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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない G03B
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G03B
管理番号 1153048
審判番号 訂正2005-39138  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2005-08-05 
確定日 2007-03-20 
事件の表示 特許第2599945号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯

本件訂正審判請求に係る特許第2599945号の請求項1ないし4に係る発明は、昭和62年12月29日に特許出願され、平成9年1月29日にその設定登録がなされ、その後、平成16年6月9日に無効審判請求(2004-80073号)がなされて平成17年4月19日付けで本件特許を無効とするとの審決がなされたところ、平成17年5月24日付けで知的財産高等裁判所に審決取消を求める訴(平成17年(行ケ)第10493号)がなされるとともに、平成17年8月5日付けで本件訂正審判が請求され、それに対し、同年10月7日付けで当審より訂正拒絶理由の通知がなされ、同年11月14日付けで意見書および手続補正書が提出されたものである。


2.審判請求の要旨

本件審判請求の要旨は、特許第2599945号の明細書(以下、「本件特許明細書」という。)を、本件審判請求書に添付された訂正明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正しようとするものであって、その訂正の理由は、特許請求の範囲の減縮、及び明りょうでない記載の釈明である。


3.訂正事項

(1)訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1の「観察側に配置される光拡散作用をもつ」を、「フレネルレンズ基板より観察側に配置され光拡散作用をもつ」と訂正する。
(2)訂正事項b 特許請求の範囲の請求項1の「フレネルレンズ形状をもつフレネルレンズ基板と」を、「フレネルレンズ形状をもつ前記フレネルレンズ基板と」と訂正する。
(3)訂正事項c 特許請求の範囲の請求項1の「光拡散性基板」 を、「レンチキュラーレンズ基板」と訂正する。
(4)訂正事項d 特許請求の範囲の請求項1の「透過形スクリーン」 を、「プロジェクションTV用透過形スクリーン」と訂正する。
(5)訂正事項e 特許請求の範囲の請求項1の「前記フレネルレンズ基板が紫外線硬化樹脂により成形されており」 を、「前記フレネルレンズ基板が、基板の前記レンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり」と訂正する。
(6)訂正事項f 特許請求の範囲の請求項1の「前記光拡散性基板に紫外線吸収作用をもたせたこと」を、「前記レンチキュラーレンズ基板は、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたこと」と訂正する。
(7)訂正事項g 請求項2を削除する。
(8)訂正事項h 請求項3を削除する。
(9)訂正事項i 請求項4を削除する。
(10)訂正事項j 特許掲載公報第4欄第43行から第44行の「光拡散性基板に紫外線吸収作用をもたせたので」を、「フレネルレンズ基板が基板のレンチキュラーレンズ基板側に紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり、レンチキュラーレンズ基板に、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたので」と訂正する。


4.訂正拒絶理由の概要

(1)本件訂正審判にかかる訂正事項eの訂正の内容は、本件特許明細書第4欄第27?29行の記載および図面第1図の記載に基づくもの、と主張するが、「基板」なる用語は、本件特許明細書においては第4欄第31行「この基板としては」との記載および同第4欄第36行「本実施例の基板では」なる記載のみであり、上記2個所での「基板」はいずれも「レンチキュラーレンズ基板」を意味しているものであるのに対し、訂正事項eの「基板」は、明らかに、それとは異なるものであり、訂正事項eによる補正は、出願時の願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされた訂正ではない。
仮に、訂正事項eが、本件特許明細書第4欄第27?29行の記載および図面第1図の記載に基づくものであって、フレネルレンズ基板に関するものであるとしても、「フレネルレンズ基板」を意味するものか、本件特許明細書第3欄第30行および同第4欄第28行記載の「透明基板」を意味するものかは明確でない。
とするならば、訂正事項eは、特許請求の範囲の減縮、誤記又誤訳の訂正、明りょうでない記載の釈明のいずれをも目的とした訂正ではないので、訂正事項eを含む本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定される目的に該当するものではなく、更には特許法第126条第3項の規定に適合したものではないので、適法な訂正とは認められない。

