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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A01M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A01M
管理番号 1152419
審判番号 不服2004-18381  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-09-06 
確定日 2007-02-16 
事件の表示 平成7年特許願第202678号「水性殺虫剤用吸液芯、ならびにこれを用いた加熱蒸散殺 虫方法」拒絶査定不服審判事件〔平成9年1月21日出願公開、特開平9-19252〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年7月4日の出願であって、平成16年8月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同年10月6日に手続補正がなされたものである。

2.平成16年10月6日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年10月6日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、 特許請求の範囲の減縮を目的として次のように補正された。
「薬液の着色が防止された水性殺虫剤用吸液芯であって、
該吸液芯の薬液容器内部に収納された部分の略全側面を、ポリオレフィン又はフッ素樹脂系プラスチック素材の保護チューブで密着被覆してなり、
これにより、吸液芯を水性殺虫剤薬液中に浸漬し50℃で1ヶ月保存したときの薬液の着色度がガードナーの色調変化で1以下であることを特徴とする水性殺虫剤用吸液芯。」
(以下、「補正発明」という。)

そこで、補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

(2)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布されている刊行物である特開平3-72833号公報(以下、「引用例1」という。)には、「吸液芯並びに薬剤蒸散方法」に関して、図面とともに下記の事項が記載されている。
(イ)「…本発明は、中心に多孔質の吸液蒸散層を、周囲に吸液性又は非吸液性の保持材層を有する構造の吸液芯を提供する。…好適には薬剤としてピレスロイドを用いて該薬剤を加熱蒸散せしめ、蚊、ハエ等の害虫を防除する目的に用いる。また、該薬剤を含有する溶液は水性溶液であっても油性溶液であってもかまわない。多孔質の吸液蒸散層としては、室温および薬剤揮散温度において、薬液に対し安定でかつ薬液も分解しない繊維…の集合体であり、毛細管現象で薬液を吸液するものである。具体的には各種動植物性繊維、ポリエステル、ナイロンなどの人工繊維、無機繊維からなる布、紙、不織布、フェルト、綿等や、バルサ、ラワン、ラミン、竹等の吸水性の高い材木が好適である。また、本発明において保持材とは、チューブ状の力学的に十分な強度を有し、その材質は薬液に接触、浸漬しても物理的化学的劣化を来さず、かつ薬剤を揮散する温度で十分な耐熱性を有するものから選択される。例えば、ポリエステル、ナイロンなどの人工繊維、無機繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック…等が挙げられる。」(2頁左下欄16行?3頁左上欄3行)
(ロ)「…図中、1は薬液2を入れた容器であり、該容器1は収納容器3内に係脱自在に収納、保持されている。収納容器3の上部は開放されており、この開放部に環状(あるいは一相の半環状)の発熱体4が固着されている。5は発熱体4に接続されたコードである。容器1の上部には薬液注入口6が設けられており、この薬液注入口6に、吸液芯7が、その上部が環状発熱体4の中心部に配設されるように、略密栓状に保持されている。…」(3頁左下欄6?15行)
(ハ)「実施例1?9 直径6mm、長さ70mmの円柱状フェルト、…に、シリコンガラスチューブ、ポリエステル繊維チューブまたはガラス管を巻きつけて本発明の吸液芯に加工した。」(6頁左上欄4?9行)
(ニ)上記(イ)、(ハ)および図面を参照すると、吸液芯7は、円柱状フェルト等の多孔質の吸液蒸散層に保持材のチューブを巻きつけて加工するのであるから、吸液芯7の薬液2の容器1内部に収納された部分を含む略全側面をチューブ状の保持材で密着被覆していると解される。

これらの記載事項並びに図面に示された内容を総合すると、引用例1には、次の発明が記載されているものと認められる。かっこ内は対応する引用例1における構成・用語である。
「水性殺虫剤用吸液芯(薬剤を含有する水性溶液の吸液芯7)であって、
該吸液芯の薬液容器(薬液2の容器1)内部に収納された部分を含む略全側面を、ポリオレフィン系プラスチック素材(ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック材)の保護チューブ(チューブ状の保持材)で密着被覆してなる水性殺虫剤用吸液芯。」
(以下、「引用例1発明」という。)

(3)対比
補正発明と引用例1発明とを比較すると、両者は、
「水性殺虫剤用吸液芯であって、
該吸液芯の薬液容器内部に収納された部分の略全側面を、ポリオレフィン系プラスチック素材の保護チューブで密着被覆してなる水性殺虫剤用吸液芯。」
の点で一致し、次の点で相違している。

相違点:水性殺虫剤用吸液芯が、補正発明では、薬液の着色が防止され、吸液芯を水性殺虫剤薬液中に浸漬し50℃で1ヶ月保存したときの薬液の着色度がガードナーの色調変化で1以下であるのに対して、引用例1発明では、そのような作用効果を奏するか否かは不明である点。

(4)判断
相違点につき検討するに、引用例1発明におけるチューブ状の保持材は、薬液の着色を防止することを目的として設けられたものかは不明であるが、引用例1発明も、水性殺虫剤用吸液芯であり、かつ、少なくとも吸液芯の薬液の容器内部に収納された部分の略全側面を、薬液に接触、浸漬しても物理的化学的劣化を来さないような材質であるポリオレフィン系プラスチック素材等のチューブ状の保持材で密着被覆しているのであるから、例えば、吸液芯がシリコーンワニス等の塗膜を含んでいても、補正発明と同様に、薬液の着色が防止される機能を有しているものと解される。そして、吸液芯を水性殺虫剤薬液中に浸漬し50℃で1ヶ月保存したときの薬液の着色度がガードナーの色調変化で1以下となるようにすることも吸液芯や保護チューブの材質、薬液の組成等に応じて、当業者が適宜設定し得る事項にすぎない。

したがって、補正発明は、引用例1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成16年10月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?4に係る発明は、平成16年7月15日付け手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1?4に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】吸液芯の薬液容器内部に収納された部分の略全側面を、ポリオレフィン系又はフッ素樹脂系プラスチック素材の保護チューブで密着被覆したことを特徴とする水性殺虫剤用吸液芯。
【請求項2】?【請求項4】(記載を省略)」
(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)

(2)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物の記載事項は、上記「2.(2)」に記載したとおりである。

(3)対比・判断
本願発明は、上記「2.」で検討した補正発明から限定事項を削除したものであり、本願発明に限定事項を付加したものに相当する補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-08 
結審通知日 2006-12-13 
審決日 2006-12-26 
出願番号 特願平7-202678
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A01M)
P 1 8・ 121- Z (A01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 郡山 順  
特許庁審判長 安藤 勝治
特許庁審判官 宮川 哲伸
西田 秀彦
発明の名称 水性殺虫剤用吸液芯、ならびにこれを用いた加熱蒸散殺 虫方法  
代理人 萼 経夫  
代理人 中村 壽夫  
代理人 舘石 光雄  
代理人 村越 祐輔  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 加藤 勉  
代理人 小野塚 薫  
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