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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1151464
審判番号 不服2004-1926  
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-10-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-02 
確定日 2007-02-07 
事件の表示 特願2002- 3246「記録担体」拒絶査定不服審判事件〔平成14年10月 4日出願公開、特開2002-288965〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成 4年11月16日に出願した特願平 4-305304号(パリ条約による優先権主張 1991年(平成3年)11月15日 英国)の一部を平成14年 1月10日に新たな特許出願としたものであって、平成15年10月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成16年 2月 2日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、同年 4月28日付けで手続補正がなされたものである。
そして、当審により平成17年 9月27日付けで拒絶理由が通知され、平成18年 3月29日付けで意見書及び手続補正書が提出された。

本願の請求項1ないし15に係る発明は、平成18年 3月29日に提出された手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。

「【請求項1】 ユーザに順次に提示する複数のユーザ情報項目を記録した記録担体であって、これら複数のユーザ情報項目の所望の再生順序を決める複合再生系列が、各々が前記複数のユーザ情報項目のうちの所定の一連のものの再生順序を決める少なくとも2つの線形再生系列と、ユーザ選択応答に依存して複数の選択可能な線形再生系列のうちの1つに分岐する少なくとも1つの選択点とを用いて規定されるような記録担体において、
- 前記複数のユーザ情報項目が、前記記録担体上のアドレス可能位置に記録され、
- 前記複合再生系列における前記線形再生系列の各々に対して、当該線形再生系列に関連する前記ユーザ情報項目に対するリファレンスの系列リストを有する系列項目が規定されると共に、前記記録担体上に記録され、
- 前記複合再生系列における前記選択点の各々に対して、ユーザに提供されるユーザ選択情報項目が前記記録担体上に記録される一方、各ユーザ選択応答に対する分岐先を決める選択項目が規定されると共に前記記録担体上に記録され、この選択項目は、記録された系列項目又は他の選択項目に対するリファレンスを各ユーザ選択応答に対して有する選択リスト及び前記ユーザ選択情報項目に対するリファレンスを含んでおり、
- 前記記録担体を読取装置に装填すると、前記複数のユーザ情報項目のうちの所望のものが前記複合再生系列に従い且つユーザ選択応答に応じて順次再生されることを特徴とする記録担体。」