(2)仮に、本件訂正審判請求においてした訂正が特許法第126条第1項および第3項の規定に適合するものであるとした場合、本件訂正特許明細書に記載された発明が独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、予備的に検討する。
(2-1)特許請求の範囲の記載要件
特許請求の範囲の請求項1における「前記フレネルレンズ基板が、基板の前記レンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり」なる記載において、「基板」なる用語は、「フレネルレンズ基板」を意味するものであるのか、「透明基板」を意味するものであるか、は明確でない。
したがって、特許請求の範囲の請求項1における記載は、発明の詳細な説明に記載した発明の構成に欠くことができない事項のみを記載したものではないので、昭和60年改正特許法第36条第4項の規定を満たさない。
(2-2)本件訂正発明の容易想到性
本件訂正発明は、上記(1)において述べたように、「基板」の意味が不明瞭であるので、「フレネルレンズ基板」であるとした場合と、「透明基板」であるとした場合との双方について検討した結果、いずれの場合も、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が刊行物1、刊行物2に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
との判断により、仮に本件訂正審判請求においてした訂正が適法なものとした場合においても、独立して特許を受けることができないものであり、訂正事項aないしfは平成6年改正前特許法第126条第3項の規定に違反するものであるので、訂正事項aないしfを含む本件訂正は認められない。

(3)よって、本件訂正審判請求においてした訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法による改正前の特許法第126条第1項ただし書並びに第3項の規定に適合しないから当該訂正を認めることはできない。


5.審判請求書に添付した明細書の補正

平成17年11月14日付け手続補正(以下、「訂正の補正」という。)の内容は以下のものである。

訂正の補正[1]
審判請求書に添付した明細書の特許請求の範囲の欄を
「特許請求の範囲
(1)フレネルレンズ基板より観察側に配置され光拡散作用をもつレンチキュラーレンズ基板と、
前記レンチキュラーレンズ基板より光源側に配置されフレネルレンズ形状をもつ前記フレネルレンズ基板と
からなるプロジェクションTV用透過形スクリーンにおいて、
前記フレネルレンズ基板が、該基板の前記レンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり、
前記レンチキュラーレンズ基板は、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたこと
を特徴とするプロジェクションTV用透過形スクリーン。」
と補正する。

訂正の補正[2]
審判請求書に添付した明細書の第3頁第3行目にある「フレネルレンズ基板が基板の」を「フレネルレンズ基板が該基板の」と訂正する。


6.訂正の補正についての判断

訂正の補正[1]について
審判請求書に添付した明細書の特許請求の範囲の欄の「基板」が「フレネルレンズ基板」を意味するものであるか、「透明基板」を意味するものであるかが不明りょうである、との訂正拒絶理由に対し、「基板」を「該基板」と補正することにより「フレネルレンズ基板」であることを明りょうにするものである。
補正前の「基板」が「フレネルレンズ基板」であるとしても「透明基板」であるとしても、双方が本件特許明細書図面【第1図】に示される構成を表現するものであると認められるところ、「基板」を「該基板」とすることにより、「フレネルレンズ基板」であることを明りょうにするものであり、軽微な瑕疵の補正にあたる。

訂正の補正[2]について
審判請求書に添付した明細書の第3頁第3行目には「フレネルレンズ基板が基板の」なる記載はないが、第4頁第3行目には「フレネルレンズ基板が基板の」なる記載があるので、補正箇所を示す「第3頁」は「第4頁」の誤記とみなす。
訂正の補正[1]と同じく、明細書中の説明において「基板」を「該基板」とすることにより、「該基板」が「フレネル基板」であることを明りょうにするものであり、本件訂正審判請求書の要旨を変更しない軽微な瑕疵の補正にあたる。


