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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1152847
審判番号 不服2002-17761  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-13 
確定日 2007-02-21 
事件の表示 平成11年特許願第207860号「遊技装置」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 2月13日出願公開、特開2001- 37949〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯 ・本願発明
本願は、平成11年7月22日の出願であって、平成14年8月6日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月13日に拒絶査定不服審判請求がなされたものであり、本願請求項1?11に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1?11に記載されたとおりのものと認められるところ、本願請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下のとおりである。

「【請求項1】
種々の表示内容を連続的に変化させつつ表示し得る1又は2以上の表示手段と、その表示手段に前記表示内容を固定的に表示させるための表示固定手段とを有し、その表示固定手段は、遊技者の操作又は不操作状態における所定時間経過の検知に応じ作動して前記表示手段に表示内容を固定的に表示させるものであり、前記表示手段が固定的に表示した表示内容が所定の入賞条件を達成することと入賞とが対応するゲームを実行する遊技機であって、
全ての賞又は一部の賞である内部当り対象賞に関し、所定の内部当り条件の達成によって、その内部当り条件に対応する賞について内部当り状態を設定する内部当り設定手段と、
内部当り対象賞の一部である特定の賞に内部当り状態が設定されている場合に、ゲームにおける遊技者の操作および/または遊技機の動作から選ばれる1又は2以上の所定事象のうち少なくとも一部の事象について、その事象の直後又はそれと同時に行われる遊技機の動作の開始を所定時間遅延させるか又はその動作を所定時間中断させる遅延・中断手段を備え、
前記所定事象は、価値手段払込み操作、表示固定手段作動操作、音声発生、発光装置の点灯、発光装置の点滅、発光装置の消灯、及び表示手段による表示内容の固定的表示から選ばれる1又は2以上であることを特徴とする遊技装置。」

2.引用例
これに対して,原査定の拒絶の理由に引用された,本願の出願日前の他の出願であって,その出願後に出願公開された特願平11-1436号(特開2000-197726号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下「先願明細書」という。)には,以下の事項が記載されている。

「【0031】まず、図1にもとづき、スロットマシンの全体構造を説明する。同図において、1はスロットマシン本体で、このスロットマシン本体1の前面パネル2には、中央部に三つの表示窓3(3a,3b,3c)が設けられており、内部でそれぞれ独立して回転する三つのドラム(図2に示す第一ドラム20a,第二ドラム20b,第三ドラム20c参照)の周面に描かれた図柄を、この表示窓3で識別できるようになっている。表示窓3には、入賞ライン表示が描かれており、この入賞ライン表示上に配列した図柄の種類に応じて入賞が決定される。」

「【0038】この他、図1では示していないが、スロットマシン本体1の内部には、後述する制御部10によって駆動制御される駆動モータが備えられており、この駆動モータの駆動力によって、スロットマシン中央に配設されている三台のドラムがそれぞれ独立して回転し、かつ停止できるように仕組まれている。」

「【0041】内部当りの抽選を行う内部当り抽選部11は、図2に示すように、スタートレバー4からの信号により、スタートレバー4の押下と同時に内部当りの抽選を行うようになっている。そして、この内部当り抽選部11の抽選の結果、内部当りとなった場合には、図2に示すように、内部当り抽選部11からドラム音発生部13に信号が出力され、ドラム20a,20b,20cの回転開始を知らせるドラム回転開始音が通常の場合より遅れて発生するように制御される。……
【0042】ここで、一般にスロットマシンの内部当りには、大当り(大ボーナス,BB)と中当り(中ボーナス,RB)等の二種類以上の異なる種類の当選が設定される場合がある。例えば、大当りの場合には、以後所定量のメダルが払い出されるまで、大当り用の特定の図柄が配列されやすくなるように(例えば「7,7,7」)ドラムが制御され、中当りの場合には、中当り用の特定の図柄が配列されやすくなるように(例えば「BAR,BAR,BAR」)ドラムが制御され、大当りは中当りの約3倍量のメダルが払い出されるように設定されるようになっている。また、大,当り中当りが以外にも、さらに、小当りが設定されることもある。小当りは、内部当りの抽選に外れた場合であっても、一定の図柄が揃った場合(例えば「☆,☆,☆」)には、少量のメダルを払い出すというものである。
【0043】本実施形態では、内部当りに大当り,中当り等の種類がある場合にも、内部当りとして単一の信号を出力するようにしてある……」