2.引用例
(1)引用例1
一方、当審において平成17年 9月27日付けで通知された拒絶理由で引用された特開平 2-297773号公報(以下、「引用例1」という。)は、光ディスクに対するデジタルデータ記録方法に関するもので、次の技術事項が図面とともに記載されている。なお、下線は当審で付与した。
(イ)
「〔産業上の利用分野〕
本発明は光ディスク装置、磁気ディスク装置等のディスク装置にディジタルデータを記録する方法、より具体的にはそのためのファイルフォーマットの設定方法に関する。」(第1頁左下欄第17行?右上欄第1行)
(ロ)
「〔課題を解決するための手段〕
本発明のディジタルデータの記録方法は、一単位のディジタルデータを一つのファイルとし、連続して読出されるような相互に関連を有する一群のファイルを記録するような場合には、それぞれのファイルに一つずつファイルラベルを対応させるのではなく、一群のファイルそれぞれの記録開始位置情報及びデータサイズを一括して一つのファイルラベルに対応させるようにしている。」(第2頁右下欄第12?20行)
(ハ)
「〔発明の実施例〕
以下、本発明をその実施例を示す図面に基づいて詳述する。
第1図及び第2図は本発明に係るディジタルデータの記録方法を説明するための光ディスクの情報記録面の構成を示す模式図及びそのファイルラベル領域の一つのファイルラベルのデータ内容、即ちファイルフォーマットを示す模式図であり、また第3図は本発明方法の適用例を示す模式図である。
本発明のディジタルデータの記録方法のためのファイルフォーマットでは、一単位のディジタルデータを一つのファイルフォーマットとし、読出される際に連続して読出されるような相互に関連した複数のファイルに関してはそれらを一つのファイルラベルにより一括して管理する。 たとえば、第3図に示す如く、富士山の画像(a)のファイル、そのテキスト画像「富士山は標高3776メートルで日本で一番高い。」(b)のファイルと、本来の画像(a)を小さくしたインデックス画像(c)のファイルと、音声「富士山は日本一の山である。」(d)のファイルと、その他たとえば同じ画像ファイルでもRGB面順次画像、RGB線順次画像、RGB画素順次画像、更には画像表示に必要な時間を短縮した概略画像等のファイルが相互に関連付けられた一群のファイルとして一つのファイルラベルにより管理される。
即ち、第1図に示す如く、ファイル領域11に記録されているファイル1-1,1-2,1-3,1-4,1-5…は上述の第3図に示した如き相互に関連を有するファイルであり、ファイルラベル1にて一括して管理される。 第2図はファイルラベル1のデータ内容を示す模式図である。
この本発明のファイルフォーマットによるファイルラベルのデータ内容は、前述の第6図に示した従来のファイルラベル同様のラベル識別子、ファイル名、ファイル作成日付を含み更にその一群のファイルを代表するファイル、たとえば第3図の例では(a)の画像のファイルの格納先頭アドレス及び最終アドレス等の必須情報の部分と、一群のファイル1-1,1-2,1-3,1-4,1-5…の内の画像ファイルに共通する画像データの情報と、個別ファイル情報の部分とにて構成されている。個別ファイル情報は、一群のファイルそれぞれの格納先頭アドレス及びデータサイズ、画像ファイルを表示するために必要な画像表示コントロール情報の格納先頭アドレス及びデータサイズ等が順次記録されている。 これらのファイルラベルを構成する情報の内、従来例と異なる点は、一群のファイル1-1,1-2,1-3,1-4,1-5…それぞれの格納先頭アドレス及びデータサイズが一括して一つのファイルラベルに記録されている点及び画像表示コントロール情報が新たに設けられている点である。この画像表示コントロール情報はそれぞれの画ファイルの画像表示のための情報である。
このような本発明により設定されたファイルフォーマットでは、ファイル1の読出しが指示されると、ファイルラベル領域12のファイルラベル1が検索されてまず読出され、ファイル1-1の格納先頭アドレスに従ってファイル1-1がファイル領域11から読出される。この際、ファイル1-1の格納最終アドレスは、その格納先頭アドレスと共に記録されているファイルサイズから自動的に計算される。
そして、以下順次、ファイルラベル1の画像表示コントロール情報に従って、ファイル1-2,1-3,1-4,1-5という順序で各ファイルがファイル領域11から読出されてゆく。
これにより、たとえば第3図に示すような、ファイル1の基本の画像(a)とテキスト(b)とが同時に表示されると共に音声(d)が出力されるように各ファイルが連続してファイル領域11から読出される。また、画像ファイルについては、RGBの各色を線順次、面順次あるいは画素順次で表示させる選択も可能であり、更に上述のような一群のファイルが多数ファイル領域11に記録されているような場合にはそれぞれのファイル群のインデックス(e)のファイルのみを表示させることも可能である。
なお、上記実施例では光ディスクを記録媒体とする例を示したが、これに限るものではなく、磁気ディスクあるいは光磁気ディスク等を記録媒体とする場合にも本発明は適用可能である。」
(ニ)
第1図を参照すると、光ディスクのファイルラベル領域12には、2つのファイルラベル1及びファイルラベル2が記録されている。

この記載事項と図面の記載とを総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用例1発明」という。)が記載されているものと認めることができる。

「相互に関連を有し読出される際に連続して読出される複数のファイルを記録した光ディスクであって、複数のファイルラベルにより、連続して読出される一群のファイルの読出し順序を規定する光ディスクにおいて、
前記複数のファイルが前記光ディスク上の、アドレスにより記録位置の特定可能なファイル領域に記録され、
前記ファイルラベルは個別ファイル情報を有し、該個別ファイル情報として、一群のファイルにおけるそれぞれのファイルの格納先頭アドレスが順次記録された
光ディスク。」