7.訂正事項

上記6.の判断で示したように、訂正の補正が軽微な瑕疵の補正にあたるので、本件訂正審判請求に係る補正後の訂正(以下、「補正後訂正」という。)の訂正事項は、以下のものである。
(1)訂正事項a’ 特許請求の範囲の請求項1の「観察側に配置される光拡散作用をもつ」を、「フレネルレンズ基板より観察側に配置され光拡散作用をもつ」と訂正する。
(2)訂正事項b’ 特許請求の範囲の請求項1の「フレネルレンズ形状をもっフレネルレンズ基板と」を、「フレネルレンズ形状をもつ前記フレネルレンズ基板と」と訂正する。
(3)訂正事項c’ 特許請求の範囲の請求項1の「光拡散性基板」 を、「レンチキュラーレンズ基板」と訂正する。
(4)訂正事項d’ 特許請求の範囲の請求項1の「透過形スクリーン」 を「プロジェクションTV用透過形スクリーン」と訂正する。
(5)訂正事項e’ 特許請求の範囲の請求項1の「前記フレネルレンズ基板が紫外線硬化樹脂により成形されており」 を、「前記フレネルレンズ基板が、該基板の前記レンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり」と訂正する。
(6)訂正事項f’ 特許請求の範囲の請求項1の「前記光拡散性基板に紫外線吸収作用をもたせたこと」を、「前記レンチキュラーレンズ基板は、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたこと」と訂正する。
(7)訂正事項g’ 請求項2を削除する。
(8)訂正事項h’ 請求項3を削除する。
(9)訂正事項i’ 請求項4を削除する。
(10)訂正事項j’ 特許掲載公報第4欄第43行から第44行の「光拡散性基板に紫外線吸収作用をもたせたので」を、「フレネルレンズ基板が該基板のレンチキュラーレンズ基板側に紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり、レンチキュラーレンズ基板に、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたので」と訂正する。


8.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否

(1)訂正事項a’は、特許請求の範囲の請求項1に「フレネルレンズ基板より」という限定事項を加入することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
当該事項は、特許掲載公報の図面(以下、「図面」という。)の第1図および第 2 図に図示されているとともに、特許請求の範囲の請求項1および本件特許明細書第3欄第24行から第26行の「前記光拡散性基板より光源側に配置され・・・・フレネルレンズ基板」 の記載から導き出されるものである。
したがって、この訂正事項a’は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項a’は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2)訂正事項b’は、上記訂正事項 a’において訂正(加入)した「フレネルレンズ基板」と同じものを指す「フレネルレンズ基板」に「前記」という文言を加入することにより、特許請求の範囲の記載を明瞭にしようとするものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項bは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(3)訂正事項c’は、特許請求の範囲の請求項1の「光拡散性基板」を「レンチキュラーレンズ基板」とすることにより、特許請求の範囲を滅縮しようとするものであり、本件特許明細書第4欄第30行から第31行に記載されているものである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項c’は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(4)訂正事項d’は、特許請求の範囲の請求項1に「プロジェクションTV用」という限定事項を加入することにより、特許請求の範囲を滅縮しようとするものであり、本件特許明細書第2欄第7行に記載されているものである。
したがって、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項d’は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(5)訂正事項e’は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記フレネルレンズ基板が紫外線硬化樹脂により成形されており」を、「前記フレネルレンズ基板が、該基板の前記レンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり」とするものである。
この訂正事項e’による訂正後の「前記フレネルレンズ基板が、該基板の前記レンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり」は、「フレネルレンズ基板自体が紫外線硬化樹脂であり、そのレンチキュラーレンズ基板側にフレネルレンズ部を成形した」なる解釈と、「紫外線樹脂でないフレネルレンズ基板の、該基板のレンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形した」なる解釈の2通りが可能である。
上記2通りの解釈において、前者の解釈は「フレネルレンズ部」を「レンチキュラーレンズ基板側」に設けることに限定するものであり、本件特許明細書第4欄第27?29行の記載及び図面の第1図の記載に基づくと言うことができ、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
一方、請求人は、平成14年11月14日付けの意見書第5?6頁において、「本件特許発明における「フレネルレンズ基板」は、・・・透明基板と紫外線硬化樹脂で成形されたフレネルレンズ部の二層構成からなる」と後者の解釈を主張していると解される。
しかしながら、後者の解釈は訂正前の「前記フレネルレンズ基板が紫外線硬化樹脂により成形されており」と対比すると、拡張・変更されていると判断するのが相当である。
したがって、訂正事項e’の解釈としては前者の解釈を採用して以下の検討を続ける。

