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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1149504
審判番号 不服2003-21481  
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-05 
確定日 2006-12-27 
事件の表示 平成 5年特許願第217359号「情報処理装置及びその表示制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 3月17日出願公開、特開平 7- 72990〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は平成5年9月1日の出願であって、平成15年9月30日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成15年11月5日に拒絶査定に対する審判が請求されるとともに、同年12月5日付けで手続補正がなされたものである。

本願の請求項1に係る発明は、平成12年9月1日付け、平成15年6月10日付け、及び平成15年12月5日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下「本願発明」という。)である。
「画像情報の記録処理を画像記録装置に依頼し、前記画像記録装置から前記記録処理の処理結果が通知される情報処理装置であって、
前記画像記録装置へ画像情報を転送し、該画像情報の記録処理を依頼する手段と、
前記記録処理を依頼した後、命令の入力が可能な待ち状態で前記画像記録装置から通知される前記記録処理の処理結果を表すメッセージを受信する受信手段と、
前記受信したメッセージをユーザに確認させるべく自動的に表示装置に表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする情報処理装置。」

2.引用刊行物
これに対して原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物「特開平5-81264号公報」(以下、「引用刊行物」という。)には図面とともに以下の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】文書を編集する複数の編集端末と、これらの編集端末からの印刷要求を受け付けるサーバマシンと、を備え、
印刷要求の受付順に文書の印刷を実行するプリントサーバシステムにおいて、
前記編集端末を文書の種類別に数種類備え、
各種類別の編集端末に対応して文書を印刷する種類別のプリンタ端末と、
このプリンタ端末による文書の印刷を前記種類別の印刷要求の受付順に実行させる印刷要求管理部と、を備えたことを特徴とするプリントサーバシステム。
【請求項2】プリンタ端末は、各種類別の編集端末のうち少なくとも1台にプリンタを接続したものであることを特徴とする請求項1記載のプリントサーバシステム。
【請求項3】プリンタ端末による印刷結果を印刷要求した編集端末に通知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項1または2記載のプリントサーバシステム。」(第2頁左欄第1?18行)

「【0006】また、請求項3記載の発明は、プリンタ端末による印刷結果を印刷要求元の編集端末に通知することにより、編集端末で居ながらにして印刷状況を確認できるプリントサーバシステムを提供することを目的としている。」(第2頁右欄第10?14行)

「【0011】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。図1は請求項1?3いずれかに記載された発明の一実施例に係るプリントサーバシステムを示す図であり、同図(a)はそのシステム構成図、同図(b)はそのサーバマシンのブロック図、同図(c)はそのプリンタ端末のブロック図を示す。
【0012】まず、構成を説明する。図1(a)において、編集端末としてのDTP(Desktop Publishing:文書処理システム)11は、文書を編集するもので、図示していないが、文書の種類別に専用の編集端末、例えばファイリング装置、ワープロ等が複数備えられている。サーバマシンとしてのOAサーバ12は、前記DTP11からの印刷要求を受け付けて、印刷要求の受付順に文書の印刷を実行する。プリンタ端末13は、各種類別の編集端末例えばDTP11等に対応して種類別の文書を印刷するもので、各種類別の編集端末例えばDTP11等のうち少なくとも1台にプリンタを接続したものである。」(第2頁右欄第46行?第3頁左欄第14行)

「【0022】また、請求項3記載の発明に係るプリントサーバシステムによれば、プリンタ端末による印刷結果が通知手段により印刷要求した編集端末に通知されるので、編集端末で居ながらにして印刷状況を確認できる。」(第4頁右欄第2?5行)

これら引用刊行物の記載から、引用刊行物には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「文書を編集する編集端末(DTP)は文書の印刷をプリントサーバに要求し、
プリントサーバはプリンタ端末により文書の印刷を実行し、
プリンタ端末による印刷結果を印刷要求した編集端末(DTP)に通知し、編集端末(DTP)はプリンタ端末による印刷結果が通知され、
編集端末で居ながらにして印刷状況を確認できる、プリントサーバシステム。」

3.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、
引用発明の「編集端末(DTP)」、「プリンタ端末」、「印刷」及び「印刷結果」はそれぞれ、本願発明の「情報処理装置」、「記録装置」、「記録処理」及び「処理結果」に相当する。
また、引用発明の情報処理装置(編集端末)は文書の印刷をプリントサーバに要求し、プリントサーバは記録装置(プリンタ端末)により文書の記録処理(印刷)を実行しているから、引用発明には明示はされていないが、引用発明の情報処理装置が、「情報を転送し、情報の記録処理を依頼する手段」を有していることは明らかである。
また、引用発明の情報処理装置は記録装置による処理結果(印刷結果)が通知されるから、引用発明の情報処理装置が、記録装置から通知される記録処理の処理結果を受信する「受信手段」を有していることも明らかである。