(2)引用例2
同じく前記拒絶理由で引用された特開平 2-287990号公報(前記拒絶理由では引例6。以下、「引用例2」という。)は、ディスクに記録されているプログラムをメニュー画面を用いて選択するプログラム選択装置に関するもので、次の技術事項が図面とともに記載されている。なお、下線は当審で付与した。
(ホ)
「 ディスクに記録されているプログラムを選択するためのメニュー画面と、
前記メニュー画面上のプログラムを指定するためのカーソルと、
前記メニュー画面上でカーソルを移動させるカーソル移動手段と、
前記メニュー画面上のカーソルの位置を判定するカーソル位置判定手段と、
プログラムのディスク上の記録位置を示す配置情報を記憶する記憶回路と、
前記カーソル位置判定手段により判定したカーソルの位置情報と、
前記記憶回路から読みだした配置情報を比較し選択したプログラムのアドレスを出力する比較回路と、
前記比較回路から出力される選択したプログラムのアドレスにピックアップを移動させるピックアップ移動命令手段と、
選択したプログラムの再生を実行させるプログラム再生実行手段とを備えたことを特徴とするプログラム選択装置。」(特許請求の範囲)
(ヘ)
「実施例
第1図は本発明の一実施例におけるプログラム選択装置のブロック図を示す。なお、従来例と同一構成、同一動作をするものについては同一符号を付している。1はメニュー画面22と静止画像と音声の記録されたディスク、2はディスク1を回転させるディスクモータ、3はディスク1から信号を取り出すピックアップ、…(以下略)。
第2図は本発明の一実施例におけるメニュー画面22によるプログラム選択の手順のフローチャート、第5図はメニュー画面の構成図を示す。22はディスク1に音楽が7曲記録されている場合のメニュー画面で、曲の番号と曲名と曲の記録時間が表示されている。23は選択する曲目を指し示すカーソルである。」(第3頁右上欄第4行?右下欄第5行)

(2)引用例3
同じく前記拒絶理由で引用された特開昭62-175983号公報(前記拒絶理由では引例7。以下、「引用例3」という。)は、ディスク式デジタル信号記録媒体に関するもので、次の技術事項が図面とともに記載されている。なお、下線は当審で付与した。
(ト)
「複数の選択枝を有し、各場面における選択に応じ、異った展開をする様に構成されたストーリーの各場面を、頭出しを行うチャプターナンバーを伴って記録トラックにデジタル信号化してそれぞれ独立して収録したことを特徴とするディスク式デジタル信号記録媒体。」(特許請求の範囲)
(チ)
「(実施例)
この発明に係るディスク式デジタル信号記録媒体の一実施例に基づいて、その構成を更に具体的に説明する。
今、仮に、この記録媒体に「桃太部のおに退治」なるストーリーが収録されているとする。この場合、この記録媒体のトラックには物語の発端から結末に至る各場面がチャプターナンバーを伴ってそれぞれ独立して別々に収録されている。つまり、第1図に示す如く、桃太部の誕生からおにが島での戦いまでのうち、川でおばあさんが桃を拾う場面、キジ、犬、猿にそれぞれ会う場面、おにが島での戦闘場面等各場面がチャプターナンバーを伴ってそれぞれ独立して頭出しができる様に収録されており、更にこれら各場面には複数の選択枝が設けられており、たとえば、おばあさんが桃を拾わなかった場合、キジと出会わなかった場合などを選択したとき他のストーリーが展開される様、別の創作された筋立てがなされており、これらにもそれぞれ固有のチャプターナンバーが付されている。従って、各場面の選択の仕方によっては創作された筋の方へ導入され、この例においでは桃太部はおに退治に成功せず、鬼に殺される結末になることもある。」(第2頁右上欄最終行?左下欄第19行)

