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審決分類 |
審判 査定不服 特29条特許要件(新規) 特許、登録しない。 G11B 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1152801 |
審判番号 | 不服2004-21456 |
総通号数 | 88 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2007-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-10-14 |
確定日 | 2007-02-22 |
事件の表示 | 特願2002-160296「ディスク」拒絶査定不服審判事件〔平成15年 3月 7日出願公開、特開2003- 68056〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成5年3月5日に出願した特願平5-69088号の一部を平成14年5月31日に新たな特許出願としたものであって、その請求項1?8に係る発明は、平成16年11月9日付けで手続補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?8に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次に掲げるとおりのものである。 「【請求項1】ディスクの外周側に設けられ、少なくとも1以上の音声情報を記録可能なデータ領域と、 ディスクの内周側に設けられ、前記データ領域に記録される少なくとも1以上の音声情報を管理する管理データが記録される管理領域と、 前記管理領域内に設けられ、ディスク名を記録すべき文字記録領域とを備え、 前記文字記録領域に、前記音声情報を前記データ領域に記録、又は前記データ領域から再生する記録/再生装置の動作を制御するコマンドとしての文字情報が記録されることを特徴とするディスク。」 2.先願発明 これに対して、原査定の拒絶理由に引用された、本願の出願の日前の出願であって、その出願後に出願公開された特願平4-291415号(特開平6-139704号公報参照)の願書に最初に添付された明細書又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、以下の技術事項が記載されている。 (a) 「【0002】 【従来技術】ディスク記録再生装置の記録媒体として使用されている記録再生可能なディスクであるミニディスク(以下MDと記す)やCD-MO、CO-WO等の光学的信号を記録するディスクには、記録された情報の区切りに付加するトラック・ナンバー(以下TNOと記す)に対応させたキャラクタ情報を記録できるエリアとして、リードインエリアのセクター1とセクター4、そしてU-TOCエリアのセクター1が設けられている。 【0003】例えばMDの場合には、リードインエリアの情報はディスクメーカによって記録されるが、U-TOCエリアのセクター1は、予め設定されたキャラクタをユーザが自由に使用し、各TNOに付加して記録できるようになっている。」 (b) 「【0006】 【課題を解決するための手段】この発明のディスク記録再生装置は、記録された情報の任意指定箇所に付加されたトラック・ナンバーに対応して、文字と記号からなるキャラクタが記録できるTOCエリアを有したディスクを用いて記録再生を行うディスク記録再生装置において、前記ディスク記録再生装置を制御する情報を記号化したキャラクタ信号を、前記TOCエリアに記録するように構成したものである。」 (c) 「【0010】 【作用】この発明によれば、文字と記号からなるキャラクタを各トラック・ナンバーに付加して記録できるU-TOCエリアに、ディスク記録再生装置の制御情報を記号化したキャラクタが記録されているので、このディスクの記録または再生時に、ディスク記録再生装置がこのキャラクタによる制御情報を読み取って、この制御情報に従い自機の制御および他装置の制御を行う。 【0011】 【実施例】この発明に係るディスク記録再生装置の実施例を図1および図2に基づき説明する。図1は本発明のディスク記録再生装置を示すブロック図、図2(A)(B)(C)(D)はディスクに記録された曲に対応して付加されたTNOとこれに対応させてU-TOCに記録されたキャラクタの概念を示す説明図であり、(A)は1曲のみ記録した状態、(B)は3曲記録した状態、(C)はTNOに対応してU-TOCに記録したキャラクタ、(D)は消去後TNO1が残った状態を示す図である。」 (d)「【0025】リモコン4または操作キー5によりMDの取り出しを指示すると、コントローラ2はこの信号を受けてRAM3にアクセスし、現在のU-TOC情報をMDに書き込んだ後MDを排出する信号を、MD記録再生部1に転送する。MD記録再生部1はこの信号を受けて、U-TOC情報をMDのU-TOCエリアに記録し、次にMDを排出する。」 ところで、先願明細書等に記載のものは、キャラクタが記録できるTOCエリアを有したディスクを用いて記録再生を行うディスク記録再生装置に関するもので、TOCエリアにキャラクタが記録されるディスクといえるから、上記の摘示事項及び図面の記載事項を総合勘案すると、先願明細書等には、次の発明が記載されているものと認める(以下、「先願発明」という。)。 「ディスクに少なくとも1以上の曲が記録可能なエリアと、 前記曲に対して付加されたトラック・ナンバーに対応してキャラクタが記録できるU-TOCエリアとを備え、 前記U-TOCエリアにディスク記録再生装置を制御する制御情報を記号化したキャラクタが記録されることを特徴とするディスク。」 