは分枝状のアルケニル;
であり、
Q1は(C=O)、SO2又は(C=N)であり、
Q3はO、S又はNHであり、
R2及びR3の一方は水素であり、他方は
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(c)炭素数が3?6のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が2?8のアルケニル;又は
(e)RaQ2Rb[ここでQ2は-O-又は-S-であり;Raは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;Rbは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?8のアルキルである];
であり、
R4は
(a)H;または
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が1?6のアルキル;
であり、
Y1又はY2は一方が-OH、メチル、-H又は-SHであり、他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;Zはシアノ、ニトロ又はF、Cl、Br、Iを含むハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の炭素数が2?4のアルキル;または
(d)炭素数が1?4のアルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N;又は
(b)=O;
であり、
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が1?9のアルキル;
(b)-(CH2)n-Ri[ここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル
【化3】

[式中、Zi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選択され;Zii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
である];
(c)-RaQaRb[ここでQaは-O-又は-S-であり;そしてRaは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;Rbは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?8のアルキルである];
(d)-C(Riii)(Riv)-Ri[ここでRiii及びRivは独立して
(i)H;および
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、Zはハロゲンから成る群より選択される];
から成る群より選択される];または
(e)1?6個のハロゲン原子を含む炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝状のハロアルキル;
である]
で表されるリポキシン。

【請求項2】
構造式:
【化4】

[式中、XはR1、OR1又はSR1であり、ここでR1は
(i)水素;
(ii)炭素数が1?8の直鎖状もしくは分枝状のアルキル;
(iii)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(iv)炭素数が7?12のアラルキル;
(v)フェニル;
(vi)置換フェニル
【化5】

[式中、Zi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して-NO2、-CN、-C(=O)-R1、水素及び-SO3Hから成る群より選ばれ;ここでZii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
(vii)検出可能な標識分子;或いは
(viii)炭素数が2?8の直鎖状もしくは分枝状のアルケニル;
であり、
Q1は(C=O)、SO2又は(C=N)であり、
Q3はO、S又はNHであり、
R2及びR3の一方は水素であり、他方は
(a)H;
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が1?8のアルキル;
(c)炭素数が3?6のシクロアルキル;
(d)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が2?8のアルケニル;又は
(e)RaQ2Rb[ここでQ2は-O-又は-S-であり;Raは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;Rbは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?8のアルキルである];
であり、
R4は
(a)H;もしくは
(b)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が1?6のアルキル;
であり、
Y1もしくはY2の一方はヒドロキシ、メチル、水素又はチオールであり、他方は
(a)H;
(b)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり;Zはシアノ、ニトロ又はハロゲンである];
(c)直鎖状もしくは分枝状の炭素数が2?4のアルキル;
(d)炭素数が1?4のアルコキシ;
であるか、
あるいはY1及びY2は一緒になって
(a)=N;又は
(b)=O;
であり、
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が1?9のアルキル;または
(b)-(CH2)n-Ri[ここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;
(iii)置換フェニル
【化6】

[式中、Zi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1、メトキシ及び-SO3Hから成る群より選ばれ;Zii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
である];
(c)-RaQaRb[ここでQaは-O-又は-S-であり;Raは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?6のアルキレンであり;Rbは直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が0?8のアルキルである];または
(d)-C(Riii)(Riv)-Ri[ここでRiii及びRivは独立して
(i)H;および
(ii)CHaZb[ここでa+b=3、a=0?3、b=0?3であり、Zはハロゲンから成る群より選択される];
から成る群より選択される];
である]
で表されるリポキシン類似体

