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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E06C
管理番号 1150534
審判番号 不服2005-7793  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-05-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-04-28 
確定日 2007-01-10 
事件の表示 平成8年特許願第255545号「滑り防止具付き梯子」拒絶査定不服審判事件〔平成9年5月20日出願公開、特開平9-132990〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成8年9月4日(国内優先権主張 平成7年9月4日)の出願であって、平成17年3月29日付けで補正の却下の決定とともに拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
そして、その請求項1に係る発明は、平成17年3月8日付けの手続補正が却下されているので、平成16年11月16日付けの手続補正により補正された請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「梯子の脚杆(2)に取付けの支持体(15)と、その支持体(15)に設けた回動軸(21)で回動自在に取着し、屋根の上から押圧可能な押圧体(20)を備え、
端部を前記支持体(15)に他端部を前記押圧体(20)に当接のネジリコイルバネ(25)を介して前記押圧体(20)を回動付勢することを特徴とする滑り防止具付き梯子。」
(以下「本願発明」という。)

2.引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布されている刊行物である実願昭62-57560号(実開昭63-165100号)のマイクロフィルム(以下、「引用例1」という。)には、「梯子の保持機構」に関して、第1,4図とともに、下記の記載がある。
(イ)「…第1図において、1は梯子本体(梯子の支柱)、…、5は上端保持部本体、6は上端保持部固定金具、7は上端保持部着脱式移動脚部、8は上端保持部支持金具、…、10は屋根瓦、…、12は上端保持部である。第1図に示すように、…上端保持部着脱式移動脚部7を挿入した上端保持部本体5を、上端保持部支持金具8と上端保持部固定金具6とで、梯子本体1に支持、固定して、上端保持部12を梯子本体1と屋根瓦10の間に取り付ける。」(2頁19行?3頁17行)
(ロ)「第4図(a)において、…上端保持部固定金具6は梯子本体1に固定し、上端保持部が屋根の傾斜に応じ、上下方向に移動できるようにしてある。…なお上端保持部端具29は屋根の上面に直接触れるので、屋根の傾斜角度に合わせて上下自在に動くようにしてある。また屋根を損傷しないように、上端保持部端具の先端部30はゴムを使用した。」(7頁21行?8頁6行)
(ハ)第4図(a)(c)をみると、上端保持部端具29は上端保持部着脱式移動脚部7に設けた回動軸で回動自在に取着されていることが明らかである。

これらの記載事項および図面を参照すると、明記されてはいないが、上端保持部端具29は、屋根を損傷しないように、先端部30はゴムを使用していることから、屋根の上から押圧可能といえ、また、該先端部30のゴムが、滑り防止機能を有していることは当業者にとって明らかであり、「梯子」は「滑り防止具付き梯子」であるといえるから、引用例1には、次の発明が記載されているものと認める。かっこ内は対応する引用例1における構成・用語である。
「梯子の脚杆(梯子の支柱1)に取付けの支持体(上端保持部12)と、その支持体に設けた回動軸で回動自在に取着し、屋根の上から押圧可能な押圧体(上端保持部端具29)を備えた滑り防止具付き梯子。」
(以下、「引用例1発明」という。)

同じく、原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布されている刊行物である実願昭57-63077号(実開昭58-165197号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、「円柱用の梯子の安定装置」に関して、第1,3図とともに、下記の記載がある。
(ニ)「図中(1)は梯子の左右両支柱(2)(2)の1端に横架した基材でUボルト(3)(3)及び螺子(4)(4)で支脚(2)(2)の上端に固定されている。(5)(5)は基材(1)に間隔を隔てて固定した受片、(6)(6)は内側辺(7)と外側辺(8)とからなるL形に形成した左右の抱持部材で、その屈曲部に設けた連結部材(9)をピン(10)によって受片(5)に枢着してある。(11)(11)は左右の抱持部材(6)(6)の前面に張設した滑り防止用ゴム、(12)は円柱である。又、図面第3図に示す実施例に於いて(13)(13)(13)(13)は左右の抱持部材(6)(6)を定位置に保持させるスプリングで螺旋部(14)をピン(10)に外装し、両端に基材(1)と抱持部材(6)の後壁面に夫々係合させてある。…」(2頁15行?3頁10行)

上記記載事項を参照すると、引用例2には、次の技術が記載されているものと認める。かっこ内は対応する引用例2における構成・用語である。
「円柱用の梯子において、端部を支持体(基材1)に他端部を押圧体(抱持部材6)に当接のネジリコイルバネ(スプリング13)を介して前記押圧体を回動付勢する。」

3.対比・判断
本願発明と引用例1発明とを対比すると、両者は、
「梯子の脚杆に取付けの支持体と、その支持体に設けた回動軸で回動自在に取着し、屋根の上から押圧可能な押圧体を備えた滑り防止具付き梯子。」
の点で一致し、下記の点で相違している。

相違点:本願発明では、端部を支持体に他端部を押圧体に当接のネジリコイルバネを介して前記押圧体を回動付勢するのに対し、引用例1発明では、そのようになっていない点。

そこで、上記の相違点につき、検討するに、引用例2には、上記のとおり、
「円柱用の梯子において、端部を支持体に他端部を押圧体に当接のネジリコイルバネを介して前記押圧体を回動付勢する。」という技術が記載されており、押圧対象が円柱の側面であるので、押圧体(抱持部材6)はL形をしているが、押圧体(抱持部材6)は、ピン10によって回動自在であり、また、円柱当接面には滑り防止用ゴム11も張設されているので、該技術を引用例1発明の、支持体に回動自在に取着され、屋根の上から押圧可能な形状とした押圧体に採用することは、当業者が適宜なしうることにすぎないといえる。

なお、請求人の、審判請求書における反論は、前記補正却下された平成17年3月8日付けの手続補正書に記載された請求項に係る発明に基づいてなされており、意味のあるものとはいえない。(審判請求時に、補正却下されたものと同一内容の手続補正書は提出されていない。)

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1発明および引用例2記載の技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-27 
結審通知日 2006-11-07 
審決日 2006-11-20 
出願番号 特願平8-255545
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E06C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 智也  
特許庁審判長 安藤 勝治
特許庁審判官 宮川 哲伸
西田 秀彦
発明の名称 滑り防止具付き梯子  
代理人 犬飼 達彦  

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