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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A47B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A47B
管理番号 1151175
審判番号 不服2005-1987  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-01-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-02-04 
確定日 2007-01-22 
事件の表示 平成7年特許願第156089号「キッチンユニットのカウンタートップ」拒絶査定不服審判事件〔平成9年1月7日出願公開、特開平9-369〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、平成7年6月22日の出願であって、平成16年12月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成17年2月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに同年3月2日付けで手続補正がなされたものである。


【2】平成17年3月2日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成17年3月2日付けの手続補正を却下する。

[理由]
〔1〕補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 特許請求の範囲の減縮を目的として、
「一枚の金属板からなるカウンタートップの幅方向にシンクが装着され加熱機器が組み込まれるカウンタートップであって、該カウンタートップの前縁部と後縁部とに、平面部からの高さが10?15mmの水返し用立上げ壁、上縁面及び外側垂下壁とからなるバックガード部と、上記外側垂下壁の下端に内側に折り曲げた折曲片とを同一形状且つ同一寸法に形成し、該カウンタートップの奥行き方向の中心に、前後対称形状とした前記シンクを配置装着するとともに開口縁に起立片を形成した前記加熱機器組込用孔を前後対称形状に穿設して、カウンタートップ全体が奥行き方向の中心線に対して前後対称形状となるようにしてなることを特徴とするキッチンユニットのカウンタートップ。」と補正された。
そこで、本願の補正後の上記請求項1に係る発明(以下、「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に適合するか)否かについて、以下に検討する。

〔2〕引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用され本願出願前に頒布された刊行物である実公昭50-31790号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「台所ユニツト」に関して、第1?3図とともに下記の事項が記載されている。
(イ)「上端部位置にガスコンロ用バーナー7を位置保持させて成るキヤビネツト式ガス器具付ユニツト1と、・・・キヤビネツト式流し台ユニツト2とをその上端の開口収納部1a,2aをして寸法的に同一形状に構成し、これら両ユニツト1,2上にわたつて一体連続的に取外し可能に位置するメラミン化粧板で外装した天板3の左右両側位置に前記各ユニツト1,2の上端開口収納部1a,2aに対する補助部分として、前記バーナー7に対応する個所に孔9と五徳10とを有せしめてある鋼板製の汁受皿11と、下方部に大きく突出するシンク12とを前記各収納部1a,2aに対して嵌合離脱可能な状態に固定保持させて構成したものである。」(1頁2欄12?27行)
(ロ)「これら両ユニツト1,2の上端部に於てガス器具付ユニツト1側の開口収納部1aには汁受皿11をまた、流し台ユニツト2側の開口収納部2aにはシンク12を嵌合させるべく天板3を位置させて使用する。而して、前記ガス取出個所と水道蛇口との左右位置が上記とは逆のときは、第3図で示すように前記両ユニツト1,2の位置を左右入れ替えると共に、天板3を180°回転させた状態で、開口収納部2aにシンク12をまた別の開口収納部1aに汁受皿11を嵌合させるべく、この天板3を両ユニツト1,2の上端部間にわたつて位置させて使用する。」(1頁2欄32行?2頁3欄6行)
(ハ)「複数ユニツトの位置交換とこれに対して取外し可能な一体連続的な一つの天板3を180°向き変更するという極めて簡単な操作とによつて需要者の希望や据付けるべき台所の形態などに応じて、前記複数のユニツトの配列位置を任意に変更して一つの台所ユニツトであり乍ら複数のバリエーシヨンを容易に得られるのである。・・・しかも何れのバリエーシヨンに於ても複数のユニツトをその上端部上にわたつて位置させる一体の天板3を介して常に一定の相対位置関係に確実に保つて外観意匠的にも非常に綺麗であるばかりでなく、ユニツト本来の機能(使い易さ)を十二分に発揮させ得るのである。また、使用に際して随意に複数のバリエーシヨンが可能故に製作にあたつては配列の異なつた複数のバリエーシヨンユニツトを製作する必要がなく、従つて全体として多量生産によるコストダウンも可能となるに至つたのである。」(2頁3欄20行?同頁4欄8行)
(ニ)第1図において、両ユニツト1,2の位置を左右入れ替え且つ天板3を180°向き変更しても、ユニツト1に保持したバーナー7に対応する個所に、汁受皿11の孔9及び五徳10が位置するのであるから、少なくとも、汁受皿11の孔9が、天板3の奥行き方向の中心線に対して前後対称形状に穿設してあることは明らかである。
これら(イ)?(ニ)の記載等及び第1?3図の記載を含む引用文献1全体の記載並びに当業者の技術常識によれば、引用文献1には、以下の発明が記載されているものと認められる。
「キヤビネツト式ガス器具付ユニツト1及びキヤビネツト式流し台ユニツト2の上端部間にわたつて一体連続的に取外し可能に位置するメラミン化粧板で外装した天板3の左右両側位置に、上記ユニツト2の上端開口収納部2aに対する補助部分として、シンク12を固定保持するとともに、上記ユニツト1の上端開口収納部1aに対する補助部分として、該上端開口収納部1aに保持したバーナー7に対応する個所に孔9及び五徳10を有せしめてある汁受皿11を固定保持してなる天板3であって、
上記汁受皿11の孔9を該天板3の奥行き方向の中心に対して前後対称形状に穿設し、両ユニツト1,2の位置を左右入れ替えても、天板3を180°回転させることにより、一つの台所ユニツトであり乍ら複数のバリエーシヨンを容易に得られるようにした台所ユニットの天板3。」(以下、「引用文献1記載の発明」という。)