(6)訂正事項f’は、特許請求の範囲の請求項1に記載された「前記光拡散性基板に紫外線吸収作用をもたせたこと」を、「前記レンチキュラーレンズ基板は、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたこと」 に限定しようとするものであり、請求人は、本件特許明細書第3欄第18?20行及び同第4欄第34?38行の記載並びに図面第3図の記載に基づくものである、と主張する。
本件特許明細書第3欄第18?20行には、「光散乱性基板に紫外線、特に、光分解に強い影響をもつ波長である300nm?400nmの紫外線の吸収作用をもたせる」と記載され、同第4欄第36?38行には、「このようにして作製した光散乱性基板11に、種々の波長における透過率を分光光度計を使用して測定した。その結果、本実施例の基板では、第3図のA曲線に示すように、約380nmより短波長側の紫外線を吸収していることがわかる。」と第3図が分光光度形により測定されたものであると記載されている。
これらの記載によれば、300nm?400nmの紫外線の吸収作用をもたせることを目的に作成した光散乱性基板(実施例では、レンチキュラーレンズ基板)は、透過率を分光光度計で測定した結果、約380nmより短波長側の紫外線を吸収していることが記載されているし、図面第3図からは、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しないことを読み取ることができる。
したがって、訂正事項f’は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項f’は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)訂正事項g’、h’及びi’は、特許請求の範囲の請求項2、請求項3及び請求項4を削除するものである。
したがって、これらの訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項g’、h’及びi’は、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

(8)訂正事項j’は、発明の詳細な説明において、「光拡散性基板に紫外線吸収作用をもたせたので」を、「フレネルレンズ基板が該基板のレンチキュラーレンズ基板側に紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり、レンチキュラーレンズ基板に、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたので」と訂正することにより、請求項1の表現と整合させようとするものであるので明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。

以上、訂正事項a’ないしf’は、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明りょうでない記載の釈明を目的とした訂正であり、補正後訂正は、特許法第126条第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定される事項を目的に該当する。


9.独立特許要件の適否

本件訂正審判請求においてした補正後訂正が特許法第126条第1項ただし書き第1号ないし第3号に規定される事項を目的とするものに該当するので、次に、補正された訂正特許明細書に記載された発明が独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。

(1)補正後訂正発明
特許第2599945号の請求項1に係る発明は、補正された訂正明細書及び図面の記載により、
「フレネルレンズ基板より観察側に配置され光拡散作用をもつレンチキュラーレンズ基板と、
前記レンチキュラーレンズ基板より光源側に配置されフレネルレンズ形状をもつ前記フレネルレンズ基板と
からなるプロジェクションTV用透過形スクリーンにおいて、
前記フレネルレンズ基板が、該基板の前記レンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したものであり、
前記レンチキュラーレンズ基板は、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせたこと
を特徴とするプロジェクションTV用透過形スクリーン。」
なる発明(以下、「補正後訂正発明」という。)である。

(2)補正後訂正発明の容易想到性
(2-1)刊行物
(a)本件訂正審判に係る特許の無効審判請求において甲第1号証として提示された特開昭61-164807号公報(以下、「刊行物1」という。)には、従来技術として第2図が示され、
[記載事項1]
「一般的な透過形ビデオプロジェクターのスクリーンは第2図に示されるように構成され、図において、1は光源、2は光源1よりの光線を平行にするためのフレネルレンズ、3はそのレンズ面、4は視角を広くするためのレンチキュラーレンズ、5はレンチキュラーレンズ4を構成する光拡散性物質を示している。」(第1頁左下欄第19行?同頁右下欄第5行、および第2図参照)と記載されるとともに、
[記載事項2]
「次に、フレネルレンズ2の製造方法であるが、最も一般的な方法としては、熱可塑性のアクリル樹脂等を加熱プレスして製造する方法である。この方法はフレネルレンズ用金型を加熱した後、充分に変形可能なまでに加熱された透明なアクリル板を金型に挿入して加圧成形を行ない、定時間経過後金型温度が約70℃前後まで冷却した時点で脱型するものであった。しかし、この冷却については、冷却の際に歪を発生させない為に徐冷が必要で一工程に30分?60分以上要していた。この結果、金型の専有時間が長く、生産性が悪いという欠点があった。更に、加熱プレスによる宿命である冷却時の樹脂の収縮に起因する脱型不良(収縮によって金型に樹脂型が喰いつく現象)が生ずるという問題が多発していた。
そこで、加熱収縮あるいは徐冷等の問題点を解決する方法として紫外線硬化性樹脂を使用して成型する方法が提案されている。」(第1頁右下第20行?第2頁左上欄第17行)と記載されている。