【請求項3】
構造式:
【化7】

[式中、Raは
(a)H;および
(b)炭素数が1?8のアルキル;
から成る群より選択され、
Rbは
【化8】

から成る群より選択される]
で表されるリポキシン類似体。

【請求項4】
構造式:
【化9】

[式中、Raは
(a)H;および
(b)炭素数が1?8のアルキル;
から成る群より選択され、
RbおよびRcは独立に
(a)H;
(b)ヒドロキシルもしくはチオール;
(c)CF3を含むハロメチル;
(d)ハロゲン:
(e)直鎖状もしくは分枝状の炭素数が1?3のアルキル;および
(f)炭素数が1?3のアルコキシ;
から成る群より選択され、
RdおよびReは独立に
(a)H;
(b)ヒドロキシルもしくはチオール;
(c)メチルもしくは-CF3および-CH2Fを含むハロメチル;
(d)ハロゲン:
(e)メトキシを含む炭素数が1?3のアルコキシ;および
(f)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が2?4のアルキルもしくはハロアルキル;
から成る群より選択される]
で表されるリポキシン類似体。

【請求項5】
構造式:
【化10】

[式中、Raは
(a)H;および
(b)炭素数が1?8のアルキル;
から成る群より選択され、
RbおよびRcは独立に
(a)H;
(b)ヒドロキシルもしくはチオール;
(c)CF3およびCH2Fを含むハロメチル;
(d)ハロゲン:
(e)直鎖状もしくは分枝状の炭素数が1?3のアルキル;および
(f)炭素数が1?3のアルコキシ;
から成る群より選択され、
R5は
(a)直鎖状もしくは分枝状であることができる炭素数が1?9のアルキル;または
(b)-(CH2)n-Ri[ここでn=0?4であり、Riは
(i)炭素数が3?10のシクロアルキル;
(ii)フェニル;又は
(iii)置換フェニル
【化11】

[式中、Zi、Ziii及びZvはそれぞれ独立して水素、-NO2、-CN、-C(=O)-R1及び-SO3Hから成る群より選ばれ;Zii及びZivはそれぞれ独立してハロゲン、メチル、水素、メトキシ及びヒドロキシルから成る群より選ばれる];
である]
で表されるリポキシン類似体。」
とする補正を含むものである。

(2)本件補正の適否

本件補正は、平成6年改正前特許法第17条の2第1項第5号に該当する補正であり、本件補正前の請求項7の広範な選択岐を有する構造式で特定されるリポキシン類似体を、本件補正後の対応する請求項1?5の構造式で特定されるリポキシン類似体にする補正を含むものである。
しかしながら、本件補正によって、本件補正前の請求項7は、本件補正後は、請求項1?5となり請求項数が増加することとなっている。よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項第1号の「請求項の削除」を目的とするものではなく、同2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、同3号の「誤記の訂正」、同4号の「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものでもない。

(3)むすび

したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反してなされたものであるから、その余のことを検討するまでもなく、特許法第159条第1項において読み替えて準用する特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

以上のとおり、上記補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するため、却下されるべきことは明らかであるが、なお、念のため、本件補正後の特許請求の範囲に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであることを以下(a)、(b)に述べる。

(a)特許法第36条第4項について

本件補正後の請求項1?5に係る発明(以下、それぞれ、「本件補正発明1?5」という。)は、上記「(1)本件補正の内容、本件補正後の特許請求の範囲」のとおりである。
本件補正後の明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載が認められる。
記載(1)「実施例
実施例1 リポキシン類似化合物の合成

化合物1のメチルエステル前駆体の製造:
ベンゼン(1.5mL)中の3-メチル-3-トリメチルシロキシ-1-ブロモ-1-オクテン(130mg、0.44ミリモル)の溶液に、n-プロピルアミン(0.05mL、0.61ミリモル)及びPd(PPh3)4(20mg、0.02ミリモル)を加え、溶液を光から保護した。次いでそれを凍結-解凍法により脱ガスし、室温で45分間撹拌した。(7E,9E,5S,6R)メチル5,6-ジ(tert-ブチルジメチルシロキシ)-ドデカ-7,9-ジエン-11-イノエート(183mg、0.44ミリモル)(化合物12)及びヨウ化銅(14mg、0.07ミリモル)を加え、溶液をもう一度凍結-解凍法により脱ガスした。…フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、3%エーテルヘキサン)は、純粋な化合物を無色の液体として与えた(171mg、収率57%)。 …HPLC保持時間:9:39分…。MeOH中におけるUV:λmax283,294,311nm、1H NMR…。
化合物2のメチルエステル前駆体の製造:

化合物3のメチルエステル前駆体の製造:

化合物4のメチルエステル前駆体の製造:

メチルエステル類は標準的方法を用いて対応するアルコール類に変換することができる。」(明細書65頁14行?69頁下から9行)
記載(2)「16-ジメチル-LXA4の合成

この化合物は類似の戦略を用い、上記dをeとカップリングさせることにより、上記参照、又はfとカップリングさせ、15-フェニル-LXA4類似体を生成する、あるいはgとカップリングさせて17-m-クロロフェノキシ-LXA4類似体を生成することにより生成される。

案Iにおける適宜のC断片(すなわちe、f、g、h)はそれぞれ、…において既知の対応するプロスタグランディン類似体に関して考察されている通りに製造される。hにおいて、R=H;C1、メトキシ又はハロゲンである。」(明細書71頁下から1行?73頁4行)
記載(3)「13,14-アセチレン性-LXA4及びハロゲン含有類似体の合成

(審決注:図ではOHがC16位に結合しているが、C15位への結合の誤記と認める。)
案IIからのA2B2生成断片を用い、対応するC2断片をカップリングのために製造する。構造j及びkは…通りに生成され、…における通りにメチル化され、7にカップリングされ、これらのLX類似体を与える。材料は精製のためにRP-HPLCに供することができる、上記参照。

」(明細書73頁5行?74頁一番目の式)
記載(4)「実施例4:リポキシン生物活性アッセイ
好ましいリポキシン類似体のいくつか(上記の化合物1?8として構造を示した)を実施例1に記載の通り、全合成により製造した。製造及びHPLCを介したこれらの化合物の単離の後に、最初にそれらが生物活性を保持しているか否かを決定するために、好中球付着アッセイ及び上皮細胞移行アッセイにより化合物を評価した…
化合物1?8(10-7?10-10M)は、内皮細胞への好中球付着及び上皮細胞上におけるそれらの移行を阻害することが見いだされた。…リポキシン類似体1?8は、合成リポキシンA4より大きいか、又は等しい力価において移動を妨害することが見いだされた。…
…これらの結果を一緒にすると、リポキシン類似体は生物学的作用を保持しており、試験管内におけるさらなる代謝に抵抗性であることを示している。」(明細書102頁下から5行?104頁下から6行)

物の発明について実施をすることができるためには、当業者がその物を製造することができるように記載しなければならないので、以下、この点について検討する。

本件補正発明1又は4について検討する。
まず、発明の詳細な説明において、実施例1では、化合物1?4が実際に製造され、HPLC又はNMRによってその製造が確認されており、実施例4では、実施例1に記載の通り製造されたとされる化合物1?8について生物活性が評価されている(記載(1)、(4))。しかしながら、化合物1?8のC13、14位の間の結合がC=C二重結合であるのに対して、本件補正発明1又は4の【化1】又は【化9】で表される化合物の対応する結合はC≡C三重結合であって、両者の構造が相違しているから、化合物1?4の製造をもって、本件補正発明1又は4の【化1】又は【化9】で表される化合物を製造することは、当業者が本願出願時の技術常識を考慮しても実施することができたとはいえない。
つぎに、発明の詳細な説明において、13,14-アセチレン性-LXA4及びハロゲン含有類似体の合成条件であって、案IIからのA2B2生成断片と構造j又はkから参照文献通りにカップリングしてリポキシン類似体を与えることが記載されている(記載(3))。しかしながら、一般的に化合物の製造方法は、原料化合物や化合物自体の化学構造に応じて、原料化合物の仕込量、反応溶媒、反応温度、反応圧力、反応時間等の諸条件が異なるものであるが、前記合成条件は、原料化合物と参照文献が示されているに過ぎず、製造方法における具体的諸条件が一切不明であるから、当該合成条件をもって、本件補正発明1又は4の【化1】又は【化9】で表される化合物を製造することは、当業者に過度の試行錯誤を要求するものである。よって、13,14-アセチレン性-LXA4及びハロゲン含有類似体の当該合成条件をもって、本件補正発明1又は4の【化1】又は【化9】で表される化合物を製造することは、当業者が本願出願時の技術常識を考慮しても実施することができたとはいえない。