したがって、両者は
「情報の記録処理を記録装置に依頼し、前記記録装置から前記記録処理の処理結果が通知される情報処理装置であって、
情報を転送し、該情報の記録処理を依頼する手段と、
前記記録処理を依頼した後、前記記録装置から通知される前記記録処理の処理結果を受信する受信手段と、
を有する情報処理装置。」の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1
本願発明は、情報処理装置が画像情報の記録処理を画像記録装置に依頼し、前記画像記録装置から前記記録処理の処理結果が通知され、情報処理装置は、画像記録装置へ画像情報を転送し、該画像情報の記録処理を依頼する手段を有しているのに対し、引用発明の情報処理装置も、情報を転送し、該情報の記録処理を依頼する手段を有しているが、画像記録装置へ画像情報を転送し、該画像情報の記録処理を依頼するものではなく、情報処理装置が情報(文書)の記録処理をプリントサーバを介して記録装置(プリンタ端末)に依頼しており、記録装置からの処理結果もプリントサーバを介して情報処理装置に通知されている点。

相違点2
本願発明の受信手段は、命令の入力が可能な待ち状態で前記画像記録装置から通知される前記記録処理の処理結果を受信するのに対し、引用発明の受信手段は画像記録装置から通知される前記記録処理の処理結果を受信しているが、命令の入力が可能な待ち状態で受信しているのかどうか不明である点。

相違点3
本願発明は、受信手段が記録処理の処理結果を表すメッセージを受信し、情報処理装置は、受信したメッセージをユーザに確認させるべく自動的に表示装置に表示させる表示制御手段を有しているのに対して、引用発明は受信手段が記録処理の処理結果を受信しているが、処理結果を表すメッセージを受信しているのかどうか明らかではなく、表示制御手段についても記載されていない点。

4.当審の判断
以下、上記相違点について検討する。
相違点1について
引用発明の情報処理装置(編集端末(DTP))では文書が編集されているが、一般に編集端末(DTP)において編集される文書には図面等が含まれることは明らかであり、情報処理装置において画像を扱うことも周知である。また、記録装置(プリント端末)が画像を記録できることも当然のことである。
そして、情報処理装置が記録装置により記録を行う場合に、情報処理装置と記録装置との間にサーバを介すること、あるいはサーバを介さずに直接記録装置により記録を行うことは何れも周知であって、何れを採用するか必要に応じて適宜に選択されていることである。
したがって、引用発明において、情報処理装置が画像情報の記録処理を画像記録装置に依頼するようにして、本願発明のように構成することは当業者が周知技術に基づいて適宜になし得ることである。

相違点2について
一般に情報処理装置が信号の受信をどのような状態において行うかは設計的事項であること、情報処理装置が記録装置に記録処理(印刷等)を依頼した場合に、記録処理の終了を待たずに次の処理を実行可能とすることも特開昭62-274331号公報(第1頁左下欄下から第3行?右下欄第4行)に従来の技術として記載されているように周知であることから、引用発明の受信手段を、画像記録装置から通知される前記記録処理の処理結果を、命令の入力が可能な待ち状態で受信するように構成することも当業者が周知技術に基づいて容易になし得ることである。

相違点3について
引用発明の受信手段は、記録装置から通知される記録処理の処理結果を受信しており、このことにより、情報処理装置で居ながらにして記録状況を確認できるものであるから、引用例には明示の記載はないが、受信した処理結果をユーザに確認させる為に表示装置に表示させることが示唆されているということができる。また、メッセージを表示させる場合にメッセージを送信
することも周知である。
そして、情報処理装置において記録処理に関するメッセージをユーザに確認させるべく自動的に表示装置に表示させることは、特開平4-227526号公報(段落【0012】、【0013】図2には、プリンタは用紙詰まり等の誤りメッセージをワークステーションに送信し、ワークステーションは当該メッセージを表示装置に表示することが記載されている。)、原査定において周知文献として引用された特開平5-50714号公報(段落【0010】?【0012】、【0015】には、情報処理装置に設けられた入力部からプリンタに用紙サイズの変更等の制御命令が送信されると、実行結果、あるいは送信障害が情報処理装置(プリンタ制御装置)の表示部に表示されることが記載されている。)に記載されているように周知であって格別のことではないから、引用発明において、受信したメッセージをユーザに確認させるべく自動的に表示装置に表示させる表示制御手段を設けることに格別の困難性はない。

そして、本願発明のように構成したことによる効果も引用発明及び周知技術から予想できる程度のものであって、格別のものではない。

したがって、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明(請求項1に係る発明)は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-30 
結審通知日 2006-10-30 
審決日 2006-11-13 
出願番号 特願平5-217359
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 近藤 聡内田 正和  
特許庁審判長 大野 克人
特許庁審判官 和田 志郎
小林 正明
発明の名称 情報処理装置及びその表示制御方法  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康弘  
代理人 大塚 康徳  
代理人 木村 秀二  

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