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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01C
管理番号 1153322
審判番号 不服2005-17597  
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-09-14 
確定日 2007-03-08 
事件の表示 特願2000-236971「施設情報報知装置及びナビゲーション装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年 2月15日出願公開、特開2002- 48556〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年8月4日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「検索処理が可能なデジタルデータである検索データを含めてデジタルテレビジョン放送の所定チャンネルに多重されて放送される施設情報に基づき、施設を検索して当該施設に関する情報を報知する施設情報報知装置であって、
前記放送される施設情報を受信する受信手段と、
該受信手段にて受信された前記施設情報を解読して、映像データ、音声データおよび検索データに分類する解読分類手段と、
該解読分類手段によって解読・分類された前記施設情報中の検索データに基づき、設定される検索条件を満たす施設を検索する検索手段と、
該検索手段による検索結果に基づき、該当する施設の情報を音声及び/又は映像にて報知する報知手段とを備えていること
を特徴とする施設情報報知装置。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-105492号公報(以下、「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。

・「【0017】まず、本発明の第1の実施例について、図1?図4を用いて説明する。
【0018】図1は本発明の第1の実施例のナビゲーション装置を適用した情報伝送表示システムの構成図である。
【0019】図1において、100はガソリンスタンド,食事処,駐車場等の種々の施設、200は移動体に設置されたナビゲーション装置である。
【0020】図1に示すように、施設100は、送信機1,送信用アンテナ2を備えている。また、ナビゲーション装置200は、受信用アンテナ3,受信機4,解析手段5,位置測定手段6,制御手段7,読出手段8,地図データ記憶手段9,描画手段10,表示手段11,入力手段12を備えた構成となっている。なお、図1では、1つのナビゲーション装置200に対して、1つの施設100しか示していないが、実際には、複数存在する。
【0021】施設100においては、送信機1は、送信用アンテナ2を通じて、予め決められた一定時間ごとに、自施設100に関する情報を示す施設データを送信する。ここで、送信機1は、例えば、到達距離が数十メートル?百メートル程度の電波信号または光信号を用いて、施設データを送信するものである。これは、到達距離が比較的短い信号を用いることで、多量の信号を同時に受信することによりナビゲーション装置200が混乱することを避けるためである。
【0022】施設データは、図2に示すように、ガソリンスタンド,食事処,駐車場等の施設100の種類を示す識別コードと、施設100の場所(緯度,経度)を示す場所データとから構成され、さらに、駐車場を備えた施設100である場合には、該駐車場が空車であるか満車であるかを示す付加データを含むようにすることができる。
【0023】ナビゲーション装置200においては、受信機4は、受信用アンテナ3を通じて、施設100から送信された施設データを受信すると、該施設データを解析手段5に渡す。解析手段5は、受信機4により受信された施設データを解析し、該施設データを描画手段10に渡す。すなわち、解析手段5は、施設データに含まれている識別コードから施設100の種類を求め、施設データに含まれている場所データから施設100の場所を求める。また、付加データが含まれている場合は、該付加データから駐車場が空車であるか満車であるかを求める。
【0024】一方、位置測定手段6は、移動体の現在位置を測定し、該現在位置を制御手段7に渡す。制御手段7は、地図データ記憶手段9に記憶されている地図データのうち、位置測定手段6により測定された現在位置をほぼ中心とする地図データを読み出すよう、読出手段8を制御する。読出手段8は、地図データ記憶手段9に記憶されている地図データのうち、位置測定手段6により測定された現在位置をほぼ中心とする地図データを読み出し、該地図データを描画手段10に渡す。また、制御手段7は、位置測定手段6により測定された現在位置を描画手段10に渡す。
【0025】なお、位置測定手段6は、例えば、GPS(Grobal Positioning System)位置測定装置により実現することができる。
【0026】描画手段10は、解析手段5により解析された施設データ,読出手段8により読み出された地図データ,位置測定手段6により測定された現在位置を合成して、表示手段11に表示可能な表示データに変換し、該表示データを表示手段11に渡す。表示手段11は、描画手段10により変換された表示データを表示する。
【0027】図3は表示手段11の表示例を示す図である。
【0028】図3に示すように、表示手段11には、現在位置を表すカーソル,食事処を表すマーク,食事処の駐車場が空車であることを表す付加メッセージが表示されている。
【0029】上述したように、本実施例によれば、ナビゲーション装置200のユーザは、移動体の現在位置を知ることができると共に、ガソリンスタンド,食事処,駐車場等の施設100に関する情報を入手することができる。
【0030】また、ナビゲーション装置200において、入力手段12は、ナビゲーション装置200のユーザが、場所等を知りたい所望の施設100の種類を1つ以上選択指示することができるようになっている。
【0031】図4は入力手段12の一例を示す図である。
【0032】図4の例は、表示手段11の画面上に設けられたタッチパネルにより入力手段12を実現した例を示しているが、このほかにも、複数の選択スイッチを備えたスイッチパネル等により実現することができる。
【0033】ナビゲーション装置200のユーザが、入力手段12を用いて、所望の施設100の種類を選択指示すると、該施設100の種類は、制御手段7に渡される。制御手段7は、ユーザにより施設の種類が選択指示されると、受信機4により受信された施設データのうち、ユーザにより選択指示された施設100の種類を示す識別コードを含む施設データを解析するよう、解析手段5を制御する。解析手段5は、受信機4により受信された施設データのうち、ユーザにより選択指示された施設100の種類を示す識別コードを含む施設データを解析し、該施設データを描画手段10に渡す。
【0034】描画手段10は、解析手段5により解析された施設データ,読出手段8により読み出された地図データ,位置測定手段6により測定された現在位置を合成して、表示手段11に表示可能な表示データに変換し、該表示データを表示手段11に渡す。表示手段11は、描画手段10により変換された表示データを表示する。
【0035】これにより、表示手段11には、ユーザにより選択指示された種類の施設100に関する情報が表示されることとなる。
【0036】上述したように、本実施例によれば、ナビゲーション装置200のユーザは、移動体の現在位置を知ることができると共に、所望の施設100に関する情報を入手することができる。」

