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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1149451
審判番号 不服2004-6032  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-08-21 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-03-25 
確定日 2006-12-28 
事件の表示 平成9年特許願第24909号「機種切替支援装置及び機種切替支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 8月21日出願公開、特開平10-224081〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成9年2月7日の出願であって、平成16年2月20日付けで拒絶査定がなされ(発送2月24日)、これに対し、同年3月25日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年4月20日に手続補正がなされたものである。

第2.平成16年4月20日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の結論]
平成16年4月20日付け手続補正を却下する。
[理由]
1.補正後の請求項2に記載された発明
平成16年4月20日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項2(旧請求項3)は、次のとおり補正された。

「【請求項2】機種切替時に現基板用配膳データと次基板用配膳データとを参照して部品実装装置の部品供給部に設置された部品供給ユニットの配列の切替を支援する機種切替支援方法であって、
現基板にあって次基板にない品種の部品供給ユニットについて取外しを指示する工程と、現基板と次基板の双方にある品種の部品供給ユニットについて移動又は入れ換えを指示し、現基板になく次基板にある品種の部品供給ユニットについて新設を指示すると共に、前記各指示において各部品供給ユニットを処置すべき位置を指定するようにし、前記指示と前記指定は、段取り替えガイダンスが部品名、スロット位置、部品の向きを同時に表示部に表示するとともにスピーカより音声を出力することによって行われることを特徴とする機種切替支援方法。」

本件補正は、旧請求項3に記載された「機種切替支援方法」において発明を特定するために必要な事項である「段取り替えガイダンス」に関して「部品名、スロット位置、部品の向きを同時に表示部に表示するとともにスピーカより音声を出力することによって行われる」との限定を付加するもので、本件補正に係る事項は、新規事項を含むものでなく、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項2に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2.引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶理由において引用された本件特許出願前に頒布された刊行物である特開昭63-7698号公報(以下、「引用文献」)という。)には「段取替作業方法」に関し図面とともに、以下の事項が記載されている。
(あ)「前記S15における部品列の変更は第6図のフローチャートで表されるプログラムに従って行われる。まず、S31において、Aプログラムの実行に使用される電子部品を使用順序に並べた部品列イ、ロ、ハ、二、ホ、へと、Bプログラムの実行に使用される部品列イ、ハ、ホ、へ、トとを比較し、両部品列に共通の部品には共通フラグ「1」が立てられる。そして、S32において、Aプログラムの使用部品列のうち共通フラグが立っていない部品口および二が消去され、空きスペースとされる。
次に、S33において、Bプログラムの使用部品列に属する部品のうち共通フラグが立っていないものが順にAプログラムの空きスペースに挿入される。本例では、部品トが部品口の後の空きスペースに挿入されるのである。」(第6頁左上欄第18行?右上欄第13行)
(い)「Aプログラムの使用部品列中にまだ空きスペースが残る場合には、Aプログラムの部品列の最後尾の部品が順次1個ずつ移動させられて、空きスペースが埋められる。本例においては、最後尾の部品へが部品二の後の空きスペースに挿入されることとなる。」
(第6頁右上欄第19行?左下欄第4行)
(う)「すなわち、Bプログラムの使用部品列中、Aプログラムの使用部品列と共通の部品イ、ハ、ホはAプログラムの使用部品列におけると同じ位置に配列され、その結果生ずる空きスペースに共通ではない部品が嵌め込まれ、さらに空きスペースがある場合にはAプログラムの最後尾の部品から順に嵌め込まれることとなるのであって、本例においては移動テーブル30上の部品口、二、へを保持している部品供給ユニットを取り外し、部品ト、へを保持している部品供給ユニットを取り付ければよいこととなる。」(第6頁左下欄第8行?第18行))
(え)「最後に変更後のAプログラムの使用部品列、すなわち配列替されたBプログラムの使用部品列がメモリ2にコピーされ、同時にターミナル72のブラウン管式表示器に表示される。この部品列の表示には、作業者に対する段取替作業の指示が含まれる。すなわち、部品供給ユニットをテーブル30上において移動させる必要がない電子部品イ、ハ、ホについては「維持」の表示が為され、新しく部品供給ユニットを取り付ける必要のある部品トについては「取付」の表示が為され、現に使用されてはいるが場所を変える必要がある部品へについては「移動」の表示が為されるのである。作業者はこの表示通りに段取替作業を行えば良い。」(第6頁右下欄第8行?第20行)
(お)前記(え)では明確ではないが、(う)記載のように部品ロ、ニの取外しに際しては、当然のこととして「取外し」の表示がなされるものと認められる。
(か)また、作業者に対する段取替作業の指示により、作業者は、取部品供給ユニットの「取外し」、「取付」、「移動」等を行うのであるから、該作業に必要となる、「各部品供給ユニットを処置すべき位置」、「部品名」、「スロット位置」も作業者に対し表示されるものと認められる。