3.対比 (1)本願発明を先願発明と比較すると、先願発明における「曲」、「U-TOCエリア」、「制御情報」及び「キャラクタ(情報)」は、それぞれ、本願発明における「音声情報」、「管理領域」、「コマンド」及び「文字情報」に相当する。 (2)先願発明において、曲を記録するエリアをディスクの外周側に設け、、U-TOCエリアをディスクの内周側に設けることは、自明の事項である。 (3)先願発明は、キャラクタをU-TOCエリア内に記録するものであるから、本願発明の「文字記録領域」に相当する構成を備えているといえる。 すると、本願発明と先願発明とは、以下の点で一致する。 〈一致点〉 「ディスクの外周側に設けられた、少なくとも1以上の音声情報を記録可能なデータ領域と、 ディスクの内周側に設けられ、前記データ領域に記録される少なくとも1以上の音声情報を管理する管理データが記録される管理領域と、 前記管理領域内に設けられ、文字記録領域とを備え、 前記文字記録領域に、前記音声情報を前記データ領域に記録、又は前記データ領域から再生する記録/再生装置の動作を制御するコマンドとしての文字情報が記録されることを特徴とするディスク。」 一方、以下の点で一応相違する。 〈相違点〉 「文字記録領域」について、本願発明は、ディスク名を記録すべき文字記録領域であるのに対し、先願発明は、各トラック・ナンバーに対応してキャラクタが記録できるU-TOCエリアである点。 4.判断 上記相違点について検討する。 音楽情報を再生する制御情報と共に曲タイトル、ディスクタイトル等を文字情報として記録することは、本願明細書の【従来技術】の欄の記載、特開平5-36246号公報(原審の拒絶査定で引用された周知文献)、特開平4-134756号公報及び特開平4-351780号公報等において、周知の技術にすぎない。 そうすると、キャラクタ(文字情報)が記録できる文字記録領域に記録再生装置を制御する制御情報を記録するという技術思想が先願発明に開示されており、該制御情報を記録するに際し、各トラック・ナンバーに対応してキャラクタ(文字情報)が記録できるU-TOCエリア内の文字記録領域に制御情報を記録するか、ディスク名を記録すべき文字記録領域に制御情報を記録するかは、当業者が適宜なし得ることであり、ディスク名を記録すべき領域に制御情報を記録することは、課題解決のための具体的手段における微差にすぎず、また、新たな効果を奏するものでもないので、結局、本願発明は先願発明と実質的に同一である。 5.審判請求の理由における請求人の主張の検討 審判請求人は、審判請求の理由で、「本願請求項1に係る発明は、以下の効果を奏するものです。 ・従来の記録媒体の管理領域のフォーマットは変更せず、本記録媒体に付加情報を付けることができること(主張点1)。 ・本記録媒体のディスク名を記録すべき領域にはコマンドとしての文字情報が記録されるが、従来の装置に装着したとしても誤動作する虞がないという、効果を有すること(主張点2)。 そして、ディスク名の記録領域には、各音声情報でなく、起動時のメニューなどの初期動作に関わる制御コマンドとしての文字情報を記録することが可能となるものです。 これに対して、引用文献1においては、TNO毎にキャラクターコードが付され、そのTNOに対応する楽曲の記録/再生を、当該キャラクターコードに基づき制御しているものでしかなく、TNOに対応する楽曲の記録/再生前の、例えば、起動時の動作について制御するコマンドについてなんら開示がないものです。したがって、引用文献1によっては、初期動作を実現するような効果を奏することができず、(主張点3)」旨主張している。なお、括弧書きは当審で付与したものである。 そこで、上記主張について検討する。 〈主張点1について〉 先願発明においても、U-TOCエリアのフォーマットを変更せずにディスク記録再生装置の制御情報をキャラクタが記録される領域(U-TOCエリア)に記録するものであるから、本願発明と同様、記録媒体に付加価値を付けることができるという効果を奏するものである。 〈主張点2について〉 先願発明においても、従来のキャラクタが記録されるU-TOCエリアにディスク記録再生装置の制御情報が記録されるものであるから、本願発明と同様、先願発明のディスクを従来の装置に装着したとしても誤動作する虞がないという効果を奏するものである。 〈主張点3について〉 本願発明には、「制御コマンド」を特定するための構成(例えば、「起動時のメニューなどの初期動作に関わる制御コマンド」)が記載されておらず、上記主張は本願特許請求の範囲の請求項1の記載に基づかない主張である。 以上のとおり、本願発明が先願発明と効果上差異があるものとは認められず、審判請求人の主張を採用することはできない。 6.むすび 以上のとおり、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができないものであるから、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-12-25 |
結審通知日 | 2006-12-26 |
審決日 | 2007-01-10 |
出願番号 | 特願2002-160296(P2002-160296) |
審決分類 |
P
1
8・
161-
Z
(G11B)
P 1 8・ 1- Z (G11B) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 田付 徳雄、前田 祐希 |
特許庁審判長 |
江畠 博 |
特許庁審判官 |
中野 浩昌 小松 正 |
発明の名称 | ディスク |
代理人 | 脇 篤夫 |
代理人 | 鈴木 伸夫 |