本件補正発明3について検討する。
まず、発明の詳細な説明において、実施例1では、化合物1?4が実際に製造され、HPLC又はNMRによってその製造が確認されており、実施例4では、実施例1に記載の通り製造されたとされる化合物6について生物活性が評価されている(記載(1)、(4))。しかしながら、化合物6はC16位にフェノキシ基(-OPh)が結合しているのに対して、本件補正発明3の化7で表される化合物はC17位にフェノキシ基(-OPh)等が結合しているのであって、両者の構造が相違しているから、化合物6の製造をもって、本件補正発明3の【化7】で表される化合物を製造することは、当業者が本願出願時の技術常識を考慮しても実施することができたとはいえない。
つぎに、発明の詳細な説明において、16-ジメチル-LXA4の合成条件が記載されている(記載(2))。しかしながら、16-ジメチル-LXA4と、本件補正発明3の【化7】で表される化合物とは、C16位以降の構造が相違しており、かつ、一般的に化合物の製造方法は、原料化合物や化合物自体の化学構造に応じて、原料化合物の仕込量、反応溶媒、反応温度、反応圧力、反応時間等の諸条件が異なるものであり、前記の合成条件は、本件補正発明3の【化7】とは異なる原料化合物と参照文献が示されているに過ぎず、製造方法における諸条件が一切不明であるから、16-ジメチル-LXA4の合成条件をもって、本件補正発明3の【化7】で表される化合物を製造することは、当業者に過度の試行錯誤を要求するものである。よって、16-ジメチル-LXA4の合成をもって、本件補正発明3の【化7】で表される化合物を製造することは、当業者が本願出願時の技術常識を考慮しても実施することができたとはいえない。

(b)したがって、本件補正後の発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないので、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるとすることはできない。

3.本願発明及び明細書の記載

平成17年6月8日付け手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願請求項1?20に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1?20」という。)は、平成16年11月11日付け手続補正書によって補正された明細書の請求項1?20に記載されたとおりのものであると認める(上記「2.平成17年6月8日付け手続補正についての却下の決定、(1)本件補正の内容、本件補正前の特許請求の範囲」参照。)
また、本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。

記載(a)「『活性領域』は、天然のリポキシン又はリポキシン類似体の、生体内細胞相互作用に伴う領域を意味する。活性領域は細胞のリポキシンレセプター、あるいは酵素及びその補因子を含む巨大分子又は巨大分子の複合体の『認識部位』に結合することができる。好ましいリポキシンA4類似体は、天然のリポキシンA4のC5-C15を含む活性領域を有する。好ましいリポキシンB4類似体は、天然のリポキシンB4のC5-C14を含む活性領域を有する。」(明細書6頁7?13行)
記載(b)「『代謝的変換領域』という用語は一般に、酵素又は酵素とその補因子が、リポキシンにおいて正常にその酵素又は酵素とその補因子が行う1つ又はそれ以上の代謝的変換を行おうとする、リポキシン、リポキシン代謝物又はリポキシン類似体代謝物を含むリポキシン類似体の部分を言うものとする。代謝的変換領域は、変換に感受性であることもでき、感受性でないこともできる。リポキシンの代謝的変換領域の非制限的例は、LXA4における、C-13,14二重結合又はC-15ヒドロキシル基、あるいは両者を含む部分である。」(明細書7頁3?10行)
記載(c)「『代謝に抵抗する』という用語は、リポキシン類を代謝する酵素の少なくとも1つによる代謝的分解的変換の1つ又はそれ以上を行わないことを含むものとする。代謝に抵抗するLXA4類似体の2つの非制限的例は1)15-オキソ形態に酸化されることができない構造、及び2)15-オキソ形態に酸化されることができるが、13,14-ジヒドロ形態への酵素還元に感受性でない構造である。
『代謝をもっとゆっくり受ける』という用語は、もっと遅い反応速度論を有すること、又はリポキシンを代謝する1つ又はそれ以上の酵素による一連の代謝的変換の完了に、より長い時間を必要とすることを意味する。代謝をもっとゆっくり受けるLXA4類似体の非制限的例は、類似体がC-16において立体障害があるために、C-15脱水素に関してLXA4が有するより高い遷移状態エネルギーを有する構造である。」(明細書8頁5?16行)