したがって、記載事項1、2および第2図を参照すると、刊行物1には、
「フレネルレンズより光源の反対側に配置され光拡散性物質で構成されたレンチキュラーレンズと、
前記レンチキュラーレンズより光源側に配置されフレネルレンズ形状をもつ前記フレネルレンズと、
からなる透過形ビデオプロジェクターのスクリーンにおいて、
前記フレネルレンズが紫外線硬化性樹脂により成型されたことを特徴とする
透過形ビデオプロジェクターのスクリーン。」
の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。

(b)同じく、甲第5号証として提示された特開昭51-89419号公報(以下、「刊行物2」という。)には、
「ワックスと結晶性ポリマーから選ばれる光散乱物質の少なくとも一つを含有する拡散板の、少なくとも一つの面に直接凹凸を生ぜしめることを特徴とする後面投影型スクリーン」(特許請求の範囲)
なる記載とともに、その第2図に、投影光学系1からの光を受けるレンチキュラーレンズ8の面を有する拡散板3が示され、
「第2図は、円筒レンズを多数個並べたレンチキュラーレンズ8より成る構造をマイクロ光学素子構造として用いたものである。第2図の場合、微細なレンチキュラーレンズ8の1個1個が光を広げる作用を持ち、これに拡散板3の拡散作用が重なり合って、スクリーン全体としての拡散特性が向上せしめられる。」(第10頁左下欄第5行?第11行、および第2図参照)
「例えば、ワックス或いは結晶性ポリマーの経時性を改良する目的で、酸化防止剤および紫外線吸収剤を添加することができる。」(第8頁右上欄第5行?第7行)
なる記載があり、「拡散作用をもつレンチキュラーレンズの経時性を改良するために紫外線吸収剤を添加した後面投影型スクリーンに使用するレンチキュラーレンズ」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。

(c)また、特開昭61-177215号公報(以下、「刊行物3」という。)には、第2図に透明樹脂板(4)にフレネルレンズ面(8a)を有する紫外線硬化性樹脂(8)を接着させたフレネルレンズが開示され、特開昭61-248707号公報(以下、「刊行物4」という。)には、金型1とフレネルレンズの基体となるプラスチックシート2の隙間に紫外線硬化樹脂3を充填し、紫外線照射で紫外線硬化樹脂3が硬化した後に成形装置からプラスチックシート2,紫外線硬化樹脂3から成るフレネルレンズを取り出すようにしたフレネルレンズの製造方法の発明が記載されている。

(d)実願昭53-183666号(実開昭55-99534号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物5」という。)の、従来例として記載されている第1図、特開昭58-59436号公報(以下、「刊行物6」という。)の、従来のスクリーンの断面図として示された第2図、及び特開昭58-134627号公報(以下、「刊行物7」という。)の、プロジェクションテレビの光学系の基本構成を示す図として示された第1図には、それぞれ、拡散スクリーン2側、レンチキュラーレンズ7a側、レンチキュラーレンズ7側に、フレネルレンズ面が配置された構成が記載されている。

(e)また、特開昭58-87144号公報(以下、「刊行物8」という。)には、「多くに有機ポリマー;例えばポリエチレン、ポリプロビレン、ポリ塩化ビニル、飽和または不飽和ポリエステル、ポリカーボネートなどは日光に曝されると次第に劣化し、ある種のポリマーは望ましからざる着色を呈する。この現象はこれらのポリマーが太陽光中の紫外線、特に波長290?400mμの光線に対して感受性が大きいことに基因している。」(第1頁右下欄第10?17行)としたうえで、フッ化ビニリデン系樹脂に高分子量紫外線吸収剤を添加した成形物が開示され、その特性として第2図において400mμ以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少する曲線1が示されている。また、「紫外線分光器による測定ではこのフイルムが波長210?390mμの紫外線を完全に遮断することを示した。」(第4頁左下欄第19行?同右下欄第1行)との記載もある。(なお、長さの単位、1mμは1nmと同じ長さである。)
特開昭56-109847号公報(以下、「刊行物9」という。)には、「樹脂組成物の劣化分解を防止」(第1頁右欄第17行)するために「380nm以下の波長の光を遮蔽するプライマー組成物」(第2頁左上欄第11?12行)の発明が開示されており、第2図では、トルエン溶液100重量部に対し、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤5重量部数の紫外線遮蔽プライマー組成Hおよびベンゾトリアゾル系紫外線吸収剤5重量部数の紫外線遮蔽プライマー組成Jによる透過率の波長に対する変化のグラフが示されており、特にJについては400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少し、「380nm以下の波長の光が遮蔽されている」(第5頁右上欄第8?9行)ことがわかる。

