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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない。 H01R
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1150470
審判番号 不服2003-24218  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2000-02-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-12-12 
確定日 2007-01-09 
事件の表示 平成11年特許願第124468号「光電子モジュール及びこれを用いたモジュールアセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成12年 2月 8日出願公開、特開2000- 40562号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成8年1月16日(パリ条約による優先権主張1995年1月13日、米国)に出願した特願平8-5170号の一部を、特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願として平成11年4月30日に出願されたものであって、平成15年6月30日付け(発送日:平成15年9月16日)で拒絶査定がなされ、これに対し、平成15年12月12日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、平成16年1月8日付け手続補正書により補正がなされたものである。

第2 平成16年1月8日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年1月8日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の本願発明
本件補正は請求項1及び請求項3について補正することを含むものであり、特許請求の範囲の請求項1及び請求項3は、次のように補正された。
「【請求項1】 脱着可能な光電子モジュールと前記光電子モジュールを受け入れるレセプタクルとを備えるモジュールアセンブリであって、
前記光電子モジュールは、
第1端部と第2端部と導電性外側表面とを有するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジング内に設けられた回路基板と、
前記回路基板に電気的に接続されて前記第1端部に隣接する光学サブアセンブリと、
前記第1端部に位置する光ファイバ受入部と、
前記第2端部において前記回路基板に接続されている電気接点群と、からなり、
前記レセプタクルは、
コネクタポートを有する装着パネルと前記光電子モジュールを収容するレールシステムと前記コネクタポートに向かい合うように設けられて前記光電子モジュールの前記電気接点群に係合する信号接点群を有する電気コネクタを含む第2レセプタクル端部とを含むレセプタクルハウジングであって、前記光電子モジュールの前記電気接点群が、前記光電子モジュールが前記レセプタクルハウジング内に係合すると、前記レセプタクルの電気コネクタに結合し、かつ前記コネクタポートと前記光電子モジュールとの間にギャップが形成されるレセプタクルハウジングと、からなり、
前記光電子モジュールは、前記ギャップを占め、かつ前記光電子モジュールハウジングの前記導電性外側表面と前記レセプタクルハウジングの内側表面との間の電気的接続をなす接地タブが前記モジュールハウジングの側部に設けられていることを特徴とするモジュールアセンブリ。
【請求項3】ドアが前記レセプタクルハウジングの端部の近傍に蝶番式に開閉可能に設けられ、前記レセプタクル内に前記光電子モジュールが挿入されると前記ドアが開けられて前記レセプタクルの第1レセプタクル端部に有効開口を形成し、前記光電子モジュールの前記導電性外側表面は、前記光電子モジュールの前記第1端部が前記ドアにより形成された開口内に設けられたときに前記有効開口を減ずる前記光電子モジュールの前記第1端部の一部分を含み、前記光電子モジュールの前記接地タブは、前記レセプタクルの接地タブに電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載のモジュールアセンブリ。」(下線は補正箇所を示す。)

2.新規事項の追加の有無
本件補正は請求項3の「前記光電子モジュールの導電性部分は、前記レセプタクルの前記接地タブに電気的に接続される」を「前記光電子モジュールの前記接地タブは、前記レセプタクルの接地タブに電気的に接続される」と補正する事項を含むものであるが、光電子モジュールの接地タブがレセプタクルの接地タブに電気的に接続されることは、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には記載されておらず(光電子モジュールの接地タブ27,29はコネクタポートの側部314,316に押圧され、コンピュータシャーシ(レセプタクル)と電気的に接続されるものであること(41段落、図2参照。)及びレセプタクルの接地タブ691,692はトランシーバモジュール(光電子モジュール)の外部表面と接地されること(73段落、図15参照。)は記載されているが、両接地タブが電気的に接続されることは記載されていない。)、また、これらの記載から自明な事項であるとも認められないから、本件補正は当初明細書等の範囲内においてしたものではなく、新規事項を追加するものである。