3.対 比
そこで、本願発明と引用例1発明とを比較する。

(i)引用例1発明における「光ディスク」は、本願発明における「記録担体」のことである。
(ii)引用例1発明の「複数のファイル」は、ユーザに対して提供される情報であるから、本願発明の「ユーザに提示する」「複数のユーザ情報項目」に相当する。
(iii)引用例1発明の「複数のファイル」が「光ディスク上の、アドレスにより記録位置の特定可能なファイル領域に記録され」る点は、本願発明の「複数のユーザ情報項目」が前記記録担体上のアドレス可能位置に記録され」る点に相当する。
(iv)引用例1発明の「複数のファイルラベルにより、連続して読出される一群のファイルの読出し順序を規定する」について、「連続して読み出される一群のファイルの読出し順序」は、本願発明の「ユーザ情報項目のうちの所定の一連のものの再生順序」に相当し、引用例1発明の前記「ファイルラベル」が規定する「再生順序」は、本願発明の「線形再生系列」に相当する。
また、引用例1発明では複数のファイルラベルを有し、前記一群のファイルが複数存在することから、前記複数の一群のファイルのうちのどの一群のファイルを再生するかを選択することが必要となることは明らかであり、引用例1発明においても前記複数の一群のファイルの中から所望の一群のファイルを読み出すために本願発明における「選択点」と共通の分岐点に相当する構成を有することは明らかである。
とすると、引用例1発明は、「複数のファイルラベル」と前記本願発明における「選択点」と共通の分岐点に相当する構成とを合わせて、本願発明の「複合再生系列」に相当する構成を備えていることは明らかである。
(v)引用例1発明の「前記ファイルラベルは個別ファイル情報を有し、該個別ファイル情報として、一群のファイルのそれぞれの格納先頭アドレスが順次記録」について、「一群のファイルにおけるそれぞれのファイルの格納先先頭アドレス」は、それぞれのファイルの読み出しにおいて参照されるものであるから、本願発明の「線形再生系列に関連するユーザ情報項目に対するリファレンス」に相当し、引用例1発明の前記「一群のファイルにおけるそれぞれのファイルの格納先先頭アドレス」を有する「個別ファイル情報」、及び、該「個別ファイル情報」を含み光ディスクに記録される「ファイルラベル」が、それぞれ本願発明の「系列リスト」及び「系列項目」に相当する。
(vi)さらに、引用例1発明は、光ディスク装置に装填されて情報が読み取られる光ディスクであり、ユーザの選択により前記複数の一群のファイルが順次再生されるものであることは明らかであるから、引用例1発明における「光ディスク」についても、本願発明の「前記記録担体を読取装置に装填すると、前記複数のユーザ情報項目のうちの所望のものが前記複合再生系列に従い且つユーザ選択応答に応じて順次再生される」点で共通していることは明らかである。

そうすると、本願補正発明と引用例1発明とは次の点で一致する。
<一致点>
「ユーザに提示する複数のユーザ情報項目を記録した記録担体であって、これら複数のユーザ情報項目の所望の再生順序を決める複合再生系列が、各々が前記複数のユーザ情報項目のうちの所定の一連のものの再生順序を決める少なくとも2つの線形再生系列と、ユーザ選択応答に依存して複数の選択可能な線形再生系列のうちの1つに分岐する少なくとも1つの選択点とを用いて規定されるような記録担体において、
- 前記複数のユーザ情報項目が、前記記録担体上のアドレス可能位置に記録され、
- 前記複合再生系列における前記線形再生系列の各々に対して、当該線形再生系列に関連する前記ユーザ情報項目に対するリファレンスの系列リストを有する系列項目が規定されると共に、前記記録担体上に記録され、
- 前記記録担体を読取装置に装填すると、前記複数のユーザ情報項目のうちの所望のものが前記複合再生系列に従い且つユーザ選択応答に応じて順次再生される記録担体。」

一方、次の各点で相違する。
(相違点1)
本願発明では、複数のユーザ情報項目は、ユーザに順次に提示するものであるのに対し、引用例1発明では、複数のファイルについて、同時に表示する例はあるが、ユーザに順次に提示するものであるか明確ではない点。

