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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1153059
審判番号 不服2004-454  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-07 
確定日 2007-03-02 
事件の表示 特願2000-506810「素子の端子の位置を検出するおよび/または空間的に測定するる方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月18日国際公開、WO99/08499、平成13年 9月 4日国内公表、特表2001-513594〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】手続の経緯
本願は、1998年7月24日(パリ条約による優先権主張外国庁受理1997年8月7日、ドイツ国)を国際出願日とする出願であって、原審において、平成15年10月2日付けで拒絶査定がなされたが、これを不服として、平成16年1月7日に本件審判請求がなされるとともに、同年2月4日付けで手続補正がなされたものである。

【2】平成16年2月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成16年2月4日付けの手続補正を却下する。

[補正却下の決定の理由]
1.手続補正後の請求項1に係る発明
平成16年2月4日付けの手続補正(以下、「本件手続補正」という。)により、特許請求の範囲の請求項1は以下のように補正された。
「素子(3)の端子(2)の位置を識別するおよび/または空間的に測定する方法において、
前記端子を入射照明で、直線偏光された光によって照明し、
前記端子の拡散反射を使用して当該端子を結像し、
ここで前記の照明光および反射光のビーム路は互いに角度をなして延在しており、これによって前記端子の結像から当該端子の高さ位置を決定し、
該結像のために、光学的な検光子としての偏光フィルタによって前記端子の正反射を抑圧し、
前記の端子の結像に基づき、端子の位置を識別するおよび/または空間的に測定することを特徴とする、
端子の位置を識別するおよび/または空間的に測定する方法。」(以下、「本願補正発明」という。)
上記補正は、請求項1に「ここで前記の照明光および反射光のビーム路は互いに角度をなして延在しており、これによって前記端子の結像から当該端子の高さ位置を決定し、」の記載を挿入し、請求項1に係る発明の「端子の位置を識別するおよび/または空間的に測定する」の構成を更に限定するものであって、平成14年改正前特許法第17条の2第4項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そこで、上記の本願補正発明が、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項に規定する独立特許要件を備えているかどうかについて、以下に検討する。

2.引用例とその記載事項
(1)原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先権主張日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平2-199900号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
(イ)「(1)各々の先端部が一平面上に位置すべき多数のリード線が本体から突出しており、それらリード線の先端部がプリント基板のプリント回路に半田付けされるタイプの電子部品を保持ヘッドにより保持してプリント基板に装着する電子部品実装装置において、
前記電子部品が前記保持ヘッドに保持された状態で前記一平面と交差する方向に検出波を発し、前記多数のリード線の各先端部に当てる検出波発射装置と、
前記検出波の前記各先端部からの反射波を受け、それら先端部の前記一平面に直角な方向の位置に応じて変わる電気信号を出力する受波装置と、
その受波装置からの電気信号に基づいて前記多数のリード線の先端部の前記一平面に直角な方向の位置が基準量以上ずれているか否かの判定を行う判定装置と
を設けたことを特徴とする電子部品実装装置。」(特許請求の範囲請求項1)
(ロ)「リード線検出装置200,202は同じ構成のものであり、リード線検出装置200について代表的に説明する。リード線検出装置200は、レーザ光をリード線178に当てることによりリード線178の位置ずれを検出するものであり、レーザ光が検出波である。このリード線検出装置200は、第1図に示されるように、ハウジング230と、そのハウジング230に内蔵され、垂直方向上方にレーザ光を発射する検出波発射装置としてのレーザ発光体232と、リード線178からの反射光を集光する受光レンズ234と、受光レンズ234が集光した光を受ける受波装置としての検出素子236とを備えている。受光レンズ234および検出素子236はレーザ発光体232から発せられるレーザ光の光軸に対して傾斜して設けられている。また、検出素子236は、第4図に示されるように、高抵抗のシリコン基板238の表面にp層、裏面にn層が形成されるとともに、その両端にそれぞれ信号取出し用の電極240.242が設けられたものである。この検出素子236に光が入射すれば、その光の強さに比例する電流が発生し、p層を通って電極240,242から取り出される。p層は均一な抵抗層となっており、電極240,242から取り出される電流は光の入射点から各電極までの距離に逆比例する。そして、光の入射位置は、第1図にリード線178の先端部180のみを描いて示すように、先端部180の位置が水平面に直角な垂直方向において変わることにより変わる。先端部180がそれが位置すべき水平面内にあれば反射光は検出素子236の長手方向の中間位置に入射するのに対し、先端部180’、180”のように水平面より上方あるいは下方にずれていれば、それぞれ検出素子236の上記中間位置を挟んで反対側の位置に入射することとなるのである。したがって、電極240,242から取り出される電流の大きさに基づいて先端部180の垂直方向の位置がわかり、その位置にずれがあるか否かを判定することができる。電極240,242は制御装置244に接続されており、制御装置244には電極240,242から取り出される電流が電圧に変換されて供給される。この制御装置244は、コンピュータを主体とし、本電子部品実装装置の作動全体を制御するものであり、供給される電圧の大きさに基づいてリード線178に上記直角方向の位置ずれがあるか否かを判定する。制御装置244が判定装置を構成しているのである。」(第7頁左下欄第16行?第8頁右上欄第2行)
上記記載事項から、引用例1には、「電子部品のリード線の位置を識別する方法において、前記リード線をレーザ光によって照明し、前記リード線の反射を使用して当該リード線を結像し、ここで前記のレーザ光および反射光の光軸は互いに角度をなして延在しており、これによって前記リード線の結像から当該リード線の高さ位置を決定し、前記のリード線の結像に基づき、リード線の位置を識別する方法。」の発明(以下、「引用発明」という)が開示されていると認めることができる。