・「【0039】図5は本発明の第2の実施例のナビゲーション装置を適用した情報伝送表示システムの構成図である。
【0040】図5において、300は施設データ送信局、400は移動体に設置されたナビゲーション装置である。
【0041】図5に示すように、施設データ送信局300は、送信機1,送信用アンテナ2,データベース15を備えている。また、ナビゲーション装置400は、受信用アンテナ3,受信機4,位置測定手段6,制御手段7,読出手段8,地図データ記憶手段9,描画手段10,表示手段11,入力手段12,データ記憶手段19を備えた構成となっている。なお、図5では、1つのナビゲーション装置400に対して、施設データ送信局300を1つしか示していないが、実際には、複数存在する。
【0042】本実施例が上記第1の実施例と異なるのは、施設からではなく、施設データを記憶しているデータベース15を備えた施設データ送信局300から、ナビゲーション装置400に対して、施設データを送信するようにした点である。」

・「【0010】また、上記受信手段により受信された施設データを記憶するデータ記憶手段をさらに備えるようにしてもよく、このようにした場合、上記解析手段は、上記データ記憶手段に記憶されている施設データを解析することとなる。なお、このようなナビゲーション装置においては、上記受信手段は、施設データを複数記憶している施設データ送信局から送信されてくる施設データを受信するようにし、これにより、施設データ送信局とナビゲーション装置とから構成される情報伝送表示システムを構築することができる。」

これらの記載事項及び図示内容を総合すると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「識別コードと場所データを含めて送信される施設データに基づき、施設を選択して当該施設に関する情報を表示する情報伝送表示システムであって、
前記送信される施設データを受信する受信機と、
該受信機にて受信された前記施設データを解析して、付加データおよび識別コードと場所データを得る手段と、
該得る手段によって得られた前記施設データ中の識別コードと場所データに基づき、入力手段で指示された施設を選択する手段と、
該選択する手段による選択結果に基づき、該当する施設の情報を表示する表示手段とを備えている情報伝送表示システム。」

3.対比
本願発明と引用発明を対比すると、その作用・機能からみて、後者における「識別コードと場所データ」が前者における「検索処理が可能なデジタルデータである検索データ」及び「検索データ」に相当し、以下同様に、「送信」が「放送」に、「施設データ」が「施設情報」に、「選択」が「検索」に、「表示」が「報知」に、「情報伝送表示システム」が「施設情報報知装置」に、「受信機」が「受信手段」に、「解析」が「解読」に、「得られた」が「解読・分類された」に、「入力手段で指示された」が「設定される検索条件を満たす」に、「選択する手段」が「検索する検索手段」に、「表示手段」が「報知手段」に、それぞれ相当している。
また、後者における「付加データおよび識別コードと場所データを得る手段」と前者における「映像データ、音声データおよび検索データに分類する解読分類手段」とは、「施設関連データおよび検索データに分類する解読分類手段」との概念で共通している。

したがって、両者は、
「検索処理が可能なデジタルデータである検索データを含めて放送される施設情報に基づき、施設を検索して当該施設に関する情報を報知する施設情報報知装置であって、
前記放送される施設情報を受信する受信手段と、
該受信手段にて受信された前記施設情報を解読して、施設関連データおよび検索データに分類する解読分類手段と、
該解読分類手段によって解読・分類された前記施設情報中の検索データに基づき、設定される検索条件を満たす施設を検索する検索手段と、
該検索手段による検索結果に基づき、該当する施設の情報を報知する報知手段とを備えている施設情報報知装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点1]
放送される施設情報に関し、本願発明が、「デジタルテレビジョン放送の所定チャンネルに多重されて」いるものであるのに対し、引用発明は、かかる特定がなされていない点。
[相違点2]
施設関連データに関し、本願発明が、「映像データ、音声データ」であるのに対し、引用発明は、「付加データ」としている点。
[相違点3]
施設の情報の報知に関し、本願発明が、「音声及び/又は映像にて」行うものであるのに対し、引用発明は、かかる特定がなされていない点。

4.当審の判断
上記相違点について以下検討する。
(1)相違点1について
所定の情報をデジタルテレビジョン放送の所定チャンネルに多重して放送することは、原査定時に周知例として提示された特開2000-152193号公報(【請求項1】、【図1】等参照)にも開示されているように、情報伝送の分野における周知技術といえるものである。
そうすると、引用発明において、かかる周知技術を適用し、相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者にとって容易である。

(2)相違点2及び3について
引用発明において、施設関連データ(付加データ)として如何なるものを選定するかは、送受信装置の性能やユーザの要求等に応じて適宜変更し得るものといえるから、これを「映像データ、音声データ」とすることも任意であり、その場合、報知手段が音声や映像にて報知することになるのは自明である。
したがって、引用発明において、相違点2及び3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。

そして、本願発明の全体構成により奏される効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものである。

5.むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2006-12-27 
結審通知日 2007-01-09 
審決日 2007-01-22 
出願番号 特願2000-236971(P2000-236971)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G01C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 片岡 弘之  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 田良島 潔
渋谷 善弘
発明の名称 施設情報報知装置及びナビゲーション装置  
代理人 加藤 大登  
代理人 伊藤 高順  
代理人 碓氷 裕彦  

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