(相違点2)
本願発明では、複合再生系列における選択点の各々に対して、ユーザに提供されるユーザ選択情報項目が記録担体上に記録される一方、各ユーザ選択応答に対する分岐先を決める選択項目が規定されると共に前記記録担体上に記録され、この選択項目は、記録された系列項目又は他の選択項目に対するリファレンスを各ユーザ選択応答に対して有する選択リスト及び前記ユーザ選択情報項目に対するリファレンスを含んでいるのに対し、引用例1発明では、特にこのような事項が明示されていない点。

4.判 断
相違点1について:
記録媒体に記録された複数の情報をユーザに対して順次に提供することは、通常行われており(例えば、特開昭63-83984号公報(前記拒絶理由の引例2)、実願昭62-57319号(実開昭63-164883号)のマイクロフィルム(前記拒絶理由の引例3)及び特開昭63-278172号公報(実施例の欄及び第1図、第2図等)参照。)引用例1発明においても、複数のファイルをユーザに対して順次提供されるようなものとすることは、当業者が必要に応じて適宜なしえたものである。

相違点2について:
引用例2には、ディスクに記録されたプログラム(ユーザ情報項目)を選択するためのメニュー画面(ユーザ選択情報項目)を前記ディスクに記録しておくことが記載(前記摘記事項(ホ)(へ)参照。)されている。
また、引用例3には、記録媒体のトラックに物語の発端から結末に至る各場面がチャプターナンバーを伴って独立して収録され、かつ前記各場面には複数の選択枝が設けられており、ユーザの選択に応じて順次各場面の映像を再生すること、すなわち、各場面を選択する選択点において、ユーザが選択した分岐先に対応したチャプターナンバー(リファレンス)に基づいて次に再生する場面(ユーザ情報項目)を再生することが記載(前記摘記事項(ト)(チ)参照。)されている。
一方、例えば国際公開第91/01605号(第1?3頁、第8頁第18?22行、第9頁第15行?第12頁第10行など参照。日本語文献については特表平5-501469号公報の第3頁左上欄第4行?右上欄第5行、同頁右下欄第16行?第19行、第4頁左上欄第2行?右上欄第19行など参照。)において、レーザーディスク(記録担体)に、利用者が次に演奏されるプログラムを選択するために利用するメニュー(ユーザ情報選択項目)を記録しておくと共に、該メニューのレーザーディスク上での相対開始時間(リファレンス)、及び、利用者の選択に応じてレーザディスクプレーヤが次に再生すべきセクションの開始時間(リファレンス)を有するブランチテーブルを記録しておくことが記載されているように、記録媒体に記録された情報をユーザと対話形式で再生するに際し、該情報のメニューと、該メニューの記録位置及びユーザが選択する情報の記録位置とを記録媒体に記録しておくことは、当該技術分野において従来から行われている周知の事項にすぎないものである。
そこで、引用例1発明においても、一群のファイルが多数ある場合に、それらを対話形式で再生するに際し、引用例2及び周知技術を参照して、複数の該一群のファイルに対応したメニュー(ユーザ情報選択項目)を光ディスクに記録すると共に、引用例3及び周知技術を参照して、前記メニュー(ユーザ情報選択項目)の記録位置(リファレンス)と、複数のファイルラベルの光ディスク上の記録位置(リファレンス)とを合わせて1つの項目として記録するようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。このとき、前記メニュー(ユーザ情報選択項目)の記録位置(リファレンス)と、前記複数のファイルラベルの光ディスク上の記録位置(リファレンス)とを合わせた情報が本願発明の「選択項目」となることは明らかであり、また前記メニューから他のメニューを選択可能にすることは、当業者が必要に応じて適宜なしえたものである。

そして、上記各相違点の判断を総合しても、本願発明の奏する効果は引用例1ないし3に係る発明から当業者が十分に予測できたものであって、格別のものとはいえない。

以上の検討を総合すると、本願発明は、引用例1ないし3に記載された発明に基づいて、周知技術を勘案することにより、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用例1ないし3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-09-13 
結審通知日 2006-09-14 
審決日 2006-09-27 
出願番号 特願2002-3246(P2002-3246)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田付 徳雄  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 中野 浩昌
中村 豊
発明の名称 記録担体  
代理人 津軽 進  

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