〔3〕対比
補正発明と引用文献1記載の発明とを比較すると、その機能ないし構造等からみて、引用文献1記載の発明の「キヤビネツト式ガス器具付ユニツト1及びキヤビネツト式流し台ユニツト2の上端部間にわたつて一体連続的に取外し可能に位置する・・・天板3」,「左右両側位置」,「台所ユニット」は、補正発明の「一枚のカウンタートップ」,「幅方向」,「キッチンユニット」にそれぞれ相当し、
また、引用文献1記載の発明の「天板3」に関して、「ユニツト2の上端開口収納部2aに対する補助部分として、シンク12が固定保持されるとともに、ユニツト1の上端開口収納部1aに対する補助部分として、該上端開口収納部1aに保持したバーナー7に対応する個所に孔9及び五徳10を有せしめてある汁受皿11を固定保持し」については、シンク12が固定保持され且つ加熱機器である「バーナー7」が「天板3」に固定保持された「汁受皿11」の「孔9及び五徳10」部分に組み込まれるものであるから、補正発明の「シンクが装着され加熱機器が組み込まれる」に相当し、したがって、上記「汁受皿11の孔9」は、補正発明の「加熱機器組込用孔」に相当し、
さらに、補正発明の「カウンタートップの前縁部と後縁部とに、平面部からの高さが10?15mmの水返し用立上げ壁、上縁面及び外側垂下壁とからなるバックガード部と、上記外側垂下壁の下端に内側に折り曲げた折曲片とを同一形状且つ同一寸法に形成し、該カウンタートップの奥行き方向の中心に、前後対称形状としたシンクを配置装着するとともに開口縁に起立片を形成した加熱機器組込用孔を前後対称形状に穿設して、カウンタートップ全体が奥行き方向の中心線に対して前後対称形状となるようにしてなる」と、引用文献1記載の発明の「両ユニツト1,2の位置を左右入れ替えても、天板3を180°回転させることにより、一つの台所ユニツトであり乍ら複数のバリエーシヨンを容易に得られるようにした」とは、何れも、左右勝手の違いがないカウンタートップ(天板3)であるという点で技術的に共通するものであるから、両者は、
「一枚のカウンタートップの幅方向にシンクが装着され加熱機器が組み込まれるカウンタートップであって、該カウンタートップの奥行き方向の中心に、少なくとも、前記加熱機器組込用孔を前後対称形状に穿設して、左右勝手の違いがないようにしたキッチンユニットのカウンタートップ。」の点で一致し、次の点で相違している。
<相違点1>
補正発明が、「一枚の金属板からなるカウンタートップ」であるのに対して、引用文献1記載の発明では、メラミン化粧板で外装した一枚のカウンタートップ(天板3)である点。
<相違点2>
補正発明が、「カウンタートップの前縁部と後縁部とに、平面部からの高さが10?15mmの水返し用立上げ壁、上縁面及び外側垂下壁とからなるバックガード部と、上記外側垂下壁の下端に内側に折り曲げた折曲片とを同一形状且つ同一寸法に形成し、該カウンタートップの奥行き方向の中心に、前後対称形状としたシンクを配置装着するとともに開口縁に起立片を形成した加熱機器組込用孔を前後対称形状に穿設して、カウンタートップ全体が奥行き方向の中心線に対して前後対称形状となるようにし」たのに対して、引用文献1記載の発明では、カウンタートップ(天板3)を左右勝手の違いがないようにしたものではあるが、加熱機器組込用孔(汁受皿11の孔9)がカウンタートップの奥行き方向の中心に前後対称形状に穿設してある点以外は定かでない点。