3.補正の目的
(1)また、本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「接地タブ」を「前記モジュールハウジングの側部に設けられている」と限定する事項を含むものであり、かつ、この補正事項により請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が異なるものではないので、本件補正は、形式的には特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2-1)まず、「レセプタクルハウジング」については、明細書において、図10の符号370及び図15,16の符号610で示されるものが記載されているが、これらのレセプタクルハウジングには「装着パネル」及び「レールシステム」がどのように配置されているか示されておらず、本願補正発明の「レセプタクルハウジング」が特定できない。また、図11においては装着パネルに相当すると考えられる部材は記載されているが「レールシステム」については記載がない。そして、図15,16には「装着パネル」に相当すると考えられる「取り付けパネル670」は記載されているが、このパネルは「レセプタクルハウジング610」とは別部材であり、また、「レールシステム」が記載されておらず、本願補正発明の「レセプタクルハウジング」が特定できない。さらに、図14,図17には「レールシステム」に相当する部材と考えられる「取り付けレール」及び「装着パネル」に相当すると考えられる「取り付けパネル」が記載されているが、どの部分が「レセプタクルハウジング」に相当するのか不明であり、本願補正発明の「レセプタクルハウジング」が特定できない。
なお、「ハウジング」なる用語の字義に関し、マグローヒル科学技術用語大辞典(改訂第3版)によれば「構造物や機械装置をおおったり保護する目的の囲い」とされ、広辞苑(第5版)によれば「機械装置などを囲む箱形の覆い」とあり、図14に図示された囲いのない「レセプタクルアセンブリ」を「レセプタクルハウジング」ということはできないものと考えられる。仮に図14の「レセプタクルアセンブリ」を「レセプタクルハウジング」と解しても、後に述べるように図14及びその説明の記載では「ギャップ」及び「接地タブ」が不明であることから、結局、本願補正発明が特定できない。
(2-2)次に、「ギャップ」については、請求項1においてコネクタポートと光電子モジュールとの間に形成されるものであって、接地タブが占めるものとされているだけであり、明細書には特に説明がない。ところで、段落41の記載によれば「ギャップ」を図2(b)の「コネクタポート312の側部314,316」と「光電子モジュール10」の間のことのように考えることもできるが、ここでの説明には「レセプタクルハウジング」がないことから、結局、本願補正発明が特定できない。また、コネクタポートを有する装着パネルに相当すると考えられる部材と光電子モジュールが記載されている図11,図14,図18及びその説明の記載においても「ギャップ」の説明がなく「ギャップ」がどこであるのか不明である。
なお、図14において片側の「開口574」と「トランシーバハウジング512(光電子モジュール)」の間に隙間があるとも受けとれるように図示されているが、これは「トランシーバハウジング512」の装着前であり、光電子モジュールがレセプタクルハウジング内に係合したときを示すものではないため、やはり「ギャップ」がどこであるのか不明である。
(2-3)さらに、光電子モジュールの側部に設けられている「接地タブ」については、審判請求の請求の理由で説明されているように、図1,2に図示された「タブ27,29」が相当するものと考えられ、他の部材を光電子モジュールの側部に設けられている「接地タブ」と解釈することはできない。そして、光電子モジュールの側部に設けられている「接地タブ」に関して、図10には、図1,2と同様のタブが図示されているが、このタブは「解放レバー350,351」が配置されているため、コネクタポートと光電子モジュールとの間のギャップを占めるものではなく、本願補正発明の「接地タブ」ではない。また、他の図には図1,2と同様のタブと考えられるものは図示されていない。さらに、図14においてトランシーバハウジング512(光電子モジュール)に図1,2と同様のタブが設けられていると仮定しても、そのタブは「トランシーバコネクタ520」の側部に設けられるものであるから、コネクタポートと光電子モジュールの間のギャップを占めることはできないものと考えられる。そうすると、レセプタクルハウジングが示されていない図1,2の説明だけでは、光電子モジュールの側部に設けられている「接地タブ」がどのようにギャップを占め、かつ光電子モジュールハウジングの導電性外側表面とレセプタクルハウジングの内側表面との間の電気的接続をなすのか特定できず、本願補正発明の「接地タブ」が不明である。
(2-4)以上のように、本願補正発明の発明特定事項である「レセプタクルハウジング」、「ギャップ」及び「接地タブ」が不明であり、また、各事項について明細書の記載を参照しても、本願補正発明の「モジュールアセンブリ」がどのようなものであるのか特定できず、本願補正発明は明確でない。
(2-5)したがって、本願補正発明は明確でなく、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際に独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定に違反するものであり、特許法第159条第1項において準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものであり、また、平成15年改正前特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるから、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成14年7月17日付けの手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 脱着可能な光電子モジュールと前記光電子モジュールを受け入れるレセプタクルとを備えるモジュールアセンブリであって、
前記光電子モジュールは、
第1端部と第2端部と導電性外側表面とを有するモジュールハウジングと、
前記モジュールハウジング内に設けられた回路基板と、
前記回路基板に電気的に接続されて前記第1端部に隣接する光学サブアセンブリと、
前記第1端部に位置する光ファイバ受入部と、
前記第2端部において前記回路基板に接続されてかつ前記光電子モジュールを回路基板アセンブリに対して迅速に取付及び交換するための電気接点群と、からなり、
前記レセプタクルは、
コネクタポートを有する装着パネルと前記光電子モジュールを収容するレールシステムと前記コネクタポートに向かい合うように設けられて前記光電子モジュールの前記電気接点群に係合する信号接点群を有する電気コネクタを含む第2レセプタクル端部とを含むレセプタクルハウジングであって、前記光電子モジュールの前記電気接点群が、前記光電子モジュールが前記レセプタクルハウジング内に係合すると、前記光電子モジュールの前記レセプタクルの電気コネクタに結合し、かつ前記コネクタポートと前記光電子モジュールとの間にギャップが形成されるレセプタクルハウジングと、からなり、
前記光電子モジュールは、前記ギャップを占め、かつ前記光電子モジュールハウジングの前記導電性外側表面との電気的接続をなす接地タブを有することを特徴とするモジュールアセンブリ。」

2.原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、平成14年3月20日付けの拒絶理由通知書に記載されたとおり、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないというものである。

3.当審の検討・判断
本願発明についても、前記「第2 3.(2-1)?(2-4)」に記載したとおり本願補正発明が明確でないのと同様に、その発明特定事項である「レセプタクルハウジング」、「ギャップ」及び「接地タブ」が不明であり、本願発明の「モジュールアセンブリ」がどのようなものであるのか特定できず、本願発明は明確でない。
したがって、本願発明は明確でなく、本願は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

4.むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-08-10 
結審通知日 2006-08-14 
審決日 2006-08-28 
出願番号 特願平11-124468
審決分類 P 1 8・ 561- Z (H01R)
P 1 8・ 537- Z (H01R)
P 1 8・ 575- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 由希子栗田 雅弘金丸 治之  
特許庁審判長 山崎 豊
特許庁審判官 森川 元嗣
下原 浩嗣
発明の名称 光電子モジュール及びこれを用いたモジュールアセンブリ  
代理人 藤村 元彦  

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