(2-2)補正後訂正発明と引用発明1との一致点および相違点
引用発明1における「フレネルレンズ」、「光源の反対側」、「光拡散性物質で構成された」、「レンチキュラーレンズ」、「紫外線硬化性樹脂」、「成型」、「透過形ビデオプロジェクターのスクリーン」はそれぞれ、本件発明1における「フレネルレンズ基板」、「観察側」、「光拡散作用をもつ」、「レンチキュラーレンズ基板」、「紫外線硬化樹脂」、「成形」、「プロジェクションTV用透過形スクリーン」に相当し、本件訂正発明において「透明基板のレンチキュラーレンズ基板側に紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したもの」は、先の訂正事項fにおいて検討したように「フレネルレンズ基板が紫外線硬化性樹脂により成形したもの」に含まれるものであることから、引用発明1と補正後訂正発明は、
「フレネルレンズ基板より観察側に配置され光拡散作用をもつレンチキュラーレンズ基板と、前記レンチキュラーレンズ基板より光源側に配置されフレネルレンズ形状をもつ前記フレネルレンズ基板とからなるプロジェクションTV用透過形スクリーンにおいて、前記フレネルレンズ基板が紫外線硬化樹脂により成形されたことを特徴とするプロジェクションTV用透過形スクリーン。」の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
補正後訂正発明では、フレネルレンズ基板がフレネルレンズ基板のレンチキュラーレンズ基板側に紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したもの、であるのに対し、引用発明1では、フレネルレンズ基板が紫外線硬化性樹脂により成型されたもの、とされ、レンチキュラーレンズ基板側にフレネルレンズを成型した、とはされていない点。

[相違点2]
補正後訂正発明が「レンチキュラーレンズ基板は、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用をもたせた」構成を有するのに対して、引用発明1はそのような構成を有しない点。

なお、先に「8.(5)訂正事項e’」において、訂正事項e’の解釈を「フレネルレンズ基板自体が紫外線硬化樹脂であり、そのレンチキュラーレンズ基板側にフレネルレンズ部を成形した」として、独立特許要件を検討するものとしたが、仮に「紫外線硬化樹脂でないフレネルレンズ基板の、該基板のレンチキュラーレンズ基板側に、紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形した」と解釈されるとした場合には、以下の点も相違点(仮に、[相違点3]とする。)となる。
[相違点3]
補正後訂正発明では、フレネルレンズ基板が紫外線硬化樹脂でない基板と紫外線硬化樹脂によりフレネルレンズ部を成形したもの、であるのに対し、引用発明1では、そのような構成を有しない点。

(2-3)判断
請求人は、平成17年10月7日付けの訂正拒絶理由に対し、
A.刊行物1と刊行物2に記載された発明を組合せることは容易ではない、
B.刊行物5?7に記載のフレネルレンズは紫外線硬化樹脂で成形されたものでない
C.補正後訂正発明のレンチキュラーレンズ基板には(フレネルレンズ部の)紫外線硬化樹脂の長波長側の紫外線による劣化に対応する紫外線吸収特性をもたせたもの、
D.引用発明1および引用発明2は補正後訂正発明の課題を示唆しておらず、「400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少して約360nmより短波長側においては光を透過しなくなるように紫外線を吸収する作用」を想定することは困難である、
とし、補正後訂正発明は引用発明1および引用発明2、ならびに刊行物1ないし9に記載された発明から当業者が容易に想到できたものではないとの主張を行ったが、訂正拒絶理由で述べた上記補正後訂正発明と引用発明1との一致点および相違点については意見を述べていない。
したがって、請求人の主張を勘案し、上記相違点について検討する。