〔4〕判断
上記各相違点につき、以下検討する。
<相違点1について>
キッチンユニットのカウンタートップを一枚の金属板から構成することは周知技術(例えば、実願昭61-40644号(実開昭62-153930号)のマイクロフィルム,実願昭60-199934号(実開昭62-109631号)のマイクロフィルム,実願昭59-22592号(実開昭60-138452号)のマイクロフィルム等を参照。)にすぎない。
そして、上記のような周知技術を引用文献1記載の発明に採用することに格別の阻害要因もないから、引用文献1記載の発明のカウンタートップに周知技術を適用して、補正発明の相違点1に係る技術事項を想到することに、格別の技術的困難性を認めることができない。
<相違点2について>
引用文献1記載の発明においては、両ユニツト1,2の位置を左右入れ替えたとしても天板3を180°回転させれば使用できて、左右勝手の違いがないものであり、しかも、「一つの台所ユニツトであり乍ら複数のバリエーシヨンを容易に得られ」、「何れのバリエーシヨンに於ても複数のユニツトをその上端部上にわたつて位置させる一体の天板3を介して常に一定の相対位置関係に確実に保つて外観意匠的にも非常に綺麗であるばかりでなく、ユニツト本来の機能(使い易さ)を十二分に発揮させ得るのである」((ハ)の記載を参照。)から、
カウンタートップの前縁部と後縁部とを同一形状且つ同一寸法に形成することは、当業者が普通に採用する程度の技術事項にすぎないものと認められ、
且つ、加熱機器組込用孔をユニツト1の左右位置の変更に伴ってその上端開口収納部1aに保持した加熱機器(バーナー7)の左右位置が変更することに対応させるためにカウンタートップの奥行き方向の中心に前後対称形状に穿設すること以外に、シンク(シンク12)をユニツト2の左右位置の変更に伴ってその上端開口収納部2aの左右位置が変更することに対応させるためにカウンタートップの奥行き方向の中心に前後対称形状として配置装着するようにして、カウンタートップ全体を奥行き方向の中心線に対して前後対称形状となるようにすることも、当業者が普通に採用する程度の技術事項にすぎないものと認められる。
ところで、カウンタートップの前縁部と後縁部とに水切り部(後縁部の水切り部はバックガード部)となる水返し用立上げ壁を設けることは、周知技術(例えば、原査定の拒絶の理由に周知例として引用された実公平7-26453号公報,実願昭58-144084号(実開昭60-50838号)のマイクロフィルム,特開平2-159214号公報、さらには、実願昭63-93593号(実開平2-16132号)のマイクロフィルム,特開平2-26507号公報等を参照。)にすぎず、
また、水切り部を水返し用立上げ壁、上縁面及び外側垂下壁とからなるものとすること、さらに、水切り部の外側垂下壁の下端に内側に折り曲げた折曲片を形成することの何れもが周知技術(前者については、例えば、前記周知例のうちの実公平7-26453号公報,実願昭63-93593号(実開平2-16132号)のマイクロフィルム,特開平2-26507号公報等を参照。後者については、例えば、前記周知例のうちの実願昭63-93593号(実開平2-16132号)のマイクロフィルム,特開平2-26507号公報等を参照。)にすぎない。
ここで、水返し用立上げ壁の平面部からの高さを10?15mmとすることは水返し性能の維持とカウンタートップ上での作業性等とを考慮して最適な数値を選択した程度の設計的事項にすぎないし、また、加熱機器組込用孔の開口縁に起立片を形成することも周知技術(例えば、実願平1-54292号(実開平2-145132号)のマイクロフィルム,実願昭59-181507号(実開昭61-96207号)のマイクロフィルム,特開昭55-113291号公報等を参照。)にすぎない。
そして、上記のような周知技術を引用文献1記載の発明に採用することに格別の阻害要因もないから、引用文献1記載の発明のカウンタートップに周知技術を適用して、補正発明の相違点2に係る技術事項を想到することに、格別の技術的困難性を認めることができない。

而して、補正発明全体の効果も引用文献1記載の発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲のものであって格別なものということができないから、補正発明は、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものといわざるをえない。

〔5〕むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定において準用する同法第126条第5項の規定に適合しないものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり、決定する。


【3】本願発明について
平成17年3月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、出願当初の明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。
「一枚の金属板からなるカウンタートップの幅方向にシンクが装着され加熱機器が組み込まれるカウンタートップであって、該カウンタートップの前縁部と後縁部とに、水返し用立上げ壁、上縁面及び外側垂下壁とからなるバックガード部を同一形状且つ同一寸法に形成し、該カウンタートップの奥行き方向の中心に、前後対称形状とした前記シンクを配置装着するとともに前記加熱機器組込用孔を前後対称形状に穿設して、カウンタートップ全体が奥行き方向の中心線に対して前後対称形状となるようにしてなることを特徴とするキッチンユニットのカウンタートップ。」(以下、「本願発明」という。)

〔1〕引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、上記【2】〔2〕に記載したとおりである。

〔2〕対比・判断
本願発明は、上記【2】で検討した補正発明の「水返し用立上げ壁」,「外側垂下壁」,「加熱機器組込用孔」についての限定事項を削除したものであって、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する補正発明が、上記【2】〔4〕で述べたとおり、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといわざるをえないから、本願発明も、同様の理由により、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものといわざるをえない。

〔3〕むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1記載の発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものといわざるをえないから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-17 
結審通知日 2006-11-24 
審決日 2006-12-06 
出願番号 特願平7-156089
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A47B)
P 1 8・ 575- Z (A47B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 陽  
特許庁審判長 伊波 猛
特許庁審判官 西田 秀彦
柴田 和雄
発明の名称 キッチンユニットのカウンタートップ  

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