以上を総合すると、引用文献には、「段取替作業時にAプログラム実行に使用される電子部品を使用順序に並べた部品列イ、ロ、ハ、二、ホ、へと、Bプログラムの実行に使用される部品列イ、ハ、ホ、へ、トとを比較して部品実装装置の部品供給部に設置された部品供給部部品供給ユニットの切替を支援する段取替作業方法であって、現基板にあって次基板にない部品ロ、ニの部品供給ユニットについて取外しを指示する工程と、現基板と次基板の双方にある部品への部品供給ユニットについて移動を指示し、現基板になく次基板にある部品トの部品供給ユニットについて取付を指示すると共に、前記各指示において各部品ユニットを処置すべき位置を指定するようにし、前記指示と前記指定は、作業者に対する段取替作業の指示が、ターミナル72のブラウン管式表示器に部品名、スロット位置を同時に表示することによって行われる段取替作業方法。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

3.発明の対比
本願補正発明と引用発明を対比するに、引用発明の「段取替作業時」、「Aプログラム実行に使用される電子部品を使用順序に並べた部品列イ、ロ、ハ、二、ホ、へ」、「Bプログラムの実行に使用される部品列イ、ハ、ホ、へ、ト」、「比較して」、「段取替作業方法」、「取付」、「作業者に対する段取替作業の指示」、「ターミナル72のブラウン管式表示器に部品名、スロット位置を同時に表示する」は、本願補正発明の、「機種切替時」、「現基板用配膳データ」、「次基板用配膳データ」、「参照して」、「機種切替支援方法」、「新設」、「段取り替えガイダンス」「部品名、スロット位置を同時に表示部に表示する」に相当する。

したがって、本願補正発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおり認定できる。

[一致点]
機種切替時に現基板用配膳データと次基板用配膳データとを参照して部品実装装置の部品供給部に設置された部品供給ユニットの配列の切替を支援する機種切替支援方法であって、
現基板にあって次基板にない品種の部品供給ユニットについて取外しを指示する工程と、現基板と次基板の双方にある品種の部品供給ユニットについて移動を指示し、現基板になく次基板にある品種の部品供給ユニットについて新設を指示すると共に、前記各指示において各部品供給ユニットを処置すべき位置を指定するようにし、前記指示と前記指定は、段取り替えガイダンスが部品名、スロット位置を同時に表示部に表示する機種切替支援方法。

[相違点1]
ガイダンスの内容に、本願補正発明では、部品の向きが含まれているのに対し、引用発明では、不明な点。
[相違点2]
ガイダンスが、本願補正発明では、表示するとともにスピーカにより音声出力されているのに対し、引用発明では、表示するに留まっている点。

4.当審の判断
以下、前記各相違点につき検討する。
(相違点1)
電子部品実装の技術分野において、「部品の向き」が重要な要素であることは、原査定の拒絶理由において引用された特開平7-38299号公報にも記載(【0008】参照)されているように周知の事項であり、引用発明のガイダンスの内容に、部品の向きを包含させることは、前記周知の事項に倣って当業者が容易に想到し得た事項である。
(相違点2)
ガイダンスを行うに際して、表示手段に表示するとともにスピーカに音声出力することは、例えば、拒絶査定時に引用された特開平7-266271号公報等に記載されているように従来より周知の技術手段である。
してみれば、引用発明における表示手段のみに換えてスピーカによる音声出力を併用することは、当業者であれば、前記周知の技術手段に倣って、容易に想到し得た事項であり、この点に技術的進歩性は認められない。
そして、本願補正発明により得られる効果も、引用発明及び前記周知の技術手段から、当業者であれば、予測できる程度のものであって、格別なものとはいえない。
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法126条第5項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3.本願発明について
1.本願発明
平成16年4月20日付け手続補正は上記のとおり却下されたので 、本願の請求項1?3に係る発明は、平成16年1月29日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち本願の請求項3に係る発明(以下、「本願発明」という)は、次のとおりのものである。
「【請求項3】機種切替時に現基板用配膳データと次基板用配膳データとを参照して部品実装装置の部品供給部に設置された部品供給ユニットの配列の切替を支援する機種切替支援方法であって、
現基板にあって次基板にない品種の部品供給ユニットについて取外しを指示する工程と、現基板と次基板の双方にある品種の部品供給ユニットについて移動又は入れ換えを指示し、現基板になく次基板にある品種の部品供給ユニットについて新設を指示すると共に、前記各指示において各部品供給ユニットを処置すべき位置を指定するようにし、前記指示と前記指定は、段取り替えガイダンスによって行われることを特徴とする機種切替支援方法。」

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献とその記載事項は、前記の「第2.2」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記「第2」で検討した本願補正発明から「段取り替えガイダンス」に関して「部品名、スロット位置、部品の向きを同時に表示部に表示するとともにスピーカより音声を出力することによって行われる」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、前記「第2.4」に記載したとおり、引用文献記載の発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の技術手段に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-18 
結審通知日 2006-10-24 
審決日 2006-11-13 
出願番号 特願平9-24909
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 永安 真  
特許庁審判長 前田 仁
特許庁審判官 鈴木 久雄
柴沼 雅樹
発明の名称 機種切替支援装置及び機種切替支援方法  
代理人 永野 大介  
代理人 内藤 浩樹  
代理人 岩橋 文雄  

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