[相違点1]について
フレネルレンズ基板と光拡散作用をもつレンチキュラーレンズ基板とによりプロジェクションTV用透過型スクリーンを構成するにあたり、レンチキュラーレンズ基板側にフレネルレンズ面を配置することは、本件出願の出願前に頒布された刊行物5ないし7により周知のものである。
とするならば、引用発明1における紫外線硬化性樹脂により成型されたフレネルレンズ(補正後訂正発明におけるフレネルレンズ基板に相当)の配置として周知の配置であるフレネルレンズ面をレンチキュラーレンズ側にすることに何ら困難性はなく、当業者が容易に採用することができたものであり、相違点1に係る構成は格別のものではない。
なお、請求人は刊行物5ないし7に記載のフレネルレンズは紫外線硬化樹脂で成形されたものではないと主張するとともに、補正後訂正発明ではレンチキュラーレンズを通して紫外線が最初に紫外線硬化樹脂で成形されたフレネルレンズ部に当たり、劣化しやすく、これを防止する必要性が大きく、補正後訂正発明はこれを解決するものであると主張する。
しかしながら、フレネルレンズを紫外線硬化樹脂で成形することは引用発明1に記載されたものであるし、フレネルレンズの配置として刊行物5ないし7に記載の配置が周知であり、フレネルレンズ面をレンチキュラーレンズ側にしても、レンチキュラーレンズ側と反対側にしても、紫外線硬化樹脂により作成されるフレネルレンズが劣化する点では同じであるので、フレネルレンズ面をどちらに向けるかは設計的事項であって、引用発明1において刊行物5ないし7に記載の配置を採用することが困難であるとは言えず、請求人の主張は上記相違点1についての判断を左右するものではない。

[相違点2」について
引用発明2は「拡散作用をもつレンチキュラーレンズの経時性を改良するために紫外線吸収剤を添加した後面投影型スクリーンに使用するレンチキュラーレンズ」の発明であり、後面投影型スクリーンもプロジェクションTV用透過形スクリーンの概念に属するものであり、引用発明2は、引用発明1と技術分野を同じくするものであるので、引用発明1における「光拡散性物質で構成されたレンチキュラーレンズ」に替えて引用発明2のレンチキュラーレンズを使用することは当業者が容易になし得たものであるとの当審の判断に対し、請求人は、引用発明1のレンチキュラーレンズは「分散系スクリーン」であるのに対し、刊行物2では「ワックス系スクリーン或いは結晶性ポリマー系スクリーン」に「紫外線吸収剤を添加」して経時性を改良することが記載されているだけであるので、「刊行物2には、レンチキュラーレンズ一般ではなく、あくまでワックス或いは結晶性ポリマー系スクリーンに限定して紫外線吸収剤を添加することが記載されているに過ぎ」ず、引用発明1と引用発明2を組合わせること自体が容易ではない、と主張する。
しかしながら、当審における上記判断は引用発明2に基づき引用発明1のレンチキュラーレンズに紫外線吸収剤を添加することではなく、引用発明1のレンチキュラーレンズに替えて引用発明2のレンチキュラーレンズを使用することが容易である、としたものであり、本件出願の出願時において、引用発明2が記載された刊行物2の記載から、当業者が、樹脂で作成されるレンチキュラーレンズに紫外線吸収剤を添加することで劣化を防止できるという技術思想を読み取ることは容易である。
また、紫外線硬化樹脂により成形された樹脂製品が紫外線により劣化することは本件出願時に当業者において知られていた課題(たとえば、本件訂正審判に係る特許の無効審判請求において甲第7号証として提示された特開昭53-45345号公報、同甲8号証として提示された特開昭58-89609号公報の記載)であり、たとえ、刊行物1にも刊行物2にも補正後訂正発明の課題が示唆されていないとしても、引用発明1におけるレンチキュラーレンズに引用発明2の紫外線吸収剤を添加したレンチキュラーレンズを適用して得た構成によって、紫外線硬化樹脂で成形されたフレネルレンズへの紫外線も減少して劣化が防止されることは、当業者が容易に予測できたものである。
そして、多くのポリマーは290nm?400nmの光線に対して感受性が大きいことに基因して劣化すること、380nm以下の波長の光を遮蔽することにより樹脂組成物の劣化分解を防止できることは、本件出願の出願時において広く知られていたことから、刊行物8、刊行物9に記載のように、400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少し、約360nmより短波長側において光を透過しなくなる特性となるように紫外線吸収剤を添加することも、当業者が適宜採用し得るものであるので、請求人の主張は採用できない。
なお、請求人は、刊行物8、刊行物9と補正後訂正発明の技術分野は相違し、刊行物8、刊行物9に記載の吸収特性から、「プロジェクションTV用透過形スクリーンの紫外線硬化樹脂で成形されたフレネルレンズの劣化を防止するためにレンチキュラーレンズ基板に所定の紫外線吸収特性を持たせることを想到することはきわめて困難」と主張し、更に、刊行物8、刊行物9に記載の吸収特性は「光線透過率の減少が400nmでほぼ終了しており、『400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少している』ことを示唆するものではない、と主張する。
刊行物8、刊行物9に記載の紫外線吸収剤を含有する組成物は、プロジェクションTV用透過形スクリーンの紫外線硬化樹脂で成形されたフレネルレンズの劣化を防止するためのものとはされていないが、ポリマーや樹脂組成物の紫外線による劣化を防止する目的で400nm以下の波長に対して光線透過率が短波長側に移るにつれて減少し、約360nmより短波長側において光を透過しなくなる特性が開示されている。なお、刊行物9には異なる紫外線吸収剤の配合比を変化させることで透過率特性を変化させることができることも明記されていることから、刊行物8、刊行物9記載の周知技術を知る当業者が紫外線吸収剤を含有する組成物をプロジェクションTV用透過形スクリーンに使用する場合には、例えば、着色がないように透過率特性を調整することは当業者が当然行う設計的事項であり、何ら格別のものではない。
したがって、相違点2は格別のものではない。