「【0053】また、このドラム音発生部13は、上述したように、ドラム回転制御部12の一遊技時間の制御によってドラム20の回転開始が規制される間、ドラム回転開始音と異なるドラム回転不可音(ウェイト音)を発するようにスピーカ8に信号を出力する。これによって、前回のドラム20の回転開始から4.1秒経過前に次回のスタートレバー4が押下されると、ドラムの回転開始までの一遊技時間経過前の間、ドラム音発生部13からの信号によってスピーカ8からドラム回転不可音が発せられるので、遊技者は、一遊技時間経過前にスタートレバー4が押下されたためにドラム20の回転が規制されたことを知ることができる。
【0054】そして、このドラム回転不可音が発せられることにより、一遊技時間が経過するとドラム回転開始音が連続して発せられることになり、遊技者は、そのゲームで内部当りした場合に、ドラム回転開始音をより明確に把握することができる。すなわち、ドラム回転開始音は、内部当りした場合には、通常より遅れて発せられるので、内部当りしていない通常の場合にはドラム回転不可音と連続して発せられるはずのドラム回転開始音が、内部当りしたときだけ、ドラム回転不可音が一度途切れてから、遅れてドラム回転開始音が聞こえることになる。これにより、遊技者は、ドラム回転不可音と不連続で発せられるドラム回転開始音の後れをはっきりと認識でき、内部当りしたことをより明確に把握することができる。
【0055】なお、以上のような構成からなる制御部10は、内部当り抽選後に停止されるドラムの図柄配列を、図示しない図柄判定部で入賞か否か判定するようになっている。そして、図柄が大当り又は中当り等の所定の入賞配列に揃った場合には、制御部10によって図示しないメダルホッパが制御され、入賞メダル払出し口7から各賞に応じたメダルが遊技者に払い出される。」

「【0066】さらに、本実施形態では、一遊技時間のドラムの回転開始規制が設定されているスロットマシンに適用してあるので、内部当りしたときにドラム回転開始音が遅れて発せられることにより、通常はドラム回転不可音と連続して発せられるはずのドラム回転開始音が、内部当りしたときだけ、ドラム回転不可音が一度途切れてから、遅れてドラム回転開始音が聞こえることになる。これにより、遊技者は、ドラム回転不可音と不連続で発せられるドラム回転開始音の後れをはっきりと認識でき、内部当りしたことをより明確に把握することができる。」

上記記載事項及び図面によると、先願明細書には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「周面に図柄が描かれて駆動モータに駆動制御されることによりそれぞれ独立して回転する三つのドラム20a,20b,20cと、ストップボタン5a,5b,5cとを有し、そのストップボタン5a,5b,5cは、遊技者が任意のタイミングで押すことで回転する三つの各ドラムをそれぞれ停止させるものであり、内部当り抽選後に停止されるドラムの図柄配列が所定の入賞配列に揃った場合と入賞とが対応するゲームを実行するスロットマシンであって、
大当り(大ボーナス,BB)と中当り(中ボーナス,RB)等の内部当りに関し、内部当り抽選部11の抽選の結果、内部当りに当選した場合、その種類の当選が設定され、
内部当りした場合には、前回のドラム20の回転開始から4.1秒経過前に次回のスタートレバー4が押下されるとドラムの回転開始までの一遊技時間経過前の間発せられるドラム回転不可音について、内部当りしていない通常の場合にドラム回転不可音と連続して発せられるはずのドラム回転開始音が、ドラム回転不可音が一度途切れてから通常より遅れて発せられるスロットマシン。」

