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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01R
管理番号 1151421
審判番号 不服2004-8468  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-06-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-23 
確定日 2007-02-08 
事件の表示 平成6年特許願第290273号「接続部材」拒絶査定不服審判事件〔平成8年6月7日出願公開、特開平8-148210号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年11月25日の出願であって、平成16年3月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年4月23日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年8月22日付け手続補正で補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「導電材料及びバインダからなり、加圧方向に導電性を有する接着層の少なくとも片面に、前記導電材料の大きさよりも小さい絶縁粒子を含有する接着層を形成したものであり、前記バインダ及び絶縁性接着層は、反応性樹脂と潜在性硬化剤を含む熱硬化性の反応性接着剤である、前記反応性接着剤の活性化温度以上の温度で加熱接着するための接続部材。」

2.引用刊行物
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用した本願出願前に頒布された刊行物である特開平5-13119号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(a)「ホットメルト系接着剤中に導電性フィラーを含有する異方性導電テープ層の上に、前記ホットメルト系接着剤に対して流動性が高いホットメルト系接着剤中に前記導電性フィラーよりも小径の絶縁性フィラーを含有する絶縁テーブ層を設けてなる、電子部品接続用テープコネクタ。」(【請求項1】)
(b)「たとえば、エポキシ樹脂等の熱硬化性接着剤はポリエステルやウレタン、ゴムといった熱可塑性接着剤に比べてこの加圧,加熱流動性が高いために、流動しやすい材料としてエポキシ樹脂が選ばれる。このような材料物性の異方性テープコネクタを使うと加工時(加圧,加熱)に接着剤ベースが流れ出して圧縮されやすくなるが、接着剤ベースが流れる時に同時に導電性フィラーも流れ出してしまうことになる。この結果、導電性フィラーが均一に分散されなくなり二次的な偏った集まり(二次凝集)を引き起こし、結果的に隣接端子間のショートを招いてしまう問題が出る。」(段落【0003】)
(c)「【実施例】図1は本発明の実施例のテープコネクタの断面図を示す。図に示すように、この電子部品接続用テープコネクタは、二層構造からなり、導電性フィラーを含む異方性導電テープ層12の上に、絶縁性フィラーを含む絶縁テープ層14を設けて構成されている。異方性導電テープ層12内に含有される導電性フィラー13は絶縁テープ層14内に含有される絶縁性フィラー15に比較して粒子径が約3?5倍に設定されている。具体的には、テープコネクタ11の全体の厚さを20μmに設定し、異方性導電テープ層12の厚さを10μmに設定し、導電性フィラ13の系を5μm?10μmに設定し、絶縁性フィラア15の系を1?3μmに設定する。絶縁性フィラー15の分散する量は導電性フィラー13の量に比べて多い。また、導電テープ層12と絶縁テープ層14は共にエポキシ系樹脂接着剤で構成されるが、絶縁テープ層14の流動性が導電テープ層12のそれに比較して高くなるように公知の方法で調整される。」(段落【0007】)
(d)「上記の構成のテープコネクタ11を使用して基板上にLCD4を実装した時の状態を図2に示し、LSIチップ21を実装した時の状態を図3に示す。いずれの場合も、基板上にテープコネクタを載せ、LCD4またはLSIチップ21の被着体の位置合わせを行って加圧,加熱を行うことによって接着する。」(段落【0008】)

上記記載事項を総合すると、刊行物1には、
「導電性フィラー13及びホットメルト系接着剤からなる異方性導電テープ層12の上に、前記導電性フィラー13よりも小径の絶縁性フィラー15を含有する絶縁テープ層14を設けたものであり、前記導電テープ層12と絶縁テープ層14は共にエポキシ系樹脂接着剤で構成され、加圧,加熱を行うことによって接着する電子部品接続用テープコネクタ。」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、後者における「導電性フィラー13」が、その機能・構造等からみて前者における「導電材料」に相当し、以下同様に、「ホットメルト系接着剤」が「バインダ」に、「異方性導電テープ層12」が「加圧方向に導電性を有する接着層」に、「上に」が「少なくとも片面に」に、「前記導電性フィラー13よりも小径の」が「前記導電材料の大きさよりも小さい」に、「絶縁性フィラー15」が「絶縁粒子」に、「絶縁テープ層14」が「絶縁粒子を含有する接着層」及び「絶縁性接着層」に、「設けた」は「形成した」に、「加圧,加熱を行うことによって接着する」が「加熱接着する」に、「電子部品接続用テープコネクタ」が「接続部材」に、それぞれ相当している。
また、後者の「エポキシ系樹脂接着剤」と前者の「反応性樹脂と潜在性硬化剤を含む熱硬化性の反応性接着剤」とは「加熱接着する接着剤」である点で共通している。

したがって、両者は、
「導電材料及びバインダからなり、加圧方向に導電性を有する接着層の少なくとも片面に、前記導電材料の大きさよりも小さい絶縁粒子を含有する接着層を形成したものであり、前記バインダ及び絶縁性接着層は、加熱接着する接着剤である接続部材。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点:加熱接着する接着剤が、本願発明では、反応性樹脂と潜在性硬化剤を含む熱硬化性の反応性接着剤であり、前記反応性接着剤の活性化温度以上の温度で加熱接着するものであるのに対し、引用発明では、接着剤はエポキシ系樹脂接着剤であるが、そのような接着剤であるか否かが明確でない点。

4.当審の判断
そこで上記相違点について検討する。
電子部品等の接続部材として、反応性樹脂と潜在性硬化剤を含む熱硬化性の反応性接着剤であるエポキシ系樹脂接着剤を用いることは、例えば特開平6-256746号公報、特開平5-206208号公報、特開平6-215633号公報等に記載されているように周知の事項であり、該周知のエポキシ系樹脂接着剤が、反応性接着剤の活性化温度以上の温度で加熱接着するものであることも明らかなことである。そして、引用発明のバインダ及び絶縁性接着層として構成されているエポキシ系樹脂接着剤として該周知のエポキシ系樹脂接着剤を採用する程度のことは当業者であれば容易に想到し得ることである。

また、本願発明の効果も引用発明及び周知の事項から予測される程度のものにすぎない。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-01 
結審通知日 2006-12-07 
審決日 2006-12-19 
出願番号 特願平6-290273
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石井 孝明  
特許庁審判長 北川 清伸
特許庁審判官 和泉 等
中田 誠二郎
発明の名称 接続部材  

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