[相違点3]について
本件出願の出願日前に頒布された刊行物3、刊行物4にはそれぞれ、透明樹脂板にフレネルレンズ面を有する紫外線硬化性樹脂を接着させたフレネルレンズ、プラスチックシートと紫外線硬化樹脂からなるフレネルレンズが記載されており、本件訂正発明の出願時においては、フレネルレンズ基板を紫外線硬化樹脂でない透明樹脂板である基板と紫外線硬化樹脂により成形することは広く知られていたものである。
とするならば、引用発明1にけるフレネルレンズ基板として、上記刊行物3、刊行物4により、広く知られていたフレネルレンズ基板を採用することに何ら困難性はなく、相違点3に係る補正後訂正発明の構成は格別のものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、補正後訂正発明は、特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が刊行物1、刊行物2に記載された発明および周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

したがって、補正後訂正発明は、独立して特許を受けることができないものであり、訂正事項a’ないしf’は平成6年改正前特許法第126条第3項の規定に違反するものであるので、訂正事項a’ないしf’を含む本件訂正は認められない。


10.むすび

以上のとおりであり、本件訂正審判請求においてした訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないから当該訂正を認めることはできない。
 
審理終結日 2006-02-01 
結審通知日 2006-02-06 
審決日 2006-02-17 
出願番号 特願昭62-333089
審決分類 P 1 41・ 121- Z (G03B)
P 1 41・ 856- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 町田 光信越河 勉  
特許庁審判長 上野 信
特許庁審判官 末政 清滋
鹿股 俊雄
登録日 1997-01-29 
登録番号 特許第2599945号(P2599945)
発明の名称 透過形スクリーン  
代理人 市川 穣  
代理人 三輪 昭次  
代理人 井上 正  
代理人 後藤 直樹  
代理人 松田 美和  
代理人 椙山 敬士  
代理人 吉田 正夫  
代理人 牛久 健司  
代理人 金山 聡  
代理人 藤枡 裕実  
代理人 高城 貞晶  
代理人 高木 千嘉  
代理人 結田 純次  
代理人 赤尾 太郎  

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