3.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「ドラム20a,20b,20c」は本願発明の「表示手段」に相当し、以下同様に、「ストップボタン5a,5b,5c」は「表示固定手段」に、「内部当り抽選後に停止されるドラムの図柄配列が所定の入賞配列に揃った場合」は「表示手段が固定的に表示した表示内容が所定の入賞条件を達成すること」に、「スロットマシン」は「遊技機」に相当する。

また、引用発明は、大当り(大ボーナス,BB)、中当り(中ボーナス,RB)の内部当りに関し、内部当り抽選部11の抽選の結果、内部当りに当選した場合、その種類の当選が設定されるものであるから、全ての賞又は一部の賞である内部当り対象賞に関し、所定の内部当り条件の達成によって、その内部当り条件に対応する賞について内部当り状態を設定する内部当り設定手段を備えるものといえる。

さらに、引用発明は、内部当りした場合には、前回のドラム20の回転開始から4.1秒経過前に次回のスタートレバー4が押下されるとドラムの回転開始までの一遊技時間経過前の間発せられるドラム回転不可音について、内部当りしていない通常の場合にドラム回転不可音と連続して発せられるはずのドラム回転開始音が、ドラム回転不可音が一度途切れてから通常より遅れて発せられるものであるから、内部当り対象賞の一部である特定の賞に内部当り状態が設定されている場合に、ゲームにおける遊技者の操作および/または遊技機の動作から選ばれる1又は2以上の所定事象のうち少なくとも一部の事象(引用発明の「ドラム回転不可音の発生」が本願発明の「ゲームにおける遊技機の動作から選ばれる所定事象」に相当する。)について、その事象の直後又はそれと同時に行われる遊技機の動作の開始を所定時間遅延させるか又はその動作を所定時間中断させる(引用発明では、所定事象に相当するドラム回転不可音の発生の直後に行われる遊技機の動作に相当するドラム回転開始音の発生の開始を所定時間遅延させる)遅延・中断手段を備え、前記所定事象は、価値手段払込み操作、表示固定手段作動操作、音声発生、発光装置の点灯、発光装置の点滅、発光装置の消灯、及び表示手段による表示内容の固定的表示から選ばれる1又は2以上である(引用発明の「ドラム回転不可音の発生」が本願発明の「音声発声」に相当する。)ものといえる。

したがって、両者は
「種々の表示内容を連続的に変化させつつ表示し得る1又は2以上の表示手段と、その表示手段に前記表示内容を固定的に表示させるための表示固定手段とを有し、その表示固定手段は、遊技者の操作又は不操作状態における所定時間経過の検知に応じ作動して前記表示手段に表示内容を固定的に表示させるものであり、前記表示手段が固定的に表示した表示内容が所定の入賞条件を達成することと入賞とが対応するゲームを実行する遊技機であって、
全ての賞又は一部の賞である内部当り対象賞に関し、所定の内部当り条件の達成によって、その内部当り条件に対応する賞について内部当り状態を設定する内部当り設定手段と、
内部当り対象賞の一部である特定の賞に内部当り状態が設定されている場合に、ゲームにおける遊技者の操作および/または遊技機の動作から選ばれる1又は2以上の所定事象のうち少なくとも一部の事象について、その事象の直後又はそれと同時に行われる遊技機の動作の開始を所定時間遅延させるか又はその動作を所定時間中断させる遅延・中断手段を備え、
前記所定事象は、価値手段払込み操作、表示固定手段作動操作、音声発生、発光装置の点灯、発光装置の点滅、発光装置の消灯、及び表示手段による表示内容の固定的表示から選ばれる1又は2以上である遊技装置。」
の点で一致し、相違点は認めらない。
よって、本願発明は、引用発明と同一である。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は,先願明細書に記載された発明(引用発明)と同一であり,しかも,本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも,また,本願の出願時に,その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので,本願発明は,特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく拒絶をすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-11-30 
結審通知日 2006-12-05 
審決日 2006-12-19 
出願番号 特願平11-207860
審決分類 P 1 8・ 161- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉村 尚  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 藤田 年彦
渡部 葉子
発明の名称 遊技装置  
代理人 高良 尚志  

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