4.特許法第36条第5項第2号について

原査定の拒絶の理由である、

「i)請求項1には、『天然のリポキシン性領域』、『生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域』と記載されているが、ともに具体的な構造についての定義が無く、不明瞭である。
ii)請求項1?3に記載の化合物は、『天然のリポキシン性領域』、『生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域』という2つの部分構造でのみ特定されているが、これら部分構造がどのように結合しているのか明らかでないから、特許を受けようとする範囲が不明瞭である。」

について検討する。
発明の詳細な説明(記載(a)?(c))を参酌すれば、請求項1の「天然のリポキシン活性領域」は、「天然のリポキシンA4のC5-C15を含む活性領域」、又は、「天然のリポキシンB4のC5-C14を含む活性領域」であり、請求項1の「生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域」は、「15-オキソ形態に酸化されることができない構造」、又は、「15-オキソ形態に酸化されることができるが、13,14-ジヒドロ形態への酵素還元に感受性でない構造」と示し、例示されている具体的化合物は、化合物1?8(記載(1))であると認められる。
ここで、天然のリポキシンA4、又は、天然のリポキシンB4の構造自体は公知であり(例えば、「生化学辞典(第2版)」、1414頁、1990年11月22日発行、東京化学同人)、「天然のリポキシンA4のC5-C15」構造自体、又は、「天然のリポキシンB4のC5-C14」構造自体は明確であるが、上記のとおり、発明の詳細な説明を参酌しても、当該構造「を含む活性領域」について当該構造以外の構造が明確に定義されておらず、かつ、例示されている化合物1?8(記載(1))は、「天然のリポキシンA4のC5-C15」構造、又は、「天然のリポキシンB4のC5-C14」構造を有していないので、当業者が、本願出願時の技術常識を考慮しても具体的構造を想定することができたとはいえない。
また、「15-オキソ形態に酸化されることができない構造」、又は、「15-オキソ形態に酸化されることができるが、13,14-ジヒドロ形態への酵素還元に感受性でない構造」とは、その構造自体明確ではなく、例示されている化合物1?8をみても、当業者が、当該特性と構造との間にどのような技術的意味があるのか理解することはできず、本願出願時の技術常識を考慮しても具体的構造を想定することができたとはいえない。
さらに、「天然のリポキシン活性領域」と「生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域」との間の連結部の構造についても、発明の詳細な説明には何ら説明がなく、上記のとおり両者の構造自体不明であり、例示されている化合物1?8をみても、どの部分が連結構造であるのか明らかでないから、連結部の具体的構造を想定することができない。
したがって、請求項1のリポキシン類似体は、その構造が不明であるから、請求項1は、発明が明確にされておらず、特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載しているとすることはできない。

なお、請求人は、上記i)について、請求項1の「天然のリポキシン活性領域」、又は、「生体内代謝に対して抵抗性の代謝的変換領域」は、発明の詳細な説明中に明確に定義されている旨主張しているが(意見書2頁1行?下から10行)、この点については上記で述べたとおりである。
さらに、請求人は、上記ii)について、2つの領域は、本願明細書に記載されているように一緒に連結されている旨主張しているが(意見書2頁下から9行?3頁7行)、当該記載部分には、連結部分の構造が何ら示されていない。
よって、請求人の主張は採用しない。

5.むすび

以上のとおり、本願明細書は、平成6年改正前特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないものであるから、その余のことについて検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-07-12 
結審通知日 2006-07-18 
審決日 2006-08-01 
出願番号 特願平7-502216
審決分類 P 1 8・ 534- Z (C07C)
P 1 8・ 572- Z (C07C)
P 1 8・ 531- Z (C07C)
P 1 8・ 571- Z (C07C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉良 優子  
特許庁審判長 西川 和子
特許庁審判官 原田 隆興
井上 彌一
発明の名称 リポキシン化合物  
代理人 小田島 平吉  

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