3.本願補正発明と引用発明の対比・判断
(1)本願補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「電子部品」、「リード線」、「レーザ光」、「光軸」は、それぞれ本願補正発明における「素子」、「端子」、「入射照明で、直線偏光された光」、「ビーム路」に相当するから、本願補正発明と引用発明の一致点、相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「素子の端子の位置を識別する方法において、
前記端子を入射照明で、直線偏光された光によって照明し、
前記端子の反射を使用して当該端子を結像し、
ここで前記の照明光および反射光のビーム路は互いに角度をなして延在しており、これによって前記端子の結像から当該端子の高さ位置を決定し、
前記の端子の結像に基づき、端子の位置を識別する方法。」
<相違点>
本願補正発明は、端子を結像させる反射光として、「光学的な検光子としての偏光フィルタによって前記端子の正反射を抑圧し」て、「拡散」反射光を使用しているのに対して、引用発明は、端子を結像させる反射光についてそのような限定がない点。
(2)そこで、上記相違点について以下に検討する。
反射光を結像させることによって位置を検出する方法において、偏光フィルタにより正反射を抑制し、拡散反射光を使用して結像させることにより、正反射によるノイズを排除することは、原査定で引用した特開平4-71849号公報、新たに例示する特開昭59-231402号公報の記載にみるように、従前周知の技術である。
そうであれば、引用発明に当該周知技術を適用し、相違点に係る本願補正発明の構成としたことは、当業者の容易に想到し得たことである。

また、本願補正発明が奏する作用効果も、上記引用発明及び上記周知の技術から予測される程度以上のものでもない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4.むすび
以上のとおり、本願補正発明は、その特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件手続補正は、特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第5項の規定に違反するものである。
したがって、本件手続補正は、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

【3】本願発明について
1.本願発明
本件手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成14年11月15日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の各請求項に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明は次のとおりのものである。
「素子(3)の端子(2)の位置を識別するおよび/または空間的に測定する方法において、
前記端子を入射照明で、直線偏光された光によって照明し、
前記端子の拡散反射を使用して当該端子を結像し、
該結像のために、光学的な検光子としての偏光フィルタによって前記端子の正反射を抑圧し、
前記の端子の結像に基づき、端子の位置を識別するおよび/または空間的に測定することを特徴とする、
端子の位置を識別するおよび/または空間的に測定する方法。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用例とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用例とその記載事項は、上記【2】2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、上記【2】で検討した本願補正発明から、その構成事項の一部である「ここで前記の照明光および反射光のビーム路は互いに角度をなして延在しており、これによって前記端子の結像から当該端子の高さ位置を決定し」の構成を削除したものに相当する。
そうすると、本願発明の構成を全て含み、更に構成を限定している本願補正発明が、上記【2】3.に記載したとおり、上記引用発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、上記引用発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

【4】むすび
したがって、本願発明(請求項1に係る発明)は、上記引用発明及び上記周知の技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-10-03 
結審通知日 2006-10-06 
審決日 2006-10-18 
出願番号 特願2000-506810(P2000-506810)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深澤 幹朗永安 真  
特許庁審判長 鈴木 久雄
特許庁審判官 柴沼 雅樹
前田 仁
発明の名称 素子の端子の位置を検出するおよび/または空間的に測定するる方法および装置  
代理人 久野 琢也  
代理人 ラインハルト・アインゼル  
代理人 山崎 利臣  
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト  
代理人 矢野 敏雄  

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